説明

紙パック容器用イオン飲料飲用具

【課題】すでに紙パック容器に入っている飲料を他の容器に移し替えることなく、飲料の吸飲時に、飲料に含まれているイオン物質を口腔咽頭内組織表面に電気的に誘導するための、紙パック容器用のイオン飲料飲用具を開発する。
【解決手段】紙パック容器10の外に電極を位置させて生体側電極1とし、紙パック容器の中に電極を刺入して飲料側電極2とする。そして、それぞれの電極をバッテリーと接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、紙パック容器入りの飲料を他の容器に移し替えることなく吸飲し、飲料に含まれ有益な口腔咽頭内局所作用を有するイオン物質を、口腔咽頭内組織表面に電気的に誘導して吸着させるための、紙パック容器用イオン飲料飲用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
口腔粘膜に吸着したカルシュウムイオンやフッ素イオン等は、口腔内に除放されることによってエナメル質の再石灰化を促進し、ウ蝕の予防に重要な作用を有していることが明らかとなっている。同様に、牛乳から精製されるラクトフェリンが、口腔咽頭内にてウ蝕の予防や歯周疾患の予防ばかりでなく、風邪やインフルエンザ等の予防にも、効果が期待できるとの報告がなされている。しかしながら、牛乳やお茶等に多く含まれているカルシュウムイオンやフッ素イオン、あるいはラクトフェリン等は、ただ飲用するだけでは、そのほとんどが口腔咽頭内を通過してしまうことから、有益なそれらイオン物質の口腔咽頭内における局所作用を、有効に利用することができなかった。しかし、昨今、電気的な力でイオン物質を口腔咽頭内組織表面に誘導する、飲容器を構成要素として含む容器型のイオン飲料飲用器が提案されていた。(特願2009−041422)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
学校や病院、あるいは介護施設等の給食においては、配膳作業の簡略化や洗浄消毒作業の省略に便利なため、一人分の量の牛乳やお茶等が、紙パック容器に容れられた状態で提供され、それにストローを刺入して吸飲するのが一般的な摂取の形態であった。
本願発明は、すでに紙パック容器に入っている飲料を他の容器に移し替えることなく、飲料の吸飲時に、飲料に含まれているイオン物質を、口腔咽頭内組織表面に電気的に誘導するための、紙パック容器用のイオン飲料飲用具の開発を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
紙パック容器の外に電極を位置させて生体側電極とし、紙パック容器の中に電極を刺入して飲料側電極とする。そして、それぞれの電極をバッテリーと接続することを手段とするものである。
【発明の効果】
【0005】
1.容器型のイオン飲料飲用器と同様に、吸飲時に、生体内を導電経路とする電気回路が成立して、口腔咽頭内組織表面に向けてイオン物質を誘導することができる。
2.紙パック容器に入っているイオン含有飲料を他の容器に移し替える必要がない。
3.装置のセットと配膳が簡単であり、容器の洗浄と消毒を行なう必要がない。
4.日々の使用において洗浄と消毒が必要とされる飲料側電極は、洗浄と消毒が容易である。
5.上記の様な簡便さと衛生上の利点は、学校や施設等においての使用に便利である。
6.エナメル質の成熟期にあって、口腔内でのカルシュウムイオンやフッ素イオン等を特に必要とする学童や、歯牙のエナメル質が磨耗して薄弱化が生じている高齢者等においては、本願発明の日常的な使用によって、カルシュウムイオンやフッ素イオン等が日常的に口腔咽頭内粘膜表面に吸着残留し、それが飲用後の口腔咽頭内に少しずつ徐放されることから、脱灰の抑制と歯牙の再石灰化が促進され、ウ蝕予防上の効果を期待することができる。
7.歯牙表面に形成されたバイオフイルムの内では、様々な陰陽のイオン物質が混在して増量することから、電極の極性の間歇的な変換が、生体側電極の極性と同等な極性のイオン物質を口腔咽頭内組織表面から完全に離反させることにならず、生体側電極の極性と反対の極性のイオン物質が口腔咽頭内組織表面に誘導され、吸着、蓄積すると考えられる。従って、本願発明の基本的な電気回路に、電極の極性を変換する回路を付加することによって、ミルクティ−等に含まれる陽イオン物質であるカルシュウムイオンと陰イオン物質であるフッ素イオン等を、口腔咽頭内組織表面に交互に誘導して吸着混在させ、両物質の共存によって生じるとされるウ蝕の高い予防作用を期待することができる。
8.本願発明は、電気的極性を有した薬剤の、口腔咽頭粘膜へ向けたドラッグデリバリーシステムとして使用することも可能である。
9.本願発明の使用は電極材が溶出しないため、飲料の成分に変化を及ぼすものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本願発明の一実施例として、容器スタンド型のイオン飲料飲用具を例に説明する。
1.図1は、本願発明の概観を示す斜視図である。
極性変換機能を有する電源スイッチ(3)とバッテリー、コネクター等を内蔵したバッテリーボックス(7)と、ステンレス板に白金メッキを施した生体側電極(1)とを、ボルトと(8)ナットで固定して紙パック容器スタンドとし、L字型に曲げて白金メッキを施した高耐蝕性ステンレス棒を刺入型の飲料側電極(2)として、それぞれの電極(1)(2)をバッテリーと接続するものである。
飲料側電極(2)の長い方の先端は、ボールペンのペン先様の形態をし、他の短い方の一端は、丸みを有した形態である。電極の長い方を紙パック容器の中に刺入して、短い方をコネクター(4)に差し込むことにより、バッテリーと接続するものである。
2.図2は本実施例に、有用なイオン物質を含有した飲料が入った紙パック容器(10)をセットして、紙パック容器の外に生体側電極(1)を位置させ、飲料側電極(2)を紙パック容器の中に刺し入れて、ストロー(9)を刺入した状態を示す斜視図である。
3.図3は、セットした状態を示す背面の斜視図である。
紙パック容器(10)の中に刺入された飲料側電極(2)は、紙パック容器の外でコネクター(4)と接続し、コイルコード(5)、コネクターb(6)、等を介して、バッテリーボックス(7)内のバッテリーと接続するものである。
4.図4は、紙パック容器(10)をセットした容器スタンドを手に持って、ストロー(9)で吸飲しようとする様子を示す模式図である。生体側電極(1)が手(12)と接触することを示している。
吸飲時に、口(11)から手(12)に到る生体内を導電経路として、電気回路が成立するものである。
6.図5は、吸飲時に、本願発明の電気回路が成立することを説明する模式図である。
口と手の間は生体内が導電経路(18)となって、電気回路の一部を構成するものである。極性変換スイッチは、電源スイッチを兼ねた連動スイッチ(3)であり、本例では、飲料側を陰極に、生体側を陽極に設定する場合を示している。
以上のようにして成る請求項1の紙パック容器用イオン飲料飲用具。
【0007】
電極は白金の他に、金やチタン、高耐蝕性ステンレスの他、ステンレスに白金や金メッキを施したもの等でも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本願発明の概観を示す、正面から見た斜視図である。
【図2】 本願発明に紙パック容器とストローをセットした状態を示す斜視図である。
【図3】 上記状態を背面から見た斜視図である。
【図4】 吸飲時の状態を示す模式図である。
【図5】 本願発明の電気回路の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0009】
1.生体側電極
2・飲料側電極
3.極性変換機能付き電源スイッチ
4.コネクターa
5.コイルコード
6.コネクターb
7.バッテリーボックス
8.丸頭ボルト
9.ストロー
10.紙パック容器
11.口
12.手
13.イオン物質含有飲料
14.コネクターc
15.バッテリー
16.導線
17.ナット
18.生体内導電経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの白金電極、あるいは二つのイオン化傾向が小さく耐酸性の高い白金代替電極の内、一方を生体と接する生体側電極とし、他の一方を飲料と接する飲料側電極として、飲料の吸飲時に、飲料中に含まれるイオン物質を口腔咽頭内組織表面に電気的に誘導するイオン飲料飲用具において、
二つの電極とスイッチ、バッテリー等を主要構成要素とし、紙パック容器の外に位置させる電極を生体側電極とし、紙パック容器の中に刺入する電極を飲料側電極として、それぞれの電極をバッテリーと接続することを特徴とする、紙パック容器用イオン飲料飲用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−101777(P2011−101777A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273922(P2009−273922)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000194413)
【Fターム(参考)】