説明

紙パック開封口開閉具

【課題】触れることなく紙パック開封口の開口・閉鎖作業を行うことができる紙パック開封口開閉具を提供する。
【解決手段】紙パック31の開封口開口手段は、ホルダー1の前方に紙パックの開封口左右端部33の保持部材12を配設し、ホルダー1の後部に保持部材12を前後動させる第1操作部10を取り付け、保持部材12と第1操作部10の間に第1操作部10の作動を前記保持部材12に伝導して保持部材12を前後動させる第1伝導部11を介在させて構成する。紙パック31の開封口閉鎖手段は、ホルダー1の前方に、紙パック開封口32前方から開封口32を押し込む開封口押し込み部材22を配設し、ホルダー1の後部に押し込み部材22を前後動させる第2操作部20を取り付け、押し込み部材22と第2操作部20との間に第2操作部20の作動を押し込み部材22に伝導して押し込み部材22を前後動させる第2伝導部21を介在させて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、牛乳パックなどの紙パックに装着され、紙パック開封口の開閉に用いられる紙パック開封口開閉具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭において牛乳パックなどの紙パックの開封口の開閉を行う際には、たとえば片手で紙パックを持ち、もう一方の手で紙パック開封口を開けることにより行っていた。また、紙パックをテーブルなどの上に置いて片手で紙パックを押さえ(または押さえることなしに)、もう一方の手で開封口の開閉を行っていた。
【0003】
しかし、このような方法では手に障害がある者が容易に紙パック開封口の開閉を行うことができない。また、テーブルなどの上に置いて開閉を行う場合には、片手で行うこともできるが、この場合には開閉の際に紙パックが安定せず中身をこぼすおそれがある。
また、喫茶店などでは迅速な開口・閉鎖作業が求められており、また、衛生上も人手で開口部を操作することは好ましくない。
【特許文献1】特開2002−211576
【0004】
上記特許文献の発明は、紙パックホルダーに上下方向に回動自在なクリップを取り付け、このクリップにより開封口を封止するようにしたものである。この発明によれば、閉鎖された開封口を封止して中身のこぼれや異物の混入を防止することはできるが、開封口の開口・閉鎖作業自体は開封口を直接操作して行わなければならないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、手で開封口に触れることなく紙パック開封口の開口・閉鎖作業を行うことができる紙パック開封口開閉具を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、紙パックに着脱自在に装着されるホルダーに紙パックの開封口開口手段と開封口閉鎖手段とを設けて構成する。前記紙パックの開封口開口手段は、前記ホルダーの前方に、紙パックの開封口左右端部を保持する保持部材を配設し、前記ホルダーの後部に前記保持部材を前後に移動させるための操作を行う第1操作部を取り付け、前記保持部材と第1操作部の間に前記第1操作部の作動を前記保持部材に伝導して前記保持部材を前後に移動させる第1伝導部を介在させて構成する。前記紙パックの開封口閉鎖手段は、前記ホルダーの前方に、開口している紙パック開封口前方から開封口を押し込む開封口押し込み部材を配設し、前記ホルダーの後部に前記押し込み部材を前後に移動させるための操作を行う第2操作部を取り付け、前記押し込み部材と第2操作部との間に前記第2操作部の作動を前記押し込み部材に伝導して前記押し込み部材を前後に移動させる第2伝導部を介在させて構成する。
【0007】
前記ホルダーは、その背部には持ち手を配設し、前記第1操作部及び第2操作部はレバーとして、これを前記持ち手の近くに設けることが好ましい。
【0008】
前記保持部材の具体的な構造としては、開封口左右端部を係止することができる係止部材、開封口左右端部を把持することができる把持部材、あるいは開封口左右端部に着脱自在に粘着できる粘着部材または着脱自在に吸着できる吸盤などが考えられる。
【0009】
前記第1伝導部は、第1操作部と保持部材とを連結し、第1操作部の動きを保持部材に伝導するものであればよい。例えばワイヤーや合成樹脂製の紐やテープなどが考えられる。また、保持部材の第1伝導部とは一体成型品とすることもできる。前記第1操作部を操作すると前記ワイヤーが後方に引っ張られたり、前方に押し出されたりすることが必要なので、第1伝導部はそれに耐える剛性のあるものとする。なお、第1伝導部にはギヤを組み込むこともできる。
【0010】
第1操作部は、前記保持部材を前後方向に移動させる操作が可能な構造であればよい。例えばレバー、回転ホイール、ボタンなどが考えられる。
第1操作部にレバーを用いた場合、レバーを操作することにより保持部材が後方へ移動し、レバーを原位置に復帰させることにより保持部材が前方へ移動するようにする。
第1操作部に回転ホイールを用いた場合、この回転ホイルとかみ合うラックギアを横向きに配設し、ラックギアの横方向に移動を保持部材に伝えるようにする。第1操作部にボタンを用いた場合、ボタンの移動量を15〜20ミリ程度とし、ボタンを押したときに前記保持部材が後方へ移動するように、ボタンの移動方向と保持部材の移動方向が逆向きとなるようにギアで移動方向を変換する。
【0011】
前記押し込み部材は、開口状態にある紙パックの開封口前面を後方へ押し込むものであり、その形状は棒状、球状などが考えられる。
前記第2伝導部は、第2操作部の作動を前記押し込み部材に伝導することができる構造であればよい。実施例に示すリンク構造の他、ギアを介して押し出し部材に伝える構造としてもよい。また、ワイヤーの端部を押し出し部材に接続し、他端を第2操作部に接続してワイヤガイド部に沿って前後方向に移動することができる構造としてもよい。
【0012】
第2操作部は、前記押し込み部材を前後方向に移動させることのできる構造であればよく、レバー、回転ホイール、ボタンなどを用いることができる。
第2操作部にレバーを用いた場合は、レバーを押し下げると前記第2伝導部が後方に移動し、開封口前方に設けられた押し込み部材が後方へ移動するようにする。第2操作部に回転ホイールを用いた場合は、ラックギアと組み合わせて回転移動を前後方向の移動に変換する。第2操作部にボタンを用いた場合は、ボタンの移動量を10ミリ程度とし、ボタンを押したときの移動により押し込み部材が後方へ移動するようにギアを用いて移動方向を変換する。
前記第1操作部と前記第2操作部は異種の構造としてもよいが、簡単に操作を行うようにするには、例えば両者ともレバー構造とするなど同種構造とするのが好ましい。また、開封口の閉口動作をスムーズに行うためには第2操作部を操作したときに第1操作部も連動して作動するようにするとよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明において、前記第1操作部を操作すると、前記第1操作部の作動が前記第1操作部と前記保持部材の間に介在する前記第1伝導部を通じて前記保持部材に伝導して前記保持部材が前後方向に移動する。前記保持部材は紙パック開封口の左右両端を保持しているため、前記第1操作部の操作により前記保持部材が後方に移動するときには開封口左右両端が後方に引っ張られ、開封口を左右に広げることができる。開封口左右両端が左右に180度以上広げられるところまで保持部材を後方に移動させた後、今度は前方に移動させていくと、開封口に設けられた折目に従って開封口を開口することができる。
【0014】
この発明において、前記第2操作部を操作すると、前記第2操作部の作動が前記第2操作部と前記開封口押し込み部材の間に介在する前記第2伝導部を通じて前記開封口押し込み部材に伝導して前記開封口押し込み部材が前後方向に移動する。開封口が開口している状態で前記第2操作部を操作して前記押し込み部材を後方に移動させると、前記開封口押し込み部材が開封口を押し込み、開封口に設けられた折り目に従って開封口を閉鎖することができる。
【0015】
請求項2の発明においては、前記ホルダーに持ち手を配設したので持ちやすくなり、前記持ち手の近くに前記第1操作部及び前記第2操作部を設けたので前記持ち手を持ちながら容易に上記開閉操作ができる。
なお、この発明において「前」とは紙パックの開封口側をいい、「後」とはその反対側をいう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、最良の形態としての実施例を示す。
【実施例】
【0017】
ホルダー部1は、一辺の長さを縦長長方形紙パック31の短辺の長さと略同じ長さとした枠体とし、前記ホルダー部1の後部(図中右側)両側には第1操作部取り付け部の取り付け片2がそれぞれ突設してあり、ホルダー部1の一側には第2操作部の取り付け片3が突設してあり、中央部には持ち手4が設けてある。前記第1操作部取り付け片2及び第2操作部取り付け片3に第1操作部10及び第2操作部20が回動自在に取り付けられている。
【0018】
開封口開口手段は、第1操作部10、第1伝導部11、開封口左右端部保持部材12で構成されている。
前記第1操作部10は、前記2つの取り付け片2にそれぞれアーム13を回転自在に取り付け、両アーム13間に軸14を掛け渡して構成してある。前記アーム13の上部は屈曲して指掛け部としてある。
なお、取り付け片2は1つとし、軸14は片持ち状に支持する構造とすることもできる。
前記軸14には伝導杆15の基端が回転自在に取り付けてあり、その先端部両側にそれぞれワイヤ16の基端部が取り付けてある。前記伝導杆15とワイヤ16とで第1伝導部11を構成している。
前記ワイヤ16の先端には保持部材12となる係止部材が取り付けてある。この保持部材12は側面に開封口の側縁に係止する係止溝17が設けてある。
【0019】
上記において、ホルダー部1を紙パック31に装着し、保持部材12の係止溝17を開封口32の両側縁33に係止させる。
この状態でアーム13を下方へ動かすと伝導杆15とワイヤ16は軸14に引かれて後方へ移動する。その結果、保持部材12も後方へ移動し、開封口32の両側縁33は後方へ移動する。開封口32の両側縁が後方へ移動すると、開封口32は左右方向に広がる。開封口の広がりが180度以上になると、折り目に沿って前方に向かって山型になる。次いでアーム13を原位置に戻すと、伝導杆15、ワイヤ16保持部材12は前方へ移動し、開封口32の両側縁33も前方へ移動する。開封口32の両側縁33が前方に移動すると開封口32は開口する。
【0020】
開封口閉鎖手段は第2操作部20、第2伝導部21、開封口押し込み部材22とからなるものである。
前記ホルダー1の後部一側に設けられた取付片3に後部アーム24が回動自在に取り付けてあり、前記ホルダー1の前部一側に設けられた取付片25に前部アーム26が回動自在に取り付けてあり、前記後部アーム24の先端と前部アーム26の先端との間に作動杆27を掛け渡してリンク構造の第2伝導部21を構成している。
前記ホルダー1の前部には取付片25に対向して他の取付片28が設けてあり、前記取付片25、28間に掛け渡した回転軸29の中央部に押し込み部材22となる棒状体が取り付けてある。また、前記後部アーム24の上部は屈曲してレバー23としてあり、レバー23と前記後部アーム24とで第2操作部20を構成している。
【0021】
前記レバー23を引き下げると第2操作部の作動が前記作動杆27を介して回転軸29に伝えられ、回転軸29は回転運動をする。これに伴い、回転軸中央部にに設けられた押し込み部材22が紙パック方向へ回動し、その端部で開口している開封口を押し込むことができる。
【0022】
持ち手4は、ホルダー背部に略L字状の部材が下向きに配設されている。第1操作部及び第2操作部の操作は親指でするのがし易いことから、持ち手4の上方に配設するのが好ましい。
【0023】
図6,図7は、第2伝導部21の構造をギア構造とした実施例である。この実施例では第2操作部のレバー23を操作すると、第2操作部の後部アーム24に後部アームと共に回動するように連結した第1ギア41が図中上方向に回動し、第2ギア42を介して回転軸43に固定された第3ギア44に回転運動を伝え、第3ギア44が回転する。第3ギア44が回転すると第3ギア44に固定された回転軸43もこれに伴って回転する。回転軸43には押し込み部材22が設けられており、回転軸が紙パック側に向かって回転するときには、押し込み部材22が開口している開封口32を押し込んで、これを閉鎖することができる。
上記以外の構成は図1ないし図5の実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明の紙パック開封口開閉具は、容易に商品化可能であり、産業上利用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施形態の斜視図
【図2】同じく使用状態を示した図
【図3】同じく開封動作を示した図
【図4】同じく開封状態を示した図
【図5】同じく閉鎖動作を示した図
【図6】この発明の別の実施形態の斜視図
【図7】同じく使用状態を示した図
【符号の説明】
【0026】
1 ホルダー部
2 第1操作部取付片
3 第2操作部取付片
4 持ち手
10 第1操作部
11 第1伝導部
12 保持部材
13 アーム
14 軸
15 伝導杆
16 ワイヤ
17 係止溝
20 第2操作部
21 第2伝導部
22 押し込み部材
23 レバー
24 後部アーム
25 前部取付片
26 前部アーム
27 作動杆
28 前部取付片
29 回転軸
31 紙パック
32 開封口
33 開封口の両側縁
41 第1ギア
42 第2ギア
43 回転軸
44 第3ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙パックに着脱自在に装着されるホルダーに紙パックの開封口開口手段と開封口閉鎖手段とを設けてなり、
前記紙パックの開封口開口手段は、前記ホルダーの前方に、紙パックの開封口左右端部を保持する保持部材を配設し、前記ホルダーの後部に前記保持部材を前後に移動させるための操作を行う第1操作部を取り付け、前記保持部材と第1操作部の間に前記第1操作部の作動を前記保持部材に伝導して前記保持部材を前後に移動させる第1伝導部を介在させて構成し、
前記紙パックの開封口閉鎖手段は、前記ホルダーの前方に、開口している紙パック開封口前方から開封口を押し込み部材を配設し、前記ホルダーの後部に前記押し込み部材を前後に移動させるための操作を行う第2操作部を取り付け、前記押し込み部材と第2操作部との間に前記第2操作部の作動を前記押し込み部材に伝導して前記押し込み部材を前後に移動させる第2伝導部を介在させて構成した紙パック開封口開閉具
【請求項2】
前記紙パックに着脱自在に装着されるホルダーの背部には持ち手が配設され、前記第1操作部及び第2操作部は前記持ち手の近くに設けられたレバーとして請求項1記載の紙パック開封口開閉具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−16054(P2006−16054A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197044(P2004−197044)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(504257058)
【Fターム(参考)】