説明

紙又は板紙ウェブのカレンダ用方法及び装置

紙又は板紙ウェブのカレンダ用方法であって、前記ウェブ(W)は、カレンダ処理ステップ(1)に先ず導かれ、次いで、巻取りステップ(2)へと導かれる。少なくとも前記ウェブ(W)の縁部領域(12)が巻取りステップ(2)で別にカレンダ処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添付の請求項1のプリアンブル部による紙又は板紙ウェブのカレンダ用方法に関する。また、本発明は、添付の請求項6のプリアンブル部による紙又は板紙ウェブのカレンダ用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙に関連して、紙ウェブの乾燥後、ウェブは、通常的な仕上げステップとしてカレンダ処理を受ける。多くのカレンダ方法があるが、その中で一般的には、ウェブは、2つの表面、典型的には、回転ロール表面間に形成される1以上のニップに通される。カレンダ処理の目的は、紙の密度に影響を及ぼすことにより特定の標準的な最終の厚みまでプレスして、紙の品質を改善し、その表面を平滑化して、所望の紙のグロス(光沢)及び/又は平滑度を達成することである。即ち、カレンダ処理は、紙の可視的及び構造的な特性に影響を及ぼす。
【0003】
カレンダリングロールは、硬質表面の熱ロール、軟質表面の可変クラウンロール、軟質ポリマーロール、又は、軟質ロングニップロールである。典型的には、カレンダ処理用ニップにおける一方のロールは、硬質表面の熱ロールであり、他方のロールは、上述の軟質ロールの何れか1つである。マルチニップカレンダにおいては、ニップを形成するロールは、2つの軟質表面のロールであってよい。
【0004】
可変クラウンロール及びポリマーロールは、乏しい熱安定性のエポキシにより通常的に生成される軟質ポリマーコーティングにより被覆される。その結果、一方のロールが加熱される熱ロールであり、他方のロールが軟質コーティングにより被覆されたロールであるニップにおいては、被覆されたロールのコーティングが熱ロールに触れてコーティングの損傷を招かないように注意しなければならない。損傷したロールは、新しいロールに交換されなければならず、カレンダの処理の中断を引き起こし、装置のコストを増加させる。
【0005】
現在、被覆ロールのコーティングは、例えば紙ウェブの幅を被覆ロールの幅に応じて正確に設定すると共に、紙ウェブの外側で熱ロールにコーティングが触れてしまわぬように軟質コーティングの縁部領域を面取りすることによって、熱ロールとの接触から保護されている。また、過大な幅でウェブをカレンダ処理することも知られており、この場合、ウェブの幅は被覆ロールの軸方向の長さを超え、ウェブの外縁部は、ニップの外側に留まり、従って、全くカレンダ処理されない。縁部の切断は、カレンダ装置において、空間を無駄に使う縁部カッターがウェブの幅方向の両側に配置されることを必要とする。更に、ウェブの両側の縁部から切り離されるストリップ(片)は、パルパーに運ばれるが、抄紙機からの廃物の量を増加させる。カレンダ処理後のウェブの縁部領域の切断は、GB2218434号に開示されている。
【0006】
縁部のカレンダ処理は、実際のカレンダ処理の前後の何れかで実行される。US6189442号では、ウェブ幅の残りのカレンダ処理の前に、紙ウェブの縁部領域が、ウェブの全幅に亘る長さで延在する別のカウンターロールと、実際の軟質表面カレンダリングロールの長さを超えるウェブの縁部の幅に対応する顕著に短い縁部カレンダリングロールと、を備えるニップにおいて、ウェブの各縁部でカレンダ処理される。この構成の問題点の1つは、縁部カレンダ処理に必要なロール配置がカレンダ装置の空間を消費することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述の問題を回避でき、縁部カレンダ処理のために実装される、別個の、空間を消費するカウンターロールを用いることなく、ウェブの縁部領域を容易にカレンダ処理できる紙又は板紙ウェブのカレンダ処理用方法を提供することである。また、本発明の目的は、上述の方法を実現する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明による方法は、主に、独立形式のメインクレーム1の特徴部に表される事項に特徴を有する。
【0009】
本発明による装置は、独立形式のクレーム6の特徴部に表される事項に特徴を有する。
【0010】
他の従属形式の請求項は、本発明の幾つかの好ましい実施例を表す。
【0011】
本発明は、紙又は板紙ウェブの外縁部、即ち縁部領域が、カレンダステップに続く巻取りステップにおいてカレンダ処理されるという思想に基づく。少なくとも1つのカレンダ用ニップが設けられ、好ましくは、ウェブの各縁部に対して1つずつ、2つのカレンダ用ニップが設けられる。カレンダ用ニップは、ウェブの幅よりも短い2つのカレンダロールとリールアップにおける巻取りシリンダとに形成される。ウェブは、ウェブの未カレンダウェブ領域がカレンダ処理用ニップを通過するように、巻取りシリンダへと導かれる。このようにして、ウェブの縁部領域は、抄紙機に既に存在する巻取りシリンダを利用することにより、容易にカレンダ処理されることができ、別個の、空間を消費するカウンターロールが縁部のカレンダ処理のために必要とならない。
【0012】
本発明の一実施例によれば、カレンダリングロールは、円錐形であり、この場合、カレンダ処理用ニップを形成するカレンダリングロールと巻取りシリンダが同一の表面速度を有することが保証される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本発明のより詳細な説明を行う。
【0014】
本出願において、ロール長さは、該当するロールのシェルの、軸方向の長さを指す。ウェブ幅は、抄紙機又は板紙抄紙機のクロス方向の幅を指す。更に、本出願において、紙又は板紙ウェブという用語は、紙、板紙及びティッシュ紙のウェブを指す。
【0015】
図1は、紙又は板紙ウェブWをカレンダ処理するための装置を側面視で概略的に示す。ウェブWは、製紙から直接的(いわゆるオンラインのカレンダ処理)又は巻き出し機から(いわゆるオフラインのカレンダ処理)矢印Aの方向にカレンダステップ1に導入される。カレンダステップ1は、軟質の被覆されたロール3と加熱される硬質表面のロール4とにより形成される、処理されるべきウェブが通過するよう導入されるニップN1を含む。処理されるべきウェブ及びその用途に依存して、カレンダステップは、異なるロールからなってよい幾つかのカレンダ処理用ニップを含んでよい。必要であるのは、少なくとも1つのカレンダ処理用ニップが、加熱される熱ロールと軟質表面のポリマーロールにより形成されることである。紙又は板紙ウェブのカレンダ処理、及び、それに伴うロールは、それ自体知られているので、ここでは詳細に説明しない。
【0016】
カレンダステップ1においては、ウェブは、過剰幅の形態でカレンダ処理される。即ち、幅方向で、ウェブは、その縁部で軟質表面のポリマーロールのシェルの軸方向の長さを超えて延在するが、ウェブの幅は、加熱される熱ロールのシェルの軸方向の長さを超えない。従って、ポリマーロールの長さを超えて延在するウェブの双方の縁部は、カレンダ処理されないままである。必要な場合は、薄いストリップは、ウェブの外縁から切り離され、ウェブの縁部から高さ方向で離間する。縁部の切断は、実際のカレンダしょりの前後の何れかに実行されることができる。必要なことは、ウェブの外縁の部分が切り離された場合でも、縁部領域は、巻取りが意図されているが、ニップの幅の外側に留まるために実際のカレンダリングロール間のニップでカレンダ処理されていないことである。
【0017】
カレンダステップの後、ウェブは、ウェブ案内ロール5と拡幅ロール(塗布ローラー)6により巻取りステップ2へと導かれ、そこで、カレンダ処理されたウェブWが、巻取りリール7を形成するために巻き取られる。ウェブは、ロール上にウェブを案内する手段により巻き取られ、当該手段としては、中心装置を備え、形成されている巻取りリール7を形成する巻取りシリンダ8のようなものである。紙又は板紙ウェブの巻き取り、及び、それに伴う他の装置は、それ自体知られているので、ここでは詳細に説明しない。短いカレンダリングロール9は、巻取りシリンダ8に対して押圧され、カレンダニップN2を形成し、カレンダステップ1でカレンダ処理されずに残っているウェブの縁部領域を別にカレンダ処理する。カレンダリングロールは、自由に回転し、例えば空気式又は液圧式アクチュエータであってよいアクチュエータ10により巻取りシリンダに対して押し当てられる。
【0018】
図2は、本発明による紙又は板紙ウェブをカレンダ処理するための装置を側方からの上面視で概略的に示す。巻取りシリンダ8及びカレンダロール9により、2つのカレンダ処理用ニップN2が形成され、その間を通ってウェブWの縁部領域12が走行する。ウェブWに関して、カレンダリングロール9は、一方の端部が、ウェブWの縁部11まで少なくとも延在し、且つ、他方の端部が、ウェブWの縁部と中心線との間で、カレンダ処理されずに残る縁部領域の幅に少なくとも対応するウェブの外縁からの距離にあるように、配置される。ロール9の軸方向におけるカレンダリングロールのシェルの長さは、カレンダステップ1で用いられる軟質ロール3のシェルの軸方向の長さと、カレンダ処理されるウェブの幅とに依存する。カレンダリングロール9の全長は、カレンダステップでカレンダ処理されずに残るウェブのこれらの縁部領域を処理するために、上述の各長さとの間の差に少なくとも等しくなければならない。従って、一のカレンダリングロール9は、軸方向で、一方の縁部11と、当該縁部における軟質ロール3のシェルの処理表面の影響領域(図2の破線にて指示)との距離と少なくとも同じほど長い。即ち、カレンダリングロール9の長さは、軸方向で、ウェブの縁部領域12の幅に少なくとも等しい。即ち、カレンダリングロールは、カレンダ処理されていなウェブの縁部領域12の全体に亘って延在する。必要な場合、カレンダリングロールは、より長くても良く、双方の端部にて、ウェブWの縁部領域12を超えてもよい。カレンダリングロールは、好ましくは、横方向にウェブWの幅を横断する同一線B上に配置されて、巻き取りシリンダ8のシェルの表面がカレンダリングロールの前後でウェブを支持するようにする。カレンダリングロール9は、巻取りシリンダ8と略同一速度で回転し、それらは好ましくは略同時に動作する。即ち、ウェブの双方の縁部領域が同時にカレンダ処理される。カレンダリングロール9は、硬質表面の鋼製ロール又は軟質ポリマーロールの何れかであってよく、それらの直径は、必要に応じて適宜選択される。一般的に、それらの直径は、カレンダステップ1で用いられるロールの直径よりも有意に小さく、この場合、それらの巻取りシリンダに対する配置がより容易である。図2に示す実施例では、カレンダリングロールは、ロールの一端から他端までのシェルの直径が略同一の従来的な円筒形ロールである。
【0019】
また、ウェブの唯一の縁部領域が、カレンダ処理されない縁部領域となるように、ウェブWがカレンダステップ1にてカレンダ処理されてもよい。即ち、軟質表面のポリマーロール3は、ウェブの第1の外縁に対応して配置され、ウェブの幅の一部は、ポリマーロールのニップ幅の外側に留まり、この場合、ウェブの一方の縁部領域がカレンダ処理されないままとなる。この場合、本発明のその他の実施例により、巻取りステップ2において縁部カレンダ処理のために唯一のカレンダリングロール9が存在し、当該ロールは、ウェブの一方のカレンダ処理されない縁部領域にて、巻取りシリンダ8に接して配置され、カレンダ処理されない縁部領域12を処理する。
【0020】
図3は、本発明による装置に好適なその他のカレンダリングロール9を示す。ロールは、円錐形を有し、ウェブに押し当てられ、大きい側の径を持つロールの端部がウェブの縁部を超えて延在し、従って、巻取りシリンダ8の表面に対して寄りかかる。このようにして、カレンダリングロール9及び巻取りシリンダ8の表面速度が同一となることが保証される。小さい側の径を持つロールの端部は、カレンダ処理されるウェブの縁部領域12の幅を超えて延在する。ロールは、小さい側の径のロール端部にて結合されるアクチュエータによりウェブに対して押圧される。
【0021】
本発明は、例示された上述の実施例に限定されるものではないが、本発明は、添付の請求項に定義される発明的な概念の範囲内で広く適用されることが意図される。例えば、カレンダリングロール9は、ウェブの長手方向で互いに対して異なる位置に配置されても良く、この場合、それらは、横方向にウェブWの幅を横断する同一線B上に配置されない。同様に、リールアップにおいて短いカレンダロールが接するように配置される手段は、例えば、ワイヤやベルトループのような、リール上にその表面上のウェブを案内し、ロールと巻取りニップを形成するその他の手段であってよい。この場合、カレンダリングロール9は、ベルト又はワイヤループを案内するロールに接して配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による紙又は板紙ウェブをカレンダ処理するための装置を側面視で概略的に示す図である。
【図2】本発明による紙又は板紙ウェブをカレンダ処理するための装置を側方からの上面視で示す図である。
【図3】本発明による装置に適したカレンダリングロールを側方からの上面視で示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又は板紙ウェブのカレンダ用方法であって、
前記ウェブは、カレンダ処理ステップに先ず導かれ、次いで、巻取りステップへと導かれ、
前記ウェブの縁部領域が前記ウェブの残りの部分とは別にカレンダ処理される、方法において、
前記ウェブの少なくとも一方の縁部領域が前記巻取りステップ
においてカレンダ処理されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ウェブの縁部領域のカレンダ処理は、巻取りシリンダ及びカレンダリングロールのような、ロール上に前記ウェブを案内する手段により形成される少なくとも1つのカレンダ処理用ニップで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウェブのそれぞれの縁部領域用に1つずつ、計2つのカレンダ処理用ニップが設けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カレンダ処理用ニップは、横方向に前記ウェブの幅を横断する略同一の直線上に配置され、前記ウェブの双方の縁部領域のカレンダ処理は、前記ウェブの双方の縁部にて略同時に行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
軸方向の前記カレンダリングロールの長さは、前記ウェブの該縁部領域の幅に少なくとも等しい、請求項1〜4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
紙又は板紙ウェブのカレンダ用装置であって、
前記ウェブは、カレンダ処理ステップに先ず導かれ、次いで、巻取りステップへと導かれ、
前記ウェブの縁部領域を前記ウェブの残りの部分とは別にカレンダ処理する手段を備える装置において、
前記ウェブの少なくとも一方の縁部領域をカレンダ処理する前記手段が、前記巻取りステップに関連して設けられることを特徴とする、装置。
【請求項7】
前記ウェブの縁部領域をカレンダ処理する前記手段は、少なくとも1つのカレンダ処理用ニップを形成する、巻取りシリンダ及び少なくとも1つのカレンダリングロールのような、ロール上に前記ウェブを案内する手段を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ウェブのそれぞれの縁部領域用に1つずつ、計2つのカレンダ処理用ニップを含む、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記カレンダ処理用ニップは、横方向に前記ウェブの幅を横断する略同一の直線上に配置され、前記ウェブの双方の縁部領域が略同時にカレンダ処理される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
軸方向の前記カレンダリングロールの長さは、前記ウェブの該縁部領域の幅に該縁部にて少なくとも等しい、請求項6〜8の何れかに記載の装置。
【請求項11】
前記カレンダリングロールのシェルは、略円筒形である、請求項6〜9の何れかに記載の装置。
【請求項12】
前記カレンダリングロールのシェルは、略円錐形である、請求項6〜9の何れかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−527797(P2006−527797A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516249(P2006−516249)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/FI2004/050097
【国際公開番号】WO2004/111335
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(501249157)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】