説明

紙器開封用ジッパー

【課題】紙箱等の開封手段として使用されるジッパーで左右など両方向のいずれからでも容易に引き裂くことができ、製造時の刃の取り付けおよび加工等が簡単であり、開封後の切れ目部分の端部形状が滑らかで使いやすい紙器開封用両開きジッパーを提供することが本発明の課題である。
【解決手段】開封方向に沿って平行に同一位相で配置された二列の切れ目線からなるジッパーであって、前記切れ目線からなるそれぞれの列が開封方向に関して前後対称な形状であるかまたは前後対称の配置単位の繰り返しで刻設された断続する多数の切れ目線を備えていることを特徴とする紙器開封用ジッパー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品包装用紙器の構造外面などに設ける紙器開封用のジッパーに関するものである。詳しくは開封する方向が規制されることなく、左右など両方向のいずれからでも容易に開封することが可能な紙器開封用のジッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙箱等の物品包装用紙器の開封手段として、ジッパーと呼ばれる引裂帯が設けられることがある。このジッパーは、紙箱等の外面に、たとえばトムソン刃により刻設された切れ目の列が一本あるいは二本並行して設けられ、各切れ目の列は、外辺部の一端に内向部を連設した切れ目が断続するものとなっている。
このジッパーでは、一方から引き裂くと、手前の切れ目の外辺部の先端から内側へ逸れようとする裂け目が次の切れ目の内向部に達し、切れ目列間が千切れることなく紙材を切断して開封することができる。
しかしながら、上記のようなジッパーは、逆方向から引き裂こうとすると、切れ目列間が千切れて、紙材をまっすぐに切断して開封することができなくなることがある。
【0003】
上記のような従来のジッパーは、その開封開始つまみのような一端部を摘んで引き上げることにより、紙器の構造外面を破断して開封するものであって、その開封操作において一方向に開封し易い方向性を有しており、これらジッパーの開封開始側の端部の近傍の容器表面には、矢印を印刷表示したり、「OPEN」の文字を印刷表示して、その開封方向を指示している場合が多い。
【0004】
しかしながら、このように容器に開封方向の指示がされていても、不注意で反対方向より開封してしまったり、あるいは幼児や目の不自由な人などは、開封方向の表示の認識が困難な場合があり、このような場合には容器を簡単には開封し難いことがある。
また、開封方向が一方に定まっていることは開封者の右利き左利きの別によって開封し易さが異なってくることにもなり開封作業のしやすさの点からも制約となる。
そのために、紙箱等の開封手段として使用されるジッパーをどちらの端部からも他の端部の方向に向けて容易に引き裂くことができるようにするためのいろいろな提案がなされてきた。
【0005】
特許文献1から4には、複数本の切れ目列が並行したジッパーにおいて、いずれの方向から引き裂いても、手前の切れ目の先端から生じる裂け目が次の切れ目に達するようにして開封予定線である切れ目列から逸れることのないジッパーの構成と配置が開示されている。
【0006】
すなわち、特許文献1には2本の切れ目列を並行させ、各切れ目列は、長辺部の一端に短辺部を、他端に跳上部をジグザグに連設した切れ目が断続するものとし、隣り合う切れ目の短辺部の先端を跳上部の先端よりも内側に位置させた紙材の引裂帯(ジッパー)をはじめとする曲線または折れ線上の切れ目とその配置を工夫した提案の例がいくつか示されている。
【0007】
また、特許文献2には、開封方向に沿って規則的に同一位相で二列に断続する長い直線切込線と、各長い切込線の両端部に該切込線の開封方向に直角な平行に離間対向する短い直線切込線を備え、直線切込線の長さ、平行に離間対向する短い直線切込線の離間距離、長い直線切込線から両側に直角方向に張り出した短い直線切込線の張り出し長さの間に大小関係の特定の範囲が設定されていることを特徴とする紙器開封用ジッパーが提案されて
いる。
【0008】
さらに、特許文献3には、多数の切れ目が断続する2本の切れ目列を並行させた紙材の引裂帯(ジッパー)において、各切れ目列の切れ目は開封方向に平行な基本部の一端に外向部を連設すると共に、外向部の基端からやや離して内向部を設けたものとし、対向する切れ目列の切れ目を互いに反対方向(対称位置)に向けたジッパーが提案されている。
このようにすると、ジッパーを引っ張る角度や速さが異なる場合でも、対向する各切れ目列において、手前の切れ目から次の切れ目へ裂け目が繋がり、両方向から途切れることなく紙材を引き裂くことができるとされている。
【0009】
特許文献4には、通称「ジッパーカートン」と称される紙器の開封手段で用いられる、への字状または横Tの字状等の切れ目を断続的な破線状に並べたジッパーに対して、直線切れ目とU字状の切れ目をつなぎ部分を介して破線状に設けることにより、開封方向を限定されずに、左右両方向いずれからでも開封を可能にしたジッパーが提案されている。さらに このジッパーにおいては、両端の開封片にギザギザの形状を設けることにより、弱視者、視力障害者、高齢者、幼児等でも開封部分を認識できるようにした。
【0010】
以上の提案に示されたジッパーの切れ目の構成と配置によれば、いずれの方向から引き裂いても、手前の切れ目の先端から生じる裂け目が次の切れ目に達するようにすることによって、両方向からの開封が開封方向を意識することなく行えるようになったが、そのための切れ目の構成と配置が複雑になることによって紙容器の製造加工上および開封使用上の新たな問題が顕在化してきた。
【0011】
一つは切れ目を形成するトムソン刃に、より複雑な形状が要求されることであり、製造が煩雑になり高価になるだけでなく甚だしい場合には取り付け位置や取り付け方向の間違いを引き起こしかねない。
【0012】
もう一つは、開封後の切れ目部分の端部形状が鋭角的な不規則な形状となり、手で触った感じに滑らかさがなく引っ掛かりやすいことであり硬い材質の紙では怪我をする恐れも出てくるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3462192号公報
【特許文献2】特許第3893646号公報
【特許文献3】実案第3079649号公報
【特許文献4】特開2004−18083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
紙箱等の開封手段として使用されるジッパーで、左右など両方向のいずれからでも容易に引き裂くことができ、製造時の刃の取り付けおよび加工等が簡単であり、開封後の切れ目部分の端部形状が滑らかで使いやすい紙器開封用ジッパーを提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための本発明の請求項1に係る発明は、開封方向に沿って平行に同一位相で配置された二列の切れ目線からなるジッパーであって、前記切れ目線からなるそれぞれの列が開封方向に関して前後対称な形状であるかまたは前後対称の配置単位の繰り返しで刻設された断続する多数の切れ目線を備えていることを特徴とする紙器開封用ジ
ッパーである。
【0016】
本発明の請求項2に係る発明は、二列の切れ目線の開封方向両端に開封開始つまみを設けてあることを特徴とする請求項1に記載の紙器開封用ジッパーである。
【0017】
本発明の請求項3に係る発明は、切れ目線が曲線であり断続する隣り合う切込線が開封方向に関して互いに反転して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙器開封用ジッパーである。
【0018】
本発明の請求項4に係る発明は、切れ目線が曲線であり断続する隣り合う切込線の間の隙間の位置が開封方向の直角方向に関して該曲線の頂点から外れたところに形成されていることを特徴とする請求項3に記載の紙器開封用ジッパーである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1に係る発明によれば、開封方向に沿って平行に同一位相で配置された二列の切れ目線からなるジッパーであって、前記切れ目線からなるそれぞれの列が開封方向に関して前後対称な形状であるかまたは前後対称の配置単位の繰り返しで刻設された断続する多数の切れ目線を備えている紙器開封用ジッパーであるから、開封方向に沿って一列に配置された個々の切れ目線は開封方向に関して同じ位置に配置された他の一列に配置された同じ形状の切れ目線と同じ位置にあり、かつ開封方向のそれぞれの位置が対応する二列の切れ目線は開封方向に関する繰り返し配置において順番(位相)と形状が同じになっていることによって、開封方向の前後に関して対称であり各列の切れ目線が平行かつ同位相で配列しているジッパーとなっている。
これによって、本発明の紙器開封用ジッパーは、開封方向の両端のどちらから開封する操作に対しても左右など両方向のいずれからでも容易に引き裂くことができ、どちらの端部から開封を開始しても同等の開裂条件となり、開封の容易に出来るジッパーとすることが出来る。
また、二列の切れ目線の形状と配置は同一であるから製造時に切れ目線を刻設するためのトムソン刃の取り付けが簡単であり二列の切れ目線の刻設配置方向を間違えることもない。
これにより、ジッパーの開封方向両端のいずれの方向からも引き裂くことができ、製造時の刃の取り付けが簡単な紙器開封用ジッパーを提供することが出来る。
【0020】
本発明の請求項2に係る発明によれば、二列の切れ目線の開封方向両端に開封開始つまみを設けてあることによって、どちらの方向から引裂く場合も同様に容易に開封操作を始めることが出来る紙器開封用ジッパーとなる。
【0021】
本発明の請求項3に係る発明によれば、切れ目線が曲線であり断続する隣り合う切込線が開封方向に関して互いに反転して設けられていることによって、引裂き後の端部がなめらかなウェーブ状となり、開封後の切れ目部分の端部形状が滑らかで使いやすい紙器開封用ジッパーとなる。
【0022】
本発明の請求項4に係る発明によれば、切れ目線が曲線であり断続する隣り合う切込線の間の隙間の位置が開封方向の直角方向に関して該曲線の頂点から外れたところに形成されていることによって、引裂き後の開封部分の端部の先端が滑らかになり、開封後の切れ目部分の端部形状がより滑らかで使いやすい紙器開封用ジッパーとなる。
【0023】
このように、本発明の紙器開封用ジッパーによれば、紙箱等の開封手段として使用されるジッパーで開封方向の両端部いずれからも引き裂くことができ、製造時の刃の取り付けが簡単であり、開封後の切れ目部分の端部形状が滑らかで使いやすい紙器開封用ジッパー
を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の紙器開封用ジッパーAを天面に設けた紙容器の一例(ブランクス平面図)
【図2】本発明の紙器開封用ジッパーAを天面に設けた紙容器の一例(概略図)
【図3】本発明の紙器開封用ジッパーBを側面に設けた紙容器の一例(ブランクス平面図)
【図4】本発明の紙器開封用ジッパーBを側面に設けた紙容器の一例(概略図)
【図5】本発明の紙器開封用ジッパーAの形状説明図
【図6】本発明の紙器開封用ジッパーBの形状説明図
【図7】本発明の紙器開封用ジッパーCの形状説明図
【図8】本発明の紙器開封用ジッパーDの形状説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の紙器開封用ジッパーとその使用方法の一実施形態について、必要に応じて図面を参照して説明する。
図1は本発明の紙器開封用ジッパーを設けた紙容器の一例のブランクスを示した平面略図である。図2は図1のブランクスを組み立てた紙容器の概略図である。
【0026】
従来、罫線により折曲げ形成する紙箱等の紙容器には、容器内部に保存される内容物の性質や保存状況に応じて、紙あるいは紙を基材とした積層体が使用されている。
そして、この紙あるいは紙を基材とした積層体を容器の形状に合わせて所定の形状に打ち抜き、同時に折曲げ用の罫線を入れたブランクスとして成形する。そのブランクスを罫線に沿って折曲げ、組み立てて必要な部分を接着することによって紙容器が製造されている。
【0027】
図2に示した紙容器は図1に示したブランクスから通常の方法で容易に製造することが出来る。
たとえば、一般的な紙箱ブランクスを折り曲げて箱を形成する場合には、まず、ブランクス(1)を給紙部から折りぐせ部に供給して折ぐせを付けた後、底折り部に供給して底板(3)を内側に折込んで側板に重ねると共に、耳部を外側に折込む。
次に、糊付け部において、耳部の裏面側と接着フラップ(6)の表面側に接着材層をそれぞれ形成した後、残りの底板を内側に折り曲げて側板に重ねる。
次に、本折り部において、側板を折込んで一方の底板を他方の底板に折り重ねることにより、一方の底板の耳部の接着材層が他方の底板に接着すると共に、接着フラップの接着材層が側板に接着し、折り畳まれた状態の紙箱を完成する。
【0028】
この状態での紙箱は接着部分の乾燥が完了していないので、圧着搬送部の上下一対の圧着ベルトにて紙箱を圧着しながら搬送して紙箱の接着を促進して成形を完了し、排出部によって次工程に排出される。この折り畳まれた状態の紙箱に充填装置によって内容物の充填と必要な部分の封止を行うことによって紙容器(11)が完成する。
【0029】
本発明の紙器開封用ジッパーは、紙容器(11)を構成する構造体の各構成板、例えば、天板、側板(前面板、背面板、左右側面板など)、あるいは底板などのいずれかに形成される。例えば、構成板のうち、側板には、その一部の側面板若しくは全部の側面板に全周に亘って連続して設けられる場合もある。
図1及び図2ではひとつの紙容器(11)の天板(2)に紙器開封用ジッパー(7)を設けた図を示してある。紙器開封用ジッパー(7)の切れ目と配置の例として、説明の簡略化のために、図5に詳細を示したAパターンの例を挙げてあるが、たとえば図6から図
8に示したようなジッパー形状でも構わない。
【0030】
本発明の紙容器開封用ジッパーは、開封方向に沿って平行に同一位相で配置された二列の切れ目線からなるジッパーであって、前記切れ目線からなるそれぞれの列が開封方向に関して前後対称な形状であるかまたは前後対称の配置単位の繰り返しで刻設された断続する多数の切れ目線を備えている紙器開封用ジッパーである。
【0031】
図1および図2に示すように本発明のジッパーは紙容器(11)の天板(2)に開封方向(図では左右方向)に沿って形成された多数の並行する二列の切れ目線からなり、並行する二列の切れ目線のうちの一列の切れ目線により形成される列とそれに並行に形成される列が開封方向に沿って同一位相で断続する多数の切れ目線からなる、すなわち、同一の形状の列が一定の距離で離れて同じ面上に形成されている。
【0032】
図3および図4には本発明のジッパーが紙容器(11)の側板(4)に開封方向(図では左右方向)に沿って形成された多数の並行する二列の切れ目線からなり、並行する二列の切れ目線のうちの一列の切れ目線により形成される列とそれに並行に形成される列が開封方向に沿って2個づつの同一位相で断続する多数の切れ目線からなる、すなわち、同一の形状の列が交互に一定の距離で離れて同じ面上に形成されている場合を示した。
【0033】
図5から図8までは本発明のジッパーの実施形態のいくつかの場合の形状を示す拡大図である。図5は図1と図2では紙容器(11)の天板(2)に形成されているジッパーA(7)の切れ目線の形状と配置を示している。同様に図6は紙容器(11)の側板(4)に形成されているジッパーB(8)の切れ目線の形状と配置を示している。
また図7と図8は他の形状のジッパーC(9)とジッパーD(10)の切れ目線の形状と配置を示している。
本発明のジッパーにおいて、ジッパーの形成されている場所とジッパーの切れ目線の形状と配置の組み合わせは説明のための一例であり、形成場所は天板に限られず側板や底板でも構わない。このことは以降の説明でも同様である。
【0034】
本発明のジッパーの実施形態の典型的な例として、図1、図2、図5に示したジッパーA(7)が紙容器(11)の天面に形成されている場合を説明する。
図5に示したようにジッパーAは白抜き矢印で示した開封方向に沿って形成された二列の切れ目線(A)の列とジッパーAの両端部の開封開始つまみ(a)(a’)を形成する2箇所の切れ目線によって構成されている。
【0035】
切れ目線(A)は直線状の長い切れ目(12)とその両端に連設された端部Y状切れ目(Y)とからなりそれぞれの切れ目線が一定周期の単純繰り返しで開封方向に沿って断続的に並んでいる。この切れ目線(A)の並んだ一列に対して、開封方向に垂直に一定の距離はなれた位置にもう一列の切れ目線(A)の並んだ列が形成されており、この二列の切れ目線(A)は両端で開封開始つまみ(a)(a’)を形成する2箇所の切れ目線と近接している。開封開始つまみ(a)(a’)の外端部は必要に応じて構成板である天板(2)の端縁よりわずかに突出するように形成されていてもよいし、開封開始つまみの外端部を開封操作前まで構成板(2)に対して繋ぐためのわずかな未切込み部(切れ目線空隙、図示せず)が形成されていてもよい。
【0036】
本発明の上記紙器開封用ジッパーAは、図5の左端の開封開始つまみ(a) 又は右端の開封開始つまみ(a’) の両方のどちらからでも開封でき、開封開始つまみ(a)を指で摘んで立ち起こし、そのまま上方に引っ張ることにより、開封方向の切れ目線による開封方向に向かう直線的な分断力が作用して、まず最初の繋ぎ部を破断し、続いて、次の開封方向の切れ目線による開封方向に向かう直線的な分断力によって、次の繋ぎ部を破断
し、ジッパーAは帯状となって順次繋ぎ部を破断して、紙容器(11)を開封する。
【0037】
このとき、切れ目線(A)が直線状の長い切れ目(12)の両端にY状切れ目(Y)を設けた切れ目線であることによって繋ぎ部の破断の方向が次の切れ目線の中心から多少それても開封方向に断続した切れ目線(A)の並んでいる列上をそれないで破断していくことが出来る。
【0038】
さらに本発明の紙器開封用ジッパーは、開封方向に沿って平行に同一位相で配置された二列の切れ目線からなるジッパーであって、それぞれの列が開封方向に関して前後対称な形状であるかまたは前後対称の配置単位の繰り返しで刻設された断続する多数の切れ目線を備えている紙器開封用ジッパーであるから、開封方向の両端(前後)のどちらかから開封する操作に対してどちらの端部から開始しても同等の開裂条件となり任意の端部からの開封が容易に出来るジッパーとすることが出来る。
また、二列の切れ目線の形状と配置は同一であるから製造時に切れ目線を刻設するためのトムソン刃の取り付けが簡単であり二列の切れ目線の刻設配置方向を間違えることもない。
【0039】
本発明のジッパーの実施形態の典型的な他の例として、図3、図4、図6に示したジッパーB(8)が紙容器(11)の側面に形成されている場合を説明する。
図6に示したようにジッパーBは白抜き矢印で示した開封方向に沿って形成された二列の切れ目線(B)の列とジッパーBの両端部の開封開始つまみ(b)(b’)を形成する2箇所の切れ目線によって構成されている。
【0040】
切れ目線(B)は曲線状の長い切れ目(12)とその両端に連設された端部Y状切れ目(Y)とからなり、図6のように隣接する上下対称な曲線の形状の切れ目線が交互に開封方向に断続的に並んでいる。この切れ目線(B)の並んだ一列に対して開封方向に垂直な一定の距離はなれた位置にもう一列の切れ目線(B)の並んだ列が形成されており、この二列の切れ目線(B)は両端で開封開始つまみ(b)(b’)を形成する2箇所の切れ目線と近接している。開封開始つまみ(b)(b’)の外端部は必要に応じて構成板である側板(4)の端縁よりわずかに突出するように形成されていてもよいし、開封開始つまみの外端部を開封操作前まで構成板(4)に対して繋ぐためのわずかな未切込み部が形成されていてもよい。
【0041】
本発明の上記紙器開封用ジッパーBは、図6の左端の開封開始つまみ(b) 又は右端の開封開始つまみ(b’) の両方のどちらからでも開封でき、開封開始つまみ(b)を指で摘んで立ち起こし、そのまま上方に引っ張ることにより、開封方向の切れ目線による開封方向に向かう直線的な分断力が作用して、まず最初の繋ぎ部を破断し、続いて、次の開封方向の切れ目線による開封方向に向かう直線的な分断力によって、次の繋ぎ部を破断し、ジッパーBは帯状となって順次繋ぎ部を破断して、紙容器(11)を開封する。
【0042】
このとき、切れ目線(B)が曲線状の長い切れ目(12)の両端にY状切れ目(Y)を設けた切れ目線であることによって繋ぎ部の破断の方向が次の切れ目線の中心から多少それても開封方向に断続した切れ目線(B)の列上をそれないで破断していくことが出来る。
【0043】
加えて、上記紙器開封用ジッパーB(8)は、切れ目線(B)を形成する長い切れ目(12)が曲線になっていることから、開封時に破断した端部をつなぐ輪郭線が全体としてやわらかい曲線となり、視覚的にもやさしく触覚的にも指に対する引っ掛かりの少ないやさしいカーブとなる。
【0044】
以上のように、上記紙器開封用ジッパーB(8)は、前記ジッパーA(7)と同様に、開封方向の両端(前後)のいずれかの端部から開封する操作に対して、どちらの端部から開始しても同等の開裂条件となり両開きの容易に出来るジッパーとすることが出来、また、製造時に切れ目線を刻設するためのトムソン刃の取り付けが簡単であり二列の切れ目線の刻設配置方向を間違えることもない。
【0045】
図7には本発明の紙器開封用ジッパーの他の実施形態としてジッパーC(9)の場合の拡大平面図を示した。
ジッパーCは白抜き矢印で示した開封方向に沿って形成された二列の切れ目線(C)の列とジッパーCの両端部の開封開始つまみ(c)(c’)を形成する2箇所の切れ目線によって構成されている。
【0046】
切れ目線(C)は曲線状の切れ目からなり、開封方向に関して対称な曲線の形状の切れ目線が切れ目線空隙(13)を隔てて隣り合う周期で開封方向に断続的に並んでいる。この切れ目線(C)の並んだ一列に対して開封方向に関して一定の距離はなれた位置にもう一列の切れ目線(C)の並んだ列が形成されており、この二列の切れ目線(C)は両端で開封開始つまみ(c)(c’)を形成する2箇所の切れ目線と近接している。開封開始つまみ(c)(c’)の外端部は必要に応じて構成板である側板(4)の端縁よりわずかに突出するように形成されていてもよいし、開封開始つまみの外端部を開封操作前まで構成板(4)に対して繋ぐためのわずかな未切込み部が形成されていてもよい。
【0047】
本発明の上記紙器開封用ジッパーC(9)は、図7左端の開封開始つまみ(c) 又は右端の開封開始つまみ(c’) のいずれの端部からも開封でき、開封開始つまみ(c)を指で摘んで立ち起こし、そのまま上方に引っ張ることにより、開封方向の切れ目線による開封方向に向かう直線的な分断力が作用して、まず最初の繋ぎ部を破断し、続いて、次の開封方向の切れ目線による開封方向に向かう直線的な分断力によって、次の繋ぎ部を破断し、ジッパーCは帯状となって順次繋ぎ部を破断して、紙容器(11)を開封する。
【0048】
このとき、上記紙器開封用ジッパーC(9)は、切れ目線(C)が曲線になっていて、かつ、切れ目線の空隙にジグザグな破断線となるような凹凸もないことから開封時に破断した端部をつなぐ輪郭線が全体としてやわらかい曲線となり、視覚的にも触覚的にもやさしいカーブとなる。
【0049】
さらに上記紙器開封用ジッパーC(9)は、前記ジッパーA(7)、ジッパーB(8)と同様に、開封方向の両端(前後)のいずれから開封する操作に対しても、どちらの端部から開始しても同等の開裂条件となり両開きの容易に出来るジッパーとすることが出来、また、製造時に切れ目線を刻設するためのトムソン刃の取り付けが簡単であり二列の切れ目線の刻設配置方向を間違えることもない。
【0050】
図8には本発明の紙器開封用ジッパーの他の実施形態としてジッパーD(10)の場合の拡大平面図を示した。
ジッパーDは白抜き矢印で示した開封方向に沿って形成された二列の切れ目線(D)の列とジッパーDの両端部の開封開始つまみ(d)(d’)を形成する2箇所の切れ目線によって構成されている。
【0051】
切れ目線(D)は曲線状の切れ目からなり、図のように開封方向の直角方向に関して対称な曲線の形状の切れ目線が交互に開封方向に断続的に並んでいる。この切れ目線(D)の並んだ一列に対して垂直方向に一定の距離はなれた位置にもう一列の切れ目線(D)の並んだ列が形成されており、この二列の切れ目線(D)は両端で開封開始つまみ(d)(d’)を形成する2箇所の切れ目線と近接している。
開封開始つまみ(d)(d’)の外端部は必要に応じて構成板である側板(4)の端縁よりわずかに突出するように形成されていてもよいし、開封開始つまみの外端部を開封操作前まで構成板(4)に対して繋ぐためのわずかな未切込み部が形成されていてもよい。
【0052】
本発明の上記紙器開封用ジッパーD(10)は、図8の左端の開封開始つまみ(d) 又は右端の開封開始つまみ(d’) のどちらからでも開封でき、開封開始つまみ(d)を指で摘んで立ち起こし、そのまま上方に引っ張ることにより、開封方向の切れ目線による開封方向に向かう直線的な分断力が作用して、まず最初の繋ぎ部を破断し、続いて、次の開封方向の切れ目線による開封方向に向かう直線的な分断力によって、次の繋ぎ部を破断し、ジッパーDは帯状となって順次繋ぎ部を破断して、紙容器(11)を開封する。
【0053】
このとき、上記紙器開封用ジッパーD(10)は、切れ目線(D)が曲線になっていて、かつ、切れ目線の空隙にジグザグな破断線となるような凹凸もないことから開封時に破断した端部をつなぐ輪郭線が全体としてやわらかい曲線となり、視覚的にも触覚的にもやさしいカーブとなる。
加えて、ジッパーDは開封方向に断続的に形成されている切れ目線の空隙(13)の位置が、開封時に波状のスムースな端縁を形成する障害となる波形の頂点から外れていることから触れた感じがよりマイルドな端縁となる。
【0054】
さらに上記紙器開封用ジッパーD(10)は、前記ジッパーA(7)、ジッパーB(8)、ジッパーC(9)と同様に、開封方向の両端(前後)のいずれかから開封する操作に対してどちらの端部から開始しても同等の開裂条件となり両開きの容易に出来るジッパーとすることが出来、また、製造時に切れ目線を刻設するためのトムソン刃の取り付けが簡単であり二列の切れ目線の刻設配置方向を間違えることもない。
【0055】
このように、本発明の紙器開封用ジッパーによれば、紙箱等の開封手段として使用されるジッパーとして両端のどちらの方向からも引き裂くことができ、製造時の刃の取り付けが簡単であり、開封後の切れ目部分の端部形状が滑らかで使いやすい紙器開封用ジッパーとすることが出来る。
【0056】
以上説明した実施形態の例では、紙器開封用ジッパーの切れ目線の開封方向の配置周期は、同一の形状の切れ目線が隣り合う場合(開封方向の配置周期が1個の場合)と互いに対称な切れ目線が隣り合う場合(開封方向の配置周期が2個ごとの場合)を主に示した。本発明の紙器開封用ジッパーではこのような配置周期が2箇の場合に限られず並行する切れ目線の列の位相が合っている限りは配置周期は3個以上であっても構わない。
【符号の説明】
【0057】
1…紙容器ブランクス
2…天板
3…底板
4…側板
5…折り曲げ罫線
6…接着フラップ
7…ジッパーA
8…ジッパーB
9…ジッパーC
10…ジッパーD
11…紙容器
12…長い切れ目
13…切れ目線空隙
A…切れ目線A
B…切れ目線B
C…切れ目線C
D…切れ目線D
a…開封つまみ
a’…開封つまみ
b…開封つまみ
b’…開封つまみ
c…開封つまみ
c’…開封つまみ
d…開封つまみ
d’…開封つまみ
Y…端部のY状切れ目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開封方向に沿って平行に同一位相で配置された二列の切れ目線からなるジッパーであって、前記切れ目線からなるそれぞれの列が開封方向に関して前後対称な形状であるかまたは前後対称の配置単位の繰り返しで刻設された断続する多数の切れ目線を備えていることを特徴とする紙器開封用ジッパー。
【請求項2】
二列の切れ目線の開封方向両端に開封開始つまみを設けてあることを特徴とする請求項1に記載の紙器開封用ジッパー。
【請求項3】
上記切れ目線が曲線であり断続する隣り合う切込線が開封方向の直角方向に関して互いに反転して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙器開封用ジッパー。
【請求項4】
上記切れ目線が曲線であり断続する隣り合う切込線の間の隙間の位置が開封方向の直角方向に関して該曲線の頂点から外れたところに形成されていることを特徴とする請求項3に記載の紙器開封用ジッパー。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−62080(P2012−62080A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206465(P2010−206465)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】