紙容器
【課題】蓋と箱体のロック操作が容易で、しかも蓋と箱体のロック機構が確実強固な紙容器を提供する。
【解決手段】箱体の上面開口を覆う蓋を該箱体の背面板にヒンジ結合してなる紙容器であって、該蓋の正面板に基端部を介してつまみ片を突出させ、該つまみ片の基端部周辺に上向きに凸状の切り込み線による係合片を設けるとともに、該箱体の正面板に閉蓋状態で該係合片を挿入可能な係合挿入部を形成し、該係合挿入部の上縁部に該係合片と係合可能な切れ込み片を設けた紙容器である。
【解決手段】箱体の上面開口を覆う蓋を該箱体の背面板にヒンジ結合してなる紙容器であって、該蓋の正面板に基端部を介してつまみ片を突出させ、該つまみ片の基端部周辺に上向きに凸状の切り込み線による係合片を設けるとともに、該箱体の正面板に閉蓋状態で該係合片を挿入可能な係合挿入部を形成し、該係合挿入部の上縁部に該係合片と係合可能な切れ込み片を設けた紙容器である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙容器に関し、詳しくは、粉末洗剤等の粉体を収納するための紙容器であって、蓋と箱体のロック操作が容易で、かつロック機構が確実強固な紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用粉末洗剤等の紙容器として、箱体の上面開口を覆う蓋をその箱体の背面板にヒンジ結合し、開閉自在に形成してなる紙容器が汎用されている。
このような紙容器では、蓋が簡単に開いて内容物がこぼれ落ちたり、水分等が混入することがないように、蓋が箱体の開口を定位置で閉じた状態を維持するためのロック機構が設けられているのが一般的である。
ロック機構としては、蓋のつまみ片に係合片を切り込んで形成し、蓋を回動自在とし、その係合片と相対する箱体正面板に係合穴を形成し、蓋の係合片を箱体の係合穴にコハゼ掛けに挿入してロックするいわゆるコハゼロック機構が知られている。
【0003】
このコハゼロック機構については、例えば、特許文献1〜3が提案されている。しかしながら、それらのコハゼロック機構においては、箱体の正面板に形成された係合穴の上縁部の裏側に、蓋の係合片を差し込むように挿入する必要があるが、係合穴が箱体の正面板とほぼ同一平面上にあるため挿入しづらいという問題があった。また、特許文献1及び2のように、係合穴の背面に正面板の折り返しフラップが貼着されている場合には、係合穴の背面が塞がれているため、係合片を係合穴の上縁と背面板との隙間に挿入しにくいという問題があった。
さらに、特許文献1〜3のコハゼロック機構は、蓋を持って繰り返し持ち上げたりすると、ロック機構が甘くなったり、係合片やつまみ片がへたってきて取扱い時に破損するおそれがあった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−150826号公報
【特許文献2】特開2005−200059号公報
【特許文献3】特開2004−323069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、蓋と箱体のロック操作が容易で、かつロック機構が確実強固な紙容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、箱体の上面開口を覆う蓋を該箱体の背面板にヒンジ結合してなる紙容器であって、該蓋の正面板に基端部を介してつまみ片を突出させ、該つまみ片の基端部周辺に上向きに凸状の切り込み線による係合片を設けるとともに、該箱体の正面板に閉蓋状態で該係合片を挿入可能な係合挿入部を形成し、該係合挿入部の上縁部に該係合片と係合可能な切れ込み片を設けた紙容器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の紙容器は、蓋の係合片を箱体の係合穴に挿入してロックする際のロック操作が容易で、しかもダブルロック状態としうるので、蓋と箱体のロック機構が確実強固である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の紙容器は、蓋の正面板に基端部を介してつまみ片を突出させ、該つまみ片の基端部周辺に上向きに凸状の切り込み線による係合片を設けるとともに、該箱体の正面板に閉蓋状態で該係合片を挿入可能な係合挿入部を形成し、該係合挿入部の上縁部に該係合片と係合可能な切れ込み片を設けたものである。
【0009】
本発明の紙容器の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1〜図10は、本発明の紙容器の実施の形態の例を示す図である。
本発明の紙容器10は、図1〜3に示すように、箱体11と蓋12とからなり、箱体11は上面に開口11Eを有している。その開口11Eは、封緘紙13が正面板11A、背面板11B、両側板11Cからなる全開口縁部の外側面及び/又は全開口縁部の天面部分、又は蓋12の天板12Dの箱体との結合部における内面部分を含む所定巾の範囲に貼着され、蓋12の天板12Dの内面と封緘紙13とによって密封され、流通・保管段階において内容物である粉体洗剤等の漏れ防止を可能とする。
なお、紙容器には通常500g〜2.5kg、好ましくは1〜2kg程度の粉体洗剤等を収納する。
【0010】
箱体11の素材としては、対環境性、廃棄時の焼却性の観点から、紙単体、又は紙を主材料としプラスチックフィルムを内層又は中間層とする3層構造等の積層体を用いることができる。使用する紙に特に制限はないが、取扱いの便宜上、坪量350〜700g/m2、厚さ0.3〜1.1mmであることが好ましい。
箱体11は、前記素材を折り曲げて組立てたものであり、正面板11A、背面板11B、両側板11C、底板11Dを有し、上面に開口11Eを有する。図1の形態の場合、箱体11は、正面板11A、背面板11B、両側板11Cを上端辺で内側に折り返し接着してある。この場合、内側に折り返し接着された内折り板で、箱体11の係合挿入部31を背面から覆い、内容物の漏れを防止することができる。
【0011】
蓋12の素材は、箱体11と同様に、紙単体、又は紙を主材料としプラスチックフィルムを内層又は中間層とする積層体であることが好ましい。
蓋12は、前記素材を折り曲げて組立てたものであり、前板12A、後板12B、両側板12C、天板12Dを有する。蓋12は、箱体11の背面板11Bに接着されるヒンジ結合部12Eを後板12Bに備え、箱体11の開口11Eを覆う。
図3に示すように、蓋12は、箱体11の背面板11Bを延長し、背面板11Bの上端辺にヒンジ罫線を設け、内側に折り返してヒンジ結合した形態とすることもできる。この形態の場合、通常、箱体11の正面板11A及び両側板11Cは、それらの上端辺で内側に折り返して接着される。
箱体11及び蓋12には、吊り手、把手(取っ手)等の把持部(図示せず)を設けることもできる。取扱いの便宜上、前記把持部は、箱体の両側板11C、蓋の両側板12C、蓋の天板12Dの表面等に付設することができる。
【0012】
蓋12の前板12Aには基端部(略中央部下縁)を介してつまみ片22を突出させて形成する。未使用状態においては、蓋12は、つまみ片22の裏面においてタックシール、又は接着剤等によって箱体11の糊付け部23に貼着固定されており、初回使用時に糊付け部23を剥がすことにより、蓋12と箱体11をつなぐヒンジ結合部12Eを回動支点として開閉できるようになっている。
【0013】
図4は、紙容器10の閉蓋状態における正面図の一例を示す図であり、図5は、箱体11の正面図の一例を示す図である。図4の閉蓋状態において、蓋12の前板12Aには、係合片19が形設されたつまみ片22が表れており、箱体11の正面板11Aに形成された係合挿入部31を覆い隠している。
図5において、係合挿入部31は、閉蓋時に、蓋12のつまみ片22に形設された係合片19と相対する位置に形成されている。係合挿入部31の上縁部31Aには、係合片19と係合可能な切れ込み片32が形成されている。
【0014】
係合挿入部31は、蓋12の係合片19が挿入可能な大きさであればよく、その形態は特に限定されない。図6は、図5のA部の例を示す拡大模式図である。図6において、係合挿入部31は、略四角形状(a)であってもよく、スリット状(b)であってもよい。また、係合挿入部31の上縁部31Aは、水平線状に限らず、図6(c)、(d)に示すような下に凸の円孤状や帯状であってもよく、図6(e)、(f)に示すような上に凸のかまぼこ状や半円状であってもよい。
係合挿入部31の上縁部31A、すなわち、切れ込み片32の下端辺32Aを水平線状に形成する場合は、図9に示すように、切れ込み片32の下端辺32Aが、閉蓋時の蓋12の前板12Aの下端辺、すなわち、つまみ片22の基端部22A(係合片19の基端部19A)の水平線より若干、例えば1mm程度上方になるように構成することが好ましい。
【0015】
係合挿入部31の背面は、箱体11の正面板11Aを上端片で内側に折り返し接着された内折り板で裏打ちして覆うか、又は、別途に用意した紙片、合成樹脂との積層紙、合成樹脂フィルム等を貼着して塞がれ、内容物が箱体11の内部から係合挿入部31を通って漏れることがないようにされている。係合挿入部31の背面と内折り板又はフィルム等とを接合するに際しては、蓋の係合片19が差し込まれる領域(係合挿入部31の穴あき面の上部)を避けて、係合挿入部31の少なくとも下部と左右両側部に、一定巾で接着剤塗布部又は貼着部を設け、内容物(粉体又は粒状物)が箱体11の内部から係合挿入部31を通って漏れることを防止できる。
【0016】
係合挿入部31の背面には蓋の係合片19を差し込むことのできる隙間を設けることができるが、係合挿入部31が箱体11の正面板11Aとほぼ同一平面上にあり、塞がれた形態になっているため、その隙間に係合片19を差し込むように挿入する必要がある。
そこで、本発明においては、係合挿入部31の上縁部31Aに、係合片19と係合可能な切れ込み片32を形成する。切れ込み片32は、係合挿入部31の上縁部31Aの端部近傍から上方向に形成された、少なくとも2つの切れ込み33により形成される。
【0017】
切れ込み片32の形状は特に限定されない。例えば次の(1)〜(3)のように、切れ込み片32がその上部の基端部に向かって拡幅している形状が好ましい。
(1)図6に示すように、係合挿入部31の上縁部31Aの両端部近傍から、逆ハの字状に2本の切れ込み線33を切り込んで形成した逆台形状の切れ込み片。
(2)図7(a)に示すように、係合挿入部31の上縁部31Aの両端部近傍から、逆ハの字状に2つの楔形状の切れ込み35を切り込んで形成した逆台形状の切れ込み片。
(3)図7(b)に示すように、係合挿入部31の上縁部31Aの両端部近傍から、直線と円弧状の切れ込み線により形成された切れ込み36を切り込んで形成した逆かまぼこ断面状の切れ込み片。
【0018】
切れ込み片32の基端部には折り罫線34を設けることが好ましい。折り罫線34は、切れ込み片32の基端部とその下端辺32Aとの間に設けることもできる。また、折り罫線34は、下端辺32A又は正面板11Aの上端辺と概ね平行に、切れ込み線33の間をつないで設けることが好ましい。この折り罫線34は、切れ込み片32を上面に向かって開くことができるようにする回動支点となる。
切れ込み片32は、その基端部34の両端部周辺に切り込み線による円弧状端部37を形成することが好ましい。円孤状端部37の形状に特に制限はない。例えば、切れ込み片32の基端部34の両端部に、その端部を内側下方に向けて円孤を描くように形成することもできる。しかしなから、破損防止と係合強度の観点から、円孤状端部37は、図6及び7に示すように、その端部を外側下方に向けて円孤を描くように形成することが好ましい。
【0019】
図8は、蓋12の係合片19周辺の拡大模式図である。蓋12の係合片19は、つまみ片22の基端部22Aの周辺に上向きに凸状の切り込み線により形設されている。係合片19の端部には、円弧状の切り込みを設けることが好ましい。図8においては、つまみ片22の基端部周辺を端部として上向きに凸状の切り込み線を設け、該凸状の切り込み線の端部を下方から上方に向って曲線状に延在させて、円弧状端部20(U字状の切り込み)を有する係合片19を形設している。係合片19の両端の円弧状端部20からつまみ片22の各々の両端部に渡って、略水平に2つの折り罫線21を刻設することが好ましい。係合片19の両端の円弧状端部20は、折り罫線21を支点としてつまみ片22を回動する時の回動補助支点となり、回動の円滑性を確保する。
【0020】
係合片19の円弧状端部20からつまみ片22の端部に渡っては、略水平に折り罫線21を刻設することが好ましい。2つの折り罫線21は、円弧状端部20から略水平に刻設するが、回動操作の円滑性の観点から、円弧状端部20の最下端部からではなく、最下端部より若干上方の位置から略水平に刻設することが好ましい。例えば、円弧状端部20の最下端部を、つまみ片22の両端部に略水平に形成される折り罫線21より0.5〜3mm、特に1〜2mm低い位置に設定するように円弧状端部20を形成し、円弧状端部20の側部近傍に折り罫線21を連接することが好ましい。
なお、蓋12の前板12Aの下側端縁は水平に形成してもよいが、複数の紙容器10を大箱に詰めて収納する場合等の作業性の観点から、中央部から両端部にかけてやや上向きに傾斜させることができる。
【0021】
蓋12の開閉機構は次のとおりである。図4及び5において、つまみ片22を指でつまみ、上方に向けて持ち上げていくと、つまみ片22は折り罫線21を回動中心として上方へ向かって回動する。つまみ片22が上方へ回動すると、つまみ片22と一体に形成されている係合片19は折り罫線21を回動中心として下方に向かって回動し、その先端部が箱体11の係合挿入部31の係合端31Aに係合する。この状態で、つまみ片22を元に戻すように下側に押すと、係合片19は逆に上方へ向かって動き、係合片19の先端が係合挿入部31とその背面との隙間に差し込まれる。
【0022】
この際に、係合挿入部31の上縁部31Aに形成された切れ込み片32は、折り罫線34を回動支点として上方へ向かって回動し、箱体11の正面板の表面よりも浮かせることができる。そのため、つまみ片22に形成された係合片19を、係合挿入部31とその背面との隙間に容易に差し込むことができ、係合片19は係合挿入部31の係合端31Aに係合し、蓋12が箱体11にロックされる。図9は、この通常のロック状態を示す図である。
この通常ロック状態(閉蓋状態)においては、切れ込み片32の下端辺32A(係合挿入部31の上縁部31A)は、係合片19の基端部19A(つまみ片22の基端部22A)より上方になるように配置されている。
ロックされている蓋12を開くときは、つまみ片22を指で持ち、ほぼ水平位置まで上方に向かって持ち上げていくと、係合片19はそのまま自然に係合挿入部31から抜け出ていき、蓋12のロックが解除される。
【0023】
通常の閉蓋状態では、前記のように、係合片19が係合挿入部31に係合して切れ込み片32とその背面との間に挟まれ保持された通常ロックの状態となっている(図9)。このとき、係合片19の円孤状端部20の最下部は、正面から見て係合片19と係合挿入部31の周縁との交点より若干下方に位置することが好ましい。
ここで、蓋12を上方から掴んで紙容器10を持ち上げる等すると、内容物の入った箱体11の荷重により、箱体11が蓋12の前板12Aの内面をスライドして、蓋12に対して若干下方に移動する。その結果、蓋12の係合片19の円弧状端部20の最下部は係合挿入部31の上縁部31Aより上方に移動し、蓋12の係合片19は箱体11の切れ込み片32にくい込むように更に係合する。そのため、切れ込み片32と蓋12のつまみ片22との重複部分が増加して、通常ロック状態から更に進んだダブルロック(切り込みロック)状態となり、ロック状態が更に強化される
【0024】
図10は、蓋12と箱体11のダブルロック状態を示す図である。図10において、切れ込み片32は係合片19を覆い隠している。この状態においては、切れ込み片32と係合片19とが強固に係合した状態になっており、切れ込み片32の下端辺32A(係合挿入部31の上縁部31A)が係合片19の基端部19A(つまみ片22の基端部22A)より下方に突出するように係合されている。このダブルロック状態における、切れ込み片32と蓋12のつまみ片22の重複面積は、蓋12に対する下方向への荷重が大きくなるほど増加し、更に強く係合又は嵌合し、ロックがより確実強固な状態となる。このため、係合片19が切れ込み片32及び係合挿入部31から外れることはなく、また、繰り返し使用によってもロック機構が甘くなったり、へたったりして破損することがない。
また、切れ込み片32の基端部(折り罫線34)の長さは、係合片19の円弧状端部20の最下部の間の距離と略同一が好ましい。これによりダブルロック状態での係合片19と切れ込み片32の左右のがたつきが防止され、ロック機構のへたり防止に有効となる。
【0025】
図11は、蓋体12と箱体11の通常ロック状態の一例を示す縦断面図である。
係合挿入部31は、箱体11の正面板11Aを上端片で内側に折り返し接着された内折り板32a、32c及びエンボス加工により凸状に脹らませた32bで裏打ちされている。これにより、係合挿入部31の背面には係合片19を差し込むことのできる隙間33が設けられている。この隙間につまみ片22に設けられた係合片19が差し込まれて、切れ込み片32の下端(係合挿入部31の上縁部31A)に係合する。
通常の使用状態では、このように、係合片19が切れ込み片32の下端(係合挿入部31の上縁部31A)にひっかかる状態となるが、内容物が充填された紙容器10が万一落下した場合等には、内容物が紙容器10内の上方へ移動するため、蓋12を箱体11に対して上方に移動する力が働き、蓋12の係合片19が、箱体11の切れ込み片32と係合挿入部31の背面の隙間33の上部に更にくい込み、ダブルロック状態となる。この結果、切れ込み片32と蓋12のつまみ片22の重複面積が増加して強く係合し、確実強固なロック状態を実現し、落下による係合片19の係合解除に起因する内容物の飛散を防止できる。
【0026】
本発明の紙容器10は上記のように構成されているので、以下の作用効果がある。
(1)係合挿入部31の上縁部31Aに、係合片19と係合可能な切れ込み片32を形成したので、切れ込み片32が箱体11の正面板より上面に開くことができるため、係合片19を係合挿入部31に容易に差し込むことができる。
(2)通常の使用状態では、係合片19を係合挿入部31に挿入して、係合片19が切れ込み片32の下端(係合挿入部31の上縁部31A)にひっかかる状態とし、上方から蓋12を掴んで持ち上げる等して紙容器10を上方へ移動させる力を蓋12に多くかけた場合に、蓋12の係合片19が箱体11の切れ込み片32にくい込み、ダブルロック状態となる。この結果、切れ込み片32と蓋12のつまみ片22の重複面積が増加して更に係合が強化され、確実強固なロック状態を実現できる。
内容物が充填された紙容器10を誤って落下した場合でも、上記と同様にダブルロック状態となり、係合解除に起因する内容物の飛散を防止できる。
(3)ダブルロック状態になると、係合片19が切れ込み片32及び係合挿入部31と更に強固にロックし、ロックが甘くなったり、へたったりして破損することがない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】紙容器の開蓋状態を示す斜視図である。
【図2】紙容器の閉蓋状態を示す背面図である。
【図3】別形態の紙容器の開蓋状態を示す斜視図である。
【図4】紙容器の閉蓋状態の正面図の一例を示す図である。
【図5】箱体の正面図の一例を示す図である。
【図6】図5のA部の例を示す拡大模式図である。
【図7】図5のA部の別形態を示す拡大模式図である。
【図8】蓋の係合片周辺の拡大模式図である。
【図9】蓋と箱体の通常のロック状態を示す図である。
【図10】蓋と箱体のダブルロック状態を示す図である。
【図11】蓋体と箱体の通常ロック状態の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10:紙容器
11:箱体
12:蓋 12A:蓋の前板
19:係合片 19A:係合片の基端部
20:係合片の円弧状端部
21:係合片の折り罫線
22:つまみ片 22A:つまみ片の基端部
31:係合挿入部 31A:係合挿入部の上縁部
32:切れ込み片 32A:切れ込み片の下端辺
34:切れ込み片の折り罫線
37:切れ込み片の円弧状端部
【技術分野】
【0001】
本発明は紙容器に関し、詳しくは、粉末洗剤等の粉体を収納するための紙容器であって、蓋と箱体のロック操作が容易で、かつロック機構が確実強固な紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用粉末洗剤等の紙容器として、箱体の上面開口を覆う蓋をその箱体の背面板にヒンジ結合し、開閉自在に形成してなる紙容器が汎用されている。
このような紙容器では、蓋が簡単に開いて内容物がこぼれ落ちたり、水分等が混入することがないように、蓋が箱体の開口を定位置で閉じた状態を維持するためのロック機構が設けられているのが一般的である。
ロック機構としては、蓋のつまみ片に係合片を切り込んで形成し、蓋を回動自在とし、その係合片と相対する箱体正面板に係合穴を形成し、蓋の係合片を箱体の係合穴にコハゼ掛けに挿入してロックするいわゆるコハゼロック機構が知られている。
【0003】
このコハゼロック機構については、例えば、特許文献1〜3が提案されている。しかしながら、それらのコハゼロック機構においては、箱体の正面板に形成された係合穴の上縁部の裏側に、蓋の係合片を差し込むように挿入する必要があるが、係合穴が箱体の正面板とほぼ同一平面上にあるため挿入しづらいという問題があった。また、特許文献1及び2のように、係合穴の背面に正面板の折り返しフラップが貼着されている場合には、係合穴の背面が塞がれているため、係合片を係合穴の上縁と背面板との隙間に挿入しにくいという問題があった。
さらに、特許文献1〜3のコハゼロック機構は、蓋を持って繰り返し持ち上げたりすると、ロック機構が甘くなったり、係合片やつまみ片がへたってきて取扱い時に破損するおそれがあった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−150826号公報
【特許文献2】特開2005−200059号公報
【特許文献3】特開2004−323069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、蓋と箱体のロック操作が容易で、かつロック機構が確実強固な紙容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、箱体の上面開口を覆う蓋を該箱体の背面板にヒンジ結合してなる紙容器であって、該蓋の正面板に基端部を介してつまみ片を突出させ、該つまみ片の基端部周辺に上向きに凸状の切り込み線による係合片を設けるとともに、該箱体の正面板に閉蓋状態で該係合片を挿入可能な係合挿入部を形成し、該係合挿入部の上縁部に該係合片と係合可能な切れ込み片を設けた紙容器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の紙容器は、蓋の係合片を箱体の係合穴に挿入してロックする際のロック操作が容易で、しかもダブルロック状態としうるので、蓋と箱体のロック機構が確実強固である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の紙容器は、蓋の正面板に基端部を介してつまみ片を突出させ、該つまみ片の基端部周辺に上向きに凸状の切り込み線による係合片を設けるとともに、該箱体の正面板に閉蓋状態で該係合片を挿入可能な係合挿入部を形成し、該係合挿入部の上縁部に該係合片と係合可能な切れ込み片を設けたものである。
【0009】
本発明の紙容器の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1〜図10は、本発明の紙容器の実施の形態の例を示す図である。
本発明の紙容器10は、図1〜3に示すように、箱体11と蓋12とからなり、箱体11は上面に開口11Eを有している。その開口11Eは、封緘紙13が正面板11A、背面板11B、両側板11Cからなる全開口縁部の外側面及び/又は全開口縁部の天面部分、又は蓋12の天板12Dの箱体との結合部における内面部分を含む所定巾の範囲に貼着され、蓋12の天板12Dの内面と封緘紙13とによって密封され、流通・保管段階において内容物である粉体洗剤等の漏れ防止を可能とする。
なお、紙容器には通常500g〜2.5kg、好ましくは1〜2kg程度の粉体洗剤等を収納する。
【0010】
箱体11の素材としては、対環境性、廃棄時の焼却性の観点から、紙単体、又は紙を主材料としプラスチックフィルムを内層又は中間層とする3層構造等の積層体を用いることができる。使用する紙に特に制限はないが、取扱いの便宜上、坪量350〜700g/m2、厚さ0.3〜1.1mmであることが好ましい。
箱体11は、前記素材を折り曲げて組立てたものであり、正面板11A、背面板11B、両側板11C、底板11Dを有し、上面に開口11Eを有する。図1の形態の場合、箱体11は、正面板11A、背面板11B、両側板11Cを上端辺で内側に折り返し接着してある。この場合、内側に折り返し接着された内折り板で、箱体11の係合挿入部31を背面から覆い、内容物の漏れを防止することができる。
【0011】
蓋12の素材は、箱体11と同様に、紙単体、又は紙を主材料としプラスチックフィルムを内層又は中間層とする積層体であることが好ましい。
蓋12は、前記素材を折り曲げて組立てたものであり、前板12A、後板12B、両側板12C、天板12Dを有する。蓋12は、箱体11の背面板11Bに接着されるヒンジ結合部12Eを後板12Bに備え、箱体11の開口11Eを覆う。
図3に示すように、蓋12は、箱体11の背面板11Bを延長し、背面板11Bの上端辺にヒンジ罫線を設け、内側に折り返してヒンジ結合した形態とすることもできる。この形態の場合、通常、箱体11の正面板11A及び両側板11Cは、それらの上端辺で内側に折り返して接着される。
箱体11及び蓋12には、吊り手、把手(取っ手)等の把持部(図示せず)を設けることもできる。取扱いの便宜上、前記把持部は、箱体の両側板11C、蓋の両側板12C、蓋の天板12Dの表面等に付設することができる。
【0012】
蓋12の前板12Aには基端部(略中央部下縁)を介してつまみ片22を突出させて形成する。未使用状態においては、蓋12は、つまみ片22の裏面においてタックシール、又は接着剤等によって箱体11の糊付け部23に貼着固定されており、初回使用時に糊付け部23を剥がすことにより、蓋12と箱体11をつなぐヒンジ結合部12Eを回動支点として開閉できるようになっている。
【0013】
図4は、紙容器10の閉蓋状態における正面図の一例を示す図であり、図5は、箱体11の正面図の一例を示す図である。図4の閉蓋状態において、蓋12の前板12Aには、係合片19が形設されたつまみ片22が表れており、箱体11の正面板11Aに形成された係合挿入部31を覆い隠している。
図5において、係合挿入部31は、閉蓋時に、蓋12のつまみ片22に形設された係合片19と相対する位置に形成されている。係合挿入部31の上縁部31Aには、係合片19と係合可能な切れ込み片32が形成されている。
【0014】
係合挿入部31は、蓋12の係合片19が挿入可能な大きさであればよく、その形態は特に限定されない。図6は、図5のA部の例を示す拡大模式図である。図6において、係合挿入部31は、略四角形状(a)であってもよく、スリット状(b)であってもよい。また、係合挿入部31の上縁部31Aは、水平線状に限らず、図6(c)、(d)に示すような下に凸の円孤状や帯状であってもよく、図6(e)、(f)に示すような上に凸のかまぼこ状や半円状であってもよい。
係合挿入部31の上縁部31A、すなわち、切れ込み片32の下端辺32Aを水平線状に形成する場合は、図9に示すように、切れ込み片32の下端辺32Aが、閉蓋時の蓋12の前板12Aの下端辺、すなわち、つまみ片22の基端部22A(係合片19の基端部19A)の水平線より若干、例えば1mm程度上方になるように構成することが好ましい。
【0015】
係合挿入部31の背面は、箱体11の正面板11Aを上端片で内側に折り返し接着された内折り板で裏打ちして覆うか、又は、別途に用意した紙片、合成樹脂との積層紙、合成樹脂フィルム等を貼着して塞がれ、内容物が箱体11の内部から係合挿入部31を通って漏れることがないようにされている。係合挿入部31の背面と内折り板又はフィルム等とを接合するに際しては、蓋の係合片19が差し込まれる領域(係合挿入部31の穴あき面の上部)を避けて、係合挿入部31の少なくとも下部と左右両側部に、一定巾で接着剤塗布部又は貼着部を設け、内容物(粉体又は粒状物)が箱体11の内部から係合挿入部31を通って漏れることを防止できる。
【0016】
係合挿入部31の背面には蓋の係合片19を差し込むことのできる隙間を設けることができるが、係合挿入部31が箱体11の正面板11Aとほぼ同一平面上にあり、塞がれた形態になっているため、その隙間に係合片19を差し込むように挿入する必要がある。
そこで、本発明においては、係合挿入部31の上縁部31Aに、係合片19と係合可能な切れ込み片32を形成する。切れ込み片32は、係合挿入部31の上縁部31Aの端部近傍から上方向に形成された、少なくとも2つの切れ込み33により形成される。
【0017】
切れ込み片32の形状は特に限定されない。例えば次の(1)〜(3)のように、切れ込み片32がその上部の基端部に向かって拡幅している形状が好ましい。
(1)図6に示すように、係合挿入部31の上縁部31Aの両端部近傍から、逆ハの字状に2本の切れ込み線33を切り込んで形成した逆台形状の切れ込み片。
(2)図7(a)に示すように、係合挿入部31の上縁部31Aの両端部近傍から、逆ハの字状に2つの楔形状の切れ込み35を切り込んで形成した逆台形状の切れ込み片。
(3)図7(b)に示すように、係合挿入部31の上縁部31Aの両端部近傍から、直線と円弧状の切れ込み線により形成された切れ込み36を切り込んで形成した逆かまぼこ断面状の切れ込み片。
【0018】
切れ込み片32の基端部には折り罫線34を設けることが好ましい。折り罫線34は、切れ込み片32の基端部とその下端辺32Aとの間に設けることもできる。また、折り罫線34は、下端辺32A又は正面板11Aの上端辺と概ね平行に、切れ込み線33の間をつないで設けることが好ましい。この折り罫線34は、切れ込み片32を上面に向かって開くことができるようにする回動支点となる。
切れ込み片32は、その基端部34の両端部周辺に切り込み線による円弧状端部37を形成することが好ましい。円孤状端部37の形状に特に制限はない。例えば、切れ込み片32の基端部34の両端部に、その端部を内側下方に向けて円孤を描くように形成することもできる。しかしなから、破損防止と係合強度の観点から、円孤状端部37は、図6及び7に示すように、その端部を外側下方に向けて円孤を描くように形成することが好ましい。
【0019】
図8は、蓋12の係合片19周辺の拡大模式図である。蓋12の係合片19は、つまみ片22の基端部22Aの周辺に上向きに凸状の切り込み線により形設されている。係合片19の端部には、円弧状の切り込みを設けることが好ましい。図8においては、つまみ片22の基端部周辺を端部として上向きに凸状の切り込み線を設け、該凸状の切り込み線の端部を下方から上方に向って曲線状に延在させて、円弧状端部20(U字状の切り込み)を有する係合片19を形設している。係合片19の両端の円弧状端部20からつまみ片22の各々の両端部に渡って、略水平に2つの折り罫線21を刻設することが好ましい。係合片19の両端の円弧状端部20は、折り罫線21を支点としてつまみ片22を回動する時の回動補助支点となり、回動の円滑性を確保する。
【0020】
係合片19の円弧状端部20からつまみ片22の端部に渡っては、略水平に折り罫線21を刻設することが好ましい。2つの折り罫線21は、円弧状端部20から略水平に刻設するが、回動操作の円滑性の観点から、円弧状端部20の最下端部からではなく、最下端部より若干上方の位置から略水平に刻設することが好ましい。例えば、円弧状端部20の最下端部を、つまみ片22の両端部に略水平に形成される折り罫線21より0.5〜3mm、特に1〜2mm低い位置に設定するように円弧状端部20を形成し、円弧状端部20の側部近傍に折り罫線21を連接することが好ましい。
なお、蓋12の前板12Aの下側端縁は水平に形成してもよいが、複数の紙容器10を大箱に詰めて収納する場合等の作業性の観点から、中央部から両端部にかけてやや上向きに傾斜させることができる。
【0021】
蓋12の開閉機構は次のとおりである。図4及び5において、つまみ片22を指でつまみ、上方に向けて持ち上げていくと、つまみ片22は折り罫線21を回動中心として上方へ向かって回動する。つまみ片22が上方へ回動すると、つまみ片22と一体に形成されている係合片19は折り罫線21を回動中心として下方に向かって回動し、その先端部が箱体11の係合挿入部31の係合端31Aに係合する。この状態で、つまみ片22を元に戻すように下側に押すと、係合片19は逆に上方へ向かって動き、係合片19の先端が係合挿入部31とその背面との隙間に差し込まれる。
【0022】
この際に、係合挿入部31の上縁部31Aに形成された切れ込み片32は、折り罫線34を回動支点として上方へ向かって回動し、箱体11の正面板の表面よりも浮かせることができる。そのため、つまみ片22に形成された係合片19を、係合挿入部31とその背面との隙間に容易に差し込むことができ、係合片19は係合挿入部31の係合端31Aに係合し、蓋12が箱体11にロックされる。図9は、この通常のロック状態を示す図である。
この通常ロック状態(閉蓋状態)においては、切れ込み片32の下端辺32A(係合挿入部31の上縁部31A)は、係合片19の基端部19A(つまみ片22の基端部22A)より上方になるように配置されている。
ロックされている蓋12を開くときは、つまみ片22を指で持ち、ほぼ水平位置まで上方に向かって持ち上げていくと、係合片19はそのまま自然に係合挿入部31から抜け出ていき、蓋12のロックが解除される。
【0023】
通常の閉蓋状態では、前記のように、係合片19が係合挿入部31に係合して切れ込み片32とその背面との間に挟まれ保持された通常ロックの状態となっている(図9)。このとき、係合片19の円孤状端部20の最下部は、正面から見て係合片19と係合挿入部31の周縁との交点より若干下方に位置することが好ましい。
ここで、蓋12を上方から掴んで紙容器10を持ち上げる等すると、内容物の入った箱体11の荷重により、箱体11が蓋12の前板12Aの内面をスライドして、蓋12に対して若干下方に移動する。その結果、蓋12の係合片19の円弧状端部20の最下部は係合挿入部31の上縁部31Aより上方に移動し、蓋12の係合片19は箱体11の切れ込み片32にくい込むように更に係合する。そのため、切れ込み片32と蓋12のつまみ片22との重複部分が増加して、通常ロック状態から更に進んだダブルロック(切り込みロック)状態となり、ロック状態が更に強化される
【0024】
図10は、蓋12と箱体11のダブルロック状態を示す図である。図10において、切れ込み片32は係合片19を覆い隠している。この状態においては、切れ込み片32と係合片19とが強固に係合した状態になっており、切れ込み片32の下端辺32A(係合挿入部31の上縁部31A)が係合片19の基端部19A(つまみ片22の基端部22A)より下方に突出するように係合されている。このダブルロック状態における、切れ込み片32と蓋12のつまみ片22の重複面積は、蓋12に対する下方向への荷重が大きくなるほど増加し、更に強く係合又は嵌合し、ロックがより確実強固な状態となる。このため、係合片19が切れ込み片32及び係合挿入部31から外れることはなく、また、繰り返し使用によってもロック機構が甘くなったり、へたったりして破損することがない。
また、切れ込み片32の基端部(折り罫線34)の長さは、係合片19の円弧状端部20の最下部の間の距離と略同一が好ましい。これによりダブルロック状態での係合片19と切れ込み片32の左右のがたつきが防止され、ロック機構のへたり防止に有効となる。
【0025】
図11は、蓋体12と箱体11の通常ロック状態の一例を示す縦断面図である。
係合挿入部31は、箱体11の正面板11Aを上端片で内側に折り返し接着された内折り板32a、32c及びエンボス加工により凸状に脹らませた32bで裏打ちされている。これにより、係合挿入部31の背面には係合片19を差し込むことのできる隙間33が設けられている。この隙間につまみ片22に設けられた係合片19が差し込まれて、切れ込み片32の下端(係合挿入部31の上縁部31A)に係合する。
通常の使用状態では、このように、係合片19が切れ込み片32の下端(係合挿入部31の上縁部31A)にひっかかる状態となるが、内容物が充填された紙容器10が万一落下した場合等には、内容物が紙容器10内の上方へ移動するため、蓋12を箱体11に対して上方に移動する力が働き、蓋12の係合片19が、箱体11の切れ込み片32と係合挿入部31の背面の隙間33の上部に更にくい込み、ダブルロック状態となる。この結果、切れ込み片32と蓋12のつまみ片22の重複面積が増加して強く係合し、確実強固なロック状態を実現し、落下による係合片19の係合解除に起因する内容物の飛散を防止できる。
【0026】
本発明の紙容器10は上記のように構成されているので、以下の作用効果がある。
(1)係合挿入部31の上縁部31Aに、係合片19と係合可能な切れ込み片32を形成したので、切れ込み片32が箱体11の正面板より上面に開くことができるため、係合片19を係合挿入部31に容易に差し込むことができる。
(2)通常の使用状態では、係合片19を係合挿入部31に挿入して、係合片19が切れ込み片32の下端(係合挿入部31の上縁部31A)にひっかかる状態とし、上方から蓋12を掴んで持ち上げる等して紙容器10を上方へ移動させる力を蓋12に多くかけた場合に、蓋12の係合片19が箱体11の切れ込み片32にくい込み、ダブルロック状態となる。この結果、切れ込み片32と蓋12のつまみ片22の重複面積が増加して更に係合が強化され、確実強固なロック状態を実現できる。
内容物が充填された紙容器10を誤って落下した場合でも、上記と同様にダブルロック状態となり、係合解除に起因する内容物の飛散を防止できる。
(3)ダブルロック状態になると、係合片19が切れ込み片32及び係合挿入部31と更に強固にロックし、ロックが甘くなったり、へたったりして破損することがない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】紙容器の開蓋状態を示す斜視図である。
【図2】紙容器の閉蓋状態を示す背面図である。
【図3】別形態の紙容器の開蓋状態を示す斜視図である。
【図4】紙容器の閉蓋状態の正面図の一例を示す図である。
【図5】箱体の正面図の一例を示す図である。
【図6】図5のA部の例を示す拡大模式図である。
【図7】図5のA部の別形態を示す拡大模式図である。
【図8】蓋の係合片周辺の拡大模式図である。
【図9】蓋と箱体の通常のロック状態を示す図である。
【図10】蓋と箱体のダブルロック状態を示す図である。
【図11】蓋体と箱体の通常ロック状態の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10:紙容器
11:箱体
12:蓋 12A:蓋の前板
19:係合片 19A:係合片の基端部
20:係合片の円弧状端部
21:係合片の折り罫線
22:つまみ片 22A:つまみ片の基端部
31:係合挿入部 31A:係合挿入部の上縁部
32:切れ込み片 32A:切れ込み片の下端辺
34:切れ込み片の折り罫線
37:切れ込み片の円弧状端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の上面開口を覆う蓋を該箱体の背面板にヒンジ結合してなる紙容器であって、該蓋の正面板に基端部を介してつまみ片を突出させ、該つまみ片の基端部周辺に上向きに凸状の切り込み線による係合片を設けるとともに、該箱体の正面板に閉蓋状態で該係合片を挿入可能な係合挿入部を形成し、該係合挿入部の上縁部に該係合片と係合可能な切れ込み片を設けた紙容器。
【請求項2】
前記切れ込み片が、前記係合挿入部の上縁部の端部近傍から上方向に形成された少なくとも2つの切れ込みにより形成されている請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
前記切れ込み片の基端部に折り罫線が刻設されている請求項1又は2に記載の紙容器。
【請求項4】
前記切れ込み片が、その基端部の両端部周辺に切り込み線による円弧状端部を有する請求項1〜3のいずれかに記載の紙容器。
【請求項5】
前記切れ込み片の下端辺が、閉蓋状態で前記係合片の基端部より上方になるように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の紙容器。
【請求項6】
閉蓋状態において、前記切れ込み片と前記つまみ片との重複部分が増加してロック状態が更に強化される請求項1〜5のいずれかに記載の紙容器。
【請求項7】
前記係合片の端部から前記つまみ片の端部に渡って略水平に折り罫線が刻設されている請求項1〜6のいずれかに記載の紙容器。
【請求項1】
箱体の上面開口を覆う蓋を該箱体の背面板にヒンジ結合してなる紙容器であって、該蓋の正面板に基端部を介してつまみ片を突出させ、該つまみ片の基端部周辺に上向きに凸状の切り込み線による係合片を設けるとともに、該箱体の正面板に閉蓋状態で該係合片を挿入可能な係合挿入部を形成し、該係合挿入部の上縁部に該係合片と係合可能な切れ込み片を設けた紙容器。
【請求項2】
前記切れ込み片が、前記係合挿入部の上縁部の端部近傍から上方向に形成された少なくとも2つの切れ込みにより形成されている請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
前記切れ込み片の基端部に折り罫線が刻設されている請求項1又は2に記載の紙容器。
【請求項4】
前記切れ込み片が、その基端部の両端部周辺に切り込み線による円弧状端部を有する請求項1〜3のいずれかに記載の紙容器。
【請求項5】
前記切れ込み片の下端辺が、閉蓋状態で前記係合片の基端部より上方になるように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の紙容器。
【請求項6】
閉蓋状態において、前記切れ込み片と前記つまみ片との重複部分が増加してロック状態が更に強化される請求項1〜5のいずれかに記載の紙容器。
【請求項7】
前記係合片の端部から前記つまみ片の端部に渡って略水平に折り罫線が刻設されている請求項1〜6のいずれかに記載の紙容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−230620(P2007−230620A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55352(P2006−55352)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【特許番号】特許第3880611号(P3880611)
【特許公報発行日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【特許番号】特許第3880611号(P3880611)
【特許公報発行日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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