紙幣処理機
【課題】簡素化、低コスト化および小型化が図れる紙幣処理機の提供。
【解決手段】紙幣の搬送路25の一側に臨んで配置され、紙幣の搬送方向と直交する方向に配列された複数の受光素子32からなる受光素子群33と、受光素子群33の一側に配置された発光素子34と、受光素子群33の他側に配置された他側受光素子35とを有する素子配設部31と、搬送路25を挟んで素子配設部31に対向して配置され、発光素子34の照射光を屈曲させる第1屈曲部と第1屈曲部で屈曲された照射光を他側受光素子35に向けて屈曲させる第2屈曲部とを有するとともに第1屈曲部で屈曲された照射光を受光素子群33に向けて略均一に拡散させる導光部材とを有する。
【解決手段】紙幣の搬送路25の一側に臨んで配置され、紙幣の搬送方向と直交する方向に配列された複数の受光素子32からなる受光素子群33と、受光素子群33の一側に配置された発光素子34と、受光素子群33の他側に配置された他側受光素子35とを有する素子配設部31と、搬送路25を挟んで素子配設部31に対向して配置され、発光素子34の照射光を屈曲させる第1屈曲部と第1屈曲部で屈曲された照射光を他側受光素子35に向けて屈曲させる第2屈曲部とを有するとともに第1屈曲部で屈曲された照射光を受光素子群33に向けて略均一に拡散させる導光部材とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される紙幣を検出する紙幣検出センサと、搬送される紙幣の幅方向(搬送直交方向)の端部位置を検出する幅センサとによって、紙幣の計数、搬送状態のチェックおよび券種確認等を行う紙幣計数機がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−16287号公報
【特許文献2】実開昭56−161507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙幣検出センサおよび幅センサは、いずれも、発光素子と受光素子とが紙幣の搬送路を挟んで両側に配置され、発光素子の光が搬送路で搬送中の紙幣で遮光され受光素子で受光できなくなることで紙幣を検出するものであるため、発光素子および受光素子の組が複数必要であり、また、発光素子および受光素子を駆動するための配線類が搬送路を挟んで両側に必要であって、その配索構造が複雑化するとともにコストが増大しさらに大型化してしまうという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、簡素化、低コスト化および小型化が図れる紙幣処理機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、紙幣の搬送路の一側に臨んで配置され、紙幣の搬送方向と直交する方向に配列された複数の受光素子からなる受光素子群と、該受光素子群の前記配列の方向の一側に配置された発光素子と、前記受光素子群の前記配列の方向の他側に配置された他側受光素子とを有する素子配設部と、前記搬送路を挟んで前記素子配設部に対向して配置され、前記発光素子の照射光を前記配列の方向と平行な方向に屈曲させる第1屈曲部と該第1屈曲部で屈曲された照射光を前記他側受光素子に向けて屈曲させる第2屈曲部とを有するとともに前記第1屈曲部で屈曲された照射光を前記受光素子群に向けて略均一に拡散させる導光部材とを有することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、互いに対向する前記素子配設部および前記導光部材からなる検出機構を二組、互いの前記他側受光素子を近接側に配置した状態で前記配列の方向に並べてなることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記二組の検出機構が、前記搬送路に対して、同じ一側に互いの前記素子配設部を、同じ逆側に互いの前記導光部材を配置してなることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記受光素子群の検出結果に基づいて紙幣の端部位置を検出し、前記他側受光素子の検出結果に基づいて紙幣の有無を判定する制御手段を有することを特徴としている。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記二組の検出機構の少なくともいずれか一方の前記他側受光素子による紙幣の有無の検出結果に基づいて紙幣を計数し、前記二組の検出機構の両方の前記受光素子群による紙幣の端部位置の検出結果に基づいて紙幣の幅を判定し券種を判定する制御手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、紙幣の搬送路の一側に臨んで配置された素子配設部の発光素子が発光すると、その照射光を、搬送路を挟んで対向配置された導光部材が、第1屈曲部によって発光素子群の素子の配列方向と平行な方向に屈曲させることで受光素子群に向けて略均一に拡散させることになり、受光素子群を構成する複数の受光素子のオンオフで紙幣の幅方向の端部位置を検出できる。また、導光部材が、第1屈曲部で屈曲された照射光を第2屈曲部で他側受光素子に向けて屈曲させることになり、他側受光素子のオンオフで紙幣の有無を検出できる。よって、発光素子および導光部材が、受光素子群の複数の受光素子および他側受光素子に対する光源になる。したがって、一つの発光素子と導光部材とで複数の受光素子用の光源を構成するため、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。しかも、紙幣の搬送路の一側の素子配設部に受光素子群と発光素子と他側受光素子とを配置するため、これらを駆動するための配線類が搬送路の一側に纏められることになり、搬送路の逆側には、これらを駆動するための配線類が不要となる。したがって、この点からも、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、互いに対向する素子配設部および導光部材からなる検出機構を二組、互いの他側受光素子を近接側に配置した状態で並べることで、一方の検出機構の受光素子群で紙幣の幅方向の一端位置を検出し他方の検出機構の受光素子群で紙幣の幅方向の他端位置を検出できる。したがって、紙幣の幅方向の両端位置を検出でき、搬送状態のチェックおよび券種確認等を行うことができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、二組の検出機構が、搬送路に対して、同じ一側に互いの素子配設部を配置しているため、二組の検出機構の受光素子群、発光素子および他側受光素子を駆動するための配線類が搬送路の一側に纏められることになり、搬送路の逆側には、これらを駆動するための配線類が不要となる。したがって、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、制御手段が、受光素子群の検出結果に基づいて紙幣の端部位置を検出し、他側受光素子の検出結果に基づいて紙幣の有無を判定することになるため、紙幣の有無および端部位置を判定することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、制御手段が、二組の検出機構の少なくともいずれか一方の他側受光素子による紙幣の有無の検出結果に基づいて紙幣を計数し、二組の検出機構の両方の受光素子群による紙幣の端部位置の検出結果に基づいて紙幣の幅を判定し券種を判定することになるため、紙幣の有無、幅および券種を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の鑑別部を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の鑑別部の一側を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の素子配設部を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の導光部材を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の導光部材を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機のセンサユニットを示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の反射センサを示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の対向配置された反射センサを示す断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の一対のセンサユニットの検出タイミングを説明するための概略平面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の一対のセンサユニットの検出タイミングを説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る紙幣処理機を図面を参照して以下に説明する。
図1は本実施形態に係る卓上型の紙幣処理機11を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、紙幣処理機11には、機体上部の前面側に、紙幣Sが長手方向を機体左右方向にして上下方向に複数枚集積された状態で装填される装填部12が設けられている。装填部12の下部には集積された紙幣Sを一枚ずつ分離して機内に繰り出す繰出機構13が設けられている。この繰出機構13は、蹴出ローラ14で蹴り出した紙幣Sを一対の繰出ローラ15,15の間から後下がり方向に繰り出すことになり、繰出機構13の斜め下方に設けられたガイド部材16とガイドローラ17との間に送り込む。ガイドローラ17は送り込まれた紙幣Sを前下がり方向に送り出し、その前方の集積車18に受け渡す。集積車18は、受け取った紙幣Sを機体下部前面側の集積部19に繰り出して、機外に取り出し可能となるように機体前後方向に集積させる。紙幣処理機11には、紙幣装填部12よりも機体前面側に、操作者に対して表示を行うとともに操作者の操作入力を受け付ける表示操作部21と、紙幣処理機11を制御する制御部(制御手段)22とが設けられている。
【0019】
一対の繰出ローラ15,15の間位置と、ガイド部材16とガイドローラ17との間位置とを結んで、紙幣Sを搬送する搬送路25が形成されており、この搬送路25は、搬送路25で搬送中の紙幣Sを鑑別するための鑑別部27に形成されている。搬送路25は、紙幣Sを機体左右方向に長手方向(幅方向)を沿わせた姿勢で後下がりに搬送する。
【0020】
装填部12に紙幣Sが集積状態で装填されて、表示操作部21にスタート操作が入力されると、制御部22は、繰出機構13、ガイドローラ17および集積車18を駆動し、装填部12の紙幣Sを一枚ずつ順次鑑別部27で鑑別計数しながら、集積部19に集積させる。装填部12に紙幣Sが無くなったことを図示略のセンサで検出すると、制御部22は、最後の紙幣Sが集積部19に至るタイミングで、繰出機構13、ガイドローラ17および集積車18の駆動を停止させて鑑別部27の鑑別結果を表示操作部21に表示させる。
【0021】
図2に示すように、鑑別部27の上流側には、紙幣検出装置30が設けられている。この紙幣検出装置30には、図3に示すように機体左右両側に離間して一対の素子配設部31が、図2に示すように搬送路25の一側に臨むように配置されている。言い換えれば、一対の素子配設部31が、搬送路25で搬送される紙幣Sの厚さ方向一側に対向するように配置されている。これら素子配設部31は、図3に示すように長方形状をなしており、紙幣Sの搬送方向に直交し機体左右方向に沿う同一直線上に配置されている。
【0022】
素子配設部31には、その長手方向である機体左右方向に配列された複数具体的には8個のフォトダイオード等の受光素子32からなる受光素子群33と、この受光素子群33の受光素子32の配列方向である機体左右方向の一側に配置された発光素子34と、受光素子群33の機体左右方向の他側に配置されたフォトトランジスタ等からなる他側受光素子35とが共通の基板36に取り付けられている。図4にも示すように、受光素子群33の受光素子32は、千鳥状に配置されており、受光素子群33の全体を機体左右方向から挟むように発光素子34と他側受光素子35とが配置されている。なお、受光素子32は、紙幣Sの搬送方向に対し交互に前後となるように配置されている。
【0023】
そして、同じ構造の素子配設部31が二つ、図3に示すように、互いに位相を反転させて、互いの他側受光素子35を近接側に配置した状態で機体左右方向に並べられている。
【0024】
紙幣検出装置30には、両素子配設部31の搬送路25を挟んで対向する位置に、それぞれ導光部材40が、図2に示すように、搬送路25の他側に臨むように配置されている。これら導光部材40も、直線状をなしており、機体左右方向に沿う同一直線上に配置されている。
【0025】
図5および図6に示す導光部材40は、透明材料であるアクリル樹脂等を主体として形成されるプリズムで、素子配設部31の発光素子34と対向しこの発光素子34からの光が導入される光導入部41と、光導入部41から導入された発光素子34の光をその長手方向である機体左右方向に平行な方向に屈曲させる第1屈曲部42と、第1屈曲部42で屈曲された照射光を通過させる本体部43と、第1屈曲部42で屈曲され本体部43で導かれた照射光を他側受光素子35に向けて屈曲させる第2屈曲部44と、素子配設部31の他側受光素子35と対向し第2屈曲部44で屈曲された照射光を他側受光素子35に照射する端部光導出部45とを有している。ここで、本体部43は、素子配設部31の受光素子群33の複数の受光素子32に対向しており、第1屈曲部42で屈曲された発光素子34の照射光を内部の図示略の光反射層で受光素子群33の各受光素子32に向けて略均一に拡散させる。つまり、導光部材40は、素子配設部31の一つの発光素子34の光を搬送路25を介して受光素子群33の複数の受光素子32および他側受光素子35に向け照射する。
【0026】
本体部43は角柱状をなしており、光導入部41および端部光導出部45は本体部43の長手方向に直交する略円柱状をなして本体部45から同じ方向に突出している。第1屈曲部42は本体部43および光導入部41に対して45°でカットされた面状をなしており、第2屈曲部44は本体部43および端部光導出部45に対して45°でカットされた面状をなしている。また、本体部43の素子配設部31と対向する側には両端縁部に面取り46が形成されている。
【0027】
以上により、互いに対向する素子配設部31および導光部材40からなる検出機構48が二組、搬送路25で搬送される紙幣Sの幅方向(長手方向)両側に配置されて紙幣検出装置30を構成している。この紙幣検出装置30は、二組の検出機構48が、搬送路25に対して、同じ一側(紙幣Sの厚さ方向一側)に互いの素子配設部31を、同じ逆側(紙幣Sの厚さ方向逆側)に互いの導光部材40を配置している。なお、搬送路25はジャム発生時に紙幣を取り除くために機体前面側が開閉可能となっており、この開閉揺動側の機体ユニット部分に両導光部材40が配置され、非開閉側の機体ユニット部分に両素子配設部31が配置されている。これにより、紙幣検出装置30は開閉揺動側の機体ユニット部分での配線を不要とし、非揺動側の機体ユニット部分に配線を集中させている。
【0028】
ここで、制御部22は、繰出機構13で一枚ずつ分離されて繰り出された紙幣Sが、紙幣検出装置30を通過する際に、二組の検出機構48のいずれか一方の他側受光素子35の受光状態が受光有りから無しに変化すると、紙幣Sが無しから有りに変化したことを検出し、これにより紙幣Sを計数する。また、制御部22は、一方の検出機構48の受光素子群33の受光素子32の受光状態が受光有りから無しに変化すると、そのうちの最も紙幣幅方向の外側のものが紙幣Sの幅方向の一端を検出したと判定し、同一紙幣に対し他方の検出機構48の受光素子群33の受光素子32の受光状態が受光有りから無しに変化すると、そのうちの最も紙幣幅方向の外側のものが紙幣Sの幅方向の他端を検出したと判定し、これら受光素子32同士の規定の距離から紙幣Sの一端位置と他端位置との距離すなわち幅を判定して券種を判定する。また、同一紙幣の検出中の受光素子群33の受光素子32の受光状態の変化から紙幣Sの斜行等の搬送不良を検出する。紙幣検出装置30による検出結果に基づいて一致すると判定できる券種がない場合(あるいは表示操作部21で指定された券種と一致しない場合)および搬送不良を検出した場合、制御部22は、対象紙幣Sの次の紙幣Sの繰出機構13による繰り出しを停止させ、対象紙幣Sが集積部19に繰り出されるとガイドローラ17および集積車18の駆動を停止させて、表示操作部21にエラー表示を行う。
【0029】
図2および図3に示すように、鑑別部27の紙幣検出装置30よりも下流側には、紙幣パターン検出装置50が設けられている。紙幣パターン検出装置50は、図7および図8に示すように、発光素子(光源)51および受光素子52からなる反射センサ53をこれら発光素子51および受光素子52の配置方向を一致させた状態でこれらの配設方向とは直交する方向に複数一列状に配列したセンサユニット54を図2にも示すように一対有している。
【0030】
図7および図8に示すように、反射センサ53の発受光方向以外の方向は囲壁部56で囲まれており、隣り合う反射センサ53同士の間も囲壁部56で区画されている。また、反射センサ53内の発光素子51と受光素子52との間も仕切壁57で仕切られている。囲壁部56の開口側には透明材からなるカバー58が取り付けられている。
【0031】
そして、同じ構造のセンサユニット54が二つ、図9に示すように、互いに位相を反転させて、一方のセンサユニット54の発光素子51と他方のセンサユニット54の受光素子52とが対向し且つ一方のセンサユニット54の受光素子52と他方のセンサユニット54の発光素子51とが対向するように搬送路25を挟んで配置されている。一方のセンサユニット54の反射センサ53は、検出時に発光素子51を発光させ図9に破線矢印A1で示すように紙幣Sからの反射光を受光素子52で受光することで、紙幣Sの表面および裏面のいずれか一方の反射光を検出することになる。他方のセンサユニット54の反射センサ53は、検出時に発光素子51を発光させ図9に破線矢印A2で示すように紙幣Sからの反射光を受光素子52で受光することで、紙幣Sの表面および裏面のいずれか他方の反射光を検出することになる。
【0032】
また、対向する反射センサ53同士が一方の反射センサ53の発光素子51の発光を図9に破線矢印A3で示すように他方の反射センサ53の受光素子52で受光することで表裏方向一方向の透過光を検出することになり、対向する反射センサ53同士が他方の反射センサ53の発光素子51の発光を図9に破線矢印A4で示すように一方の反射センサ53の受光素子52で受光することで表裏方向逆方向の透過光を検出することになる。
【0033】
そして、制御部22は、搬送路25で搬送中の紙幣Sに対して、一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの表面および裏面のいずれか一方の面の反射光を順次検出する第1の処理と、他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの表面および裏面のいずれか他方の面の反射光を順次検出する第2の処理と、一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの一方向の透過光を検出し他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの他方向の透過光を検出する第3の処理とを一つのセット処理として、このセット処理を紙幣Sの搬送方向の各位置毎に行うことを繰り返すことで、紙幣Sの全体の反射光パターンおよび透過光パターンを検出する。なお、一つのセット処理において、第1の処理と第2の処理とを同時に行い、その後、第3の処理を行うようになっている。
【0034】
具体的に、制御部22は、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングとして、配列の一端の反射センサ53の受光素子52から他端の反射センサ53の受光素子52まで一つずつ順に行うことになり、第2の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングとして、一方のセンサユニット54とは一つ反射センサ53をずらして、配列の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52から他端の反射センサ53の受光素子52まで行き最後に配列の一端の反射センサ53の受光素子52で行うように一つずつ順に行うことになり、その際に、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングを、第2の処理における他方のセンサユニット54の配列方向の位置が隣り合う反射センサ53の受光素子52の検出タイミングと一致させることになる。
【0035】
つまり、一つのセット処理における第1の処理および第2の処理として、図10(a)に示すように、一方のセンサユニット54において一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、これと同時に、他方のセンサユニット54において同じ一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行ってから、次に、図10(b)に示すように、一方のセンサユニット54において一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、これと同時に、他方のセンサユニット54において同じ一端から三番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端から三番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行う、というように順に行って、最後に、図10(c)に示すように、一方のセンサユニット54において他端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ他端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、これと同時に、他方のセンサユニット54の一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端の反射センサ53の受光素子52で受光を行って、一つのセット処理における第1の処理および第2の処理を終了することになる。
【0036】
また、制御部22は、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを、配列の一端の反射センサ53の受光素子52から他端の反射センサ53の受光素子52まで一つずつ順に行うことになり、第3の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングを、配列の同じ一端の反射センサ53の受光素子52から他端の反射センサ53の受光素子52まで一つずつ順に行うことになり、しかも、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングと第3の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングとを、一方のセンサユニット54と他方のセンサユニット54とで交互とすることになることになる。
【0037】
つまり、第3の処理では、図11(a)に示すように、他方のセンサユニット54の一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ一方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、次に、図11(b)に示すように、一方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ他方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、次に、図11(c)に示すように、他方のセンサユニット54の一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ一方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、次に、図11(d)に示すように、一方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ他方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行う、というように順に行って、最後から二番目で、他方のセンサユニット54の他端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ一方のセンサユニット54の同じ他端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、最後に、一方のセンサユニット54の同じ他端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ他方のセンサユニット54の同じ他端の反射センサ53の受光素子52で受光を行って、一つのセット処理における第3の処理を終了することになる。
【0038】
ここで、制御部22は、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の配列方向の個々の位置の検出データに、第3の処理における他方のセンサユニット54の配列方向における位置が合う反射センサ53の検出データを、加算または平均化して配列方向の個々の位置の透過光データとする。つまり、図11(a)に示すように他方のセンサユニット54の一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行った際の一方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の受光素子52での受光データと、図11(b)に示すように一方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行った際の他方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の受光素子52で行った受光データとを加算または平均化して一端の受光データとし、図11(c)に示すように他方のセンサユニット54の一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行った際の一方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52での受光データと、図11(d)に示すように一方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行った際の他方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で行った受光データとを例えば加算または平均化して一端から二番目の受光データとする、というように順に行う。
【0039】
そして、制御部22は、複数のセット処理で得られた紙幣Sの表面および裏面のいずれか一方の面の反射光データで作成されるパターンデータと紙幣検出装置30で得られた券種(あるいは表示操作部21で指定された券種)の表面および裏面のいずれか一方の面のマスタデータとの一致度を高い方で判定し、複数のセット処理で得られた紙幣Sの表面および裏面のいずれか他方の面の反射光データで作成されたパターンデータと、同じ券種の表面および裏面のいずれか他方の面のマスタデータとの一致度を判定し、複数のセット処理で得られた紙幣Sの透過光データで作成されるパターンデータと、同じ券種のマスタデータとの一致度を判定する。そして、すべての一致度が許容範囲にあれば、紙幣検出装置30で得られた券種の紙幣と判定し、いずれか一つの一致度が許容範囲になければ、制御部22は、紙幣検出装置30で得られた券種の紙幣と判定せず、この対象紙幣の次の紙幣の繰出機構13による繰り出しを停止させ、対象紙幣が集積部19に繰り出されるとガイドローラ17および集積車18の駆動を停止させて、表示操作部21にエラー表示を行う。
【0040】
以上に述べた本実施形態の紙幣処理機11によれば、その紙幣検出装置30が、紙幣Sの搬送路25の一側に臨んで配置された素子配設部31の発光素子34が発光すると、その照射光を、搬送路25を挟んで対向配置された導光部材40が、第1屈曲部42によって発光素子群33の発光素子34の配列方向と平行な方向に屈曲させることで受光素子群33に向けて略均一に拡散させることになり、受光素子群33を構成する複数の受光素子32のオンオフで紙幣Sの幅方向の端部位置を検出できる。また、導光部材40が、第1屈曲部42で屈曲された照射光を第2屈曲部44で他側受光素子35に向けて屈曲させることになり、他側受光素子35のオンオフで紙幣Sの有無を検出できる。よって、発光素子34および導光部材40が、受光素子群33の複数の受光素子32および他側受光素子35に対する共通の光源になる。したがって、一つの発光素子34と導光部材40とで複数の受光素子32および他側受光素子35用の光源を構成するため、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。しかも、紙幣Sの搬送路25の一側の素子配設部31に受光素子群33と発光素子34と他側受光素子35とを配置するため、これらを駆動するための配線類が搬送路25の一側(非揺動の機体ユニット部分)に纏められることになり、搬送路25の逆側(開閉揺動する機体ユニット部分)には、これらを駆動するための配線類が不要となる。したがって、この点からも、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。
【0041】
また、互いに対向する素子配設部31および導光部材40からなる検出機構48を二組、互いの他側受光素子35を近接側に配置した状態で並べることで、一方の検出機構48の受光素子群33で紙幣Sの幅方向の一端位置を検出し他方の検出機構48の受光素子群33で紙幣Sの幅方向の他端位置を検出できる。したがって、紙幣Sの幅方向の両端位置を検出でき、搬送状態のチェックおよび券種確認等を行うことができる。
【0042】
また、二組の検出機構48が、搬送路25に対して、同じ一側に互いの素子配設部31を配置しているため、二組の検出機構48の受光素子群33、発光素子34および他側受光素子35を駆動するための配線類が搬送路25の一側(非揺動の機体ユニット部分)に纏められることになり、搬送路25の逆側(開閉揺動する機体ユニット部分)には、これらを駆動するための配線類が不要となる。したがって、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。
【0043】
また、制御部22が、受光素子群33の検出結果に基づいて紙幣Sの端部位置を検出し、他側受光素子35の検出結果に基づいて紙幣Sの有無を判定することになるため、紙幣Sの有無および端部位置を判定することができる。
【0044】
また、制御部22が、二組の検出機構48の少なくともいずれか一方の他側受光素子35による紙幣Sの有無の検出結果に基づいて紙幣Sを計数し、二組の検出機構48の両方の受光素子群33による紙幣Sの端部位置の検出結果に基づいて紙幣Sの幅を判定し券種を判定することになるため、紙幣Sの有無、幅および券種を判定することができる。
【0045】
加えて、本実施形態の紙幣処理機11によれば、紙幣パターン検出装置50が、一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの一方の面の反射光を順次検出する第1の処理と、他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの他方の面の反射光を順次検出する第2の処理と、一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの一方向の透過光を検出し他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの他方向の透過光を検出する第3の処理とを行うため、反射センサ53の数つまり画素数が少なくても、良好な識別性能が得られる。しかも、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを、第2の処理における他方のセンサユニット54の配列方向の位置の異なる反射センサ53の検出タイミングと一致させるため、互いの影響を排除しつつパターンの読み取り時間を短くできる。
【0046】
また、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを配列の順とし、第2の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを、一方のセンサユニット54とは一つずらした配列の順とすることで、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを、第2の処理における他方のセンサユニット54の配列方向の位置が隣り合う反射センサ53の検出タイミングと一致させることになるため、制御を容易に行うことができる。
【0047】
また、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを配列の順とし、第3の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを配列の順として、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングと第3の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングとを、一方のセンサユニット54と他方のセンサユニット54とで交互とすることになるため、制御を容易に行うことができる。
【0048】
また、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の配列方向の個々の位置の検出データに、第3の処理における他方のセンサユニット54の配列方向における位置が合う反射センサ53の検出データを、加算または平均化して配列方向の個々の位置の透過光データとすることになるため、ノイズ等の影響を抑制し透過光データを安定させることができる。
【符号の説明】
【0049】
11 紙幣処理機
22 制御部(制御手段)
25 搬送路
27 鑑別部
30 紙幣検出装置
31 素子配設部
32 受光素子
33 受光素子群
34 発光素子
35 他側受光素子
40 導光部材
48 検出機構
S 紙幣
50 紙幣パターン検出装置
51 発光素子(光源)
52 受光素子
53 反射センサ
54 センサユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される紙幣を検出する紙幣検出センサと、搬送される紙幣の幅方向(搬送直交方向)の端部位置を検出する幅センサとによって、紙幣の計数、搬送状態のチェックおよび券種確認等を行う紙幣計数機がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−16287号公報
【特許文献2】実開昭56−161507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙幣検出センサおよび幅センサは、いずれも、発光素子と受光素子とが紙幣の搬送路を挟んで両側に配置され、発光素子の光が搬送路で搬送中の紙幣で遮光され受光素子で受光できなくなることで紙幣を検出するものであるため、発光素子および受光素子の組が複数必要であり、また、発光素子および受光素子を駆動するための配線類が搬送路を挟んで両側に必要であって、その配索構造が複雑化するとともにコストが増大しさらに大型化してしまうという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、簡素化、低コスト化および小型化が図れる紙幣処理機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、紙幣の搬送路の一側に臨んで配置され、紙幣の搬送方向と直交する方向に配列された複数の受光素子からなる受光素子群と、該受光素子群の前記配列の方向の一側に配置された発光素子と、前記受光素子群の前記配列の方向の他側に配置された他側受光素子とを有する素子配設部と、前記搬送路を挟んで前記素子配設部に対向して配置され、前記発光素子の照射光を前記配列の方向と平行な方向に屈曲させる第1屈曲部と該第1屈曲部で屈曲された照射光を前記他側受光素子に向けて屈曲させる第2屈曲部とを有するとともに前記第1屈曲部で屈曲された照射光を前記受光素子群に向けて略均一に拡散させる導光部材とを有することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、互いに対向する前記素子配設部および前記導光部材からなる検出機構を二組、互いの前記他側受光素子を近接側に配置した状態で前記配列の方向に並べてなることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記二組の検出機構が、前記搬送路に対して、同じ一側に互いの前記素子配設部を、同じ逆側に互いの前記導光部材を配置してなることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記受光素子群の検出結果に基づいて紙幣の端部位置を検出し、前記他側受光素子の検出結果に基づいて紙幣の有無を判定する制御手段を有することを特徴としている。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記二組の検出機構の少なくともいずれか一方の前記他側受光素子による紙幣の有無の検出結果に基づいて紙幣を計数し、前記二組の検出機構の両方の前記受光素子群による紙幣の端部位置の検出結果に基づいて紙幣の幅を判定し券種を判定する制御手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、紙幣の搬送路の一側に臨んで配置された素子配設部の発光素子が発光すると、その照射光を、搬送路を挟んで対向配置された導光部材が、第1屈曲部によって発光素子群の素子の配列方向と平行な方向に屈曲させることで受光素子群に向けて略均一に拡散させることになり、受光素子群を構成する複数の受光素子のオンオフで紙幣の幅方向の端部位置を検出できる。また、導光部材が、第1屈曲部で屈曲された照射光を第2屈曲部で他側受光素子に向けて屈曲させることになり、他側受光素子のオンオフで紙幣の有無を検出できる。よって、発光素子および導光部材が、受光素子群の複数の受光素子および他側受光素子に対する光源になる。したがって、一つの発光素子と導光部材とで複数の受光素子用の光源を構成するため、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。しかも、紙幣の搬送路の一側の素子配設部に受光素子群と発光素子と他側受光素子とを配置するため、これらを駆動するための配線類が搬送路の一側に纏められることになり、搬送路の逆側には、これらを駆動するための配線類が不要となる。したがって、この点からも、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、互いに対向する素子配設部および導光部材からなる検出機構を二組、互いの他側受光素子を近接側に配置した状態で並べることで、一方の検出機構の受光素子群で紙幣の幅方向の一端位置を検出し他方の検出機構の受光素子群で紙幣の幅方向の他端位置を検出できる。したがって、紙幣の幅方向の両端位置を検出でき、搬送状態のチェックおよび券種確認等を行うことができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、二組の検出機構が、搬送路に対して、同じ一側に互いの素子配設部を配置しているため、二組の検出機構の受光素子群、発光素子および他側受光素子を駆動するための配線類が搬送路の一側に纏められることになり、搬送路の逆側には、これらを駆動するための配線類が不要となる。したがって、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、制御手段が、受光素子群の検出結果に基づいて紙幣の端部位置を検出し、他側受光素子の検出結果に基づいて紙幣の有無を判定することになるため、紙幣の有無および端部位置を判定することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、制御手段が、二組の検出機構の少なくともいずれか一方の他側受光素子による紙幣の有無の検出結果に基づいて紙幣を計数し、二組の検出機構の両方の受光素子群による紙幣の端部位置の検出結果に基づいて紙幣の幅を判定し券種を判定することになるため、紙幣の有無、幅および券種を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の鑑別部を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の鑑別部の一側を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の素子配設部を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の導光部材を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の導光部材を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機のセンサユニットを示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の反射センサを示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の対向配置された反射センサを示す断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の一対のセンサユニットの検出タイミングを説明するための概略平面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る紙幣処理機の一対のセンサユニットの検出タイミングを説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る紙幣処理機を図面を参照して以下に説明する。
図1は本実施形態に係る卓上型の紙幣処理機11を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、紙幣処理機11には、機体上部の前面側に、紙幣Sが長手方向を機体左右方向にして上下方向に複数枚集積された状態で装填される装填部12が設けられている。装填部12の下部には集積された紙幣Sを一枚ずつ分離して機内に繰り出す繰出機構13が設けられている。この繰出機構13は、蹴出ローラ14で蹴り出した紙幣Sを一対の繰出ローラ15,15の間から後下がり方向に繰り出すことになり、繰出機構13の斜め下方に設けられたガイド部材16とガイドローラ17との間に送り込む。ガイドローラ17は送り込まれた紙幣Sを前下がり方向に送り出し、その前方の集積車18に受け渡す。集積車18は、受け取った紙幣Sを機体下部前面側の集積部19に繰り出して、機外に取り出し可能となるように機体前後方向に集積させる。紙幣処理機11には、紙幣装填部12よりも機体前面側に、操作者に対して表示を行うとともに操作者の操作入力を受け付ける表示操作部21と、紙幣処理機11を制御する制御部(制御手段)22とが設けられている。
【0019】
一対の繰出ローラ15,15の間位置と、ガイド部材16とガイドローラ17との間位置とを結んで、紙幣Sを搬送する搬送路25が形成されており、この搬送路25は、搬送路25で搬送中の紙幣Sを鑑別するための鑑別部27に形成されている。搬送路25は、紙幣Sを機体左右方向に長手方向(幅方向)を沿わせた姿勢で後下がりに搬送する。
【0020】
装填部12に紙幣Sが集積状態で装填されて、表示操作部21にスタート操作が入力されると、制御部22は、繰出機構13、ガイドローラ17および集積車18を駆動し、装填部12の紙幣Sを一枚ずつ順次鑑別部27で鑑別計数しながら、集積部19に集積させる。装填部12に紙幣Sが無くなったことを図示略のセンサで検出すると、制御部22は、最後の紙幣Sが集積部19に至るタイミングで、繰出機構13、ガイドローラ17および集積車18の駆動を停止させて鑑別部27の鑑別結果を表示操作部21に表示させる。
【0021】
図2に示すように、鑑別部27の上流側には、紙幣検出装置30が設けられている。この紙幣検出装置30には、図3に示すように機体左右両側に離間して一対の素子配設部31が、図2に示すように搬送路25の一側に臨むように配置されている。言い換えれば、一対の素子配設部31が、搬送路25で搬送される紙幣Sの厚さ方向一側に対向するように配置されている。これら素子配設部31は、図3に示すように長方形状をなしており、紙幣Sの搬送方向に直交し機体左右方向に沿う同一直線上に配置されている。
【0022】
素子配設部31には、その長手方向である機体左右方向に配列された複数具体的には8個のフォトダイオード等の受光素子32からなる受光素子群33と、この受光素子群33の受光素子32の配列方向である機体左右方向の一側に配置された発光素子34と、受光素子群33の機体左右方向の他側に配置されたフォトトランジスタ等からなる他側受光素子35とが共通の基板36に取り付けられている。図4にも示すように、受光素子群33の受光素子32は、千鳥状に配置されており、受光素子群33の全体を機体左右方向から挟むように発光素子34と他側受光素子35とが配置されている。なお、受光素子32は、紙幣Sの搬送方向に対し交互に前後となるように配置されている。
【0023】
そして、同じ構造の素子配設部31が二つ、図3に示すように、互いに位相を反転させて、互いの他側受光素子35を近接側に配置した状態で機体左右方向に並べられている。
【0024】
紙幣検出装置30には、両素子配設部31の搬送路25を挟んで対向する位置に、それぞれ導光部材40が、図2に示すように、搬送路25の他側に臨むように配置されている。これら導光部材40も、直線状をなしており、機体左右方向に沿う同一直線上に配置されている。
【0025】
図5および図6に示す導光部材40は、透明材料であるアクリル樹脂等を主体として形成されるプリズムで、素子配設部31の発光素子34と対向しこの発光素子34からの光が導入される光導入部41と、光導入部41から導入された発光素子34の光をその長手方向である機体左右方向に平行な方向に屈曲させる第1屈曲部42と、第1屈曲部42で屈曲された照射光を通過させる本体部43と、第1屈曲部42で屈曲され本体部43で導かれた照射光を他側受光素子35に向けて屈曲させる第2屈曲部44と、素子配設部31の他側受光素子35と対向し第2屈曲部44で屈曲された照射光を他側受光素子35に照射する端部光導出部45とを有している。ここで、本体部43は、素子配設部31の受光素子群33の複数の受光素子32に対向しており、第1屈曲部42で屈曲された発光素子34の照射光を内部の図示略の光反射層で受光素子群33の各受光素子32に向けて略均一に拡散させる。つまり、導光部材40は、素子配設部31の一つの発光素子34の光を搬送路25を介して受光素子群33の複数の受光素子32および他側受光素子35に向け照射する。
【0026】
本体部43は角柱状をなしており、光導入部41および端部光導出部45は本体部43の長手方向に直交する略円柱状をなして本体部45から同じ方向に突出している。第1屈曲部42は本体部43および光導入部41に対して45°でカットされた面状をなしており、第2屈曲部44は本体部43および端部光導出部45に対して45°でカットされた面状をなしている。また、本体部43の素子配設部31と対向する側には両端縁部に面取り46が形成されている。
【0027】
以上により、互いに対向する素子配設部31および導光部材40からなる検出機構48が二組、搬送路25で搬送される紙幣Sの幅方向(長手方向)両側に配置されて紙幣検出装置30を構成している。この紙幣検出装置30は、二組の検出機構48が、搬送路25に対して、同じ一側(紙幣Sの厚さ方向一側)に互いの素子配設部31を、同じ逆側(紙幣Sの厚さ方向逆側)に互いの導光部材40を配置している。なお、搬送路25はジャム発生時に紙幣を取り除くために機体前面側が開閉可能となっており、この開閉揺動側の機体ユニット部分に両導光部材40が配置され、非開閉側の機体ユニット部分に両素子配設部31が配置されている。これにより、紙幣検出装置30は開閉揺動側の機体ユニット部分での配線を不要とし、非揺動側の機体ユニット部分に配線を集中させている。
【0028】
ここで、制御部22は、繰出機構13で一枚ずつ分離されて繰り出された紙幣Sが、紙幣検出装置30を通過する際に、二組の検出機構48のいずれか一方の他側受光素子35の受光状態が受光有りから無しに変化すると、紙幣Sが無しから有りに変化したことを検出し、これにより紙幣Sを計数する。また、制御部22は、一方の検出機構48の受光素子群33の受光素子32の受光状態が受光有りから無しに変化すると、そのうちの最も紙幣幅方向の外側のものが紙幣Sの幅方向の一端を検出したと判定し、同一紙幣に対し他方の検出機構48の受光素子群33の受光素子32の受光状態が受光有りから無しに変化すると、そのうちの最も紙幣幅方向の外側のものが紙幣Sの幅方向の他端を検出したと判定し、これら受光素子32同士の規定の距離から紙幣Sの一端位置と他端位置との距離すなわち幅を判定して券種を判定する。また、同一紙幣の検出中の受光素子群33の受光素子32の受光状態の変化から紙幣Sの斜行等の搬送不良を検出する。紙幣検出装置30による検出結果に基づいて一致すると判定できる券種がない場合(あるいは表示操作部21で指定された券種と一致しない場合)および搬送不良を検出した場合、制御部22は、対象紙幣Sの次の紙幣Sの繰出機構13による繰り出しを停止させ、対象紙幣Sが集積部19に繰り出されるとガイドローラ17および集積車18の駆動を停止させて、表示操作部21にエラー表示を行う。
【0029】
図2および図3に示すように、鑑別部27の紙幣検出装置30よりも下流側には、紙幣パターン検出装置50が設けられている。紙幣パターン検出装置50は、図7および図8に示すように、発光素子(光源)51および受光素子52からなる反射センサ53をこれら発光素子51および受光素子52の配置方向を一致させた状態でこれらの配設方向とは直交する方向に複数一列状に配列したセンサユニット54を図2にも示すように一対有している。
【0030】
図7および図8に示すように、反射センサ53の発受光方向以外の方向は囲壁部56で囲まれており、隣り合う反射センサ53同士の間も囲壁部56で区画されている。また、反射センサ53内の発光素子51と受光素子52との間も仕切壁57で仕切られている。囲壁部56の開口側には透明材からなるカバー58が取り付けられている。
【0031】
そして、同じ構造のセンサユニット54が二つ、図9に示すように、互いに位相を反転させて、一方のセンサユニット54の発光素子51と他方のセンサユニット54の受光素子52とが対向し且つ一方のセンサユニット54の受光素子52と他方のセンサユニット54の発光素子51とが対向するように搬送路25を挟んで配置されている。一方のセンサユニット54の反射センサ53は、検出時に発光素子51を発光させ図9に破線矢印A1で示すように紙幣Sからの反射光を受光素子52で受光することで、紙幣Sの表面および裏面のいずれか一方の反射光を検出することになる。他方のセンサユニット54の反射センサ53は、検出時に発光素子51を発光させ図9に破線矢印A2で示すように紙幣Sからの反射光を受光素子52で受光することで、紙幣Sの表面および裏面のいずれか他方の反射光を検出することになる。
【0032】
また、対向する反射センサ53同士が一方の反射センサ53の発光素子51の発光を図9に破線矢印A3で示すように他方の反射センサ53の受光素子52で受光することで表裏方向一方向の透過光を検出することになり、対向する反射センサ53同士が他方の反射センサ53の発光素子51の発光を図9に破線矢印A4で示すように一方の反射センサ53の受光素子52で受光することで表裏方向逆方向の透過光を検出することになる。
【0033】
そして、制御部22は、搬送路25で搬送中の紙幣Sに対して、一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの表面および裏面のいずれか一方の面の反射光を順次検出する第1の処理と、他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの表面および裏面のいずれか他方の面の反射光を順次検出する第2の処理と、一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの一方向の透過光を検出し他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの他方向の透過光を検出する第3の処理とを一つのセット処理として、このセット処理を紙幣Sの搬送方向の各位置毎に行うことを繰り返すことで、紙幣Sの全体の反射光パターンおよび透過光パターンを検出する。なお、一つのセット処理において、第1の処理と第2の処理とを同時に行い、その後、第3の処理を行うようになっている。
【0034】
具体的に、制御部22は、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングとして、配列の一端の反射センサ53の受光素子52から他端の反射センサ53の受光素子52まで一つずつ順に行うことになり、第2の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングとして、一方のセンサユニット54とは一つ反射センサ53をずらして、配列の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52から他端の反射センサ53の受光素子52まで行き最後に配列の一端の反射センサ53の受光素子52で行うように一つずつ順に行うことになり、その際に、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングを、第2の処理における他方のセンサユニット54の配列方向の位置が隣り合う反射センサ53の受光素子52の検出タイミングと一致させることになる。
【0035】
つまり、一つのセット処理における第1の処理および第2の処理として、図10(a)に示すように、一方のセンサユニット54において一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、これと同時に、他方のセンサユニット54において同じ一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行ってから、次に、図10(b)に示すように、一方のセンサユニット54において一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、これと同時に、他方のセンサユニット54において同じ一端から三番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端から三番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行う、というように順に行って、最後に、図10(c)に示すように、一方のセンサユニット54において他端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ他端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、これと同時に、他方のセンサユニット54の一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ同じ一端の反射センサ53の受光素子52で受光を行って、一つのセット処理における第1の処理および第2の処理を終了することになる。
【0036】
また、制御部22は、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを、配列の一端の反射センサ53の受光素子52から他端の反射センサ53の受光素子52まで一つずつ順に行うことになり、第3の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングを、配列の同じ一端の反射センサ53の受光素子52から他端の反射センサ53の受光素子52まで一つずつ順に行うことになり、しかも、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングと第3の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の受光素子52の個々の検出タイミングとを、一方のセンサユニット54と他方のセンサユニット54とで交互とすることになることになる。
【0037】
つまり、第3の処理では、図11(a)に示すように、他方のセンサユニット54の一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ一方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、次に、図11(b)に示すように、一方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ他方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、次に、図11(c)に示すように、他方のセンサユニット54の一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ一方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、次に、図11(d)に示すように、一方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ他方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で受光を行う、というように順に行って、最後から二番目で、他方のセンサユニット54の他端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ一方のセンサユニット54の同じ他端の反射センサ53の受光素子52で受光を行い、最後に、一方のセンサユニット54の同じ他端の反射センサ53の発光素子51で発光を行い且つ他方のセンサユニット54の同じ他端の反射センサ53の受光素子52で受光を行って、一つのセット処理における第3の処理を終了することになる。
【0038】
ここで、制御部22は、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の配列方向の個々の位置の検出データに、第3の処理における他方のセンサユニット54の配列方向における位置が合う反射センサ53の検出データを、加算または平均化して配列方向の個々の位置の透過光データとする。つまり、図11(a)に示すように他方のセンサユニット54の一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行った際の一方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の受光素子52での受光データと、図11(b)に示すように一方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の発光素子51で発光を行った際の他方のセンサユニット54の同じ一端の反射センサ53の受光素子52で行った受光データとを加算または平均化して一端の受光データとし、図11(c)に示すように他方のセンサユニット54の一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行った際の一方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52での受光データと、図11(d)に示すように一方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の発光素子51で発光を行った際の他方のセンサユニット54の同じ一端から二番目の反射センサ53の受光素子52で行った受光データとを例えば加算または平均化して一端から二番目の受光データとする、というように順に行う。
【0039】
そして、制御部22は、複数のセット処理で得られた紙幣Sの表面および裏面のいずれか一方の面の反射光データで作成されるパターンデータと紙幣検出装置30で得られた券種(あるいは表示操作部21で指定された券種)の表面および裏面のいずれか一方の面のマスタデータとの一致度を高い方で判定し、複数のセット処理で得られた紙幣Sの表面および裏面のいずれか他方の面の反射光データで作成されたパターンデータと、同じ券種の表面および裏面のいずれか他方の面のマスタデータとの一致度を判定し、複数のセット処理で得られた紙幣Sの透過光データで作成されるパターンデータと、同じ券種のマスタデータとの一致度を判定する。そして、すべての一致度が許容範囲にあれば、紙幣検出装置30で得られた券種の紙幣と判定し、いずれか一つの一致度が許容範囲になければ、制御部22は、紙幣検出装置30で得られた券種の紙幣と判定せず、この対象紙幣の次の紙幣の繰出機構13による繰り出しを停止させ、対象紙幣が集積部19に繰り出されるとガイドローラ17および集積車18の駆動を停止させて、表示操作部21にエラー表示を行う。
【0040】
以上に述べた本実施形態の紙幣処理機11によれば、その紙幣検出装置30が、紙幣Sの搬送路25の一側に臨んで配置された素子配設部31の発光素子34が発光すると、その照射光を、搬送路25を挟んで対向配置された導光部材40が、第1屈曲部42によって発光素子群33の発光素子34の配列方向と平行な方向に屈曲させることで受光素子群33に向けて略均一に拡散させることになり、受光素子群33を構成する複数の受光素子32のオンオフで紙幣Sの幅方向の端部位置を検出できる。また、導光部材40が、第1屈曲部42で屈曲された照射光を第2屈曲部44で他側受光素子35に向けて屈曲させることになり、他側受光素子35のオンオフで紙幣Sの有無を検出できる。よって、発光素子34および導光部材40が、受光素子群33の複数の受光素子32および他側受光素子35に対する共通の光源になる。したがって、一つの発光素子34と導光部材40とで複数の受光素子32および他側受光素子35用の光源を構成するため、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。しかも、紙幣Sの搬送路25の一側の素子配設部31に受光素子群33と発光素子34と他側受光素子35とを配置するため、これらを駆動するための配線類が搬送路25の一側(非揺動の機体ユニット部分)に纏められることになり、搬送路25の逆側(開閉揺動する機体ユニット部分)には、これらを駆動するための配線類が不要となる。したがって、この点からも、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。
【0041】
また、互いに対向する素子配設部31および導光部材40からなる検出機構48を二組、互いの他側受光素子35を近接側に配置した状態で並べることで、一方の検出機構48の受光素子群33で紙幣Sの幅方向の一端位置を検出し他方の検出機構48の受光素子群33で紙幣Sの幅方向の他端位置を検出できる。したがって、紙幣Sの幅方向の両端位置を検出でき、搬送状態のチェックおよび券種確認等を行うことができる。
【0042】
また、二組の検出機構48が、搬送路25に対して、同じ一側に互いの素子配設部31を配置しているため、二組の検出機構48の受光素子群33、発光素子34および他側受光素子35を駆動するための配線類が搬送路25の一側(非揺動の機体ユニット部分)に纏められることになり、搬送路25の逆側(開閉揺動する機体ユニット部分)には、これらを駆動するための配線類が不要となる。したがって、簡素化、低コスト化および小型化が図れる。
【0043】
また、制御部22が、受光素子群33の検出結果に基づいて紙幣Sの端部位置を検出し、他側受光素子35の検出結果に基づいて紙幣Sの有無を判定することになるため、紙幣Sの有無および端部位置を判定することができる。
【0044】
また、制御部22が、二組の検出機構48の少なくともいずれか一方の他側受光素子35による紙幣Sの有無の検出結果に基づいて紙幣Sを計数し、二組の検出機構48の両方の受光素子群33による紙幣Sの端部位置の検出結果に基づいて紙幣Sの幅を判定し券種を判定することになるため、紙幣Sの有無、幅および券種を判定することができる。
【0045】
加えて、本実施形態の紙幣処理機11によれば、紙幣パターン検出装置50が、一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの一方の面の反射光を順次検出する第1の処理と、他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの他方の面の反射光を順次検出する第2の処理と、一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの一方向の透過光を検出し他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53によって紙幣Sの他方向の透過光を検出する第3の処理とを行うため、反射センサ53の数つまり画素数が少なくても、良好な識別性能が得られる。しかも、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを、第2の処理における他方のセンサユニット54の配列方向の位置の異なる反射センサ53の検出タイミングと一致させるため、互いの影響を排除しつつパターンの読み取り時間を短くできる。
【0046】
また、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを配列の順とし、第2の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを、一方のセンサユニット54とは一つずらした配列の順とすることで、第1の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを、第2の処理における他方のセンサユニット54の配列方向の位置が隣り合う反射センサ53の検出タイミングと一致させることになるため、制御を容易に行うことができる。
【0047】
また、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを配列の順とし、第3の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングを配列の順として、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングと第3の処理における他方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の個々の検出タイミングとを、一方のセンサユニット54と他方のセンサユニット54とで交互とすることになるため、制御を容易に行うことができる。
【0048】
また、第3の処理における一方のセンサユニット54の複数の反射センサ53の配列方向の個々の位置の検出データに、第3の処理における他方のセンサユニット54の配列方向における位置が合う反射センサ53の検出データを、加算または平均化して配列方向の個々の位置の透過光データとすることになるため、ノイズ等の影響を抑制し透過光データを安定させることができる。
【符号の説明】
【0049】
11 紙幣処理機
22 制御部(制御手段)
25 搬送路
27 鑑別部
30 紙幣検出装置
31 素子配設部
32 受光素子
33 受光素子群
34 発光素子
35 他側受光素子
40 導光部材
48 検出機構
S 紙幣
50 紙幣パターン検出装置
51 発光素子(光源)
52 受光素子
53 反射センサ
54 センサユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の搬送路の一側に臨んで配置され、紙幣の搬送方向と直交する方向に配列された複数の受光素子からなる受光素子群と、該受光素子群の前記配列の方向の一側に配置された発光素子と、前記受光素子群の前記配列の方向の他側に配置された他側受光素子とを有する素子配設部と、
前記搬送路を挟んで前記素子配設部に対向して配置され、前記発光素子の照射光を前記配列の方向と平行な方向に屈曲させる第1屈曲部と該第1屈曲部で屈曲された照射光を前記他側受光素子に向けて屈曲させる第2屈曲部とを有するとともに前記第1屈曲部で屈曲された照射光を前記受光素子群に向けて略均一に拡散させる導光部材とを有することを特徴とする紙幣処理機。
【請求項2】
互いに対向する前記素子配設部および前記導光部材からなる検出機構を二組、互いの前記他側受光素子を近接側に配置した状態で前記配列の方向に並べてなることを特徴とする請求項1記載の紙幣処理機。
【請求項3】
前記二組の検出機構が、前記搬送路に対して、同じ一側に互いの前記素子配設部を、同じ逆側に互いの前記導光部材を配置してなることを特徴とする請求項2記載の紙幣処理機。
【請求項4】
前記受光素子群の検出結果に基づいて紙幣の端部位置を検出し、前記他側受光素子の検出結果に基づいて紙幣の有無を判定する制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の紙幣処理機。
【請求項5】
前記二組の検出機構の少なくともいずれか一方の前記他側受光素子による紙幣の有無の検出結果に基づいて紙幣を計数し、前記二組の検出機構の両方の前記受光素子群による紙幣の端部位置の検出結果に基づいて紙幣の幅を判定し券種を判定する制御手段を有することを特徴とする請求項2または3記載の紙幣処理機。
【請求項1】
紙幣の搬送路の一側に臨んで配置され、紙幣の搬送方向と直交する方向に配列された複数の受光素子からなる受光素子群と、該受光素子群の前記配列の方向の一側に配置された発光素子と、前記受光素子群の前記配列の方向の他側に配置された他側受光素子とを有する素子配設部と、
前記搬送路を挟んで前記素子配設部に対向して配置され、前記発光素子の照射光を前記配列の方向と平行な方向に屈曲させる第1屈曲部と該第1屈曲部で屈曲された照射光を前記他側受光素子に向けて屈曲させる第2屈曲部とを有するとともに前記第1屈曲部で屈曲された照射光を前記受光素子群に向けて略均一に拡散させる導光部材とを有することを特徴とする紙幣処理機。
【請求項2】
互いに対向する前記素子配設部および前記導光部材からなる検出機構を二組、互いの前記他側受光素子を近接側に配置した状態で前記配列の方向に並べてなることを特徴とする請求項1記載の紙幣処理機。
【請求項3】
前記二組の検出機構が、前記搬送路に対して、同じ一側に互いの前記素子配設部を、同じ逆側に互いの前記導光部材を配置してなることを特徴とする請求項2記載の紙幣処理機。
【請求項4】
前記受光素子群の検出結果に基づいて紙幣の端部位置を検出し、前記他側受光素子の検出結果に基づいて紙幣の有無を判定する制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の紙幣処理機。
【請求項5】
前記二組の検出機構の少なくともいずれか一方の前記他側受光素子による紙幣の有無の検出結果に基づいて紙幣を計数し、前記二組の検出機構の両方の前記受光素子群による紙幣の端部位置の検出結果に基づいて紙幣の幅を判定し券種を判定する制御手段を有することを特徴とする請求項2または3記載の紙幣処理機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−165229(P2010−165229A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7685(P2009−7685)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(500267170)ローレル機械株式会社 (86)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(500267170)ローレル機械株式会社 (86)
【Fターム(参考)】
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