説明

紙幣処理装置および金銭処理装置

【課題】 出金保留部の設置スペースを抑えつつ紙幣出金口への送り出しを可能にする小型の紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】 出金保留部に一時保留された紙幣を紙幣出金口へ送り出すときに、搬送ベルトへ紙幣を押し付ける出金紙幣押圧部130を、ステージ140と、パンタグラフと、このパンタグラフに作用してステージ140を昇降させるカムフォロア145、カム155とで構成し、カム155の駆動力を、入金紙幣搬送部の取り込みローラ103を駆動するモータ104から得るようにして専用の駆動源の設置スペースを不要にした。取り込みローラ103から駆動力が伝達されるギヤ152にワンウエイクラッチ153を設け、取り込みローラ103が入金された紙幣を取り込むときの回転方向と逆方向に回転させた場合のみステージ140が昇降するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙幣処理装置および金銭処理装置に関し、特にセルフサービス方式のガソリンスタンドに設置されている給油ポンプのように組み込みスペースの小さな本体装置に搭載することができる小型化された紙幣処理装置および金銭処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばガソリンスタンドなどでは、給油した量に応じて現金の入出金処理を行うが、特にセルフサービス方式のガソリンスタンドにおいては、ガソリンの給油から清算までを利用者自身が行うことになっている。そのため、利用者は、その給油を行う場所において給油から清算までのすべての操作をできることが望ましい。しかし、現金の入出金処理を行う部分に関しては、給油ポンプの大きさがある程度決まっているため、その中に、紙幣および硬貨を取り扱う装置を組み込むスペースに制約がある。
【0003】
そこで、従来の給油ポンプでは、紙幣の入出金処理を行う紙幣処理装置のみが搭載されており、小額の釣銭があるとき、または硬貨による清算を行う場合には、別の場所に併設された清算機もしくは店内で釣銭の清算を行うようにしている。
【0004】
その清算機などには、釣銭処理を行うことができる硬貨処理装置が設けられていて、入金された硬貨の金種を判別し、判別された金種に応じて収納するとともに、収納された硬貨の中から該当する金種および枚数分の硬貨が釣銭として払い出しできるようになっている。
【0005】
このような硬貨処理装置においては、入金された硬貨を釣銭として再利用するために硬貨収納庫は金種別の硬貨チューブを備えていて金種別に収納するようにしており、その金種別の収納に先立って入金された硬貨の振り分けを行う振分装置を搭載している。振分装置にて振り分けられた硬貨は、その下部に開口するように配置された硬貨チューブ内に落下して金種別に収納される。
【0006】
釣銭が必要な場合は、収納庫の該当金種のチューブから硬貨が1枚ずつ必要枚数だけ払い出され、払い出された硬貨は硬貨出金搬送部にて硬貨取出口まで搬送され、釣銭として出金される。
【0007】
このような硬貨処理装置は、流通している硬貨の全金種を取り扱うことができるもので、スーパーマーケットなどで用いられているキャッシュドロアと連動して動作する釣銭機と同様な機器構成が採用されている。
【0008】
一方、給油ポンプ内に搭載された紙幣処理装置においても、入金された紙幣を識別して紙幣収納庫へ収納し、釣銭が必要な場合には、紙幣収納庫から該当金種の釣銭紙幣を必要枚数払い出す構成になっている。このような紙幣処理装置は、入金された紙幣を鑑別後、金種別に収納する複数の紙幣収納庫を有している。その紙幣収納庫の少なくとも1つは、入金されて紙幣収納庫に収納されている紙幣を釣銭として再利用できるように、収納紙幣を払い出すことができるリサイクル機能を有している。
【0009】
このような紙幣処理装置は、流通しているすべての金種の紙幣を取り扱うことができるもので、券売機や紙幣自動預け払い機などに搭載されている入出金機と同様な機器構成が採用されている。
【0010】
釣銭を出金するときには、リサイクル機能を持った紙幣収納庫から収納紙幣を1枚ずつ繰り出し、繰り出された紙幣が2枚以上重なっていないかなどのチェックをされた後、出金保留部に保留される。出金保留部に出金に必要な枚数の紙幣が溜まると、これらの紙幣は紙幣出金口へまとめて送り出される。この送り出しは、搬送ベルトに積み重ね状態の紙幣を押し付けることによって行われている。その搬送ベルトへの紙幣の押し付けは、電磁ソレノイドまたはモータを利用して行われている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−103040号公報(段落〔0042〕、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ガソリンスタンドに設置されているような給油ポンプに組み込まれる金銭処理装置では、利用者の利便性から紙幣処理装置だけでなく硬貨処理装置をも一緒に組み込むことが求められており、その場合、その設置スペースが限られているため、特に、紙幣処理装置は、出金保留部において紙幣を搬送ベルトに押し付けるための駆動源である電磁ソレノイドまたはモータを設置することが困難であり、小型化を阻む要因になっているという問題点があった。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、出金保留部の設置スペースを抑えつつ紙幣出金口への送り出しを可能にする小型の紙幣処理装置および金銭処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では上記問題を解決するために、本体装置に接続されて所定の紙幣処理を行う紙幣処理装置において、前面下部に設けられた紙幣投入口から入金された紙幣をモータによって駆動される取り込みローラにより取り込んで入金紙幣鑑別部へ搬送する入金紙幣搬送部と、前記入金紙幣搬送部の上部に隣接してリサイクル機能を有する金庫から繰り出された前記紙幣を一時的に保留するものであって、上部に配置されて保留された前記紙幣を紙幣出金口へ一括して搬送する搬送ベルト、および、下部に配置されて前記紙幣の保留動作時に降下して前記紙幣を出金に必要な枚数に達するまで積み重ね状態で保留する空間を確保し、前記紙幣の前記紙幣出金口への搬送時には上昇して保留されている前記紙幣を前記搬送ベルトへ押し付けるように前記モータによって昇降動作する出金紙幣押圧部を有する出金保留部と、を備えていることを特徴とする紙幣処理装置が提供される。
【0014】
このような紙幣処理装置によれば、出金保留部に溜められた紙幣を搬送ベルトによって紙幣出金口へ搬送する際に、その搬送ベルトへ紙幣を押し付けるように作用する出金紙幣押圧部の駆動力を、入金紙幣搬送部の取り込みローラを駆動するモータから得るように構成したことにより、出金保留部のための専用の駆動源が不要になったので、紙幣処理装置を小型化することができる。
【0015】
また、本発明では、紙幣処理装置と硬貨処理装置とを一体に備え、本体装置に接続されて所定の金銭処理を行う金銭処理装置において、前記紙幣処理装置は、前面下部に設けられた紙幣投入口から入金された紙幣をモータによって駆動される取り込みローラにより取り込んで入金紙幣鑑別部へ搬送する入金紙幣搬送部と、前記入金搬送部の上部に隣接してリサイクル機能を有する金庫から繰り出された前記紙幣を一時的に保留するものであって、上部に配置されて保留された前記紙幣を紙幣出金口へ一括して搬送する搬送ベルト、および、下部に配置されて前記紙幣の保留動作時に降下して前記紙幣を出金に必要な枚数に達するまで積み重ね状態で保留する空間を確保し、前記紙幣の前記紙幣出金口への搬送時には上昇して保留されている前記紙幣を前記搬送ベルトへ押し付けるように前記モータによって昇降動作する出金紙幣押圧部を有する出金保留部とを備え、前記硬貨処理装置は、上下に延びるように設けられ、奥行き方向に複数並設された釣銭チューブと、前記釣銭チューブの手前側に並ぶように上下に延設され、前面下部に設けられた硬貨投入口から投入された硬貨を上方に搬送するリフタ部と、前記リフタ部の搬送通路の中間に設けられ、搬送される硬貨を識別する硬貨識別部と、前記リフタ部の上端部近傍から前記釣銭チューブの上方を奥行き方向に延び、前記リフタ部から前記硬貨を受け取って搬送し、対応する釣銭チューブに振り分ける硬貨振分部と、前記釣銭チューブの下方に奥行き方向に延び、いずれかの釣銭チューブから出金された硬貨を前面下部に設けられた硬貨払出口に搬送する出金硬貨搬送部とを備えていることを特徴とする金銭処理装置が提供される。
【0016】
この金銭処理装置によれば、出金保留部が、出金用に溜められた紙幣を搬送ベルトによって紙幣出金口へ搬送する際に、その搬送ベルトへ紙幣を押し付けるように作用する出金紙幣押圧部の駆動力を、入金紙幣搬送部の取り込みローラを駆動するモータから得るように構成したことにより、出金保留部のための専用の駆動源が不要になったので、紙幣処理装置を小型化することができる。また、硬貨処理装置については、奥行き方向に複数並設された釣銭チューブを取り囲むように、硬貨を搬送するリフタ部、硬貨振分部および出金硬貨搬送部が配設され、釣銭チューブの手前側の硬貨投入口に近い位置にリフタ部を配置し、リフタ部の途中に硬貨識別部を配置している。これにより、硬貨処理装置の内部を循環する硬貨の動線が最短化され、硬貨処理装置をコンパクトに構成できた。このように、紙幣処理装置および硬貨処理装置のそれぞれが小型化できたことにより、設置スペースの狭い場所でも、紙幣処理装置および硬貨処理装置を一緒に組み込むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の紙幣処理装置は、出金保留部が溜められた紙幣を搬送ベルトによって紙幣出金口へ搬送する際に、その搬送ベルトへ紙幣を押し付けるように作用する出金紙幣押圧部の駆動力を、入金紙幣搬送部の取り込みローラを駆動するモータから得るように構成したことにより、出金保留部のための専用の駆動源の設置スペースを不要にして、紙幣処理装置を小型に構成することができる。また、出金時における出金紙幣押圧部の駆動は、モータを取り込みローラが入金された紙幣を取り込むときの回転方向と逆方向に回転させることで得るようにしたことにより、1つのモータで入金時および出金時のそれぞれの動作を分担して行うことができる。
【0018】
また、本発明の金銭処理装置によれば、紙幣処理装置は、出金保留部の出金紙幣押圧部が入金紙幣搬送部を駆動しているモータを駆動源とするよう構成して専用の駆動源を不要にし、また、硬貨処理装置については、硬貨が最短距離で流れるよう構成要素を配置したことで、それぞれ小型化が可能になり、紙幣および硬貨を取り扱う本体装置の狭いスペースに紙幣処理装置および硬貨処理装置を一緒に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、セルフサービス方式のガソリンスタンドに設置される給油ポンプに搭載するようにした金銭処理装置を例に図面を参照して詳細に説明する。
図1は金銭処理装置の外観を示す説明図である。
【0020】
この金銭処理装置1は、給油ポンプを制御する本体装置に接続されて、ガソリンを所定量単位で販売する際に現金の入出金処理を行う機能を有するものであって、その本体装置には、正面の接客部分が接客側に露出される状態で組み込まれる。金銭処理装置1は、紙幣処理装置と硬貨処理装置とを収容した筐体2を有し、その正面の上部には、表扉3が開閉可能に設けられている。表扉3には、錠4が設けられていて、保守作業を行うとき以外は施錠しておくことができるようになっている。筐体2の正面の下部には、紙幣処理装置および硬貨処理装置の接客部分が露出状態で設けられている。筐体2の中には、正面から見て左側に紙幣処理装置、右側に硬貨処理装置が収容されているので、表扉3の下方の左側には、紙幣を入出金することができる紙幣投入口および紙幣出金口の接客部分が配置されており、これら紙幣投入口および紙幣出金口は、使用時に利用者によって開閉されるカバー5によって覆われている。表扉3の下方の右側には、硬貨を入出金することができる硬貨投入口201および硬貨払出口の接客部分が配置されており、その硬貨払出口は、使用時に利用者によって開閉されるカバー6によって覆われている。
【0021】
次に、この金銭処理装置1に収容されている紙幣処理装置の構成について説明する。
図2は紙幣処理装置の概要を示す内部側面図である。
紙幣処理装置100は、その前面下部に紙幣を1枚ずつ投入する紙幣投入口101を有し、この紙幣投入口101の奥に紙幣投入センサ102が配置されている。この紙幣投入センサ102は、投入された紙幣を取り込むための取り込みローラ103を駆動するモータ104と取り込まれた紙幣を搬送するための入金紙幣搬送部を駆動するモータ105とに連動していて、紙幣の投入を検知した場合に、取り込みローラ103および入金紙幣搬送部を動作させるよう構成されている。取り込みローラ103の下流側には、入金紙幣鑑別部106が配置されている。この入金紙幣鑑別部106は、複数のセンサを備えていて、入金紙幣搬送部によって搬送される紙幣が通過する間に紙幣の真贋判定および金種の識別を行う。紙幣投入センサ102と入金紙幣鑑別部106とは、入金紙幣鑑別部106による紙幣の鑑別が始まると、紙幣の後端が紙幣投入センサ102を抜けるような位置関係になっていて、紙幣投入センサ102が紙幣を検知できなくなった時点で、モータ104は停止され、取り込みローラ103による次の紙幣の取り込みを防止するようにしている。ここで、搬送されてきた紙幣がこの入金紙幣鑑別部106によって正貨と判断されなかった場合、その紙幣は、モータ104,105を逆転動作させることにより、紙幣投入口101へ返却される。
【0022】
入金紙幣搬送部は、モータ107によって駆動されて紙幣を垂直方向に搬送する垂直紙幣搬送部に連絡されている。この垂直紙幣搬送部の下部近傍には、紙幣の通過をゲートの動きによって検出する通過センサ108が配置されており、入金紙幣鑑別部106によって正貨と判断された紙幣の通過を検出する。
【0023】
垂直紙幣搬送部は、その上端が第1の金庫を構成する混合紙幣収納庫109に接続され、中間部が千円紙幣収納庫110に接続され、下端近傍が出金リジェクト庫111および出金保留部112に接続されている。ここで、千円紙幣収納庫110および出金リジェクト庫111は、第2の金庫を構成している。垂直紙幣搬送部の中間部には、搬送されてきた紙幣を混合紙幣収納庫109の方向へ向かわせるか千円紙幣収納庫110の方向へ向かわせるかを切り換えるゲート113を備え、混合紙幣収納庫109および千円紙幣収納庫110の入口には、紙幣の通過を検出する通過センサ114,115がそれぞれ配置されている。
【0024】
混合紙幣収納庫109は、二千円、五千円および一万円の高額紙幣を混合して一括で収納するためのもので、これらの紙幣は、釣銭として再利用されることはない。千円紙幣収納庫110は、入金された最小額の千円紙幣を収納するためのもので、収納されている千円を釣銭として払い出すことができるリサイクル機能を有している。この払い出しのために、千円紙幣収納庫110の上部には、モータ116、サブキックローラ117およびキックローラ118と、ゲート113と通過センサ115との間の搬送通路に配置されたフィードローラ119、阻止ローラ120および出金紙幣鑑別部121とから構成される紙幣繰出部が備えられている。サブキックローラ117、キックローラ118およびフィードローラ119は、千円紙幣収納庫110に対する入出金動作時に正逆方向に回転でき、阻止ローラ120は、ワンウエイクラッチを内蔵していて、紙幣を千円紙幣収納庫110に搬送する方向にのみ回転可能になっている。
【0025】
垂直紙幣搬送部の下端近傍に接続された出金搬送部には、千円紙幣収納庫110から繰り出されてきた紙幣の通過を検知する通過センサ122を備え、その下流側には、搬送されてきた紙幣を出金リジェクト庫111の方向へ向かわせるか出金保留部112の方向へ向かわせるかを切り換えるゲート123を備え、出金リジェクト庫111の入口には、紙幣の通過を検出する通過センサ124が配置されている。出金リジェクト庫111および出金保留部112の入口には、搬送されてきた紙幣の搬送方向後端部を押して出金リジェクト庫111および出金保留部112に押し込むための羽根車125,126がそれぞれ設けられている。
【0026】
出金リジェクト庫111は、千円紙幣収納庫110から繰り出されてきた紙幣が出金紙幣鑑別部121による鑑別の結果、たとえば複数枚重なった状態の紙幣であったり千円以外の金種の紙幣であるなど出金に値しない不適切な紙幣であったりした場合に、そのような紙幣を出金させることなく、別個収納しておくためのものである。
【0027】
出金保留部112は、千円紙幣収納庫110から1枚ずつ繰り出された紙幣を必要枚数になるまで一時的に保留しておくものであって、釣銭に必要な枚数の紙幣が溜まったら、それらの紙幣は、出金搬送部によって紙幣出金口127へまとめて束搬送される。この出金搬送部は、2つのプーリおよびこれらに掛け渡された搬送ベルト136を有し、モータ107によって駆動される。この出金保留部112と紙幣出金口127との間には、出金紙幣の通過および利用者による出金紙幣の引き抜きを検知する通過センサ128と、紙幣出金口127に設けられてその開閉を行うシャッタ129とを備えている。出金保留部112では、保留された紙幣の束を出金搬送部の搬送ベルト136へ下から押し付けることによって紙幣出金口127の方へ搬送するようにしている。そのため、出金保留部112は、搬送ベルト136への紙幣の押し付けを行う出金紙幣押圧部130を備えている。この出金紙幣押圧部130は、入金紙幣の取り込みに用いられるモータ104を駆動源とし、そのモータ104の逆転動作に連動するカム機構により保留されている紙幣に対して接離する方向に往復移動できるようになっている。
【0028】
この紙幣処理装置100は、さらに、混合紙幣収納庫109の収納紙幣の有無を検知するセンサ131、千円紙幣収納庫110の収納紙幣の有無および満杯状態を検知するセンサ132,133、出金リジェクト庫111の収納紙幣の有無を検知するセンサ134、および出金保留部112の収納紙幣の有無を検知するセンサ135を備えている。
【0029】
次に、紙幣処理装置100の出金保留部112における出金紙幣押圧部130の構成について説明する。
図3は出金紙幣押圧部の構成を示す側面図、図4はモータと取り込みローラの関係を示す図3のa−a矢視図、図5は取り込みローラとカムとの関係を示す図3のb−b矢視図である。
【0030】
出金紙幣押圧部130は、出金保留部112の上部に配置された出金搬送部の図示しない搬送ベルト136に対抗するように出金保留部112の下部に配置されている。出金紙幣押圧部130は、搬送ベルト136と平行に配置されるステージ140を有し、そのステージ140の下面には、これを昇降動作させるパンタグラフが設けられている。パンタグラフは、一端がステージ140の紙幣入口(図の左)側の下面に水平方向に移動可能に結合され、他端がこの紙幣処理装置100のフレームに回動自在に固定されたリンク141と、一端がステージ140の紙幣出口(図の右)側の下面に回動自在に固定され、他端が図示はしないがこの紙幣処理装置100のフレームに水平方向に移動可能に結合されリンク142とを有し、これらリンク141,142の交差位置には、軸143が設けられている。
【0031】
リンク141は、その回動軸144と軸143との中間位置にカムフォロア145が回転自在に取り付けられている。このカムフォロア145の下部には、ステージ140を昇降させるカム機構が配置されている。このカム機構の駆動源は、紙幣投入口101の近傍に配置された取り込みローラ103を駆動するモータ104が利用されている。
【0032】
取り込みローラ103は、図4に示したように、回転軸146の中央部に固定されており、その回転軸146の一方の側には、ギヤ147とプーリ148とが固定されている。このプーリ148とモータ104の出力軸に設けられたプーリ149との間には、ベルト150が掛け渡されている。
【0033】
取り込みローラ103の回転軸146に固定されたギヤ147は、図5に示したように、中間のギヤ151を介してギヤ152に噛合されている。このギヤ152は、ワンウエイクラッチ153を内蔵し、このワンウエイクラッチ153を介して回転軸154に連結されている。この回転軸154には、カム155と遮光板156とが固定されている。カム155は、カム曲面がカムフォロア145に当接されており、回転軸154の回転に伴い、カム曲面の形状に倣ってカムフォロア145を昇降させるように動作する。カム155のカム曲面には、これが上死点の位置にあるときにカムフォロア145が安定して乗ることができるくぼみを有している。遮光板156は、図示しないフォトインタラプタと組み合わせられて、カム155が上死点にあるか下死点にあるかを検出する位置検出センサを構成している。
【0034】
また、ステージ140には、押圧ローラ157が設けられている。この押圧ローラ157は、ステージ140に対して上下動するよう構成され、圧縮コイルが内蔵されていて常時上方へ付勢されている。これにより、押圧ローラ157は、ステージ140が上昇したときに、出金紙幣を適正な押圧力で搬送ベルト136に押し付けることができ、紙幣の枚数によって変化する紙幣の束の厚みの変化を吸収している。
【0035】
以上の構成において、まず、紙幣が紙幣投入口101から投入されたときは、それを紙幣投入センサ102が検出し、モータ104は、図3において時計回り方向に回転する。これにより、取り込みローラ103が回転し、紙幣搬送路を介して対向配置された押圧ローラとともに投入された紙幣を内部へ取り込み、入金紙幣鑑別部106へ搬送する。このとき、取り込みローラ103の回転力は、ギヤ147,151を介してギヤ152に伝達されるが、そのギヤ152に内蔵されたワンウエイクラッチ153は、その回転方向では空転して、回転軸154には伝達されない。また、このときは、カム155は、その下死点の位置にあって、ステージ140は、最も下に下がった位置にあり、上部の搬送ベルト136との間に十分な紙幣積み重ね空間を確保している。
【0036】
入金紙幣鑑別部106による入金紙幣の鑑別の結果、正貨と判断されなかったときは、入金紙幣搬送部を駆動するモータ105が逆回転するとともに、モータ104も、図3において反時計回り方向に逆回転する。これにより、正貨と判断されなかった入金紙幣は、紙幣投入口101へ戻される。このとき、取り込みローラ103の回転力は、ギヤ147,151,152およびワンウエイクラッチ153を介して回転軸154に伝達され、カム155が回転してカムフォロア145を昇降させる動作をする。この場合、出金保留部112には出金紙幣はなく、出金搬送部を駆動するモータ107は停止されているので、この出金紙幣押圧部130の動作は、結果的に何もしない空動作である。
【0037】
次に、出金動作のときには、出金保留部112の紙幣積み重ね空間に出金に必要な枚数の紙幣が溜まると、モータ104が図3において反時計回り方向に逆回転する。これにより、取り込みローラ103の回転力がギヤ147,151,152およびワンウエイクラッチ153を介して回転軸154に伝達され、カム155が回転してカムフォロア145を上昇させる。カム155がその上死点に達すると、モータ104が停止されて、図3に示した状態になる。このとき、紙幣出金口127のシャッタ129が開けられているので、ステージ140上に溜まった紙幣は、モータ107によって駆動されている出金搬送部の搬送ベルト136に押圧ローラ157によって押し付けられ、押し付けられた状態のまま、搬送ベルト136によって紙幣出金口127へ搬送される。その紙幣の後端がセンサ135を抜けると、モータ107が停止されて紙幣の搬送が終了し、モータ104は、逆回転を開始してカム155が下死点に到達した時点で停止される。このとき、ステージ140は、カム155のカム曲面に追従して自重により降下しているので、出金紙幣は、出金保留部112内では、搬送ベルト136と押圧ローラ157とによる拘束がなくなり、一部が紙幣出金口127から出た状態になっているので、利用者は、その出金紙幣を容易に引き抜くことができる。そして、出金紙幣の引き抜きが紙幣出金口127の近傍に設置されている通過センサ128が検出すると、シャッタ129が閉じられる。
【0038】
以上のように、出金保留部112では、出金紙幣押圧部130の駆動力を、入金紙幣搬送部を駆動するモータ104から得るように構成した。これにより、出金保留部112のための専用の駆動源が不要になったことで、紙幣処理装置100を小型に構成することができる。また、この実施の形態では、全金種の紙幣を2つの金庫だけで扱えるように構成したことで、さらなる小型化を可能にしている。
【0039】
次に、小型化された紙幣処理装置100とともに給油ポンプの本体装置に組み込むことができるように小型化された硬貨処理装置の構成について説明する。
図6は硬貨処理装置の概要を示す内部側面図である。
【0040】
硬貨処理装置200は、その前面下部に硬貨を1枚ずつ投入する硬貨投入口201を有し、この硬貨投入口201の奥に、投入された硬貨を上方に搬送するリフタ部202、リフタ部202の搬送通路の中間に設けられて硬貨の真贋判定および金種の識別をする硬貨識別部203、識別された硬貨を金種ごとに振り分ける硬貨振分部204、振り分けられた硬貨を金種ごとに収納する硬貨収納部205、および硬貨収納部205から出金された硬貨を前面下部に設けられた硬貨払出口206に搬送する出金硬貨搬送部207を備えている。
【0041】
硬貨投入口201の近傍には、投入された硬貨を引き込んでリフタ部202に受け渡すローラ208が設けられている。このローラ208は、モータ209および図示しない動力伝達部によって駆動される。モータ209は、硬貨投入口201の近傍に設けられた検知センサ210が硬貨の投入を検知することにより駆動される。また、硬貨投入口201の近傍には、硬貨投入口201を閉じることが可能なシャッタ211とこれを駆動するソレノイド212とが設けられており、予め定める硬貨投入時の条件に基づいて硬貨投入口201を閉じ、硬貨の投入を禁止する。
【0042】
リフタ部202は、垂直方向に配置された図示しない複数のプーリと搬送ベルト213とを有し、最上部に配置されたプーリがモータ214によって駆動されることにより、硬貨投入口201に投入された硬貨を上方へ搬送する。リフタ部202の搬送通路の中間には、上記硬貨識別部203およびリジェクトゲート215が配置されている。このリジェクトゲート215は、投入された硬貨が硬貨識別部203にて正貨として識別されたときにソレノイド216により駆動されて硬貨を上方へ通過させ、硬貨識別部203にて正貨として識別できなかったときは、その硬貨を捕捉してリジェクト用のシュート217に引き渡す。シュート217の下端部には、このシュート217を落下した硬貨を検知する検知センサ218が設けられており、検知センサ218の出力を用いてリジェクトされた硬貨の返却を確認できるようになっている。
【0043】
硬貨振分部204は、金種ごとの複数の振分ゲート219が硬貨収納部205の上方に水平方向(奥行き方向)に並設され、これらの振分ゲート219に対向して搬送ベルト220が配置されている。搬送ベルト220は、硬貨処理装置の前面側(図の左側)と奥側(図の右側)とに配置されたプーリに掛け渡されており、硬貨処理装置の前面側のプーリに直結された駆動プーリに、タイミングベルトなどを介してモータ221の動力が伝達されるように構成されている。搬送ベルト220は、リフタ部202により上方に搬送されてきた硬貨を受け取って奥側へ搬送するものであり、各振分ゲート219は、対応する金種の硬貨が搬送されてくるとこれを捕捉して落下させる。また、各振分ゲート219の近傍には、各振分ゲート219が捕捉して硬貨収納部205に収納される硬貨を検知するコイルセンサ222がそれぞれ設けられており、コイルセンサ222の出力を用いて各振分ゲート219を通過した硬貨の数をカウントできるようになっている。また、最前部の振分ゲート219の手前の搬送通路には、硬貨が搬送されてきたことを検知する検知センサ223が設けられている。この検知センサ223が硬貨を検知したことをトリガとして、その硬貨に対応する金種の振分ゲート219が動作するようになっている。
【0044】
硬貨収納部205は、上下に延びるように設けられた釣銭チューブ等を奥行き方向に複数並設した2つの釣銭カセット224,225から構成されている。手前側の釣銭カセット224は、その手前から1円,10円,100円をそれぞれ収納する3つの釣銭チューブを有し、奥側の釣銭カセット225は、その手前から5円,50円,500円をそれぞれ収納する3つの釣銭チューブと、さらに、その奥側(図の右側)に配置されたオーバフロー庫を有する。各釣銭チューブは、その上端で対応する振分ゲート219につながっている。各釣銭チューブの上端部には、釣銭チューブが満杯になったことを検知する満杯検知センサ226が設けられており、いずれかの金種の釣銭チューブが満杯になると、それ以降に入金された硬貨は、オーバフロー庫に金種混合で収納される。各釣銭チューブの下部には、積層収納された最下位の硬貨をモータ227の駆動力によって、1枚ずつ払い出す払出機構部が設けられている。この払出機構部には、硬貨の払出動作時に出金したい金種を指定するソレノイド228が各釣銭チューブに対応して設けられている。ソレノイド228は、払出動作をするときに、出金すべき金種に対応したものだけが動作して釣銭チューブからの硬貨の払い出しを行い、硬貨収納動作時および払出動作時で出金すべきでない金種に対応したものは、動作しない。
【0045】
出金硬貨搬送部207は、払出機構部の下部に配置されて奥行き方向に延び、各釣銭チューブから払い出された硬貨を硬貨払出口206まで搬送する搬送ベルト229、プーリおよびモータ230が配置されている。搬送ベルト229の下面には、各釣銭チューブに対応した位置にコイルセンサ231が設けられ、いずれの釣銭チューブから硬貨の払い出しが行われたかを検知できるようになっている。
【0046】
以上のように構成された硬貨処理装置200において、硬貨投入口201にある金種の硬貨が投入されると、その硬貨は、ローラ208により引き込まれてリフタ部202に渡される。リフタ部202は、渡された硬貨を上方へ搬送する。その搬送途中で、硬貨は、硬貨識別部203にて識別され、正貨ならリジェクトゲート215が搬送通路から退避してそのまま硬貨振分部204まで搬送され、偽貨ならリジェクトゲート215に捕捉され、リジェクト用のシュート217を介して搬送ベルト229に落とされ、硬貨払出口206に返却される。
【0047】
一方、硬貨振分部204まで搬送された硬貨は、搬送通路の滑動面と搬送ベルト220とによって挟まれて起立状態で硬貨処理装置の奥側へ搬送される。硬貨が硬貨識別部203にて判別された金種に対応した振分ゲート219に到達する前に、その金種に対応した振分ゲート219が、スライド移動して搬送通路を遮断する。これにより、その硬貨は、その振分ゲート219から硬貨収納部205の対応する金種の釣銭チューブ内に落下し、釣銭チューブ内で硬貨の厚み方向に積み重ねられた状態で収納される。なお、硬貨収納部205において、対応する金種の釣銭チューブが満杯の場合は、振分ゲート219は動作せず、硬貨を硬貨処理装置の奥まで搬送し、オーバフロー庫に金種混合状態で収納する。
【0048】
釣銭が必要な場合は、払出機構部の必要金種に対応したソレノイド228が動作し、必要金種の硬貨を硬貨収納部205の対応する釣銭チューブから必要枚数払い出す。払い出された硬貨は、搬送ベルト229上に落下し、搬送ベルト229に載せて搬送され、硬貨払出口206より出金される。釣銭チューブから払い出された硬貨が搬送ベルト229上に落下したとき、搬送ベルト229の下面に金種別に設けられたコイルセンサ231がその硬貨を検出し、払出機構部から搬送ベルト229に必要金種の硬貨が確実に払い出されたことを知ることができる。
【0049】
以上に説明したように、本実施の形態の硬貨処理装置においては、奥行き方向に複数並設された釣銭チューブを取り囲むように、硬貨の搬送路となるリフタ部202、硬貨振分部204および出金硬貨搬送部207が配設され、スペース的に余裕のあるリフタ部202の中間に硬貨識別部203が設けられているため、装置全体をコンパクトに構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上、本発明の実施の形態として、セルフサービス方式のガソリンスタンドに設置の給油ポンプに搭載される金銭処理装置を例に説明したが、ここで、小型化できた紙幣処理装置の構成を、小型化が要求される他の紙幣処理装置および金銭処理装置にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】金銭処理装置の外観を示す説明図である。
【図2】紙幣処理装置の概要を示す内部側面図である。
【図3】出金紙幣押圧部の構成を示す側面図である。
【図4】モータと取り込みローラの関係を示す図3のa−a矢視図である。
【図5】取り込みローラとカムとの関係を示す図3のb−b矢視図である。
【図6】硬貨処理装置の概要を示す内部側面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 金銭処理装置
100 紙幣処理装置
103 取り込みローラ
104 モータ
130 出金紙幣押圧部
136 搬送ベルト
140 ステージ
141,142 リンク
143 軸
144 回動軸
145 カムフォロア
146 回転軸
147 ギヤ
148,149 プーリ
150 ベルト
151,152 ギヤ
153 ワンウエイクラッチ
154 回転軸
155 カム
156 遮光板
157 押圧ローラ
200 硬貨処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体装置に接続されて所定の紙幣処理を行う紙幣処理装置において、
前面下部に設けられた紙幣投入口から入金された紙幣をモータによって駆動される取り込みローラにより取り込んで入金紙幣鑑別部へ搬送する入金紙幣搬送部と、
前記入金紙幣搬送部の上部に隣接してリサイクル機能を有する金庫から繰り出された前記紙幣を一時的に保留するものであって、上部に配置されて保留された前記紙幣を紙幣出金口へ一括して搬送する搬送ベルト、および、下部に配置されて前記紙幣の保留動作時に降下して前記紙幣を出金に必要な枚数に達するまで積み重ね状態で保留する空間を確保し、前記紙幣の前記紙幣出金口への搬送時には上昇して保留されている前記紙幣を前記搬送ベルトへ押し付けるように前記モータによって昇降動作する出金紙幣押圧部を有する出金保留部と、
を備えていることを特徴とする紙幣処理装置。
【請求項2】
前記出金紙幣押圧部は、前記紙幣が積み重ね状態で載るステージと、前記ステージの下部に配置されたパンタグラフと、前記取り込みローラの回転力が伝達されて回転運動を前記パンタグラフの上下運動に変換するカム機構とを有していることを特徴とする請求項1記載の紙幣処理装置。
【請求項3】
前記カム機構は、前記取り込みローラが前記紙幣を取り込む方向と逆方向に回転しているときのみ前記取り込みローラの回転力が伝達されるワンウエイクラッチを備えていることを特徴とする請求項2記載の紙幣処理装置。
【請求項4】
前記ステージは、上方向に付勢された状態で取り付けられていて、保留されている前記紙幣を前記搬送ベルトへ押し付けているとき、積み重ねられた前記紙幣の枚数に追従して上下方向に動くことができるローラを有していることを特徴とする請求項2記載の紙幣処理装置。
【請求項5】
紙幣処理装置と硬貨処理装置とを一体に備え、本体装置に接続されて所定の金銭処理を行う金銭処理装置において、
前記紙幣処理装置は、前面下部に設けられた紙幣投入口から入金された紙幣をモータによって駆動される取り込みローラにより取り込んで入金紙幣鑑別部へ搬送する入金紙幣搬送部と、前記入金搬送部の上部に隣接してリサイクル機能を有する金庫から繰り出された前記紙幣を一時的に保留するものであって、上部に配置されて保留された前記紙幣を紙幣出金口へ一括して搬送する搬送ベルト、および、下部に配置されて前記紙幣の保留動作時に降下して前記紙幣を出金に必要な枚数に達するまで積み重ね状態で保留する空間を確保し、前記紙幣の前記紙幣出金口への搬送時には上昇して保留されている前記紙幣を前記搬送ベルトへ押し付けるように前記モータによって昇降動作する出金紙幣押圧部を有する出金保留部とを備え、
前記硬貨処理装置は、上下に延びるように設けられ、奥行き方向に複数並設された釣銭チューブと、前記釣銭チューブの手前側に並ぶように上下に延設され、前面下部に設けられた硬貨投入口から投入された硬貨を上方に搬送するリフタ部と、前記リフタ部の搬送通路の中間に設けられ、搬送される硬貨を識別する硬貨識別部と、前記リフタ部の上端部近傍から前記釣銭チューブの上方を奥行き方向に延び、前記リフタ部から前記硬貨を受け取って搬送し、対応する釣銭チューブに振り分ける硬貨振分部と、前記釣銭チューブの下方に奥行き方向に延び、いずれかの釣銭チューブから出金された硬貨を前面下部に設けられた硬貨払出口に搬送する出金硬貨搬送部とを備えていることを特徴とする金銭処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−99578(P2006−99578A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286745(P2004−286745)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】