説明

紙幣収納装置

【目的】 簡単で且つコンパクトな構成により大量の紙幣を隙間無く効率的に収納できる紙幣収納装置の提供。
【構成】 収納部内の紙幣支持部材の移動ストローク量を前記収納部に収納された紙幣の収納枚数に応じて決定して、当該移動ストローク量だけ紙幣支持部材を移動して紙幣のプレス制御を行う制御手段を具備する。制御手段は収納した紙幣の枚数を基にして所定の演算を行うことにより、紙幣支持部材の移動ストローク量を決定する。当該移動ストローク量は紙幣のプレスを行う度に演算されて、その時々の収納部内の紙幣の収納量に併せて決定されるので、収納されている紙幣の収納枚数に関わらず、常に一定の力で紙幣はプレスされる。すなわち、紙幣支持部材および紙幣が押圧される収納部の上蓋に過大な負荷をかけることなく紙幣をプレスして、紙幣を隙間なく効率的に収納することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数金種の紙幣を各金種ごとに、または混在で収納する紙幣収納装置に関し、特に、簡単で且つコンパクトな構成により大量の紙幣を隙間無く効率的に収納できるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】多くの銀行、スーパーストア、デパート等においては、紙幣仕分け装置を使用することによって、ランダムに混ざり合った複数金種の紙幣(例えば、1万円札、5千円札および1千円札)を金種別に自動仕分けしている。すなわち、前記紙幣仕分け装置は金種センサによって各紙幣の金種を識別し、その識別結果に応じて機械的な振り分け機構を作動することによって、前記紙幣を金種別に仕分けするものである。このように仕分けられた紙幣は、前記紙幣仕分け装置に連結された紙幣収納装置に収納される。該紙幣収納装置は、前記振り分け機構の各振り分け経路に対応した所定の位置に、金種別の収納部を備えている。
【0003】従来の紙幣収納装置において、ある1つ金種用の収納部で行われる紙幣の収納動作について図4を用いて概略を説明する。該収納部は、大きく分けて、ホッパ2から振り分け経路3を通って移送されてくる紙幣Bを積層状態に一時貯留する一時スタッカ4と、該スタッカ4の下方において着脱式に設けられる収納容器5とから構成される。
【0004】当該紙幣収納装置において、前記金種用の収納容器5が着脱式にセットされると、収納容器5の上蓋5aが図示しない上蓋開閉機構により矢印Z方向に移動して収納容器5の上面が開状態にされる。そのため、ホッパ2から移送された紙幣Bは一時スタッカ4の上面から積層状態に一時スタッカ4内に貯留されていく(図4R>4(A)参照)。一時スタッカ4に所定の枚数の紙幣B(つまり、紙幣群B)が貯留されると、一時スタッカ4の底蓋4aが図示しない底蓋開閉機構により水平位置から垂直位置に開き、一時スタッカ4の底面が開状態にされる。すると、それまで一時スタッカ4に貯留されていた紙幣群Bが、収納容器5内の紙幣支持部材5b上に落下する(図4(B)参照)。落下した前記紙幣群Bは、紙幣支持部材5bに支持される。一時スタッカ4から収納容器5に紙幣群Bが落下すると、次の紙幣群Bの処理に備えて紙幣支持部材5bを下方に移動する。すなわち、収納容器5内の紙幣群Bが図示しない上部センサを遮蔽しなくなるまで、紙幣支持部材5bが下降することによって、次の紙幣群Bを収納するためのスペースが収納容器5内にできる(通常、このスペースは落下する紙幣群Bの収納容器5内での安定した集積や容器内壁への紙幣立て掛け防止のため、落下距離を適正に保つように構成される)。紙幣支持部材5bの下降で前記上部センサが通光することによって、次の紙幣群Bのスタッカ4内に貯留、そして、紙幣群Bが収納容器5に落下するという上述の動作を繰り返すことにより、大量の紙幣Bが収納容器5内に積層状態に収納される。これに対し、下方に移動する紙幣支持部材5bが、図示しない下部センサに検出されて下降限界に達した時に、収納容器5内の紙幣群Bが前記上部センサを遮蔽し続けた場合は、収納容器5の満杯を図示しないLED点灯(同時に、警報音(例えば、ピーピーピーという音)を出す場合もある)などにより、操作パネル上(図示せず)に表示する。このとき、収納容器5の上蓋5aを閉状態にする。この状態で、空の収納容器5と入れ替えられる。なお、収納容器5の満杯を表示する前に、そろそろ満杯になることを表示する場合(例えば、ニアフルLEDの点灯等)も考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したタイプの紙幣収納装置にあっては、紙幣の折れぐせやカール等により、収納容器内に落下した紙幣群が密着した積層状態にならない場合がある。このため、紙幣の厚さと収納枚数との積で求められる紙幣の積層高さに比べて、実際の紙幣積層高さが高くなる。この結果、上述した紙幣支持部材が下降限界に達した時に、設定した収納枚数より少ない枚数で収納容器の満杯が検出されてしまう、という問題点があった。また、紙幣の折れぐせが大きい場合は、紙幣が傾いて収納容器に落下し収納容器の内面に立て掛けた状態になる場合がある。この場合、次に落下する紙幣群に折れぐせがなくても斜めに収納され、少ない枚数で収納容器が満杯になる、という問題点があった。また、一時貯留ボックスの紙幣群を収納容器に収納するとき、紙幣を一括して把持したまま収納容器に移動することにより、紙幣の積層状態を保つ方法が知られている。この場合は、紙幣把持、移動手段及び紙幣把持手段を収納容器から退避する際の紙幣群のズレ防止のための紙幣押さえ手段により、装置の大型化、高コスト化が避けられない、という問題点があった。この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、簡単で且つコンパクトな構成により、大量の紙幣を隙間の無い積層状態に整列性良く収納することにより、収納容器に効率的に紙幣を収納できるようにした紙幣収納装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係る紙幣収納装置は、投入された紙幣を開閉式の底蓋上に積層状態に貯留し任意枚数の紙幣群を貯留したときに、前記底蓋を開いて前記紙幣群を落下排出する一時貯留部と、前記一時貯留部から排出される前記紙幣群を積層状態に収納するために開閉式の上蓋を備えた収納部と、 前記一時貯留部から前記収納部内に排出される紙幣群を受け止め積層状態に支持するため、前記収納部内における前記上蓋より下方に設けられた紙幣支持部材と、 前記紙幣支持部材を前記収納部内で昇降させるための昇降駆動手段と、前記上蓋を閉状態にし、前記収納部に収納された紙幣の収納枚数に応じて決定される移動量だけ前記紙幣支持部材を上昇して前記紙幣群を前記上蓋に対して下方から押圧する紙幣プレス制御を行なう制御手段とを備えたものである。
【0007】本発明によれば、収納部内の紙幣支持部材の移動ストローク量を前記収納部に収納された紙幣の収納枚数に応じて決定して、当該移動ストローク量だけ紙幣支持部材を移動して紙幣のプレス制御を行う制御手段を具備していることから、前記紙幣支持部材および紙幣が押圧される収納部の上蓋に過大な負荷がかからないようになっている。すなわち、制御手段は収納した紙幣の枚数を基にして所定の演算を行うことにより、紙幣支持部材の移動ストローク量を決定する。当該移動ストローク量はプレス制御を行う度に演算され、すなわち、その時々の収納部内の紙幣収納量に併せて決定されるので、収納された紙幣量に関わらず、常に一定の力で紙幣は押圧されることになる。したがって、各紙幣は確実に伸長状態にプレスされる。この結果、収納部内に収納された折れぐせやカール等のついた紙幣によって膨張した積層高さが低減され、収納部の収納高さ寸法から想定した収納枚数を確実に収納することができる。
【0008】また、制御手段は収納部内に所定の枚数以上紙幣が収納されている場合に、あるいは所定の枚数間隔にプレス制御を行うので、従来のように紙幣を収納する度ごとに毎回紙幣のプレスを行うということがなくなり、したがって連続して紙幣を収納することができるといった非常に稼動効率のよい紙幣収納装置を構成することができることになる。なお、プレス制御が行われる各紙幣の所定の枚数間隔は、紙幣支持部材によって各紙幣が十分に伸長状態にプレスされ得る枚数の間隔である。このように、本発明によれば、簡単で且つコンパクトな構成により、大量の紙幣を隙間無く効率的に収納できる紙幣収納装置となる、という優れた効果を奏する。
【0009】本発明は、装置の発明として構成し、実施することができるのみならず、方法の発明として構成し、実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記録媒体の形態で実施することもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発明を詳細に説明する。図1は、紙幣仕分け装置に連結されて使用される、この発明に係る紙幣収納装置を概略的に示す側面図である。この装置の全体的な動作の制御は、図示を省略したマイクロコンピュータ等により構成される制御部によって行われるようになっている。図1では、簡略化のために1つの金種用の収納部Rのみを示しているが、この紙幣収納装置は図示したような収納部Rを各金種(1万円札、5千円札および千円札)ごとに、または金種混在で収納できるように備えたものであり、それぞれの金種用の収納部Rは収納する媒体の寸法に応じて構成されるが、現在の日本銀行発行の3金種の紙幣では短辺寸法が76mm(ミリメートル)で同一のため、同様の構成および作用を有するものである。従って、ここでは、1つの金種用の収納部Rのみについて図1R>1を用いて説明する。
【0011】前記収納部Rは、紙幣仕分け装置のホッパ2から振り分け経路3を介して(図4(A)参照)移送されてくる紙幣Bを積層状態に一時貯留するボックス状の一時スタッカ4と、該スタッカ4の下方に着脱式に設けられるボックス状の収納容器5とで構成される。一時スタッカ4は水平位置から垂直位置に90度開閉可能な底蓋4aを有し、収納容器5はスライド式に開閉可能な上蓋5aを有している。
【0012】当該紙幣収納装置の電源がオンされている状態で、収納容器5が該装置の所定位置にセットされると、前記収納容器5の上蓋5aが矢印Z方向に移動して図示のような開状態となる。当該紙幣収納装置においても、従来と同様に、装置の図示しない操作パネルの紙幣収納モードがオペレータによってマニュアル操作された後、図示しない紙幣仕分け装置のホッパ2上に紙幣B(通常、ランダムに複数金種が混在した紙幣B)がセットされて、図示しない操作パネルのスタートボタンが押されると、ホッパ2から供給される紙幣Bが金種別に仕分けされて、金種別の振り分け経路3を介して、金種に対応する収納部Rの一時スタッカ4内に紙幣Bが導入される。こうして、一時スタッカ4の底蓋4a上には、順次に1種類の紙幣Bが積層状態に貯留されていく(図4(A)参照)。
【0013】次に、1種類の紙幣Bが一時スタッカ4の底蓋4a上に所定の枚数、例えば100枚貯留されたり、またはホッパ2の紙幣Bが全て供給されて空になると、図示しないコントローラから発生される収納指令信号により、図示しない制御部は紙幣収納処理を開始する。図2は、制御部で行われる紙幣収納処理の一実施例を示したフローチャートである。ステップS1において、図示しない底蓋開閉駆動機構が作動して、一時スタッカ4の底蓋4aを開状態とする。すると、それまで一時スタッカ4内に貯留されていた紙幣群Bが落下排出され、収納容器5内のプレート状の紙幣支持部材5b上に積層状態のままに受け止められて支持される(図4(B)参照)。前記紙幣支持部材5bは、前記収納容器5の直ぐ側方に設けられた昇降駆動機構(図示せず)により、ガイドロッド10に沿って収納容器5内を下降する。収納容器5の上端部に設けられた光センサ8は、紙幣支持部材5b上に積層支持された紙幣群Bによる遮光作用によって、紙幣群Bが収納容器5内の上部まで収納されているか否かを検知して所定の信号を出力する。前記紙幣支持部材5bは、前記光センサ8が前記紙幣群Bによって遮光されない通光状態となるまで下降を続ける。すなわち、前記光センサ8が通光状態になる位置まで、前記収納容器5内に収納された紙幣群Bと共に下降する。前記光センサ8が通光状態になるか、あるいは紙幣支持部材5bが最下段まで下降した場合には、紙幣支持部材5bの下降を停止する。そして、一時スタッカ4の底蓋4aを再び閉状態にする(ステップS2)。
【0014】次に、収納容器5内に収納されている紙幣Bの枚数が所定の枚数以上か否かを判定する(ステップS3)。例えば、収納容器5内に収納された紙幣Bの枚数が累計で1000枚以上となったか否かの判定を行う。収納した紙幣Bが所定の枚数(例えば、1000枚)以上でなければ(ステップS3のNO)、当該紙幣収納処理を終了する。すなわち、紙幣Bのプレスを行うことなく当該処理を終了する。一方、収納されている紙幣Bが所定の枚数以上であれば(ステップS3のYES)、収納容器5の上蓋5aを閉状態にし(ステップS4)、後述の紙幣のプレス処理を行う(ステップS5)。
【0015】ここで、上述のステップS5で行う紙幣プレス処理について説明する。図3は、紙幣プレス処理の一実施例を示したフローチャートである。当該紙幣プレス処理は、上述のステップS1で停止させた紙幣支持部材5bを収納容器5の最下段までさらに下降する(ステップS41)。最下段まで下降すると、収納容器5に収納されている紙幣Bの集積高さを次式(1.1)から計算して算出する(ステップS42)。
Lbill=0.09*N*k …(1.1)
この定数0.09は流通している新札券(流通券)の厚さであり、変数Nは収納容器5に収納されている紙幣Bの枚数である。また、変数kは流通券の厚さに対する所定の倍率で、新札のみ(紙幣同士が密着)の集積高さに対する、流通している紙幣の集積高さの比を考慮して決定され、予め装置の図示しないコントローラに設定されている。この変数kは、必要に応じて、例えば設定許容範囲でオペレータが任意に設定できるようにすることもできる。前記所定の倍率kは、通常1.0〜1.4程度の値が設定されるがこれに限られるものではない。例えば、所定の倍率kを1.0と設定した場合には、折れ曲がりによる湾曲やシワ等の全く存在しない新札券(流通券)がN枚集積されたときの高さを表す。すなわち、紙幣の集積高さLbillとは収納容器5に収納された紙幣Bが収納容器5内に占める厚さ(集積高さ)である。このように、紙幣支持部材5bを前記最底部まで下降させ、その状態で現在収納容器5内に収納されている紙幣Bの枚数において紙幣Bの集積高さが当該収納容器5内で、紙幣をプレスした時の集積高さを算出する。
【0016】ステップS43では、紙幣Bをプレスするために必要な紙幣支持部材5bの上昇量を次式(1.2)から算出する。
Lpush=Lall−Lbill …(1.2)
ここで、Lallは紙幣Bを積み上げた方向の収納容器5の全長(高さ寸法)である。このLallは、収納容器5の最底部まで下降した状態にある紙幣支持部材5bから上面光センサ8までの距離L0(すなわち、紙幣Bを有効に収納することができる収納容器5の範囲:図1参照)と上面光センサ8から上蓋5aまでの距離a(図1R>1参照)とを加算したものであり、収納容器5の形状等により決定される所定の固定値を持つものである。したがって、紙幣Bをプレスするために必要な紙幣支持部材5bの上昇量は上述の式(1.2)により算出される。
【0017】ステップS44において、収納容器5の全長(高さ寸法)Lallと収納容器5内に収納された紙幣Bの集積高さLbillとの差異分(すなわち、ステップS43で算出した前記上昇量Lpush)だけ紙幣支持部材5bを上昇する。このように紙幣支持部材5bを上昇することによって、紙幣支持部材5b上の紙幣群Bを上蓋5aに対して押しつける。すなわち、紙幣群Bは紙幣支持部材5bによって上蓋5aに対して上方に押圧(プレス)されるので、各紙幣Bの湾曲、シワ等が伸長される。この際、紙幣支持部材5bは紙幣群Bをプレスするために最低限必要な量しか上昇しないので、紙幣支持部材5bや上蓋5aに必要以上の負荷がかかることがない。また、収納容器5に斜めに収納されていた紙幣Bが持ち上げられることにより当該紙幣Bの収納姿勢が修正される。前記上昇量Lpushだけ紙幣支持部材5bを上昇し終えると、前記紙幣支持部材5bは前記光センサ8が前記紙幣群Bによって遮光されない通光状態となるまで下降して停止する(ステップS45)。
【0018】図2に戻り、紙幣支持部材5bを下降した際に(上述のステップS45参照)、収納容器5の上端および下端に設けられた光センサ8及び9が共に遮光されているか否か、すなわち、当該収納容器5が紙幣Bでフル(満杯)であるか否かの判定を行う(ステップS6)。光センサ8及び9の両方が共に遮光されている場合(ステップS6のYES)は、当該収納容器5はフル状態であることから、前記紙幣プレス処理(ステップS5)を所定の回数だけ繰り返し行う(ステップS7のNO)。前記紙幣プレス処理を所定の回数だけ繰り返し行ったにも関わらず、なお光センサ8及び9が共に遮光される場合には(ステップS6のYESかつステップS7のYES)、紙幣Bをこれ以上収納容器5に収納できない状態(すなわち、満杯)と判断して「フル検出」信号を出力する(ステップS8)。この結果、図示しない操作パネル上にLED点灯(同時に、警報音(例えば、ピーピーピーという音)を出す場合もある)などにより、収納容器5が紙幣Bで満杯になったことを表示してから、当該紙幣収納処理を終了する。この場合、収納容器5の上蓋5aと一時スタッカ4の底蓋4aは共に閉じられた状態で収納処理を終了する。そして、収納容器5が紙幣Bで満杯になった場合には、紙幣収納装置の前方ドアDを開けて紙幣Bを満杯に収納している収納容器5を取り出し、空の収納容器5を新たにセットする。なお、紙幣Bの満杯は収納容器5の所定収納枚数(例えば、2500枚)集積時で表示することもできる。
【0019】ステップS6において、光センサ9が遮光されずに光センサ8が通光した場合(ステップS6のNO)は、当該収納容器5に少なくとも前記一時スタッカ4の底蓋4a上に集積する最大所定枚数(例えば、100枚)の紙幣Bを収納できる余裕がまだあることから収納容器5の上蓋5aを再び開状態にして(ステップS9)、当該紙幣収納処理を終了する。こうして、振り分け経路3によって移送されてくる次の紙幣Bを一時貯留可能な状態とする。上記の動作が繰り返されることによって、収納容器5への紙幣Bの収納が順次に進行する。
【0020】なお、紙幣のプレスは収納容器5内に収納される紙幣Bが所定の枚数増えるごとに行うようにしてもよい。例えば、一時スタッカ4から収納容器5に収納された紙幣群Bが紙幣支持部材5bによって各紙幣Bが十分に伸長状態にプレスされ得る枚数である限り、所定の収納枚数(例えば、200枚)だけ増える毎に紙幣のプレスを行うように構成してもよい。また、上述の実施例では紙幣収納処理の際に紙幣のプレスを行うように構成したが、専用のボタンまたはスイッチ類を操作パネルに設け、任意に紙幣のプレス処理だけを行えるように構成してもよい。
【0021】
【発明の効果】以上のように、この発明は、収納容器内の紙幣支持部材上に取り込まれた紙幣を紙幣支持部材と収納容器の上蓋との間でプレスする際に、紙幣支持部材のプレスストローク量を適宜紙幣の現在収納枚数から算出することから、常に適切な負荷で紙幣をプレスすることができるという優れた効果を奏する。また、紙幣が収納容器内の紙幣支持部材上に所定枚数取り込まれる毎にプレスされるので、紙幣収納量を効果的に増加でき大量の紙幣を効率的に収納可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例に係る紙幣収納装置における収納部の内部を示す側面図。
【図2】 前記紙幣収納装置で行われる紙幣収納処理の一実施例を示したフロー図。
【図3】 紙幣プレス処理の一実施例を示したフロー図。
【図4】 従来の紙幣収納装置における紙幣プレス処理の際に行われる動作を概略的に説明するための側面図。
【符号の説明】
2…ホッパ、3…振り分け経路、4…一時スタッカ、4a…底蓋、5…収納容器、5a…上蓋、5b…紙幣支持部材、8、9…光センサ、10…ガイドロッド、B…紙幣(紙幣群)、D…前方ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】 投入された紙幣を開閉式の底蓋上に積層状態に貯留し任意枚数の紙幣群を貯留したときに、前記底蓋を開いて前記紙幣群を落下排出する一時貯留部と、前記一時貯留部から排出される前記紙幣群を積層状態に収納するために開閉式の上蓋を備えた収納部と、前記一時貯留部から前記収納部内に排出される紙幣群を受け止め積層状態に支持するため、前記収納部内において前記上蓋より下方に設けられた紙幣支持部材と、前記紙幣支持部材を前記収納部内で昇降させるための昇降駆動手段と、前記上蓋を閉状態にし、前記収納部に収納された紙幣の収納枚数に応じて決定される移動量だけ前記紙幣支持部材を上昇して前記紙幣群を前記上蓋に対して下方から押圧する紙幣プレス制御を行なう制御手段とを備えた紙幣収納装置。
【請求項2】 前記制御手段は、前記収納部に所定の枚数以上紙幣が収納されている場合に前記紙幣プレス制御を行なうものであることを特徴とする請求項1に記載の紙幣収納装置。
【請求項3】 前記制御手段は、前記収納部に紙幣が所定の枚数収納される毎に前記紙幣プレス制御を行なうものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙幣収納装置。
【請求項4】 前記所定枚数は、前記紙幣支持部材によって各紙幣が前記上蓋に押圧されることにより、十分に伸長状態にプレスされ得るような枚数である請求項2乃至3のいずれかに記載の紙幣収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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