説明

紙幣取引装置の紙幣の抜取り方法

【課題】ベルト式スタッカに巻き取った抜取り困難な紙幣を、抜取りが容易なユニットへ搬送したり、搬送できない場合でも抜取り可能な位置まで繰出すことができるようにする。また、係員または保守員の操作性を向上する。
【解決手段】搬送路12〜16,17上の紙幣の有無を記憶する手段と、ベルト式一時スタッカ3から紙幣を繰出すモータ制御手段と、搬送した紙幣を上記入出金口1または上記リサイクルボックス5〜8にスタックする紙幣スタックモータ制御手段とを具備し、ベルト式一時スタッカ出入口9に紙幣が有るか否かを判別し、紙幣が有れば、外部からの指示に基づき該紙幣を除去させ、紙幣が無ければ、上記ベルト式一時スタッカ3から紙幣を指定枚数分繰出して、スタッカ出入口9に搬送し、出入口9から紙幣を抜き取らせ、スタッカの出入口9に紙幣が無くなれば抜取り終了を表示する。21〜25はゲート、2は紙幣鑑定部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の操作によって紙幣を出し入れする紙幣取引装置およびその紙幣抜取り方法に関し、特にベルト式スタッカを有する紙幣取引装置において、ベルト式スタッカの紙幣を自動的にスタッカ出入口まで指定枚数ずつ繰り出して放出することができる紙幣抜取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送路が簡素化され、一時保管庫の小型化が可能であり、低コストで操作性の優れた紙幣扱引装置として、回転ドラムにベルトで紙幣を巻き付け、繰り出す方式の紙幣取引装置が開発されている。この方式の装置では、短い寸法の紙幣を搬送する場合にも好適であり、かつ装置全体の小型化を図ることも可能である。
例えば、特開平11−224362号公報に記載の紙幣取扱装置では、ベルトにより紙幣を巻付けたり、繰り出したりする一時保管庫としてのベルト式スタッカを備えており、紙幣を巻き付ける回転ドラムは一時保管庫に収納する紙幣の有無により起動・停止の制御を行っている。
【0003】
しかし、ベルト式スタッカへ巻き取った紙幣は、そのままでは係員が手で取り除くことが出来ず、異常等が発生して紙幣を取り除く必要があるときには、ベルト式スタッカの制御が可能であっても、係員または保守員が手でベルト式スタッカのノブを回して1枚1枚取り除くか、あるいは自動で行う場合には、メカ動作がすべて正常終了する時のみ、ベルト式一時スタッカから入出金口に紙幣を搬送している。このため、人手で行う場合には、係員または保守員に大変手間がかかってしまう。例えば、200枚の紙幣をベルト式スタッカに巻き取っている場合に、手動でノブを回して1枚ずつ取り除くときには、200回ノブを回さなければならない。一方、自動で行う場合は、鑑別等で異常が発生した場合やジャムが発生した場合、異常を対策し終えるまで一時スタッカの紙幣は取り除くことが出来なかった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−224362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、ベルト式スタッカは、巻取り後の紙幣のスキューおよびシフトを防ぐためにベルトで固定されているので、巻き取った紙幣を取り除くことができず、異常等が発生した場合には、取り除くために時間がかかってしまうという問題があった。しかし、異常であっても巻き取った紙幣を利用者に返却する場合などでは、直ちにベルト式スタッカに巻き取った紙幣を取り除く必要が考えられる。
また、長時間ベルト式スタッカに巻き取ったままにしておくと、紙幣がカールしてしまい、その後の動作でジャム等が発生しやすくなってしまうという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、これら従来の問題を解決し、ベルト式スタッカに巻き取った紙幣を、係員の簡単な操作によりベルト式スタッカの紙幣を放出、搬送することで、ベルト式スタッカから多量の紙幣を一度に抜取ることが可能な紙幣取引装置およびその紙幣の抜取り方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、ベルト式スタッカに巻き取った紙幣を他のユニットに搬送することができない場合でも、係員の操作によりベルト式スタッカの紙幣を、紙幣の取り除きができるベルト式スタッカの出入口まで指定枚数ずつ放出することにより、ベルト式スタッカの全ての紙幣を指定枚数ずつ抜取ることが可能な紙幣取引装置およびその紙幣の抜取り方法を提供することである。
さらに、本発明の第3の目的は、ベルト式一時スタッカに巻き取った紙幣を自動で抜取るための搬送先を係員または保守員に連絡することにより、係員の操作方法を明確にし、障害後の作業を迅速に行えるようにする紙幣取引装置およびその紙幣の抜取り方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の紙幣取引装置は、(1)該搬送路上の紙幣の有無を記憶する手段と、該記憶手段が紙幣無しを示しているとき、外部からの指示により上記ベルト式一時スタッカから紙幣を繰出すモータ制御手段と、搬送した紙幣を上記入出金口または上記リサイクルボックスにスタックする紙幣スタックモータ制御手段とを具備したことを特徴としている(請求項1)。
また、本発明による紙幣取引装置の紙幣抜取り方法は、(2)ベルト式一時スタッカ出入口に紙幣が有るか否かを判別し、紙幣が有れば、外部からの指示に基づき該紙幣を除去させ、紙幣が無ければ、上記ベルト式一時スタッカから紙幣を指定枚数分繰出して、該スタッカ出入口に搬送し、該出入口から該紙幣を抜き取らせ、該スタッカの出入口に紙幣が無くなれば、抜き取り終了を表示することを特徴としている(請求項2)。
【0008】
また、本発明の紙幣取引装置は、(3)ベルト式一時スタッカから紙幣を入出金させる入出金口または各リサイクルボックスへの搬送が可能であるか否かを判断する手段と、該判断手段により判断した状態を基に、該ベルト式一時スタッカから繰出された紙幣を一時保持するスタッカ出入口での抜取り可能の第1の表示、上記スタッカ出入口または上記入出金口での抜取り可能の第2の表示、または上記スタッカ出入口または上記入出金口またはリサイクルボックスでの抜取り可能の第3の表示のいずれかを表示する表示手段とを設けたことを特徴としている(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、(1)ベルト式スタッカに巻き取った抜取り困難な紙幣を、係員の操作により抜取りが容易なユニットへ搬送することにより、自動でベルト式スタッカの紙幣を抜取ることができる。また、(2)ベルト式スタッカに巻き取った抜取り困難な紙幣を、他のユニットへ搬送することができない場合でも、係員の操作により紙幣の抜取りができるベルト式スタッカの出入口まで指定枚数ずつ搬送することにより、自動でベルト式スタッカの紙幣を抜取ることができる。さらに、(3)ベルト式一時スタッカに巻き取った紙幣を自動で抜取るための搬送先を係員または保守員に連絡することにより、操作方法を明確にし、障害後の作業を迅速に行えるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を、図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す紙幣取引装置の構成図である。
図1において、3が入出金時の一時保管庫となるベルト式一時スタッカ、9がベルト式一時スタッカと搬送路の結合部に相当するスタッカ出入口部、1が利用者の入出金口、2が紙幣の金種、真偽、正損等の鑑別を行う鑑別部、4が鑑別部で使用不可能な紙幣と鑑別された紙幣を返却する入出金口リジェクト集積部、5は5000円とリジェクト紙幣を格納する非還流ボックス、6〜8はリサイクルボックスであって、6,7は万円紙幣、8は千円紙幣の格納ボックス、10は取引時以外に操作された場合を監視して、操作した利用者に対して表示する操作部および表示部、11〜17は搬送路、21〜25は搬送方向を切り替えるゲートである。
【0011】
次に、同図を用いて入金時、出金時の各動作を説明する。
入金取引では、利用者が入出金口1に紙幣を投入すると、投入された紙幣は、入出金口1にある図示されていない分離機構によって一枚ずつ分離され、搬送路11、ゲート21、搬送路12を通って鑑別部2へ搬送される。鑑別部2で金種、真偽、正損等必要な鑑別を行った後、搬送路13、ゲート22、搬送路14を介してベルト式一時スタッカ3に巻き取られる。また、ここでリジェクト紙幣があった場合は、同じく搬送路13、ゲート22、搬送路16を介して入出金口リジェクト集積機構4に集積する。入出金口リジェクト集積機構4に紙幣を集積した場合は、再度利用者に投入を促す。
【0012】
入金された全ての紙幣をベルト式一時スタッカ3に巻取った後、利用者が操作した所定の取引を成立させると、ベルト式一時スタッカ3に巻き取った紙幣を繰出し、ゲート22、搬送路14、搬送路13により再度鑑別部2に搬送して金種の鑑別を行い、金種の鑑別結果が正券なら、搬送路12、ゲート21、搬送路17、ゲート23、ゲート24またはゲート25を介して万円リサイクルボックス6、7または千円リサイクルボックス8に搬送し、集積収納する。また、鑑別部2による金種判定が5千円あるいはリジェクト券ならば、搬送路12、ゲート21、搬送路17、ゲート23を介して非還流ボックス5へ収納する。その後、ベルト式一時スタッカ3の繰出しが終了したならば、入金取引を終了する。
また、入金取引の際に、紙幣を全てベルト式一時スタッカ3に巻取った後、利用者が取引を中止すると、ベルト式一時スタッカ3に巻き取った紙幣を繰出し、ゲート22、搬送路15、搬送路16を通って、入出金口1に集積収納する。
【0013】
次に、出金取引では、利用者が出金要求した枚数の紙幣を各金種の保管庫であるリサイクルボックス6、7または8から、図示されていない分離機構により一枚ずつ分離し、搬送路17、ゲート25、ゲート24、ゲート23、搬送路12を通って、鑑別部2に搬送し、搬送路13、ゲート22、搬送路16を通って、入出金口1に集積し、これを放出して出金取引を終了する。このときリジェクト紙幣があった場合には、搬送路13、ゲート22、搬送路14を介してベルト式一時スタッカ3に巻き取り、その後リサイクルボックス6、7または8からの分離が終了したならば、ベルト式一時スタッカ3から紙幣を繰出し、ゲート22、搬送路14、搬送路13、搬送路12、搬送路17、ゲート23を介して非還流ボックス5へ収納する。なお、装填ボックスは、ボックス5〜8のうちの1つを割り当てることにより、その機能を果すことができる。ここでは、非還流ボックス5を装填ボックスとして兼用している。
ベルト式一時スタッカの出入口部9は、ベルト式一時スタッカ3のベルトと搬送路の受渡し部で、残紙幣等を数枚スタックし、スタックした紙幣等を取り除くことができる位置である。係員または保守員は、ベルト式一時スタッカ3から繰出された紙幣を、ここから除去することができる。
【0014】
図2は、図1における紙幣取引装置の制御系のブロック図である。
回線制御部22は、上位装置20(たとえばATM本体)からの入金、出金などの指示情報を受信して主制御部21に連絡したり、処理結果を主制御部21から受取り上位装置20に送信したりするものである。
センサ制御部23は、搬送路上の紙幣の通過や残留およびゲートを駆動させるアクチュエータなどの定位置を監視している複数のセンサ情報を読取り、主制御部21に連絡するものである。
上下搬送モータ制御部24は、主制御部21の指示により上搬送路である搬送路11〜16および下搬送路である搬送路17を駆動するモータをON/OFFするためのものである。
搬送チェック制御部25は、上下搬送路およびスタック入口での区間ジャムチェックを行い、チェック結果を主制御部21に報告するものである。
ゲート制御部26は、搬送路上のゲート21〜25を主制御部21の指示によりONまたはOFFし、搬送されてくる紙幣の行先を切替えるものである。
鑑別部2は、搬送されてくる紙幣の金種、真偽、正損等の必要な鑑別を行い、一枚毎の鑑別結果と搬送先を主制御部21に連絡するものである。
【0015】
紙幣分離モータ制御部27は、主制御部21の指示により各紙幣収納部より紙幣を繰出すために、繰出しローラを駆動するモータをON/OFFするためのものである。
紙幣スタックモータ制御部28は、主制御部21の指示により搬送されてくる紙幣をスタックするために、シートローラを駆動するモータをON/OFFするためのものである。
操作部29は、取引中でない時に操作器10を監視し、操作があった場合、主制御部21に連絡するものである。
ホイールモータ制御部30とリールモータ制御部31は、主制御部21の指示により、ベルト式一時スタッカ3に一枚ずつ紙幣を巻き付けたり(ホイールモータ)、繰り出したり(リールモータ)するために、ホイールモータ、リールモータのON/OFFや速度制御をするためのものである。
紙幣有無記憶部32は、上下搬送路11〜17、ベルト式一時スタッカ3およびベルト式一時スタッカの出入口部9の紙幣の有無を記憶するものである。ジャム等により、いずれかに破幣が残留すれば、搬送チェック制御部25からの通知により、その位置と枚数が記憶される。
表示部33は、後述の図6および図7で説明するが、紙幣取引装置の状態を係員または保守員に連絡するために、主制御部21の指示により情報を表示するものであって、図2に示す制御系各部の近傍の筐体表面に配置される。
【0016】
図3〜図5は、本発明の第1〜第3の実施例を示す動作フローチャートであって、図3は、第1の実施例としてベルト式スタッカから他のユニットへの繰出しフローを示し(請求項1)、図4は、第2の実施例としてベルト式スタッカからベルト式スタッカ出入口部への繰出しフローを示し(請求項2)、図5は、第3の実施例としてベルト式スタッカからの繰出し先判定フローを示す(請求項3)。
図3では、正常時に取引実行に従ってベルト式スタッカから他のユニット、例えば入出金口1またはリサイクルボックス6〜8へ紙幣を繰出し、入出金口1またはリサイクルボックス6〜8、あるいは非還流ボックス5から紙幣を抜き取る場合の動作を示している。
【0017】
(第1の実施例)
主制御部21は、回線制御部22を通じて上位装置20からの取引の指示を監視し(ステップ100)、指示を受けると、各制御部に動作を指示し、取引を実施する(ステップ101)。上位装置20からの取引の指示がない場合、主制御部21は係員からの操作があったかどうかを調べるために、操作部29を監視する(ステップ102)。主制御部21は、操作部29からの報告を受けると、入出金口1への搬送か、リサイクルボックス6、7、8への搬送かをチェックし(ステップ103)、入出金口1への搬送の場合には、ゲート22が入出金口1へ搬送されるようにゲート制御部26に指示し(ステップ104)、入出金口1のスタックを開始するように、紙幣スタックモータ制御部28に指示する(ステップ105)。一方、搬送先がリサイクルボックス6、7、8の場合には、ゲート21〜25が指示されたリサイクルボックスへ搬送されるようにゲート制御部26に指示し(ステップ106)、指示されたリサイクルボックスのスタックを開始するように紙幣スタックモータ制御部28に指示し(ステップ107)、下搬送路17を起動するように上下搬送モータ制御部24に指示する(ステップ108)。この時、下搬送路17に紙幣が有っても、指示されたリサイクルボックスへ搬送することができる。
【0018】
次に、上搬送路11〜16を起動するように上下搬送モータ制御部24に指示する(ステップ109)。下搬送路17と同様に、上搬送路11〜16に紙幣が有っても、指示された搬送先へ搬送することができる。上搬送路11〜16に紙幣がある場合には、紙幣がなくなるまで待つために、紙幣有無記憶部32の情報をチェックする(ステップ110)。そして、ベルト式スタッカ3から繰出しを開始するようホイールモータ制御部30およびリールモータ制御部31に指示する(ステップ111)。ベルト式スタッカ3からの繰出しが終了したら、上搬送路11〜16を停止するよう上下搬送モータ制御部24に指示する(ステップ112)。さらに、下搬送路17が起動中であれば(ステップ113)、下搬送路17を停止するように上下搬送モータ制御部24に指示する(ステップ114)。
最後に、入出金口への搬送指示であったか、あるいはリサイクルボックスへの搬送指示であったかを確認し(ステップ115)、指示したスタック動作を停止するように、紙幣スタックモータ制御部28に指示する(ステップ116、ステップ117)。
これにより、ベルト式スタッカ3に巻き取った紙幣を、係員または保守員の操作により入出金口1やリサイクルボックス6、7、8に搬送することができるので、動作終了後、搬送先から容易に紙幣を抜取ることができる。
【0019】
以上の実施例では、ベルト式スタッカ3の繰出しを、巻き取った紙幣をすべて繰出す場合について説明したが、外部から指示することでその一部を繰出すことも勿論可能である。また、自動で繰出す場合について説明したが、繰出しを係員または保守員がノブを回して1枚1枚繰出す手操作で行うことも可能である。これらは、主制御部21が、ベルト式スタッカ繰出し中に操作部29を監視することにより実現できる。
さらに本実施例では、搬送先がリサイクルボックス6、7、8の場合について説明したが、非還流ボックス5への搬送についても、同様な方法で実現できる。
【0020】
(第2の実施例)
以下、本発明の第2の実施例を説明する。
図4は、本発明の第2の実施例を示す紙幣抜取り方法の動作フローチャートであって、ベルト式スタッカからベルト式スタッカ出入口部への繰出しフローを示す。また、図6および図7(a)(b)(c)は、本実施例で使用される操作器および表示器の位置と表示例を示す図である。
図1の紙幣取引装置の構成図と図2の紙幣取引装置の制御ブロック図も参照しながら動作を説明する。
前の図3と同様に、主制御部21は、回線制御部22を通じて上位装置20からの取引の指示を監視し(ステップ100)、指示を受けると、各制御部に動作を指示し、取引を実施する(ステップ101)。上位装置20からの取引の指示がない場合、主制御部21は係員からの操作があったかどうかを調べるために、操作部29を監視する(ステップ202)。何等かの要因でジャムやその他の故障等、異常が発生した場合、巻き取った紙幣を利用者に返却する等の理由で、直ちにベルト式スタッカに巻き取った紙幣を抜取る必要が生じたとする。
主制御部21は、操作部29からの報告を受けると、ベルト式スタッカ出入口部9に紙幣がないことを確認するために、紙幣有無記憶部32の情報をチェックする(ステップ203)。このとき、図6に示すように、表示器40に紙幣がない部分が点灯する。ベルト式スタッカ出入口部9に紙幣がある場合は、係員に紙幣を取り除いてもらうよう連絡するために、表示部33に指示する(ステップ204)。すなわち、図7(b)47の表示が出力される。
【0021】
主制御部21は、ベルト式スタッカ出入口部9に紙幣がないことを確認したならば、ベルト式スタッカ3から指定枚数(ベルト式スタッカ出入口部9にスタック可能な枚数)の繰出しを開始するようホイールモータ制御部30とリールモータ制御部31に指示する(ステップ205)。ベルト式スタッカ3からの指定枚数繰出しが終了したら、ベルト式スタッカ3に巻き取った紙幣を全て繰出したかどうか判定するために、紙幣有無記憶部32の情報をチェックする(ステップ206)。ベルト式スタッカ3に紙幣が有る場合は、再度ベルト式スタッカ出入口部9に紙幣がないことを確認するために、紙幣有無記憶部32の情報をチェックする(ステップ203)。
以上を繰返し行い、ベルト式スタッカ3から全ての紙幣を繰出し、紙幣がなくなったなら、係員に処理の終了を連絡するために、表示部33に終了'を表示する(ステップ207)。すなわち、図7(b)48の表示が出力される。
これにより、ベルト式スタッカ3に巻き取った紙幣を、係員または保守員の一度の操作によりベルト式スタッカ出入口部9まで指定枚数ずつ、全ての紙幣を抜取ることができる。なお、係員または保守員への連絡手段としては、上記の表示器の他に音声ガイダンス等も考えられる。
【0022】
図7(a)に示すように、紙幣取引装置のリサイクルボックス6〜8、非還流ボックス5の裏側下方に図2に示す制御部50が配置され、その近辺の筐体表面、すなわち、利用者側とは反対側の表面に操作器および表示器40が配置されている。
図6に、制御系の操作部29および表示部33が監視・制御する操作器および表示器40の一例を示す。図6の表示器40は表示部33からの切替え指示により図7(b)(c)の表示器40a,40bにも切り替えられる。
図6の点灯している部分(暗く塗りつぶされた部分)は搬送可能なユニットであって、左側には取引装置の全体概略図、右側には各部の押ボタンスイッチが表示されている。入出金口41、ベルト式スタッカ出入口42、リサイクルボックス(A)43、リサイクルボックス(B)44、リサイクルボックス(C)45、リサイクルボックス(D)46のうち、入出金口41とベルト式スタッカ出入口42のみ点灯しており、これらにのみ搬送可能であるので、いずれか一方のボタンを押下することにより、そのユニットに紙幣の搬送を開始する。
【0023】
図7(b)に切り替えられたときには、『ベルト式スタッカ出入口の紙幣を取除いて下さい』47、または『紙幣はありません、終了しました』48のいずれかが表示される。また、図7(c)に切り替えられたときには、『ベルト式スタッカ出入口での抜取り可能です』49、または『ベルト式スタッカ出入口または入出金口での抜取り可能です』51、または『ベルト式スタッカ出入口または入出金口またはリサイクルボックスでの抜取り可能です』のいずれかが表示される。
これらの表示器により、ベルト式一時スタッカ3に巻き取った紙幣を自動で抜取るための搬送先を、係員または保守員に連絡することにより、操作方法を明確にし、異常後の対応を迅速にすることができる。また、ベルト式スタッカ出入口9にある紙幣を取除く指示を表示したり、紙幣がなくなり、処理が終了したことを表示することにより、係員や保守員が途中で他の操作をすることがないように、また明確な指示を出して迅速に操作できるようにしている。
なお、以上の実施例以外にも、係員または保守員への連絡手段としては、音声ガイダンス等も考えられる。
【0024】
(第3の実施例)
以下、本発明の第3の実施例について説明する。
図5は、本発明の第3の実施例を示す動作フローチャートであって、ベルト式スタッカからの繰出し先判定、すなわち搬送が終了した後に区間ジャムの有無のチェック動作を示している。
主制御部21は、取引が終了すると搬送チェック制御部25から区間ジャムの報告があったかどうかチェックする(ステップ300)。報告があった場合、上搬送路11〜16および下搬送路17それぞれの区間ジャムの報告があるかチェックし(ステップ301、ステップ303)、それぞれの報告により区間ジャムの位置を記憶する(ステップ302、ステップ304)。
さらに、主制御部21は、搬送する先がスタック可能かどうかチェックするために、紙幣スタックモータ制御部28から入出金口1およびリサイクルボックス6、7、8の各スタックモータの異常が報告されているかどうかチェックし(ステップ305、ステップ307)、異常が報告されている場合は、それぞれの異常を記憶する(ステップ306、ステップ308)。
【0025】
次に、主制御部21は、上搬送路11〜16が搬送可能かどうかチェックするために、上下搬送モータ制御部24から上搬送モータの異常が報告されているかどうかチェックする(ステップ309)。上搬送モータの異常が報告されている場合は、他のユニットへの搬送ができないため、係員にベルト式スタッカ3に巻き取られた紙幣を、ベルト式スタッカ出入口部9で抜取るよう連絡する。すなわち、この場合には、異常を回復する前に搬送路中の紙幣を抜取る必要があるので、表示部33から指示することにより、図7(c)49に示すように、表示器40bに『ベルト式スタッカ出入口での抜取り可能です』と表示する(ステップ311)。また、上搬送モータの異常が報告されていない場合には、入出金口1の異常を記憶しているかどうかチェックし(ステップ310)、記憶している場合には、上記と同様に、他のユニットへの搬送ができないため、係員にベルト式スタッカ出入口部9で抜取るよう連絡するために、表示部33に指示し、図7(c)49のように表示器40bに表示する(ステップ311)。
ここで、上搬送モータおよび入出金口1がともに正常の場合には、入出金口1に搬送可能であることになる。このときには、図6の表示器40に示すように、入出金口41とベルト式スタッカ出入口42に点灯されることになる。
【0026】
次に主制御部21は、リサイクルボックス6、7、8に搬送可能かどうかチェックする。まず主制御部21は、下搬送路17が搬送可能かどうかチェックするために、上下搬送モータ制御部24から下搬送モータの異常が報告されているかどうかチェックする(ステップ312)。下搬送モータの異常が報告されている場合は、リサイクルボックス6、7、8への搬送ができないため、係員にベルト式スタッカ3に巻き取られた紙幣を、ベルト式スタッカ出入口部9または入出金口1で抜取るよう連絡する。そのため、表示部33に指示し、図7(c)51に示すように表示器40bに『ベルト式スタッカ出入口または入出金口での抜取り可能です』と表示する(ステップ314)。また、下搬送モータの異常が報告されていない場合には、リサイクルボックスの異常を記憶しているかどうかチェックし(ステップ313)、記憶している場合は上記と同様に、リサイクルボックス6、7、8への搬送ができないため、係員にベルト式スタッカ出入口部9または入出金口1で抜取るよう表示部33に連絡する。この場合にも、図7(c)51に示すように表示器40bに表示する(ステップ314)。そして、上下搬送路11〜17、入出金口1およびリサイクルボックス6、7、8に異常が何もない場合は、係員にベルト式スタッカ3に巻き取られた紙幣を、ベルト式スタッカ出入口部9または入出金口1またはリサイクルボックス6、7、8で抜取るよう連絡するために、表示部33に指示する。このときには、図7(c)52に示すように『ベルト式スタッカ出入口または入出金口またはリサイクルボックスでの抜取り可能です』と表示する(ステップ315)。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例を示す紙幣取引装置の全体構成図である。
【図2】図1の紙幣取引装置の制御系ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例を示すベルト式スタッカから他のユニットへの繰出しフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施例を示すベルト式スタッカからベルト式スタッカ出入口部への繰出しフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施例を示すベルト式スタッカからの繰出し先判定フローチャートである。
【図6】本発明において使用される操作器および表示器の一例を示す図である。
【図7】図6が切り替えられることにより表示される係員および保守員への表示器である。
【符号の説明】
【0028】
1…入出金口、2…鑑別部、3…ベルト式一時スタッカ、
4…入出金口リジェクト集積機構、5…非還流ボックス、
6、7、8…リサイクルボックス、9…ベルト式一時スタッカの出入口部、
10…取引以外での利用者の操作器と表示器、11〜17…搬送路、
21〜25…ゲート、20…上位装置、21…主制御部、22…回線制御部、
23…センサ制御部、24…上下搬送モータ制御部、
25…搬送チェック制御部、26…ゲート制御部、
27…紙幣分離モータ制御部、28…紙幣スタックモータ制御部、
29…操作部、30…ホイールモータ制御部、31…リールモータ制御部、
32…紙幣有無記憶部、33…表示部、40,40a,40b…表示器、
41〜46…スイッチ、50…制御部、47〜49,51,52…表示例。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出金紙幣を一時保管するために、ベルト式一時スタッカに巻き付けたり、繰り出したりする紙幣取引装置の紙幣抜取り方法において、
ベルト式一時スタッカ出入口に紙幣が有るか否かを判別し、紙幣が有れば、外部からの指示に基づき該紙幣を除去させ、紙幣が無ければ、上記ベルト式一時スタッカから紙幣を指定枚数分繰出して、該スタッカ出入口に搬送し、該出入口から該紙幣を抜き取らせ、該スタッカの出入口に紙幣が無くなれば、抜き取り終了を表示することを特徴とする紙幣取引装置の紙幣抜取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−188535(P2007−188535A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106870(P2007−106870)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【分割の表示】特願2000−147373(P2000−147373)の分割
【原出願日】平成12年5月19日(2000.5.19)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【復代理人】
【識別番号】100102587
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 昌幸
【Fターム(参考)】