説明

紙幣搬送路の接続ユニット

【課題】ワンタッチで接続できるとともに、互いに位置ずれすることなく接続できる紙幣搬送路の接続ユニットを提供すること。
【解決手段】紙幣搬送路を接続する紙幣搬送路の接続ユニットであって、紙幣搬送路の断面とほぼ等しい角管状を成す本体部と、前記本体部の上下に配置され、紙幣搬送路の枠材の一部に挿入される挿入突片と、前記挿入突片の近傍に配置され、紙幣搬送路の端部と係合する係合爪とから構成され、前記挿入突片を紙幣搬送路の枠材の一部に挿入するとともに、前記係合爪を紙幣搬送路の端部と係合することにより紙幣搬送路と結合するので、ワンタッチで着脱できるとともに、互いに位置ずれすることなく紙幣搬送路を接続することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣搬送路と紙幣搬送路を接続するための接続ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ機等の遊技機間に設置される玉貸機に投入された紙幣は、遊技台の裏面の島設備内に設置された紙幣搬送路によって回収される。また、従来の紙幣搬送路は、金型加工された多数の機能部品や駆動部品を組み合わせて形成されており、組立作業に手数がかかるとともに、設置位置が微妙に狂った場合、紙幣が円滑に搬送されずに紙幣詰りが生じる虞があった。更に、紙幣搬送路は、所定長さの紙幣搬送路ユニットを複数本ネジ止め等によりそれぞれ接続して形成していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、紙幣搬送路ユニットを接続する場合、接続部における、位置ずれや接続不良によって、紙幣のスムーズな搬送が阻害されると云う問題点が存在した。また、紙幣搬送路ユニットをネジ止め等により接続する場合、取り付け作業に手数が掛かるとともに、互いに位置ズレのないように接続するのは、非常に煩雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、紙幣搬送路を接続する紙幣搬送路の接続ユニットであって、紙幣搬送路の断面とほぼ等しい角管状を成す本体部と、前記本体部の上下に配置され、紙幣搬送路の枠材の一部に挿入される挿入突片と、前記挿入突片の近傍に配置され、紙幣搬送路の端部と係合する係合爪とから構成され、前記挿入突片を紙幣搬送路の枠材の一部に挿入するとともに、前記係合爪を紙幣搬送路の端部と係合することにより紙幣搬送路と結合することを特徴としている。
【0005】
また、請求項2に記載の発明において、前記紙幣搬送路の接続ユニットは、前記本体部内周の天井及び床から対称に立設されるとともに、紙幣搬送方向の上流に向かって閉じ、下流に向かって開いた先端舟型の上下一対のセパレータと、前記セパレータ内に回転自在に配置され、一部がセパレータから露出した上下一対の丸ベルト支持ローラと、前記本体部の左右両側に配置され一部が内部へ突出した一対の搬送ローラとを更に備えたことを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項3に記載の発明において、前記挿入突片は、紙幣搬送方向の上流側及び下流側の双方に形成されるとともに、上端に形成された挿入片と下端に形成された挿入片の長さが異なることを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項4に記載の発明において、前記搬送ローラの回動軸はバネにより、無端丸ベルトの方向に付勢されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は前記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0009】
請求項1に記載の発明では、紙幣搬送路を接続する紙幣搬送路の接続ユニットであって、紙幣搬送路の断面とほぼ等しい角管状を成す本体部と、前記本体部の上下に配置され、紙幣搬送路の枠材の一部に挿入される挿入突片と、前記挿入突片の近傍に配置され、紙幣搬送路の端部と係合する係合爪とから構成され、前記挿入突片を紙幣搬送路の枠材の一部に挿入するとともに、前記係合爪を紙幣搬送路の端部と係合することにより紙幣搬送路と結合するので、ワンタッチで接続できるとともに、互いに位置ずれすることなく接続できる。更に、着脱が容易である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明において、前記紙幣搬送路の接続ユニットは、前記本体部内周の天井及び床から対称に立設されるとともに、紙幣搬送方向の上流に向かって閉じ、下流に向かって開いた先端舟型の上下一対のセパレータと、前記セパレータ内に回転自在に配置され、一部がセパレータから露出した上下一対の丸ベルト支持ローラと、前記本体部の左右両側に配置され一部が内部へ突出した一対の搬送ローラとを更に備えたので、挿通された無端丸ベルトは、丸ベルト支持ローラ及び搬送ローラによって上下、左右から支持され、鉛直方向、水平方向のブレが抑制される。
【0011】
また、請求項3に記載の発明において、前記挿入突片は、紙幣搬送方向の上流側及び下流側の双方に形成されるとともに、上端に形成された挿入片と下端に形成された挿入片の長さが異なるので、始めに長い挿入片を挿入して位置決めし、これをガイドとしてスライドさせ、短い挿入片を挿入することでスムーズに接続することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明において、前記搬送ローラの回動軸はバネにより、無端丸ベルトの方向に付勢されたので、紙幣搬送路の接続ユニットにおいても紙幣搬送路と同様に紙幣を搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、角管状の本体部と本体部の上下に配置された挿入突片と紙幣搬送路の端部と係合する係合爪とから構成するとともに、挿入突片と係合爪を紙幣搬送路の枠材に挿入することで、ワンタッチで接続可能な紙幣搬送路の接続ユニットを実現した。
【実施例1】
【0014】
以下、一実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明に係る紙幣搬送路の接続ユニットの一例を示す側面図、図2は、図1のA−A線断面図である。ここで、紙幣搬送路の接続ユニット10は、紙幣搬送路11の断面とほぼ等しい角管状を成す本体部12と、前記本体部12の上下に配置され、紙幣搬送路の枠材13の一部に挿入される挿入突片14と、前記挿入突片14の近傍に配置され、紙幣搬送路11の端部15と係合する係合爪16と前記本体部内周の天井及び床から対称に立設されるとともに、紙幣搬送方向の上流に向かって閉じ、下流に向かって開いた先端舟型の上下一対のセパレータ17と、前記セパレータ17内に回転自在に配置され、一部がセパレータ17から露出した上下一対の丸ベルト支持ローラ18と、前記本体部の左右両側に配置され一部が内部へ突出した一対の搬送ローラ19とから構成されている。
【0015】
本体部12は、本実施例では透明な合成樹脂からなり、紙幣搬送方向の下流側に紙幣の側面を案内する舌状片20が延設されている。舌状片20は、紙幣搬送路11に挿入可能であり本体部12の幅より狭く形成されている。また、舌状片20は、本実施例では、上下2段でかつ幅方向の左右に配置されている。上下2段に分割することにより、紙幣搬送路に接続した場合に、紙幣搬送路側の搬送ローラの邪魔になることがない。更に、本体部12の上下端には、紙幣搬送方向の上流及び下流方向に向かって延設され、金属等から形成された挿入突片14がビス28によって固定されている。また、挿入突片14は、本体部12の上端でかつ上流方向に短い挿入片14aが形成されるとともに、下流方向に長い挿入片14bが形成されている。更に、挿入片14a、14bは、本体部12の幅方向に一対形成されている。逆に、本体部12の下端でかつ上流方向に長い挿入片14bが形成されるとともに、下流方向に短い挿入片14aが形成されている。実際には、一端に短い挿入片14a、他端に長い挿入片14bの形成された挿入突片14を、方向を変えて上下にビス止めすることにより、達成できる。これらの挿入片14a、14bが紙幣搬送路の枠材13に形成された凹溝にそれぞれ挿入される。また、本体部12は、紙幣搬送方向の上流が大きく、下流側が小さい角管状をしている。このように構成することで、紙幣の搬送を円滑にすることができる。挿入突片14の近傍に配置され、紙幣搬送路11の端部15と係合する係合爪16が本体部12から延設されている。係合爪16は、先端に端部15と係合する係合突起16aを有するとともに、弾性部材によって形成されている。したがって、挿入突片14を紙幣搬送路11の枠材の一部に挿入されると、係合爪16が一旦、変形して後退した後再度復帰して、紙幣搬送路の端部15と係合し、ワンタッチで取り付けることができる。
【0016】
また、本体部内周の天井及び床から上下対称に、一対のセパレータ17が取り付けられている。セパレータ17は、本体部12にビス21で固定されており、紙幣搬送方向の上流に向かって閉じ、下流に向かって開いた先端舟型をしている。上下のセパレータ17は間隔を有して配置されており、この間に無端丸ベルト29が挿通される。また、セパレータ17は、図5、図6に示すように一部がセパレータ17から露出した丸ベルト支持ローラ18が回転軸18bにより回転自在に配置されている。丸ベルト支持ローラ18は、ローラ本体に溝18aを有しており、無端丸ベルト29を上下から挟んで鉛直方向のブレを抑制する。セパレータ17のほぼ中央には、回転軸18bを案内する案内溝17aが形成されており、丸ベルト支持ローラ18と組み合わされた回転軸18bが挿入されると、端部に設けられた係止爪17bによって抜け止めされる。このように構成することで、丸ベルト支持ローラ18をセパレータ17にワンタッチで取り付けることができる。また、係止爪17bを弛めることで、容易に取り外すことができる。回転自在にセットされた丸ベルト支持ローラ18は、一部がセパレータ17から露出している。
【0017】
本体部12の左右両側には、一対の搬送ローラ19が鉛直に配置された回転軸22に回動自在に取り付けられている。回転軸22は、搬送ローラケーシング23に形成された軸溝23a内に挿入されており、コイルバネ24により内側に向かって付勢されている。したがって、搬送ローラ19は、本体部12の両側から内側に向かって付勢されており、付勢力に抗して後退可能に設置されている。このように構成することで、複数の紙幣を同時に搬送しても、円滑に搬送できる。また、搬送ローラ19のローラ面(狭持面)には、断面半円状の凹溝19aが形成されている。
【0018】
搬送ローラケーシング23の外側には、カバー金具25がビス26によって取り付けられている。カバー金具25は、搬送ローラケーシング23の外側開口を覆うとともに、紙幣搬送方向の両端で紙幣搬送路11の端部に当接する位置に接続板27が形成されている。接続板27には、ビス孔25bが穿設されており紙幣搬送路11側の端部15とビス結合可能となっている。
【0019】
以上のように構成された本発明に係る紙幣搬送路の接続ユニット10の使用方法について説明する。先ず、紙幣搬送路の接続ユニット10を紙幣搬送路11の紙幣搬送方向を確認した後、挿入突片14を紙幣搬送路の枠材の一部に挿入する。すると、係合爪16が紙幣搬送路の端部15と係合する。このようにして、ワンタッチで紙幣搬送路と結合することができる。また、取り外す場合、係合爪16を解除することにより、容易に取り外すことができる。更に、紙幣搬送路の接続ユニット10の他端にも紙幣搬送路を接続することができる。接続された紙幣搬送路及び接続ユニットは、互いに位置ズレを生じることなく、正確な位置にワンタッチで取り付けることができる。
【0020】
また、紙幣搬送路の接続ユニットには、紙幣搬送方向の上流に向かって閉じ、下流に向かって開いた先端舟型の上下一対のセパレータが配置されたことにより、左右に2分割された紙幣搬送路をそのままの状態で接続することができる。更に、紙幣搬送路内を挿通駆動される無端丸ベルト29がセパレータ17から一部露出した上下一対の丸ベルト支持ローラ18及び左右一対の搬送ローラ19によって支持され、鉛直方向及び水平方向のブレを抑制することができる。
【0021】
なお、本発明は上述の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に係る紙幣搬送路の接続ユニットの一例を示す側面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は、同紙幣搬送路の接続ユニットの分解斜視図である。
【図4】図4は、同紙幣搬送路の接続ユニット本体部の分解斜視図である。
【図5】図5は、同紙幣搬送路の接続ユニットのセパレータ部の分解斜視図である。
【図6】図6は、同紙幣搬送路の接続ユニットの正面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 紙幣搬送路の接続ユニット
11 紙幣搬送路
12 本体部
13 枠材
14 挿入突片
14a、b 挿入片
15 端部
16 係合爪
17 セパレータ
17a 案内溝
17b 係止爪
18 丸ベルト支持ローラ
19 搬送ローラ
20 舌状片
21 ビス
22 回転軸
23 搬送ローラケーシング
24 コイルバネ
25 カバー金具
26 ビス
27 接続板
28 ビス
29 無端丸ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣搬送路を接続する紙幣搬送路の接続ユニットであって、紙幣搬送路の断面とほぼ等しい角管状を成す本体部と、前記本体部の上下に配置され、紙幣搬送路の枠材の一部に挿入される挿入突片と、前記挿入突片の近傍に配置され、紙幣搬送路の端部と係合する係合爪とから構成され、前記挿入突片を紙幣搬送路の枠材の一部に挿入するとともに、前記係合爪を紙幣搬送路の端部と係合することにより紙幣搬送路と結合することを特徴とする紙幣搬送路の接続ユニット。
【請求項2】
前記紙幣搬送路の接続ユニットは、前記本体部内周の天井及び床から対称に立設されるとともに、紙幣搬送方向の上流に向かって閉じ、下流に向かって開いた先端舟型の上下一対のセパレータと、前記セパレータ内に回転自在に配置され、一部がセパレータから露出した上下一対の丸ベルト支持ローラと、前記本体部の左右両側に配置され一部が内部へ突出した一対の搬送ローラとを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の紙幣搬送路の接続ユニット。
【請求項3】
前記挿入突片は、紙幣搬送方向の上流側及び下流側の双方に形成されるとともに、上端に形成された挿入片と下端に形成された挿入片の長さが異なることを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣搬送路の接続ユニット。
【請求項4】
前記搬送ローラの回動軸はバネにより、無端丸ベルトの方向に付勢されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の紙幣搬送路の接続ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−51607(P2009−51607A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219455(P2007−219455)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(390025586)株式会社大都製作所 (12)
【Fターム(参考)】