説明

紙幣整理装置

【課題】運用モードに応じて手前側の上部集積部に紙幣が多く集積されるように制御することで、紙幣抜取りの際の操作性を向上させる。
【解決手段】上面に上部集積部5a、5bを前後方向に位置をずらして配置し、各上部集積部5a、5bに種別の異なる紙幣を集積する紙幣整理装置において、装置の運用モードに応じて上部集積部の使い分けを設定したテーブルを記憶部12に記憶しておき、装置利用者により指定される運用モードに基づいて前記各上部集積部に集積される紙幣を特定し、それにより手前側の上部集積部5aに後部側の上部集積部5bに集積する紙幣の枚数より多くなる種別の紙幣を集積するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面に複数の集積部を備えた紙幣整理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関で用いられている従来のこの種の紙幣整理装置として、例えば特許文献1に示されるものがある。
図5はその紙幣整理装置の外観を示す斜視図、図6は図5の装置の上部の構造を示す側面図である。
図において1は装置正面の上部に設けられている紙幣の投入部、2は紙幣の真偽、金種、正損、表裏等の鑑別及び計数を行うと共に搬送異常の検出を行う鑑別部で、この鑑別部2は装置内に設けられている。
【0003】
3a〜3fは装置内に設けられた紙幣の搬送路、4は紙幣の表裏反転を行う表裏反転部で、この表裏反転部4は装置内の鑑別部2の後段に位置するように設けられている。
5aと5bは装置の上面に設けられた上部集積部で、オペレータから見て手前側となる上部集積部5aは鑑別部2で金種不明と鑑別されたりあるいは搬送異常が検知されたリジェクト紙幣を集積するためのリジェクトポケット部として機能が固定されており、またオペレータから見て奥側となる上部集積部5bは施封(結束)対象外の金種の紙幣を集積するためのオープンポケット部として機能が固定されていて、この二つの上部集積部5aと5bはそれぞれ集積された紙幣をオペレータが直接手で抜取ることができるように開放されている。
【0004】
6は装置上面においてオープンポケット部である上部集積部5bの後方に位置するように設けられた操作表示部で、LCDとその表面に配置したタッチパネルによって構成されており、オペレータはこの操作表示部6を操作してモードの指定や、結束する紙幣の金種の設定等を行うものとなっている。
また、この操作表示部6には鑑別部2で鑑別された紙幣の金種や正損及び計数結果等の表示も行われる。
【0005】
この紙幣整理装置は、金種混合の多数枚の紙幣を投入部1にセットし、搬送路3aにより1枚ずつ鑑別部2に搬送して金種や正損等の鑑別を行う。
そして、予めオペレータが施封対象として指定された金種の紙幣は搬送路3bにより搬送路3cまたは表裏反転部4に搬送して表裏を揃えた後、搬送路3dにより矢印A方向に搬送して装置下部の図示しない一時集積部に集積し、集積枚数が予め設定された所定の枚数に達すると、それを図示しない施封部(結束部)に移送し、紙テープ等の施封材により小束に施封する。
【0006】
また、鑑別部2で金種不明と鑑別されたりあるいは搬送異常が検知されたリジェクト紙幣は搬送路3b、3eによりリジェクトポケット部である上部集積部5aに搬送して集積し、結束対象外と鑑別された金種の紙幣は搬送路3b、3fによりオープンポケット部である上部集積部5bに搬送して集積する。
この2つの上部集積部5a、5bに集積された紙幣はオペレータにより回収される。
【特許文献1】特開2002−197509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術においては、2つの上部集積部がそれぞれオープンポケット部とリジェクトポケット部として機能が固定されているため、運用モードによっては必ずしも操作性がよいとはいえないという問題がある。
例えば、特定金種の正券を施封する運用の場合、汚れのある損券の紙幣や施封対象外の金種の紙幣がリジェクト紙幣よりも枚数が多くなる場合でも、これら損券の紙幣や施封対象外の紙幣はリジェクト紙幣を集積するリジェクトポケット部よりも奥の位置にあるオープンポケット部にすべて集積されるため、オペレータが抜取り操作をしにくいという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明は、上面に複数の上部集積部を前後方向に位置をずらして配置し、各上部集積部に種別の異なる紙幣を集積する紙幣整理装置において、装置の運用モードに応じて手前側の上部集積部に後部側の上部集積部に集積する紙幣の枚数より多くなる種別の紙幣を集積することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このようにした本発明は、装置上面に前後の位置関係で配置された複数の上部集積部に対し、運用モードに応じて手前側の上部集積部に紙幣が多く集積されるように制御するため、紙幣抜取りの際の操作性を向上させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明による紙幣整理装置の実施例を説明する。
【実施例】
【0012】
図1は実施例の内部構造を示す概略側面図である。
図において1は紙幣の投入部、2は鑑別部、3a〜3eは紙幣の搬送路、4は紙幣の表裏反転を行う表裏反転部で、5aと5bは装置の上面に設けられた上部集積部、6は操作表示部で、これらは従来のものと同様の構成要素であり、同様に配置されている。
7は搬送路3bと3e、3bと3fの分岐部分、及び搬送路3cと表裏反転部4の分岐部分に設けられたブレードで、このブレードにより紙幣の搬送方向が切替えられるものとなっている。
【0013】
8は施封する紙幣を金種別に集積することが可能な施封集積部で、ここでは上下方向に並べて5つ設けられていて、各施封集積部8に例えば100枚の紙幣が集積できるようになっている。
尚、施封集積部8の数及び集積枚数はこれに限られるものではない。
9は移送機構、10は紙幣結束機構で、両者とも装置内下部に設けられている。
【0014】
この移送機構9は、施封集積部8に集積された紙幣をクランプ手段で一括してクランプし、下方に配置された紙幣結束機構10に移送して引き渡す機能を有しており、紙幣結束機構10は移送機構9から受取った紙幣を紙テープ等の施封材により小束に施封して排出口から排出する機能を有している。
11は制御部、12は装置動作に必要な各種の情報や入力画面情報等が記憶格納された記憶部で、制御部11は記憶部12に格納されている制御プログラムに基づいて紙幣整理装置全体の制御を行う機能を有している。
【0015】
また、記憶部12には紙幣整理装置の運用モードによって上部集積部5aと5bを使い分けるためのパターンを予め設定したパターンテーブルが格納されている。
図2はこのパターンテーブル例を示す図である。
この図に示したように上部集積部5aと5bを使い分けるためのパターンとして、例えば3つのパターン「1」と「2」と「3」が設定されている。
【0016】
パターン「1」は上部集積部5aをリジェクトポケット(RJ)部、上部集積部5bをオープンポケット(OP)部とするものであり、パターン「2」は上部集積部5aをオープンポケット(OP)部、上部集積部5bをリジェクトポケット(RJ)部とするものである。また、パターン「3」は上部集積部5aと5bの両方をリジェクトポケット(RJ)部とするものである。
【0017】
装置の運用モードとして「指定券施封」、「正券施封」、「正券・損券施封」、「混合券一括計数」、「全金種施封」が設定されている。
ここで「指定券施封」は、指定された金種の紙幣を正券損券にかかわらず施封する運用モードで、このモードではリジェクト紙幣よりも指定金種以外つまり施封対象外の紙幣の集積枚数が多くなることが予想されるので、紙幣取出しの操作性がよい手前の上部集積部5aをオープンポケット部とし、奥の上部集積部5bをリジェクトポケット部とするパターン「2」が設定されている。
【0018】
また、「正券施封」は、全金種の紙幣について正券のみを施封する運用モードで、このモードではリジェクト紙幣よりも損券の紙幣の集積枚数が多くなることが予想されるので、紙幣取出しの操作性がよい手前の上部集積部5aをオープンポケット部とし、奥の上部集積部5bをリジェクトポケット部とするパターン「2」が設定されている。
「正券・損券施封」は、全金種の紙幣について正券と損券に分けて施封する運用モードで、このモードでは上部集積部に送られる紙幣のほとんどがリジェクト紙幣であると予想されるので、紙幣取出しの操作性がよい手前の上部集積部5aをリジェクトポケット部とし、奥の上部集積部5bをオープンポケット部とするパターン「1」が設定されている。
【0019】
「混合券一括計数」は、全金種の紙幣について金種鑑別及び計数を行ってオープンポケット部に集積する金種別に計数して鑑別計数正券と損券に分けて施封する運用モードで、このモードではリジェクト紙幣よりも金種確定紙幣の集積枚数が多くなることが予想されるので、紙幣取出しの操作性がよい手前の上部集積部5aをオープンポケット部とし、奥の上部集積部5bをリジェクトポケット部とするパターン「2」が設定されている。
【0020】
「全金種施封」は、全金種の紙幣について正券損券にかかわらず金種別に施封する運用モードで、このモードでは上部集積部に送られる紙幣はリジェクト紙幣のみであるので、上部集積部5aと5bの両方をリジェクトポケット部とするパターン「3」が設定されている。
以上のように運用モードに応じて上部集積部5aと5bを使い分けが設定されたパターンテーブルを備えることで、上部集積部5aと5bにそれぞれ集積する紙幣の種別、つまり損券紙幣、リジェクト紙幣、施封対象外紙幣(指定金種外紙幣)等の紙幣の種別を特定できるものとしている。
【0021】
次に上述した構成の作用について説明する。
尚、以下に説明する各部の動作は、記憶部12に格納されている制御プログラムに基づいて制御部11により制御されるものとし、制御部11による記憶部12からの情報の読出しやそれに基づく制御については、必要な場合を除いて省略する。
例えば、図2の運用モードのうちの「正券施封」について説明すると、まず操作表示部6に表示された画面で「正券施封」が選択され、施封する金種が指定されると、制御部11は「正券施封」が選択されたこと及び指定金種を認識し、記憶部12に格納されたパターンテーブルの「正券施封」に該当するパターンを参照して以下の制御を実行する。
【0022】
すなわち、オペレータが複数の金種が混在している紙幣を投入部1にセットすると、図示しないローラ等による取込み手段により紙幣の取り込みが開始される。
これにより投入部1の紙幣は1枚ずつ分離されて搬送路3aにより鑑別部2に搬送され、鑑別部2で紙幣の真偽、金種、表裏、正損等の鑑別と計数、及び搬送異常の有無の検出が行われる。
【0023】
その結果、指定金種つまり施封対象金種と鑑別された正券の紙幣は搬送路3b及び切替ブレード7により搬送路3cまたは表裏反転部4に送られて表裏が揃えられた後、搬送路3dにより施封集積部8に搬送されて金種別に集積される。
この施封集積部8に集積された紙幣は予め設定された所定の枚数に達すると移送機構9により紙幣結束機構10に移送され、紙幣結束機構10により小束に施封される。
【0024】
一方、鑑別部2で施封対象金種ではあるが損券と鑑別された紙幣、及び施封対象外金種と鑑別された紙幣は搬送路3b、切替ブレード7、及び搬送路3eによりオープンポケット部としての上部集積部5aに搬送されて集積され、また、偽あるいは金種不明と鑑別された紙幣及び重送等の搬送異常が検出された紙幣はリジェクト紙幣として搬送路3b、切替ブレード7、及び搬送路3fによりリジェクトポケット部としての上部集積部5bに搬送されて集積される。
【0025】
この2つの上部集積部5a、5bに集積された紙幣はオペレータにより回収されるが、この「正券施封」の運用モードでは、手前側にあるオープンポケット部としての上部集積部5aをオープンポケット部としてここに枚数の多い損券及び施封対象外金種の紙幣を集積するように制御しているため、紙幣抜取りの際の操作性が向上する。
次に、図2の運用モードのうちの「指定金種施封」について説明する。
【0026】
まず操作表示部6に表示された画面で「指定金種施封」が選択され、施封する金種が指定されると、制御部11は「指定金種施封」が選択されたこと及び指定金種を認識し、記憶部12に格納されたパターンテーブルの「指定金種施封」に該当するパターンを参照して以下の制御を実行する。
すなわち、オペレータが複数の金種が混在している紙幣を投入部1にセットすると、図示しないローラ等による取込み手段により紙幣の取り込みが開始される。
【0027】
これにより投入部1の紙幣は1枚ずつ分離されて搬送路3aにより鑑別部2に搬送され、鑑別部2で紙幣の真偽、金種、表裏、等の鑑別と計数、及び搬送異常の有無の検出が行われる。
その結果、指定金種つまり施封対象金種と鑑別された紙幣は正券損券にかかわらず搬送路3b及び切替ブレード7により搬送路3cまたは表裏反転部4に送られて表裏が揃えられた後、搬送路3dにより施封集積部8に搬送されて金種別に集積される。
【0028】
この施封集積部8に集積された紙幣は予め設定された所定の枚数に達すると移送機構9により紙幣結束機構10に移送され、紙幣結束機構10により小束に施封される。
一方、鑑別部2で施封対象外金種と鑑別された紙幣は搬送路3b、切替ブレード7、及び搬送路3eによりオープンポケット部としての上部集積部5aに搬送されて集積され、また、偽あるいは金種不明と鑑別された紙幣及び重送等の搬送異常が検出された紙幣はリジェクト紙幣として搬送路3b、切替ブレード7、及び搬送路3fによりリジェクトポケット部としての上部集積部5bに搬送されて集積される。
【0029】
この2つの上部集積部5a、5bに集積された紙幣はオペレータにより回収されるが、この「指定金種施封」の運用モードでも、手前側にある上部集積部5aをオープンポケット部としてここに枚数の多い損券及び施封対象外金種の紙幣を集積するように制御しているため、紙幣抜取りの際の操作性が向上する。
尚、指定外金種つまり施封対象外金種が2千円のみの場合、2千円紙幣の流通量は極めて少ないので、この場合は例外的に上部集積部5aをリジェクトポケット部、上部集積部5bをオープンポケット部として、上部集積部5aにリジェクト紙幣を集積し、上部集積部5bに施封対象外金種である2千円紙幣を集積するように制御すればよい。
【0030】
次に、図2の運用モードのうちの「正券・損券別施封」について説明する。
まず操作表示部6に表示された画面で「正券・損券別施封」が選択され、施封する金種が指定されると、制御部11は「正券・損券別施封」が選択されたこと及び指定金種を認識し、記憶部12に格納されたパターンテーブルの「正券・損券別施封」に該当するパターンを参照して以下の制御を実行する。
【0031】
すなわち、オペレータが複数の金種が混在している紙幣を投入部1にセットすると、図示しないローラ等による取込み手段により紙幣の取り込みが開始される。
これにより投入部1の紙幣は1枚ずつ分離されて搬送路3aにより鑑別部2に搬送され、鑑別部2で紙幣の真偽、金種、表裏、正損等の鑑別と計数、及び搬送異常の有無の検出が行われる。
【0032】
その結果、リジェクト以外の紙幣はすべて搬送路3b及び切替ブレード7により搬送路3cまたは表裏反転部4に送られて表裏が揃えられた後、搬送路3dにより施封集積部8に搬送されて正損別かつ金種別に集積される。
この施封集積部8に集積された紙幣は予め設定された所定の枚数に達すると移送機構9により紙幣結束機構10に移送され、紙幣結束機構10により小束に施封される。
【0033】
一方、鑑別部2で偽あるいは金種不明と鑑別された紙幣及び重送等の搬送異常が検出された紙幣はリジェクト紙幣として搬送路3b、切替ブレード7、及び搬送路3eによりリジェクトポケット部としての上部集積部5aに搬送されて集積される。
この上部集積部5aに集積された紙幣はオペレータにより回収されるが、この「正券・損券別施封」の運用モードでは、上部集積部に集積するのはリジェクト紙幣のみであることから、手前側にある上部集積部5aをリジェクトポケット部としてここにリジェクト紙幣を集積するように制御しており、そのためこの場合も紙幣抜取りの際の操作性が向上することになる。
【0034】
図2の運用モードのうちの「混合券一括計数」は、上述したように全金種の紙幣について金種鑑別及び計数を行ってオープンポケット部に集積する金種別に計数して鑑別計数正券と損券に分けて施封する運用モードであり、このモードではリジェクト紙幣よりも金種確定紙幣の集積枚数が多くなるとの予想から、紙幣取出しの操作性がよい手前の上部集積部5aをオープンポケット部とし、奥の上部集積部5bをリジェクトポケット部として、制御部11による集積制御が行われる。
【0035】
同様に「全金種施封」は、全金種の紙幣について正券損券にかかわらず金種別に施封する運用モードであり、このモードでは上部集積部に送られる紙幣はリジェクト紙幣のみであるので、上部集積部5aと5bの両方をリジェクトポケット部として、制御部11による集積制御が行われるが、この場合はリジェクト紙幣を上部集積部5aに集積し、この集積部にある程度の枚数が集積されてから上部集積部5bに集積を行うように制御することで上部集積部5aに多い枚数が集積されるようにする。
【0036】
以上説明した実施の形態によれば、装置上面に前後の位置関係で配置された上部集積部5a、5bを運用モードに応じて手前側の上部集積部5aに紙幣が多く集積されるように制御するため、紙幣抜取りの際の操作性を向上させることができるという効果が得られる。
尚上述した実施例では、上部集積部を5aと5bの2個としたが、数を増やしてそれに応じた集積制御を行うことも可能である。
【0037】
図3は上部集積部を3個とした例を示す要部概略側面図で、この例は上部集積部5aと5bの間にもうひとつ上部集積部5cを追加し、搬送路3eから分岐して上部集積部5cに至る搬送路3gを設けた構成としたものである。
この場合、それぞれの上部集積部5a、5b、5cを運用モードにあわせて操作性がよい順に任意にオープンポケット部、リジェクトポケット部として設定して紙幣を集積する。
【0038】
例えば、リジェクト紙幣が多いときは、上部集積部5aと5cをリジェクトポケット部、上部集積部5bをオープンポケット部として、上部集積部5aと5cにリジェクト紙幣を集積し、上部集積部5bにリジェクト紙幣以外の紙幣を集積するように制御すれば、上部集積部5aがフルになった場合、上部集積部5cにリジェクト紙幣を集積できるので、装置を停止する必要がなく、効率的な運用が可能になる。
【0039】
無論、リジェクト紙幣以外の紙幣の枚数が多い場合は、上部集積部5a、5cをオープンポケット部とし、上部集積部5bをリジェクトポケット部として紙幣を集積することで同様に効率的な運用が可能である。
また、この他にも以下のように構成することが可能である。
図4は他の実施例を示す説明図で、図4(a)は上部集積部5a、5bの近傍に色の異なる2つのランプ13a、13bを設けて、この2つのランプ13a、13bの一方をオープンポケット部として使用するときに点灯、他方をリジェクトポケット部として使用するときに点灯するようにしたものであり、また図4(b)は上部集積部5a、5bに隣接してオープンポケット部かリジェクトポケットかを示す表示板14a、14bを設け、それぞれの内側にランプを配置したものでものである。
【0040】
この構成において、制御部11が図2の運用モードに応じて、色の異なるランプ13a、13bの点灯を制御、または表示板14a、14bの内側に設けたランプの点灯を制御することで、いずれの場合も上部集積部5a、5bがオープンポケット部かリジェクトポケットかをオペレータが容易に識別することが可能になり、そのためオペレータの誤操作が防止され、作業性もより向上するものとなる。
【0041】
尚、ランプ表示に変えて音声案内により上部集積部5a、5bがオープンポケット部かリジェクトポケット部かをオペレータに通知するようにしても同様の効果が得られる。
更に、本発明ではオペレータと運用モードを関連付けることも可能である。
金融機関のオペレータはそれぞれ業務が異なり、個々のオペレータ業務と運用モードは関連しているので、図1の構成を備える紙幣整理装置にオペレータ個人のカードあるいは生体情報(指紋、網膜パターン等)による個人認証可能な個人認証部を設けて、その個人認証情報を記憶部12に記憶されている図2の運用モードに関連付けて記憶させておき、装置利用の際、オペレータの個人認証を行って、その個人認証情報を基に運用モードを特定して、紙幣の集積を制御することも可能である。
【0042】
例えば、日銀に紙幣を返却する業務を行うオペレータは、運用モードを図2の「正券・損券別施封」に特定できるので、このオペレータの個人認証情報を「正券・損券別施封」の運用モードに関連付けて記憶させ、このオペレータの個人認証を行った後、制御部11がその個人認証情報を運用モードに関連付けた個人認証情報と照合して、「正券・損券別施封」の運用モードを特定して、操作性のよい上部集積部5aにリジェクト紙幣を集積する制御を行うことが可能である。
【0043】
以上のようにオペレータと運用モードを関連付け、運用モードをオペレータ個人の業務に応じて特定することで、装置利用の際運用モードを指定する操作が不要となり、オペレータの操作性向上が期待できるものとなる。
尚、上述した各説明は、紙幣処理装置を例にしたものであるが、紙幣以外の媒体を装置上部の集積部に集積する処理装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例の内部構造を示す概略側面図
【図2】パターンテーブル例を示す図
【図3】上部集積部を3個とした例を示す要部概略側面図
【図4】他の実施例を示す説明図
【図5】従来例の外観を示す斜視図
【図6】図5の装置の上部の構造を示す側面図
【符号の説明】
【0045】
1 投入部
2 鑑別部
3a〜3g 搬送路
4 表裏反転部
5a〜5c 上部集積部
6 操作表示部
7 切替ブレード
11 制御部
12 記憶部
13a、13b ランプ
14a、14b 表示板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に複数の上部集積部を前後方向に位置をずらして配置し、各上部集積部に種別の異なる紙幣を集積する紙幣整理装置において、
装置の運用モードに応じて手前側の上部集積部に後部側の上部集積部に集積する紙幣の枚数より多くなる種別の紙幣を集積することを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項2】
請求項1記載の紙幣整理装置において、
装置の運用モードに応じて上部集積部の使い分けを設定したテーブルを備え、
装置利用者により指定される運用モードに基づいて前記各上部集積部に集積される紙幣を特定することを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の紙幣整理装置において、
各上部集積部の近傍に集積する紙幣に応じた区分を表示する表示手段を設け、運用モードに応じて表示手段による区分の表示を変更することを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項4】
請求項1記載の紙幣整理装置において、
装置利用者の業務に対応する運用モードに装置利用者の個人認証情報を関連付けておき、
装置利用の際、個人認証を行ってその個人認証情報により運用モードを特定することを特徴とする紙幣整理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−210258(P2008−210258A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47676(P2007−47676)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】