紙幣識別装置
【課題】 紙幣挿入を検知する手段に含まれる発光素子と受光素子の設置及び配線等の作業を簡略化してコスト低減を図れる紙幣識別装置を提供する。
【解決手段】 中央のポート34aに入射した光を左右のポート34aから出射し得る光伝送素子34を紙幣通路BPの相対する前後面の前面側(前側シュート30)に配置することにより、発光素子45及び受光素子46を紙幣通路BPの相対する前後面の後側(紙幣搬送ユニット40のユニット本体41)にまとめて配置することができるので、発光素子45及び受光素子46を設置して配線等を施す作用を従前に比して簡略化してコスト低減を図ることができる。
【解決手段】 中央のポート34aに入射した光を左右のポート34aから出射し得る光伝送素子34を紙幣通路BPの相対する前後面の前面側(前側シュート30)に配置することにより、発光素子45及び受光素子46を紙幣通路BPの相対する前後面の後側(紙幣搬送ユニット40のユニット本体41)にまとめて配置することができるので、発光素子45及び受光素子46を設置して配線等を施す作用を従前に比して簡略化してコスト低減を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等に用いられる紙幣識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の紙幣識別装置は紙幣通路への紙幣挿入を検知する手段を有し、該手段によって紙幣挿入が検知されたときに紙幣搬送ユニットを動作させ紙幣を紙幣識別領域に引き込んでその真偽の識別を行う。
【0003】
前記の紙幣挿入を検知する手段には一般に1または複数の光スイッチが用いられており、光スイッチを構成する発光素子と受光素子の一方は紙幣通路の相対する面の一方に配置され、且つ、発光素子と受光素子の他方は紙幣通路の相対する面の他方に配置されている。
【特許文献1】特開平8−44927号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、対を成す発光素子と受光素子の一方を紙幣通路の相対する面の一方に配置し、且つ、発光素子と受光素子の他方を紙幣通路の相対する面の他方に配置する場合には、紙幣通路の相対する面の一方に発光素子と受光素子の一方を設置して配線等を施す作業と紙幣通路の相対する面の他方に発光素子と受光素子の他方を設置して配線等を施す作業とが必要となるため、これら作業に費やされるコストが増加して装置価格に反映されてしまう不具合がある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、紙幣挿入を検知する手段に含まれる発光素子と受光素子の設置及び配線等の作業を簡略化してコスト低減を図れる紙幣識別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、紙幣通路への紙幣挿入を検知する手段を具備した紙幣識別装置において、前記手段は、紙幣通路の相対する面の一方に配置され、複数のポートのうちの少なくとも1つのポートに入射した光を残りのポートから出射し得る少なくとも1つの光伝送素子と、紙幣通路の相対する面の他方に配置され、紙幣通路を介して光伝送素子の光入射用ポートに光を入射し得る少なくとも1つの発光素子と、紙幣通路の相対する面の他方に配置され、光伝送素子の光出射用ポートから出射された光を紙幣通路を介して受光し得る少なくとも1つの受光素子とを備える、ことをその特徴とする。
【0007】
この紙幣識別装置によれば、少なくとも1つのポートに入射した光を残りのポートから出射し得る少なくとも1つの光伝送素子を紙幣通路の相対する面の一方に配置することにより、発光素子及び受光素子を紙幣通路の相対する面の他方にまとめて配置することができるので、発光素子及び受光素子の設置して配線等を施す作業を従前に比して簡略化してコスト低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、紙幣挿入を検知する手段に含まれる発光素子と受光素子の設置及び配線等の作業を簡略化してコスト低減を図れる紙幣識別装置を提供することができる。
【0009】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図9は本発明(紙幣識別装置)の一実施形態を示す。図1は紙幣識別装置を前側から見た斜視図、図2は図1に示した紙幣識別装置を後側から見た斜視図、図3は図1及び図2に示した紙幣識別装置の縦断面図、図4は図1及び図2に示した紙幣識別装置の上面図、図5は図3のa−a線断面図、図6は図3及び図5に示した光伝送素子の斜視図、図7は図1〜図4に示した係止解除レバーの斜視図、図8は図1〜図4に示した係止解除レバーの操作部と係止片との位置関係を示す図、図9は紙幣挿入の検知に係る説明図である。尚、以下の説明では、図1の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右として表記する。
【0011】
まず、図1〜図8を参照して紙幣識別装置のメカニズムについて説明する。
【0012】
図1〜図9に示した紙幣識別装置は、メインフレーム10と、ベースボックス20と、前側シュート30と、紙幣搬送ユニット40と、後側シュート50と、マスク60と、紙幣収納カセット70と、係止解除レバー80とを備えている。
【0013】
ベースボックス20は上面及び後面を開口した箱形を成し、その前面をメインフレーム10の後面下部に固定されている。このベースボックス20は、紙幣を紙幣収納カセット70内に押し込むための縦長矩形状の紙幣収納プレート21と、該紙幣収納プレート21を前後移動させるリンク機構22と、モータ,減速用歯車及び駆動レバーを有する紙幣収納プレート用駆動機構(図示省略)と、上部後側の左右にその中心線が左右方向に向くように設けられた後側シュート用の軸支孔23とを有している。
【0014】
リンク機構22は、各々の上端を紙幣収納プレート21に回転自在に連結され、且つ、各々の下端をベースボックス20に回転自在に連結された左右一対の上側リンク22aと、各々の上端をベースボックス20に回転自在に連結され、且つ、各々の下端を紙幣収納プレート21に回転自在に連結された左右一対の下側リンク22bと、上側リンク22aと下側リンク22bで共通の操作軸22cとを有している。操作軸22cには紙幣収納プレート用駆動機構の駆動レバー(図示省略)が係合しており、該駆動レバーの前後移動に伴ってリンク機構22はその形態を変化して紙幣収納プレート21を前後に移動させる。
【0015】
前側シュート30は全体が略矩形状を成し、その前面をメインフレーム10の後面上部に固定されている。この前側シュート30は、後側に張り出した上部湾曲部31と、前側に張り出した下部湾曲部32と、上下左右に間隔をおいて回転自在に、且つ、その一部が後側に露出するように設けられた計4個以上のガイドローラ33と、紙幣搬送ユニット取付部(図示省略)と、光伝送素子34とを有している。
【0016】
計4個以上のガイドローラ33のうちの2個のガイドローラ33は紙幣搬送ユニット40の左右一方の無端ベルト43の前側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触し、残りのうちの2個のガイドローラ33は紙幣搬送ユニット40の左右他方の無端ベルト43の前側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触している。
【0017】
光伝送素子34は透明プラスチック或いは透明ガラスから成り、3つのポート34aと、中央のポート34aと左右のポート34aとを結ぶ2つの光伝送部34bと、中央のポート34aと2つの光伝送部34bとの間に設けられた第1光反射部34cと、左右のポート34aと2つの光伝送部34bとの間それぞれに設けられた第2光反射部34dとを備える。この光伝送素子34は各ポート34aを各々に対応して前側シュート30に設けられた孔に差し込むことによって該前側シュート30に取り付けられており、各ポート34aの端面は後側に向けて露出していて、各ポート34aは紙幣挿入方向と直交する方向で間隔をおいて直線的に並んでいる。つまり、光伝送素子34は後述する紙幣通路BPの相対する前後面の前面側に配置されている。
【0018】
また、前側シュート30は、上部両側に設けられ後方向に向けて突出する横長矩形状の係止片35を有している。各係止片35は弾性による左右方向の変形を可能としており、各々の後端内側には傾斜面35aが設けられ、略前後方向中間位置にはその中心線が左右方向を向く係止孔35bが設けられている。両係止片35の外面の左右間隔は後側シュート50の左右寸法とほぼ一致している。
【0019】
紙幣搬送ユニット40は全体が略直方体形状を成し、前側シュート30の紙幣搬送ユニット取付部(図示省略)に着脱自在に取り付けられている。この紙幣搬送ユニット40は、ユニット本体41と、ユニット本体41の上部左右に回転自在に設けられたプーリ42と、ユニット本体41の下部左右に共通回転軸を通じて回転自在に設けられたプーリ42と、左側の2個のプーリ42に巻き付けられた無端ベルト43と、右側の2個のプーリ42に巻き付けられた無端ベルト43と、左側の下側プーリ42に同軸上に連結された従動歯車(図示省略)と、ユニット本体41内に取り付けられた基板44と、基板44に搭載された1つの発光素子45及び2つの受光素子46と、その一部が後側に露出するように設けられた紙幣識別センサ47とを有している。
【0020】
基板44に搭載された1つの発光素子45と2つの受光素子46は各々に対応してユニット本体40の前面に設けられた孔に挿入されて前側に向けて露出しており、1つの発光素子45は光伝送素子34の中央のポート34aに間隔をおいて向き合い、且つ、2つの受光素子46は光伝送素子34の左右のポート34aにそれぞれ間隔をおいて向き合っている。つまり、発光素子45と受光素子46は後述する紙幣通路BPの相対する前後面の後面側に配置されている。因みに、発光素子45には発光ダイオード等が用いられ、受光素子46はフォトダイオードやフォトトランジスタ等が用いられている。
【0021】
後側シュート50は全体は略直方体形状を成す。この後側シュート50は、前側に張り出した湾曲部51と、上下左右に間隔をおいて回転自在に、且つ、その一部が前側に露出するように設けられた計4個以上のガイドローラ52と、その一部が前側に露出するように設けられた紙幣識別センサ53と、モータ,減速用歯車及び駆動歯車を有する紙幣搬送ユニット用駆動機構(図示省略)と、下面後側の左右に設けられた支持片54と、各支持片54にその中心線が左右方向に向くように設けられた軸部55とを有している。この後側シュート50は左右の軸部55をベースボックス20の左右の軸支孔23に回転自在に挿入され、軸支箇所を支点とした回転動作による開閉ができるようにベースボックス20に取り付けられている。
【0022】
計4個以上のガイドローラ52のうちの2個のガイドローラ52は紙幣搬送ユニット40の左右一方の無端ベルト43の後側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触し、残りのうちの2個のガイドローラ52は紙幣搬送ユニット40の左右他方の無端ベルト43の後側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触している。
【0023】
紙幣搬送ユニット用駆動機構の駆動歯車は後側シュート50を閉塞した状態で紙幣搬送ユニット40の従動歯車に噛合する。つまり、紙幣搬送ユニット40の各無端ベルト43は紙幣搬送ユニット用駆動機構の駆動歯車から従動歯車に伝達された回転力に基づいて所定方向に回転して紙幣搬送を行う。
【0024】
また、後側シュート50は、上部両側に設けられた凹部56と、各凹部56の内側側面に設けられたピン57とを有している。各ピン57の中心線は左右方向を向いており、各々の径は係止片35の係止孔35bの径よりも僅かに小さく、各々の長さは好ましくは凹部56の左右間隔よりも短い。
【0025】
さらに、後側シュート50は、係止解除レバー用の左右一対の支持壁58をその上面に有している。各支持壁58にはその中心線が左右方向に向くように設けられた係止解除レバー用の軸支孔58aが形成されている。
【0026】
マスク60は後面を開口した箱形を成し、その後面をメインフレーム10の前面に固定されている。このマスク60は、前面から後面に至る横長の紙幣挿入口61と、紙幣挿入口61の後端下部から後側に張り出した湾曲部62とを有している。
【0027】
紙幣収納カセット70は上面及び前面を開口した箱形を成し、ベースボックス20内に着脱自在に取り付けられている。この紙幣収納カセット70は、前面開口の左右に設けられた縦長のレール71と、両レール71の左右間隔よりも左右幅が僅かに大きく両レール71の後側に配置された縦長矩形状のカセットプレート72と、カセットプレート72を前方に付勢する円錐台状のコイルバネ73と、ベースボックス20内への紙幣収納カセット70の装着とその解除を行うフックレバー(図示省略)と、フックレバーを後面側から操作するための切り欠き74とを有している。
【0028】
係止解除レバー80は、矩形状の押圧部81と、押圧部81の後端から前方に伸びる縦断面L字形の姿勢制御部82と、姿勢制御部82の左右両側に設けられた弾性片83と、各弾性片83にその中心線が左右方向に向くように設けられた軸部84と、押圧部81の左右両側に設けられ左右方向に伸びる棒状部85と、各棒状部85の先端に設けられた操作部86とを有している。この係止解除レバー80は両弾性片83を内側に撓ませて各々の軸部84を後側シュート50の左右の支持壁58の軸支孔58aに挿入することによって後側シュート50の上面に取り付けられており、軸支箇所を支点とした傾動動作ができるようになっている。また、この取付状態では姿勢制御部82がメインフレーム10の上側張出部11に近接するようになっていて、押圧部81が浮き上がるように傾動したときの角度制限を姿勢制御部82の上側張出部11への接触によって行えるようになっている。
【0029】
各操作部86は縦断面略三角形を成していて、各々の外面は内側に向かって傾く傾斜面86aとなっている。両操作部86の下端の左右間隔は、両係止片35の内面の左右間隔よりも僅かに小さい。
【0030】
次に、図3,図5及び図9を主に参照して前述の紙幣識別装置の動作について説明する。
【0031】
後側シュート50が閉塞位置にあるとき、紙幣搬送ユニット40はその前後を前側シュート30と後側シュート50に挟み込まれたような状態となり、上部湾曲部31と後側シュート50の湾曲部51の存在もあって、紙幣搬送ユニット40の周囲には逆U字形の紙幣通路BP(図3,図5及び図9参照)が形成される。この紙幣通路BPの前側下端はマスク60の湾曲部62を介して紙幣挿入口61の後端と連通している。
【0032】
図5に矢印で示すように、紙幣未挿入状態では、光伝送素子34の中央のポート34aには紙幣通路BPを介して発光素子45からの光が入射され、該入射光は2つの第1光反射部34cによって分離されて各光伝送部34bによって伝送され、該各伝送光は左右の第2光反射部34dによって左右のポート34aにそれぞれ導かれ、該各伝送光は左右のポート34aから出射されて紙幣通路BPを介して左右の受光素子46にそれぞれ入射される。
【0033】
マスク60の紙幣挿入口61に挿入された1000円札等の紙幣PMが図9に示すように光伝送素子34のポート34aの並びラインに達すると、該紙幣PMによって光伝送素子34の左右のポート34aから各受光素子46への光入射が遮られ、該各受光素子46への光入射の遮断によって紙幣が挿入されたことが検知される。
【0034】
紙幣挿入が検知された後は、紙幣搬送ユニット40の両無端ベルト43が図3において反時計回り方向に回転し、該回転によって紙幣PMが逆U字形の紙幣通路BPに引き込まれて該紙幣通路BPに沿って紙幣識別センサ47,53の検知領域に送り込まれる。
【0035】
紙幣識別センサ44,53の検知領域に送り込まれた紙幣は該検知領域において真偽の識別を受け、偽紙幣、或いは、識別不可の場合には紙幣搬送ユニット40の両無端ベルト43が図3において時計回り方向に回転し、該回転によって紙幣が逆U字形の紙幣通路BPから紙幣挿入口61に戻される。
【0036】
一方、真偽識別の結果、真紙幣の場合には図示省略の制御回路を通じて真紙幣挿入に係る信号が出力される共に、紙幣搬送ユニット40の両無端ベルト43が図3において反時計回り方向に回転し、該回転によって紙幣がベースボックス20の紙幣収納プレート21の後側に送り込まれる。そして、紙幣収納プレート21が紙幣を介して紙幣収納カセット70のカセットプレート72をバネ付勢力に抗して後方に押圧し、紙幣の幅方向両端縁が紙幣収納カセット70の両レール71を乗り越える位置まで後方移動した後に前方に復帰する。この紙幣収納プレート21の動作によって真紙幣は、紙幣収納カセット70のカセットプレート72と両レール71との間に挟まれるようにして収納される。
【0037】
次に、図4及び図8を主に参照して前述の紙幣識別装置における後側シュート50の開閉動作について説明する。
【0038】
図4及び図8に示すように、閉塞位置にある後側シュート50はその左右両側のピン57を前側シュート30の左右両側の係止片35の係止孔35bにそれぞれ差し込まれて係止された状態で適正位置に保持されている。
【0039】
紙幣搬送ユニット40の点検や修理等を行うに際して閉塞位置にある後側シュート50を開放するときには、係止解除レバー80の押圧部81を指先等で下方に押圧して両棒状部85及び両操作部86を下方移動させる。係止解除レバー80の両操作部86の下端の左右間隔は両係止片35の内面の左右間隔よりも僅かに小さいため、前記の押圧に伴う両操作部86の下方移動による相互接触によって各々の傾斜面86aから各係止片35にこれらを外側に押し退ける力が作用し、該各係止片35は外側に弾性変形して各々の係止孔35bが各ピン57から同時に抜け出て係止が解除される。依って、係止解除状態で後側シュート50を軸支箇所を支点として後側に回転させれば、該後側シュート50を開放して紙幣搬送ユニット40を露出させることができ、必要に応じて紙幣搬送ユニット40を前側シュート30から取り外すことによって所期の点検や修理等を的確に行うことができる。
【0040】
開放後の後側シュート50を閉塞位置に戻すときには、後側シュート50を軸支箇所を支点として前側に回転させればよい。各係止片35は弾性による左右変形を可能としており、しかも、各々の後端内側には傾斜面35aが設けられているため、後側シュート50を軸支箇所を支点として前側に回転させると各ピン57の先端が各係止片35の傾斜面35aに接触し、該相互接触によって各係止片35を外側に押し退ける力が作用して該各係止片35は外側に弾性変形する。後側シュート50が閉塞位置に達すると、図4及び図8に示すように、各ピン57が各係止片35の係止孔35bに再び差し込まれて係止されて該後側シュート50が適正な閉塞位置で保持される。
【0041】
このように、前述の紙幣識別装置によれば、中央のポート34aに入射した光を左右のポート34aから出射し得る光伝送素子34を紙幣通路BPの相対する前後面の前面側(前側シュート30)に配置することにより、発光素子45及び受光素子46を紙幣通路BPの相対する前後面の後側(紙幣搬送ユニット40のユニット本体41)にまとめて配置することができるので、発光素子45及び受光素子46を設置して配線等を施す作用を従前に比して簡略化してコスト低減を図ることができる。しかも、発光素子45の数を受光素子46の数よりも減らせるのでこの点からもコスト低減に貢献できる。
【0042】
また、光伝送素子34の各ポート34aが紙幣挿入方向と直交する方向で間隔をおいて直線的に並んでいるので、挿入された紙幣PMが光伝送素子34のポート34aの並びラインに達したときに該紙幣PMの挿入を的確に検知することができる。
【0043】
さらに、発光素子45,受光素子46及びその基板44を紙幣搬送ユニット40のユニット本体41に設けてあるので、後側シュート50を開放して紙幣搬送ユニット40を前側シュート30から取り外すことによって、発光素子45,受光素子46及びその基板44に対する点検や修理等を簡単に行うことができる。
【0044】
尚、前述の紙幣識別装置では、1つの光伝送素子34を用いたものを示したが、図10及び図11に示すように、該光伝送素子34よりも幅寸法が小さな光伝送素子36を重ねて用いて、両光伝送素子34,36の中央のポート34a,36aに単一の発光素子45から光を入射するようにし、且つ、各光伝送素子34,36の左右のポート34a,36aに対応して計4個の受光素子46を配置すれば、紙幣挿入の検知箇所数を増加させることもできる。勿論、2つの光伝送素子34,36を機能的に一体化したような光伝送素子を用いても同様の検知箇所数の増加を行うことができる。
【0045】
また、前述の紙幣識別装置では、光伝送素子34の中央のポート34aを光入射用として用い、且つ、左右のポート34aを光出射用として用いたが、中央のポート34aを光出射用として用い、且つ、左右のポート34aを光入射用として用いることも可能であり、発光素子45を受光素子に置換し、且つ、左右の受光素子46を発光素子に置換すれば前記同様の紙幣挿入検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態を示す、紙幣識別装置を前側から見た斜視図である。
【図2】図1に示した紙幣識別装置を後側から見た斜視図である。
【図3】図1及び図2に示した紙幣識別装置の縦断面図である。
【図4】図1及び図2に示した紙幣識別装置の上面図である。
【図5】図3のa−a線断面図である。
【図6】図3及び図5に示した光伝送素子の斜視図である。
【図7】図1〜図4に示した係止解除レバーの斜視図である。
【図8】図1〜図4に示した係止解除レバーの操作部と係止片との位置関係を示す図である。
【図9】紙幣挿入の検知に係る説明図である。
【図10】図1〜図9に示した紙幣識別装置の部分変形例を示す図5対応の断面図である。
【図11】図10に示した光伝送素子の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
10…メインフレーム、20…ベースボックス、30…前側シュート、34…光伝送素子、34a…ポート、34b…光伝送部、34c…第1光反射部、34d…第2光反射部、36…光伝送素子、36a…ポート、36b…光伝送部、36c…第1光反射部、36d…第2光反射部、40…紙幣搬送ユニット、44…基板、45…発光素子、46…受光素子、50…後側シュート、60…マスク、70…紙幣収納カセット、80…係止解除レバー、BP…紙幣通路、PM…紙幣。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等に用いられる紙幣識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の紙幣識別装置は紙幣通路への紙幣挿入を検知する手段を有し、該手段によって紙幣挿入が検知されたときに紙幣搬送ユニットを動作させ紙幣を紙幣識別領域に引き込んでその真偽の識別を行う。
【0003】
前記の紙幣挿入を検知する手段には一般に1または複数の光スイッチが用いられており、光スイッチを構成する発光素子と受光素子の一方は紙幣通路の相対する面の一方に配置され、且つ、発光素子と受光素子の他方は紙幣通路の相対する面の他方に配置されている。
【特許文献1】特開平8−44927号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、対を成す発光素子と受光素子の一方を紙幣通路の相対する面の一方に配置し、且つ、発光素子と受光素子の他方を紙幣通路の相対する面の他方に配置する場合には、紙幣通路の相対する面の一方に発光素子と受光素子の一方を設置して配線等を施す作業と紙幣通路の相対する面の他方に発光素子と受光素子の他方を設置して配線等を施す作業とが必要となるため、これら作業に費やされるコストが増加して装置価格に反映されてしまう不具合がある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、紙幣挿入を検知する手段に含まれる発光素子と受光素子の設置及び配線等の作業を簡略化してコスト低減を図れる紙幣識別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、紙幣通路への紙幣挿入を検知する手段を具備した紙幣識別装置において、前記手段は、紙幣通路の相対する面の一方に配置され、複数のポートのうちの少なくとも1つのポートに入射した光を残りのポートから出射し得る少なくとも1つの光伝送素子と、紙幣通路の相対する面の他方に配置され、紙幣通路を介して光伝送素子の光入射用ポートに光を入射し得る少なくとも1つの発光素子と、紙幣通路の相対する面の他方に配置され、光伝送素子の光出射用ポートから出射された光を紙幣通路を介して受光し得る少なくとも1つの受光素子とを備える、ことをその特徴とする。
【0007】
この紙幣識別装置によれば、少なくとも1つのポートに入射した光を残りのポートから出射し得る少なくとも1つの光伝送素子を紙幣通路の相対する面の一方に配置することにより、発光素子及び受光素子を紙幣通路の相対する面の他方にまとめて配置することができるので、発光素子及び受光素子の設置して配線等を施す作業を従前に比して簡略化してコスト低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、紙幣挿入を検知する手段に含まれる発光素子と受光素子の設置及び配線等の作業を簡略化してコスト低減を図れる紙幣識別装置を提供することができる。
【0009】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図9は本発明(紙幣識別装置)の一実施形態を示す。図1は紙幣識別装置を前側から見た斜視図、図2は図1に示した紙幣識別装置を後側から見た斜視図、図3は図1及び図2に示した紙幣識別装置の縦断面図、図4は図1及び図2に示した紙幣識別装置の上面図、図5は図3のa−a線断面図、図6は図3及び図5に示した光伝送素子の斜視図、図7は図1〜図4に示した係止解除レバーの斜視図、図8は図1〜図4に示した係止解除レバーの操作部と係止片との位置関係を示す図、図9は紙幣挿入の検知に係る説明図である。尚、以下の説明では、図1の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右として表記する。
【0011】
まず、図1〜図8を参照して紙幣識別装置のメカニズムについて説明する。
【0012】
図1〜図9に示した紙幣識別装置は、メインフレーム10と、ベースボックス20と、前側シュート30と、紙幣搬送ユニット40と、後側シュート50と、マスク60と、紙幣収納カセット70と、係止解除レバー80とを備えている。
【0013】
ベースボックス20は上面及び後面を開口した箱形を成し、その前面をメインフレーム10の後面下部に固定されている。このベースボックス20は、紙幣を紙幣収納カセット70内に押し込むための縦長矩形状の紙幣収納プレート21と、該紙幣収納プレート21を前後移動させるリンク機構22と、モータ,減速用歯車及び駆動レバーを有する紙幣収納プレート用駆動機構(図示省略)と、上部後側の左右にその中心線が左右方向に向くように設けられた後側シュート用の軸支孔23とを有している。
【0014】
リンク機構22は、各々の上端を紙幣収納プレート21に回転自在に連結され、且つ、各々の下端をベースボックス20に回転自在に連結された左右一対の上側リンク22aと、各々の上端をベースボックス20に回転自在に連結され、且つ、各々の下端を紙幣収納プレート21に回転自在に連結された左右一対の下側リンク22bと、上側リンク22aと下側リンク22bで共通の操作軸22cとを有している。操作軸22cには紙幣収納プレート用駆動機構の駆動レバー(図示省略)が係合しており、該駆動レバーの前後移動に伴ってリンク機構22はその形態を変化して紙幣収納プレート21を前後に移動させる。
【0015】
前側シュート30は全体が略矩形状を成し、その前面をメインフレーム10の後面上部に固定されている。この前側シュート30は、後側に張り出した上部湾曲部31と、前側に張り出した下部湾曲部32と、上下左右に間隔をおいて回転自在に、且つ、その一部が後側に露出するように設けられた計4個以上のガイドローラ33と、紙幣搬送ユニット取付部(図示省略)と、光伝送素子34とを有している。
【0016】
計4個以上のガイドローラ33のうちの2個のガイドローラ33は紙幣搬送ユニット40の左右一方の無端ベルト43の前側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触し、残りのうちの2個のガイドローラ33は紙幣搬送ユニット40の左右他方の無端ベルト43の前側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触している。
【0017】
光伝送素子34は透明プラスチック或いは透明ガラスから成り、3つのポート34aと、中央のポート34aと左右のポート34aとを結ぶ2つの光伝送部34bと、中央のポート34aと2つの光伝送部34bとの間に設けられた第1光反射部34cと、左右のポート34aと2つの光伝送部34bとの間それぞれに設けられた第2光反射部34dとを備える。この光伝送素子34は各ポート34aを各々に対応して前側シュート30に設けられた孔に差し込むことによって該前側シュート30に取り付けられており、各ポート34aの端面は後側に向けて露出していて、各ポート34aは紙幣挿入方向と直交する方向で間隔をおいて直線的に並んでいる。つまり、光伝送素子34は後述する紙幣通路BPの相対する前後面の前面側に配置されている。
【0018】
また、前側シュート30は、上部両側に設けられ後方向に向けて突出する横長矩形状の係止片35を有している。各係止片35は弾性による左右方向の変形を可能としており、各々の後端内側には傾斜面35aが設けられ、略前後方向中間位置にはその中心線が左右方向を向く係止孔35bが設けられている。両係止片35の外面の左右間隔は後側シュート50の左右寸法とほぼ一致している。
【0019】
紙幣搬送ユニット40は全体が略直方体形状を成し、前側シュート30の紙幣搬送ユニット取付部(図示省略)に着脱自在に取り付けられている。この紙幣搬送ユニット40は、ユニット本体41と、ユニット本体41の上部左右に回転自在に設けられたプーリ42と、ユニット本体41の下部左右に共通回転軸を通じて回転自在に設けられたプーリ42と、左側の2個のプーリ42に巻き付けられた無端ベルト43と、右側の2個のプーリ42に巻き付けられた無端ベルト43と、左側の下側プーリ42に同軸上に連結された従動歯車(図示省略)と、ユニット本体41内に取り付けられた基板44と、基板44に搭載された1つの発光素子45及び2つの受光素子46と、その一部が後側に露出するように設けられた紙幣識別センサ47とを有している。
【0020】
基板44に搭載された1つの発光素子45と2つの受光素子46は各々に対応してユニット本体40の前面に設けられた孔に挿入されて前側に向けて露出しており、1つの発光素子45は光伝送素子34の中央のポート34aに間隔をおいて向き合い、且つ、2つの受光素子46は光伝送素子34の左右のポート34aにそれぞれ間隔をおいて向き合っている。つまり、発光素子45と受光素子46は後述する紙幣通路BPの相対する前後面の後面側に配置されている。因みに、発光素子45には発光ダイオード等が用いられ、受光素子46はフォトダイオードやフォトトランジスタ等が用いられている。
【0021】
後側シュート50は全体は略直方体形状を成す。この後側シュート50は、前側に張り出した湾曲部51と、上下左右に間隔をおいて回転自在に、且つ、その一部が前側に露出するように設けられた計4個以上のガイドローラ52と、その一部が前側に露出するように設けられた紙幣識別センサ53と、モータ,減速用歯車及び駆動歯車を有する紙幣搬送ユニット用駆動機構(図示省略)と、下面後側の左右に設けられた支持片54と、各支持片54にその中心線が左右方向に向くように設けられた軸部55とを有している。この後側シュート50は左右の軸部55をベースボックス20の左右の軸支孔23に回転自在に挿入され、軸支箇所を支点とした回転動作による開閉ができるようにベースボックス20に取り付けられている。
【0022】
計4個以上のガイドローラ52のうちの2個のガイドローラ52は紙幣搬送ユニット40の左右一方の無端ベルト43の後側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触し、残りのうちの2個のガイドローラ52は紙幣搬送ユニット40の左右他方の無端ベルト43の後側の上下位置に対応していてその露出部分を該無端ベルト43に接触している。
【0023】
紙幣搬送ユニット用駆動機構の駆動歯車は後側シュート50を閉塞した状態で紙幣搬送ユニット40の従動歯車に噛合する。つまり、紙幣搬送ユニット40の各無端ベルト43は紙幣搬送ユニット用駆動機構の駆動歯車から従動歯車に伝達された回転力に基づいて所定方向に回転して紙幣搬送を行う。
【0024】
また、後側シュート50は、上部両側に設けられた凹部56と、各凹部56の内側側面に設けられたピン57とを有している。各ピン57の中心線は左右方向を向いており、各々の径は係止片35の係止孔35bの径よりも僅かに小さく、各々の長さは好ましくは凹部56の左右間隔よりも短い。
【0025】
さらに、後側シュート50は、係止解除レバー用の左右一対の支持壁58をその上面に有している。各支持壁58にはその中心線が左右方向に向くように設けられた係止解除レバー用の軸支孔58aが形成されている。
【0026】
マスク60は後面を開口した箱形を成し、その後面をメインフレーム10の前面に固定されている。このマスク60は、前面から後面に至る横長の紙幣挿入口61と、紙幣挿入口61の後端下部から後側に張り出した湾曲部62とを有している。
【0027】
紙幣収納カセット70は上面及び前面を開口した箱形を成し、ベースボックス20内に着脱自在に取り付けられている。この紙幣収納カセット70は、前面開口の左右に設けられた縦長のレール71と、両レール71の左右間隔よりも左右幅が僅かに大きく両レール71の後側に配置された縦長矩形状のカセットプレート72と、カセットプレート72を前方に付勢する円錐台状のコイルバネ73と、ベースボックス20内への紙幣収納カセット70の装着とその解除を行うフックレバー(図示省略)と、フックレバーを後面側から操作するための切り欠き74とを有している。
【0028】
係止解除レバー80は、矩形状の押圧部81と、押圧部81の後端から前方に伸びる縦断面L字形の姿勢制御部82と、姿勢制御部82の左右両側に設けられた弾性片83と、各弾性片83にその中心線が左右方向に向くように設けられた軸部84と、押圧部81の左右両側に設けられ左右方向に伸びる棒状部85と、各棒状部85の先端に設けられた操作部86とを有している。この係止解除レバー80は両弾性片83を内側に撓ませて各々の軸部84を後側シュート50の左右の支持壁58の軸支孔58aに挿入することによって後側シュート50の上面に取り付けられており、軸支箇所を支点とした傾動動作ができるようになっている。また、この取付状態では姿勢制御部82がメインフレーム10の上側張出部11に近接するようになっていて、押圧部81が浮き上がるように傾動したときの角度制限を姿勢制御部82の上側張出部11への接触によって行えるようになっている。
【0029】
各操作部86は縦断面略三角形を成していて、各々の外面は内側に向かって傾く傾斜面86aとなっている。両操作部86の下端の左右間隔は、両係止片35の内面の左右間隔よりも僅かに小さい。
【0030】
次に、図3,図5及び図9を主に参照して前述の紙幣識別装置の動作について説明する。
【0031】
後側シュート50が閉塞位置にあるとき、紙幣搬送ユニット40はその前後を前側シュート30と後側シュート50に挟み込まれたような状態となり、上部湾曲部31と後側シュート50の湾曲部51の存在もあって、紙幣搬送ユニット40の周囲には逆U字形の紙幣通路BP(図3,図5及び図9参照)が形成される。この紙幣通路BPの前側下端はマスク60の湾曲部62を介して紙幣挿入口61の後端と連通している。
【0032】
図5に矢印で示すように、紙幣未挿入状態では、光伝送素子34の中央のポート34aには紙幣通路BPを介して発光素子45からの光が入射され、該入射光は2つの第1光反射部34cによって分離されて各光伝送部34bによって伝送され、該各伝送光は左右の第2光反射部34dによって左右のポート34aにそれぞれ導かれ、該各伝送光は左右のポート34aから出射されて紙幣通路BPを介して左右の受光素子46にそれぞれ入射される。
【0033】
マスク60の紙幣挿入口61に挿入された1000円札等の紙幣PMが図9に示すように光伝送素子34のポート34aの並びラインに達すると、該紙幣PMによって光伝送素子34の左右のポート34aから各受光素子46への光入射が遮られ、該各受光素子46への光入射の遮断によって紙幣が挿入されたことが検知される。
【0034】
紙幣挿入が検知された後は、紙幣搬送ユニット40の両無端ベルト43が図3において反時計回り方向に回転し、該回転によって紙幣PMが逆U字形の紙幣通路BPに引き込まれて該紙幣通路BPに沿って紙幣識別センサ47,53の検知領域に送り込まれる。
【0035】
紙幣識別センサ44,53の検知領域に送り込まれた紙幣は該検知領域において真偽の識別を受け、偽紙幣、或いは、識別不可の場合には紙幣搬送ユニット40の両無端ベルト43が図3において時計回り方向に回転し、該回転によって紙幣が逆U字形の紙幣通路BPから紙幣挿入口61に戻される。
【0036】
一方、真偽識別の結果、真紙幣の場合には図示省略の制御回路を通じて真紙幣挿入に係る信号が出力される共に、紙幣搬送ユニット40の両無端ベルト43が図3において反時計回り方向に回転し、該回転によって紙幣がベースボックス20の紙幣収納プレート21の後側に送り込まれる。そして、紙幣収納プレート21が紙幣を介して紙幣収納カセット70のカセットプレート72をバネ付勢力に抗して後方に押圧し、紙幣の幅方向両端縁が紙幣収納カセット70の両レール71を乗り越える位置まで後方移動した後に前方に復帰する。この紙幣収納プレート21の動作によって真紙幣は、紙幣収納カセット70のカセットプレート72と両レール71との間に挟まれるようにして収納される。
【0037】
次に、図4及び図8を主に参照して前述の紙幣識別装置における後側シュート50の開閉動作について説明する。
【0038】
図4及び図8に示すように、閉塞位置にある後側シュート50はその左右両側のピン57を前側シュート30の左右両側の係止片35の係止孔35bにそれぞれ差し込まれて係止された状態で適正位置に保持されている。
【0039】
紙幣搬送ユニット40の点検や修理等を行うに際して閉塞位置にある後側シュート50を開放するときには、係止解除レバー80の押圧部81を指先等で下方に押圧して両棒状部85及び両操作部86を下方移動させる。係止解除レバー80の両操作部86の下端の左右間隔は両係止片35の内面の左右間隔よりも僅かに小さいため、前記の押圧に伴う両操作部86の下方移動による相互接触によって各々の傾斜面86aから各係止片35にこれらを外側に押し退ける力が作用し、該各係止片35は外側に弾性変形して各々の係止孔35bが各ピン57から同時に抜け出て係止が解除される。依って、係止解除状態で後側シュート50を軸支箇所を支点として後側に回転させれば、該後側シュート50を開放して紙幣搬送ユニット40を露出させることができ、必要に応じて紙幣搬送ユニット40を前側シュート30から取り外すことによって所期の点検や修理等を的確に行うことができる。
【0040】
開放後の後側シュート50を閉塞位置に戻すときには、後側シュート50を軸支箇所を支点として前側に回転させればよい。各係止片35は弾性による左右変形を可能としており、しかも、各々の後端内側には傾斜面35aが設けられているため、後側シュート50を軸支箇所を支点として前側に回転させると各ピン57の先端が各係止片35の傾斜面35aに接触し、該相互接触によって各係止片35を外側に押し退ける力が作用して該各係止片35は外側に弾性変形する。後側シュート50が閉塞位置に達すると、図4及び図8に示すように、各ピン57が各係止片35の係止孔35bに再び差し込まれて係止されて該後側シュート50が適正な閉塞位置で保持される。
【0041】
このように、前述の紙幣識別装置によれば、中央のポート34aに入射した光を左右のポート34aから出射し得る光伝送素子34を紙幣通路BPの相対する前後面の前面側(前側シュート30)に配置することにより、発光素子45及び受光素子46を紙幣通路BPの相対する前後面の後側(紙幣搬送ユニット40のユニット本体41)にまとめて配置することができるので、発光素子45及び受光素子46を設置して配線等を施す作用を従前に比して簡略化してコスト低減を図ることができる。しかも、発光素子45の数を受光素子46の数よりも減らせるのでこの点からもコスト低減に貢献できる。
【0042】
また、光伝送素子34の各ポート34aが紙幣挿入方向と直交する方向で間隔をおいて直線的に並んでいるので、挿入された紙幣PMが光伝送素子34のポート34aの並びラインに達したときに該紙幣PMの挿入を的確に検知することができる。
【0043】
さらに、発光素子45,受光素子46及びその基板44を紙幣搬送ユニット40のユニット本体41に設けてあるので、後側シュート50を開放して紙幣搬送ユニット40を前側シュート30から取り外すことによって、発光素子45,受光素子46及びその基板44に対する点検や修理等を簡単に行うことができる。
【0044】
尚、前述の紙幣識別装置では、1つの光伝送素子34を用いたものを示したが、図10及び図11に示すように、該光伝送素子34よりも幅寸法が小さな光伝送素子36を重ねて用いて、両光伝送素子34,36の中央のポート34a,36aに単一の発光素子45から光を入射するようにし、且つ、各光伝送素子34,36の左右のポート34a,36aに対応して計4個の受光素子46を配置すれば、紙幣挿入の検知箇所数を増加させることもできる。勿論、2つの光伝送素子34,36を機能的に一体化したような光伝送素子を用いても同様の検知箇所数の増加を行うことができる。
【0045】
また、前述の紙幣識別装置では、光伝送素子34の中央のポート34aを光入射用として用い、且つ、左右のポート34aを光出射用として用いたが、中央のポート34aを光出射用として用い、且つ、左右のポート34aを光入射用として用いることも可能であり、発光素子45を受光素子に置換し、且つ、左右の受光素子46を発光素子に置換すれば前記同様の紙幣挿入検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態を示す、紙幣識別装置を前側から見た斜視図である。
【図2】図1に示した紙幣識別装置を後側から見た斜視図である。
【図3】図1及び図2に示した紙幣識別装置の縦断面図である。
【図4】図1及び図2に示した紙幣識別装置の上面図である。
【図5】図3のa−a線断面図である。
【図6】図3及び図5に示した光伝送素子の斜視図である。
【図7】図1〜図4に示した係止解除レバーの斜視図である。
【図8】図1〜図4に示した係止解除レバーの操作部と係止片との位置関係を示す図である。
【図9】紙幣挿入の検知に係る説明図である。
【図10】図1〜図9に示した紙幣識別装置の部分変形例を示す図5対応の断面図である。
【図11】図10に示した光伝送素子の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
10…メインフレーム、20…ベースボックス、30…前側シュート、34…光伝送素子、34a…ポート、34b…光伝送部、34c…第1光反射部、34d…第2光反射部、36…光伝送素子、36a…ポート、36b…光伝送部、36c…第1光反射部、36d…第2光反射部、40…紙幣搬送ユニット、44…基板、45…発光素子、46…受光素子、50…後側シュート、60…マスク、70…紙幣収納カセット、80…係止解除レバー、BP…紙幣通路、PM…紙幣。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣通路への紙幣挿入を検知する手段を具備した紙幣識別装置において、
前記手段は、
紙幣通路の相対する面の一方に配置され、複数のポートのうちの少なくとも1つのポートに入射した光を残りのポートから出射し得る少なくとも1つの光伝送素子と、
紙幣通路の相対する面の他方に配置され、紙幣通路を介して光伝送素子の光入射用ポートに光を入射し得る少なくとも1つの発光素子と、
紙幣通路の相対する面の他方に配置され、光伝送素子の光出射用ポートから出射された光を紙幣通路を介して受光し得る少なくとも1つの受光素子とを備える、
ことを特徴とする紙幣識別装置。
【請求項2】
光伝送素子の複数のポートは紙幣挿入方向と直交する方向で間隔をおいて直線的に並んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙幣識別装置。
【請求項3】
光伝送素子は、1つの光入射用ポートと、複数の光出射用ポートと、光入射用ポートと各光出射用ポートとを結ぶ複数の光伝送部と、光入射用ポートに入射された光を各光伝送部に導く複数の第1光反射部と、各光伝送部によって伝送された光を各光出射用ポートにそれぞれ導く複数の第2光反射部とを有し、
発光素子は紙幣通路を介して1つの光入射用ポートに向き合うように配置され、また、受光素子は紙幣通路を介して複数の光出射用ポートに向き合うように配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣識別装置。
【請求項1】
紙幣通路への紙幣挿入を検知する手段を具備した紙幣識別装置において、
前記手段は、
紙幣通路の相対する面の一方に配置され、複数のポートのうちの少なくとも1つのポートに入射した光を残りのポートから出射し得る少なくとも1つの光伝送素子と、
紙幣通路の相対する面の他方に配置され、紙幣通路を介して光伝送素子の光入射用ポートに光を入射し得る少なくとも1つの発光素子と、
紙幣通路の相対する面の他方に配置され、光伝送素子の光出射用ポートから出射された光を紙幣通路を介して受光し得る少なくとも1つの受光素子とを備える、
ことを特徴とする紙幣識別装置。
【請求項2】
光伝送素子の複数のポートは紙幣挿入方向と直交する方向で間隔をおいて直線的に並んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙幣識別装置。
【請求項3】
光伝送素子は、1つの光入射用ポートと、複数の光出射用ポートと、光入射用ポートと各光出射用ポートとを結ぶ複数の光伝送部と、光入射用ポートに入射された光を各光伝送部に導く複数の第1光反射部と、各光伝送部によって伝送された光を各光出射用ポートにそれぞれ導く複数の第2光反射部とを有し、
発光素子は紙幣通路を介して1つの光入射用ポートに向き合うように配置され、また、受光素子は紙幣通路を介して複数の光出射用ポートに向き合うように配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣識別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−46673(P2008−46673A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218742(P2006−218742)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
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