説明

紙片矯正装置

【課題】チケット等の紙片を機械的に繰り出しするのに適した状態に矯正することができる紙片矯正装置を提供する。
【解決手段】紙片矯正装置1の装填部2に装填されたチケットA…を繰出しローラ6…により下層側から順に繰出して分離部3へ供給する。装填部2から供給されるチケットAを分離部3の分離ローラ9A,9Bにより1枚ずつに分離して矯正部4へ供給する。分離部3から供給される反りが生じたチケットAを矯正部4の矯正ローラ11A,12A,12Bにより逆の方向に変形させ、略真っ直ぐな状態に矯正して集積部5へ供給する。矯正済みのチケットA…を集積部5内に上方から1枚ずつ投入して積層状態に集積した後、矯正済みのチケットA…を集積部5から取出して販売機に装填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば乗車券、搭乗券、入場券、鑑賞券、勝馬投票券(馬券)からなるチケット等のシート状の紙片を機械的に繰り出しするのに適した状態に矯正する際に用いられる紙片矯正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記紙片は、ロール状に巻回された原反を1枚ずつに分離して使用するが、原反の終端側に近くなるほど紙片に生じる反りが大きく、販売機により販売する際に、複数枚の紙片が上下に重なり合ったまま繰り出されるか、搬送途中に詰まる等の繰出しミスが発生することがあるため、反りが生じた紙片を1枚ずつ矯正してから販売機に装填しなければならない。
【0003】
上記紙片を矯正する装置としては、例えばカールが生じたシート材を、エンドレスベルトとエンドレスベルトの間に送り込んでカールを除去する特許文献1のシート材のカール除去装置と、カールが生じたシート材を、エンドレスベルトと押圧ローラの間に送り込んでカールを除去する特許文献2のシート材のカール除去装置とがある。
【特許文献1】特開昭58−100056号公報
【特許文献2】特開昭58−100057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1,2のカール除去装置は、エンドレスベルトの搬送面をシート材の面に押付けて搬送するので、エンドレスベルトとシート材の接触面積及び接触時間が長く、エンドレスベルトが押付けられるシート材の面に擦り傷が付いたり、シート材の面に印刷された塗料やインクが剥がれ落ちることがある。
【0005】
この発明は上記問題に鑑み、紙片を機械的に繰り出しするのに適した状態に矯正することができる紙片矯正装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明の紙片矯正装置は、複数枚の紙片を装填する装填部と、装填部から繰り出される紙片を分離する分離部と、分離部から供給される紙片を矯正する矯正部と、矯正部から供給される矯正済みの紙片を集積する集積部とを装置本体に内蔵した紙片矯正装置であって、上記矯正部を、上記紙片が厚み方向に対して押圧される方向に対接した第1の矯正ローラと第2の矯正ローラで構成し、上記第1の矯正ローラと第2の矯正ローラとの間に送り込まれる紙片を、該一方の矯正ローラに対して他方の矯正ローラにより押し付けながら搬送して、反りが生じた方向とは逆の方向へ変形させて略真っ直ぐな状態に矯正することを特徴とする。
【0007】
この発明によると、装填部から繰り出される紙片を分離部により1枚ずつに分離し、分離部から供給される反りが生じた紙片を、矯正部に配置した第1の矯正ローラと第2の矯正ローラとの間に送り込む。反りが生じた紙片を一方の矯正ローラに対して他方の矯正ローラにより押し付けながら搬送する。一方の矯正ローラの外周面に沿った状態に押し付けて、反りが生じた方向とは逆の方向へ変形させて、反りを取り除くことにより略真っ直ぐな状態に矯正する。
【0008】
上記紙片は、例えば乗車券、搭乗券、入場券、鑑賞券、勝馬投票券(馬券)等のシート状の紙片で構成することができる。また、矯正ローラの外周面には、例えばウレタンゴム、スポンジゴム等の接触抵抗の大きい部材を被覆している。また、矯正ローラの外周面を、上記接触抵抗の大きい部材で形成してもよい。
【0009】
請求項2に記載した発明の紙片矯正装置は、上記請求項1に記載の構成と併せて、上記他方の矯正ローラを、上記一方の矯正ローラの前後周面に対接したことを特徴とする。
【0010】
この発明によると、反りが生じた紙片を、他方の各矯正ローラにより一方の矯正ローラの前後周面に沿った状態に押し付けて矯正する。
【0011】
請求項3に記載した発明の紙片矯正装置は、上記請求項1又は2に記載の構成と併せて、上記一方の矯正ローラを、他方の矯正ローラよりも大径に形成したことを特徴とする。
【0012】
この発明によると、反りが生じた紙片を、大径に形成した矯正ローラの外周面に沿った状態に押し付けて、紙片全体を略均等に矯正する。
【0013】
請求項4に記載した発明の紙片矯正装置は、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の構成と併せて、上記各矯正ローラを一体的に連動して駆動する一つのローラ駆動手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
この発明によると、第1の矯正ローラと第2の矯正ローラを一つのローラ駆動手段により一体的に連動して駆動するので、装置全体の構造及び構成を簡素化して、小型化、軽量化を図ることができる。また、ローラ駆動手段は、例えばモータ、プーリ、ベルト、ギヤ等で構成することができる。また、装填部の繰出しローラ、分離部の分離ローラ等を同一のローラ駆動手段により駆動してもよい。
【0015】
請求項5に記載した発明の紙片矯正装置は、上記請求項1に記載の構成と併せて、上記装置本体を、携帯可能な大きさ及び形状に設けたことを特徴とする。
【0016】
この発明によると、紙片矯正装置を販売機が設置された場所に携帯することができるので、販売機が設置された現場にて、紙片を略真っ直ぐな状態に矯正することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、第1及び第2の矯正ローラにより反りが生じた紙片を機械的に繰り出しするのに適した略真っ直ぐな状態に矯正するので、販売機により装填する際に、複数枚の紙片が上下に重なり合ったまま繰り出されたり、搬送経路途中に詰まったりする等の繰出しミスが発生することがなく、紙片を機械的に1枚ずつ確実に繰り出しすることができる。また、ベルトを押し付けて矯正するよりも接触面積及び接触抵抗が小さく、紙片の表裏に擦り傷が付いたり、表裏に印刷された塗料やインク等が剥離するのを防止することができる。
【0018】
また、紙片矯正装置を販売機が設置された場所に携帯することができるので、繰出しミスが発生するような反りが生じた紙片を発見した際に、販売機が設置された現場にて、反りが生じた紙片を略真っ直ぐな状態に矯正する作業が即行える。したがって、反りが生じた紙片を、略真っ直ぐな紙片と交換したり、回収したりする必要がなく、現場で迅速に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明は、紙片を機械的に繰り出しするのに適した状態に矯正することができるという目的を、反りが生じた紙片を一対の矯正ローラにより反りが生じた方向とは逆の方向へ変形させて略真っ直ぐな状態に矯正することで達成した。
【実施例】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、紙片の一例であるチケットを機械的に繰り出しするのに適した状態に矯正する際に用いられる紙片矯正装置を示し、図1に於いて、この紙片矯正装置1は、作業者の手で携帯可能な大きさ及び形状に形成したボックス型の装置本体1a内部に、反りが生じたシート状のチケットAを上下に積層したまま装填する装填部2と、装填部2から繰り出されるチケットAを分離する分離部3と、分離部3から供給されるチケットAを略真っ直ぐな状態に矯正する矯正部4と、矯正部4から供給される矯正済みのチケットAを集積する集積部5とを内蔵している。
【0021】
装置本体1aの装填部2上方には、反りが生じたチケットAの挿入が許容される挿入口1bを設けている。また、集積部5上方には、矯正済みチケットAの取り出しが許容される取出し口1cを設けている。なお、例えば蓋、扉、シャッタ等の閉塞部材を、挿入口1bと取出し口1cに対して開閉自在に設けてもよい。
【0022】
装填部2は、図2にも示すように、略矩形のチケットAが上下に積層した状態に装填可能な長さ及び幅に形成され、内側下部に配置したチケットAが載置される受け板2aと、受け板2a両側部に配置した左右壁部2b,2bと、受け板2aの繰出し側上部に配置した前側壁部2cと、受け板2aの反繰出し側に配置した後側壁部2dとで上方が開口された箱形状に構成している。また、左右壁部2b,2bの間隔と、前後壁部2c,2dの間隔を、チケットAのサイズに応じて可変調整自在に設けてもよい。
【0023】
受け板2aの繰出し側上面と、壁部2cの繰出し側下端との間には、受け板2aに載置された下層側のチケットAの繰出しが許容される繰出し口2eを設けている。
【0024】
繰出し口2eに接続したチケットAの搬送経路は、受け板2aの繰出し側に連設した案内板2Aと、壁部2cの繰出し側に連設した案内板2Cの対向面間に形成され、装填部2の繰出し口2eから繰出されるチケットAが矯正部4に搬送される長さに設けている。
【0025】
案内板2Aの矯正部4と対応する案内面は、後述する矯正ローラ11Aの下部周面に沿ってチケットAが搬送される凹面形状に形成している。また、案内板2Aの案内面を曲面形状に形成してもよい。
【0026】
受け板2aの載置面には、受け板2a上に載置されるチケットAの前側左右下面と後側左右下面に対向して、後述する繰出しローラ6…の一部周面が突出許容される大きさ及び形状に形成した開口部2aA…を複数開口(図5参照)している。
【0027】
繰出しローラ6…は、受け板2aの開口部2aA…と対向して、繰出し側開口部2aAの下方に軸架した支軸7Aaの両端部と、反繰出し側開口部2aAの下方に軸架した支軸7Baの両端部に固定している。また、繰出しローラ6…の一部周面は、開口部2aA…よりも上方に突出され、受け板2a上に載置された最下層のチケットAに対して押付けられるようになっている。
【0028】
また、繰出しローラ6…は、後述するモータ13の駆動力により、支軸7Aa,7Ba端部に固定したプーリ7Ab,7Bbと、プーリ7Ab,7Bbの間に張架したベルト7Cと、支軸7Aa端部に固定したプーリ7Acと、後述する支軸9Ba端部に固定したプーリ9Bcと、プーリ7Ac,9Bcの間に張架したベルト7Dを介して、受け板2aに載置された最下層のチケットAが繰出し方向に向けて移送される方向へ回転する。
【0029】
分離部3は、繰出し口2e後方の搬送経路に搬送されるチケットA上面と対向して分離ローラ9Aを搬送経路上部に配置し、チケットA下面と対向して左右一対の分離ローラ9B,9Bを搬送経路下部に配置(図1、図2参照)している。また、分離ローラ9Aの下部周面は分離ローラ9B,9Bの上部周面に押し当てられ、分離ローラ9A及び9B,9BによりチケットAを厚み方向に押圧又は挟持しながら搬送する。
【0030】
分離ローラ9Aは、壁部2cの繰出し側曲面部に形成した開口部2cAと対向して、開口部2cA上方に軸架した支軸9Aaの中央部に固定している。また、分離ローラ9Aの一部周面は開口部2cAよりも下方に突出され、繰出し口2e直後の搬送経路を搬送されるチケットA上面に対して押付けられるようになっている。
【0031】
分離ローラ9B,9Bは、繰出し口2e直後の受け板2a上面に形成した左右の開口部2aB,2aB(図5参照)と対向して、開口部2aB下方に軸架した支軸9Baの両端部に固定している。また、分離ローラ9Bの一部周面は開口部2aBよりも上方に突出され、繰出し口2e直後の搬送経路を搬送されるチケットA下面に対して押付けられるようになっている。
【0032】
また、分離ローラ9A,9Bは、後述するモータ13の駆動力により、支軸9Aa,9Ba端部に固定したプーリ9Ab,9Bbと、後述する支軸12Aa端部に固定したプーリ12Acと、プーリ9Ab,9Bb,12Acの間に張架したベルト9Cを介して、装填部2の繰出し口2eから繰出されるチケットAが1枚に分離される方向へ回転する。
【0033】
つまり、上方の分離ローラ9Aは、最下層(1枚目)のチケットAに重ね合わされるか、1列に連なる状態で繰出される2枚目以降のチケットAに対して反繰出し方向に向けて接触抵抗が付与される方向に回転する。下方の分離ローラ9B,9Bは、最下層のチケットAが繰出し方向に向けて移送される方向に回転する。また、分離ローラ9A,9Bの少なくとも一方を、チケットAの厚みに応じて接離される方向に対して上下移動自在に設けてもよい。
【0034】
矯正部4は、図3、図4にも示すように、分離部3後方の搬送経路を搬送されるチケットA上面と対向して左右一対の矯正ローラ11A,11Aを搬送経路上部に配置している。また、チケットA下面と対向して左右一対の前側矯正ローラ12A,12Aと後側矯正ローラ12B,12Bを搬送経路下部に配置している。
【0035】
また、第1の矯正ローラ11Aと第2の矯正ローラ12A,12Bは、チケットAが厚み方向に対して押圧される方向に対接され、矯正ローラ12Aを矯正ローラ11Aの前側下部周面に押し当て、矯正ローラ12Bを矯正ローラ11Aの後側下部周面に押し当てて、上方に配置した第1の矯正ローラ11A,11Aと、下方に配置した第2の矯正ローラ12A,12A及び12B,12BによりチケットAを厚み方向に押圧又は挟持しながら搬送する。
【0036】
第1の矯正ローラ11A,11Aは、矯正ローラ12A,12Bよりも大径に形成され、壁部2cの案内板2C上面に形成した左右の開口部2cB,2cBと対向して、開口部2cB上方に軸架した支軸11Aaの両端部に固定している。また、矯正ローラ11Aの一部周面は開口部2cBよりも下方に突出され、矯正部4の搬送経路を搬送されるチケットA上面の略横幅全体に対して押付けられるようになっている。
【0037】
第2の前側矯正ローラ12A,12Aは、受け板2aの案内板2A上面に形成した左右の開口部2aC,2aC(図5参照)と対向して、前側開口部2aC下方に軸架した支軸12Aaの両端部にそれぞれ固定している。
【0038】
第2の後側矯正ローラ12B,12Bは、案内板2A終端に形成した左右の切欠き部2aD,2aD(図5参照)と対向して、切欠き部2aD下方に軸架した支軸12Baの両端部にそれぞれ固定している。
【0039】
また、矯正ローラ12Aの一部周面は開口部2aCよりも上方に突出され、矯正ローラ12Bの一部周面は切欠き部2aDよりも上方に突出されるとともに、矯正部4の搬送経路を搬送されるチケットA下面の略横幅全体に対して押付けられるようになっている。
【0040】
また、矯正ローラ11A,12A,12Bは、矯正ローラ11Aの支軸11Aa端部に、装置本体1a内の矯正部4側部に配置したモータ13を直結して、モータ13の駆動力により、支軸11Aa端部に固定したギヤ11Abと、支軸12Aa端部に固定したギヤ12Abと、支軸12Ba端部に固定したギヤ12Bbとを介して、矯正部4から供給されるチケットAが集積部5に向けて移送される方向へ回転する。
【0041】
なお、矯正ローラ11A,12A,12Bの回転速度は、チケットAの反り具合に応じて略真っ直ぐな状態に矯正するのに適した速度に制御される。
【0042】
且つ、モータ13は、プーリ7Ac,9Bc及びベルト7Dと、プーリ9Ab,9Bb,12Ac及びベルト9Cを介して、繰出しローラ6…と、分離ローラ9A,9Bと、矯正ローラ11A,12A,12Bとを一体的に連動して回転する。
【0043】
繰出しローラ6と、分離ローラ9A,9Bと、矯正ローラ11A,12A,12Bの外周面には、例えばウレタンゴム、スポンジゴム等の接触抵抗が大きい部材を被覆している。また、ローラ6,9A,9B,11A,12A,12Bの外周面を、上記接触抵抗の大きい部材で形成してもよい。また、矯正ローラ11A及び12A,12Bの少なくとも一方を、チケットAの厚みに応じて接離される方向へ上下移動自在に設けてもよい。
【0044】
集積部5は、矯正部4から供給される矯正済みのチケットAが上方から順に積層した状態に集積可能な長さ及び幅に形成され、内側下部に配置したチケットAが載置される受け板5aと、受け板5a両側部に配置した左右壁部5b,5bと、受け板5a前部に配置した前側壁部5cと、受け板5a後部に配置した後側壁部5dとで上方が開口された箱形状に構成している。また、左右壁部5b,5bの間隔と、前後壁部5c,5dの間隔を、チケットAのサイズに応じて可変調整自在に設けてもよい。
【0045】
なお、装置本体1a内部には、モータ13の駆動及び停止を制御する制御装置と、モータ13を駆動するのに必要な電力を供給するトランスを内蔵している。また、装置本体1a側部には、トランスに電力を供給するためのコードを接続しており、そのコードの端部には、電源(コンセント)に接続するためのプラグを接続している。また、装置本体1aの操作面には、矯正処理可能な待機状態に通電する電源スイッチと、モータ13を駆動するための起動スイッチを配列している。
【0046】
また、制御装置に内蔵したタイマーによりモータ13を予め設定した時間駆動したり、ランプやブザー等の報知器により、通電状態、起動状態、処理開始、処理終了等を報知してもよい。なお、上記制御装置、トランス、コード、プラグ、電源スイッチ、起動スイッチは、公知の制御手段であるため図示省略する。
【0047】
また、プラグやコードに代えて、モータ13に電力を供給するためのバッテリーを装置本体1aに内蔵するか、携帯型のバッテリーを装置本体1aに対して接続可能に設けてもよい。
【0048】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、紙片矯正装置1によるチケットAの反り矯正方法を説明する。
【0049】
先ず、1つに束ねられたチケットA…を、図示しない専用の販売機に装填する際に、シート状のチケットAが機械的に繰り出しするのに適した略真っ直ぐな状態であるか、繰り出しするのに不向きな反りが生じた状態であるかを作業者の目で目視判定する。
【0050】
矯正不要と判定されたチケットA…は販売機に装填するが、矯正必要と判定されたチケットAは、作業者が携帯する紙片矯正装置1により略真っ直ぐな状態に矯正処理してから装填する。
【0051】
上記矯正必要なチケットAを紙片矯正装置1による矯正する場合、装置本体1aに接続された図示しないプラグを、販売機が設置された電源(コンセント)に差し込んだ後、電源スイッチをON操作して矯正処理可能な待機状態に通電する。
【0052】
次に、図1に示すように、装置本体1aの挿入口1bを開放して、側方から見て略中央部が浮き上がった状態に反りが生じたチケットA…を、該チケットAの浮き上がった略中央部が上向きとなるように装填部2の上方から装填する。この後、図示しない起動スイッチをON操作して、一つのモータ13の駆動力により、繰出しローラ6…と、分離ローラ9A,9Bと、矯正ローラ11A,12A,12Bを連動して回転する。
【0053】
図2にも示すように、装填部2に装填された最下層のチケットAを、繰出しローラ6…の上部周面に押付け、繰出し方向へ回転する繰出しローラ6…の回転力により、上下に積層されたチケットA…を下層側から順に繰出し方向に向けて移送し、繰出し口2eから順に繰出されるチケットAを、分離部3の分離ローラ9Aと分離ローラ9B,9Bの間に送り込む。
【0054】
分離ローラ9Aを、最下層(1枚目)のチケットAに重ね合わされるか、1列に連なる状態で繰出される2枚目以降のチケットAに押付けるとともに、反繰出し方向へ回転する分離ローラ9Aの回転力により、2枚目以降のチケットAに対して反繰出し方向に向けて接触抵抗を付与する。
【0055】
分離ローラ9B,9Bを、最下層(1枚目)のチケットAに押付けるとともに、繰出し方向へ回転する分離ローラ9B,9Bの回転力により、最下層のチケットAを繰出し方向に向けて移送する。つまり、反繰出し方向へ回転する分離ローラ9Aと、繰出し方向へ回転する分離ローラ9B,9Bの回転力により、装填部2の繰出し口2eから繰出されるチケットAを1枚ずつに分離して、矯正部4の矯正ローラ11Aと矯正ローラ12A,12Bの間に送り込む。
【0056】
図3、図4にも示すように、分離部3から供給される反りが生じたチケットAを、矯正ローラ12A,12Bにより矯正ローラ11Aの前後下部周面に沿った状態に押し付けながら搬送経路に沿って搬送する。
【0057】
且つ、チケットA全体を、大径に形成した矯正ローラ11Aの下部外周面に沿った状態に押し付けて略均等に矯正するとともに、反りが生じた方向とは逆の方向へ略同程度に変形させて、反りを取り除くことにより略真っ直ぐな状態に矯正する。
【0058】
矯正部4後方に繰出される矯正済みのチケットAを、集積部5内に上方から1枚ずつ投入して上下に積層した状態に集積する。矯正済みのチケットAを集積する際に、上下に積層されるチケットA…の間に空気が入り込むため、各チケットA…の対向面間に生じる接触抵抗が小さくなり、1枚ずつ繰り出しするのに適した状態に集積することができる。
【0059】
矯正済みのチケットA…が集積部5の上限集積位置まで集積されるか、所定枚数のチケットA…が集積されたとき、或いは、装填部2に装填された全チケットA…の矯正処理が終了した際に、起動スイッチをOFF操作して、モータ13の駆動を停止する。この後、装置本体1aの取出し口1cを開放して、矯正済みのチケットA…を集積部5の上方から取出し、専用の販売機に装填する。
【0060】
また、先に装填されたチケットA…の矯正処理中又は矯正処理が終了した後、反りが生じたチケットA…を装填部2の上方から装填して、チケットAの矯正処理を継続してもよい。
【0061】
以上のように、反りが生じたチケットAを機械的に繰り出しするのに適した略真っ直ぐな状態に矯正するので、販売機により装填する際に、複数枚のチケットA…が上下に重なり合ったまま繰り出されたり、搬送経路途中に詰まったりする等の繰出しミスが発生することがなく、チケットA…を機械的に1枚ずつ確実に繰り出しすることができる。また、ベルトを押し付けて矯正するよりも接触面積及び接触抵抗が小さく、チケットAの表裏に擦り傷が付いたり、表裏に印刷された塗料やインク等が剥離するのを防止することができる。
【0062】
また、紙片矯正装置1を販売機が設置された場所に携帯することができるので、繰出しミスが発生するような反りが生じたチケットAを発見した際に、販売機が設置された現場にて、反りが生じたチケットAを略真っ直ぐな状態に矯正する作業が即行える。したがって、反りが生じた矯正必要なチケットAを、略真っ直ぐな矯正不要なチケットAと交換したり、回収したりする必要がなく、現場で迅速に処理することができる。
【0063】
本発明の紙片矯正装置1により矯正したチケットA…を販売機に装填するので、紙片矯正装置1を販売機に内蔵する必要がなく、販売機自体の構造及び構成が簡素化されるため、安価に製作することができる。
【0064】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の紙片は、実施例のチケットAに対応し、
以下同様に、
第1及び一方の矯正ローラは、矯正ローラ11Aに対応し、
第2及び他方の矯正ローラは、矯正ローラ12A,12Bに対応し、
ローラ駆動手段は、モータ13に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0065】
例えば反りが生じた状態に形状記憶されたチケットA、或いは、同程度に変形しても略真っ直ぐな状態に矯正することが難しい材質のチケットAは、反りが生じた方向とは逆の方向へ同程度以上に変形するとよい。
【0066】
また、矯正ローラ11A,12A,12Bの押圧力、外径等を、チケットAの厚み、材質、反り具合等に応じて調整又は変更してもよい。
【0067】
また、最後のチケットAが集積部5に集積されるか、集積部5の上限集積位置までチケットAが集積された際に、モータ13の駆動を停止してもよい。
【0068】
また、装填部2から全チケットA…が繰り出されるか、集積部5の上限集積位置までチケットAが集積されたことを、報知器により報知してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の紙片矯正装置は、長さ方向に対して分離可能に形成されたチケットを矯正する際にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】紙片矯正装置の内部構造を示す縦断側面図。
【図2】チケットの繰出し動作及び分離動作を示す拡大側面図。
【図3】チケットの矯正動作を示す拡大側面図。
【図4】各ローラの配置を示す斜視図。
【図5】各ローラを突出する開口部及び切欠き部の配置を示す平面図。
【符号の説明】
【0071】
A…チケット
1…紙片矯正装置
1a…装置本体
1b…挿入口
1c…取出し口
2…装填部
2e…繰出し口
3…分離部
4…矯正部
5…集積部
6…繰出しローラ
9A,9B…分離ローラ
11A,12A,12B…矯正ローラ
13…モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の紙片を装填する装填部と、装填部から繰り出される紙片を分離する分離部と、分離部から供給される紙片を矯正する矯正部と、矯正部から供給される矯正済みの紙片を集積する集積部とを装置本体に内蔵した紙片矯正装置であって、
上記矯正部を、上記紙片が厚み方向に対して押圧される方向に対接した第1の矯正ローラと第2の矯正ローラで構成し、
上記第1の矯正ローラと第2の矯正ローラとの間に送り込まれる紙片を、一方の矯正ローラに対して他方の矯正ローラにより押し付けながら搬送して、反りが生じた方向とは逆の方向へ変形させて略真っ直ぐな状態に矯正することを特徴とする
紙片矯正装置。
【請求項2】
上記他方の矯正ローラを、上記一方の矯正ローラの前後周面に対接した
請求項1に記載の紙片矯正装置。
【請求項3】
上記一方の矯正ローラを、他方の矯正ローラよりも大径に形成した
請求項1又は2に記載の紙片矯正装置。
【請求項4】
上記各矯正ローラを一体的に連動して駆動する一つのローラ駆動手段を備えた
請求項1〜3のいずれか一つに記載の紙片矯正装置。
【請求項5】
上記装置本体を、携帯可能な大きさ及び形状に設けた
請求項1に記載の紙片矯正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−94598(P2008−94598A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280931(P2006−280931)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(507108368)株式会社 オリオカ (1)
【Fターム(参考)】