説明

紙葉判別器

【課題】 構造が簡単、コンパクトで、つり銭確認のために受け取った紙幣を近くに置きましたという自然な印象を与えうる紙葉判別器を提供する。
【解決手段】 紙葉1が透かし部2に偽造防止用の透かし20を有するか否かを判別するにあたり、透光性部材で構成され、断面が垂直方向上方に開放するV字形又はU字形の1対の立設プレート31、32で形成され、プレート間に1枚の紙葉を挿入しプレートが接合する基底部4上に載置し、プレートの断面から投光されて照灯する立設プレートの少なくとも一方から透かし部を照射し、光が透過することで透かしの有無を判別する紙葉保持部5と、プレートの断面に投光して立設プレートを照灯する光源部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉判別器に関わり、特に立設プレートの断面に光を当て、投光されて照灯する立設プレートからの光を用いて、紙葉に施された透かしの有無を判別する紙葉判別器に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、精巧な偽札が多数出回るようになった。これらは、性能が向上した家庭用のコンピュータやカラーコピー機を使って作られるもので、そのような偽札を使われた際、すぐに偽札か真札かを判別することが困難である。
【0003】
そこで、真札の各種特徴を読み取り、読み取ったデータと使われた紙葉とを比較して偽札か真札かを判別する紙葉類識別装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、偽造防止のために真札には精巧な透かしが施されているので、この透かしの有無を判定する装置が提案されている(例えば、特許文献2〜5参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−263669号公報
【特許文献2】特開2002−216242号公報
【特許文献3】特開2002−304670号公報
【特許文献4】特開2004−281595号公報
【特許文献5】特開2003−216998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のような真札の各種特徴を読み取り、読み取ったデータと使われた紙葉とを比較して偽札か真札かを判別する紙葉類識別装置は、現金投入機械には適するが、装置が複雑で、商店のレジ係りやタクシーの運転手等が使用するには大きすぎるという難点がある。
【0007】
また、特許文献2〜5に開示されている透かしの有無を判定する装置は、照明装置を取り付けたトレータイプである点が共通するが、いかにも下から光を当てて判定していることがあからさまなので、大半の善良な客に対して使用することに心理的な抵抗があるという問題を残している。
【0008】
本発明は、このような従来の難点を解消し、構造が簡単、コンパクトで、つり銭確認のために受け取った紙幣を近くに置きましたという自然な印象を与えうる紙葉判別器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様である紙葉判別器は、紙葉が透かし部に偽造防止用の透かしを有するか否かを判別するにあたり、透光性部材で構成され、断面が垂直方向上方に開放するV字形又はU字形の1対の立設プレートで形成され、立設プレート間に1枚の紙葉を挿入し立設プレートが接合する基底部上に載置し、立設プレートの断面から投光されて照灯する立設プレートの少なくとも一方から前記透かし部を照射し、光が透過することで透かしの有無を判別するものである。
【0010】
本発明の第2の態様である紙葉判別器は、紙葉が透かし部に偽造防止用の透かしを有するか否かを判別するにあたり、透光性部材で構成され、断面が垂直方向上方に開放するV字形又はU字形の1対の立設プレートで形成され、立設プレート間に1枚の紙葉を挿入し立設プレートが接合する基底部上に載置し、立設プレートの断面から投光されて照灯する立設プレートの少なくとも一方から透かし部を照射し、光が透過することで透かしの有無を判別して紙葉保持部と、立設プレートの断面に投光して立設プレートを照灯する光源部とを備えたものである。
【0011】
本発明の第3の態様である紙葉判別器は、1対の立設プレート及び基底部は一体的に形成されたものである。
【0012】
本発明の第4の態様である紙葉判別器は、透光性部材がアクリル樹脂である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の紙葉判別器の第1の態様から第4の態様によれば、構造も簡単、コンパクトで、商店のレジ係りやタクシーの運転手等の使用に適する。
【0014】
また、客に対しても、つり銭確認のために受け取った紙幣を近くに置きましたという自然な印象を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による紙葉判別器の好ましい実施例を以下に図面を参照して詳述する。
【0016】
紙葉1が透かし部2に偽造防止用の透かし20を有するか否かを判別するにあたり、本発明による紙葉判別器は、図1(a)に示すように、透光性部材で構成され断面が垂直方向上方に開放するV字形の1対の立設プレート31、32で形成され、立設プレート31、32間に1枚の紙葉を挿入し立設プレート31、32が接合する基底部41(4)上に載置し、立設プレート31、32の断面から投光されて照灯する立設プレート31、32の少なくとも一方から透かし部2を照射し、光が透過することで透かし20の有無を判別する紙葉保持部51(5)と、立設プレート31、32の断面に投光して立設プレート31、32を照灯する光源部6とを備えている。
【0017】
1対の立設プレート31、32は、図1(b)に示すように、断面が垂直方向上方に開放するU字形に形成されても同様に好適である。図2(b)に示すように、断面のU字形は垂直方向上方により開放する開放端部310、320を成していると紙葉1の上からの出し入れが容易となる。また、U字形の底部は実質的に凹型であっても同様に好適であることは言うまでもない。
【0018】
立設プレート31、32の面積と紙葉1の面積の関係では、紙葉1の出し入れが容易になるよう、図3(a)に示すように、立設プレート31、32の面積は、少なくとも透かし20を含む範囲で紙葉1より狭くするのが好ましく、立設プレート31、32の面積と紙葉1を実質的に同じか、立設プレート31、32の面積が紙葉1より実質的に大きい場合、図3(b)に示すように、紙葉1をつまめるよう、切り欠き50を設けることが望ましい。
【0019】
さらに、立設プレート31、32は、断面が垂直方向上方に開放するV字形又はU字形をなしているが、図2(a)、(b)に示すように、立設プレート31、32が接合する基底部4を構成する部材の底面40は、水平方向にカットされている。
【0020】
1対の立設プレート31、32及び基底部4は、透光性部材としてアクリル樹脂によって一体的に形成されることが望ましいが、立設プレート31、32の断面の1つである底面40から投光されて立設プレート31、32が照灯するように、立設プレート31、32と基底部41(4)を透光性部材から成る別部材で組み立てても、同様に好適である。透光性部材としては、アクリル樹脂の他にも塩化ビニール(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、石英等が採用されてもよい。
【0021】
また、立設プレート31、32を照灯する光源部6は、上述のように水平方向にカットされた底面40に当接される。
【0022】
この光源部6は、中に極小の電球と電池で構成されてもよいし、あるいは底面40に向けた光ファイバー灯収納して外部の電源に接続しても好適であって、使用時にオンされるスイッチ(図示せず)を備えている。
【0023】
上述の実施例では、立設プレート31、32を照灯する光源部6を備えているが、固有の光源部6を設けずに、図4に示すように、下から底面40に投光可能な透光性を有する平面60に紙葉保持部5を設置し、立設プレート31、32を照灯することも可能であるし、あるいは立設プレート31、32の側断面30に投光可能であっても立設プレート31、32を照灯させ、透かし部を照射し、光が透過することで透かしの有無を判別することが同様に可能である。この際、紙葉保持部5の取り付けは、立設プレート31、32の端部近傍にL型固定具7等を取付けて、平面60に安定させる等、公知の方法で可能である。これは、例えば車の運転席等において既存の照明を光源として利用するのにも適する。
【0024】
以下に、本発明による紙葉判別器の作用を具体的に説明する。
【0025】
日常的に紙幣を受け取り、つり銭を出すような、商店のレジの一角に本発明による紙葉判別器を固定する。紙葉判別器の固定には、プラスチック製吸盤や磁石等を立設プレート31、32の一方または光源部6の一面に取付け、レジや机等に固定する。あるいは、光源部6を収納して立設プレート31、32のみが上部に出る置き方でもよい。
【0026】
光源部6のスイッチはオンにしておく。
【0027】
受け取った紙幣1を立設プレート31、32の間から基底部42上に載置する(図1(c))。なお、紙葉1は横から挿入してもよい。
【0028】
立設プレート31の中央付近に、透かし20を明瞭に認めることができれば、透かし20を有する真札と判定できる。透かし部2に透かし20が認められないときは、偽札と判定できる。
【0029】
この判別動作は、つり銭を渡すまで、客と店側の双方が紙幣の額を確認するために、店側が受け取った紙幣を仮り置きしているという動作と同一のため、客は真札と偽札の判定をしているとは感じないですむ。
【0030】
図1,2,3では立設プレート31、32を照灯するための投光は、底面40から行っているが、この位置に限定されず、立設プレート31、32の側断面30から投光して立設プレート31、32を照灯させ、透かし部を照射し、光が透過することで透かしの有無を判別することも同様に可能である。
【0031】
紙葉としては紙幣を例に説明したが、紙幣には限定されず透かしの有無を判別できる他の証券、債権または類似の有価証券の真偽を判定する際に有効である。
【0032】
つまり、本発明による紙葉判別器は、手作業で真偽を判定することが求められる環境において、すばやく、しかも紙葉提供者に不快感を与えずに紙葉の判別ができ、しかもコストも非常に安く提供できるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による紙葉判別器の説明図で、(a)はV字型の説明図、(b)はU字型の説明図、(c)は使用状態を示す図である。
【図2】本発明による紙葉判別器に採用される立設プレートの説明図で、(a)はV字型の細部を、(b)はU字型の細部を示す図である。
【図3】(a)、(b)はともに本発明による紙葉判別器と紙葉との関係を説明する図である。
【図4】本発明による紙葉判別器を既設の光源に組み合わせた際の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・紙葉
2・・・透かし部
20・・・透かし
31、32・・・立設プレート
4・・・基底部
5・・・紙葉保持部
6・・・光源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉(1)が透かし部(2)に偽造防止用の透かし(20)を有するか否かを判別するにあたり、
透光性部材で構成され、断面が垂直方向上方に開放するV字形又はU字形の1対の立設プレート(31、32)で形成され、前記立設プレート間に1枚の紙葉を挿入し前記立設プレートが接合する基底部(4)上に載置し、前記立設プレートの断面から投光されて照灯する前記立設プレートの少なくとも一方から前記透かし部を照射し、光が透過することで前記透かしの有無を判別する紙葉保持部(5)を備えることを特徴とする紙葉判別器。
【請求項2】
紙葉(1)が透かし部(2)に偽造防止用の透かし(20)を有するか否かを判別するにあたり、
透光性部材で構成され、断面が垂直方向上方に開放するV字形又はU字形の1対の立設プレート(31、32)で形成され、前記立設プレート間に1枚の紙葉を挿入し前記立設プレートが接合する基底部(4)上に載置し、前記立設プレートの断面から投光されて照灯する前記立設プレートの少なくとも一方から前記透かし部を照射し、光が透過することで前記透かしの有無を判別する紙葉保持部(5)と、前記立設プレートの断面に投光して前記立設プレートを照灯する光源部(6)とを備えることを特徴とする紙葉判別器。
【請求項3】
前記1対の立設プレート及び前記基底部は一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の紙葉判別器。
【請求項4】
前記透光性部材はアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載の紙葉判別器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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