説明

紙葉類の搬送装置

【課題】 紙葉類が搬送される搬送路に設けたバッファ装置及び迂回搬送路を制御することによって搬送装置の信頼性を上げることができる紙葉類の搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送される紙葉類Pは、判定装置11の検知センサ(検知手段)11Aによって検知される。この検知結果に基づいて、直前に搬送された紙葉類Pとの搬送ギャップが検知される。判定装置11は、紙葉類Pの搬送ギャップが規定値に満たない場合はゲート(分岐手段)Gをバッファ装置側に切り換えてバッファ装置2に集積されるようにする。これは、装置B3で受け入れられない処理速度で紙葉類Pが供給された場合にはバッファ装置2に退避させ、後でバッファ装置2から搬送してもらう方法である。また、判定装置11は、紙葉類の搬送ギャップが設定値以上の場合はゲート(分岐手段)Gを迂回搬送路側に切り換えて紙葉類Pが迂回搬送路17に搬送されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理速度の異なる紙葉類の処理装置を連結する際の処理速度差を吸収する紙葉類の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理速度の異なる紙葉類の処理装置を連結する場合、処理速度差を吸収する装置としてバッファ装置が用いられた。
【0003】
例えば、図3に示す従来例を参照しながら、それぞれ異なる機能をもった紙葉類処理装置A(以下、装置Aと称す。)1、紙葉類処理装置B(以下、装置Bと称す。)3がバッフ装置2を介して連結された場合を説明する。図3(1)は従来のバッファ装置による紙葉類の搬送装置を説明するブロック図で、図3(2)は従来のバッファ装置に基づく紙葉類の搬送装置の一例である。
【0004】
ここで、装置A1の処理速度(この場合、紙葉類の処理数)は一定ではなく、その内部処理の状況によって変化すると仮定している。
【0005】
装置B3の受入可能速度が装置A1の最大処理速度より低い場合、この2つの装置の搬送路を結合して紙葉類を装置A1から装置B3へ搬送するためには装置A1の最大処理速度より受け入れ能力が高く、装置B3の受け入れ能力より処理速度の低いバッファ装置2を間に介在させる必要がある。
【0006】
バッファ装置2は、入力された紙葉類を一時集積保持しながら所定の処理能力で再度取り出すことができる装置である。
【0007】
上記従来のバッファシステムでは、バッファ装置2のエラー率をEbとすると、装置Aから装置Bに紙葉類を受け渡すエラー率はEbとなる。
【0008】
また、上述したバッファ装置を迂回する搬送路を設け、一般処理の場合はバッファ部に紙葉類を送り、高速処理の場合にはバッファ部をバイパスして搬送する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平2−14786号公報 (第1頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図3に示す従来の方法は、処理速度の異なる装置間に挿入されるバッファー装置2の信頼性を向上することが技術的に困難であり、バッファー装置2におけるジャム率、取出不良率などのエラー率Ebがシステム全体のエラー率となり信頼性が上がらないという問題がある。また、特許文献1記載の方法は、迂回搬送路の通過を高速処理と一般処理のように処理によって一義的に切り換えているため、図3に示した従来の方法と同様バッファ装置2の信頼性を向上することが困難であるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、紙葉類が搬送される搬送路に設けたバッファ装置及び迂回搬送路を制御することによって搬送装置の信頼性を上げることができる紙葉類の搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類の処理装置は、1枚毎に供給される紙葉類を取り込んで搬送する第1の搬送手段と、この第1の搬送手段によって搬送される前記紙葉類を検知する検知手段と、前記第1の搬送手段の搬送方向下流に設けられ、前記紙葉類の搬送方向をから2方向に分岐する分岐手段と、この分岐手段によって一方に分岐された前記紙葉類を搬送する迂回搬送手段と、前記分岐手段によって他方に分岐された前記紙葉類を取り込んで一時集積する一時集積手段と、この一時集積手段に集積された前記紙葉類の内、先に集積された前記紙葉類から取り出す取出手段とを備えたバッファ手段と、このバッファ手段によって取り出された前記紙葉類を搬送すると共に、搬送方向下流部が前記迂回搬送手段と合流している第2の搬送手段と、前記迂回搬送手段と前記第2の搬送手段の合流部分を介して搬送されてきた前記紙葉類を搬送する第3の搬送手段と、前記検知手段による検知の結果、前記紙葉類の搬送ギャップが所定値に満たない場合は前記分岐手段を動作させて前記紙葉類を前記バッファ手段側に搬送させ、前記紙葉類の搬送ギャップが所定値以上の場合は前記分岐手段を動作させて前記紙葉類を前記迂回搬送手段側に搬送させる判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置A1と装置B3の間に設けたバッファ装置3の他に、更に迂回搬送路を設けこの迂回搬送路の通過を制御することによって紙葉類の搬送装置の信頼性を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例による紙葉類の搬送装置を説明するブロック図である。この紙葉類の搬送装置には、バッファ装置2を経由するバッファ経路と迂回搬送路17を経由する迂回経路からなる2種類の搬送経路が設けられている。
【0015】
バッファ経路には、紙葉類Pを装置A1か受け取り搬送する搬送路(第1の搬送手段)10、搬送される紙葉類Pの搬送ギャップを判定する判定装置11、判定装置11の判定の結果に基づいてバッファ装置(バッファ手段)2を使用するか、後述する迂回搬送路(迂回搬送手段)17を使用するかを切り換えるゲート(分岐手段)G、紙葉類Pの処理速度を制御するために一時的に集積するバッファ装置2、バッファ装置2から放出された紙葉類Pを搬送する搬送路(第2の搬送手段)16が設けられている。この搬送路16は、搬送路18に接続されており、この搬送路(第3の搬送手段)18から放出された紙葉類Pは装置Bに供給される。
【0016】
迂回経路には、上記判定装置11の判定結果に基づいてゲートGにより切り換えられた搬送路17が設けられている。この搬送路17は、搬送路18に接続されており、この搬送路18から放出された紙葉類Pは、バッファ経路によって搬送された紙葉類P同様装置Bに供給される。以下、各装置の説明を行う。
【0017】
装置A1は、紙葉類処理装置で、この装置A1の処理速度(この場合、所定時間当たりの紙葉類の処理数に相当する)は一定ではなく、その内部処理の状況によって変化する。
【0018】
装置B3は、装置A1同様、紙葉類処理装置で、この装置B3の受入可能速度が装置A1の最大処理速度より低いと仮定する。
【0019】
これら2つの装置の搬送路を結合して紙葉類を装置A1から装置B3へ搬送するためには、装置A1の最大処理速度より受け入れ能力が高く、装置B3の受け入れ能力より処理速度の低いバッファ装置2を間に介在させる必要がある。
【0020】
バッファ装置2は、入力された紙葉Pを一時集積する集積部(一時集積手段)15を有し、この一時集積部に保持しながら所定の処理能力で再度取り出すことができる装置である。
【0021】
判定装置11は、搬送路10を通過する紙葉類Pを検知するセンサで構成され、搬送路を通過する紙葉類Pの搬送ギャップを測定することによって、装置B3が受け入れられる処理速度かどうか判定する。
【0022】
ゲートGは、バッファ装置2に搬送するか装置B3に搬送するかを振り分ける振り分けゲートで、このゲートを右側に回動すると紙葉類がバッファ装置2に搬送され、ゲートを左側に回動すると紙葉類が迂回搬送路を介して装置B3に搬送される。
【0023】
図2は、本発明の実施例による紙葉類の搬送装置の詳細図である。装置Aから供給された紙葉類Pは、1枚毎に取り込まれ搬送路(第1の搬送手段)10によって図示矢印Aで示す方向に搬送される。
【0024】
この搬送路10によって搬送された紙葉類Pは、判定装置11の検知センサ(検知手段)11Aによって検知される。この検知センサ11Aの検知結果に基づいて、直前に搬送された紙葉類Pとの搬送ギャップが検知される。ここでいう搬送ギャップとは、検知センサ11Aによって当該紙葉類Pの直前に検知された紙葉類Pの後端と当該紙葉類Pの先端との距離(又は搬送時間)のことである。
【0025】
判定装置11は、紙葉類Pの搬送ギャップが規定値に満たない場合はゲート(分岐手段)Gを右側に回動して(バッファ装置側に切り換えて)紙葉類Pが搬送路13を介してバッファ装置2に集積されるようにする。これは、装置B3で受け入れられない処理速度で紙葉類Pが供給された場合にはバッファ装置2に退避させ、装置B3が受け入れられるようになった後に、バッファ装置2から搬送してもらう方法である。
【0026】
また、判定装置11は、紙葉類の搬送ギャップが設定値以上の場合はゲート(分岐手段)Gを左側に回動して(迂回搬送路側に切り換えて)紙葉類Pが迂回搬送路(迂回搬送手段)17に搬送されるようにする。
【0027】
迂回搬送路17は、搬送路(第3の搬送手段)18に接続されているため、この場合、装置A1から搬送されてきた紙葉類Pは装置B3に直接搬送されることになる。こらは、装置B3で受け入れられる処理速度で紙葉類Pが供給された場合にはバッファ装置2を介さずに直接受け入れる方法である。
【0028】
さらに、制御部14はバッファ装置2の集積部(一時集積手段)15に紙葉類Pを集積し、この集積部15に集積された紙葉類Pの量が所定値に達すると、ゲートGをバッファ装置2側に切り換え、同時にバッファ装置2の取出部(取出手段)15を駆動して集積された紙葉類Pの取り出しを開始する。この取出部15aによって取り出された紙葉類Pは、搬送路(第2の搬送路)16を介して搬送路(第3の搬送手段)18に搬送される。
【0029】
このように、バッファ装置2に集積された紙葉類Pは、ゲートGをバッファ装置2側に切り換えてから取出装置15を駆動する。このようにする理由は、迂回搬送路17によって搬送される紙葉類Pとバッファ装置2から取出されて搬送路16によって搬送される紙葉類Pが搬送路18で衝突する場合が考えられ、それを回避するために、バッファ装置2から紙葉類Pが取り出される場合は必ずゲートGをバッファ装置2側に切り換えておく必要がある。
【0030】
このように、迂回搬送路17又は搬送路16によって搬送された紙葉類Pは搬送路18によってさらに搬送され、この搬送路18に接続されている装置B3に供給される。
【0031】
しかしながら、バッファ装置2に集積された紙葉類Pの量が一定以下になると、ゲートGは上記搬送ギャップが上記判定装置11で判定されて迂回搬送路17又はバッファ装置2に切り換えられる。
【0032】
以上のような構成にしたときのエラー率Euは、従来の迂回搬送路がない場合のエラー率Ebに対して、バッファ装置に送られてくる紙葉類の割合をαとするとα<1であるから下式(1)に示すようになる。この結果、バッファ装置及び迂回搬送路を用いることによって、システムエラー率Euがバッファのみを用いた場合のバッファ装置のエラー率Ebよりも改善される。
Eu=α×Eb>Eb・・・(1)
α<1
Eu:バッファ装置+迂回搬送路にした場合のエラー率(システムエラー率)
Eb:バッファ装置のエラー率
α:バッファ装置に送られてくるエラー装置の割合
上述した本実施例の構成にすることによって、処理速度の異なる装置A1と装置B3の間に設けたバッファ装置3の他に、更に迂回搬送路17を設けこの迂回搬送路の通過を制御することによって紙葉類の搬送装置の信頼性を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例による紙葉類の搬送装置を説明するブロック図。
【図2】本発明の実施例による紙葉類の搬送装置の詳細図。
【図3】処理速度の異なる装置A及び装置Bがバッファ装置を介して連結された場合の従来例。
【符号の説明】
【0034】
P 紙葉類
G ゲート
1 紙葉類処理装置A(装置A)
2 バッファ装置
3 紙葉類処理装置B(装置B)
10、13、16、18 搬送路
11 判定装置
14 制御部
15 集積部
15a 取出部
15 取出部
17 迂回搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚毎に供給される紙葉類を取り込んで搬送する第1の搬送手段と、
この第1の搬送手段によって搬送される前記紙葉類を検知する検知手段と、
前記第1の搬送手段の搬送方向下流に設けられ、前記紙葉類の搬送方向をから2方向に分岐する分岐手段と、
この分岐手段によって一方に分岐された前記紙葉類を搬送する迂回搬送手段と、
前記分岐手段によって他方に分岐された前記紙葉類を取り込んで一時集積する一時集積手段と、この一時集積手段に集積された前記紙葉類の内、先に集積された前記紙葉類から取り出す取出手段とを備えたバッファ手段と、
このバッファ手段によって取り出された前記紙葉類を搬送すると共に、搬送方向下流部が前記迂回搬送手段と合流している第2の搬送手段と、
前記迂回搬送手段と前記第2の搬送手段の合流部分を介して搬送されてきた前記紙葉類を搬送する第3の搬送手段と、
前記検知手段による検知の結果、前記紙葉類の搬送ギャップが所定値に満たない場合は前記分岐手段を動作させて前記紙葉類を前記バッファ手段側に搬送させ、前記紙葉類の搬送ギャップが所定値以上の場合は前記分岐手段を動作させて前記紙葉類を前記迂回搬送手段側に搬送させる判定手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類の搬送装置。
【請求項2】
前記バッファ手段に集積された前記紙葉類の量が所定値に達すると、前記分岐手段を前記バッファ手段側に分岐し、かつ、前記取出手段を駆動して前記紙葉類を取り出し、前記バッファ手段に集積された前記紙葉類の量が所定値以下になると前記判定手段に基づいて前記分岐手段による紙葉類の分岐を行う制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の紙葉類の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−76767(P2007−76767A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264030(P2005−264030)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】