説明

紙葉類処理装置

【課題】重量物紙葉類の重量を1通ごとに算出し、当該紙葉類の属性として他の区分情報と共に用いることにより所定の重量を超える集積を行わないようにした紙葉類処理装置。
【解決手段】分類箱に収納された紙葉類の重量を測定する重量測定手段と、分類箱から紙葉類を取り出すごとに取り出されずに残っている紙葉類が収納された分類箱の重量を当該重量測定手段によって測定し、測定された分類箱の重量差から取り出した紙葉類の重量を算出する重量算出手段と、この取り出した紙葉類の住所等区分情報を読み取り認識す認識手段を備え、上記重量と区分情報に基づいて当該紙葉類を集積部に集積する。その際、当該集積部に集積される重量が所定の重量に達した後は、それ以上、当該集積部に集積を行わず、他の集積部に集積することにより係員の負担を軽減し、紙葉類処理装置の処理効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物は、郵便番号及び住所をOCRで読取り、文字認識を行い、その認識結果に基づいて区分集積する郵便読取区分機(区分機)が知られている。また、フラッツ郵便物など大型で、かつ重量物の紙葉類であっても、装置そのものを大型化することにより、1通づつ取り出し、区分集積する装置がある(例えば、特許文献1参照。)。なお、通常郵便物の重量を差分を算出ことにより求める方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−35570号公報(第3頁、図2、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまで、フラッツのような重量があり、かつ、大型の郵便物(紙葉類)は、まず、紙葉類を供給する際、オペレータが1通づつ紙葉類を供給する分類箱に収納するのに、重量が嵩み、係員の体に負担が掛る課題があった。
【0005】
また、分類箱に紙葉類を収納できても、紙葉類の表面情報を読み取るOCRによる認識結果に基づいて区分集積制御する際、紙葉類の厚み等が不明のために、すぐに集積部が満杯になったり、満杯になるまで必要以上に紙葉類を集積し続けた結果、重すぎて係員が集積部から排除するのに体に大きな負担を掛けてしまう課題もあった。
【0006】
また、紙葉類が大型で、重量があるため、予め規定した区分指定に対し、多数の紙葉類が存在した場合、集積部がすぐに満杯となり、機械が停止し、処理の効率が低下するという課題もあった。
【0007】
本発明は、この重量郵便物等紙葉類の重量を1通ごとに算出し、当該紙葉類の属性として他の区分情報(郵便番号、住所など)と共に区分に用いることにより所定の重量を超える集積を行わないようにした紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類処理装置は、分類箱に収納された紙葉類の区分情報に基づいて当該紙葉類を区分集積する紙葉類処理装置であって、紙葉類が収納された分類箱を搬送する分類箱搬送手段と、この分類箱搬送手段で搬送される分類箱の重量を測定する重量測定手段と、前記分類箱から紙葉類を1通ずつ取り出して、紙葉類を搬送する紙葉類搬送部に供給する紙葉類取出手段と、この紙葉類取出手段で1通ずつ紙葉類を取り出すごとに、取り出されずに残っている紙葉類が収納された分類箱の重量を前記重量測定手段によって測定し、測定された分類箱の重量の差から取り出した紙葉類の重量を算出する重量算出手段と、前記紙葉類の区分情報を読み取り認識する認識手段と、前記重量算出手段及び前記認識手段の認識結果に基づいて紙葉類の区分指定を行う搬送制御手段と、この搬送制御手段によって決定された区分指定先に集積される紙葉類の集積通数における総重量を算出し、この総重量に応じて当該区分指定に基づいて集積先を設定する区分制御手段と、この区分制御手段によって区分指定された紙葉類を集積する集積部と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係る紙葉類処理装置の構成を示すブロック図
【図2】図1に示す紙葉類処理装置において主に紙葉類の重量検知部及び紙葉類搬送部の構成を示す図
【図3】分類箱搬送部の一例
【図4】図1に示す重量検知部の詳細図
【図5】重量検知センサから出力される重量検知センサ出力信号
【図6】図4に示す分類箱の形状
【図7】紙葉類取出装置の動作を説明する図(その1)
【図8】紙葉類取出装置の動作を説明する図(その2)
【図9】紙葉類取出装置の動作を説明する図(その3)
【図10】紙葉類取出装置の動作を説明する図(その4)
【図11】重量検知処理を示すフローチャート
【図12】図10に示す重量検知処理を説明する図
【図13】本発明の実施例2に係る重量検知部の詳細図
【発明を実施するための形態】
【0010】
フラッツ郵便物等紙葉類を分類箱に入れて重量検知部まで搬送する。当該重量検知部で搬送されてきた分類箱の重量を測定する。当該分類箱に集積された重量紙葉類(以下、紙葉類と称する。)から紙葉類をピックアップ装置で1通取り出して再度重量を測定すると共に、取り出した紙葉類は紙葉類を搬送する搬送路で搬送する。この際、紙葉類を取り出す前後の重量の差から紙葉類の重量を測定する。測定された重量は、紙葉類取出機構により1通の紙葉類ごと取り出され(ピックアップされ)て搬送される紙葉類の属性として記憶され次の処理で使用される。以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1に係る紙葉類処理装置1の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示す紙葉類処理装置1において主に紙葉類の重量検知部40及び紙葉類搬送部80の構成を示す図である。図3は、分類箱搬送部20の一例である。図4は、図1に示す紙葉類処理装置1の重量検知部40の構成を示す図である。以下、これらの図を参照して紙葉類処理装置1を説明する。
【0012】
本実施例1に係る紙葉類処理装置1は、フラッツのような重量があり、かつ、大型の紙葉類Pを区分処理する装置である。
【0013】
雑誌等定期刊行物は、重量があり、かつ、大きいため、同様サイズの紙葉類に分類したのち(図1(1)、図2(1)参照)、収納に適した分類箱10に係員によって収納される(図1(2)、図2(2)参照)。
【0014】
紙葉類Pを収納した分類箱10は、分類箱搬送部20上に載置されて搬送され(図1(3)、図2(3)参照)、次の分類箱搬送部(バッファ部)30に渡される(図1(4)、図2(4)参照)。分類箱搬送部30には、搬送される分類箱10を一時的に複数個載置可能である。
【0015】
分類箱搬送部30の下流には、重量検知部40が配置されている。紙葉類Pが収納された分類箱10が搬送され、重量検知部40の搬送ベルト45上の所定の位置に到達すると、重量検知制御部50は、搬送ベルト45を止め、分類箱10全体の重量を測定する(図1(5)、図2(5)参照)。
【0016】
紙葉類取出装置60は、当該分類箱10に収納されている紙葉類Pを最上部からで1通取り出し、紙葉類搬送部80に供給する(図1(8)、図2(8)参照)。この際、1通取り出したのちの分類箱10の重量を測定することができる。なお、紙葉類Pの重量を検知する重量検知方法及び重量検知処理の詳細は後述する。
【0017】
このようにして分類箱10が空になるまで紙葉類Pが順に取り出される。空になった分類箱10は、空箱搬送部70上に送られる(図1(7)、図2(7)参照)。
【0018】
紙葉類搬送部80は、処理する紙葉類の量、種類、搬送先に応じて複数配置される場合があるが、図2に示した例は紙葉類搬送部80が1個配置された場合を示す(図1(8)、図2(8))。
【0019】
重量検知部40上に分類箱10がなくなると、上記分類箱搬送部30から紙葉類Pが収納された分類箱10が1個当該重量検知部40に送られる。このようにして新たに供給された分類箱10内の紙葉類Pは、紙葉類取出装置60によって分類箱10内の最上面の紙葉類から順に取り出されて、紙葉類搬送部80上に供給されるのは上述した通りである。
【0020】
このようにして、紙葉類Pは、紙葉類搬送部80によって1通ずつOCR部90に供給される(図1(9))。
【0021】
OCR部90は、搬送される紙葉類に表示された住所情報やバーコード情報などの区分情報を読み取り、認識する(図1(90))。この認識結果は、搬送制御部100に出力される(図1(9)参照)。また、重量検知部40で測定した当該紙葉類の重量情報も搬送制御部100に出力される。
【0022】
搬送制御部100は、OCR部90から入力した区分情報及び重量検知部40から入力した重量情報を基に合致させ、この合致情報を紙葉類のシフト情報に載せ、区分制御部110に出力する。
【0023】
区分制御部110は、搬送制御部100から入力した区分情報及び重量情報からなる合致情報を基に区分機構を動作させ、当該紙葉類を集積部1(120)〜集積部3(140)又は排除券集積部150に集積する。上述した区分機構(図示しない)は、例えば、チルトトレイなどの傾斜できるトレイで構成される。
【0024】
なお、集積部1(120)〜集積部3(140)に集積された紙葉類を手操作により処理する場合には、当該集積部1(120)〜集積部3(140)に着脱可能な集積箱(図示しない)を配置し、当該集積箱に集積する紙葉類の量を以下の基準に従って使用することができる。
【0025】
集積部(集積箱)に集積される紙葉類の量は、集積高さ及び集積された紙葉類の総重量によって制限される。区分制御部110は、各集積部(集積箱)ごとに、集積された紙葉類の総重量を算出する(総重量算出手段)。上述した集積箱を集積部から取り出して空の集積箱を再セットした場合は、総重量の算出も新たに算出される。例えば、紙葉類の総重量が5kg又は集積高さが30cmと設定した場合には、当該集積箱に集積された紙葉類の総重量が5kgに達した場合は、集積高さが30cmに満たない場合であっても、当該集積箱にはそれ以上の集積を行わず満杯表示をし、係員に通知すると共に事前に設定された他の集積箱に集積する。このような処理を行うことによって、当該集積箱に集積された紙葉類の総重量を規定することになり、係員に過重な負担を負わせることがない。
【0026】
また、集積高さが30cmに達した場合には、紙葉類の総重量が5kgに達していない場合であっても、当該集積箱にはそれ以上の集積を行わず満杯表示をして係員に通知する。このような処理を行うことによって、当該集積箱に集積された紙葉類の集積高さを制限することにより、重量は5kgに満たないが、かさばる紙葉類の高さを規定することになり、詰めすぎによる持ちにくさが改善される。
【0027】
図1に示した例は、集積部1(120)〜集積部3(140)で示す集積部が3個の場合を示しているが、これに限定されるものでないことは明らかである。また、集積箱に集積される紙葉類の量に関して上述した制限を説明したが、処理される紙葉類の形態、集積箱の形状、操作性などを総合的に考慮して上述し制限値が設定されるのも明らかである。
【0028】
図3は、分類箱搬送部20の一例である。分類箱10は、紙葉類の大きさに応じて複数種類設けられる。例えば、3種類の大きさを有する紙葉類PA、PB、PCがある場合、その大きさに応じた分類箱10A、10B、10Cが設けられている場合は好適である。係員は、当該分類箱10A、10B、10Cの大きさに応じた紙葉類PA、PB、PCを当該分類箱に収納することができる。分類箱10は、紙葉類の大きさに応じて構成されているため、大きな紙葉類(例えば、PA)を収納する分類箱(例えば、10A)の底部の形状は大きい構造になり、小さな紙葉類(例えば、PC)を収納する分類箱(例えば、10C)の底部は小さい構造になる。なお、特に分類箱の大きさを指定するとき以外は総称としての分類箱10を用いて、以下説明する。
【0029】
係員はこのようにして紙葉類Pを収納した分類箱10を搬送ベルト21に載置する。本実施例では、分類箱を搬送ベルト21の正しい位置に載置できるように、分類箱10の載置位置を搬送ベルト21の搬送方向に、搬送ベルト21の搬送方向端部と平行な帯状ラインをマーキングしてある。係員は、分類箱10を搬送ベルト21上に載置する際、当該分類箱10の端面を当該帯状ラインに合わせて載置することにより、後述する重量検知部40での重量検知精度を確保できる。また、紙葉類取出装置60で分類箱10に収納された紙葉類を取り出すときの取り出しエラーを防止することができる。
【0030】
図示した例では、3種類の分類箱10A、10B、10Cに合わせて3種類の帯状ライン21a・21a、21b・21b、21cを搬送方向搬送中心に対して左右に2本マーキングしてある。
【0031】
実施例では、3種類のマーキングが色又は模様により区別できるようにしてある。また、当該分類箱10の外装の色又は模様を当該帯状ラインの色又は模様と同様にすることにより、分類箱10の載置位置の誤りをさらに防止することも期待できる。
【0032】
図4は、重量検知部(重量検知装置)40の詳細図である。図4(A)は、重量検知部40の斜視図である。図4(B)は、図4(A)のA−A断面図である。
【0033】
重量検知部(重量検知装置)40は、重量検知センサ41、分類箱搬送部(分類箱搬送手段)42、重量検知機構部(移動手段)55、及び重量検知制御部50を有して構成される。
【0034】
重量検知センサ41は、コ文字状のひずみセンサで構成され、重量検知センサ支持台46に固定される。
【0035】
分類箱搬送部(分類箱搬送手段)42は、搬送ローラ43・44、及びこの搬送ローラ43・44に掛け回された搬送ベルト45及びこの搬送ローラ44を駆動する駆動モータ48を有して構成される。
【0036】
駆動モータ48の駆動軸に軸支され、駆動モータ48の回転軸に同期して回転するプーリ48aと搬送ローラ44のプーリ44aがタイミングベルト49によって連結される。
【0037】
重量検知機構部55は、分類箱搬送部42及び重量検知センサ支持台46が固定される重量検知機構支持台56A、56Bを分類箱10内の紙葉類の集積方向に進退自在に移動することができる。本実施例では、上下に移動することになる。
【0038】
重量検知機構支持台56A、56Bは、スライダ56Cに固定される。スライダ56Cは、スライダ支持台56Dに上下移動可能に組み込まれる。このような構成にすることにより、重量検知機構支持台56A、56Bは、上下移動可能になり、結果的に当該重量検知機構支持台56A、56Bに固定された分類箱搬送部42及び重量検知センサ支持台46も上下移動することになる。
【0039】
紙葉類取出装置60は、搬送ベルト45に載置された分類箱10内の最上面の紙葉類から順番に取り出す。この結果、当該分類箱10内の紙葉類の取り出し面の高さが低くなり、紙葉類取出装置60によって、紙葉類の取り出しが困難になる場合がある。このような場合に、上述した重量検知機構部55が重量検知機構支持台56A、56Bを上昇移動することにより、分類箱10内の最上面の紙葉類Pの取り出し面の位置を一定にすることができる。
【0040】
重量検知制御部(重量検知制御手段)50は、分類箱10の先端が図示矢印B方向に搬送され、搬送ベルト45上の所定の位置に到達するまで駆動モータ48を駆動して、搬送ベルト45を移動させる。所定の位置に到達したかどうかは、重量検知部40の搬送上流である入口に配置された位置センサS2によって分類箱10の搬送位置を検知してから、当該駆動モータ48を所定のステップ回転させることにより達成可能である。このようにして、分類箱10が所定の位置に到達する。
【0041】
重量検知制御部50は、分類箱10が所定の位置に到達すると、分類箱10の重量を測定する。
【0042】
紙葉類取出装置60によって分類箱10に収納された最上面の紙葉類Pを1通取り出した後、再度重量を測定する。詳細は後述するが、最初の重量Wnと紙葉類Pを1通取り出した後に測定した重量W(n−1)の差は下式(1)に示すように取り出した紙葉類Pnの重量PWnになる。
【0043】
PWn=Wn−W(n−1)・・・・・・・(1)
紙葉類を取り出すごとに以上の操作を繰り返すことにより全ての紙葉類の重量を測定することができる。
【0044】
図5は、重量検知センサ41から出力される重量検知センサ出力信号である。図5(1)は、上記Wnを測定したときの重量検知センサ出力信号であり、図5(2)は、上記W(n−1)を測定したときの重量検知センサ出力信号である。当該重量検知センサ41は上述したようにひずみセンサで構成されているため、当該センサに荷重が加えられた瞬間は、図示したようなダンピングが発生するため、図示した安定区間に重量検知センサ出力信号を読み取る必要がある。本実施例には図示していないが、当該重量検知センサ出力信号は、アナログ信号であるため、当該アナログ信号をA/D変換(Analog to Digital 変換)を行って重量を検知することになるが、当該技術は公知技術であり、ここでは詳細な説明を行わない。
【0045】
分類箱10内の紙葉類Pが全て取り出されて空になったら、搬送ベルト45上の分類箱10の搬送面の位置をホームポジションに戻す。
【0046】
次に、重量検知制御部50は、駆動モータ48を駆動して搬送ベルト45を回転させ、当該搬送ベルト45上に載置された空の分類箱10を図示矢印B方向に搬送して搬送ベルト45から排出し、空箱搬送部70に渡すと共に、分類箱搬送部30から紙葉類が収納された分類箱10を受け取る。
【0047】
図6は、分類箱10の特徴的な構造である。図6(1)は分類箱10の斜視図であり、図6(2)は、分類箱10の平面図である。分類箱10は底部10bに対して開口部10aが大きい構造をしている。いわゆるすり鉢状に構成されていることにより、係員によって紙葉類Pが分類箱10に集積される際、当該紙葉類Pが整位されて集積される。
【0048】
図7は、紙葉類取出装置60の動作を説明する図(その1)である。紙葉類取出装置60は、重量検知部40の搬送ベルト45上に載置された分類箱10に収納された紙葉類Pを1通ずつ取り出して紙葉類搬送部80に供給する装置である。
【0049】
紙葉類取出装置60は、2個のピックアップ部60A、60B、このピックアップ部60A、60Bを回動可能に支持する支柱61及びこの支柱を支持する支持台62で構成される。
【0050】
ピックアップ部60Aは、アーム63及びハンド部64で構成される。ハンド部64は、吸引部64A、64B、64Cを有して構成される。
【0051】
ピックアップ部60Bは、アーム65及びハンド部66で構成される。ハンド部66は、吸引部66A、66B、66Cを有して構成される。
【0052】
このような構成において、図7は、重量検知部40に載置された分類箱10に収納された紙葉類Pの上にアーム63のハンド部64(ハンド部64A、64B及び64Cの総称)が位置している状態である。
【0053】
図8は、紙葉類取出装置60の動作を説明する図(その2)で、図7の状態から、アーム63を紙葉類Pに接触する位置まで下降すると共に吸引部で吸引することにより、当該紙葉類Pを吸着する。
【0054】
図9は、紙葉類取出装置60の動作を説明する図(その3)で、吸着した紙葉類Pを所定の位置まで持ち上げた状態を示す。図10は、紙葉類取出装置60の動作を説明する図(その4)で、当該持ち上げた紙葉類Pを紙葉類搬送部80の搬送ベルト81上まで回動し、当該搬送ベルト81に載置した状態である。紙葉類搬送部80を構成する搬送ベルト81が実施例では1本の場合を示しているが、紙葉類搬送部80を複数配置し、複数搬送路により当該紙葉類を搬送して処理することができるのは当然であり、その場合、紙葉類Pをどの搬送ベルトに載置するかは重量検知制御部50によって制御される。
【0055】
図11は、重量検知処理を示すフローチャートである。以下、これらの図を参照して説明する。なお、以下に示す処理は、重量検知制御部50によって処理される。
【0056】
分類箱10を重量検知部40の搬送ベルト45の所定の位置まで搬送し停止する(S01)。
【0057】
次に、重量検知制御部50は、n通の紙葉類が収納された分類箱10の重量Wnを測定する(S02)。
【0058】
この結果、n通の紙葉類が収納された分類箱10の重量Wnと事前に測定された風袋の重量Woを比較し、一致している場合は(S03のY)、すでに分類箱10には紙葉類Pが収納されていないのでステップS09に移行して分類箱10を回収するために搬送する。
【0059】
一致していない場合(S03のN)、紙葉類取出装置60でn通目の紙葉類を取り出して紙葉類搬送部80に供給する(S04)。
【0060】
次に、分類箱全体の重量W(n−1)を測定する(S05)。このときの重量はn通目の紙葉類が取り出されているので(n−1)通の紙葉類が収納された分類箱10の重量W(n−1)を測定することになる。
【0061】
WnとW(n−1)の差を算出すことによりn通目の紙葉類の重量PWnが下式(2)によって算出される(S06)。
【0062】
PWn=Wn−W(n−1)・・・・・・(2)
PWn:n通目の紙葉類の重量
Wn :n通の紙葉類が収納された分類箱の重量
W(n−1):(n−1)通の紙葉類が収納された分類箱全体の重量
(n−1)通目の紙葉類の重量PW(n−1)を測定するためにnを(n−1)にする(S07)。nの値が0でなければ(S08の≠0)ステップS02に戻ってn=0になるまで繰り返すことにより、全ての紙葉類の重量が算出される。
【0063】
なお、分類箱10に収納した紙葉類の通数nが分かっている場合はステップS07→S08以降の処理が可能だが、紙葉類の通数が分かっていない場合は、分類箱が空になるまで、ステップS06の後ステップS02以降の処理を行うことにより全ての紙葉類の重量を算出することができる。
【0064】
上述した処理により、空になった分類箱10は重量検知部40の搬送ベルト45から空箱搬送部70に送られる(S09)。
【0065】
図12は、図11に示す重量検知処理を説明する図である。図12(1)は、分類箱10にn通の紙葉類Pが収納されており、その時の重量をWnとすると、Wnは下記「数1」で示される。
【数1】

【0066】
図12(2)は、図12(1)の状態からn通目の紙葉類を紙葉類取出装置60で取り出した状態である。その時の重量をW(n−1)とすると、W(n−1)は下記「数2」で示される。この結果得られたWnとW(n−1)の差から、n通目の紙葉類の重量PWnが下記「数3」で算出される。
【数2】

【数3】

【0067】
以上の処理を繰り返すことにより(n−1)通目の重量PW(n−1)から2通目の重量PW2まで順に算出される。
【0068】
図12(3)は、上述した重量検知処理を繰り返すことにより、分類箱10に収納されている紙葉類が1通になった場合を示す。この時の重量W1は下記「数4」で示される。また、そのときの紙葉類の重量PW2は下記「数5」で示される。
【数4】

【数5】

【0069】
図12(4)は、分類箱10に収納されている紙葉類がなくなった場合を示す。このときの重量は風袋Woとなり、上記「数4」で算出されたW1から風袋Woをさしひくことにより、1通目の重量PW1が「数6」で算出される。
【数6】

【0070】
以上説明したように本実施例1では、重量郵便物等紙葉類の重量を1通ごとに測定し、当該紙葉類の属性として、他の区分情報(郵便番号、住所など)と共に区分に利用できるため、集積部に集積される紙葉類の重量を制限することができ、係員に過剰な負担をかけることがなく、効率的に処理可能な紙葉類処理装置を提供することができる。
【実施例2】
【0071】
図13は、本発明の実施例2に係る重量検知部40Aの詳細図である。この重量検知部40A以外の部分は基本的に実施例1と同様であるため、同一部分には同一符号を用い、その説明を省略し、異なる部分の説明を行う。
【0072】
図示した重量検知部40Aには、実施例1に備えられている重量検知機構支持台56A、56Bがなく、重量検知センサ支持台46がスライダ56Cに固定される。スライダ56Cは、スライダ支持台56Dに上下移動可能に組み込まれる。このような構成にすることにより、重量検知センサ41が上下移動可能になる。実施例2では、重量検知センサ41は搬送ベルト45と非接触となる位置をホームポジションとする位置で待機しており、当該分類箱10が図示矢印B方向に搬送されて所定の位置に到達すると、重量検知センサ41が、上昇し、当該分類箱10の重量を測定する。
【0073】
分類箱10内の紙葉類Pは、最上面の紙葉類Pから順番に1通ずつ取り出され、重量が測定されるのは、実施例1と同様である。このようにして、すべての紙葉類Pが取り出され、重量測定も終了すると、重量検知センサ41は、上述したホームポジションに復帰する。
【0074】
このような処理をすることにより、重量検知センサ41の測定面が常時搬送ベルト45と接触することによる摩耗と重量検知センサ41から不要な重量検知センサ出力信号(ノイズ成分)が出力されるのを防止することができる。
【0075】
なお、実施例2では、搬送ベルト45の位置を分類箱10に収納された紙葉類Pの高さによって上昇移動することはないため、紙葉類取出装置60を構成するアーム60A、60Bを当該分類箱10内の最上面の紙葉類を吸引取り出し可能な位置まで移動させる制御が行われる必要がある。
【0076】
実施例1では、搬送部42が上下移動するため、紙葉類取出装置60の機能は簡単な構成とすることができるが、搬送部42を紙葉類が収納された分類箱10と共に上下移動するため、スライダ56Cを駆動する大きな駆動力を必要とするが、実施例2では、搬送部42を上下移動しないため、大きな駆動力は必要としないが、紙葉類取出装置60のアーム制御を必要とする。何れが好適であるかは、処理する紙葉類の種類及び処理量によって選択的に適用される。
【0077】
以上説明したように、本実施例2では、搬送部42を上下移動しないため、搬送部42を上下駆動する大きな駆動力を必要としないという効果が得られる。
【符号の説明】
【0078】
1 紙葉類処理装置
10 分類箱
20 分類箱搬送部
30 分類箱搬送部(バッファ部)
40 重量検知部
41 重量検知センサ
43、44 搬送ローラ
44 搬送ベルト
46 重量検知センサ支持台
48 駆動モータ
48a 駆動モータプーリ
49 タイミングベルト
50 重量検知制御部
56C スライダ
56D スライダ支持台
60 紙葉類取出装置
60A、60B ピックアップ部
61 支柱
62 支持台
63、65 アーム
64、66 ハンド部
64A、64B、64C、66A、66B、66C 吸引部
70 空箱搬送部
80 紙葉類搬送部
90 OCR部
100 搬送制御部
110 区分制御部
120、130、140 集積部
150 排除件集積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分類箱に収納された紙葉類の区分情報に基づいて当該紙葉類を区分集積する紙葉類処理装置であって、
紙葉類が収納された分類箱を搬送する分類箱搬送手段と、
この分類箱搬送手段で搬送される分類箱の重量を測定する重量測定手段と、
前記分類箱から紙葉類を1通ずつ取り出して、紙葉類を搬送する紙葉類搬送部に供給する紙葉類取出手段と、
この紙葉類取出手段で1通ずつ紙葉類を取り出すごとに、取り出されずに残っている紙葉類が収納された分類箱の重量を前記重量測定手段によって測定し、当該1通の紙葉類を取り出す前と取り出した後の前記分類箱の重量の差から当該取り出した1通の紙葉類の重量を算出する重量算出手段と、
前記紙葉類の区分情報を読み取り認識する認識手段と、
前記重量算出手段及び前記認識手段の認識結果に基づいて紙葉類の区分指定を行う搬送制御手段と、
この搬送制御手段によって決定された区分指定先に集積される紙葉類の集積通数における総重量を算出する総重量算出手段及びこの総重量算出手段で算出された総重量に応じて集積先を設定する区分制御手段と、
この区分制御手段によって区分指定された紙葉類を集積する集積部と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記区分制御手段は、
前記搬送制御手段によって区分指定された一方の集積部に集積された紙葉類の重量又は集積高さが所定の値に達した場合、当該一方の集積部への集積を止め、事前に設定された他方の集積部に集積することを特徴とする請求項1記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
分類箱に収納された紙葉類の区分情報に基づいて当該紙葉類を区分集積する紙葉類処理装置であって、
紙葉類が収納された分類箱を搬送する分類箱搬送手段と、
この分類箱搬送手段の搬送上流に配置され、搬送される分類箱の搬送位置を検知する位置センサと、
前記搬送手段で搬送される分類箱の重量を検知する重量検知センサと、
前記重量検知センサを上下移動する移動手段と、
前記分類箱から紙葉類を1通ずつ取り出し、紙葉類を搬送する搬送部に供給する紙葉類供給手段と、
この紙葉類取出手段で1通ずつ紙葉類を取り出すごとに、取り出されずに残っている紙葉類が収納された分類箱の重量を前記重量検知センサによって検知し、検知された分類箱の重量の差から取り出した紙葉類の重量を算出する重量算出手段と、
前記位置センサが分類箱を検知後、前記分類箱搬送手段を駆動して所定の重量測定位置まで当該分類箱を搬送して停止し、前記移動手段を駆動して所定の重量測定位置まで当該分類箱を搬送して停止し、前記移動手段を駆動して前記重量検知センサを所定の位置まで上昇して当該分類箱の重量を測定し、当該分類箱内の紙葉類が空になったときに、前記重量検知センサをホームポジションに下降する重量検知制御手段と、
前記紙葉類の区分情報を読み取り認識する認識手段と、
前記重量算出手段及び前記認識手段の認識結果に基いて紙葉類の区分指定を行う搬送制御手段と、
この搬送制御手段によって決定された区分指定先に集積される紙葉類の集積通数における総量を算出し、この総重量に応じて当該区分指定に基づいて集積先を設定する区分制御手段と、
この区分制御手段によって区分指定された紙葉類を集積する集積部と、
を備えたことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記区分制御手段は、
前記搬送制御手段によって区分指定された一方の集積部に集積された紙葉類の重量又は集積高さが所定の値に達した場合、当該一方の集積部への集積を止め、事前に設定された他方の集積部に集積することを特徴とする請求項3記載の紙葉類処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−34972(P2013−34972A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175220(P2011−175220)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】