説明

紙葉類分離集積機構

【課題】簡素な構成で、集積不良の発生を防止することができる紙幣分離繰出機構を実現する。
【解決手段】紙幣Pを収納する紙幣収納庫1と、紙幣収納庫1の搬入搬出口3に設けられたフィードローラ5と、フィードローラ5と対向するリバースローラ10とを備えた紙幣分離集積機構28において、ハブ部21aから放射状に伸長する第1の舌片22を部分的に埴設した舌片ローラ21と、ハブ部23aから放射状に伸長する放射状部24aから先端が紙幣Pを集積するときの集積回転方向の前方に位置するように湾曲させた第2の舌片24を部分的に埴設した第2の舌片ローラ23とを設け、第1の舌片ローラ21と第2の舌片ローラ23とを1組として、リバースローラ軸10aに一体に固定し、フィードローラ5とリバースローラ10とにより挟持され、搬入搬出口3から放出された紙幣Pの後端を第1および第2の舌片22、24で叩き落す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や伝票等の紙葉類を取扱う紙幣入出金機や光学式読取装置等の紙葉類収納庫に組込まれる紙葉類分離集積機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙葉類分離集積機構構は、昇降可能に構成されたステージ上に紙葉類を収納する紙葉類収納庫と、紙葉類収納庫の搬入搬出口に設けられたフィードローラと、ステージ上に集積された最上位の紙葉類が押圧されるピッカローラと、一端でフィードローラ軸を回転可能に支持すると共に他端でピッカローラ軸を回転可能に支持するピッカアームと、フィードローラ軸とピッカローラ軸とに設けられたプーリ間に掛け渡されたベルトと、フィードローラに対向配置され、リバースローラ軸との間にワンウェイクラッチが設けられたリバースローラと、フィードローラの外側でフィードローラ軸に取付られた搬送ローラと、保持部材に回転可能に取付られて搬送ローラに対向配置され、紙葉類を集積するときの集積回転方向の後方側に湾曲した複数の舌片をハブ部の外周面の全周に等ピッチで埴設した舌片ローラと、舌片ローラを搬送路から退避させるリンクやソレノイド等を有する退避機構とを備え、紙葉類の分離繰出時には、ソレノイドの通電を停止して舌片ローラを搬送路から退避させ、紙葉類の集積時には、ソレノイドに通電して舌片ローラを搬送ローラに押圧し、フィードローラとリバースローラとにより挟持され、搬入搬出口から放出された紙葉類の後端を、舌片ローラの舌片でなで下ろしてステージ上に集積し、後続する紙葉類の追突を防止している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、同様の紙葉類分離集積機構において、放射状に伸長する舌片、または紙葉類の集積回転方向の後方側に湾曲した複数の舌片をハブ部の外周面の一部に等ピッチで埴設した舌片ローラを設け、紙葉類の分離繰出時に、舌片が埴設されていないハブ部の部分を搬入搬出口に向けて各舌片を搬送路から退避させ、退避機構を省略しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−24597号公報(主に、段落0035−0043、0046、0051、0055、第1図)
【特許文献2】特開2006−21861号公報(主に、段落0020−0023、0032、第1図、第3図、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、舌片を集積回転方向の後方に湾曲させて、集積時に紙葉類の後端をなで下ろしているため、舌片の先端で集積した紙葉類を押さえてもすぐに紙葉類から離れてしまい、次の舌片が集積した紙葉類を押さえるまでの間に紙葉類の折れ癖等が戻ってしまう場合があり、後続する紙葉類がその折れ癖等により浮き上がってしまった箇所に追突して、ジャム等の集積不良が発生し正常に集積できない場合があるという問題がある。
【0006】
また、特許文献1の技術においては、紙葉類の分離繰出時には、ソレノイドの通電を停止して舌片ローラを搬送路から退避させているため、退避用の専用ソレノイドやリンク機構が必要になり、構成が複雑化して製造コストが増加するという問題がある。
更に、特許文献2の技術においては、舌片が部分的にしか配置されていないため、紙葉類の集積時に紙葉類の後端を叩く回数やタイミングが紙葉類毎に異なり、ジャム等が発生して正常に集積できない場合があるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、簡素な構成で、集積不良の発生を防止することができる紙葉類分離繰出機構を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、紙葉類を収納する紙葉類収納庫と、前記紙葉類収納庫の搬入搬出口に設けられたフィードローラと、前記フィードローラと対向するリバースローラとを備えた紙葉類分離集積機構において、ハブ部から放射状に伸長する第1の舌片を、部分的に埴設した第1の舌片ローラと、ハブ部から放射状に伸長する放射状部から先端が紙葉類を集積するときの集積回転方向の前方に位置するように湾曲させた第2の舌片を、部分的に埴設した第2の舌片ローラとを設け、前記フィードローラと前記リバースローラとにより挟持され、前記搬入搬出口から放出された紙葉類の後端を前記第1および第2の舌片で叩き落すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明は、第1および第2の舌片を部分的に埴設した舌片ローラを回転させる回転軸の回転を制御するのみで、各舌片を、ストッパとハブ部との間に収容して分離繰出動作の妨げにならないように退避させることができ、簡素な構成で安価な紙幣分離集積機構を得ることができると共に、集積時に、ストッパによる拘束が解除された先頭の第2の舌片の先端を、第1の舌片に先行させて回転させて、部分的に埴設された第1および第2の舌片の実質的な作動範囲を拡大することができ、後続紙幣の追突による集積不良の発生を防止して、紙幣Pをステージ上に正確に整列させて集積することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の紙幣分離集積機構の側面を示す説明図
【図2】実施例1の紙幣分離集積機構の正面を示す説明図
【図3】実施例1の位置決め機構の外観を示す説明図
【図4】実施例1の舌片ローラの外観を示す説明図
【図5】実施例1の第1の舌片ローラの側面を示す説明図
【図6】実施例1の第2の舌片ローラの側面を示す説明図
【図7】実施例1の各舌片の動作状態を示す拡大説明図
【図8】実施例1の紙幣分離集積機構による紙幣の分離繰出動作を示す説明図
【図9】実施例1の紙幣分離集積機構による紙幣の集積動作を示す説明図
【図10】実施例2の舌片ローラの外観を示す説明図
【図11】実施例2の舌片ローラの側面を示す説明図
【図12】実施例2の各舌片の動作状態を示す拡大説明図
【図13】実施例3の舌片ローラの外観を示す説明図
【図14】実施例3の舌片ローラの側面を示す説明図
【図15】実施例3の各舌片の動作状態を示す拡大説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して本発明による紙葉類分離集積機構の実施例について説明する。
なお、以下の説明においては、取扱う紙葉類を紙幣として説明するが、シート状の紙葉類であれば、紙幣でなくても債権や証書等でも同様に取扱うことができる。
【実施例1】
【0012】
図1、図2において、1は紙葉類収納庫としての紙幣収納庫であり、図示しない装置本体としての紙幣入出金機に組込まれた、正面板2aとこれに対向して設けられた背面板2b、正面板2aと背面板2bとの側方に設けられた2枚の側面板2c、天板2dおよび底板2eで形成された筐体であって、正面板2aの天板2d側に設けられた開口である搬入搬出口3から搬入された紙葉類としての紙幣Pをその収納空間に収納する。
【0013】
なお、図1は手前側の側面板2cを取除いた状態で示し、図2は正面板2aを取除いた状態で示してある。
4はステージであり、紙幣収納庫1の内部に底板2eと略並行に対向配置され、図示しない昇降機構により昇降可能に設けられた板状部材であって、その上面に搬入された紙幣Pを集積する。
【0014】
5はフィードローラであり、紙幣収納庫1の搬入搬出口3の近傍に配置され、図2に示すように、フィードローラ軸5aに所定の間隔で2つ配置されてフィードローラ軸5aを中心に正逆可能に回転し、その外周面の一部には、紙幣Pの搬送が容易なようにゴム等の摩擦係数の大きい高摩擦部材が取付けられ、外周面の円周方向の全周にリング状の溝部が2本並設されている。
【0015】
6はピッカローラであり、フィードローラ5の紙幣Pの繰出搬送方向の上流に配置され、ピッカローラ軸6aに設置されてピッカローラ軸6aを中心に正逆可能に回転し、紙幣Pの繰出が容易なようにその外周面の一部にゴム等の摩擦係数の大きい高摩擦部材が取付けられており、ステージ4上に集積されている紙幣Pをフィードローラ5の方向へ搬送する。
【0016】
7はピッカアームであり、一端でフィードローラ軸5aを回転可能に支持すると共にフィードローラ軸5aを中心に、フィードローラ軸5aの回転とは独立に回動可能に構成され、フィードローラ軸5aの反対側の他端でピッカローラ軸6aを回転可能に支持している。
また、ピッカアーム7には、図示しない圧縮コイルスプリング等のバネ部材が設けられており、ピッカローラ6をステージ4の方向に付勢している。
【0017】
上記のフィードローラ軸5aとピッカローラ軸6aには、それぞれ同じ歯数の歯付プーリ8が取付けられており、これらの間に無端状の駆動ベルト9が掛け渡されている。
これにより、フィードローラ5の回転に伴ってピッカローラ6が同期して同方向に回転する。
10はリバースローラであり、フィードローラ5に対向して搬入搬出口3の近傍に配置され、図2に示すように、リバースローラ軸10aに所定の間隔で2つ配置され、その外周面の円周方向の全周にリング状の溝部が1本設けられており、対向するフィードローラ5の溝部と山部とに非接触状態で噛合っている。
【0018】
また、リバースローラ軸10aには、図3に示すように、その端部にモータ等の図示しない駆動源の回転をリバースローラ軸10aに伝達する駆動ギア11が、一方向回転機構としてのワンウェイクラッチ12を介して取付られており、紙幣Pの集積時における図3に矢印で示す紙幣Pを集積搬送方向に搬送するときの回転方向(集積回転方向という。)にのみ回転可能となっており、紙幣Pの分離繰出時において紙幣Pを繰出搬送方向に搬送するときはワンウェイクラッチ12が空転して停止する。
【0019】
図3において、13は位置決め部材であり、リバースローラ軸10aに固定されており、その外周部の一部に被検出部13aが突出形成されている。
14は位置検出センサであり、発光部と受光部とを対向させた光学式のセンサであって、発光部からの光を位置決め部材13の被検出部13aが遮断したことを受光部で検知して、リバースローラ軸10aの角度位置を検出する機能を有しており、この位置検出センサ14の出力に基づいて、リバースローラ軸10aの停止位置の制御が行われる。
【0020】
図1において、15a、15bは所定の隙間を介して対向配置された一対のガイド板であり、正面板2aに設けられた搬入搬出口3に設けられたフィードローラ5とリバースローラ10の噛合部から、繰出搬送方向の下流側へ延在して設けられ、搬送される紙幣Pの搬送路16として機能する。
また、ガイド板15aのリバースローラ10に対応する位置には、リバースローラ10の外周面を搬送路16内に突出させるための窓部が設けられている。
【0021】
17は紙幣検出センサであり、発光部と受光部とを搬送路16を挟んで対向させた光学式のセンサであって、発光部からの光を搬送路16を搬送される紙幣Pが遮断したことを受光部で検知して、紙幣Pの通過を検出する機能を有している。
なお、本実施例の紙幣Pは、短手方向を搬送方向として搬送される。
18は衝撃吸収部材としてのビルストッパであり、図示しないスプリング等の衝撃吸収手段が設けられており、紙幣Pの集積時に、フィードローラ5とリバースローラ10とにより挟持されて、搬入搬出口3からステージ4上に放出された紙幣Pの先端を衝突させて、衝突した紙幣Pの運動エネルギを吸収する機能を有している。
【0022】
19は上面検出センサであり、発光部と受光部とをステージ4上に集積された紙幣Pを挟んで対向させた光学式のセンサであって、発光部からの光をステージ4上の紙幣Pが遮断したことを受光部で検知して、最上位の紙幣Pを検出する機能を有している。
図4において、21は第1の舌片ローラであり、ハブ部21aの外周面に、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料で形成された複数の第1の舌片22を部分的に埴設したローラであって、ネジ等でリバースローラ軸10aに固定され、図4に矢印で示すリバースローラ軸10aの集積回転方向の回転に伴って回転し、リバースローラ軸10aの停止に伴って回転を停止する。
【0023】
23は第2の舌片ローラであり、ハブ部23aの外周面に、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料で形成された複数の第2の舌片24を、部分的に埴設したローラであって、ネジ等でリバースローラ軸10aに固定され、リバースローラ軸10aの集積回転方向の回転に伴って回転し、リバースローラ軸10aの停止に伴って回転を停止する。
また、ガイド板15a、15bおよび正面板2aには、第1および第2の舌片ローラ21、23の回転時に、それらの第1および第2の舌片22、24の、搬送路16内および紙幣収納庫1の紙幣Pの収納空間への進入を妨げないように、それらの先端の回転軌跡(図9の2点鎖線参照)より大きい開口を有する窓部または切欠もしくはスリットが設けられている。
【0024】
本実施例の第1の舌片22は、図5に示すように、ハブ部21aの外周面から半径方向外側に放射状に伸長する真直の可撓性薄板部材であって、その先端でステージ4上に集積する紙幣Pの後端を叩き落す機能を有しており、ハブ部21aの外周面の所定の角度範囲として設定された埴設範囲(本実施例では、180度)に、等ピッチで複数(本実施例では、5枚)埴設される。
【0025】
本実施例の第2の舌片24は、図6に示すように、ハブ部23aの外周面から半径方向外側に放射状に伸長する放射状部24aから、曲折部24bを介して、先端部24cの先端が、所定の角度(本実施例では、45度)で図4に矢印で示す集積回転方向の前方に位置するように湾曲する可撓性薄板部材であって、その先端でステージ4上に集積する紙幣Pの後端を叩き落す機能を有しており、ハブ部23aの外周面の、第1の舌片22と同じ埴設範囲(本実施例では、180度)に、等ピッチで複数(本実施例では、5枚)埴設される。
【0026】
本実施例の第1および第2の舌片ローラ21、23は、それぞれを1つずつ組合せて1組とし、それぞれに埴設された第1および第2の舌片22、24の付根部の位相を合せて、リバースローラ軸10aに固定(図4参照)され、取扱う紙幣Pの中で、長手方向の長さが最も短い紙幣Pを第1および第2の舌片22、24で叩くことが可能なように、少なくとも2組を長手方向に沿って配置する(図2参照)。
【0027】
これにより、ステージ4上に集積される全ての紙幣Pの後端を、第1および第2の舌片22、24のそれぞれの先端で叩き落して正面板2a側に引寄せることが可能になる。
なお、図2の例では、2組の第1および第2の舌片ローラ21、23をリバースローラ10の両側にそれぞれ1組ずつ配置しているが、第1および第2の舌片ローラ21、23とリバースローラ10との位置関係は、これに限定されるものではない。
【0028】
26はストッパ手段としてのストッパであり、ガイド板15aの下側で、第1および第2の舌片ローラ21、23を挟んで正面板2aの反対側の各舌片の先端の回転軌跡の内側に、そのガイド板15a側を第1および第2の舌片ローラ21、23のハブ部21a、23aに近接するように傾斜させて配置され、リバースローラ軸10aの回転の停止時(待機時および紙幣Pの分離繰出動作時)に、第1および第2の舌片ローラ21、23の第1および第2の舌片22、24が埴設されていないハブ部21a、23aの部分、つまり埴設範囲以外のハブ部21a、23aの外周面を、搬入搬出口3の方向に向けて停止させたときに、集積回転方向の先頭の舌片(本実施例では、第1および第2の舌片22、24の先頭の舌片)が紙幣Pの搬送路16に突出しないように、各舌片の先頭側の舌片を撓ませてハブ部21a、23aとの間に収容し、搬送路16および紙幣収納庫1の収納空間の外側に退避させる機能を有している。
【0029】
本実施例の紙葉類分離集積機構としての紙幣分離集積機構28は、上記したフィードローラ5、ピッカローラ6、リバースローラ10、ガイド板15a、第1および第2の舌片ローラ21、23、並びにストッパ26等で構成される。
上記の構成の作用について説明する。
図7は実施例1の各舌片の動作状態を示す拡大説明図である。
【0030】
リバースローラ軸10aの回転の停止時には、図7(a)に示すように、第1および第2の舌片ローラ21、23は、それらのハブ部21a、23aの埴設範囲以外の外周面を搬入搬出口3の方向に向け、各第1および第2の舌片22、24を、ストッパ26とハブ部21a、23aとの間に撓ませた状態で収容し、第1および第2の舌片22、24を搬送路16および紙幣収納庫1の収納空間の外側に退避させた状態で停止している。
【0031】
このとき、位置検出センサ14は、位置決め部材13の被検出部13aを検出している。
図7(a)に示す状態から、集積動作のために図示しない駆動源により駆動される駆動ギア11の回転力がワンウェイクラッチ12を介してリバースローラ軸10aに伝わると、リバースローラ軸10aが、図7(b)に矢印で示す集積回転方向に回転し、第1および第2の舌片ローラ21、23の各第1および第2の舌片22、24が矢印の方向に回転し、先頭の第2の舌片24の一部が搬送路16内に突出し始める。
【0032】
そして、図7(c)に示すように、第1および第2の舌片ローラ21、23の集積回転方向の先頭の第1および第2の舌片22、24が、ストッパ26による拘束を解除され、その弾性により元の形状、つまり第1の舌片22は放射状に、第2の舌片24は湾曲した状態に復元して、フィードローラ5とリバースローラ10とにより収納空間に放出された紙幣Pの後端を叩く。
【0033】
このとき、第2の舌片24の先端は集積回転方向の45度前方に位置しているので、第2の舌片24の先端は45度分先行して回転し、その先端が最初に紙幣Pの後端を叩き、次いで、第1の舌片22の先端が紙幣Pの後端を叩く。
同様にして、後続する各舌片が紙幣Pの後端を叩き、紙幣Pの後端を叩き落し、これを集積されている紙幣Pに押え付けながら正面板2a側に引寄せ、ステージ4上の紙幣Pを整列させる。
【0034】
そして、第1の舌片ローラ21の後尾の第1の舌片22が紙幣Pを叩き終えた後に、リバースローラ軸10aが更に回転して、位置検出センサ14が位置決め部材13の被検出部13aを検出すると、駆動源が停止しリバースローラ軸10aの回転が停止する。
このとき、第1および第2の舌片ローラ21、23の各第1および第2の舌片22、24は、図7(a)に示したストッパ26とハブ部21a、23aとの間に収容された状態に戻って停止する。
【0035】
このように、本実施例の集積動作においては、第2の舌片ローラ23の先頭の第2の舌片24が、ストッパ26による拘束が解除されたときに、その先端が45度分先行して回転するので、第1の舌片ローラ21の後尾の第1の舌片22が紙幣Pを叩き終えるまでの間に、180度の埴設範囲を超える実質225度の作動範囲で展開し、紙幣Pを叩き落して整列させることができ、部分的に舌片を埴設した部分舌片ローラであっても、正確な紙幣Pの集積を行うことができる。
【0036】
なお、上記した第2の舌片ローラ23の第2の舌片24の付根部の厚さや曲折部24bによる湾曲の度合を変更すれば、第2の舌片24のストッパ26による拘束の解除後の復元力を大きくしてその復元速度を速めることができ、45度を超える角度で先行回転させることが可能になる。
以下に、本実施例の紙幣分離集積機構28による紙幣Pの分離繰出動作および集積動作について説明する。
【0037】
なお、以下に説明する各動作は、図示しない記憶部に格納されたプログラムによって、図示しない制御部が実行するものである。
紙幣Pの分離繰出時には、リバースローラ軸10aは、それに固定された位置決め部材13の被検出部13aが位置検出センサ14で検出された角度位置で停止し、第1および第2の舌片22、24は、図7(a)に示した搬送路16に突出しない状態で、搬送路16から退避している。
【0038】
位置検出センサ14が位置決め部材13の被検出部13aを検出していることを確認した制御部は、ステージ4を上昇させて、ステージ4上に集積された紙幣Pの最上位の紙幣Pをピッカローラ6に所定の押圧力で押圧する。
最上位の紙幣Pをピッカローラ6に押圧した制御部は、フィードローラ5を図8に矢印で示す繰出回転方向に回転させ、その回転を駆動ベルト9によりピッカローラ6に伝えて、ピッカローラ6をフィードローラ5と同方向、つまり繰出回転方向に回転させ、紙幣Pをステージ4上から繰出して、搬入搬出口3に設けられたフィードローラ5側へ搬送する。
【0039】
このとき、リバースローラ軸10aは、ワンウェイクラッチ12の空転によって回転が伝わらないので、リバースローラ10並びに第1および第2の舌片ローラ21、23は回転せず、第1および第2の舌片22、24の退避状態が維持される。
そして、フィードローラ5側に搬送された紙幣Pは、回転を停止したリバースローラ10により1枚に分離され、繰出回転方向に回転するフィードローラ5によって搬送路16へ繰出され、図示しない搬送手段により搬送されていく。
【0040】
紙幣Pの集積時には、位置検出センサ14が位置決め部材13の被検出部13aを検出していることを確認した制御部は、ステージ4を下降させ、ステージ4上に集積された紙幣Pの最上位の紙幣Pを上面検出センサ19が検出しなくなったときに停止させ、フィードローラ5を図9に矢印Aで示す方向に回転させる。
このとき、リバースローラ軸10aに、ワンウェイクラッチ12を介して回転が伝えられ、リバースローラ10並びに第1および第2の舌片ローラ21、23は、図9に矢印Bで示す集積回転方向に回転し、図7を用いて説明したように、第1および第2の舌片ローラ21、23の第1および第2の舌片22、24が実質的に225度の範囲で展開する。
【0041】
この状態で、紙幣Pが搬送路16を搬送されてくると、その紙幣Pはフィードローラ5とリバースローラ10とに挟持され、フィードローラ5とリバースローラ10の回転により紙幣収納庫1の収納空間に放出される。
そして、収納空間に放出された紙幣Pは、ビルストッパ18に衝突してステージ4の方向へ落下する。
【0042】
このとき、紙幣Pの後端は、図7(c)に示したように、第1および第2の舌片22、24の先端で実質的に225度の範囲で叩かれ、ステージ4上の紙幣Pに押え付けられて後続の紙幣Pの集積の妨げにならないように整列させられる。
紙幣Pの集積を終えた制御部は、位置検出センサ14の出力を監視しながら待機し、位置検出センサ14が位置決め部材13の被検出部13aを検出した信号を出力したときに、駆動源を停止させ、第1および第2の舌片ローラ21、23の第1および第2の舌片22、24をストッパ26とハブ部21a、23aとの間に収容した状態で停止させる。
【0043】
このように、本実施例の紙幣分離集積機構28においては、集積する紙幣の後端を叩いて整列させる場合に、第1および第2の舌片22、24を部分的に埴設した第1および第2の舌片ローラ21、23の回転軸(本実施例では、リバースローラ軸10a)の回転を制御するのみで、第1および第2の舌片ローラ21、23の各第1および第2の舌片22、24を、分離繰出動作の妨げにならないように退避させることができ、舌片ローラを退避させるための専用の退避機構等を省略することができ、簡素な構成で安価な紙幣分離集積機構28を実現することができる。
【0044】
また、第1および第2の舌片22、24を部分的に埴設した第1および第2の舌片ローラ21、23において、第2の舌片24の先端を集積回転方向の前方に位置させて、第1の舌片22に対して意図的に先行させるので、収納空間に放出された紙幣Pを叩き落したり、集積した紙幣Pが浮き上がってくるのを押える効果を高めることが可能になり、後続する紙幣Pの追突によるジャム等の集積不良の発生を防止することができ、紙幣Pをステージ4上に正確に整列させて集積することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施例では、ハブ部から放射状に伸長する第1の舌片を部分的に埴設した第1の舌片ローラと、ハブ部から伸長する放射状部から先端が紙幣Pの集積回転方向の前方に位置するように湾曲させた第2の舌片を部分的に埴設した第2の舌片ローラとを1組として、リバースローラ回転軸に一体に固定し、分離繰出時には、集積回転方向の先頭の舌片が紙幣Pの搬送路に突出しないように各舌片をストッパとハブ部との間に収容し、集積時にフィードローラとリバースローラとにより挟持され、搬入搬出口から放出された紙幣Pの後端を第1および第2の舌片で叩き落すようにしたことによって、第1および第2の舌片を部分的に埴設した第1および第2の舌片ローラを回転させる回転軸の回転を制御するのみで、第1および第2の舌片ローラの各舌片を、ストッパとハブ部との間に収容して分離繰出動作の妨げにならないように退避させることができ、簡素な構成で安価な紙幣分離集積機構を得ることができると共に、集積時に、ストッパによる拘束が解除された第2の舌片ローラの先頭の第2の舌片の先端を、第1の舌片に先行させて回転させて、部分的に埴設された第1および第2の舌片の実質的な作動範囲を拡大することができ、放出された紙幣Pの叩き落しや、集積した紙幣Pの浮き上りを容易に押えることができ、後続紙幣の追突による集積不良の発生を防止して、紙幣Pをステージ上に正確に整列させて集積することができる。
【実施例2】
【0046】
以下の説明においては、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10において、31は舌片ローラであり、ハブ部31aの外周面に、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料で形成された第1の舌片22および第2の舌片24を組合せて部分的に埴設したローラであって、ネジ等でリバースローラ軸10aに固定され、図10に矢印で示すリバースローラ軸10aの集積回転方向の回転に伴って回転し、リバースローラ軸10aの停止に伴って回転を停止する。
【0047】
また、ガイド板15a、15bおよび正面板2aには、舌片ローラ31の回転時に、その第1および第2の舌片22、24の、搬送路16内および紙幣収納庫1の紙幣Pの収納空間への進入を妨げないように、それらの先端の回転軌跡より大きい開口を有する窓部または切欠もしくはスリットが設けられている。
本実施例の第1の舌片22および第2の舌片24は、上記実施例1と同様の形状に成形され、図11に示すように、ハブ部31aの外周面に設定された埴設範囲(本実施例では、180度)の、集積回転方向の先頭側に第2の舌片24を、後尾側に第1の舌片22を配置して等ピッチで複数(本実施例では、第2の舌片24は2枚、第1の舌片22は3枚、合計5枚)埴設される。
【0048】
なお、第2の舌片24および第1の舌片22の配置は、埴設範囲の集積回転方向の先頭に第2の舌片24を、後尾に第1の舌片22を配置して、この間に第2の舌片24または第1の舌片22を等ピッチで配置すれば足り、これらの埴設の順はどのようであってもよい。
本実施例の舌片ローラ31は、図2に示した、実施例1の第1および第2の舌片ローラ21、23と同じ位置に配置されるが、舌片ローラ31とリバースローラ10との位置関係は、これに限定されるものではない。
【0049】
本実施例のストッパ26は、上記実施例1と同様に配置され、リバースローラ軸10aの回転の停止時に、舌片ローラ31の第1および第2の舌片22、24が埴設されていないハブ部31aの部分、つまり埴設範囲以外のハブ部31aの外周面を、搬入搬出口3の方向に向けて停止させたときに、集積回転方向の先頭の舌片(本実施例では、第2の舌片24)が紙幣Pの搬送路16に突出しないように、先頭側の舌片を撓ませてハブ部31aとの間に収容し、搬送路16および紙幣収納庫1の収納空間の外側に退避させる。
【0050】
本実施例の紙葉類分離集積機構としての紙幣分離集積機構28は、上記したフィードローラ5、ピッカローラ6、リバースローラ10、ガイド板15a、舌片ローラ31、並びにストッパ26等で構成される。
上記の構成の作用について説明する。
図12は実施例2の各舌片の動作状態を示す拡大説明図である。
【0051】
リバースローラ軸10aの回転の停止時には、図12(a)に示すように、舌片ローラ31は、そのハブ部31aの埴設範囲以外の外周面を搬入搬出口3の方向に向け、各第1および第2の舌片22、24を、ストッパ26とハブ部31aとの間に撓ませた状態で収容し、第1および第2の舌片22、24を搬送路16および紙幣収納庫1の収納空間の外側に退避させた状態で停止している。
【0052】
このとき、位置検出センサ14は、位置決め部材13の被検出部13aを検出している。
図12(a)に示す状態から、集積動作のために図示しない駆動源により駆動される駆動ギア11の回転力がワンウェイクラッチ12を介してリバースローラ軸10aに伝わると、リバースローラ軸10aが、図12(b)に矢印で示す集積回転方向に回転し、舌片ローラ31の各第1および第2の舌片22、24が矢印の方向に回転し、先頭の第2の舌片24の一部が搬送路16内に突出し始める。
【0053】
そして、図12(c)に示すように、舌片ローラ31の集積回転方向の先頭の第2の舌片24が、ストッパ26による拘束を解除され、その弾性により元の形状、つまり湾曲した状態に復元して、フィードローラ5とリバースローラ10とにより収納空間に放出された紙幣Pの後端を叩く。
このとき、第2の舌片24の先端は集積回転方向の45度前方に位置しているので、第2の舌片24の先端は45度分先行して回転し、その先端が紙幣Pの後端を叩く。
【0054】
同様にして、後続する各舌片が紙幣Pの後端を叩き、紙幣Pの後端を叩き落し、これを集積されている紙幣Pに押え付けながら正面板2a側に引寄せ、ステージ4上の紙幣Pを整列させる。
そして、舌片ローラ21の後尾の第1の舌片22が紙幣Pを叩き終えた後に、リバースローラ軸10aが更に回転して、位置検出センサ14が位置決め部材13の被検出部13aを検出すると、駆動源が停止しリバースローラ軸10aの回転が停止する。
【0055】
このとき、舌片ローラ31の各第1および第2の舌片22、24は、図12(a)に示したストッパ26とハブ部31aとの間に収容された状態に戻って停止する。
このように、本実施例の集積動作においては、上記実施例1と同様に、舌片ローラ31の先頭の第2の舌片24が、ストッパ26による拘束が解除されたときに、その先端が45度分先行して回転するので、舌片ローラ31の後尾の第1の舌片22が紙幣Pを叩き終えるまでの間に、180度の埴設範囲を超える実質225度の作動範囲で展開し、紙幣Pを叩き落して整列させることができ、部分的に舌片を埴設した部分舌片ローラであっても、正確な紙幣Pの集積を行うことができる。
【0056】
本実施例の紙幣分離集積機構28による紙幣Pの分離繰出動作および集積動作は、上記実施例1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、
第2の舌片を集積回転方向の先頭に埴設すると共に、第1の舌片を後尾に埴設し、この間に第1の舌片と第2の舌片を等ピッチで配置した舌片ローラをリバースローラ回転軸に一体に固定し、分離繰出時には、集積回転方向の先頭の舌片が紙幣Pの搬送路に突出しないように各舌片をストッパとハブ部との間に収容し、集積時にフィードローラとリバースローラとにより挟持され、搬入搬出口から放出された紙幣Pの後端を第1および第2の舌片で叩き落すようにしたことによって、より簡素な構成で紙幣分離集積機構の低コスト化を図ることができると共に、集積時に、全ての舌片が同じ角度範囲で紙幣Pの後端を叩き落すことができ、後続紙幣の追突による集積不良の発生を防止して、紙幣Pのステージ4上への集積をより安定させることができる。
【実施例3】
【0057】
以下の説明においては、上記実施例1および実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図13において、41は舌片ローラであり、ハブ部41aの外周面に、天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料で形成された第1の舌片22および第2の舌片42を組合せて部分的に埴設したローラであって、ネジ等でリバースローラ軸10aに固定され、図13に矢印で示すリバースローラ軸10aの集積回転方向の回転に伴って回転し、リバースローラ軸10aの停止に伴って回転を停止する。
【0058】
また、ガイド板15a、15bおよび正面板2aには、舌片ローラ41の回転時に、その第1および第2の舌片22、42の、搬送路16内および紙幣収納庫1の紙幣Pの収納空間への進入を妨げないように、それらの先端の回転軌跡より大きい開口を有する窓部または切欠もしくはスリットが設けられている。
本実施例の第1の舌片22は、上記実施例1と同様の形状に成形される。
【0059】
本実施例の第2の舌片42は、図14に示すように、ハブ部41aの外周面から半径方向外側に放射状に伸長する真直の可撓性薄板部材、つまり上記実施例1の第1の舌片22と同様の形状のストレート舌片42aと、ハブ部41aの外周面から半径方向外側に放射状に伸長する放射状部から、曲折部を介して、先端部の先端が、所定の角度(本実施例では、45度)で集積回転方向の前方に位置するように湾曲する可撓性薄板部材、つまり上記実施例1の第2の舌片24と同様の形状のフォワード舌片42bとを、ストレート舌片42aの途中、例えば共通する放射状部から分岐して成形される。
【0060】
本実施例の第1の舌片22および第2の舌片42は、図14に示すように、ハブ部41aの外周面に設定された埴設範囲(本実施例では、180度)の、集積回転方向の先頭側にフォワード舌片42bを前方にした第2の舌片42を、後尾側に第1の舌片22を配置して等ピッチで複数(本実施例では、第2の舌片42は1枚、第1の舌片22は4枚、合計5枚)埴設される。
【0061】
なお、第2の舌片42および第1の舌片22の配置は、埴設範囲の集積回転方向の先頭に第2の舌片42を、後尾に第1の舌片22を配置して、この間に第2の舌片42または第1の舌片22を等ピッチで配置すれば足り、これらの埴設の順はどのようであってもよい。
また、フォワード舌片42bとストレート舌片42aとは、ストレート舌片42aの途中から分岐させて形成するとして説明したが、実施例1の第2の舌片24と第1の舌片22とを第2の舌片24を集積回転方向の前方にして同じ場所に埴設するようにしてもよい。
【0062】
本実施例の舌片ローラ41は、上記実施例2の場合と同様に配置される。
本実施例のストッパ26は、上記実施例1と同様に配置され、リバースローラ軸10aの回転の停止時に、舌片ローラ41の第1および第2の舌片22、42が埴設されていないハブ部41aの部分、つまり埴設範囲以外のハブ部41aの外周面を、搬入搬出口3の方向に向けて停止させたときに、集積回転方向の先頭の舌片(本実施例では、第2の舌片42)が紙幣Pの搬送路16に突出しないように、先頭側の舌片を撓ませてハブ部41aとの間に収容し、搬送路16および紙幣収納庫1の収納空間の外側に退避させる。
【0063】
本実施例の紙葉類分離集積機構としての紙幣分離集積機構28は、上記したフィードローラ5、ピッカローラ6、リバースローラ10、ガイド板15a、舌片ローラ41、並びにストッパ26等で構成される。
上記の構成の作用について説明する。
図15は実施例3の各舌片の動作状態を示す拡大説明図である。
【0064】
リバースローラ軸10aの回転の停止時には、図15(a)に示すように、舌片ローラ41は、そのハブ部41aの埴設範囲以外の外周面を搬入搬出口3の方向に向け、各第1および第2の舌片22、42を、ストッパ26とハブ部41aとの間に撓ませた状態で収容し、第1および第2の舌片22、42を搬送路16および紙幣収納庫1の収納空間の外側に退避させた状態で停止している。
【0065】
このとき、位置検出センサ14は、位置決め部材13の被検出部13aを検出している。
図15(a)に示す状態から、集積動作のために図示しない駆動源により駆動される駆動ギア11の回転力がワンウェイクラッチ12を介してリバースローラ軸10aに伝わると、リバースローラ軸10aが、図15(b)に矢印で示す集積回転方向に回転し、舌片ローラ41の各第1および第2の舌片22、42が矢印の方向に回転し、先頭の第2の舌片42のフォワード舌片42bの一部が搬送路16内に突出し始める。
【0066】
そして、図15(c)に示すように、舌片ローラ41の集積回転方向の先頭の第2の舌片42のフォワード舌片42bとストレート舌片42aとが、ストッパ26による拘束を解除され、その弾性により元の形状、つまりストレート舌片42aは放射状に、フォワード舌片42bは湾曲した状態に復元して、フィードローラ5とリバースローラ10とにより収納空間に放出された紙幣Pの後端を叩く。
【0067】
このとき、第2の舌片42のフォワード舌片42bの先端は集積回転方向の45度前方に位置しているので、第2の舌片42のフォワード舌片42bの先端は45度分先行して回転し、その先端が最初に紙幣Pの後端を叩き、次いで、第2の舌片42のストレート舌片42aの先端が紙幣Pの後端を叩く。
その後に、後続する各第1の舌片22が紙幣Pの後端を叩き、紙幣Pの後端を叩き落し、これを集積されている紙幣Pに押え付けながら正面板2a側に引寄せ、ステージ4上の紙幣Pを整列させる。
【0068】
そして、舌片ローラ21の後尾の第1の舌片22が紙幣Pを叩き終えた後に、リバースローラ軸10aが更に回転して、位置検出センサ14が位置決め部材13の被検出部13aを検出すると、駆動源が停止しリバースローラ軸10aの回転が停止する。
このとき、舌片ローラ41の各第1および第2の舌片22、42は、図15(a)に示したストッパ26とハブ部41aとの間に収容された状態に戻って停止する。
【0069】
このように、本実施例の集積動作においては、上記実施例1と同様に、舌片ローラ41の先頭の第2の舌片42のフォワード舌片42bが、ストッパ26による拘束が解除されたときに、その先端が45度分先行して回転するので、舌片ローラ41の後尾の第1の舌片22が紙幣Pを叩き終えるまでの間に、180度の埴設範囲を超える実質225度の作動範囲で展開し、紙幣Pを叩き落して整列させることができ、部分的に舌片を埴設した部分舌片ローラであっても、正確な紙幣Pの集積を行うことができる。
【0070】
本実施例の紙幣分離集積機構28による紙幣Pの分離繰出動作および集積動作は、上記実施例1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、フォワード舌片を集積回転方向の前方にした第2の舌片を集積回転方向の先頭に埴設すると共に、第1の舌片を後尾に埴設し、この間に第1の舌片と第2の舌片を等ピッチで配置した舌片ローラをリバースローラ回転軸に一体に固定し、分離繰出時には、集積回転方向の先頭の舌片が紙幣Pの搬送路に突出しないように各舌片をストッパとハブ部との間に収容し、集積時にフィードローラとリバースローラとにより挟持され、搬入搬出口から放出された紙幣Pの後端を第1および第2の舌片で叩き落すようにしたことによって、集積時に、フォワード舌片が紙幣Pの後端を叩いた後に、続いてストレート舌片で紙幣Pの後端を叩くことができ、紙幣Pの後端を叩けない角度範囲を実施例1より狭めて紙幣Pのステージ上への集積を更に安定させることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 紙幣収納庫
2a 正面板
2b 背面板
2c 側面板
2d 天板
2e 底板
3 搬入搬出口
4 ステージ
5 フィードローラ
5a フィードローラ軸
6 ピッカローラ
6a ピッカローラ軸
7 ピッカアーム
8 歯付プーリ
9 駆動ベルト
10 リバースローラ
10a リバースローラ軸
11 駆動ギア
12 ワンウェイクラッチ
13 位置決め部材
13a 被検出部
14 位置検出センサ
15a、15b ガイド板
16 搬送路
17 紙幣検出センサ
18 ビルストッパ
19 上面検出センサ
21 第1の舌片ローラ
21a、23a、31a、41a ハブ部
22 第1の舌片
23 第2の舌片ローラ
24、42 第2の舌片
24a 放射状部
24b 曲折部
24c 先端部
26 ストッパ
28 紙幣分離集積機構
31、41 舌片ローラ
42a ストレート舌片
42b フォワード舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を収納する紙葉類収納庫と、前記紙葉類収納庫の搬入搬出口に設けられたフィードローラと、前記フィードローラと対向するリバースローラとを備えた紙葉類分離集積機構において、
ハブ部から放射状に伸長する第1の舌片を、部分的に埴設した第1の舌片ローラと、
ハブ部から放射状に伸長する放射状部から先端が紙葉類を集積するときの集積回転方向の前方に位置するように湾曲させた第2の舌片を、部分的に埴設した第2の舌片ローラとを設け、
前記フィードローラと前記リバースローラとにより挟持され、前記搬入搬出口から放出された紙葉類の後端を、前記第1および第2の舌片で叩き落すことを特徴とする紙葉類分離集積機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の舌片と前記第2の舌片とを、前記ハブ部の同じ角度範囲に埴設し、前記第1の舌片と前記第2の舌片とを同位相にして1組としたことを特徴とする紙葉類分離集積機構。
【請求項3】
紙葉類を収納する紙葉類収納庫と、前記紙葉類収納庫の搬入搬出口に設けられたフィードローラと、前記フィードローラと対向するリバースローラとを備えた紙葉類分離集積機構において、
ハブ部から放射状に伸長する第1の舌片と、
ハブ部から放射状に伸長する放射状部から先端が紙葉類を集積するときの集積回転方向の前方に位置するように湾曲させた第2の舌片とを設け、
前記フィードローラと前記リバースローラとにより挟持され、前記搬入搬出口から放出された紙葉類の後端を、前記第1および第2の舌片で叩き落すことを特徴とする紙葉類分離集積機構。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2の舌片を前記ハブ部の前記集積回転方向の先頭に埴設すると共に、前記第1の舌片を前記集積回転方向の後尾に埴設し、前記先頭と後尾との間に、前記第1の舌片または前記第2の舌片を配置したことを特徴とする紙葉類分離集積機構。
【請求項5】
紙葉類を収納する紙葉類収納庫と、前記紙葉類収納庫の搬入搬出口に設けられたフィードローラと、前記フィードローラと対向するリバースローラとを備えた紙葉類分離集積機構において、
ハブ部から放射状に伸長する第1の舌片と、
ハブ部から放射状に伸長する放射状に伸長する舌片と、前記放射状の舌片から分岐して先端が紙葉類を集積するときの集積回転方向の前方に位置するように湾曲させた舌片とを有する第2の舌片とを設け、
前記フィードローラと前記リバースローラとにより挟持され、前記搬入搬出口から放出された紙葉類の後端を、前記第1および第2の舌片で叩き落すことを特徴とする紙葉類分離集積機構。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2の舌片を、前記湾曲させた舌片を前記集積回転方向の前方にして先頭に埴設すると共に、前記第1の舌片を前記集積回転方向の後尾に埴設し、前記先頭と後尾との間に、前記第1の舌片または前記第2の舌片を配置したことを特徴とする紙葉類分離集積機構。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
前記集積回転方向の先頭の舌片が紙葉類の搬送路に突出しないように、各舌片を前記ハブ部との間に収容するストッパ手段を設け、
前記リバースローラの回転軸が停止しているときは、前記ストッパ手段により各舌片を収容して搬送路から退避させておくことを特徴とする紙葉類分離集積機構。
【請求項8】
請求項7において、
前記フィードローラと前記リバースローラとにより紙葉類を分離して、前記搬入搬出口から搬出するときは、
舌片が埴設されていない前記ハブ部の部分を前記搬入搬出口に向け、前記ストッパ手段により各舌片を収容して搬送路から退避させた状態で停止させることを特徴とする紙葉類分離集積機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−173759(P2010−173759A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15980(P2009−15980)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】