説明

紙葉類取出装置及びそれを用いた紙葉類処理装置

【課題】小型紙葉類がサブチャンバの取出面に貼り付き吸引不足が発生し紙葉類の搬送遅延が発生するのを防止する紙葉類取出装置及びそれを用いた紙葉類処理装置を提供すること。
【解決手段】紙葉類を吸引するメインチャンバ21と、このメインチャンバで吸引された紙葉類を吸着して搬送する取出ベルト22と、この取出ベルトの搬送上流に配置されたサブチャンバ23と、このサブチャンバ内の吸引圧力を検知する圧力センサ23cを備え、取出位置検知センサが取出面にある紙葉類を検知すると、上記メインチャンバ及びサブチャンバが起動し、この起動によって、上記サブチャンバの圧力センサによる吸引圧力が、所定の値を所定の時間継続して超えたとき、当該サブチャンバによる吸引を止め、かつ、アシストローラの駆動を停止してフリーラン状態にする制御手段と、を備え、次の紙葉類の取り出しの際にサブチャンバの取出面に貼り付いた先の小型紙葉類を取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類取出装置及びそれを用いた紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物等の紙葉類を区分処理する紙葉類処理装置は、供給部に供給された紙葉類の最先端の紙葉類から1枚ずつ分離して取り出す。取り出された紙葉類は、搬送路によって搬送し、当該紙葉類の住所あるいは郵便番号の画像をスキャナで読み取る。この読み取った画像を認識部で認識し住所又は郵便番号からなる配達区分情報を取得する。この取得した配達区分情報に基づき当該紙葉類を集積部に区分集積する。集積部は、配達区分情報に基づく複数の集積スタッカで構成されており、当該紙葉類の配達区分情報に基づいて当該集積スタッカに集積される。
【0003】
しかしながら、郵便物等の紙葉類は、当該区分機で取り扱う形状、厚さ、重量などが設定されているが、その範囲も広く、形状の異なる紙葉類が混在して供給されると、当該紙葉類を分離して取り出す方法として用いられている吸引取出方法では、例えば、小型の紙葉類は当該取出装置の取出口に滞留して取り出されない場合がある。
【0004】
図8は、従来の取出部120の動作を説明する図である。この図を用いて小型の紙葉類が取出口に滞留する理由を説明する。当該紙葉類の取り扱い形状の範囲が広いため、従来、上述した吸引取出装置とて、メインチャンバ121によって吸引し、当該吸引された紙葉類を当該メインチャンバ121に組み込まれた取出ベルト122によって搬送方向下流に送り出している。
【0005】
しかしながら、小型の紙葉類でこのメインチャンバ121及び取出しベルト122による吸引取出しが困難な場合には、当該メインチャンバ121の直近上流に配置されたサブチャンバ123によって吸引を行い、当該サブチャンバ123によって吸引した紙葉類を、サブチャンバ123の近傍上流に配置されたアシストローラ125によってメインチャンバ121の方向に取り出し(送出し)ているが、小型の紙葉類でその搬送方向先端がメインチャンバ121によって吸引されない場合には、サブチャンバ123によって吸引されているため紙葉類がサブチャンバに貼りついてしまう場合があった。図示した紙葉類P2は貼りついた状態を示している。
【0006】
なお、上述した吸引取り出しに関する紙葉類取出装置知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−182629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、小型の紙葉類でメインチャンバ及び取出ベルトに届かない紙葉類が、サブチャンバによって吸引され当該サブチャンバに貼りついてしまい取り出されない場合があるという課題がある。また、サブチャンバに貼り付いた紙葉類があると、次の紙葉類の取り出しがメインチャンバによる吸引で取出ベルトに吸着することになるため、全体として紙葉類の取り出しスピードが落ちてしまい、紙葉類の搬送遅延が発生するという課題があった。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、先の紙葉類がサブチャンバの取出面にあることを取出位置検知センサによって検知すると共に、当該サブチャンバの吸引圧力が所定の吸引圧力を超えたことを圧力センサによって検知し、当該所定の吸引圧力を超えている時間が所定の時間継続している場合には、サブチャンバの取出面に紙葉類が貼り付いているとみなし、サブチャンバの吸引を停止し、アシストローラをフリーラン状態にし、当該紙葉類(先の紙葉類)の次の紙葉類(後の紙葉類)が正常に取り出された場合に、この次の紙葉類(後の紙葉類)に連れられて当該紙葉(先の紙葉類)を取り出すことができる紙葉類取出装置及びそれを用いた紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類取出装置は、立位状態の紙葉類が載置されたフロアベルトを駆動することによって当該紙葉類の最先端の紙葉類から順番に取り出す紙葉類取出装置であって、前記フロアベルトによって搬送される紙葉類を吸引する第1の吸引手段と、この第1の吸引手段で吸引された紙葉類を、貫通穴を有する取出ベルトに吸着し、当該取出ベルトの移動に伴って搬送方向に取り出す第1の取出手段と、この第1の取出手段の搬送上流に配置され、紙葉類を吸引する第2の吸引手段と、この第2の吸引手段の吸引圧力を検知する圧力センサと、前記第1の吸引手段又は前記第2の吸引手段で吸引された紙葉類の取り出しを補助するアシストローラを駆動制御することにより当該紙葉類を搬送方向に取り出す第2の取出手段と、前記フロアベルトによって搬送された紙葉類が前記第1の吸引手段又は第2の吸引手段の取出位置にあることを検知する取出位置検知センサと、この取出位置検知センサが紙葉類を検知したことにより、前記第1の吸引手段及び第2の吸引手段が起動され、この起動によって、前記圧力センサによって検知された吸引圧力が、所定の時間継続して所定の設定値を超えたとき、当該第2の吸引手段による吸引を停止し、かつ、前記第2の取出手段による駆動制御を停止してフリーラン状態にする制御手段と、を備え、前記第1の取出手段によって搬送方向に取り出せない小型紙葉類が前記第2の吸引手段によって吸引されたときに、当該小型紙葉類を搬送方向に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例に係る紙葉類取出装置を搭載した紙葉類処理装置の概略平面図
【図2】図1に示す紙葉類処処理装置に搭載された取出部の斜視図
【図3】図2に示す取出部の概略平面図
【図4】供給部に供給された紙葉類の最先端の紙葉類の搬送方向のサイズが短い場合の一例
【図5】図4に示す状態からさらに紙葉類が搬送され、搬送方向のサイズが短い紙葉類がメインチャンバによる取出面に到着した状態
【図6】小型紙葉類が左側に位置した状態でサブチャンバの取出面に到着した状態
【図7】実施例の動作を説明するタイミングチャート
【図8】従来の紙葉類取出部
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施例の紙葉類取出装置は、供給部に立位状態で供給された紙葉類がフロアベルトによって取出部に搬送されるとき、当該取出部を構成するメインチャンバによる吸引で当該メインチャンバに組み込まれている取出ベルトに吸着すると共に、直近上流に配置したサブチャンバ及びこのサブチャンバの直近上流に配置されたアシストローラによって当該紙葉類を取り出し、搬送部に搬送する。しかしながら、小型紙葉類が上記メインチャンバに届かないために、サブチャンバの吸引によって当該サブチャンバの取出面に貼り付く場合がある。本実施例では、当該サブチャンバ内にエアの圧力を測定する圧力センサを配置し、当該サブチャンバ内の空気圧を測定する。上記紙葉類が貼り付いた場合には、当該サブチャンバ内の空気圧が上昇するため、当該圧力センサによって当該空気圧を測定し、当該空気圧が所定の値を所定時間継続した場合には、紙葉類が貼り付いたものとみなして、サブチャンバの吸引を止め、上記アシストローラをフリーラン状態にすることにより、貼り付いた紙葉類を、次の紙葉類の取り出しの際に取り出す。
【0013】
以下図面を参照して、本発明の実施例を説明する。なお、アシストローラをフリーラン状態にするとは、アシストローラの駆動を停止したことにより、正転又は逆転が可能な状態をいう。
【実施例】
【0014】
図1は、実施例に係る紙葉類取出装置を搭載した紙葉類処理装置100の概略平面図である。
【0015】
紙葉類処理装置(以下、装置と称する)100には、供給部10、取出部20、搬送部30、読取部40、搬送部50、搬送部60、段パス部70、区分部80及び集積部90などで構成される。
【0016】
供給部10は、操作員によって、処理される紙葉類がフロアベルト(メインフロアベルト及びサブフロアベルトの総称)上に立位状態で供給される。フロアベルトは、供給された紙葉類を取出部20に向かって搬送する。なお、この供給部10には、係員が当該紙葉類処理装置100を操作するのに必要なオペレートパネル(操作表示部)15が配置されている。
【0017】
取出部20は、本実施例に係る紙葉類取出装置で構成される。この紙葉類取出部には、供給部から大小混在した紙葉類が供給される。例えば郵便物の場合、はがきサイズの紙葉類から封書状の紙葉類が混在して供給される。また、封書にあっては、定型郵便物の範囲で、各種サイズの封書が用いられると共に、その内容物により厚さも異なることから、本実施例の紙葉類処理装置は、形状が定型郵便物など、設定された範囲内であり、かつ、その紙葉類の厚さが例えば郵便物の場合の設定のように5mm以下であれば、取り扱い可能とされる。従って、当該紙葉類取出装置は、取り扱い範囲内の最先端の紙葉類から1個ずつ他の紙葉類から分離して取り出す必要がある。
【0018】
搬送部30は、搬送ローラ及びこの搬送ローラに掛け回された搬送ベルトで構成される。このように構成された搬送路30には、機構検知部36及び排除集積部37が設けられている。
【0019】
機構検知部36は、取り出された紙葉類の中の異物混入紙葉類や定型外紙葉類などの紙葉類を検出して排除集積部37へ排除する。排除されなかった供給可能な紙葉類は、読取部40に搬送される。
【0020】
読取部40は、バーコード読取部及びOCRスキャナ部などで構成される。バーコード読取部は、郵便物に印刷された配達区分情報としてのバーコードを読み取る。また、OCRスキャナ部は、当該郵便物に記載された郵便番号及び住所などの配達区分情報を読み取り認識する。この認識結果は配達区分情報として段パス部70及び区分部80に出力される。
【0021】
搬送部50及び搬送部60は、搬送ローラ及びこの搬送ローラに掛け回された搬送ベルトで構成され、郵便物を挟持した状態で搬送する。図では、主に郵便物を搬送することが主要な機能である搬送部50、60を特に図示してあるが、そのたの部分、例えば取出部20と排除集積部37を接続する部分も、集積部90内部も当該郵便物を搬送する搬送ローラ及び搬送ベルトで構成された搬送路を有しており、当該郵便物を搬送するのは言うに及ばない。
【0022】
段パス部70は、集積部90を構成するスタッカの構成により、上述した配達区分情報により集積するスタッカが位置する段を設定する(段パス設定と称する。)。例えば、実施例の集積部は4段(A段、B段、C段、D段)4列からなる16個のスタッカを1個のモジュールとして搬送方向に複数のモジュールが連結される構成になっている。このように構成することにより、利用形態によりスタッカの数が増減した、場合に柔軟に対応することができる。
【0023】
区分部80は、上記配達区分情報により設定された最終集積スタッカに当該郵便物を収納するようにスタッカの入り口に配置されたゲート(図示しない)を制御する。
【0024】
以上の処理の結果、搬送される郵便物は当該郵便物に記載された配達区分情報に基づいて設定されたスタッカに集積される。
【0025】
なお、読取部40で認識できなかった紙葉類の配達区分情報を示す画像情報がビデオコーディングシステム(Video Coding System)(以下、VCSと称する。)に送信され、当該画像情報に基づいて操作員によって配達区分情報が入力されると、オンライン処理中にIJP(Ink Jet Printer)でバーコードが印字されて上記集積部9に集積される。なお、当該機能の部分は、本発明の趣旨とするところではないので、その詳細な説明を省略する。
【0026】
装置100では、供給部10 に紙葉類をセットし、オペレートパネル1aのスタートスイッチ(図示しない)をオンすることによって装置100を運転させると取出部20から紙葉類が取り出される。
【0027】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置100に搭載された取出部20の斜視図である。図3は、図2に示す取出部の概略平面図である。
【0028】
供給部10はメインフロアベルト11(11a、11bの総称)、このメインフロアベルト11の対向する位置に配置されたサブフロアベルト12(12a、12bの総称)、粗密検知センサPF11などを有して構成される。また、上記メインフロアベルト11、サブフロアベルト12及び背面フロアベルトは駆動モータ(図示しない)及びそれを制御する制御部26によって制御される。
【0029】
粗密検知センサPF11は、紙葉類の搬送方向(載置方向)に配置した反射光を受光するラインセンサで構成され、立位状態でメインフロアベルト11及びサブフロアベルト上に載置されている紙葉類の載置状態が疎状態か密状態かを検知する。その判定方法は、粗密検知センサPF11の出力信号を積分し、積分値が大の場合は反射光量が大きいため、密であると判定され、積分値が小の場合は疎であると判定することにより行う。また、本実施例のように、当該検知位置に紙葉類が存在すかどうかの検知を兼ねることも可能である。粗密検知センサであっても紙葉類を検知することに変わりがないからである。
【0030】
なお、従来、上記粗密検知センサPF11の出力信号に応じて上記フロアベルト(メインフロアベルト11及びサブフロアベルト12の総称)の搬送制御を行っているが、この搬送制御は本発明の範囲ではないため、その説明は行わない。
【0031】
取出部20は、メインチャンバ21、取出ベルト22、サブチャンバ23、補助チャンバ24及びアシストローラ25などを有して構成される。
【0032】
搬送部30は、取込ローラ31、分離ローラ32及び複数の搬送ローラ33(33a、33bの総称)並びにこれら複数の搬送ローラ33に掛け回された搬送ベルト34で構成される。
【0033】
また、上記搬送ローラ33は、駆動モータ(図示しない)及びそれを制御する制御部26によって制御される。
【0034】
以上の構成において、紙葉類は、フロアベルト(メインフロアベルト11及びサブフロアベルト12の総称)によって取出部20の取出面まで搬送される。取出面21bに到達した紙葉類は、取出面21bに設けられているメインチャンバ21によって吸引され、複数の貫通穴を有する取出ベルト22に吸着される。取出ベルト22は、図示矢印A方向に回転しており、この回転に連れられて、載置された紙葉類Pの最先端の紙葉類が1枚取り出され、下流に設けられた取出ローラ31によって取り出され、搬送ローラ33a、33bによって搬送路35に取り込まれ、搬送される。
【0035】
分離ローラ32は、メインチャンバ21によって複数枚の紙葉類が重なって取り込まれる重送が発生した際、先の紙葉類は搬送方向に搬送すると共に、後の紙葉類を分離するために逆回転する。この分離ローラ32の外周面には複数の穴が設けられており、上記メインチャンバ同様に負圧に保持されており、当該負圧により重送している紙葉類を吸着して逆方向に搬送する。この分離ローラに32による重送防止方法は従来からおこなわれており、その詳細は省略する。
【0036】
メインチャンバ21(第1の吸引手段)には、紙葉類を吸引するために空気を吸入する吸入穴21a、この吸入穴21aから吸入した空気を排出する排出口(図示しない)が設けられている。この空気の排出口は、外部に設けた空気吸引装置(図示しない)に接続され、当該空気吸引装置(図示しない)を駆動制御することにより当該紙葉類は吸引される。
【0037】
また、当該メインチャンバ21の前には当該メインチャンバ21の取出面21bに接して当該メインチャンバ21の周囲を回転する取出ベルト22が配置されている。この取出ベルト22には、複数の穴が設けられており、上記メインチャンバ21の吸入穴21aから吸引した空気は当該取出ベルト22の穴を通して当該取出面21b又はその近傍にある紙葉類を取出ベルト22に吸着する。
【0038】
サブチャンバ23(第2の吸引手段)には、紙葉類を吸引するために空気を吸入する吸入穴23a、この吸入穴23aから吸入した空気の空気圧を測定するための圧力センサ23c、及び吸入した空気の排出口(図示しない)が備えられている。圧力センサ23cは当該空気の排出口に配置され、この排出口は、外部に設けた空気吸引装置(図示しない)に接続され、当該空気吸引装置(図示しない)を駆動制御することにより当該紙葉類は吸引される。
【0039】
従って、当該空気が外部に設けた空気吸引装置(図示しない)によって吸引される際、当該サブチャンバ23に設けた空気の排出口から排出される空気の空気圧が測定される。
【0040】
上述したサブチャンバ23によって吸引された紙葉類は当該サブチャンバ23の搬送面23bに吸着する。このようにして、メインチャンバ21及びサブチャンバ23によって吸引された紙葉類は、メインチャンバ21による吸引で取出ベルト22に吸着した紙葉類を当該取出ベルト22が回転することにより搬送路30側に取り出される。
【0041】
補助チャンバ24は、メインチャンバ21及びサブチャンバ23による吸引を補助する。この補助チャンバ24は、例えば搬送方向のサイズが短い紙葉類が搬送基準に対して左側に位置している場合、詳細は後述するが、当該紙葉類はメインチャンバ21によっては吸引されない場合又は吸引が十分行われない場合がある。このような場合には、当該補助チャンバ24によって吸引及び取り出しを補助し、当該紙葉類をメインチャンバ21側に搬送し、当該取出ベルト22による通常の取り出しが行われるようにする。
【0042】
アシストローラ25は、回転ローラで構成され、このアシストローラ25を回転駆動することにより、メインチャンバ21及びサブチャンバ23によって吸引された紙葉類の搬送を補助する。これは、メインチャンバ21の周囲には取出ベルト22が配置されており、このメインチャンバ21で取り込んだ紙葉類は当該取出ベルト22によって搬送方向に送られるが、当該アシストローラ25には上述した取出ベルトは配置されていない。本来、紙葉類の取り出しは、メインチャンバ21によって達成するものであるため、サブチャンバ23はメインチャンバ21による吸引を補助するものとして配置したものであるため、このサブチャンバ21には取出しベルトを配置していない。構造が複雑になり、高価になるためである。従って、アシストローラ25は、これらメインチャンバ21及びサブチャンバ23による吸引取出を補助するために通常取り出しにおいては、上述したように回転駆動して用いられる。本発明の実施例に係る当該アシストローラ25をフリーラン状態で使用する方法を後述する。
【0043】
図4は、供給部10に供給された紙葉類の最先端の紙葉類の搬送方向の長さが短い紙葉類(小型紙葉類)場合の一例を示す。この紙葉類Pがフロアベルト11によって図示矢印B方向に搬送される状態を示す。
【0044】
図5は、図4に示す状態からさらに紙葉類Pが図示矢印B方向に搬送され、小型紙葉類がメインチャンバ21の取出面21bに到着した状態を示す。この場合、当該小型紙葉類は、透過センサPF09、PF12及び反射センサPF11、PF17の何れかで検知される。この検知によってメインチャンバ21及びサブチャンバ23が起動し、吸入穴21a、23aからエアの吸引が行われる。この結果、最先端の紙葉類Pは、取出ベルト22に吸着し、当該取出ベルト22の回転に伴って搬送下流に搬送され、取込ローラ31によって搬送路35上に取り込まれる。
【0045】
図6は、小型紙葉類P2が左側に位置した状態でサブチャンバ23の取出面23bに到着した状態を示す。先の紙葉類P1は、搬送部30の取込ローラ31によって取り出され、搬送ローラ33a、33bによって搬送路35に取り込まれ、搬送される。続けて搬送された紙葉類P2が上述して搬送方向に短い紙葉類(小型紙葉類)であり、かつ、左側に位置している場合を示す。
【0046】
この場合には、メインチャンバ21によって吸引されないため、取出ベルト22による吸引及び取り出しが行われず、当該位置に滞留した(貼り付いた)状態になる。すなわち、紙葉類を検知する反射センサPF11、PF17及び透過センサPF09、PF12の何れかでは紙葉類が検知されているため、当該紙葉類を取り出すための動作が行われる。この結果、メインチャンバ21及びサブチャンバ23による吸引が行われる。しかしながら、紙葉類23は取出ベルト22による取り出しが行われないため、当該紙葉類P2が当該位置に貼り付いた状態になる。従来は、このような状態が継続することにより当該紙葉類の取り出し不良が発生していた。
【0047】
本実施例では、この状態を改善するために、制御部(制御手段)26で次のような処理を行う。すなわち、当該紙葉類P2がサブチャンバ23によって吸引され、当該吸入穴23aが当該紙葉類P2によって塞がれるため、吸引圧力Puが上昇する。この吸引圧力Puの上昇により閾値として設定した吸引圧力Pusを超える状態が、閾値として設定した時間Tsを超えて継続した場合には(図7(2)参照)、サブチャンバ23(第2の吸引手段)による吸引を停止し、かつ、アシストローラ25(第2の取出手段)の駆動を停止してフリーランの状態にする(図7(3))。なお、フリーラン状態とは、上述したようにアシストローラの駆動を停止したことにより、正転又は逆転が可能な状態をいう。
【0048】
この結果、次の紙葉類P3の取り出しの際、当該紙葉類P2と紙葉類P3の接触摩擦により、当該紙葉類P2が紙葉類P3と共に取り込まれる。取り込まれた紙葉類P2は、分離ローラ32によって紙葉類P3と分離され、紙葉類P3に続いて紙葉類P2が搬送部30に取り込まれる。
【0049】
図7は、実施例の動作を説明するタイミングチャートである。図7(1)は、サブチャンバ23前の紙葉類の有無を示す一例である。図7(2)は、図7(1)に示す紙葉類の有無に伴うサブチャンバ23のエア圧力を示す。図7(3)は、アシストローラ25の動作タイミングを示す。
【0050】
上述したようにサブチャンバ23の前に紙葉類がある場合(タイミングA)、サブチャンバ23の吸引動作が開始され、吸引圧力Puが上昇し、当該紙葉類の吸引が行われる。その後、当該紙葉類がメインチャンバ21及び取出ベルト22による吸引取出しが行われて当該紙葉類が搬送される。その結果、吸引圧力Puが低下する。通常はこの状態が繰り返される。
【0051】
次に、図6に示す小型紙葉類P2がサブチャンバ23前で検知された場合(タイミングB)、上述したように当該紙葉類P2はメインチャンバ21及び取出ベルト22によって吸引取出しされないために、当該紙葉類P2がサブチャンバ23前に滞留する(図6に示す状態)。その結果、吸引が継続して行われる(図7(2)、タイミングB)。この吸引時間が、所定時間Tsを超えた場合、当該サブチャンバ23前に紙葉類が滞留していると見なし、サブチャンバ23の吸引を停止すると共に、アシストローラ25の駆動を停止してフリーラン状態にする(図7(3)、タイミングC)。
【0052】
この結果、サブチャンバ23前に滞留していた紙葉類P2は次の紙葉類P3がメインチャンバ21及び取出ベルト22によって吸引取出しされるのに連れて取り出される(図6参照)。上述した通りである。
【0053】
以上説明したように、本実施例では、サブチャンバ23の吸引圧力を検知する圧力検知センサを新たに設けることにより、当該サブチャンバ23の吸引圧力を検知し、所定の吸引圧力状態が所定時間Tsを超えて継続している場合には、当該吸引をやめ、アシストローラ25をフリーラン状態にすることにより、小型紙葉類がサブチャンバ23によって吸引されて滞留した場合あっても、当該小型紙葉類を正常に搬送することができるため、紙葉類の取り出しスピードの低下による搬送遅延を防止することができる紙葉類取出装置を提供できる。
【符号の説明】
【0054】
P 紙葉類
10 供給部
11a、11b メインフロアベルト
12a、12b サブフロアベルト
15 操作表示部
20 取出部
21 メインチャンバ
22 取出ベルト
23 サブチャンバ
24 補助チャンバ
25 アシストローラ
30、50、60 搬送部
40 読取部
70 段パス部
80 区分部
90 集積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立位状態の紙葉類が載置されたフロアベルトを駆動することによって当該紙葉類の最先端の紙葉類から順番に取り出す紙葉類取出装置であって、
前記フロアベルトによって搬送される紙葉類を吸引する第1の吸引手段と、
この第1の吸引手段で吸引された紙葉類を、貫通穴を有する取出ベルトに吸着し、当該取出ベルトの移動に伴って搬送方向に取り出す第1の取出手段と、
この第1の取出手段の搬送上流に配置され、紙葉類を吸引する第2の吸引手段と、
この第2の吸引手段の吸引圧力を検知する圧力センサと、
前記第1の吸引手段又は前記第2の吸引手段で吸引された紙葉類の取り出しを補助するアシストローラを駆動制御することにより当該紙葉類を搬送方向に取り出す第2の取出手段と、
前記フロアベルトによって搬送された紙葉類が前記第1の吸引手段又は第2の吸引手段の取出位置にあることを検知する取出位置検知センサと、
この取出位置検知センサが紙葉類を検知したことにより、前記第1の吸引手段及び第2の吸引手段が起動され、この起動によって、前記圧力センサによって検知された吸引圧力が、所定の時間継続して所定の設定値を超えたとき、当該第2の吸引手段による吸引を停止し、かつ、前記第2の取出手段による駆動制御を停止してフリーラン状態にする制御手段と、
を備え、
前記第1の取出手段によって搬送方向に取り出せない小型紙葉類が前記第2の吸引手段によって吸引されたときに、当該小型紙葉類を搬送方向に取り出すことができる紙葉類取出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1及び第2の吸引手段の駆動又は停止を行う吸引制御手段と、
前記アシストローラの駆動及び停止を行うアシストローラ制御手段と、
を備え、
前記取出位置検知センサが紙葉類を検知したことにより、前記第1の吸引手段、第2の吸引手段及び前記アシストローラ制御手段を駆動したにも拘らず、当該紙葉類が前記取出位置検知センサによって検知され、かつ、前記第2の吸引手段による吸引圧力が所定の設定値を超えた状態が所定の時間継続する場合に、前記第1の吸引手段及び前記第1の取出手段は駆動状態を継続し、前記第2の吸引手段による吸引を停止し、かつ、前記アシストローラの駆動を停止してフリーランにする請求項1記載の紙葉類取出装置。
【請求項3】
フロアベルト上に立位状態で載置された紙葉類を、当該フロアベルトを駆動することにより、当該紙葉類の端面を基準に搬送して取出部に供給する供給部と、
この供給手段で供給された紙葉類の最先端の紙葉類から1枚ずつ取り出す紙葉類取出装置と、
この取出手段で取り出された紙葉類が当該紙葉類取出装置に適用可能かを検知する機構検知部及びこの機構検知部で適用不可とされた紙葉類を集積する排除券集積部と、
この機構検知部で排除されなかった紙葉類の表面に記載された情報を読み取る読取部と、
この読取部によって読み取られた区分情報に基づいて当該紙葉類を集積する集積部と、
を備え、
前記紙葉類取出装置は、
前記フロアベルトによって搬送される紙葉類を吸引する第1の吸引手段と、
この第1の吸引手段で吸引された紙葉類を、貫通穴を有する取出ベルトに吸着し、当該取出ベルトの移動に伴って搬送方向に取り出す第1の取出手段と、
この第1の取出手段の搬送上流に配置され、紙葉類を吸引する第2の吸引手段と、
この第2の吸引手段の当該吸引圧力を検知する圧力センサと、
前記第1の吸引手段又は前記第2の吸引手段で吸引された紙葉類の取り出しを補助するアシストローラを駆動制御することにより当該紙葉類を搬送方向に取り出す第2の取出手段と、
前記フロアベルトによって搬送された紙葉類が前記第1の吸引手段又は第2の吸引手段の取出位置にあることを検知する取出位置検知センサと、
この取出位置検知センサが紙葉類を検知したことにより、前記第1の吸引手段及び第2の吸引手段が起動され、この起動によって、前記圧力センサによって検知された吸引圧力が、所定の時間継続して所定の設定値を超えたとき、当該第2の吸引手段による吸引を停止し、かつ、前記第2の取出手段による駆動制御を停止してフリーラン状態にする制御手段と、
を備え、前記第1の取出手段によって搬送方向に取り出せない小型紙葉類が前記第2の吸引手段によって吸引されたときに、当該小型紙葉類を搬送方向に取り出すことができる紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記第1及び第2の吸引手段の駆動又は停止を行う吸引制御手段と、
前記アシストローラの駆動及び停止を行うアシストローラ制御手段と、
を備え、
前記取出位置検知センサが紙葉類を検知したことにより、前記第1の吸引手段、第2の吸引手段及び前記アシストローラ制御手段を駆動したにも拘らず、当該紙葉類が前記取出位置検知センサによって検知され、かつ、前記第2の吸引手段による吸引圧力が所定の圧力を超えた状態が所定の時間継続する場合に、前記第1の吸引手段及び前記第1の取出手段は駆動状態を継続し、前記第2の吸引手段による吸引を停止し、かつ、前記アシストローラの駆動を停止してフリーランにする請求項3記載の紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112465(P2013−112465A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259636(P2011−259636)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】