説明

紙葉類搬送装置

【課題】紙葉類が良好に搬送できるようにする搬送装置を提供する。
【解決手段】各送風管22と共通管路82の接続部付近に紙葉類の通過を検出するセンサ100が設けられ、共通管路82に対して最上流となる送風管22よりもさらに上流となる上流管路102が設けられ、上流管路102を開閉する開閉弁104が設けられ、制御部90は、送風管22のうちの一の送風管に紙葉類が投入された際、当該一の送風管22の開閉弁80を開き、他の送風管22に紙葉類が投入されたことが検出された場合には、一の送風管22を搬送される紙葉類がセンサ100により共通管路82に達したことが検出された際、当該一の送風管22の開閉弁80を閉じるとともに、他の送風管22の開閉弁80を開いて紙葉類を搬送し、他の送風管22の紙葉類がセンサ100により共通管路82に到達したことが検出された際に、他の送風管22の開閉弁80を閉じるとともに上流管路102の開閉弁104を開くように制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類を空気流で搬送する紙葉類搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、遊技場などで売上金をレジ等になるべく保管しないように、自動的に別室または別棟の金庫または金庫室に収納できるようにした紙幣搬送システムが知られている(特許文献1、特許文献2)。
これらの装置において、紙幣を搬送する場合、ベルトやローラを用いて搬送する搬送装置が用いられている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−44929
【特許文献2】特開平8−91615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような搬送装置では、面積が広い遊技場などでは装置全体が大型化してしまい、またベルトやローラを駆動するためのランニングコストも非常に高額になってしまう。また、機械的な手段で搬送するため、ジャム、すなわち紙幣が詰まるなどのトラブルが発生しやすいという課題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、紙葉類を空気流で良好に搬送できる紙葉類搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る紙葉類搬送装置は、並列に配設された複数の送風管と、該各送風管の出口が接続される共通管路と、前記送風管内に空気流を発生させる空気流発生装置と、各送風管に取付けられ、送風管内に紙葉類を送り込む送り込み装置と、各送風管に取付けられ、送風管の流路を開閉する開閉弁と、該開閉弁の駆動部と、前記共通管路の終端部に設けられた紙葉類の回収装置と、前記いずれかの送風管の送り込み装置に紙葉類が投入されたことが検出された際、当該紙葉類が送り込まれた送り込み装置が取付けられた送風管の前記開閉弁を開とし、他の送風管の風量を制限するように他の送風管における前記開閉弁を閉動作させて、前記開閉弁が開とされた送風管の風量を優先的に維持するように前記駆動部を制御する制御部とを具備し、送り込まれる紙葉類の両表面に対向する前記送風管のそれぞれの壁面に、該壁面から所要高さで送風管の内方に突出すると共に、送風方向に延びる複数本のリブが対向して形成され、該対向して形成されたリブの先端部間の間隔が、前記紙葉類の変形部が通過しうる間隔に形成され、前記送風管および共通管路の少なくとも一方に、紙葉類の一方の表面が内側となる方向に曲げられて紙葉類が搬送される曲折部を有し、かつ前記送風管および前記共通管路のリブに接続するリブを有する曲折管が接続され、該曲折管の曲折部の部位の、紙葉類の前記一方の表面が対向する、曲折部の内側の壁面の前記リブは、曲折部の所要上流側から曲折部にかけて高さが徐々に低くなるように形成され、曲折部から所要下流側にかけて高さが徐々に高くなるように形成され、前記紙葉類の送り込み装置に紙葉類の曲げ装置が設けられ、該曲げ装置により、紙葉類に変形部が形成されて前記送風管内に紙葉類が送り込まれ、前記変形部に作用する風圧によって紙葉類が搬送される紙葉類搬送装置であって、前記各送風管と共通管路の接続部付近に紙葉類の通過を検出するセンサが設けられ、前記共通管路に対して最上流となる送風管よりもさらに上流となる上流管路が設けられ、該上流管路を開閉する開閉弁が設けられ、前記制御部は、前記送風管のうちの一の送風管の前記送り込み装置に紙葉類が投入された際、当該一の送風管の前記開閉弁を開き、他の送風管の送り込み装置に紙葉類が投入されたことが検出された場合には、前記一の送風管を搬送される紙葉類が前記センサにより共通管路に達したことが検出された際、当該一の送風管の前記開閉弁を閉じるとともに、前記他の送風管の開閉弁を開いて紙葉類を搬送し、該他の送風管の紙葉類が前記センサにより共通管路に到達したことが検出された際に、当該他の送風管の開閉弁を閉じるとともに前記上流管路の開閉弁を開いて、前記一の送風管および他の送風管から流入した紙葉類を共に共通管路内を搬送するように制御することを特徴とする。
【0007】
前記曲げ装置により紙葉類の搬送方向後部側に変形部が形成されることを特徴とする。
前記曲げ装置が、紙葉類の平面部に対して、ゴシック体もしくはサンセリフ体のL字状もしくはJ字状、または筒状に湾曲させて紙葉類に前記変形部を形成することを特徴とする。
前記共通管路の流路断面積が前記送風管の流路断面積と実質的に等しいことを特徴とする。
前記空気流発生装置が、前記共通管路内の空気を吸引する吸引ブロワーであることを特徴とする。
【0008】
前記リブ先端部を結ぶ線で形成される紙葉類通過空間の断面が長方形に形成されていることを特徴とする。
前記送風管は、紙葉類の一方の表面が内側となる方向に曲げられて紙葉類が搬送される曲折部を有し、かつ前記送風管および前記共通管路のリブに接続するリブを有する継手管を介して前記共通管路に接続され、該継手管の曲折部の部位の、紙葉類の前記一方の表面が対向する、曲折部の内側の壁面の前記リブは、曲折部の所要上流側から曲折部にかけて高さが徐々に低くなるように形成され、曲折部から所要下流側にかけて高さが徐々に高くなるように形成されていることを特徴とする。
【0009】
前記回収装置は、紙葉類の前記変形部を反対方向に曲げて変形を矯正する矯正ローラを具備することを特徴とする。
前記送り込み装置は、前記曲げ装置の手前側に紙幣識別装置が設けられており、紙葉類たる紙幣の判別をして後、曲げ装置から前記送風管内に送り込むことを特徴とする。
スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの販売店、遊戯場や、ATM装置における集金装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る紙葉類搬送装置では、紙葉類が投入された送風管の開閉弁を優先的に開き、紙葉類を共通管路に送り込むものであるため、共通管路の流路断面積を送風管の流路断面積に実質的に等しい小さな断面積のものとすることができ、全体装置の小型化が図れる。したがってまた、吸引ブロワー等からなる空気流発生装置も、小型のものでよくなる。また、曲げ装置により、紙葉類に変形部が形成され、この変形部に風圧が作用することによって、紙葉類が、送風管および共通管路内をスムーズに搬送される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明に係る紙葉類搬送装置の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は紙葉類搬送装置20の全体の概要を示す。
22は送風管であり、複数本(図1では2本のみ図示)並列に配設されている。
各送風管22の出口は継手管84を介して共通管路82に接続されている。
共通管路82の断面積は、各送風管22の断面積と実質的に等しい断面積である。なお、実質的に等しいとは、送風管22の断面積の概ね0.5〜1.5倍程度の断面積のものをいい、以下の説明でも同じ意味で使用している。
【0012】
24は吸引ブロワー等からなる空気流発生装置であり、共通管路82内の空気を吸引することにより、送風管22内に空気流を生じさせる。この空気流発生装置24は、共通管路82の終端部に設けられた紙葉類の回収装置34に接続された排出管60を通じて共通管路82内の空気を吸引し、空気流は外部に排出される。
【0013】
28は紙幣等の紙葉類の送り込み装置であり、各送風管22内に紙葉類を送り込む。送り込み装置28は、本実施の形態の場合、送り込み手前側に紙幣識別装置29が配設され、奥側に曲げ装置30(図2)が配設されてなる。
紙幣識別装置29は、投入された紙幣の種類および真贋を判別するもので、公知の機構のものを採用できるので詳細な説明は省略する。
なお、送り込み装置28には、必ずしも紙幣識別装置29を設けなくともよく、手動挿入でもよい。
【0014】
曲げ装置30の詳細は後記するが、例えば紙葉類32の搬送方向後部側に、図4に示すような、紙葉類32の平面部32aに対して、ゴシック体もしくはサンセリフ体のL字状もしくはJ字状、あるいは筒状に湾曲する一時的な変形部32bを形成する。この場合、紙葉類32の後端部側が、一対の送り込みローラ33a、33aのうち送風方向下流側に位置するローラ方向に湾曲され、変形されるようにするとよい。
上記一時的な変形部32bに、後記するように送風管22内を流れる空気流からの風圧が作用し、紙葉類32は送風管22内を搬送されるのである。
【0015】
送り込み装置28は、各送風管22の適所に1乃至複数配置される。本実施の形態の紙葉類搬送装置20は、パチンコ店、カジノなどの遊戯店や、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの販売店、ATM装置等における紙幣回収装置に利用されるもので、例えばパチンコ店の場合、送り込み装置28は、玉貸し機における紙幣投入部に相当し、通常1台のパチンコ機の横に1台の送り込み装置28が配設される。カジノでは、各遊技機に1つずつ送り込み装置28を設ける。また、コンビニエンスストアなどでは、各レジ(金銭登録機)の近傍に1つずつ送り込み装置28を設けるようにする。
【0016】
各送風管22には、送風管22の流路を開閉する開閉弁80が設けられている。各開閉弁80は、例えば図2に示すように、回転軸83を中心に回転するバタフライ弁で構成され、各送風管22を全閉したり全開したりする。
この開閉弁80の駆動部85は、回転軸83に固定されたウォーム歯車86、このウォーム歯車86に噛合するウォーム87、ウォーム87を回転駆動するモータ88等で構成できる。
この駆動部85の開閉制御は制御部90で行われる(図1)。
【0017】
送風管22内を空気流によって搬送される紙葉類32は、送風管22の終端において回収装置34によって回収される。回収装置34の詳細は後記する。
紙葉類32は回収装置34で回収され、空気流は外部に排出されるようになっている。
【0018】
なお、空気流発生装置24から空気流を外部に排出するのではなく、空気流発生装置24の空気排出口24a(図1)に戻し管(図示せず)を接続し紙葉類送り込み装置28側に空気流を戻してやることもできる。図1を使って説明するならば、空気流発生装置24の空気排出口24aに戻し管(図示せず)を接続し該戻し管の先を送風管22の空気流を制御する開閉弁80の空気流の上流側に接続(図示せず)すればよい。この場合、開閉弁80の空気流の上流側に適宜空気放出口(図示せず)を設けるようにするとよい。該空気放出口の作用としては、戻し管の空気流が多すぎるときには空気を排出し、逆に送風管22の空気流が不足するときは空気取り入れ口として作用する。 また上記戻し管(図示せず)の断面積も、各送風管22の断面積と実質的に等しい断面積である。このように空気流を循環させれば、例えば送り込み装置28が設けられている部屋に冷房や暖房が入っている状態であっても、冷房や暖房が効いている空気を外部に排出させないので、冷房効率、暖房効率を下げずに良好な搬送が行える。
なお、24bは、空気流発生装置24の空気吸引口である。
【0019】
次に、図3は送風管22、および共通管路82の断面図である。なお、以下では送風管22として説明する。
本実施の形態では、送風管22は断面矩形の角管に形成している。
送りこまれる紙葉類32の表面に対向する送風管22のそれぞれの壁面(一方の対向壁面22a、22a)に、該壁面22a、22aから所要高さで送風管22の内方に突出すると共に、送風方向に延びる複数本のリブ40が形成されている。この両壁面22a、22aに形成されたリブ40の先端部間の間隔が、紙葉類32の変形部32bが通過しうる間隔に形成されている。また他方の対向壁面22b、22b間の間隔が、紙葉類32が変形されることなく通過可能な間隔に形成されている。リブ40先端部と他方の対向壁面22b、22b間で形成される紙葉類通過空間の断面が長方形に形成されている。なお、送風管22は必ずしも角管でなく、断面円形等の管であってもよい。
【0020】
図5は継手管84の構造を示す説明図である。
継手管84の部位においては、紙葉類32は、送風管22から共通管路82に向けて矢印の方向に曲がって搬送される。この場合、紙葉類32は、曲がって搬送される搬送路の内側の曲折部にその一表面側が対向するように移動される。
この継手管84の曲折部23におけるリブの構造は次のようになっている。
【0021】
まず、継手管84の内壁にも、送風管22および共通管路82のリブ40に接続するリブ40が形成されている。
そして、曲折部23の上流側から下流側にかけての、曲折部23内側の壁面23aのリブ40は次のように形成されている。すなわち、曲折部23の所要上流側から曲折部23の入口部にかけて高さが徐々に低くなるように形成されている。曲折部23の入口部ではリブ40の高さはほとんどゼロとなっている。一方、曲折部23の入口部から所要下流側にかけて、リブ40はその高さが徐々に高くなるように形成されている。
【0022】
なお、曲折部23の外側の壁面23bのリブ40は、送風管22の直線部におけるリブ40の高さのままでもよいが、図5に示されるように、内側の壁面23aにおけるリブ40の先端部と外側の壁面23bにおけるリブ40の先端部との間隔が一定となるように、壁面23aのリブ40の高さの変化に追随させて壁面23bのリブ40の高さを変えるようにしてもよい。
【0023】
次に、図1では、送風管22や共通管路82を直線状に形成したが、送風管22や共通管路82の配設個所によっては、空間的障害などによって、適宜屈曲して配設する必要がある。このような場合には、送風管22や曲折管路82の中途に、図6に示すような曲折管92を介在させるとよい。図6に示すものは180度反転させるようにしたが、曲折角度は任意に設定できる。
【0024】
曲折管92の曲折部23においては、紙葉類32はその一方の表面が内側となる方向に曲げられて搬送される部位となっている。
曲折部23の上流側から下流側にかけての、曲折部23内側の壁面23aのリブ40は次のように形成されている。すなわち、曲折部23の所要上流側から曲折部23の入口部にかけて高さが徐々に低くなるように形成されている。曲折部23の入口部ではリブ40の高さはほとんどゼロとなっている。一方、曲折部23の入口部から所要下流側にかけて、リブ40はその高さがほとんどゼロから徐々に高くなるように形成されている。なお、高さがほとんどゼロといっても、完全にゼロではなく、いくらかでも高さがあるのが好ましい。
【0025】
なお、曲折部23の外側の壁面23bのリブ40は、送風管22の直線部におけるリブ40の高さのままでもよいが、図6に示されるように、内側の壁面23aにおけるリブ40の先端部と外側の壁面23bにおけるリブ40の先端部との間隔が一定となるように、壁面23aのリブ40の高さの変化に追随させて壁面23bのリブ40の高さを変えるようにすると好適である。すなわち、壁面23bのリブ40の高さは、曲折部23の上流側から曲折部にかけて徐々に高さが高くなり、曲折部から下流側にかけて徐々に高さが低くなるように形成してもよい。
【0026】
次に、図6に示す実施の形態では、送風管22や共通管路82に曲折部23を設けて、紙葉類32の一方の平面部が内側となるように、紙葉類32をUターンさせて搬送、回収する例を示した。この場合には曲折部23の曲率半径は小さい。
しかし、送風管22や共通管路82のの配設空間によっては、紙葉類32の幅方向の端面側が内側となるように紙葉類32を方向転換させる必要がある場合がある。しかしながら、この場合には、図7に示すように、送風管22の曲折部の曲率半径が極めて大きくなってしまい、空間効率が非常に悪くなるという問題がある。
【0027】
図8には、このような場合に対処できる手段を示している。
すなわち、本実施の形態では、送風管22の軸線に対して所要角度(図8の場合90度)捩って形成した捩れ管68に形成している。なお、捩れ管68の壁面にも送風管22の壁面に設けたリブ40と同一のリブが形成され、このリブそのものも同一の角度で捩られているが、図8での図示は省略した。この捩り管68を送風管22の直線部に接続すれば、紙葉類32を90度捩った方向に方向転換できる。
【0028】
図6に示される曲折管92や図8に示す捩れ管68を送風管22や共通管路82に接続すれば、紙葉類32を、小さな曲率半径で、結果的に、直管部の紙葉類32に対して、紙葉類32の幅方向の端面側が内側となるように方向転換させうる送風管路を形成できる。捩れ管68の捩れ角、曲折管92の曲がり角度を任意に設定することで、任意の方向に曲率半径小さく曲折した送風管路に形成することができる。
【0029】
本実施の形態は基本的に上記のように構成されている。
送り込み装置28や回収装置34の説明は後記するとして、以下、本実施の形態の動作について説明する。
各送風管22における開閉弁80は、紙葉類32が送り込み装置28に投入されていないときは送風管22を閉じている。また、空気流発生装置24も停止されている。
【0030】
例えば、コンビニエンスストアのレジ等において、紙葉類32がいずれかの送風管22の送り込み装置28に投入されたことが検出されると、制御部90は、空気流発生装置24を作動させるとともに、当該送り込み装置28が取付けられた送風管22の開閉弁80を開とするように駆動部85を制御し、また、他の送風管22における開閉弁80は閉動作させる。
開閉弁80が開とされた送風管22では、空気流発生装置24によって空気が吸引されることによって空気流が生じ、紙葉類32は、後記するようにして送風管22内を搬送され、継手管84から共通管路82内へと搬送され、さらに共通管路82の終端部に設けられた回収装置34によって後記するように回収される。
なお、開閉弁80を閉動作させるとは、開閉弁80が閉じたままのときはその状態を維持し、開いているときには、閉じるように駆動することを意味する。また、閉動作させるとは、開閉弁80により送風管22を完全に閉じ、空気流を完全に遮断させるものでなくともよく、空気流が制限される状態の開閉弁80を駆動制御する場合も含む。例えば、他の送風管22を半開き程度の状態として空気流を制限し、これにより、紙葉類32が送り込まれ、開閉弁80が開状態とされた送風管22内に、紙葉類32を搬送させるに必要な空気流が生じるものであればよい。
なお、以下では、開閉弁80を単に「閉とする」あるいは「閉じる」という用語を使用しているが、上記「閉動作させる」と同義で使用している。
【0031】
上記のように、紙葉類32が投入された送風管22のみの開閉弁80を開き、紙葉類32を共通管路82に送り込むものであるため、共通管路82の流路断面積を送風管22の流路断面積に実質的に等しい小さな断面積のものとすることができ、全体装置の小型化が図れる。したがってまた、吸引ブロワー等からなる空気流発生装置24も、1つの送風管22の空気を吸引すればよいので、小型のものでよくなる。
【0032】
この点、全ての送風管22に空気流を生じさせるようにしたのでは、共通管路82の流路断面積を各送風管22の流路断面積の総和程度となる大きな管径のものとする必要があり、また、空気流発生装置24も大型のものとする必要があり、全体装置が大型化し、また運転コストも増大してしまうのである。
【0033】
なお、複数の送風管22に相前後して紙葉類32がその送り込み装置28に投入されることがある。
このように、複数の送風管22の送り込み装置28に紙葉類32が投入されたことが検出された場合、制御部90は、紙葉類32の投入の検出順に、対応する送風管22開閉弁80を開として紙葉類32を送風管22に送り込み、回収装置34に紙葉類32が回収された後、当該送風管22の開閉弁80を閉とするとともに、次の検出順の送風管22の開閉弁80を開とするように駆動部85を制御する。
なお、開閉弁80の開閉制御順位は、上記のように紙葉類32の検出順でなくともよく、例えば、紙葉類32が投入された送風管22と回収装置34との間の距離が短い順に開閉制御するなど、種々の条件により都合のよい順序で開閉制御するようにしてもよい。
【0034】
なお、複数の送風管22の送り込み装置28に紙葉類32が投入されたことが検出された場合に、一の送風管22を搬送される紙葉類32が共通管路82に流れ込み、回収装置34で回収される前に、次の送風管22の開閉弁80を開いて紙葉類32を搬送し、この紙葉類32が共通管路82内に進入した時点で、両紙葉類32を一緒に共通管路82内を搬送するようにすれば、搬送時間を短縮することができる。この場合、種々の制御方法が考えられるが、以下2つの制御パターンについて図9により説明する。
【0035】
まず、第1のパターンは、各送風管22と共通管路82の接続部付近に3つのセンサ100a、100b、100cを配設する。センサ100aは、送風管22と継手管84の接続部付近に設ける。センサ100bは、T字状継手管84の共通管路82との接続部の出口付近、センサ100cは、その入口付近に設ける。なお、最上流の継手管84はL字状となるので、2つのセンサ100a、100bのみでよい。
両センサ100a、100bで紙葉類32が検出されると、紙葉類32が共通管路82に確実に到達したことが確認される。
【0036】
そして、この第1のパターンにおいては、制御部90による開閉弁80の開閉制御を、基本的に次のようにする。
すなわち、送風管22のうちの一の送風管22の送り込み装置28に紙葉類32が投入された際、当該一の送風管22の開閉弁80を開き、他の送風管22の送り込み装置28に紙葉類32が投入されたことが検出された場合には、一の送風管22を搬送される紙葉類32がセンサ100a、100bにより共通管路82に達したことが検出された際、当該一の送風管22の開閉弁80を閉じるとともに、他の送風管22の開閉弁80を開いて紙葉類32を搬送し、他の送風管22の紙葉類32がセンサ100a、100bにより共通管路82に到達したことが検出された際に、一の送風管22と他の送風管22のうちの上流側の送風管22の開閉弁80を開とし、下流側の送風管22の開閉弁80を閉とするのである。これにより、一の送風管22および他の送風管22から流入した紙葉類32を一緒に共通管路82内を搬送するようにすることができる。
【0037】
なお、一の送風管22の方が他の送風管22よりも上流側であった場合に、一の送風管22の開閉弁80を閉じることによって、紙葉類32は一時共通管路82内で停滞することになるが、再度上流側の送風管の開閉弁が開かれることによって、共通管路82内を搬送されることになる。一の送風管22の方が他の送風管22よりも下流側の場合には、上流側の他の送風管22の開閉弁80が開かれることによって、紙葉類32は継続して共通管路82内を搬送される。
3つ以上の送風管22に相前後してその送り込み装置28に紙葉類32が投入された場合にも、上記と同様に制御すればよい。
この第1のパターンによれば、一の送風管22の紙葉類32が回収装置34に回収されるのを待たずとも、他の送風管22の紙葉類32を搬送できるので、効率よく紙葉類32の搬送が行える。
【0038】
なお、一の送風管22から共通管路82に流入した紙葉類32が、次に搬送しようとしている他の送風管22におけるセンサ100cとセンサ10bとの間に到達している場合、一の送風管22の開閉弁80を閉じると、当該紙葉類32が上記センサ100cと100bとの間で停止し、次に他の送風管22内を送り込まれてくる紙葉類32と交錯し、両紙葉類32が共通管路82内で詰まってしまう事故が発生するおそれがある。
【0039】
したがって、次の他の送風管22の開閉弁80を開けようとする際には、当該他の送風管22におけるセンサ100cおよびセンサ100b間に、先の紙葉類32が存在するか否かをチエックする必要がある。すなわち、他の送風管22の送り込み装置28に紙葉類32が送り込まれた際、先の紙葉類32が、上流側のセンサ100cで検知され、下流側のセンサ100bで検知されていない場合には、先の紙葉類32が当該両センサ間に位置していると判断し、他の送風管22の開閉弁80を開くのを遅延させ、先の紙葉類32が下流側のセンサ100bでも検出された後に、他の送風管22の開閉弁80を開くように制御する。これにより、複数の紙葉類32を詰まらせることなく共通管路82内を搬送できる。
【0040】
次に第2のパターンについて説明する。
第2のパターンにおいても、各送風管22と共通管路82の接続部付近にセンサ100a、100b、100cを設ける。また、図9の破線に示すように、共通管路82に対して最上流となる送風管22よりもさらに上流となる上流管路102を設け、この上流管路102を開閉する開閉弁104を設けるようにする。
【0041】
そして、この第2のパターンにおいては、制御部90による開閉弁80、104の開閉制御を次のようにする。
すなわち、送風管22のうちの一の送風管22の送り込み装置28に紙葉類32が投入された際、当該一の送風管22の開閉弁80を開き、他の送風管22の送り込み装置28に紙葉類32が投入されたことが検出された場合には、一の送風管22を搬送される紙葉類32がセンサ100a、100bにより共通管路82に達したことが検出された際、当該一の送風管22の開閉弁80を閉じるとともに、他の送風管22の開閉弁80を開いて紙葉類32を搬送し、他の送風管22の紙葉類32がセンサ100a、100bにより共通管路82に到達したことが検出された際に、他の送風管22の開閉弁80を閉じるとともに上流管路102の開閉弁104を開いて、一の送風管22および他の送風管22から流入した紙葉類32を一緒に共通管路82内を搬送するように制御するのである。
【0042】
なお、開閉弁104に定圧弁のように上流管路102、共通管路82内の空気圧力差に対応して自動開閉動作をするバルブを使用してもよい。すなわち、全ての開閉弁80が閉となり該各管内の空気圧が低下したときに定圧動作する開閉弁104は自動的に開となり共通管路82内の紙葉類32を搬送する。一方送風管22のうちの一の送風管22の送り込み装置28に紙葉類32が投入され、当該一の送風管22の開閉弁80が開き、該各管路内の空気圧が上がった(常気圧に戻った)ときは、定圧動作する開閉弁104は自動的に閉となる。
【0043】
3つ以上の送風管22に相前後してその送り込み装置28に紙葉類32が投入された場合にも、上記と同様に制御すればよい。
この第2のパターンによっても、一の送風管22の紙葉類32が回収装置34に回収されるのを待たずとも、他の送風管22の紙葉類32を搬送できるので、効率よく紙葉類32の搬送が行える。
なお、複数の送風管22の送り込み装置28に紙葉類32が送り込まれた場合の、共通管路82内での紙葉類32の詰まり防止は、第1のパターンと同様に行えばよい。
【0044】
続いて、紙葉類32の搬送原理について説明する。
紙葉類32が、後記する送り込み装置28の曲げ装置30によって、搬送方向後部側が平面部に対して、ゴシック体もしくはサンセリフ体のL字状もしくはJ字状、または筒状に湾曲され、変形部32bが形成された紙葉類32が送風管22内に送り込まれる。
【0045】
このように送風管22内に送り込まれた紙葉類32は、図10に示すように、変形部32b側のリブ40aとは空間Aが存在し、また、リブ40a間を空気が流れるから、リブ40a側に密着することはない。また、その反対側のリブ40bに対しては、変形部32bの外壁に沿って空気がリブ40bとの間に流れ込み、変形部32bをリブ40bから引き離そうとする力が作用し、また、リブ40b間にも空気が流れていることから、紙葉類32はリブ40b側にも密着しない。
【0046】
このように、紙葉類32は、両リブ40a、40bからほとんど抵抗を受けず、結局のところ変形部32bに作用する風圧により、先端部にばたつきが生じることもなく、極めてスムーズに送風管22内を移動した。観察したところ、紙葉類32は風速に近いスピードで移動することから、当初、変形部32bに作用する風圧を受けて推進力を得た後は、空気流と共に送風管22内を流れていくような状態となり、送風管22内を実にスムーズに移動し、搬送されることが確認された。
なお、変形部32bを形成する場合、紙葉類全体をほぼ完全なU字状に折り曲げるものであってもよい。
しかしながら、紙葉類を安定して搬送するには、例えば紙幣であれば、紙幣の後半分の部分、特に好適には、紙幣の後端から5mm〜50mm(紙幣の長さが約16cmとすれば、紙幣の後端から紙幣の長さの約3〜35%)の部位に変形の起点が位置するように変形部32bを形成するとよい。なお、変形の起点とは、例えばR曲げであれば、円弧と直線部分との接点を言うものとする。
【0047】
上記のように、送風管22の壁面22a、22aにリブ40を設けることによって、紙葉類32の接触面積をそれだけ少なくすることができ、接触抵抗を減らすことができ、紙葉類32の搬送をスムーズに行うことができる。
さらに、リブ40を設けることによって、送風管22の管路断面積を大きくすることができる。ゲームセンター、スーパーマーケット等における紙幣回収装置などでは、長い管路が必要となるが、細い管であると管路抵抗が大きくなり、紙葉類を終端まで搬送しがたくなる。
リブ40を設けることによって、管路断面積を大きくでき、圧力損失を減じ、紙葉類をそれだけ遠くまで搬送できる利点がある。
【0048】
図5に示す曲折部23や図6に示す曲折部23では、紙葉類32は次のようにしてスムーズに搬送される。以下では曲折部23で説明する。
曲折部23の内側の壁面23a側のリブ40の高さを前記のように形成したので、紙葉類32が曲折部23に近づくと、曲折部23の上流側のリブ40が曲折部23の入口部に向けて低くなっていることから、紙葉類32の先端部と壁面23aとの間の空気流の流速が大きくなって圧力が減じる。一方、紙葉類32の先端部と壁面23bとの間の流速が小さくなって圧力が高くなり、これにより紙葉類32の先端部側が曲折部23の内側の壁面23aに引き寄せられる。
【0049】
その結果、図6の破線に示すように、紙葉類32の先端部側が曲折部23の内側の壁面23aに接触したような状態で小回りすることから、紙葉類32は、図6のような曲率半径の小さな曲折部23であっても、実にスムーズに抵抗なく搬送されるのである。
継手管84の曲折部23においても、紙葉類は同様にしてスムーズに搬送される。
本実施の形態における紙葉類搬送装置は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの販売店、パチンコ店、カジノ等の遊戯店、ATM等の、現金を扱う全ての個所において、紙幣を直ちに安全な金庫室等にまで搬送する集金システムに広く適用できる。
【0050】
図11(a)、(b)は、曲折部23におけるリブ40の他の実施の形態を示す。
送り込み装置28において、古い紙幣等の紙葉類の場合には腰が弱くて送り込み装置28の投入口に挿入しにくいので、紙葉類32の幅方向中央で2つ折り、3つ折り等に折って、山状の折り目を形成して腰を強くし、そのような状態で紙葉類32が送り込み装置28に送り込まれる場合がある。
このような折り目が形成された紙葉類は、曲げ装置30においてカール状の曲げ変形は形成しうるものの、山状の折り目までは矯正できない状態が生じかねない。
【0051】
上記のような腰の強い紙葉類32が送風管22内に送り込まれると、図4に示す場合、前記のように、紙葉類32の先端部側が曲折部23の内側の壁面23aに引き寄せられ、該壁面23aに沿って曲げられるような状態とはならず、先端部側がほとんど直線状体のまま、曲折部23の外側壁面のリブ40に衝突し、この部分で詰まりが生じてしまうおそれがある。
【0052】
そこで、本実施の形態では、図11(a)、(b)に示すように、曲折部23の内側の壁面23aに形成した4本のリブ40c、40d、40e、40fのうち、中央側の2本のリブ40d、40eの、曲折部23の直前付近の上流側の部位に、送風管22の内方に突出する隆起部41を設けた。なお、曲折部から所要下流側にかけてのリブ40は、図4に示すのと同様に、高さがほとんどゼロから徐々に高くなるように形成されている。
【0053】
上記のように、リブ40d、40eに隆起部41を形成することによって、曲折部23に進入してきた紙葉類32は、その先端部側が隆起部41に乗り上げる。
紙葉類32の両面側には、僅かな風速差が生じており、この風速差により紙葉類32の外側面に作用する風圧が内側面に作用する風圧よりも大きく、その結果、隆起部41に乗り上げた紙葉類32の先端部側の外側面に、隆起部41の頂部を支点とするシーソー状の力が作用すると考えられ、その結果、隆起部41上で、腰の強い紙葉類32であっても先端部側が内側壁面23a方向に折れ曲がり、これにより、図4の状態となって、紙葉類32は、この曲折部23を支障なく通過することが確認された。
【0054】
なお、曲折部23における外側壁面に設けたリブ40には、内側のリブの隆起部41に対応する凹部は設ける必要がなく、図4の状態のままのリブ40の高さでよい。
また、上記では、4本のリブ40c〜40fを設けた場合を説明したが、これに限られることはない。また、内側の壁面23aの全てのリブ40に隆起部41を設けても良い。隆起部41の形状は、紙葉類32がスムーズに流れればよく、特に限定されない。
【0055】
次に、送り込み装置28の曲げ装置30の詳細について図12〜図14により説明する。
図12において、33a、33aは前記一対の送り込みローラであり、紙葉類32を送風管22内に送風方向に対して直角に送り込むようになっている。この一対の送り込みローラ33a、33aそれぞれに同心に設けたギア(図示せず)同士が噛合していて、一方の駆動ローラ33aが図示しない正逆回転可能なモータによって回転駆動されることによって、他方のローラ33aも同期して回転される。また、この他方のローラ33aが一方のローラ33aに図示しないスプリングによって付勢、押圧されることによって、両ローラ33a、33a間で紙葉類32を挟圧し、紙葉類32を送り込むようになっている。なお、上記では、紙葉類32を送風管22に対して直角方向から送り込むようにしたが、送り込み装置28の設置場所のスペースや装置の都合により、紙葉類32を送り込む角度を任意に変更しても差し支えない。
【0056】
この曲げ装置30の送り込みローラ33a、33aには、紙幣識別装置29側に位置する一対の送り出しローラ(図示せず)から、紙幣識別装置29により判別された紙幣が送り出されるのである。
この送り込みローラ33a、33aと送り出しローラとの間に、通路開閉手段42が配設されている。通路開閉手段42は、送り込みローラ33aと送り出しローラの両ローラ間の紙葉類通路43を開閉可能であるとともに、紙葉類通路43が閉じられた際(遮断された際)に、送り込みローラ33a、33aと対向する側に、紙葉類後端部を案内して変形させる傾斜案内部44が形成される。
【0057】
具体的には、通路開閉手段42は、紙葉類通路43を挟んで設けられた一対の爪片45a、45bを有し、該一対の爪片45a、45bのうち少なくとも一方の爪片が可動爪片に形成されている。本実施の形態では爪片45aが固定爪片に形成され、爪片45bが、軸46を中心として回動する可動爪片に形成されている。可動爪片45bは、一端側がスプリング47に引っ張られることによって、他端側が固定爪片45a側にオーバーラップするように回動される。
【0058】
すなわち、可動爪片45bの他端側と、これに対向する固定爪片45aとは、例えば櫛歯状に形成され、互いの櫛歯の間隔内に進入することによって、図12に示すようにオーバーラップし、その際に紙葉類通路43を遮断するのである。
このように、可動爪片45bの他端側と固定爪片45aとがオーバーラップする際、両爪片45a、45bの、送り込みローラ33a、33aと対向する側の面に、紙葉類後端部を案内して変形させる、前記傾斜案内部44が形成されるのである。
【0059】
この傾斜案内部44は、図12に示すように、送風管22の空気流の下流側に向けて、両ローラ33a、33aのうち下流側に位置するローラ33aに対して次第に離反する方向に傾斜している。また、この傾斜案内部44の端部にストッパ50が形成されている。なお、傾斜案内部44の、図12における紙面に垂直な方向の幅は、紙葉類32の幅よりも若干広めとするのが好適である。
【0060】
48は発光部、受光部からなるセンサであり、紙葉類32が通過しないときには、図12に示すように可動爪片45b側のレバー45cによって遮断されず、図13(b)に示すように紙葉類32が、スプリング47の付勢力に抗して可動爪片45bを回動させた際には、レバー45cによって遮断される。このセンサのオンオフ信号は、紙葉類送り込み装置28の全体を制御する制御部(図示せず)に入力される。
【0061】
続いて曲げ装置30により、紙葉類32の後端部側に変形部32bを形成する動作を図13に基づいて説明する。
図13(a)は、紙葉類(紙幣)が紙幣識別装置29に投入されて紙幣識別動作がなされている状態で、このときはまだ送り込みローラ33a、33aは回転されていない。
紙幣識別動作がなされ、送り出しローラ(図示せず)によって紙葉類が送り込みローラ33a、33a方向に送り出されてくると、紙葉類32の先端部がスプリング47の付勢力に抗して可動爪片45bを回動し、レバー46cによりセンサ48を遮断(オフ)する。この遮断信号が図示しない制御部に入力されると制御部は両送り込みローラ33a、33aが紙葉類送り込み方向に回転するように図示しないモータを駆動する(図13(b))。
【0062】
両送り込みローラ33a、33aによって紙葉類32が送り込まれ、図13(c)に示すように、紙葉類32の後端部が両爪片45a、45bを通過すると、可動爪片45bはスプリング47の付勢力によって元の位置に回動し、両爪片45a、45bによって紙葉類通路43を遮断すると共に、センサ48が再び受光状態(オン)となり、このオン信号が制御部に入力される。
【0063】
上記オン信号が制御部に入力されると、制御部ではモータを一旦停止させると共に(図13(c))、所定角度、モータを逆方向に回転させる。これにより、紙葉類32は所定距離引き戻される(図13(d)〜図13(f))。
このように紙葉類32が引き戻されると、まず、図13(d)に示されるように、紙葉類32の後端が傾斜案内部44に当接し、次いで、図13(e)に示されるように、紙葉類32の後端部は傾斜案内部44に沿って引き戻され、後端がストッパ50に当接し、傾斜案内部44に沿っての移動が停止される。
【0064】
両ローラ33a、33aがなおも逆方向に回転されることによって、図13(f)に示されるように、紙葉類32の後端部が上流側のローラ33a方向に若干送り込まれ、紙葉類32の後端部の変形が強調される。
傾斜案内部44が、上流側から下流側に向けて、下流側のローラ33aから離反する方向に傾斜しているので、紙葉類32の後端部は、下流のローラ33a側に凹となるように湾曲した状態に変形される。変形部32bの形状は、紙葉類32の引き戻し量や、傾斜案内部44の傾斜面の形状等によって、ゴシック体もしくはサンセリフ体のL字状もしくはJ字状などに形成できる。
【0065】
所定角度モータが逆回転された後、図13(g)、(h)に示されるように、制御部により、送り込みローラ33a、33aが正回転され、後端部に変形部32bが形成された紙葉類32が送風管22内に送り込まれるのである。
上記のように紙葉類32の後端部側が、送り込みローラのうち送風方向下流側に位置するローラ33a側に凹となるように湾曲された状態に変形部32bが形成されるので、変形部32bが形成された紙葉類32の後端部が両ローラ33a、33a間を通過しても、変形部32bの変形が元に戻されることがない。すなわち、紙葉類32の先端部は空気流によって図13(g)に示されるように、変形部32bの変形と同一方向である、空気流の流れ方向に曲げられ、したがって、紙葉類32の後端部は、下流側のローラ33aを巻き込むように通過するので、変形部32bが多少戻るようなことがあっても、変形状態を維持できるのである。
【0066】
紙葉類32の後端部を上記とは逆の、上流側のローラ33a側に凹となるように変形させると、両ローラ33a、33a間を紙葉類の後端部32bが通過する際、変形部32bが元に戻される状態となってしまうので好ましくない。
なお、図4に示すように、曲げ装置30から紙葉類32を送風管22内に送り込む際、紙葉類32の先端部や後端部がリブ40の端面に引っ掛らないように、曲げ装置30からの送り込み口におけるリブ40の端面を、空気流の流れ方向に次第に高くなる傾斜面40aに形成するようにするとよい。
また、曲げ装置30(従って送り込み装置28)が接続される送風管22の部位は、曲げ装置30側と一体に形成して、送風管22の直管部と接続して、組み込むようにするとよい。
なお、送り込み装置28には、必ずしも紙幣識別装置29を設けなくともよい。ただ単に、曲げ装置30の送り込みローラ33a、33aに向けて、ベルトやローラを利用して、あるいは手作業で直接紙葉類を供給するのであってもよい。
【0067】
次に、図14、図15により曲げ装置30の他の実施の形態を説明する。
図12〜図13に示す実施の形態と同一の部材は同一符号をもって示し、その説明は省略する。
本実施の形態では、一対の送りこみローラ33a、33aのうち下流側に位置する送り込みローラ33aに当接して回転する押圧ローラ49が設けられている。押圧ローラ49はスプリング51によって付勢され、下流側の送り込みローラ33aに圧接している。また、この押圧ローラ49に隣接して、下流側の送り込みローラ33aの外周面との間に紙葉類が進入可能な僅かな隙間を形成する円弧面を有するガイド部53が設けられている。
【0068】
この曲げ装置30の動作を図15により説明する。
図15(a)は、紙葉類(紙幣)が紙幣識別装置29に投入されて紙幣識別動作がなされている状態で、このときはまだ送り込みローラ33a、33aは回転されていない。
紙幣識別動作がなされ、送り出しローラ(図示せず)によって紙葉類が送り込みローラ33a、33a方向に送り出されてくると、紙葉類32の先端部がスプリング47の付勢力に抗して可動爪片45bを回動し、レバー46cによりセンサ48を遮断(オフ)する。この遮断信号が図示しない制御部に入力されると制御部は両送り込みローラ33a、33aが紙葉類送り込み方向に回転するように図示しないモータを駆動する(図15(b))。
【0069】
両送り込みローラ33a、33aによって紙葉類32が送り込まれ、図15(c)に示すように、紙葉類32の後端部が両爪片45a、45bを通過すると、可動爪片45bはスプリング47の付勢力によって元の位置に回動し、両爪片45a、45bによって紙葉類通路43を遮断すると共に、センサ48が再び受光状態(オン)となり、このオン信号が制御部に入力される。
【0070】
上記オン信号が制御部に入力されると、制御部ではモータを一旦停止させると共に、所定角度、モータを逆方向に回転させる。これにより、紙葉類32は所定距離引き戻される(図15(d))。
このように紙葉類32が引き戻されると、紙葉類32の後端が傾斜案内部44に当接し、紙葉類32の後端部は傾斜案内部44に沿って引き戻され、さらに押圧ローラ49と送り込みローラ33a間に進入して挟まれ、さらに引き戻されるとともに、送り込みローラ33aとガイド部53の間に進入し、円弧状に変形される。あるいは、さらに引き戻されると、紙葉類32の後端部は両送り込みローラ33a、33a間に進入し、筒状に変形される。
【0071】
所定角度モータが逆回転された後、図15(e)に示されるように、制御部により、送り込みローラ33a、33aが正回転され、後端部に変形部32bが形成された紙葉類32が送風管22内に送り込まれるのである。
紙葉類32の後端部の引き戻し量を調節することによって、変形部32bの形状をL字状、J字状のほか、筒状等の種々の形状に形成できる。
【0072】
次に、紙葉類32の回収装置34の詳細を図16、図17により説明する。
回収装置34は送風管22の終端に取付けられ、送風管22内を搬送されてくる紙葉類(紙幣)32を回収する。
52は搬出ローラであり、回収装置34の中間部に設けられ、搬送されてくる紙葉類32の表面を両側から挟み、スリット通路54に向けて送り出す。搬出ローラ52は、紙葉類32の両側を紙葉類32の全幅に亙って挟みこむように、図17に示すように4対に分割されている。
【0073】
搬出ローラ52の手前側には、1対の挟み込みローラ56が設けられている。この挟み込みローラ56は、送風管22内を様々な姿勢で搬送されてくる紙葉類32の先端部をまず挟み込むものであるため、一対のみ設けられている。
58はリブであり、送風管22内のリブ40と連続するものであるが、挟み込みローラ56に向けて徐々に高さが高くなるように形成され、挟み込みローラ56の手前側で、両側のリブ58先端間の間隔が紙葉類32を通過させるだけの狭い間隔となるようにされ、紙葉類32先端部を確実に挟み込みローラ56間に案内するようになっている。60は排出管であり、リブ58間の隙間から空気流のみを外部に排出するようにしている。排出管60を前記戻し管36に接続して、空気流を送風管22に戻すようにして、空気流を循環させてもよい。
【0074】
搬出ローラ52の前方には回収箱55が設けられている。
回収箱55内には、スリット通路54の出口に位置して、搬出ローラ52によってスリット通路54に送り込まれてくる紙葉類32の先端部を挟みこむ第1のローラ62が配設されている。また、この第1のローラ62に近接して、第1のローラ62とは直交する方向に第2のローラ64が配設されている。さらに第2のローラ64の前方に位置して第3のローラ66が配設されている。また、第1のローラ62、第2のローラ64、第3のローラ66の両側方に位置して、第2のローラ64の部位で直角方向に曲がるガイド板67がそれぞれ配設されている。それぞれのガイド板67は2枚の平行な板によって構成され、この両板間に、紙葉類32の側縁部が通過可能にガイドされる。
第1、第2、第3のローラ62、64、66によって矯正ローラを構成する。
【0075】
スリット通路54内を送られてきた紙葉類32は先端が第1のローラ62によって挟みこまれてさらに先送りされ、両縁部がガイド板67にガイドされることによって、第2のローラ64に挟みこまれる。紙葉類32はガイド板67によってさらにガイドされて第3のローラ66に挟みこまれ、回収箱55内にと送り込まれる。ガイド板67は、紙葉類32の変形部32bの変形方向とは逆の方向となる直角方向に曲がっている。したがって、紙葉類32は、第2のローラ64を通過する際、その変形部32bが変形方向とは逆の方向に屈曲され、その変形が矯正され、平らな紙葉類32となって回収箱55内に回収されるのである。
紙葉類32の変形部32bは、曲げ装置30によって一時的に変形されているだけであり、矯正ローラの第2のローラ64によって逆方向に強制的に曲げられることから容易に変形が矯正される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】紙葉類搬送装置の概要図である。
【図2】開閉弁の構造を示す説明図である。
【図3】送風管、共通管路の断面図である。
【図4】曲げ装置の概要を示す説明図である。
【図5】継手管の構造を示す説明図である。
【図6】曲折管の構造を示す説明図である。
【図7】紙葉類を幅方向端面が内側となる方向に曲げて搬送する状態の説明図である。
【図8】捩れ管の説明図である。
【図9】開閉弁制御システムのセンサ位置を示す説明図である。
【図10】紙葉類の搬送原理を示す説明図である。
【図11】曲折部におけるリブ形状の他の実施の形態を示す説明図である。
【図12】曲げ装置の詳細を示す説明図である。
【図13】曲げ装置における紙葉類の曲げ動作を示す説明図である。
【図14】曲げ装置の他の実施の形態を示す説明図である。
【図15】図14の曲げ装置における紙葉類の曲げ動作を示す説明図である。
【図16】回収装置の平面図である。
【図17】回収装置の側面図である。
【符号の説明】
【0077】
20 紙葉類搬送装置
22 送風管
22a 壁面
23 曲折部
24 空気流発生装置(吸引ブロワー)
24a 空気流発生装置空気排出口
24b 空気流発生装置空気吸引口
28 送り込み装置
29 紙幣識別装置
30 曲げ装置
32 紙葉類
32a 平面部
32b 変形部
33a 送り込みローラ
34 回収装置
36 戻し管
40 リブ
41 隆起部
42 通路開閉手段
43 紙葉類通路
44 傾斜案内部
45a 固定爪片
45b 可動爪片
45c レバー
46 軸
47 スプリング
48 センサ
49 押圧ローラ
50 ストッパ
51 スプリング
52 搬出ローラ
53 ガイド部
54 スリット通路
55 回収箱
56 挟み込みローラ
58 リブ
60 排出管
62 第1のローラ
64 第2のローラ
66 第3のローラ
67 ガイド板
68 捩り管
80 開閉弁
82 共通管路
83 回転軸
84 継手管
85 駆動部
90 制御部
92 曲折管
100a、100b、100c センサ
102 上流管路
104 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配設された複数の送風管と、
該各送風管の出口が接続される共通管路と、
前記送風管内に空気流を発生させる空気流発生装置と、
各送風管に取付けられ、送風管内に紙葉類を送り込む送り込み装置と、
各送風管に取付けられ、送風管の流路を開閉する開閉弁と、
該開閉弁の駆動部と、
前記共通管路の終端部に設けられた紙葉類の回収装置と、
前記いずれかの送風管の送り込み装置に紙葉類が投入されたことが検出された際、当該紙葉類が送り込まれた送り込み装置が取付けられた送風管の前記開閉弁を開とし、他の送風管の風量を制限するように他の送風管における前記開閉弁を閉動作させて、前記開閉弁が開とされた送風管の風量を優先的に維持するように前記駆動部を制御する制御部とを具備し、
送り込まれる紙葉類の両表面に対向する前記送風管のそれぞれの壁面に、該壁面から所要高さで送風管の内方に突出すると共に、送風方向に延びる複数本のリブが対向して形成され、該対向して形成されたリブの先端部間の間隔が、前記紙葉類の変形部が通過しうる間隔に形成され、
前記送風管および共通管路の少なくとも一方に、紙葉類の一方の表面が内側となる方向に曲げられて紙葉類が搬送される曲折部を有し、かつ前記送風管および前記共通管路のリブに接続するリブを有する曲折管が接続され、該曲折管の曲折部の部位の、紙葉類の前記一方の表面が対向する、曲折部の内側の壁面の前記リブは、曲折部の所要上流側から曲折部にかけて高さが徐々に低くなるように形成され、曲折部から所要下流側にかけて高さが徐々に高くなるように形成され、
前記紙葉類の送り込み装置に紙葉類の曲げ装置が設けられ、該曲げ装置により、紙葉類に変形部が形成されて前記送風管内に紙葉類が送り込まれ、前記変形部に作用する風圧によって紙葉類が搬送される紙葉類搬送装置であって、
前記各送風管と共通管路の接続部付近に紙葉類の通過を検出するセンサが設けられ、
前記共通管路に対して最上流となる送風管よりもさらに上流となる上流管路が設けられ、
該上流管路を開閉する開閉弁が設けられ、
前記制御部は、前記送風管のうちの一の送風管の前記送り込み装置に紙葉類が投入された際、当該一の送風管の前記開閉弁を開き、他の送風管の送り込み装置に紙葉類が投入されたことが検出された場合には、前記一の送風管を搬送される紙葉類が前記センサにより共通管路に達したことが検出された際、当該一の送風管の前記開閉弁を閉じるとともに、前記他の送風管の開閉弁を開いて紙葉類を搬送し、該他の送風管の紙葉類が前記センサにより共通管路に到達したことが検出された際に、当該他の送風管の開閉弁を閉じるとともに前記上流管路の開閉弁を開いて、前記一の送風管および他の送風管から流入した紙葉類を共に共通管路内を搬送するように制御することを特徴とする紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記曲げ装置により紙葉類の搬送方向後部側に変形部が形成されることを特徴とする請求項1記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記曲げ装置が、紙葉類の平面部に対して、ゴシック体もしくはサンセリフ体のL字状もしくはJ字状、または筒状に湾曲させて紙葉類に前記変形部を形成することを特徴とする請求項1または2記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
前記共通管路の流路断面積が前記送風管の流路断面積と実質的に等しいことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の紙葉類搬送装置。
【請求項5】
前記空気流発生装置が、前記共通管路内の空気を吸引する吸引ブロワーであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の紙葉類搬送装置。
【請求項6】
前記リブ先端部を結ぶ線で形成される紙葉類通過空間の断面が長方形に形成されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の紙葉類搬送装置。
【請求項7】
前記送風管は、紙葉類の一方の表面が内側となる方向に曲げられて紙葉類が搬送される曲折部を有し、かつ前記送風管および前記共通管路のリブに接続するリブを有する継手管を介して前記共通管路に接続され、
該継手管の曲折部の部位の、紙葉類の前記一方の表面が対向する、曲折部の内側の壁面の前記リブは、曲折部の所要上流側から曲折部にかけて高さが徐々に低くなるように形成され、曲折部から所要下流側にかけて高さが徐々に高くなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の紙葉類搬送装置。
【請求項8】
前記回収装置は、紙葉類の前記変形部を反対方向に曲げて変形を矯正する矯正ローラを具備することを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載の紙葉類搬送装置。
【請求項9】
前記送り込み装置は、前記曲げ装置の手前側に紙幣識別装置が設けられており、紙葉類たる紙幣の判別をして後、曲げ装置から前記送風管内に送り込むことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の紙葉類搬送装置。
【請求項10】
スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの販売店、遊戯場や、ATM装置における集金装置であることを特徴とする請求項9記載の紙葉類搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−29638(P2009−29638A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292730(P2008−292730)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【分割の表示】特願2008−189157(P2008−189157)の分割
【原出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(397011111)株式会社ウインテック (87)
【Fターム(参考)】