説明

紙製品の製造方法、該紙製品及びハイブリッド塗膜

本発明は、紙製品の製法に係り、該方法においては、繊維を主成分とする原料物質から原紙を製造し、かつ該原紙を塗工処理して紙製品を製造する。本発明によれば、カチオン性化合物を含有する処理物質の層が、該原紙の少なくとも一つの表面上に設けられ、かつ塗工層が、該カチオン性処理物質層上に設けられる。さらに、本発明は、対応する紙製品、ハイブリッド塗膜及び該ハイブリッド塗膜を紙に設けるための方法にも係る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に規定した如き紙製品の製造方法、請求項10に規定した如き紙製品、請求項18に規定した如きハイブリッド塗膜、及び請求項25に規定した如き原紙の表面上に該ハイブリッド塗膜を設ける方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷のために適用し得る様々な種類の紙を製造するための様々な方法は、従来技術から公知である。さらに、様々な印刷法、例えばオフセット印刷、デジタル印刷、例えばインクジェット印刷、及びグラビア印刷法も従来技術から公知である。印刷に際しては、印刷製品の使用目的に従って、十分に良好かつ鮮明な印刷物を得ることが重要である。様々な型の紙が、様々な印刷法において、特徴的に使用されている。それ故に、多くの異なる型の印刷用紙がある。
【0003】
印刷に適用し得る該紙は、従来、表面-サイズ用混合物及び/又は着色された塗工用の混合物で塗工処理されている。インクジェット印刷用紙における印刷の耐水性が、紙表面上の該表面-サイズ剤又は該塗膜に、カチオン性ポリマーを添加することにより改善し得ることは公知である。最も一般的に使用されているポリマーは、ポリダドマック(polyDADMAC)である。特許出願:WO 2006067273号及びUS 2004/0033377号は、印刷用紙の表面-サイズ剤による処理と組合せた、該紙表面のカチオン性ポリマーによる処理を開示している。刊行物:WO 2006067273号は、その最適な量として2g/m2を示唆しており、その場合においては、該表面-サイズ剤の量の約半分を、該カチオン性ポリマーで置換えるべきであるとしている。上記の如きカチオン性ポリマーの量は、印刷用紙の製造コストを高める。刊行物:US 2004/0033377号は、カチオン性ポリマー及び場合によりさらに顔料及びバインダを含む、表面-サイズ用混合物を開示している。塗膜混合物に、カチオン性ポリマーを添加することは、刊行物:WO 2006116878から公知である。塗膜混合物に対するカチオン性ポリマーの添加は、該塗膜混合物のアニオン性化合物と共に沈殿を生じることが、該技術から公知である。この沈殿は、この工程に係る問題を引起す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一つは、上記記載において言及した欠点を排除することにある。さらに、本発明の目的の一つは、紙製品を製造するための新規な方法、及び多くの異なる印刷法において使用するのに適した、対応する多機能紙製品を開示することにある。さらに、本発明の目的の一つは、印刷に適用し得る紙製品を製造するための、新規な型の塗工液を提供することにある。とりわけ、本発明の目的の一つは、紙製品に印刷適性を与える新規な方法を開示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による紙製品の製法、ハイブリッド塗膜及び紙に該ハイブリッド塗膜を設ける方法は、特許請求の範囲に提示された事項によって特徴付けられる。
本発明は、紙製品を製造する方法を基本としており、該方法において、印刷に適用し得る紙製品は、繊維を主成分とする原料物質から原紙を製造し、また該原紙を塗工処理することにより製造される。本発明によれば、カチオン性化合物を含有する処理物質層は、該原紙の少なくとも一つの表面上に設けられて、カチオン性処理物質層を形成し、また塗工層は、該カチオン性処理物質層上に設けられる。
さらに、本発明は、印刷用紙として使用することのできる紙製品に基くものである。この紙製品は、繊維を主成分とする原料物質から作成された原紙、及び該原紙の表面に設けられた塗膜を含む。本発明によれば、カチオン性化合物を含有する処理物質層は、該原紙の少なくとも一つの表面上に設けられ、また塗工層は、該カチオン性処理物質層上に設けられる。この点に関連して、問題となる層構造は、塗膜である。好ましくは、該塗膜は、該原紙と該塗工層との間に、該処理物質層を挿入することにより、該原紙上に設けられる。
【0006】
さらに、本発明は、繊維を主成分とする原料物質から作成された原紙の少なくとも一つの表面に設けることのできる、ハイブリッド塗膜に基くものである。本発明によれば、該ハイブリッド塗膜は、少なくとも2つの層を含み、ここでその第一の層は、カチオン性化合物を含有する処理物質層であり、またその第二の層は、塗工層である。さらに、本発明は、1又はそれ以上の段階にて、原紙の表面に該ハイブリッド塗膜を設ける方法に基くものである。
本発明は、特に紙製品及び多層加工による該紙製品の表面処理を基本とするものであり、従って該紙製品は、多くの印刷法、例えばインクジェット印刷法、オフセット印刷法及びグラビア印刷法において使用するのに適している。さらに、本発明の基本的な概念は、カチオン性処理物質層及び塗工層の組合せにある。本発明による該紙製品は、良好な印刷適性を持つ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
印刷適性とは、印刷の品位、耐水性及び/又は色材の吸収量及び吸収速度を表す。印刷の品位とは、印刷の鮮明度及び/又は均等性を表す。
ちなみに、紙製品は、任意の繊維を主成分とする紙、板紙又は繊維製品又は同等な製品を表す。上記原紙は、任意の繊維を主成分とするパルプ、例えば化学パルプ、機械パルプ、ケミメカニカルパルプ、リサイクルパルプ、繊維パルプ及び/又はこれらの混合物又は同等な製品から製造することができる。該原紙は、湿潤ウエブ、乾燥ウエブ又はシートの形状、あるいは使用目的に適した他の形状であり得る。該原紙は、適当なフィラー、バインダ及び添加剤を含むことができる。
一態様において、該原紙は、上級紙、例えばWFU又はUWF、機械パルプから製造した紙、例えばLWC又はSC、新聞用紙、リサイクル繊維から製造した紙、様々な自己接着性の紙及びこれらと同等な紙から選択される。
【0008】
本発明の好ましい一態様において、該カチオン性処理物質は、カチオン性表面-サイズ剤であり、またカチオン性表面-サイズ剤層は、該原紙の少なくとも一つの表面上に設けられ、また塗工層は、該カチオン性表面-サイズ剤層上に設けられる。
本発明の一態様において、該カチオン性表面-サイズ剤層は、カチオン性ポリマー及び/又はカチオン型イオン性化合物を含み、後者は、それ自体公知の任意のカチオン性化合物であり、また使用の目的に適したものであり得る。
本発明の好ましい一態様において、該カチオン性処理物質層は、該カチオン性化合物に加えて、バインダを含む。該カチオン性化合物は、使用の目的に適した任意のカチオン性化合物であり得る。一態様において、該バインダは、デンプン、デンプンを主成分とする化合物、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ラテックス分散液及びこれらの誘導体及び種々のバインダの混合物から選択される。好ましい一態様において、該処理物質層は、カチオン性化合物及びデンプン又はデンプンを主成分とする化合物を含む。さらに、該処理物質層は、様々なフィラー及び添加剤を含むことができるが、従来は顔料を含んでいなかった。もう一つの態様において、該処理物質層は、好ましくは少量にて顔料を含むことができる。一態様において、該処理物質層は、100部のバインダ、及び使用するカチオン性化合物に応じて、10〜100部のカチオン性化合物を含む。
【0009】
一態様において、該処理物質層を形成する処理物質混合物は、溶液、分散液又はフォーム又は他の適当な形状にある。該処理物質混合物は、当分野においてそれ自体公知の任意の方法で、該原紙の表面に供給し又は塗布することができる。一態様において、該処理物質混合物は、得られる原紙ウエブの表面に、ウエブの製造との関連で、例えば脱水処理との関連で供給される。一態様において、該処理物質混合物は、ウエブの形成後、別の段階にて、該得られたウエブの表面に供給される。該処理物質混合物は、乾燥又は湿潤表面何れに塗布してもよい。
本発明の一態様において、該カチオン性処理物質層の量は、0.5〜3g/m2なる範囲内にある。
【0010】
本発明の一態様において、上記塗工層は、顔料、例えば炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン又はこれらの混合物若しくは当分野において公知かつ使用の目的に適した他の同等な顔料、及びバインダ、例えばデンプン、タンパク質、ラテックス、カルボキシメチルセルロース、又はこれらの誘導体又はこれらの混合物又は当分野において公知の同等なバインダを含む。さらに、該塗工層は、使用の目的に適した添加剤、例えば硬化剤、滑剤、消泡剤、保存剤、pH-調整剤及び粘度-調整剤を含むことができる。当分野において使用されている安価な標準的顔料を、本発明による該塗工層用の溶液中で使用することができる。使用目的に適した任意の塗工用混合物を、該塗工層において使用できる。この点に関連して、塗工とは、従来の塗布態様及び着色態様両者並びにこれら両者に基く態様を表す。一態様において、該塗工層は、100部の顔料及び5〜50部なる範囲の量のバインダを含む。
本発明の一態様において、該塗工層の量は、3〜12g/mなる範囲にある。一態様において、該塗工層の量は、4〜10g/mなる範囲にある。一態様において、該塗工層の量は、5〜8g/mなる範囲にある。
【0011】
一態様において、該塗工層は、同じ処理段階で、前記処理物質層上に塗布することができる。一態様において、該塗工層及び該処理物質層は、実質上同時に該原紙上に塗布することができる。もう一つの態様において、該塗工層は別の処理段階において該処理物質層上に塗布することができる。一態様において、該処理物質層は、下塗り処理段階において生成される。
本発明の一態様においては、少なくとも一つの追加の層を、該原紙と該カチオン性処理物質層との間に設ける。好ましくは、該追加の層は、該処理物質層の下、即ち該原紙と該処理物質層との間に設けられる。
本発明の好ましい一態様においては、該塗工層は、実質的に該処理物質層上に設けられる。該塗工層は、該処理物質層の乾燥又は湿潤表面に塗布することができる。
【0012】
該原紙の表面に対する該処理物質層及び該塗工層の塗布は、当分野においてそれ自体十分に知られている方法、例えばブレードコーティング、フィルムコーティング、カーテンコーティング、吹付けコーティング、多層コーティング、多層カーテンコーティング、サイザーコーテイング(sizer coating)、ドライコーティング、ポンドサイズプレスコーティング、フィルム転写サイズプレスコーティング(film transfer size pressing)又はこれらの組合せ又は他の適当な方法で、同一の又は異なる段階において行うことができる。
一態様において、上記原紙ウエブは、それ自体公知の方法で製造される。該ウエブは、本発明に従って、前記処理物質混合物及び前記塗布混合物で塗布される。該ウエブは、望ましい場合には、シート又は同等なものに裁断され、また所望の印刷が、該ウエブ又はそれから裁断された印刷製品に対して所定の方法で作成される。
【0013】
一態様において、本発明による紙製品に対する印刷は、デジタル法、例えばインクジェット法又は高速インクジェット法、オフセット法、例えばHSMO法、又はグラビア法により、あるいは同等な印刷技術によって行うことができる。インクジェット印刷法において、インクは上記塗工層を浸透し、該インクの吸収は、該カチオン性処理物質層において停止する。
本発明による上記方法、上記紙製品及び上記ハイブリッド塗膜によって、従来技術と比較して、卓越した利点が達成される。
本発明は、良好な品位の多機能性紙製品を提供するものであり、該紙製品は、種々の印刷用途に対して適しており、また該紙製品は良好な印刷適性を有し、さらに該紙製品によって良好な印刷が与えられる。
【0014】
本発明のおかげで、製紙における型の変更、例えばインクジェット型からオフセット型への変更は、融通性が高くまた迅速性のあるものとなる。というのは、本発明による同一の紙製品が、異なる印刷用途において使用できるからである。製紙における一問題点は、以前はこの型の変更にあった。というのは、大型の機械における、該型の変更は時間を要し、しかも多大な損失があったからである。本発明を利用するに際して、該紙の型は、例えばオフセット型からインクジェット型に変えることができ、また所望の紙製品の製造を、中断することなしに、継続することが可能である。この場合において、洗浄の必要性及び塗布混合物の循環中の、及びウエットエンドにおけるフロキュレーション発生の恐れは減じられる。あるいはまた、該型の変更との関連で、該原紙表面への、該カチオン性処理物質層の供給を、カチオン性の層が必要とされない紙製品の製造においては、停止することができる。
【0015】
本発明による該紙製品のおかげで、印刷において、安価な色材、例えば水性インクジェット用色材を使用することが可能となる。
多くの異なる型の印刷に適用し得る紙製品の、工業的に適用できる容易な製造方法が、本発明によって達成される。同時に、印刷を実施するための容易で、簡単かつ安価な方法が、本発明による該紙製品のおかげで、本発明によって達成される。本発明による該紙製品は、オフセット印刷法並びにインクジェット印刷法及びその他の印刷法に適したものである。本発明による該紙製品は、主な製品、即ち印刷製品の製造を制限しない。
【0016】
実施例1
本実施例の実験では、本発明による紙製品の印刷適性を、実験室規模にて検討した。
坪量45g/m2のLWC紙を、原紙として使用した。100部のデンプン及び100部のカチオン性ポリマーを含有するカチオン性表面サイズ剤層を、該原紙の一表面上に設けた。カルタフィックス(Cartafix) DPRを、該カチオン性ポリマーとして使用した。該表面サイズ剤層の量は、1.7g/m2であった。100部の標準的な顔料及び10部のバインダを含む塗工層を、該カチオン性表面サイズ剤層上に設けた。80部の炭酸塩及び20部のカオリンを該顔料として使用し、またラテックスを、該バインダとして使用した。該表面サイズ剤層を、下塗り処理により、該原紙の表面上に塗布した。該塗工層は、別の段階において該表面-サイズ剤層上に塗布した。該塗工層の量は、3、7及び12g/m2であった。これらの塗工紙を、光沢レベル40%までカレンダー掛けした。HSWO型に関する重要な特性、例えば耐紙むけ性は、これらの紙に基きテストした。また、これらの紙を、コダックベルサマーク(Kodak Versamark)高速インクジェット技術によって印刷した。ここでは、典型的なインクジェットインクを使用した。インクジェット紙に関する重要な特性、例えば耐水性、湿潤摩擦抵抗及びブリーディング特性を、これら印刷された紙に基づいて分析した。
【0017】
これらの実験において、全てのコート量について、良好な耐水性、湿潤摩擦抵抗及び湿った紙における印刷された領域から非-印刷領域へのインクの広がりを表す、ブリーディング特性が、本発明による、印刷された紙製品に対して達成されることを見出した。得られた該紙製品における耐紙むけ性は、オフセット用紙の標準的な耐紙むけ性と同等なレベルにあることが見出された。IGT耐紙むけ性(基準:ISO 3783:2004に基く)が、より高いレベルにあることさえも見出された。また、インクジェット用色材の吸収性は、オフセット用紙における色材の吸収性に相当する、十分なレベルにあることが見出された。光沢、平滑性及び光学的諸特性は、紙製品の判定基準を考慮すれば、十分なレベルであった。該カチオン性の層が、該塗工層の下部において十分に機能していることも分かった。その上、上記実験において、より豊富な量の該塗工層の使用が、インクジェット紙の印刷適性を低下することが分かった。例えば、7g/m2なる量の該塗工層は、色材の吸収にとっては、12g/m2なる量の該塗工層よりも一層有利であることが分かった。
【0018】
これらの実験の結論として、多機能性紙製品が得られ、その諸特性は、インクジェット及びオフセット印刷両者に関する、紙製品の性能基準を満足した。
本発明による方法は、殆どの異なる種類の紙製品を製造するのに使用すべき、様々な態様において適している。本発明による紙製品及びハイブリッド塗膜は、殆どの異なる種類の印刷製品を製造するのに使用すべき、様々な態様において適している。
本発明は、上記実施例のみに限定されるものではなく、それどころか多くの変更が、特許請求の範囲に規定された発明的着想の範囲内に入り得るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を主成分とする原料物質から原紙を製造し、かつ該原紙を塗工処理して、紙製品を製造する、紙製品の製造方法であって、カチオン性化合物を含有する処理物質層を、該原紙の少なくとも一つの表面上に設け、かつ塗工層を、該カチオン性処理物質層上に設けることを特徴とする、前記紙製品の製造方法。
【請求項2】
前記カチオン性処理物質が、カチオン性表面-サイズ剤であり、かつカチオン性表面-サイズ剤層が、前記原紙の少なくとも一つの表面上に設けられ、かつ前記塗工層が、該カチオン性表面-サイズ剤層上に設けられる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記カチオン性表面-サイズ剤層が、カチオン性ポリマー及び/又はカチオン型のイオン性化合物を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記カチオン性処理物質層が、前記カチオン性化合物に加えて、バインダをも含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記塗工層が、顔料及びバインダを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一つの追加の層が、前記原紙と前記カチオン性処理物質層との間に設けられている、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記塗工層が、前記カチオン性処理物質層上に設けられている、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記カチオン性処理物質層が、0.5〜3g/m2なる範囲の量で設けられる、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記塗工層が、3〜12g/m2なる範囲の量で設けられる、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
繊維を主成分とする原料物質から製造された原紙及び該原紙の表面に設けられた塗膜を含む印刷用紙として使用される紙製品であって、カチオン性化合物を含有する処理物質層が、該原紙の少なくとも一つの表面上に設けられており、かつ塗工層が、該カチオン性処理物質層上に設けられていることを特徴とする、前記紙製品。
【請求項11】
前記カチオン性処理物質が、カチオン性表面-サイズ剤であり、かつカチオン性表面-サイズ剤層が、前記原紙の少なくとも一つの表面上に設けられ、かつ前記塗工層が、該カチオン性表面-サイズ剤層上に設けられている、請求項10記載の紙製品。
【請求項12】
前記カチオン性表面-サイズ剤層が、カチオン性ポリマー及び/又はカチオン型のイオン性化合物を含む、請求項11記載の紙製品。
【請求項13】
前記カチオン性処理物質層が、前記カチオン性化合物に加えて、バインダをも含む、請求項10〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記カチオン性処理物質層が、前記バインダとしてデンプンを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記塗工層が顔料及びバインダを含む、請求項10〜14の何れか1項に記載の紙製品。
【請求項16】
前記塗工層が、前記カチオン性処理物質層上に設けられている、請求項10〜15の何れか1項に記載の紙製品。
【請求項17】
少なくとも一つの追加の層が、前記原紙と前記カチオン性処理物質層との間に設けられている、請求項10〜16の何れか1項に記載の紙製品。
【請求項18】
繊維を主成分とする原料物質から製造した原紙の少なくとも一つの表面上に設けられるハイブリッド塗膜であって、該ハイブリッド塗膜が、少なくとも2つの層を含み、その第一の層が、カチオン性化合物を含む処理物質層であり、かつその第二の層が塗工層であることを特徴とする、前記ハイブリッド塗膜。
【請求項19】
前記カチオン性処理物質が、カチオン性表面-サイズ剤である、請求項18記載のハイブリッド塗膜。
【請求項20】
前記カチオン性表面-サイズ剤層が、カチオン性ポリマー及び/又はカチオン型のイオン性化合物を含む、請求項19記載のハイブリッド塗膜。
【請求項21】
前記カチオン性処理物質層が、前記カチオン性化合物に加えて、バインダをも含む、請求項18〜20の何れか1項に記載のハイブリッド塗膜。
【請求項22】
前記塗工層が、顔料及びバインダを含む、請求項18〜21の何れか1項に記載のハイブリッド塗膜。
【請求項23】
前記カチオン性処理物質層の量が、0.5〜3g/m2なる範囲内にある、請求項18〜22の何れか1項に記載のハイブリッド塗膜。
【請求項24】
前記塗工層の量が、3〜12g/m2なる範囲内にある、請求項18〜23の何れか1項に記載のハイブリッド塗膜。
【請求項25】
繊維を主成分とする原料物質から製造した原紙の、少なくとも一つの表面にハイブリッド塗膜を設ける方法であって、該ハイブリッド塗膜が、少なくとも2つの層を含み、その第一の層がカチオン性化合物を含む処理物質層であり、その第二の層が、塗工層であり、かつ該ハイブリッド塗膜が、1又はそれ以上の段階で、該原紙の表面に適用されることを特徴とする、前記方法。
【請求項26】
前記ハイブリッド塗膜が、サイズプレス、ブレードコーター、吹付けコーター、カーテンコーター、多層カーテンコーター、フィルムコーター、サイザーコーター、ドライコーター、及びこれらの組合せからなる群から選択される装置により、前記原紙の表面に適用される、請求項25記載の方法。

【公表番号】特表2013−505371(P2013−505371A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529309(P2012−529309)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050705
【国際公開番号】WO2011/033171
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(509335384)ウーペーエム−キュンメネ コーポレイション (7)
【氏名又は名称原語表記】UPM−Kymmene Corporation
【Fターム(参考)】