説明

紙製品及び紙製品の製造方法

本発明は、繊維を主成分とする原料物質から製造され、かつ印刷用紙として適用可能な紙製品に係る。本発明によれば、該紙製品の表面に十分な密度持たせて、該紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、7,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高くなるように、該紙製品の表面が仕上げられており、かつ該紙製品は、3.5%未満なる含水率まで乾燥されている。さらに、本発明は、紙製品の製造方法にも係る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文において定義された紙製品及び請求項8の前文において定義された紙製品の製造方法に係り、ここで印刷用紙として適用し得る紙製品は、繊維を主成分とする原料物質から製造される。
【背景技術】
【0002】
印刷において使用するための様々な種類の印刷用紙及び印刷用途用の様々な種類の印刷用紙の製造は、公知技術から公知である。
印刷技術においては、紙の様々な印刷方法、例えばオフセット又はグラビア印刷技術が知られている。該公知の方法、特にHSWO印刷法において、インクは、典型的には120〜150℃なる範囲の高温度にて乾燥され、この高温度の利用は、該インクの乾燥中に、印刷領域と非-印刷領域との間に、高い水分の勾配を発生させる。このようにして生成されたこの高い水分の勾配は、該HSWO印刷物性能の低下、即ち波むら、たるみを形成する、重大な原因の元となる。多数の手段によって波むら、たるみを減じる試みがなされていることは公知である。
【0003】
印刷中の波むら、たるみを減じるために、印刷に先立って低含水率まで紙を乾燥することは、公知技術から公知である。印刷工程において紙を予備乾燥することは、刊行物WO 2005053958から公知である。印刷前に、5%未満なる含水率まで紙を乾燥することは、刊行物WO 2005110753から公知である。さらに、印刷に先立って0〜4%なる範囲の水分レベルにまで、紙を乾燥することは、刊行物US 6551454から公知である。紙における極めて低い含水率、例えば1〜1.5%なる範囲の含水率は、印刷における波むら、たるみを減じることが見出されている。極めて低い含水率、例えば1〜1.5%なる範囲の含水率まで該紙を乾燥することの、例えばペーパーミル条件における諸問題は、コスト-有効性の低下及び乾燥紙の処理における困難さを含む。乾燥した紙は、迅速に水分を吸収し、しかも該紙の含水率は、迅速にその平衡含水率に戻る。その上、乾燥した紙の巻取りは困難である。
【0004】
さらに、所謂高密度紙は、公知技術、例えばWO 2004003293から公知であり、そこでは、該紙は、親油性表面及び5,000s/100mLを越えるガーレー-ヒル値を有しており、また該高密度紙は、特許出願:PCT/FI2008/050229からも公知であり、そこでは、該紙は、7,000 s/100mLを越えるガーレー-ヒル値を有している。さらに刊行物WO 2004003293は、紙における5.3又は5.5%なる水分レベルを開示している。高密度紙の印刷に係る1問題点は、HSWO印刷工程における乾燥熱の作用による、該紙の表面のブリスタリングである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、印刷における、印刷用紙として使用するための、新しい型の紙製品を開示することである。特に、本発明の目的の一つは、例えばHSWO印刷における、波むら、たるみの低減を可能とする紙製品を開示することである。さらに、本発明の目的の一つは、紙製品の新規な製法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による上記紙製品及び方法は、特許請求の範囲に提示した事項によって特徴付けられる。
本発明は、繊維を主成分とする原料物質から作成され、また印刷用紙として利用可能な紙製品に基くものである。本発明によれば、該紙製品の表面に十分な密度持たせて、該紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、7,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高くなるように、該紙製品の表面が仕上げられており、かつ該紙製品は、3.5%未満なる含水率にまで乾燥されている。
さらに、本発明は、紙製品の製造方法に基くものであり、該方法において、印刷用紙として利用できる紙は、繊維を主成分とする原料物質から作成される。本発明によれば、該紙の表面に十分な密度持たせて、該紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、7,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高くなるように、該紙の表面が仕上げられており、かつ該紙は、該紙製品を製造するために、3.5%未満なる含水率にまで乾燥されている。
【0007】
本発明は、特に紙製品に基くものであり、該紙製品の少なくとも一つの表面層が、高密度となるように調整されており、また該表面層は低い含水率を有している。本発明においては、驚いたことに、該紙製品の表面に十分な密度持たせ、結果として該紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、7,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高くなるように、該紙製品の表面が仕上げられているという事実と、該紙製品が、印刷前に、3.5%未満なる含水率となるまで、実質的に乾燥されているという事実との組合せが、該紙製品の印刷に対して驚嘆すべき利点をもたらすことが見出された。テストした結果、驚いたことに、本発明の上記組合せに従う該紙製品の表面は、印刷に際しての、HSWO印刷工程における乾燥熱の作用によるブリスタリングを実質的に起こさず、また該印刷物を損なう波むら、たるみを減じることが見出された。本発明による該紙においては、印刷表面と非-印刷表面との間の、水分の勾配、即ち乾燥度の勾配を減じることができ、また波むら、たるみを、例えばHSWO印刷において減じることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この点に関連して、紙製品とは、あらゆる繊維を主成分とする紙、板紙又は繊維製品等を表す。該紙製品は、任意の繊維を主成分とするパルプ、例えば化学パルプ、機械パルプ、ケミメカニカルパルプ、繊維パルプ、リサイクルパルプ及びこれらの混合物及び/又はこれらの等価物から作成されたものであり得る。該紙製品は、湿潤ウエブ、乾燥ウエブ又はシート若しくは上記使用目的に適した他の形状を持つものであり得る。
一態様においては、フィラー、顔料、結合剤及び/又は他の化学薬品を、該紙製品製造の際に、上記繊維を主成分とする原料物質に添加する。当分野において公知の任意の薬品及び化学薬品を、上記フィラー、顔料、結合剤及び化学薬品として使用することができる。
【0009】
本発明に従って該紙製品を製造する際に使用される所謂原紙は、適当な繊維を主成分とする原紙、下級原紙及び/又は上質原紙であり得、これらから、本発明に従って、印刷用紙として適用可能な紙製品、例えばLWC(軽量コート紙)、MWC(中質量コート紙)、MFC(マシン仕上げ紙)、WFC(上質コート紙)又は同様な紙を製造することができる。
この点に関連して、該紙製品又は紙の表面層とは、それ自体公知の任意の仕上げ加工法、例えば薄塗法、ブレード塗工法、カーテンコーティング法、吹付けコーティング法又はこれらの組合せによって生成し得る、該表面上の表面層、例えば塗工層を表す。上記紙製品の表面上には、1層又は少なくとも2層の表面層が存在し得る。2層以上の表面層を持つ他の例において、一表面層は、最外表面層を表し、及び/又は該最外層下部の任意の他の表面層を表すことができる。
【0010】
上記ガーレー-ヒル法(ISO 5636-5:2003)は、例えば秒単位で表される、印刷の際の、特定体積の空気、例えば100mLを紙に通すのに要する時間を測定する工程を含む。その際の圧力差は、1.21 kPaである。
本発明の一態様において、上記紙製品の少なくとも一つの表面層の密度は、該紙製品全体から評価され、かつ該ガーレー-ヒル法により測定した値として、10,000s/100mLを越えるガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高いものである。一態様において、該紙製品の密度は、該ガーレー-ヒル法により測定した値として、12,000s/100mLを越えるものである。
本発明の一態様において、該紙製品は、3.0%未満なる含水率にまで乾燥される。一態様において、該紙製品は、2.0%未満なる含水率にまで乾燥される。一態様において、上記紙は、該紙製品を製造するために、2.5%未満なる含水率にまで乾燥される。一態様において、該紙は、該紙製品を製造するために、1.5%未満なる含水率にまで乾燥される。一態様において、該紙は、該紙製品を製造するために、1.0%未満なる含水率にまで乾燥される。
【0011】
一態様において、該紙製品は、単-層処理によって仕上げられている。
一態様において、該紙製品は、多-層処理によって仕上げられており、ここでは2層以上の表面層が、該紙の表面上に形成される。該紙製品は、二重に塗工処理することができ、あるいは多数回に渡り塗工処理することもできる。多数回に渡り塗工処理された紙製品及び二重に塗工処理された紙製品においては、その表面層の少なくとも1層が、本発明により規定した方法により高密度化されていれば十分である。あるいはまた、2層以上の表面層が、本発明により規定した方法により高密度化される。
本発明の一態様においては、該紙製品の2層以上の表面層が、高密度となるように調整される。
【0012】
本発明の一態様においては、該紙を、塗工処理及び/又は表面サイジング処理により仕上げて、該紙製品を製造する。一態様において、該紙は、一層処理で仕上げられる。一態様において、該紙は、多層処理によって仕上げられる。一態様においては、該紙を、予備的な処理によって仕上げて、少なくとも一つの表面層に高い密度を与える。好ましい一態様においては、本発明による様式で高密度化されていても、高密度化されていなくてもよい、少なくとも一つの他の層が、該高密度な予備処理層上に与えられる。
一態様においては、少なくとも1種の顔料及び/又は少なくとも1種の結合剤を含む混合物が、少なくとも一つの表面層を形成するために、該紙の表面上に与えられる。一態様において、該混合物は、少なくとも一つの顔料及び少なくとも一つの結合剤を含む。
【0013】
本発明の一態様において、該顔料は、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、石膏、二酸化チタン及びこれらの混合物及び同様な顔料からなる群から選択される。当分野においてそれ自体公知かつ本発明の使用目的に適した任意の顔料を、上記顔料として使用することができる。
本発明の一態様において、該結合剤は、デンプン、タンパク質、ラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール及びこれらの混合物等からなる群から選択される。当分野においてそれ自体公知かつ本発明の使用目的に適した任意の結合剤を、上記結合剤として使用することができる。
上記紙の表面上に与えるべき該混合物は、任意の仕上げ組成物、例えば塗工剤混合物又は表面-サイジング組成物であり得る。
【0014】
任意の適当な結合剤及び顔料を、該紙の仕上げにおいて使用することができる。その上、当分野においてそれ自体公知の適当な添加剤を、該仕上げ混合物に添加することができる。
本発明の紙製品において、高密度化される該表面層は、任意の適当な表面層であり得る。一態様において、該高密度化層は、上記予備塗工層である。一態様において、該高密度化層は、最外表面層である。一態様において、該高密度化層は、中間層の一つである。一態様において、該最外表面層は、該高密度化層ではなく、この場合、例えば印刷適性で代表される、所望の特性は、該最外表面層において提供されうる。
一態様において、一表面層、好ましくは該高密度化層のコート量は、1〜14g/m2/サイドなる範囲、より好ましくは6〜14g/m2/サイドなる範囲にある。一態様において、全コート量は、7〜40g/m2/サイドなる範囲にある。
【0015】
一態様において、該紙の密度は、刊行物WO 2008132283及びWO 2008132284に提示された方法で与えることができる。
本発明の一態様において、該紙は、印刷に先立って実質的に乾燥されて、上記紙製品を形成する。一態様において、該紙は製紙工程中に乾燥される。一態様において、該紙は、仕上げ処理、例えば塗工処理において乾燥される。該乾燥は、別の乾燥器又は該抄紙乾燥区画、塗工及び/又はカレンダー掛けの際の乾燥において行うことができる。一変形態様において、該紙は、印刷工程において、例えば印刷機によって乾燥される。一態様において、該印刷に伴う乾燥は、従来よりも低い温度にて行うことができる。
本発明の一態様において、該紙は、好ましくは上記仕上げ処理の後にカレンダー掛けされて、上記紙製品を生成する。
【0016】
本発明の一態様において、該紙は、オフセット印刷、特にHSWO印刷における印刷紙として使用することができる。
該紙の上記製造、塗工、表面サイジング、乾燥、カレンダー掛け及び/又は印刷等は、当分野においてそれ自体公知の方法で行うことができる。
本発明による紙製品及びその製法は、従来技術と比較してかなりの利点をもたらす。
本発明の紙製品のおかげで、高品位の印刷物が与えられ、また印刷された紙における波むら、たるみが低減される。さらに、本発明のおかげで、繊維の粗さ、ザラツキを減じ、光沢レベルを高め、また該紙製品の表面におけるブリスタリング発生の危険性を減じることが可能となる。
本発明は、印刷用紙として使用できる高品位の紙製品を、工業的に製造する単純かつコスト-効率的な方法を提供する。印刷において、波むら、たるみ発生の恐れなしに、それ自体公知の安価な市販のインクを使用することが可能となり、このことは印刷コストを節減する。本発明のおかげで、印刷後の該紙製品の乾燥を軽減することができる。
【実施例】
【0017】
以下では、本発明の態様の詳細な例によって、本発明をさらに説明する。
実施例1
本パイロット実施例では、約65gsmなる坪量を持ち、かつ印刷用紙として適用し得るLWC-型の紙を、それ自体公知の機械パルプから製造した。該下級原紙は、顔料/結合剤混合物で軽度に一回塗工処理されたものであり、そのコート量は11g/m2/サイドであった。該顔料としてカオリンを使用した。あるいはまた、それ自体公知の任意の顔料を、該顔料として使用することができる。使用した該結合剤は、SBラテックスであった。
該塗工クレー液において使用した主成分は、100部のカオリン及び14部の結合剤であった。使用した該カオリンの粒度分布は、2μm未満の粒径を持つ粒子部分が、セディグラフ(Sedigraph) 5100によって測定した値として、85〜95%なる範囲となる様な分布であった。さらに、該塗工クレー液は、約3.3部のそれ自体公知の添加物を含んでいた。該塗工クレー液の固形分含有率は、61w-%であった。
【0018】
塗工後、該紙をスーパーカレンダー掛けして、光沢レベルを65%とした。
本発明による抄造見本シートの密度を測定したところ、14,370s/100mLであった。
使用した基準紙は、対応する下級LWC紙であり、その塗工クレー液は、60部のセンチュリー(Century)カオリン、40部のカバーカーブ(Covercarb) 75炭酸カルシウム及び12部のDL966ラテックスを含むものであった。さらに、該塗工クレー液は、1.5部のそれ自体公知の添加物を含んでいた。該下級原紙は、ブレード塗工され、そのコート量は11g/m2/サイドであった。該塗工紙は、スーパーカレンダー掛けされ、光沢レベル65%とされた。上記基準紙の密度を測定したところ、1,880s/100mLであった。
【0019】
本発明による該紙及び該基準紙は、両者とも、印刷の直前に、別のパイロット乾燥器により乾燥した。即ち、このパイロット乾燥は、ペーパーミルで実施したカレンダー掛け後に行った。該パイロット乾燥器は、3台の赤外線乾燥器及び4台の流動床乾燥器で構成されていた。この乾燥は、約2%なる水分となるまで、及び約1%なる水分となるまで行われた。該ペーパーミルにおける初期含水率は、本発明による紙においては5%であり、また該基準紙においては3.7%であり、これは季節的な理由のために、驚くほど低いものであった。
これらの紙を、アルバートフランケンタール(Albert Frakenthal) A 101 S印刷機を用いて、HSWO印刷に従って印刷した。それ自体公知の市販のHSWOインクを、この印刷において使用した。該ウエブの出口温度は、乾燥後において130℃であった。
以下の表1は、HSWO印刷後の波むら、たるみに関する目視評価を示す。
【0020】
【表1】

【0021】
上記表1の結果は、含水率の低下が、ブリスタリングの問題を引起すことなしに、本発明の紙の使用を可能とすることを示している。本発明による紙においては、波むら、たるみの大幅な改善が、水分レベル2%において既に達成されており、これに対して、これと同程度に低い波むら、たるみは、基準紙を使用した場合には、含水率0.8%においてさえ達成されない。
【0022】
実施例2
このペーパーミル実施例においては、約65gsmなる坪量を持ち、また印刷用紙として適用し得るLWC-型の紙を、それ自体公知の機械パルプから製造した。この下級原紙を、顔料/結合剤混合物で軽く一回塗工したが、そのコート量は11g/m2/サイドであった。該顔料としては、カオリンを使用した。あるいはまた、それ自体公知の任意の顔料を、該顔料として使用することができる。使用した該結合剤は、SBラテックスであった。
【0023】
該塗工クレー液において使用した主成分は、100部のカオリン及び14部の結合剤であった。使用した該カオリンの粒度分布は、2μm未満の粒径を持つ粒子部分が、セディグラフ(Sedigraph) 5100によって測定した値として、85〜95%なる範囲となる様な分布であった。さらに、該塗工クレー液は、約3.3部のそれ自体公知の添加物を含んでいた。該塗工クレー液の固形分含有率は、61w-%であった。
塗工後、該紙をスーパーカレンダー掛けして、光沢レベルを65%とした。
本発明による抄造見本シートの密度を測定したところ、7,900s/100mLであった。実施例1とは異なり、別のパイロット乾燥器は使用しないが、該紙を、通常よりも高い乾燥度まで塗工処理との関連で乾燥した。結果として、スーパーカレンダー掛け後に、生成された該紙の終点含水率は3%であった。
【0024】
これらの紙を、ハイデルベルグ(Heidelberg) M600印刷機を用いて、HSWO印刷法により印刷した。それ自体公知の市販のHSWOインクを、この印刷において使用した。該ウエブの出口温度は、乾燥後に130℃であった。
印刷後、本発明による印刷用紙と実施例1の基準紙とを比較したところ、波むら、たるみに関するかなりの改善が、肉眼的検討の際に、本発明による印刷紙において観測された。
該紙の製造、塗工、カレンダー掛け及び印刷は、それ自体公知の方法で実施した。また、ここでは、これらについてこれ以上の詳細な説明はしない。
全てのテストにおいて、本発明による紙は、紙の波むら、たるみ及び平坦性並びに圧痕の鮮明性に関して、良好な印刷用紙であることが判明した。さらに、本発明の紙は、ブリスタリングの問題を示さなかった。
【0025】
要約すれば、本発明の方法は、良好な品位の印刷用紙を容易に提供し得るものであると結論付けることができる。
本発明による紙製品及びその製法は、多くの異なる種類の印刷紙製品の製造において利用するために、様々な態様で適用し得る。
本発明は、上で言及した実施例のみに限定されるものではなく、寧ろ、特許請求の範囲によって規定された発明の概念の範囲内で、多くの変更を行うことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を主成分とする原料物質から製造され、かつ印刷用紙として適用し得る紙製品であって、該紙製品の表面に十分な密度持たせて、該紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、7,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高くなるように、該紙製品の表面が仕上げられており、かつ該紙製品が、3.5%未満なる含水率まで乾燥されていることを特徴とする、前記紙製品。
【請求項2】
前記紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、10,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高い値である、請求項1記載の紙製品。
【請求項3】
前記紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、12,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高い値である、請求項1又は2記載の紙製品。
【請求項4】
前記紙製品が、3.0%未満なる含水率まで乾燥されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の紙製品。
【請求項5】
前記紙製品が、2.0%未満なる含水率まで乾燥されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の紙製品。
【請求項6】
2層以上の前記表面層が、高密度となるように調整されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の紙製品。
【請求項7】
前記紙製品が、HSWO印刷における印刷用紙として適用できるものである、請求項1〜6の何れか1項に記載の紙製品。
【請求項8】
印刷用紙として適用し得る紙を、繊維を主成分とする原料物質から製造する、紙製品の製造方法であって、該紙の表面に十分な密度を与え、結果として該製造される紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、7,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高くなるように、該紙の表面を仕上げ、かつ該紙を、3.5%未満なる含水率まで乾燥して、該紙製品を製造することを特徴とする、前記方法。
【請求項9】
前記紙の表面が、表面-サイジング及び/又は塗工処理によって仕上げられている、請求項8記載の方法。
【請求項10】
2層以上の前記表面層が、高密度となるように調整されている、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、100,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高くなるように調整されている、請求項8〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記紙製品の少なくとも一つの表面層の密度が、該紙製品全体から評価されたものとして、12,000s/100mLを越える、ガーレー-ヒル値を与えるのに十分に高い値となるように調整されている、請求項8〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記紙を、3.0%未満なる含水率まで乾燥して、前記紙製品を製造する、請求項8〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記紙を、2.0%未満なる含水率まで乾燥して、前記紙製品を製造する、請求項8〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記紙を、印刷に先立って実質的に乾燥する、請求項8〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記紙が、カレンダー掛けされている、請求項8〜15の何れか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−503986(P2013−503986A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528398(P2012−528398)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050687
【国際公開番号】WO2011/029995
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(509335384)ウーペーエム−キュンメネ コーポレイション (7)
【氏名又は名称原語表記】UPM−Kymmene Corporation
【Fターム(参考)】