説明

紙製食品包装容器

【課題】 紙製の食品包装容器は容器の枠を接着剤で接合し、容器の身の枠に底板を、容器の蓋の枠に天板を接着しているが、接着面の隙間から接着剤がはみだし体裁の悪い容器となる。
【解決手段】 帯状の身本体側壁部に溝を設け且つ切断面を枠状に接合し、底板を溝に嵌合し、底板の下面に接し側壁部から下方へ突出する脚壁部を側壁部の内壁面に接着し、段部を設けた蓋本体の側壁部を枠状に接合し、天板の下面を段部上に接着し、側壁部から下方へ突出する脚壁部を側壁部の内壁面に接着し、身本体及び蓋本体を加熱し、塗布面の隙間から接着剤がはみ出さないように、接着剤を蒸発させた紙製食品包装容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水漏れしない紙製食品包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
高温の液体を入れた紙製コップを把持したとき手に熱さを強く感じるのを防ぐため紙製コップの側壁を片面段ボール材で形成し、段ボール材の断熱効果で安全に手で持つことができるようにした紙製容器の発明がある。例えば
【特許文献1】特開平9ー77044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記公報の段落0013において段ボール材のライナーの液体収納部に面した側を防水のためにポリ塩化ビニル等でコーティング加工している、との記載があり、
また同公報の段落0021において側壁部に設けた糊代や、側壁部本体の下端と底部の間にポリ塩化ビニル等を塗布し、熱処理を行なうことにより接着固定するとの記載がある。
【0004】
しかしながら熱処理を行なったとき、接着された隙間からポリ塩化ビニル等の塗布剤がはみだしたままで高級な食品包装容器としての商品価値が余り考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、例えばおせち料理を入れる重箱とか、和菓子の高級な羊羮を入れる美麗な紙製食品包装容器を水分が洩れないものにし且つ、構造を堅牢にしたのであり、
容器の身本体の側壁部材を、両面にライナーを貼りつけた帯状のBフルートまたはEフルートの段ボール材を二つ折りして重ね合わせ、BフルートまたはEフルートの一面の端部寄りに長手方向の溝を切入し、裏打ち材を貼り付けた化粧紙を二つ折りしてその端部を、BフルートまたはEフルートの積層材に設けている溝を被覆しないように張り合せ、該側壁部材の角を45度斜めに切断して所望片の側壁部を成形し各角面を接着剤で枠状に接合する。
【0006】
容器の身本体の底板部材を前記溝に嵌合する厚さの厚紙の両面に化粧紙を貼り付けているもので形成し、底板部材を所望形状に切断して底板を成形する。
【0007】
更に該底板部材を二つ折りすると共に前記溝に嵌合する底板の下面に接し且つ側壁部の下端面から下方へ突出する巾を有する脚壁部材を形成し、該脚壁部材を45度斜めに切断して所望片の脚壁部を成形し、各角面を接着剤で枠状に接合すると共に側壁部の下部内壁に接着剤で接合する。
【0008】
容器の蓋本体の側壁部材を、片面にライナーを貼りつけた帯状の段ボール材からなるBフルートまたはEフルートの表面に化粧紙を張り合せると共に三つ折りし、その開放端部の巾を二つ折りした巾より短くし開放端部に段差を設けるように重ね合わせて形成し、側壁部材の角を45度斜めに切断して所望片の側壁部を成形し各角面を接着剤で枠状に接合する。
【0009】
容器の蓋本体の天板部材は容器の身本体の前記底板部材と同様の構成であり、その縁部下面を側壁部の上面に設けている段部に接着剤で接合する。
【0010】
容器の蓋本体の脚壁部材は前記身本体の脚壁部材と同様に構成され、脚壁部材を45度斜めに切断して所望片の脚壁部を成形し各角面を接着剤で枠状に接合すると共に脚壁部の外壁面を側壁部の内壁面に接着剤で接合するのであり、
接着剤を塗布して成形した容器の身本体と蓋本体を加熱し、接着剤塗布面の隙間から接着剤がはみ出ていない、然も水洩れのしない美麗で商品価値の高い紙製食品包装容器を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0011】
加熱処理すると、容器の身本体と蓋本体の接着剤塗布面の隙間から接着剤がはみ出ている場合においても接着剤が蒸発して残留しないため、美麗で体裁が良く然も水洩れのしない高級紙製食品包装容器が得られるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図8に示すように容器の身本体1の側壁部材2を、両面にライナー3を貼りつけたBフルートまたはEフルートからなる帯状の段ボール材を重ね合わせてライナー3同士を接着し、BフルートまたはEフルートの片面端部寄りに長手方向の溝4を切入し、裏打ち材を貼り付けた化粧紙5を二つ折りしてその端部を、BフルートまたはEフルートからなる積層材の溝4を除いて貼り合わせ、図1及び図2に示すように側壁部材2を所望の長さに切断して側壁部6を成形し、各角面6aを瞬間接着剤を使用して枠状に接合する。
【0013】
端縁が前記溝4に嵌合する底板部材7を、厚紙の両面に化粧紙を貼り付けて形成し、底板部材7を所望形状に切断して底板8を成形する。
【0014】
更に該底板部材7を二つ折りすると共に前記溝4に嵌合した底板8の下面に接し且つ側壁部6の下端面から下方へ突出する巾を有する脚壁部材9を形成し、該脚壁部材9を所望の長さに切断して脚壁部10を成形し、各角面10aを瞬間接着剤を使用して枠状に接合すると共に脚壁部10の外壁面を側壁部6の下部内壁面に瞬間接着剤で接着する。
【0015】
BフルートまたはEフルートからなり片面にライナー13を貼りつけた帯状の段ボール材の該ライナー13に裏打ち材を貼り付けた化粧紙5を貼り合せると共に4本の折り筋12cを設けて二つ折りし重ね合わせ、更に開放端部12aの巾を二つ折りした面の巾より短くすることにより三つ折りし重ね合わせたとき開放端部12aに段部12bが形成されるように容器の蓋本体11の側壁部材12を形成し、側壁部材12を所望の長さに切断して側壁部14を成形し、各角面14aを瞬間接着剤を使用して枠状に接合する。
【0016】
容器の蓋本体11の天板部材15は容器の身本体1の前記底板部材7と同様の構成であり、底板部材7を所望形状に切断して天板16を成形し、その縁部下面を枠状に接合した側壁部14の前記段部12bに瞬間接着剤を使用して接着する。
【0017】
容器の蓋本体11の脚壁部材17は前記容器の身本体1の脚壁部材9と同様に構成され、脚壁部材17を所望長さに切断して脚壁部18を成形し、その各角面18aを瞬間接着剤を使用して枠状に接合すると共に脚壁部18の外壁面を側壁部14の内側面に瞬間接着剤を使用して接着する。このようにして構成した身本体1と蓋本体11を、電熱オーブンでセ氏140度で2分乃至2分30秒間加熱し、塗布面の隙間から瞬間接着剤がはみ出ていない、然も水洩れのしない美麗で商品価値の高い紙製食品包装容器を得るのである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
美麗で体裁が良く水洩れのしない紙製の高級食品包装容器を廉価に提供でき市場性に富んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る容器の身本体を示す平面図。
【図2】同、底面図。
【図3】図1におけるA−A断面図。
【図4】本発明に係る容器の蓋本体を示す正面図。
【図5】図4におけるA−A断面図。
【図6】容器の身の側壁部材を示す正面図。
【図7】同、背面図。
【図8】図6における拡大A−A断面図。
【図9】容器の蓋本体の側壁部材を展開した状態を示す要部切断平面図。
【図10】同、側壁部材を三つ折りした状態を示す平面図。
【図11】本発明に係る天板部材または底板部材を示す正面図。
【図12】本発明に係る容器の身本体の一部を切り開いて内部構造を示す拡大正面 図。
【図13】容器の蓋本体を示す平面図。
【図14】容器の蓋本体を示す底面図。
【図15】本発明に係る脚壁部材を示す側面図。
【符号の説明】
【0020】
1 容器の身本体 4 溝 6、14 側壁部 8 底板
10、18 脚壁部 11 容器の蓋本体 12c 段差
16 天板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の段ボール材からなり表面に化粧紙を貼り付けた側壁部材に長手方向の溝を設けると共に側壁部材を所望長さに切断して形成した身本体側壁部の各角面を接着剤で枠状に接合し、表面に化粧紙を貼り付けた厚紙からなる底板を溝に嵌合すると共に、底板の下面に接し且つ側壁部の下端面から下方へ突出する巾を有する脚壁部材を所望長さに切断して形成した身本体脚壁部の切断面を接着剤で枠状に接合した脚壁部を側壁部の内壁面に接着剤で接着して容器の身本体を成形し、 帯状の段ボール材からなり表面に化粧紙を貼り付け且つ折り重ね合わせ、その開放端部の巾を折り重ね面の巾より短くし段部を形成した側壁部材を所望長さに切断し切断面を接着剤で枠状に接合して蓋本体の側壁部を形成し、表面に化粧紙を貼り付けた厚紙からなる天板の縁部下面を段部上面に接着剤で接着すると共に、側壁部の下端面から下方へ突出する巾を有する脚壁部材を所望長さに切断し切断面を接着剤で枠状に接合した脚壁部を側壁部の内壁面に接着剤で接着して容器の蓋本体を成形し、容器の身本体及び蓋本体を加熱し、接着剤が塗布面の隙間からはみ出さないようにしたことを特徴とする紙製食品包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−30768(P2008−30768A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203572(P2006−203572)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(500098688)
【Fターム(参考)】