説明

紙鉄砲玩具

【課題】 順次発射体を生成して射出することのできる紙鉄砲玩具を提供する。
【解決手段】 紙鉄砲玩具1は、把持部11を有する筐体10と、筐体10に固定される銃身部30と、筐体10に対して前後方向に移動可能に配置される操作部12と、回動可能に接続される引き金部13と、帯状の紙を銃身部30の軸心上に保持するローラー及びローラー回動手段を有する紙送出機構と、ローラーによって保持される紙に対して接離可能に配置される冠形状の切断刃及び該切断刃を押圧する押圧部材45を有する紙切断機構と、銃身部30の軸心上に固定されたシリンダ50、該シリンダ50内を前後方向に移動可能に配置されるピストン51及び該ピストン51を前方に付勢する弾性部材を有する空気押出機構5と、シリンダ50から前方に延在する円筒管の先端部及び該先端部が嵌合される銃身部30の銃腔部を有する紙絞り機構と、ピストン51を弾性部材の弾性力に抗して係止する係止機構と、を備えることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧により発射体を発射させる紙鉄砲玩具であって、特に、発射準備操作において生成された弾丸を発射させる紙鉄砲玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気圧により弾丸を発射する様々な空気銃玩具が提案されている。例えば、特許文献1の発明は、銃身部と、先端側が銃身部内に挿入され且つ後端側の操作部が銃身部の後部から突出し銃身部の軸線方向に往復動作可能な押し棒とを備え、銃身部の先端である銃口近くに保持されたゴム製の玉を、当該玉の後方位置に装填されたゴム製の他の玉を押し棒で押し込みこれら2つの玉の間に存在する空気の圧力を高めることにより、銃口から発射するように構成された空気銃玩具であって、銃身部の外周において銃口から後方に所定距離隔てた位置に玉装填部が設けられているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−13899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、押し棒を銃身部から抜くことなく、ゴム製の玉を発射体として銃身部に装填することができるように構成されているが、既成の発射体を発射前に装填する必要があるため、成型された発射体を事前に用意しておく必要があった。
【0005】
又、既成のプラスチックから成る球形状の発射体や、円板形状の発射体を発射可能とする空気銃玩具は従来多数発明されているが、空気銃玩具自身が発射体を生成するものは発明されておらず新しい趣向の空気銃玩具が要望されていた。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、紙製の発射体を順次生成して射出することのできる紙鉄砲玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紙鉄砲玩具は、把持部を有する筐体と、該筐体の前端に固定される銃身部と、前記筐体の前方下部において前記筐体に対して前後方向に移動可能に配置される操作部と、前記把持部の近傍に回動可能に接続される引き金部と、前記筐体の前端近傍に配置されて帯状の紙を前記銃身部の軸心上に保持するローラー及び該ローラーを回動させるローラー回動手段を有する紙送出機構と、前記ローラーによって前記銃身部の軸心上に保持される紙に対して前後方向に移動して接離可能に配置される冠形状の切断刃及び該切断刃を押圧する押圧部材を有する紙切断機構と、前記銃身部の軸心上に固定された円筒形状のシリンダ、該シリンダ内を前後方向に移動可能に配置されるピストン及び該ピストンを前方に付勢する弾性部材を有する空気押出機構と、前記シリンダから前方に延在する円筒管の先端部及び該先端部が嵌合される前記銃身部の銃腔部を有する紙絞り機構と、前記ピストンを前記弾性部材の弾性力に抗して係止する係止機構と、を備え、前記操作部を後方に移動させることによって、前記紙送出機構により前記紙を前記銃身部の軸心に対して垂直となる方向に移動させて前記紙を前記銃身部の軸心上に配置させ、前記紙切断機構により前記銃身部の軸心上に配置された前記紙を切断し、前記紙絞り機構により前記切断した紙の外周部を折込むことで発射体を生成し、前記係止機構により前記弾性部材の弾性力に抗して前記空気押出機構のピストンを係止し、前記引き金部を回動させることによって、前記ピストンの係止状態を解除し前記弾性部材の弾性力によってピストンを前記シリンダ内に挿入させて前記シリンダ内の内在空気を前記発射体に噴き当てて該発射体を前記銃身部の先端より前方に射出し、前記操作部を前方に移動させることによって、前記各機構が復帰するように構成されているものである。
【0008】
前記係止機構は、前記ピストンを係止すると共に前記操作部を係止して、前記ピストンと前記操作部の係止状態を個別に解除可能に構成されている。
【0009】
前記ピストンは、一端を閉口したピストン頭部として具備する円筒形状のピストンであって、前記ピストン頭部には円板状のリング取付板が固着され、該リング取付板は、後部の外径が前部に対して小さくなるように形成されて前記ピストン頭部に固着されたときに前記ピストン頭部と当該リング取付板の前部との間にリング溝が形成され、このリング溝に連通する透孔を備え、前記リング溝には、Oリングが摺動可能に配置されている。そして、この紙鉄砲玩具は、前記Oリングが前記ピストン頭部に密着されたときは、前記シリンダと前記ピストンとの間隙が前記Oリングによってシールされ、前記Oリングが前記リング取付板の前部に密着されたときは、前記シリンダと前記ピストンとの間隙と前記透孔とが連通されて前記シリンダと前記ピストンとの間隙に空気が流れるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作部を操作することにより、紙送出機構、紙切断機構、紙絞り機構及び空気押出機構が一連の動作をする発射準備動作を実行させることによって紙製弾丸を生成して銃腔部に保持し、引き金部を操作することにより、係止機構による空気押出機構の係止状態を解除することでシリンダに内在する空気をピストンによって圧縮噴出させて銃腔部内の発射体に噴き当てることによって紙製弾丸を銃口より射出し、操作部を初期位置に戻すことで各機構を復帰させて順次紙製弾丸を射出可能とする紙鉄砲玩具を提供することができる。
【0011】
又、係止機構が、操作部を係止しているため、容易に解除操作を行うことができる。更に、係止機構がピストンの係止状態の解除動作と操作部の係止状態の解除動作が異なるタイミングで実行されるように構成されているため、両係止状態が同時に解除される或いは操作部が係止されないことにより操作部がピストンの動作と同時に動くことを防止して、効率良く空気流を紙製弾丸に噴き当てて銃口より発射させることができる。
【0012】
又、ピストン取付板の前部とピストン頭部との間にOリングが摺動可能なリング溝を形成すると共にピストン頭部に固着されるリング取付板にはリング溝に連通する透孔を形成することによって、ピストンを後方に移動させる際には、シリンダ内周面との摩擦によってOリングがピストンに対して相対的に前方に移動してリング取付板と密着するため、透孔によってシリンダとピストンの間が連通して、容易にピストンを後方に移動させることができる。又、ピストンを前方に押し出す際には、シリンダ内周面との摩擦によってOリングがピストンに対して相対的に後方に移動してピストンのピストン頭部前端に密着するためシリンダとピストンとの間がシールされて、空気を効率良く紙製弾丸に噴き当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具の側面図である。
【図2】本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具の右側筐体を取り除いた側面図である。
【図3】本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具の主作動部材の外観斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具の弾丸形成部の側面模式図及びケースの下部を取り除いた下面図である。
【図5】本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具の空気押出機構の側面模式図である。
【図6】本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具の紙送出機構の動作を示す下面模式図である。
【図7】本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具の紙切断機構の動作を示す側面模式図である。
【図8】本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具の紙絞り機構の動作を示す側面模式図である。
【図9】本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具の空気押出機構の動作及び係止解除動作を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態を述べる。紙鉄砲玩具1は、把持部11を有する筐体10と、該筐体10の前端に固定される銃身部30と、筐体10の前方下部において筐体10に対して前後方向に移動可能に配置される操作部12と、把持部11の近傍に回動可能に接続される引き金部13と、筐体10の前端近傍に配置されて帯状の紙100を銃身部30の軸心上に保持するギア付ローラー36及び該ギア付ローラー36と対向配置されるローラー37並びにローラー36,37を回動させるローラー回動手段を有する紙送出機構4と、ローラー36,37によって銃身部30の軸心上に保持される紙100に対して前後方向に移動して接離可能に配置される冠形状の切断刃41及び該切断刃41を押圧する押圧部材45を有する紙切断機構7と、銃身部30の軸心上に固定された円筒形状のシリンダ50、該シリンダ50内を前後方向に移動可能に配置されるピストン51及び該ピストン51を前方に付勢する弾性部材であるコイルばね59を有する空気押出機構5と、シリンダ50から前方に延在する円筒管である気道管52の先端部である紙押出部53及び該紙押出部53が嵌合される銃身部30の銃腔部61を有する紙絞り機構6と、ピストン51をコイルばね59の弾性力に抗して係止する係止機構8と、を備えているものである。
【0015】
そして、この紙鉄砲玩具1は、操作部12を後方に移動させることによって、紙送出機構4により紙100を銃身部30の軸心に対して垂直となる方向に移動させて紙100を銃身部30の軸心上に配置させ、紙切断機構7により銃身部30の軸心上に配置された紙100を切断し、紙絞り機構6により切断した切断紙101の外周部を折込むことで発射体101aを生成し、係止機構8によりコイルばね59の弾性力に抗して空気押出機構5のピストン51を係止し、引き金部13を回動させることによって、ピストン51の係止状態を解除しコイルばね59の弾性力によってピストン51をシリンダ50内に挿入させてシリンダ50内の内在空気を発射体101aに噴き当てて該発射体101aを銃身部30の先端より前方に射出し、操作部12を前方に移動させることによって、各機構4〜8が復帰するように構成されているものである。
【0016】
又、係止機構8は、ピストン51を係止すると共に操作部12を係止して、ピストン51と操作部12の係止状態を個別に解除可能に構成されている。
【0017】
更に、ピストン51は、一端を閉口したピストン頭部51aとして具備する円筒形状のピストン51であって、ピストン頭部51aには円板状のリング取付板55が固着され、該リング取付板55は、後部の外径が前部に対して小さくなるように形成されてピストン頭部51aに固着されたときにピストン頭部51aと当該リング取付板55の前部との間にリング溝56が形成され、このリング溝56に連通する透孔57を備え、リング溝56には、Oリング54が摺動可能に配置されている。そして、この紙鉄砲玩具1は、Oリング54がピストン頭部51aに密着されたときは、シリンダ50とピストン51との間隙がOリング54によってシールされ、Oリング54がリング取付板55の前部に密着されたときは、シリンダ50とピストン51との間隙と透孔57とが連通されてシリンダ50とピストン51との間隙に空気が流れるように構成されている。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具1の側面図である。この紙鉄砲玩具1は、図1に示すように、銃の外観を模した中空形状の筐体10と、推進された発射体が通る経路を内部に有するバレル(銃身)を模した銃身部30と、発射準備の操作のために用いられるフォアアーム(先台)を模した操作部12と、発射動作を実行させるトリガー(引き金)を模した引き金部13と、を備えているものである。
【0019】
筐体10は、中空形状であって、夫々が略対称形状となるように当該筐体10の左右幅方向における中心面において二分した左側筐体と右側筐体とを対向させて一体として形成されるものである。又、この筐体10は、後方下部に片手で把持することのできるグリップ(銃把)を模した把持部11を有している。
【0020】
更に、この筐体10は、前端部近傍の左右側面に矩形状の開口14を有している。この開口14は、筐体10の前端近傍に配置されて帯状の紙を銃身部30の軸心上に保持するギア付ローラー36とローラー37の前後方向における移動範囲に対応して形成されている。即ち、この開口14は、ギア付ローラー36とローラー37との間に挟持される帯状の紙が左右に延在するように配置されるため、筐体10内に配置される各機構の動作によってローラー36,37が開口14の前端近傍に位置する初期状態の位置から後方に移動する際、或いは、ローラー36,37が開口14の後端近傍に位置した状態から初期状態へ復帰するように前方に移動した際に、紙が筐体10とローラー36,37との間に挟み込まれないように形成されているものである。
【0021】
そして、銃身部30は、軸心が筐体10の前後方向に対して平行となるように筐体10の前端に固定されているものである。又、操作部12は、筐体10の前方下部において筐体10に対して前後方向に摺動可能に配置されている。そして、引き金部13は、把持部11の上部前端近傍に回動可能に接続されて、把持部11を握ったときに人差し指で引く動作を行うことにより後方に回動させることができるようになっている。
【0022】
そして、この紙鉄砲玩具1は、筐体10内に紙送出機構と、紙切断機構と、紙絞り機構と、係止機構と、空気押出機構と、を備え、紙送出機構によって発射動作を繰り返す度に新しい弾丸を生成するための帯状の紙を送って銃身部30の軸心上に配置させると共に使用済の紙を排出し、銃身部30の軸心上に配置された紙を紙切断機構によって円形に切断し、更に紙絞り機構によって切断紙を絞ることで弾丸である発射体を生成し、空気押出機構によって押し出される圧縮空気流によって発射体を銃口から射出することのできるように構成されているものである。
【0023】
次に図2乃至図5を参照して、この紙鉄砲玩具1の内部構造と各部材について説明する。図2は、本発明の実施例に係る紙鉄砲玩具1の右側筐体を取り除いた側面図である。紙鉄砲玩具1の筐体10の中には、図2に示すように、操作部12の移動に連動して動作する主作動部材2や、該主作動部材2の移動に連動して動作する弾丸形成部3等が配置されている。
【0024】
そして、主作動部材2は、筐体10の略中央下方において前後方向に摺動可能に配置されており、操作部12の略中央上端において左右方向に配置される軸12aが主作動部材2の前端近傍に形成される挿着部20に挿着されることにより操作部12に連結されて、操作部12と一体的に移動することができるようになっている。
【0025】
又、弾丸形成部3は、筐体10の前端近傍において前後方向に摺動可能に配置されており、主作動部材2の前端近傍に形成され、略矩形状の摺動溝を有する連結部21に弾丸形成部3の後端近傍より下方に突出する連結柱32が遊挿されることにより主作動部材2に連結されている。
【0026】
又、筐体10の左右側面の略中央下方には前後を長手方向とする摺動開口17が形成されており、この摺動開口17に軸12aが遊挿されている。これにより、操作部12は、摺動開口17に沿って前後方向に移動することができる。そして、図示したように操作部12の軸12aが摺動開口17の前端に位置するように操作部12が配置されると、主作動部材2及び弾丸形成部3も当該部材の移動範囲における前端に配置された初期状態となる。
【0027】
そして、円筒形状のシリンダ50や一端が閉口された円筒形状のピストン51等から成る空気押出機構5が、主作動部材2の上方であって弾丸形成部3の後方に配置されている。そして、シリンダ50は筐体10に固定され、ピストン51はシリンダ50内を前後方向に移動可能に配置されている。又、ピストン51は、ピストン51と筐体10の後端近傍に配設される支持板16によって保持される弾性部材であるコイルばね59によって前方に付勢されるものである。
【0028】
又、空気押出機構5の上方には、前後を長手方向とする略平板状の押圧部材45が軸によって取り付けられている。この押圧部材45は、軸の前側が後述の切断刃を固定する固定筒40と係合して固定筒40を介して切断刃を押圧する係合部45aとして形成され、軸の後側が断面L字状の薄板材であって弾性変形可能な板ばね45bとして形成されている。
【0029】
そして、この板ばね45bの先端がシリンダ50の外周上面と係合することにより、係合部45aを板ばね45bに対して下方となるように配置させている。又、この係合部45aは、固定筒40と係合する前面下部が筐体10の前後方向に対して垂直となる平面として形成され、該平面の上端から前端に斜面が形成されて後述する弾丸形成部3のケースの突起と係合することができるようになっている。
【0030】
そして、この紙鉄砲玩具1は、筐体10内に配設される部材の組み合わせによって、紙送出機構と、紙切断機構と、紙絞り機構と、係止機構と、空気押出機構5と、を構成し、操作部12及び引き金部13を操作することによって、各機構を動作させることができるようになっている。
【0031】
主作動部材2は、図2及び図3に示すように、略矩形状の平板である基部27を有し、基部27の側面に形成される略矩形状の平板である摺動片29を筐体10の左右側板内面に形成される溝状のレールに嵌合させることで保持され、当該レールに沿って前後方向に摺動移動することができるようになっている。そして、主作動部材2は、基部27の前部下方に設けられた挿着部20と、挿着部20より前方に突出する連結部21と、基部27の前端より前方に突出する爪22と、基部27の上面所定位置において上方に突出する突起23と、基部27の後方に延在する延在部28と、を有しているものである。
【0032】
又、主作動部材2は、延在部28の後端において上方に突出するピストン押動部24と、延在部28の後端近傍において下方に突出する第1係止部25と、該第1係止部25の前方における延在部28下方に配置される第2係止部26と、を有している。
【0033】
そして、挿着部20には、前述したように操作部12内の左右方向に配設される軸12aが挿着されている。つまり、主作動部材2は、操作部12を動作させることにより挿着部20に力が加わって操作部12と一体的に動作されるようになっている。
【0034】
爪22は、先端に鉤部22aが設けられており、当該鉤部22aを後述する弾丸形成部3に配設されるギア付ラチェットのラチェットと係合させて主作動部材2を弾丸形成部3から離隔するように移動させることでラチェットを回動させることができるようになっている。
【0035】
突起23は、主作動部材2を後方の所定位置まで動作させたときに後述する弾丸形成部3の係止板31の先端において内方に突出するように形成される係合爪の斜面と接触して、係止板31の先端を右方へ弾性変形させることができる位置に設けられているものである。即ち、この突起23は、後述する弾丸形成部3の係止板31と筐体10に固定されるシリンダ50後端との係止状態を解除できるように形成されている。
【0036】
ピストン押動部24は、後述するピストン51の受部58と係合して、主作動部材2を後方に移動させたとき、ピストン51を弾性部材であるコイルばね59の弾性力に抗して後方へ移動させるものである。
【0037】
第1係止部25及び第2係止部26は、この第1係止部25と第2係止部26との間隙に嵌着可能に引き金部13の前上端に形成される係合凸部13aと共に係止機構を構成し、後述するピストン51を付勢するコイルばね59が圧縮された状態を維持するようにピストン51を係止するものである。
【0038】
そして、この第2係止部26は、左右方向を長手方向とする板ばね26bによって保持されて、第1係止部25と対向するように鉤部26aが設けられている。これにより、第1係止部25と第2係止部26の鉤部26aとの間には引き金部13の係合凸部13aを嵌着可能な嵌合空間が形成されることとなる。
【0039】
したがって、主作動部材2が後方に移動することにより、引き金部13の係合凸部13aに鉤部26aが当接して鉤部26aが前方に押圧されると、板ばね26bが弾性変形して鉤部26aが僅かに前方に移動するため、係合凸部13aが嵌合空間に嵌着されることとなる。尚、係合凸部13aの前面と第1係止部25の後面は、互いに対向される斜面として形成されており、主作動部材2が後方に移動して第1係止部25と係合凸部13aが係合したときに引き金部13を回動させると共に主作動部材2の延在部28を弾性変形させて嵌合空間に係合凸部13aを容易に嵌着させることができるようになっている。
【0040】
次に図4を参照して弾丸形成部3の内部構造について説明する。図4(a)は、本発明の実施例に係る弾丸形成部3の側面模式図であり、図4(b)は、ケース39の下部を取り除いた下面図である。
【0041】
弾丸形成部3は、図4に示すように、中空直方体形状のケース39と、該ケース39内に配置される切断刃41、切断刃41を固定する固定筒40、切断刃41及び固定筒40を保持する保持筒43、ローラー、並びに、歯車列等を有しているものである。又、ケース39には、前端に銃身部30が固着され、後端に係止板31が装着されている。
【0042】
切断刃41は、冠形状であって、円筒の外縁から軸方向に多数の刃が周方向に等間隔で配置されているものである。固定筒40は、切断刃41を先端に嵌合固着して切断刃41と一体とされることにより、切断刃41を保持するものである。保持筒43は、固定筒40及び切断刃41を内周面で保持する円筒部材である。
【0043】
そして、保持筒43と固定筒40は、夫々が前後方向に摺動移動することができるように配置されている。又、保持筒43と固定筒40との間には弾性部材であるコイルばね42が配置されている。このコイルばね42は、保持筒43の前端内面に内方に突出するように形成される突出部と切断刃41の後端外周縁における固定筒40の円筒部の前端によって挟持されている。即ち、コイルばね42は、保持筒43と固定筒40を互いに離隔させる方向に付勢しているものである。
【0044】
そして、この固定筒40の先端に嵌着固定される切断刃41は、ローラー36,37によって銃身部30の軸心上に保持される紙に対して前後方向に移動して接離可能な位置に配置されている。具体的には、切断刃41は、弾丸形成部3が後方に移動する際、押圧部材45(図2参照)の係合部45aと固定筒40の後端が係合することにより固定筒40を介して前側に押圧される。そして、この切断刃41は、弾丸形成部3が後方に移動することにより紙に対して相対的に前方に移動して紙に当接し更には貫くように前方に移動することで紙を切断して円形に切り抜く。又、この切断刃41は、弾丸形成部3が前方に移動する際や係合部45aと固定筒40との係合状態が解除された際には紙に対して相対的に後方に移動することで紙から離隔されるようになっている。
【0045】
銃身部30は、発射体の経路である円形貫通口として穿設された銃腔部61を有している。この銃腔部61は、後端の大径部62と後端近傍から前端近傍に形成される小径部63とを有している。又、この銃腔部61は、小径部63の内径に対して後端近傍の内径が大きくなるように案内斜面60が形成されている。又、銃腔部61の小径部63の後端近傍には、更に内径が僅かに小さくなるように、補助小径部64が形成されている。そして、大径部62は、銃身部30の後端が保持筒43の前端と当接されるように、且つ、切断刃41が挿入可能な大きさに形成されている。
【0046】
又、ケース39の後面板には固定筒40の後端が挿通される円形開口が形成されると共に当該円形開口の上端に前述した押圧部材45の前部が挿入される矩形状の開口が形成されている。そして、この円形開口の上端部であって矩形状開口の下端部における連通部には左右より内方に突出するように突起33が設けられて、押圧部材45の係合部45aに形成される斜面と係合して押圧部材45の前部を上方に押し上げることができるようになっている。
【0047】
係止板31は、弾性変形可能な略矩形状の薄肉の平板であって、後述するシリンダ50の前端と係合して、弾丸形成部3を筐体10に対して係止する係合爪31aを後端に有しているものである。この係合爪31aは、係止板31の先端から内方に突出するように形成されているものであり、シリンダ50と係合する後面を筐体10の前後方向に対して垂直となる平面として形成され、前述した主作動部材2の突起23と係合する前面を斜面として形成されているものである。
【0048】
そして、このケース39は、ラチェットと平歯車(第1ギア36a)とから成るギア付ラチェット35と、ローラーと平歯車(第2ギア35a)とから成るギア付ローラー36と、ギア付ローラー36と対向する位置に枢支されるローラー37と、を有している。
【0049】
このギア付ラチェット35は、ラチェットが主作動部材2の爪22と係合して、主作動部材2が弾丸形成部3に対して相対的に離隔するように移動したときに回動されるように配置されているものである。又、ギア付ローラー36は、ギア付ローラー36の平歯車である第2ギア36aがギア付ラチェット35の平歯車である第1ギア35aと噛み合うように配置されている。そして、ローラー37は、ギア付ローラー36と互いの軸が平行となるように対向して配置されている。
【0050】
そして、この爪22とギア付ラチェット35とギア付ローラー36の第2ギア36aは、ギア付ローラー36のローラーとギア付ローラー36と対向配置されるローラー37を回動させるローラー回動手段として構成されるものである。つまり、このローラー回動手段は、主作動部材2を弾丸形成部3に対して離隔するように移動させることにより、ギア付ラチェット35のラチェットに係合した爪22によってギア付ラチェット35を回動させることができ(即ち、第1ギア35aをラチェットと共に一体的に回動させることができ)、更に第1ギア35aと噛み合う第2ギア36aを回動させることによりギア付ローラー36を回動させることができるものである。
【0051】
そして、ローラー37は、図示しない弾性部材であるコイルばねによってギア付ローラー36に当接されるように付勢されているため、ギア付ローラー36が回動すると線接触するローラー37も回動することとなり、更に、ギア付ローラー36と当該ローラー37との間において紙を挟持することができる。
【0052】
又、このローラー37は、ローラー37の前方に形成される操作突起37aと連設されて前後方向に移動可能に配置されており、この操作突起37aを操作することでギア付ローラー36に接離自在となっている。又、このローラー37は、操作突起37aを操作することにより、ローラー36と離隔した状態を保てるように形成されている。
【0053】
尚、本実施例においてこのローラー37、該ローラー37を付勢するコイルばね、及び操作突起37aは、操作突起37aを内方且つ前方に押動させることでローラー37を外方に移動させてローラー37の軸受面である上面板及び下面板の後端が右側筐体の突起片と係合されるように構成され、ローラー37を筐体10の突起片に係合させてギア付ローラー36と離隔させたときに弾丸形成部3が筐体10に固定されて動かないようになっているため、紙をローラー間に容易に挿入可能とされているものであるが、このように構成する場合に限られることなく、様々なローラー37の付勢手段やギア付ローラー36に対する接離手段を採用することができる。
【0054】
即ち、この紙鉄砲玩具1は、各機構が初期状態にあるときに、操作突起37aを操作してローラー37をギア付ローラー36から離隔させて、帯状の紙をケース39の側面に形成される矩形開口である挿入口39aから挿入した後、操作突起37aを操作してローラー37を紙を介してギア付ローラー36に当接させることで容易に紙を当該紙鉄砲玩具1に装着することができるようになっている。
【0055】
尚、ギア付ラチェット35のラチェットには、弾性変形可能とする反転防止板38が装着されているため、主作動部材2が復帰するように前方に移動して爪22がラチェットと係合する際にギア付ラチェット35が反転して、紙が逆方向に送られることのないようになっている。
【0056】
次に、図2及び図5を参照して、空気押出機構5について説明する。図5は、本発明の実施例に係る空気押出機構5の側面模式図である。空気押出機構5は、円筒形状のシリンダ50と、一端を閉口したピストン頭部51aとして具備する円筒形状のピストン51と、弾性部材であるコイルばね59と、を有しているものである。
【0057】
シリンダ50は、中心軸が銃身部30の軸心と同軸となるように筐体10に固定されている。又、このシリンダ50の前端部には、銃身部30の軸心を中心軸とする円形開口である排気口50aが穿孔されている。そして、シリンダ50の前方には、排気口50aと連通され、シリンダ50内に挿入されるピストン51によって押し出された空気を排気口50aから銃腔部61へ送気するための気道管52が連設されている。
【0058】
この気道管52は、シリンダ50の前方に延在する円筒管であって、先端部が銃腔部61の小径部63に嵌入可能な大きさに形成された紙押出部53として形成されているものである。そして、ピストン51は、シリンダ50内を前後方向に摺動可能に配置されている。又、このピストン51のピストン頭部51aには、円板状のリング取付板55が螺着されている。このリング取付板55には、周方向に等間隔となるように透孔57が穿設されている。
【0059】
又、このリング取付板55は、後部の外径が前部に対して小さくなるように形成されている。即ち、このリング取付板55は、当該リング取付板55をピストン頭部51aに螺着したときに所定幅のリング溝56が形成されるように、当該リング取付板55前部の後方に所定距離だけ延在するように後部が形成されているものである。
【0060】
そして、このリング取付板55の前部とピストン頭部51aの間のリング溝56には、Oリング54がリング溝56の前後方向に摺動可能に装着されている。このようにOリング54をリング溝56に配置することで、Oリング54が後方に移動してピストン頭部51aに密着されたときは、シリンダ50とピストン51との間隙がOリング54によってシールされる。又、透孔57がリング溝56と連通されるように穿設されているため、Oリング54が前方に移動してリング取付板55の前部に密着されたときは、ピストン51の外周面とシリンダ50の内周面との間隙とリング取付板55の透孔57とが連通されて、シリンダ50とピストン51との間隙に空気が流れるようになる。
【0061】
そして、このコイルばね59は、一端が筐体10の支持板16に接触され、他端がピストン51のピストン頭部51a後端に接触されるように配置されている。つまり、このコイルばね59は、ピストン51の下方後端近傍に形成される受部58に前述のピストン押動部24が係合した状態で主作動部材2を後方に移動させることによって前後方向に圧縮されて、圧縮状態が解放されたときにピストン51を前方に押動させることができるように、ピストン51を前方に付勢している。
【0062】
以下、図6乃至図9を参照して、紙送出機構4、紙切断機構7、紙絞り機構6、空気押出機構5及び係止機構8の構成と動作について説明する。紙送出機構4は、図6に示すように、主作動部材2の爪22と、該爪22と係合するギア付ラチェット35と、該ギア付ラチェット35の第1ギア35aと噛み合う第2ギア36aを有するギア付ローラー36と、該ギア付ローラー36と共に紙100を挟持するローラー37と、から構成されているものである。
【0063】
又、この紙送出機構4は、初期位置にある操作部12が後方に移動操作されたときに、主作動部材2と共に弾丸形成部3が一体的に後方移動しないように弾丸形成部3を固定する係止板31と、紙送り動作が完了したときに弾丸形成部3の固定状態を解除する突起23を構成要素として更に備えているものである。
【0064】
この係止板31は、前述したように、先端において内方に突出するように係合爪31aが形成されているものである。そして、この紙送出機構4は、図6(a)に示すように、操作部12が初期位置に配置されているとき、弾丸形成部3の後端に装着された係止板31の係合爪31aが筐体10に固定されているシリンダ50の前端と係合するように配置されているものである。したがって、主作動部材2が操作部12と共に後方に移動した際、図6(b)に示すように、主作動部材2の連結部21の摺動溝に連結柱32が摺動自在に遊挿されているため、弾丸形成部3が主作動部材2と共に移動することなく固定される。
【0065】
つまり、係合爪31aがシリンダ50と係合することにより、主作動部材2が後方に移動したときに、弾丸形成部3を筐体10に対して固定して、爪22と係合するギア付ラチェット35を回動させることができる。そして、ギア付ラチェット35が回動すると、第1ギア35aと第2ギア36aが噛み合い状態にあるため、ギア付ローラー36が回動する。更に、ギア付ローラー36が回動すると、紙100を介して線接触しているローラー37が回動するため、ギア付ローラー36とローラー37によって挟持された紙100が銃身部30の軸心に対して垂直となる横方向に移動することとなる。即ち、紙送出機構4を動作させることで常に後述する発射体生成のための切断がなされていない新しい紙を銃身部30の軸心上に配置させることができる。
【0066】
尚、紙100は幅20mm程度で任意の長さに形成された帯状のものであって、予めギア付ローラー36とローラー37との間に挟み込まれているものである。ここで、ローラー37の前方には、前述したように図示しない弾性部材であるコイルばねが配置されてローラー37を後方に押圧しており、これによりギア付ローラー36とローラー37が紙100を挟持することができるようになっている。又、この紙100は、保持筒43の先端と銃身部30の後端とによっても挟持されているため、後述する紙切断機構7の切断刃41によって容易に紙100を切断することができるようになっている。
【0067】
ここで、保持筒43は、前述した保持筒43と固定筒40との間に配設されるコイルばね42に押圧されて銃身部30と共に紙100を挟持するものであるが、図4に示したように、初期状態から紙送出機構4が動作して紙100が送られる際においては(即ち、弾丸形成部3が初期位置に固定されている状態にあっては)、保持筒43の外周面において外方に突出するように垂設された係合板43aが、筐体10の受板と係合して保持筒43を前方に付勢するコイルばね42の弾性力に抗して保持筒43を後方に移動させた状態を維持している。
【0068】
つまり、紙送出機構4によって紙100が送られるときには、保持筒43と銃身部30との間には隙間が形成されており、ローラー回動手段によってローラー36,37を回動させることで、ローラー36,37に挟持される紙100を容易に横方向に送ることができる。
【0069】
そして、図6(b)に示したように、ギア付ラチェット35が1/5回転して紙100が送られると、主作動部材2の突起23が弾丸形成部3の係止板31先端の係合爪31aの前方に形成される斜面と係合し係止板31先端を外方に押動させる。したがって、係止板31は先端が外方に移動するように弾性変形して、係合爪31aとシリンダ50との係合状態が解除される。
【0070】
尚、この係止板31は、ケース39の側板より内方に突出する断面J字状部材によって初期状態のときに係合爪31aが下方に位置してシリンダ50と係合されるようになっており、突起23が係合爪31aの斜面に係合したときに弾性変形することができるようになっているが、このように係止板31を別の部材に成形してケース39に装着することなく、一体的に形成してもよい。
【0071】
そして、このとき主作動部材2と弾丸形成部3は、連結部21の摺動溝前端と弾丸形成部3の連結柱32とが係合するため、この状態より主作動部材2が後方に移動すると弾丸形成部3も主作動部材2と一体的に動作するようになる。つまり、この弾丸形成部3は、主作動部材2が移動することにより紙送出機構4が動作して紙100が送られている間は固定され、紙送出機構4による紙送りが完了した後は主作動部材2と連結されて一体的に移動することができるように構成されているものである。
【0072】
又、この銃身部30の軸心に配置された紙100は、紙切断機構7によって切断され紙絞り機構6によって発射体として成形されることとなるが、このように紙送出機構4を構成することで発射ごとに初期動作として新しい紙100を銃身部30の軸心に配置することができる。
【0073】
そして、紙切断機構7は、図7に示すように、切断刃41と、切断刃41を先端に固定する固定筒40と、固定筒40及び切断刃41を所定位置において前後方向に摺動自在に保持する保持筒43と、保持筒43を前方に押圧して銃身部30に接触させ且つ切断刃41を初期位置に復帰させるコイルばね42と、固定筒40を押圧して切断刃41を紙100に切り込ませる押圧部材45と、切断した切断紙101を保持する銃腔部61を有する銃身部30と、から構成されるものである。これにより、この紙切断機構7は、前方に付勢されて銃身部30の後端に密着する保持筒43と銃身部30後端との間であって銃身部30の軸心上に配置されるように挟持される紙100を切断刃41によって切断することができる。
【0074】
紙送出機構4によって紙100が送られた後、操作部12が更に後方に移動操作されることにより主作動部材2及び弾丸形成部3が所定位置に配置されると、この紙切断機構7は、図7(a)に示すように、押圧部材45の後端に形成される係合部45aが固定筒40の後端と接触する。又、このとき、係合板43aと筐体10の受板との係合状態は解除されているため、保持筒43と銃身部30は、保持筒43がコイルばね42によって前方に付勢されて銃身部30後端に当接されることで紙100を挟持している。
【0075】
そして、図7(b)に示すように、操作部12を更に後方に移動させることにより、主作動部材2及び弾丸形成部3を一体的に後方に移動させると、固定筒40が押圧部材45の係合部45aによって固定されることにより、切断刃41の刃が紙100に切り込まれて紙100が切断され、円形状の切断紙101が形成されることとなる。
【0076】
そして、切断刃41が銃腔部61の大径部62に押し込まれて完全に切断がなされると、押圧部材45の係合部45a前面に形成される斜面がケース39の後端において形成される突起33によって押圧されて、図7(c)に示すように、押圧部材45の前端が上方に移動するように板ばね45bが弾性変形する。これにより、係合部45aの斜面下方の平面と固定筒40後端との係合状態が解除されて、固定筒40がコイルばね42によって後方に押し出され、弾丸形成部3が主作動部材2と共に後方に更に移動することができるようになる。
【0077】
尚、この押圧部材45は、前述したように、シリンダ50の外面上部に当該押圧部材45の後部である断面L字状の板ばね45bを係合させることによって係合部45aが下方に位置しているため、弾丸形成部3が後方に移動する際、係合部45aが固定筒40の後端と係合されるようになっている。そして、突起33が係合部45aの斜面に係合したときに板ばね45bが弾性変形するようになっているが、このように押圧部材45を別の部材に成形して筐体10に装着する場合に限ることなく、筐体10やシリンダ50と一体的に形成し、又、部材全体を弾性変形させることとしてもよい。
【0078】
そして、紙切断機構7により紙100が切断されて円形状の切断紙101が形成されると、図8に示すように、紙絞り機構6によって切断紙101の外周部が折込まれて発射体101aが生成される。具体的には、この紙絞り機構6は、シリンダ50から前方に延在する円筒管である気道管52の先端部である紙押出部53と、該紙押出部53が嵌合される銃身部30の銃腔部61と、から構成されるものである。そして、図8(a)に示すように、紙100が切断された後、更に操作部12が後方に移動操作されることにより弾丸形成部3が主作動部材2と共に後方に移動すると、気道管52の先端である紙押出部53が切断紙101に当接することとなる。
【0079】
そして、図8(b)に示すように、更に弾丸形成部3が後方に移動すると、切断紙101は紙押出部53によって位置が固定されて、その外周部が銃腔部61の案内斜面60によって徐々に折込まれ、小径部63に押し込まれる。ここで、小径部63の後端近傍には小径部63よりも更に径の小さい補助小径部64が形成されているため、切断紙101は、補助小径部64を通過する際に外周部が更に内方に折込まれて発射体101aとして成形されることとなる。
【0080】
そして、補助小径部64を通過した発射体101aは、僅かに外方にその外周部が広がるも、断面略コ字状に形成されると共に紙押出部53と小径部63に外周部が挟持された密着状態を維持しているため、後述する空気押出機構5による空気を効率良く受けることができるようになっている。
【0081】
そして、操作部12を後方に移動させる際、主作動部材2の後端に形成されるピストン押動部24がピストン51の受部58を押圧することによりピストン51が後方に押動される。そして、図9(a)に示すように、操作部12が後端まで移動すると、ピストン51後端に配置されるコイルばね59は圧縮され、係止機構8によってこの圧縮された状態が維持される。
【0082】
この係止機構8は、主作動部材2の後端近傍に形成される第1係止部25及び第2係止部26並びに引き金部13の係合凸部13aによって構成されるものである。そして、引き金部13の係合凸部13aが第1係止部25と第2係止部26との間に形成される嵌合空間に嵌着されることにより、係合凸部13aが第1係止部25を係止してピストン押動部24がピストン51をコイルばね59の弾性力に抗して係止する。
【0083】
そして、この係止状態にあるときに、ユーザが引き金を引く動作をするように引き金部13を回動させると、図9(b)に示すように、係合凸部13aが第2係止部26の鉤部26aを押下げる。これにより、延在部28が撓んで主作動部材2の後端が下方に移動し、ピストン押動部24と受部58との係合状態が解除され、ピストン51がコイルばね59の弾性力よって前方に押動される。
【0084】
そして、ピストン51の係止状態が解除されることにより、当該ピストン51がコイルばね59の弾性力によってシリンダ50内に勢いよく挿入されると、シリンダ50の内在空気が排気口50aから圧縮噴出され、気道管52を介して銃腔部61内に流れ込み、銃腔部61内において保持される発射体101aに加圧する。したがって、発射体101aは、シリンダ50より噴出した圧縮空気流によって押し出され、銃口より射出されることとなる。
【0085】
そして、引き金部13を更に回動させると、板ばね26bを弾性変形させるように係合凸部13aが鉤部26aを押圧するため、第2係止部26が第1係止部25から僅かに離隔して、図9(c)に示すように、第1係止部25と第2係止部26との間である嵌合空間に嵌着されていた係合凸部13aが外れることとなる。
【0086】
これにより、主作動部材2及び弾丸形成部3並びに操作部12の係止状態が解除されるため、操作部12を再び前方に移動させれば、紙鉄砲玩具1の各機構4〜8を初期状態へ復帰させることができる。又、引き金部13についても、把持部11上方に配設される断面コ字状の支持板と引き金部13の下部後端に装着される弾性部材であるコイルばね15の弾性力によって、引き金部13の下部が前方に押動されるため復帰可能となっている。
【0087】
このように、紙送出機構4、紙切断機構7、紙絞り機構6、及び空気押出機構5を備えることで、操作部12を操作することにより、紙送出機構4、紙切断機構7、紙絞り機構6及び空気押出機構5が一連の動作をする発射準備動作を実行させることによって発射体101aを生成して銃腔部61に保持し、引き金部13を操作することにより、係止機構8による空気押出機構5の係止状態を解除することでシリンダ50に内在する空気をピストン51によって圧縮噴出させて銃腔部61内の発射体101aに噴き当てることによって発射体101aを銃口より射出し、操作部12を初期位置に戻すことで各機構4〜8を復帰させて順次発射体101aを射出可能とする紙鉄砲玩具1を提供することができる。
【0088】
そして、この紙鉄砲玩具1は、紙100を発射体101aとして成形することができるため、既成の発射体を事前に準備することなく、身近の紙を用いて手軽に遊戯を楽しむことができると共に、射出された発射体101aが肌に当たったとしても怪我をすることがないため安心して遊ぶことができる。更に、発射体101aの廃棄についても懸念する必要がない。
【0089】
そして、この紙鉄砲玩具1は、係止機構8が空気押出機構5の係止状態の解除動作と操作部12の係止状態の解除動作が異なるタイミングで実行されるように構成されているため、両係止状態が同時に解除される場合や操作部12が係止されない場合であって、下方に向けて発射体101aを射出する或いは引き金部13の回動による係止解除動作に起因して操作部12、主作動部材2、及び弾丸形成部3が空気押出機構5の動作と同時に動くことを防止して、効率良く空気流を発射体101aに噴き当てることができる。
【0090】
又、ピストン51の前端に固着されるリング取付板55にはリング溝56に連通するように透孔57が穿設されているため、ピストン51を後方に移動させる際には、シリンダ50内周面との摩擦によってOリング54がピストン51に対して相対的に前方に移動してリング取付板55の前部と密着するため、透孔57によってシリンダ50とピストン51の間が連通する。これにより、気道管52の先端部に発射体101aが密着している状態であっても、シリンダ50の後方よりシリンダ50内に空気を流れ込ませることができるため、容易にピストン51を後方に移動させることができる。
【0091】
又、空気押出機構5の係止状態を解除してピストン51をコイルばね59によって前方に押し出す際には、シリンダ50内周面との摩擦によってOリング54がピストン51に対して相対的に後方に移動してピストン51のピストン頭部51a前端に密着するためシリンダ50とピストン51との間がシールされて、空気を効率良く発射体101aに噴き当てることができる。
【0092】
又、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、銃身部30は、弾丸形成部3に固着する場合に限定されることなく、弾丸形成部3に着脱可能とする構成を採用してもよい。これにより、容易に銃腔部61や気道管52のメンテナンスを実施することができる。
【0093】
そして、銃腔部61には、発射体101aを容易且つ確実に成形するために、案内斜面60や、補助小径部64を設けているが、案内斜面60を形成することなく大径部62と小径部63を銃身部30の軸心に対して直交する平面で連設してもよいし、補助小径部64を省略することもできる。更に、紙製弾丸としての発射体101aの切り抜き形状は、円形に限られることなく、楕円形としてもよいし、六角形や八角形等の多角形としてもよい。
【0094】
又、この紙鉄砲玩具1は、紙を収容する容器を更に備え、長い帯状の紙100を巻いてコンパクトにまとめたテープロールを当該容器に収納することで、連続して発射体101aを生成して発射することができる。この容器は、例えば中空円柱形状であって円周面に紙の幅に対応した切り込みが形成されているものである。そして、この容器をケース39の側板に固着して、容器に紙を収容した状態で一端部をローラー36,37に挟持させれば、発射の度に容器から紙がローラー36,37へと送られることとなる。
【符号の説明】
【0095】
1 紙鉄砲玩具 2 主作動部材
3 弾丸形成部 4 紙送出機構
5 空気押出機構 6 紙絞り機構
7 紙切断機構 8 係止機構
10 筐体 11 把持部
12 操作部 12a 軸
13 引き金部 13a 係合凸部
14 開口 15 コイルばね
16 支持板 17 摺動開口
20 挿着部 21 連結部
22 爪 22a 鉤部
23 突起 24 ピストン押動部
25 第1係止部 26 第2係止部
26a 鉤部 26b 板ばね
27 基部 28 延在部
29 摺動片 30 銃身部
31 係止板 31a 係合爪
32 連結柱 33 突起
35 ギア付ラチェット 35a 第1ギア
36 ギア付ローラー 36a 第2ギア
37 ローラー 37a 操作突起
38 反転防止板 39 ケース
39a 挿入口 40 固定筒
41 切断刃 42 コイルばね
43 保持筒 43a 係合板
45 押圧部材 45a 係合部
45b 板ばね 50 シリンダ
50a 排気口 51 ピストン
51a ピストン頭部 52 気道管
53 紙押出部 54 Oリング
55 リング取付板 56 リング溝
57 透孔 58 受部
59 コイルばね 60 案内斜面
61 銃腔部 62 大径部
63 小径部 64 補助小径部
100 紙 101 切断紙
101a 発射体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を有する筐体と、
該筐体の前端に固定される銃身部と、
前記筐体の前方下部において前記筐体に対して前後方向に移動可能に配置される操作部と、
前記把持部の近傍に回動可能に接続される引き金部と、
前記筐体の前端近傍に配置されて帯状の紙を前記銃身部の軸心上に保持するローラー及び該ローラーを回動させるローラー回動手段を有する紙送出機構と、
前記ローラーによって前記銃身部の軸心上に保持される紙に対して前後方向に移動して接離可能に配置される冠形状の切断刃及び該切断刃を押圧する押圧部材を有する紙切断機構と、
前記銃身部の軸心上に固定された円筒形状のシリンダ、該シリンダ内を前後方向に移動可能に配置されるピストン及び該ピストンを前方に付勢する弾性部材を有する空気押出機構と、
前記シリンダから前方に延在する円筒管の先端部及び該先端部が嵌合される前記銃身部の銃腔部を有する紙絞り機構と、
前記ピストンを前記弾性部材の弾性力に抗して係止する係止機構と、を備え、
前記操作部を後方に移動させることによって、前記紙送出機構により前記紙を前記銃身部の軸心に対して垂直となる方向に移動させて前記紙を前記銃身部の軸心上に配置させ、前記紙切断機構により前記銃身部の軸心上に配置された前記紙を切断し、前記紙絞り機構により前記切断した紙の外周部を折込むことで発射体を生成し、前記係止機構により前記弾性部材の弾性力に抗して前記空気押出機構のピストンを係止し、
前記引き金部を回動させることによって、前記ピストンの係止状態を解除し前記弾性部材の弾性力によってピストンを前記シリンダ内に挿入させて前記シリンダ内の内在空気を前記発射体に噴き当てて該発射体を前記銃身部の先端より前方に射出し、
前記操作部を前方に移動させることによって、前記各機構が復帰するように構成されていることを特徴とする紙鉄砲玩具。
【請求項2】
前記係止機構は、前記ピストンを係止すると共に前記操作部を係止して、前記ピストンと前記操作部の係止状態を個別に解除可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の紙鉄砲玩具。
【請求項3】
前記ピストンは、一端を閉口したピストン頭部として具備する円筒形状のピストンであって、前記ピストン頭部には円板状のリング取付板が固着され、
該リング取付板は、後部の外径が前部に対して小さくなるように形成されて前記ピストン頭部に固着されたときに前記ピストン頭部と当該リング取付板の前部との間にリング溝が形成され、このリング溝に連通する透孔を備え、
前記リング溝には、Oリングが摺動可能に配置され、
前記Oリングが前記ピストン頭部に密着されたときは、前記シリンダと前記ピストンとの間隙が前記Oリングによってシールされ、前記Oリングが前記リング取付板の前部に密着されたときは、前記シリンダと前記ピストンとの間隙と前記透孔とが連通されて前記シリンダと前記ピストンとの間隙に空気が流れるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙鉄砲玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−169274(P2010−169274A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9584(P2009−9584)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(399012929)株式会社アガツマ (26)
【Fターム(参考)】