説明

紙/板紙を塗工するための方法

本発明は、少なくとも1つの供給室(12)と、供給室と関連するノズルスロット(30)とを備えるノズルビーム(40)を含み、ノズルスロットは、少なくとも1つの塗工材料層をノズルビーム(40)によって構築される流れ平面(35)の上に供給する平面供給カーテン塗工機で紙/板紙を塗工する方法に関する。本方法は、議論されている層と関連する供給スロット(30)の下流で、流れ平面(35)上の少なくとも1つの塗工材料層(2)の横方向厚さプロファイルを決定するステップを含み、少なくとも1つの塗工材料層(2)のこのようにして発見される横方向厚さプロファイルに基づき、供給室(12)から供給スロット(30)への塗工材料層の供給量は、少なくとも1つの塗工材料層のための所望の横方向プロファイルを達成するために、ウェブ(W)の横方向にプロファイル化された操作に晒される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの供給室と、供給室と関連するノズルスロットとを備えるノズルビームを含み、ノズルスロットは、少なくとも1つの塗工材料層を、ノズルビームによって構築される流れ平面の上に供給する平面供給カーテン塗工機で紙/板紙を塗工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、紙/板紙ウェブの塗工ペーストの塗布を意図するカーテン塗工機の個々の塗工層における厚さの制御及び横方向プロファイルの規制可能性の改良を提供することを目的とする。
【0003】
カーテン塗工機をスロット供給及び平面供給塗工機に範疇化し得る。平面供給塗工機では、塗工材料は、ノズルを用いて傾斜面上に供給され、傾斜面に沿って平面のリップに向かって流れ、平面のリップから滴り落ちる塗工としてのカーテンになる。結果として得られる塗工材料のカーテンは、エッジガイドを用いて制御される。エッジガイドは、その名前によって示唆されるように、供給リップの縁部に位置する。本発明は、具体的には、平面供給カーテン塗工機に向けられている。
【0004】
従来技術のカーテン塗工機に共通の問題は、様々な運転条件の下で、現在塗工されているウェブへの塗工材料の塗布のために、塗工材料の横方向プロファイルを制御することに関する。塗工プロファイルに亘る効果的且つ活性的な制御をもたらす従来的手段はない。問題は、単一の塗工材料層の制御、及び、多層塗工の場合における全体的な横方向塗工プロファイルの制御の双方に当て嵌まる。多層塗工において、塗工は、重なり合う多数の塗工材料層から形成される。
【0005】
ノズルビーム内の供給通路の形状が決定されるときに、塗工の全体的プロファイルを塗工フレームの設計段階において影響し得ることが先行的に知られている。塗工材料の特性及び/又は供給量が後続して変化するとき、変化は横方向プロファイルに明確な影響を有し、もはやそれを補正し得ない。同様に、製造における不正確性は、プロファイルに対する類似の不可逆的な影響を有する。
【0006】
単一層のための合理的に良好な横方向プロファイルを提供するために、実験的に或いは数理的に事前決定されたバイパス量を用いることによって規制することも可能である。バイパスという用語は、供給室内に供給される塗工材料の流れの一部を指し、それは供給室の他の下流端部から供給ビン又は貯蔵ビンに戻される。塗工材料バイパスの目的は、所与の最低量を超える塗工材料の流量が、ノズルユニット内の流れ通路内で、並びに、塗工材料の流れに面するその端部内で持続されることを保証することである。これの目的は、塗工材料の沈澱、及び、流れ通路の壁上の沈殿物の蓄積を回避することである。塗工材料の割合は変化するので、このバイパス量は、補正因数を用いることによって矯正されなければならない。これらは例えば粘度及び乾燥含有率の変化に起因する誤差の補償をもたらす。しかしながら、測定及び規制の角度はそのような適度なレベルにあり得るので、所望のプロファイルを全ての運転条件において制御された方法で得ることができない。
【0007】
フィンランド国特許出願番号第FI20035149号は、精密に特定の特的の等級の塗工材料及び供給量のための横方向塗工プロファイルの最適化を可能にする構成を開示している。加えて、かなりの範囲内でさえ最適化を遂行し得る。しかしながら、この最適化された供給量から逸脱するとき、或いは、塗工材料の特性に変更が行われるとき、横方向プロファイルは再び不完全になる。
【0008】
多層塗工プロセスの使用は、塗工の均一性及び全体的プロファイルに関するさらなる問題を招来する。各個別の層は、独自の特定の横方向プロファイルを有し、次いで、それは塗工層の全体的な供給量に特に依存する。多層塗工プロセスの使用は、全ての層の横方向プロファイルが傾斜し、さらに、同一方向にさえ傾斜する条件を極めて発展しそうであり、よって、塗工材料層によって共同して形成される全体的プロファイルは、もはや全ての要件を満足しない。
【0009】
他方、フィンランド国特許出願番号第FI20045056号は、塗工の全体的プロファイルを規制するための方法を開示している。該方法は、1つ又はそれより多くの個々の塗工材料層を規制することによって、ノズルビームの全体的プロファイル、即ち、塗工全体の横方向プロファイルの最適化を可能にする。しかしながら、記載された方法は、単一の材料層の横方向プロファイルの最適化を可能にしない。規制は、塗工全体の測定された横方向プロファイルに基づいて遂行されるので、単一層の厚さも、その横方向プロファイルも、所望に調節し得ない。規制は、明確に塗工全体のために横方向プロファイルを所望にもたらすことを可能にしない。故に、個々の塗工層又は複数の塗工層の横方向プロファイルは、依然として憂慮すべきほどに不十分なままである。
【0010】
引用されている出願の方法における規制のために遂行されるべき塗工の測定は、紙/板紙ウェブの表面から行われることがさらに留意されるべきである。紙からの測定は、概して脆弱なプロセスであり、全ての測定による欠陥は、それによって引き起こされる不正確な規制パラメータの結果として、塗工の均一性に対してさらなる影響を有する。ウェブの表面から単一層の厚さのための確実且つ正確な測定を行うことは、全く不可能ではないにしても、極めて困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
所望の厚さ及び横方向プロファイルを備えた個々の塗工材料層の形成、塗工されるべきウェブの横方向でノズルユニットの全長に亘る一貫した塗工の形成、並びに、運転進行中に様々な塗工材料及び供給量のための効果的且つ迅速な規制可能性を可能にする、カーテン塗工機で紙/板紙を塗工する方法の改良を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明の方法は、議論されている層との関連する供給スロットの下流で、流れ平面上の少なくとも1つの塗工材料層の横方向厚さプロファイルを決定するステップを含むこと、並びに、少なくとも1つの塗工材料層のこのようにして発見される横方向厚さプロファイルに基づき、供給室から供給スロットへの塗工材料層の供給量は、少なくとも1つの塗工材料層のための所望の横方向プロファイルを達成するために、ウェブの横方向にプロファイル化された操作に晒されることを特徴とする。
【0013】
よって、本発明は、個々の塗工材料層の厚さのための横方向プロファイルを、塗布前にさえ、ノズルビームの平面から直接的に測定することに基づく。同様に、その好適実施態様では、本発明の方法は、前記測定値に基づく供給室と供給スロットとの間の塗工材料流れの収縮、及び、それによるノズルビーム内の規制の自動化の双方を含む。本方法は、ウェブの全幅に亘る運転中、個々の塗工材料層の厚さ及び横方向プロファイルを局所的に規制可能である。この脈絡において、規制の局所的性質は、規制をウェブの横方向で所望の間隔で、具体的には、他の間隔と独立して遂行し得るという事実を指す。それ故に、換言すれば、塗工材料層中のプロファイルの規制を、所望値で、具体的には、横方向のプロファイルの他の区画に拘わらずに、そのようなそれぞれの間隔のために設定し得る。
【0014】
本発明は、プロファイルを所望に成形するために、横方向塗工プロファイルにおける相対的欠陥を矯正することを特に試みる。個々の塗工材料層に加え、本発明の方法は、塗工全体のために得られるべき所望の厚さ及び横方向プロファイルも同時に可能にする。正確且つ影響されない測定結果のために、測定がノズルビームの流れ平面から直接的に行われるのは大きな利点である。よって、測定及び測定結果は、塗工されている紙の特性によって何ら影響され得ない。本発明の他の利点は、塗工材料の種類が、規制及びその正確性に関して重要ではないことである。
【0015】
本発明の好適実施態様は、従属請求項2乃至8に記載される。本発明の方法を独立請求項9に従って、具体的には、少なくとも2つの供給室と、それと関連するノズルスロットとを備えるノズルビームを含み、ノズルスロットは、少なくとも2つの塗工材料層を、ノズルビームによって構築される流れ平面の上に供給するような平面供給カーテン塗工機に適用可能であり、当該方法は、請求項9の特徴部分に示されることによって特徴付けられる。次いで、本発明の構成は、請求項10の特徴部分に示されるものによって特徴付けられる。
【0016】
例示的な実施態様の以下の記載及び添付の図面において、本発明の詳細、特徴、及び、利点をより詳細に例証する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、多層塗工プロセスのために用いられる従来技術のノズルビーム40を例証している。塗工は、個々の塗工材料層から構成され、個々の塗工材料層は、ノズルビームの供給スロット30から流れ平面35上に供給され、さらに、ノズルビームの供給リップ33からウェブWの表面上に塗工カーテン4の形態で滴り落ちる。ノズルビームは、特定種類の塗工材料の組み合わせのために、並びに、その供給量及びバイパス量のために最適化された、供給通路システム及び構造を有する。運転パラメータの最適範囲が維持されるとき、結果は、通常、合理的に一貫した所望の厚さの横方向塗工プロファイルである。しかしながら、これらの最適値からの全ての偏差は、双方の個々の塗工材料層の横方向プロファイル及び塗工残対の横方向プロファイルにおける望ましくない変化を引き起こす。
【0018】
図2を参照すると、紙/板紙ウェブを塗工するための本発明の方法を適用する方法が基本的に示されている。本発明のこの実施態様は、ノズルビーム40を含み、ノズルビームは、4つのノズルビーム部材39a,39b,39c,39dから成り、且つ、ウェブWへの塗布のために、塗工カーテン4を形成し得る。本実施態様において、塗布ビーム40は3つの供給室12を備え、塗工材料は、等化室13,13bを経由して、供給室に対応するノズルスロットに放出される。塗工のために塗工材料の各個別の塗工材料層をもたらす塗工材料の流れは、各供給室に沿って、塗工材料バイパスのためのバイパス経路を選択的に備える反対端部に向かって進む。
【0019】
本発明の実施態様において、塗工カーテン4は3つの個々の塗工材料層1,2,3から成る。よって、本発明に関して、個々の塗工材料層の数も、前記層のいずれが本発明の方法を用いて規制されるかも、重要ではない。本来的に、供給室12及びノズルビーム40内で供給室に接続されるノズルスロット30の数は、描写されている例示的な実施態様に示されるような2つ又は3よりも大幅に多くてもよい。
【0020】
明瞭性のために、図2は、塗工材料を規制するためのノズル部材39bに関連する素子のみを描写している。よって、これらは塗工材料層のための塗工材料供給量を操作し、それによって、その横方向プロファイル及び厚さを規制するために用いられる。層1及び3のために設けられる対応する素子は、この脈絡において示されていない。必要であれば、後に記載される単一の個々の塗工材料層に関する規制を、全ての個々の層のためにも設け得る。
【0021】
中間層2のために実現され且つウェブWに塗布されるべき塗工材料の量を、塗工材料の総流量と総流量から調節されるバイパス流量との間の差として計算し得る。塗工材料の供給量のための測定値は、塗工材料の各個別の層のために提供される。塗工材料の基本総量を設定するための基礎として、これを用い得る。
【0022】
中間層の横方向プロファイル及び厚さに関する中間層の局所的な調節は、流れ平面から決定される塗工材料層の局所的な厚さに対応して遂行される。厚さを直接的に測定することによって、或いは、そのような層の厚さを間接的な測定手順を用いて決定することによって、塗工材料層の厚さの決定を行い得る。
【0023】
よって、ノズルビームの流れ平面35に沿って滴る塗工材料層の厚さを、そのように平面から直接的に測定し得る。非接触測定に基づくセンサを好適に用いることによって、測定を遂行し得る。センサは、応答レベル、即ち、この場合には、ノズルビームにおける流れ平面からの距離、及び、最上部塗工材料層の頂面からの距離の双方を別個に測定する。
【0024】
図3は、ノズルビームの流れ平面35からの塗工材料層の厚さのための測定を、部分拡大図で概略的に示している。例えば渦電流測定及び容量性測定に基いて動作する従来技術のセンサ44又はセンサ群を好適に用い得る。センサ44からノズルビームの流れ平面上に存在する頂面への距離A,Bは、容量性測定を用いて発見される。ノズルビームの流れ平面35までの距離Cを、代わりに、干渉に対するより高いイミュニティを有する渦電流測定を用いて遂行し得る。容量性及び渦電流測定に基づく、そのような一体化されたセンサは、商業的に入手可能である。
【0025】
そのようなセンサにおいて達成される測定精度は、1マイクロメートル未満でさえあり得る。流れ平面35に沿う滴るとき、塗工材料層は、典型的には0.5〜1mmのオーダの厚さを有する。従って、センサは、流れ平面上の塗工材料層の厚さの1%未満の変化を明瞭に検出可能である。この脈絡において特に理解されるべきことは、流れ平面上の塗工材料層の厚さが、一般的に、ウェブへの塗布後、そのような層の最終的な厚さに対して数10倍であることである。よって、ノズルビームの流れ平面から測定を行うことの他の利点は、測定方法において生じる絶対誤差が、層の厚さにおける大きな相対欠陥をもたらさないことである。
【0026】
センサから得られる測定結果から個々の塗工材料層の厚さを算定することは容易である。如何なる個々の層の厚さも測定結果間の差として発見するために、測定は各供給スロット30の後に最も便利に行われる。図3を参照すると、層1の厚さは、距離CとAとの間の差として得られ、層2の厚さは、層1の厚さを差し引いた後、CとBとの間の差として得られる。他の塗工材料層の厚さを決定するためにも同一の手順を用い得る。測定がノズルビームの長手方向に(よって、図1乃至3の画像面に対して垂直に)ウェブの全幅亘って行われるとき、各層の全体的横方向プロファイルが発見される。供給量は、ノズルビーム40にもたらされるフィードバックを用いてセンサで規制される。センサから受信される測定データに基づいて、所望の横方向層プロファイルをもたらすために、各供給スロット30の供給量が局所的に規制される。
【0027】
本発明の第二実施態様によれば、塗工材料層のための厚さプロファイルの決定を間接的にも行い得る。即ち、流れ平面を滴り落ちる塗工の表面速度は、塗工の厚さ、よって、塗工の供給量と明らかに相関することが観察された。この脈絡において、表面速度は、流れ平面と平行であり、且つ、流れ平面自体がどのように傾斜するよう構成されるかに依存して、ウェブの進行方向又は横方向のいずれかにおいて、紙/板紙の長さ方向にも本質的に関連する速度を示す。
【0028】
流れ平面に沿って滴る塗工の表面速度と塗工の厚さとの間の相関は、円滑な傾斜面に沿った流体の流れに関する文献において入手可能な式によっても支持される。流量に対するすべりの速度変化は、少なくとも概算のために、例えば、以下の式から導出される(Kistler,S.F.and Schweizer,P.M.“Liquid Film Coating”,Chapman & Hill, 1997):
【0029】
【数1】

ここで、
Hs=膜の厚さ g=重力の加速
μ=粘度 β=水平に対する滴り角度
Q=流速/幅の単位 p=材料の密度
【0030】
実際の測定は、塗工材料の流量変化と塗工の表面速度との間の明らかな相関を示した。測定において観察されるべき他の側面は、塗工の表面速度と塗工の平均速度との間の不一致である。塗工層の最上部での塗工の流量又は速度は、特定の相関因数だけ、塗工材料層内のさらに深い速度よりも高い。実際的実験に基づけば、塗工材料の流量が増大するに応じて、相対的流量変化の約3分の1が、流れ平面上の塗工層の厚さに適用され、約3分の2が、塗工層の流量に移転される、即ち、厚さ及び流量増大は上述のように比例するというのが一般的な結論である。相関のより正確な値は、例えば、塗工材料の特性、塗工層の厚さ、平面の傾斜、並びに、例えば走行パラメータに関する他の因子に依存する。
【0031】
塗工材料層の横方向プロファイルの流量に基づく決定に関して、それは、とりわけ、横ウェブ方向において観察される不一致、故に、この場合には、速度の差にも基づくことも本質的である。換言すれば、測定によって決定される塗工材料層の絶対厚さの精密な決定よりもさらに重要なことは、塗工層の横方向プロファイルを定めるために、流量、よって、局所的厚さに関して正確に発見されるのが、横ウェブ方向におけるこれらの相対的差だけであるということである。
【0032】
好ましくは、レーザ技術に基づく非接触測定を用いて、実際の表面速度の測定を行い得る。測定に適した従来技術の確実且つ頑丈なレーザ測定機器が、市場において豊富に入手可能である。正確な速度査定、速度、及び、経済に加え、レーザ測定によって提供される利点は、実際の被測定物、即ち、流れ平面から大幅に離れて測定機器を設定すること、及び、測定機器を抄紙機環境に存在する染みのような有害因子からも他の方法で保護することの双方の可能性である。
【0033】
表面速度の測定は、図2に従ったセンサを用いて行われる測定に関して上述されたのと基本的に同様に行われる。よって、個々の塗工材料層に関する横方向プロファイルの決定は、受信された速度測定値に基づいて計算される各厚さから先行する塗工材料層の厚さを減じることによって行われる。表面速度測定地点は、好ましくは、常に次の供給スロット出口孔31の直ぐ前である。この地点で、先行する供給スロット30において行われる塗工材料の補充後、塗工層の流量は安定する。最も便利には、測定は次の供給スロットの前に数ミリメートル行われ、そして、以前の供給スロットの後にそれぞれ少なくとも15ミリメートル行われる。
【0034】
塗工材料層のための横方向プロファイルの決定において得られるデータは、測定機器から自動アクチュエータ42にさらに伝達される。アクチュエータは、次いで、ノズルビーム40内に配置され且つ塗工材料の流れに対するさらに直接的な影響をもたらす素子19を動作する。中間層2の厚さのための局所的微調節は、実際には、ノズルビーム40にある供給スロット30内への塗工材料の流れを操作することによって行われる。図2の実施態様において、流れは、供給室13と供給スロット30との間の流れ通路の有効領域を変更することによって規制される。本発明の極めて好適な実施態様において、供給量の微調節は、供給室12と供給スロット30との間に設けられた等化室13の近傍で行われる。供給室12から等化室13への塗工材料の流れは、それらの間に設けられた供給孔18に収縮される。
【0035】
各供給孔18は穿孔19aを備え、穿孔は供給孔18の垂直区画に合流する。本発明のこの実施態様において、塗工材料の流れは、制御素子として作用する調節ピン19を用いて収縮される。各調節ピン19は、そのような穿孔19a内への長さ方向の移動のために構成されている。これらの長さ方向に移動可能な調節ピンは、今や前記アクチュエータ42によって直接的に動作される。
【0036】
調節ピンは、供給孔18内に延びる、好ましくは面取りされた内端部23を有する。調節ピン19は、パッキング22を用いて穿孔19a内で封止されている。供給孔18は、ノズル素子の長さ方向に、例えば、50〜600mm、好ましくは150〜300mmの相互距離を有する。その結果、前記供給孔間の間隔距離と等しい順序の正確性で、塗工層の厚さを局所的に操作し得る。それぞれ、塗工材料層の横方向プロファイルは、よって、実質的に等しい正確性で方法を用いても調節可能である。
【0037】
本来的には、他の規制手段を用いることによっても、供給室12と供給スロット30との間の塗工材料の供給量を規制し得る。図4は、塗工材料供給量が、順次、等化室13内に配置されたプロファイル化部材15を用いて、並びに、同様に動作する規制シャンク16によって行われるノズルビーム設計を例証している。明瞭性の故に、ノズルビーム40の1つのノズル部材39のみがこの図面中に描写されている。よって、この実施態様においては、アクチュエータ42は、これらの素子15,16に接続されている。プロファイル化部材15は、供給孔14を備える等化室の表面上に位置し、連続する供給孔によって定められる距離に亘って延在している。流れ通路の有効領域は、矢印Dによって指し示される方向の長手軸に対する横方向の位置に関してプロファイル化部材15を調節することによって変更される。単一の供給孔又は幾つかの供給孔の群のいずれかに関して、供給孔のサイズを操作するためにバーを用いることによって、その長手方向寸法の様々な地点で、供給室12から等化室13への塗工材料の流量を局所的に規制し得る。規制素子として機能する規制シャンク16は、ノズルビームの長さ方向に、即ち、横方向塗工プロファイルの方向に、例えば、50〜600mm、好ましくは150〜300mmの相互間隔を有する。
【0038】
各個別の塗工材料層に関して供給量をそのような局所的な規制に晒す本発明の方法における目的は、各塗工材料層の横方向プロファイルが所望になることである。具体的な目的は、所望の横方向プロファイルからの全ての偏差を解消することである。よって、本発明において、完全に直線な横方向プロファイルに向けて努力することが必要とは限らない。本発明の方法を用いることで、例えば、抄紙機内の乾燥区画の端部に向かって紙ウェブに起こる歪み、例えば、縁部での紙のそりを補償することが可能である。この場合には、塗工材料層がその縁部領域においてウェブの中央部におけるよりも薄く或いは厚くなり、それによって、乾燥プロセスの終わりにウェブ厚さの変化を補償するよう、供給室から供給スロットへの塗工材料の供給は局所的に規制される。
【0039】
もしノズルビームが自動化された横方向プロファイル制御を備えるならば、ノズルビームの流れ平面上で行われる測定に基づいて、横方向プロファイルを所望に精密に調節することが可能であり、品質測定器具は全く必要ない。本方法は、従来的な品質測定及びノズルビーム調節では殆どの場合に不可能であった、全ての層のための横方向プロファイルの最適化も可能にする。例えば、他の個別の塗工材料層が、それらの横方向区画に関して所望に調節され、全体的塗工の厚さ規制が、全体的な塗工厚さに対して相当の厚さを有する単一層を用いて行われるよう、全体的塗工のために可能な限り直線的且つ一貫した或いは概ね望ましい横方向プロファイルを生み出し得る。よって、特定の横方向プロファイルはこの層において追求されないが、所望に得られるのが確実に全体的塗工の横方向プロファイルであるよう、前記層のためのプロファイルは調節される。
【0040】
例えば、三層塗工では、上記の例示的な実施態様におけるように、頂層及び底層における塗工の量は小さく、典型的には、2〜4g/mのオーダである。他方、中間層は、大幅により大きな厚さを有し、例えば、8〜15g/mである。この結果として、頂層及び底層の横方向プロファイルにおける高い割合の変化さえも、塗工全体のための一貫した横方向プロファイルもたらすために、中間層における大きな補償的変更を要求しない。
【0041】
本発明によれば、各塗工材料層の横方向プロファイル規制は、好ましくは、補助的手段としてバイパス量の塗工層特有制御を用いることによって強化される。塗工層の横方向プロファイルへの影響のために、塗工材料のバイパスの増減を適用し得る。この種類の規制は、粗レベルで確実に起こる。横方向プロファイルの微調節は、塗工材料の供給−流量を規制することによって行われる。従って、補助的規制としてバイパスを用いることによって、供給室とノズルスロット30との間で、所与の材料層に特有の流量を規制する必要を減じることが可能である。
【0042】
横方向プロファイルの測定は早ければノズルビームの流れ平面35上で行われるので、本発明の他の本質的な利点は、実際の塗工プロセスを開始する前に、塗工材料層の横方向プロファイルを規制するために必要な調節手続きを遂行し得ることにある。供給量又はすべり特性に変更がなされるとしても、これは塗工プロセスの正に開始から最上級の塗工を達成することを可能にする。
【0043】
本発明の方法の選択的な手続きによれば、ノズルビームの流れ平面上で行われる測定のために用いられるセンサの配置及び数を、−故に、これは非接触測定に基づく如何なる測定器具の測定素子をも指す−広範な選択肢で実施し得る。もし、横断する、即ち、ウェブWの進行方向に対して横方向に移動可能なセンサが、図2に示されるフレーム43上に取り付けられるならば、たった1つの群のセンサを用いることによって、各個別の塗工材料層のために、ウェブ全体に亘って測定を行い得る。
【0044】
センサをウェブの進行方向にも移動可能にすることが可能であり、その場合には、1つの単一センサを用いて、ノズルビームの流れ平面上の各個別の塗工材料層の厚さを測定し得る。他方、ウェブの全幅に亘って各塗工材料層のために等間隔に配置されたセンサがあるよう、センサを固定し得る。塗工材料層の横方向プロファイルは、そのようなセンサの配列によってもたらされる測定情報に基づいて見出される。好ましくは、例えば、各調節ピン19のために少なくとも1つのセンサ44があるよう、センサを配置し得る。よって、塗工材料流量の調節は、関連するセンサによってもたらされる測定結果に基づいて行われる。
【0045】
本発明のさらなる特徴によれば、アクチュエータの使用は、横方向塗工プロファイルのためのみならず、機械方向塗工プロファイルのためにも可能である。塗工厚さを所望の方向に横方向プロファイル全体に亘って一貫して、具体的には、進行中の運転と同時に規制し得る。
【0046】
本発明の1つのさらなる特徴によれば、平面から塗工を測定するのに加え、繊維状ウェブへの塗布前に塗工材料層によって形成されるカーテンから他の測定が行われることも考えられる。最も便利には、レーザ測定を用いて高速測定として測定を遂行し得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】多層塗工プロセスのために用いられる従来技術のノズルビームを示す概略図である。
【図2】個々の塗工材料層のプロファイルが制御される紙/板紙ウェブを塗工するための方法に従った構成を原寸でないが基本的に示す概略図である。
【図3】塗工材料層の厚さをノズルビームの流れ平面から直接的に示す拡大図である。
【図4】本発明の方法を実施するための他の設計のノズルビームを示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの供給室と、該供給室と関連するノズルスロットとを備えるノズルビームを含み、前記ノズルスロットは、少なくとも1つの塗工材料層を、前記ノズルビームによって構築される流れ平面の上に供給する平面供給カーテン塗工機で紙/板紙を塗工する方法であって、
議論されている層と関連する前記供給スロットの下流で、前記流れ平面上の前記少なくとも1つの塗工材料層の横方向厚さプロファイルを決定するステップを含むこと、並びに、前記少なくとも1つの塗工材料層のこのようにして発見される横方向厚さプロファイルに基づき、前記供給室から前記供給スロットへの塗工材料層の供給量は、前記少なくとも1つの塗工材料層のための所望の横方向プロファイルを達成するために、ウェブの横方向にプロファイル化された操作に晒されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ウェブ上に構築されるべき塗工の全体的厚さ及び横方向プロファイルは、前記流れ平面上で前記塗工をもたらす塗工材料層の夫々の横方向厚さプロファイルを測定することによって、並びに、各供給スロットの前記供給量を規制するための基礎として測定値を用いることによって規制されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塗工材料層の前記横方向プロファイルを規制するために、前記塗工材料供給のバイパスをさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定は、非接触測定プロセスに基づく少なくとも1つの測定センサを用いて行われることを特徴とする、上記請求項のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記測定が前記センサを用いて本質的にウェブの全幅に亘って行われ得るよう、前記少なくとも1つの測定センサは、前記ノズルビームの長さ方向の移動のために構成されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記塗工材料層の横方向プロファイルの決定は、前記流れ平面に沿って流れる塗工の表面速度を測定することに基づくことを特徴とする、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
塗工されるべきウェブに亘って長さ方向に延在するよう構成され、カーテン塗工機の長さ方向に延在し且つ塗工材料を備える少なくとも1つの供給室と、カーテン塗工機の長さ方向に延在する、前記少なくとも1つの供給室と流れ連絡するノズルスロットとを備え、該ノズルスロットは、前記供給スロットの長さ方向の範囲に亘って各供給室から供給され且つ前記ノズルスロットの出口孔からさらに放出される塗工材料を備えるノズルビームの使用を含む請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の方法であって、前記少なくとも1つの供給室とそれに関連する前記供給スロットとの間の流れ連絡は、供給室壁の1つに形成された供給孔を用いた方法において達成され、前記塗工材料は、前記供給室壁を通じて前記ノズルスロットに通され得ること、並びに、前記ノズルユニットは、前記少なくとも1つの塗工材料層の前記横方向プロファイルを規制するために前記供給孔の有効領域を調節可能な素子を備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの供給室とそれに関するノズルスロットとの間に、前記カーテン塗工機の長さ方向に延在する少なくとも1つの等化室の使用を含み、前記少なくとも1つの等化室内に前記供給孔が開口することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つの供給室と、該供給室と関連するノズルスロットとを備えるノズルビームを含み、前記ノズルスロットは、少なくとも1つの塗工材料層を、前記ノズルビームによって構築される流れ平面の上に供給する平面供給カーテン塗工機で紙/板紙を塗工する方法であって、
議論されている層と関連する前記供給スロットの下流で、前記流れ平面上の前記少なくとも1つの塗工材料層の横方向厚さプロファイルを決定するステップを含むこと、並びに、前記少なくとも1つの塗工材料層のこのようにして発見される横方向厚さプロファイルに基づき、前記供給室から前記供給スロットへの塗工材料層の供給量は、前記少なくとも1つの塗工材料層のための所望の横方向プロファイルを達成するために、ウェブの横方向にプロファイル化された操作に晒されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載される方法を実施するための構成であって、
本質的に流れ平面の上のウェブの全幅に亘って、前記少なくとも1つの単一の塗工材料層の前記横方向厚さプロファイルを測定するための測定素子を含むこと、並びに、塗工材料層のための所望の横方向プロファイルを達成するために、前記測定から受信されるデータに基づき、横方向ウェブプロファイル化された方法で、前記少なくとも1つの塗工材料層のための塗工材料の供給量を規制するための規制素子を含むことを特徴とする構成。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−523271(P2007−523271A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553608(P2006−553608)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/FI2005/050051
【国際公開番号】WO2005/080681
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】