説明

紡機のトラバース装置

【課題】トラバース量を変更する際の作業性を良くし、運転中にトラバース運動の挙動が不安定となるのを防止する。
【解決手段】トラバース装置10はトラバースバー11のトラバース方向と平行に往復動するスライダ12を有する往復駆動部13と、第1端部がスライダ12に連結され、第2端部がトラバースバー11に連結された揺動レバー14と、揺動レバー14の揺動中心(軸23a)をトラバースバー11の延びる方向と直交する方向に移動調整可能な揺動レバー支持部とを備えている。揺動レバー14の第1端部とスライダ12との連結部及び揺動レバー14の第2端部とトラバースバー11との連結部は、揺動レバー支持部の移動調整に対応して連結位置調整可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡機のトラバース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精紡機においては、粗糸をドラフト装置でドラフトした後、ボビンに巻き取る。粗糸がドラフトローラの同じ部位に当たる状態でドラフトが行われると、ドラフトローラに被覆されているローラコットの摩耗が偏って進行する。そのため、粗糸によるドラフトローラの摩耗を均一にするため、粗糸をドラフトローラへ案内するトランペットをドラフトローラの長手方向に所定幅で往復動(トラバース)させるトラバース装置を備えている。
【0003】
ところで、粗糸のトラバース量は、紡出条件等により変更される場合がある。一般に、ドラフト比が小さく太いフリースの場合、ドラフトローラ(あるいはエプロン)との当たり面が広くなるためその振幅量を広くし、ドラフト比が大きく細いフリースの場合はその当たり面が狭くなるためその振幅量を狭く設定している。
【0004】
また、トランペットは、トラバースの折り返し点付近でその動きが停滞するため、ドラフトローラは折り返し点付近の摩耗の進行が速くなる。そのため、トラバース量(トラバース幅)を一定のままにすると、折り返し点付近が先に摩耗して偏った摩耗となる。トラバース量の変更には、トラバースの折り返し位置を変更させて折り返し点付近での摩耗の偏りを防止する意味もある。
【0005】
トラバース量の変更が簡単に行える紡機のトラバース装置として、図4に示す装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1のトラバース装置は、粗糸Rを案内するトランペット61が所定間隔で固定されたトラバースバー62がドラフトローラ63と平行に往復動可能に設けられている。トラバースバー62は、円板状の偏心カム64が偏心回転することにより、そのカム溝64aに当接するカムフォロア65を介してドラフトローラ63と平行に往復動される。偏心カム64には3組のボルト挿通孔66,67,68が形成され、そのうち1組を使用して偏心カム64はボルト69により、シャフト70の上端に固定された支持プレート71に対して締結固定される。3組のボルト挿通孔66,67,68は、シャフト70の軸心に位置するそれぞれの2点間中心が、偏心カム64の軸心に対して異なる距離ずつずれるように形成されている。トラバース量の変更は、使用するボルト挿通孔66,67,68を変更することにより、偏心カム64を取り外すことなく行われる。シャフト70にはウォームホイール72が一体回転可能に嵌着され、ウォームホイール72は駆動軸73に嵌着されたウォーム74に噛合している。駆動軸73は図示しないバックボトムローラにより機台運転中に回転駆動される。
【0006】
また、偏心カムを用いずに、リンク機構を用いてトラバースバーをトラバースさせるトラバース装置として、図5示す装置が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2のトラバース装置は、揺動レバー80の第1端部がトラバースバー81にピン82で連結され、第2端部が連結リンク83の第1端部にピン84で連結されている。連結リンク83は、第2端部がクランク85にピン連結されている。揺動レバー80は長孔80aを有し、長孔80aを貫通する軸86を中心として揺動される。この装置では、軸86を支持する支持部87の位置を変更して、軸86からピン82までの距離と、軸86からピン84までの距離との比を変更することで、トラバース量を変更することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−291429号公報
【特許文献2】フランス公開特許FR−A1−1220144
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のトラバース装置は、偏心カム64を取り外すことなくトラバース量を変更することはできるが、ボルト69を異なるボルト挿通孔に締め付け固定する必要があり、ボルト69を緩めて異なるボルト挿通孔に挿通して締め付け固定する作業が必要である。この作業は、通常、グリース潤滑されている駆動部に手を入れなければならず、作業性が悪い。
【0009】
また、特許文献2に記載のトラバース装置は、軸86を支持する支持部87の位置を変更することにより、トラバースバー81のトラバース量を変更することが可能である。しかし、運転中常に軸86が揺動レバー80の長孔80a内を摺動することになるので、揺動レバー80の揺動中心位置が安定せず、トラバース運動の挙動が不安定となるおそれがある。また、揺動レバー80の駆動部をクランク機構ではなく溝カムとして、トランペットの移動を直線的にしてバックローラのローラコットの摩耗をローラの長さ方向で一定にしようとする場合、前記の比が変化することでトランペットの移動が曲線的になってしまい、偏摩耗を招く。
【0010】
本発明の目的は、トラバース量を変更する際の作業性を良くすることができ、運転中にトラバース運動の挙動が不安定となるのを防止することができる紡機のトラバース装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、トラバースバーのトラバース方向と平行に往復動する移動体を有する往復駆動部と、第1端部が前記移動体に連結され、第2端部が前記トラバースバーに連結された揺動レバーと、前記揺動レバーの揺動中心を前記トラバースバーの延びる方向と直交する方向に移動調整可能な揺動レバー支持部とを備えている。そして、前記揺動レバーの第1端部と前記移動体との連結部及び前記揺動レバーの第2端部と前記トラバースバーとの連結部は、前記揺動レバー支持部の移動調整に対応して連結位置調整可能に構成されている。ここで、「連結され」とは、連結部が直接移動体あるいはトラバースバーに連結される場合と、連結部材を介して間接的に連結される場合とを含む。
【0012】
この発明では、トラバースバーのトラバース量は、揺動レバーの揺動中心(回動中心)から駆動側の力点である移動体との連結部までの距離と、揺動レバーの揺動中心からトラバース側の作用点であるトラバースバーとの連結部までの距離との比によって決まる。そして、揺動レバー支持部の位置をトラバースバーの延びる方向と直交する方向に移動調整
することによりその比を変更することができる。揺動レバー支持部の移動調整は、グリース潤滑されている駆動部に手を入れずに行うことができる。したがって、トラバース量を変更する際の作業性を良くすることができ、かつ、運転中に揺動レバーの揺動中心が揺動レバーに対して摺動するようなことがないから、運転中にトラバース運動の挙動が不安定となるのを防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記揺動レバーは、前記移動体との連結部及び前記トラバースバーとの連結部を構成する長孔を備えている。この発明では揺動レバーが揺動する際に、駆動側の力点から揺動レバーに対する力の伝達と、揺動レバーからトラバース側の作用点に対する力の伝達とが長孔を介して行われるため、トラバース量を任意の量に設定変更しても力の伝達が良好に行われる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記往復駆動部は、カムにより前記移動体を往復駆動する。揺動レバーの駆動をクランク機構で行う場合はトラバースバーを等速往復直線移動させることはできない。しかし、この発明では、カムにより移動体を往復駆動するため、トラバースバーを等速往復直線移動させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記カムは円筒カムである。そのため、この発明では、円板カムを使用する構成に比べて往復駆動部の構成が簡単になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トラバース量を変更する際の作業性を良くすることができ、運転中にトラバース運動の挙動が不安定となるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は一実施形態のトラバース装置の概略斜視図、(b)は円筒溝カムの模式図。
【図2】トラバース装置を支持プレートよりスライダ側で切断した概略断面図。
【図3】スライダの位置と機台運転時間との関係を示す線図。
【図4】従来技術の要部概略斜視図。
【図5】別の従来技術の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明をリング精紡機において粗糸をドラフトローラへ案内するトランペットをドラフトローラの長手方向に往復動(トラバース)させるトラバース装置に具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
【0019】
トラバース装置は精紡機機台(以下、単に機台と称す。)の端部に設けられ、機台の左右両側のトラバースバーを1台のトラバース装置で駆動するため、ほぼ対称に形成されている。
【0020】
図1(a)に示すように、トラバース装置10は、トラバースバー11のトラバース方向と平行に往復動する移動体としてのスライダ12を有する往復駆動部13と、スライダ12の往復動によって揺動されてトラバースバー11を往復移動させる揺動レバー14とを備えている。往復駆動部13は、機台に固定される1組の支持プレート15,16間に一対の支持軸17がトラバースバー11のトラバース方向と平行に固定されており、スライダ12は支持軸17に摺動可能に支持されている。スライダ12の下方には円筒カムとしての円筒溝カム18が、その中心軸がトラバースバー11のトラバース方向と平行な状態で支持プレート15,16間に回転可能に支持されている。円筒溝カム18の回転軸19(図1(b)に図示)の第1端部は、支持プレート15を貫通するとともに支持プレート15から突出した部分に入力ギア20が一体回転可能に固定されている。入力ギア20は、図示しない歯車列を介してバックボトムローラの回転が伝達され、精紡機の運転中に一方向へ回転されるようになっている。
【0021】
図2に示すように、スライダ12は、中央下側に円筒溝カム18のカム溝と係合するカムフォロア12aを有する。円筒溝カム18には円筒溝カム18の一方向への回転に伴いスライダ12を所定範囲で往復動させるための無端状のカム溝18aが形成されている。カム溝18aは、円筒溝カム18の1回転でスライダ12が1往復し、かつ、図3に示すように、スライダ12が一定速度で往復移動するように形成されている。なお、図3において、縦軸はスライダ12の位置を表し、左端とはスライダ12が支持プレート15に最も近づいた位置を意味し、右端とはスライダ12が支持プレート16に最も近づいた位置を意味する。
【0022】
揺動レバー14は左右一対設けられ、それぞれ機台に固定された支持ブロック21に対して、トラバースバー11の延びる方向と直交する方向に移動調整可能に固定された揺動レバー支持部材22に対して、軸23aを介して揺動可能に支持されている。軸23aは、揺動レバー支持部材22に挿通固定されるボルト23の軸部により構成されている。支持ブロック21は、図示しないバックローラを支持する支持ブラケット24を介して機台に固定されている。揺動レバー支持部材22は、支持ブロック21に対して摺動可能に支持されるとともに、所望の位置でボルト25を介して支持ブロック21に締め付け固定されるようになっている。揺動レバー支持部材22及び軸23aは、揺動レバー14の揺動中心をトラバースバー11の延びる方向と直交する方向に移動調整可能な揺動レバー支持部を構成する。
【0023】
スライダ12はトラバースバー11より上方に設けられ、揺動レバー14は、スライダ12側から斜め下方に向かって延びる状態で配設されるとともに、第1端部がスライダ12に対してスライダ12に突設されたピン26を介して連結(係合)されている。揺動レバー14の第1端部寄りにはその長手方向に延びるように長孔14aが形成され、ピン26は、長孔14aに挿通された状態で揺動レバー14に係合している。
【0024】
揺動レバー14の第2端部寄りにはその長手方向に延びるように長孔14bが形成されている。揺動レバー14の第2端部は、連結ロッド27を介してトラバースバー11に連結されている。連結ロッド27の第1端部は、トラバースバー11の端部にボルト28及びナット29により固定されている。連結ロッド27の第2端部は、長孔14bを貫通する連結スタッド30を介して揺動レバー14の第2端部に連結されている。図2に示すように、連結スタッド30はナット31で固定されるとともに、連結ロッド27は連結スタッド30の上部寄りに連結されており、揺動レバー14は連結スタッド30の下部寄りに連結されている。
【0025】
長孔14a及びピン26は、揺動レバー14とスライダ12との連結部を構成する。長孔14b、連結スタッド30、連結ロッド27、ボルト28及びナット29は、揺動レバー14とトラバースバー11との連結部を構成する。両連結部は、それぞれ揺動レバー支持部の移動調整、即ち軸23aの移動調整に対応してピン26の長孔14aに対する連結位置(係合位置)あるいは連結スタッド30の長孔14bに対する連結位置(係合位置)を調整可能に構成されている。
【0026】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。
機台の運転中、バックローラの回転に伴い、入力ギア20が一定方向に回転されて、円筒溝カム18も一定方向に回転される。円筒溝カム18が回転すると、カム溝18aと係合するカムフォロア12aを介してスライダ12が支持軸17に沿ってトラバースバー11の延びる方向に往復移動する。スライダ12は、円筒溝カム18の1回転毎に1往復移動する。スライダ12の往復移動に伴い、ピン26を介して揺動レバー14の第1端部に対して、揺動レバー14を軸23aを中心として揺動運動を行わせる力が作用する。そして、揺動レバー14の第2端部に連結スタッド30及び連結ロッド27等を介して連結されたトラバースバー11が往復直線移動される。
【0027】
カム溝18aは、スライダ12が一定速度で移動する形状に形成されているため、円筒溝カム18の回転に伴ってスライダ12が一定速度で往復移動するとともに、揺動レバー14及び連結ロッド27等を介してトラバースバー11も一定速度で往復移動する。また、スライダ12は、円筒溝カム18の回転に伴って一定トラバース量(トラバース幅)で往復移動するが、揺動レバー14の揺動中心から駆動側の力点であるピン26までの距離と、揺動レバー14の揺動中心からトラバース側の作用点である連結スタッド30までの距離との比を変更することにより、トラバースバー11のトラバース量が変更される。
【0028】
揺動レバー14の揺動中心である軸23aを支持する揺動レバー支持部材22は、支持ブロック21に固定されているため、揺動レバー14の揺動中心位置が運転中に不安定となることが防止される。また、ピン26は長孔14aを介して揺動レバー14と係合しており、連結スタッド30は長孔14bを介して揺動レバー14と係合している。そのため、揺動レバー14が揺動する際に、駆動側の力点(ピン26)から揺動レバー14に対する力の伝達と、揺動レバー14からトラバース側の作用点(連結スタッド30)に対する力の伝達とが良好に行われる。
【0029】
トラバースバー11のトラバース幅を変更する場合は、機台の運転停止状態において、ボルト25を弛めた状態で揺動レバー支持部材22を支持ブロック21に沿って所望の距離移動させた後、ボルト25を締め付けて揺動レバー支持部材22を支持ブロック21に固定する。また、連結スタッド30のナット31を弛めて連結スタッド30の位置を調整する。なお、ナット31を弛めた状態で揺動レバー支持部材22を移動させた後、連結スタッド30の位置の調整を行っても良い。ボルト25やナット31はスライダ12や円筒溝カム18の潤滑を行うグリースが付着しない位置に設けられているため、トラバース幅を変更する際に、ボルト25やナット31を操作しても手にグリースが付着することが回避される。
【0030】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)トラバース装置10は、トラバースバー11のトラバース方向と平行に往復動する移動体(スライダ12)を有する往復駆動部13と、第1端部がスライダ12に連結され、第2端部がトラバースバー11に連結された揺動レバー14と、揺動レバー支持部(揺動レバー支持部材22及び軸23a)とを備えている。揺動レバー支持部は、揺動レバー14の揺動中心(軸23a)をトラバースバー11の延びる方向と直交する方向に移動調整可能に構成されている。揺動レバー14の第1端部とスライダ12との連結部及び揺動レバー14の第2端部とトラバースバー11との連結部は、揺動レバー支持部の移動調整に対応して連結位置調整可能に構成されている。したがって、トラバース量を変更する際の作業性を良くすることができ、運転中にトラバース運動の挙動が不安定となるのを防止することができる。
【0031】
(2)揺動レバー14は、スライダ12との連結部及びトラバースバー11との連結部を構成する長孔14a,14bを備えている。したがって、揺動レバー14が揺動する際に、駆動側の力点(ピン26)から揺動レバー14に対する力の伝達と、揺動レバー14からトラバース側の作用点(連結スタッド30)に対する力の伝達とが良好に行われる。
【0032】
(3)往復駆動部13は、カムによりスライダ12を往復駆動する。したがって、クランク機構によりスライダ12を往復移動する構成に比べて、構成が簡単になる。また、クランク機構によりスライダ12を往復移動する構成と異なり、スライダ12を一定速度で往復駆動させてトラバースバーを等速往復直線移動させることができる。
【0033】
(4)往復駆動部13を構成するカムは円筒カムである。したがって、円板カムを使用する構成に比べて構成が簡単になる。
(5)円筒カムとして円筒溝カム18が使用されているため、円筒リブカムを使用する場合に比べてカムフォロアの構成が簡単になる。
【0034】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 円筒溝カム18の変わりに円筒リブカムを用いてもよい。しかし、円筒リブカムの場合は、リブを挟持する構造のカムフォロア12aをスライダ12に装備する必要があり、構造が複雑になるため、円筒溝カム18を用いる方が好ましい。
【0035】
○ 円筒溝カム18の変わりに円板溝カムを用いてもよい。円板溝カムを用いる場合には、円板溝カムの回転軸がバックローラの回転軸と平行ではなく直交する状態になるため、傘歯車等を用いて回転を伝達する必要があり、構造が複雑になる。
【0036】
○ 円筒カムは、カムの形状が円筒カムの1回転でスライダ12が1往復する構成に限らず、例えば、1回転で2往復したり、1回転で3往復したりする構成であってもよい。
○ スライダ12を往復直線移動させる往復駆動部13は、溝カムやリブカムではなく通常のカムを用いても可能であるが、構造が複雑になる。
【0037】
○ 揺動レバー14の連結スタッド30側の長孔14bに代えて、複数の取り付け孔を設けてもよい。
○ 揺動レバー14のピン26側の長孔14aは、ピン26と揺動レバー14との間で直動⇒回動の変位を吸収するリンク機構を介在させれば複数の取り付け孔に変更してもよい。
【0038】
○ トラバースバー11と連結スタッド30との間に連結ロッド27を介在させずに、トラバースバー11の端部を連結スタッド30を介して揺動レバー14に連結する構成にしてもよい。
【0039】
○ 円筒カム等の駆動は、歯車列を介してバックボトムローラの回転を入力ギア20に伝達する構成に限らない。例えば、入力ギア20の駆動用に専用のモータを設けてもよい。
【0040】
○ スライダ12(移動体)を所定の範囲で往復直線移動させる構成はカムを利用する構成に限らない。
○ トラバース装置10はリング精紡機のトランペット(粗糸案内部)を往復動させるトラバース装置に限らない。例えば、粗紡機のドラフト装置のトランペットを往復動させるトラバース装置や、結束紡績装置や複合糸製造装置のドラフト装置のトランペットを往復動させるトラバース装置に適用してもよい。また、巻取装置に適用してもよい。
【0041】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項4に記載の発明において、前記円筒カムは円筒溝カムである。
(2)請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記トラバースバー及び前記揺動レバーはそれぞれ一対設けられ、前記往復駆動部は1個で両揺動レバーを駆動する。
【符号の説明】
【0042】
11…トラバースバー、12…移動体としてのスライダ、13…往復駆動部、14…揺動レバー、14a,14b…長孔、22…揺動レバー支持部を構成する揺動レバー支持部材、23a…同じく軸、18…カム及び円筒カムとしての円筒溝カム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラバースバーのトラバース方向と平行に往復動する移動体を有する往復駆動部と、
第1端部が前記移動体に連結され、第2端部が前記トラバースバーに連結された揺動レバーと、
前記揺動レバーの揺動中心を前記トラバースバーの延びる方向と直交する方向に移動調整可能な揺動レバー支持部とを備え、
前記揺動レバーの第1端部と前記移動体との連結部及び前記揺動レバーの第2端部と前記トラバースバーとの連結部は、前記揺動レバー支持部の移動調整に対応して連結位置調整可能に構成されている紡機のトラバース装置。
【請求項2】
前記揺動レバーは、前記移動体との連結部及び前記トラバースバーとの連結部を構成する長孔を備えている請求項1に記載の紡機のトラバース装置。
【請求項3】
前記往復駆動部は、カムにより前記移動体を往復駆動する請求項1又は請求項2に記載の紡機のトラバース装置。
【請求項4】
前記カムは円筒カムである請求項3に記載の紡機のトラバース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−1850(P2012−1850A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138473(P2010−138473)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】