説明

紡機のドラフト装置

【課題】紡機の長手方向に延設されて複数のスタンド及びトップアームを支持する支持部材を備えた前記紡機のドラフト装置の構造を単純化すること。
【解決手段】紡機の長手方向に延設されて複数のスタンド及びトップアームを支持する支持部材を備えた前記紡機のドラフト装置において、前記支持部材4,5を2つのみ設け、これらに前記スタンド1及び前記トップアーム2を設け、更に、これら2つを、前記紡機の上下方向で互いに重なるよう配置するとともに、該紡機の長手方向へ互いに平行に延設し、更に、前記支持部材4,5を、円形断面のロッド又はチューブで形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡機の長手方向に延設されて複数のスタンド及びトップアームを支持する支持部材を備えた前記紡機のドラフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、例えば特許文献1の図2に示されるようなドラフト装置に基づいてなされたもので、これに記載された紡機のフレームには、ドラフト装置のブリッジスタンドを担持し、互いに近接して平行に延びる2つの支持ロッド或いは支持チューブが設けられている。尚、ブリッジスタンドとは、紡機の左右両側のドラフト装置を支持するものである。
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1375708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このブリッジスタンドには、トップアームを支持する更なる支持ロッドが固設されているため、ドラフト装置は、紡機の長手方向に延びる4本もの支持ロッド或いは支持チューブを備えることになってしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的とする処は、上記のようなドラフト装置の構造を単純化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1記載の特徴によって達成される。
【発明の効果】
【0007】
上記解決手段によれば、前記支持ロッド又は支持チューブを2本に減らすことができる。尚、他の効果については後述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明の第一の実施の形態を示す斜視図、図2は同第二の実施の形態を示す斜視図であり、両図は、紡機左右両側のドラフト装置長手方向に配設された複数のスタンド1及びトップアーム2を図示している。ここでは、便宜上、ボトムローラ、トップローラ、又、スライバのファンネル、エプロン及びこれらの案内部材等、ドラフト装置の他の動作部材は図示していない。更に、トップアームのジョイント部3においてトップアーム2を上方へ移動させるジョイントも同様に図示していない。
【0010】
<実施の形態1>
図1に示す本実施の形態においては、2本の支持チューブ4,5が紡機の複数の中間スタンドに挿通されつつ、上下方向において互いに重なるよう配置されて該紡機の長手方向へ互いに平行に延設されている。ここでは、中間スタンドを図示していないが、支持チューブ用ホルダ6を、これがドラフト装置部分におけるその一端において中間スタンドに載置されているかの如く図示している。尚、支持チューブ用ホルダ6には、支持チューブ4,5をそれぞれ挿通させる孔を設けている。
【0011】
又、図1のドラフト装置部分の前面に示すように、2つの互いに並置されたスタンド1がそれぞれに凹部7を備えており、該各凹部7を対向させて設置して支持チューブ4,5を担持している。
【0012】
更に、前記両スタンド1は、ボルト、ねじ、ナット等の図示しない締結手段により互いに締結され、支持チューブを締着している。
【0013】
そして、これと似たように、8つの紡ぎ位置毎に設けられた2つのスタンド1間の範囲において、ドラフト装置の左右両側の各4つのトップアーム2がそれぞれ両支持チューブ4,5に固定されている。
【0014】
又、ドラフト装置のフロント部分に関して、トップアーム2によりフロントトップローラに加えられる荷重に対する反力は反時計方向に働き、一方、トップアーム2によりフロントボトムローラに加えられる荷重は時計方向に働く。このような構成によれば、これら反力及び荷重を、支持チューブ4,5を介して互いに相殺せしめることができる。
【0015】
<実施の形態2>
図2に示す本実施の形態において、スタンド9或いはトップアーム10を支持する支持部材は、カバー15と床板16の間で長方形状又は正方形状の支持枠11,12として形成されている。該支持枠11,12は、それぞれ2つのU字状部材13,14を対向させて形成されると望ましい。
【0016】
ここで、機能的に支持チューブ用ホルダ6に相当する支持枠用ホルダ17を、これがドラフト装置部分におけるその一端において中間スタンドに載置されつつ、該支持枠用ホルダ17に支持枠11,12が固定されているかの如く図示している。
【0017】
又、前記支持枠11,12は、板材をロール加工して形成することもでき、又、長方形状又は正方形状に形成されているので、この壁部分(直線部分)に、必要に応じて剛性を高めるための例えばビードを備えることができる。
【0018】
ところで、スタンド9は、下側の支持枠12の両側壁に固定されているが、同時に、上側の支持枠11にも連結されている。このため、該スタンド9は、複数の支持枠用ホルダ17間で、両支持枠11,12を連結する役割もしている。
【0019】
上記のような固定は、ねじ止め或いは必要に応じて溶接することにより行うと好ましい。このようにすることで、少なくともスタンドを備え、且つトップアーム2を工場或いは製作現場で締結され、前もって組み立てられる支持部材を形成できる。
【0020】
図1においてドラフト装置の両側に示されたトップアーム2を本実施の形態に適用する際にも上側の支持枠11の両側壁に固定、好ましくはねじ止めされている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1,9 スタンド
2,10 トップアーム
3 トップアームのジョイント部
4 上側の支持チューブ
5 下側の支持チューブ
6 支持チューブ用ホルダ
7 スタンドにおける凹部
8 トップアームにおける凹部
11 上側の支持枠
12 下側の支持枠
13,14 U字状部材
15 カバー
16 床板
17 支持枠用ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡機の長手方向に延設されて複数のスタンド及びトップアームを支持する支持部材を備えた前記紡機のドラフト装置において、
前記支持部材(4,5;11,12)を2つのみ設け、これらに前記スタンド(1,9)及び前記トップアーム(2,10)を設け、更に、これら2つを、前記紡機の上下方向で互いに重なるよう配置するとともに、該紡機の長手方向へ互いに平行に延設したことを特徴とする紡機のドラフト装置。
【請求項2】
前記支持部材を、円形断面のロッド又はチューブ(4,5)で形成したことを特徴とする請求項1記載の紡機のドラフト装置。
【請求項3】
凹部(8)を前記スタンド(1)及び前記トップアーム(9)それぞれの上下に設け、これら凹部をそれぞれ対向させて両支持チューブ(4,5)を包囲し、締結するよう構成したことを特徴とする請求項2記載の紡機のドラフト装置。
【請求項4】
前記支持部材を、その断面が長方形状又は正方形状の支持枠(11,12)で形成したことを特徴とする請求項1記載の紡機のドラフト装置。
【請求項5】
前記トップアーム(10)を上側の前記支持枠(11)に、前記スタンド(9)を下側の前記支持枠(12)にそれぞれ固定したことを特徴とする請求項4記載の紡機のドラフト装置。
【請求項6】
前記トップアーム(10)及び/又は前記スタンド(9)を、前記第一及び第二の支持部材(11,12)に固設したことを特徴とする請求項4記載の紡機のドラフト装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−522357(P2007−522357A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552517(P2006−552517)
【出願日】平成17年2月5日(2005.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001195
【国際公開番号】WO2005/078174
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(504011069)ザウラー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】