説明

紡糸アニールしたポリ(トリメチレンテレフタレート)糸

ポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーをホッパー(1)に供給し、それが該ポリマーを押出機(2)に紡糸ブロック(3)中へ供給する工程を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)糸を製造するための紡糸法。紡糸ブロック(3)は紡糸ポンプ(4)および紡糸パック(5)を含有する。ポリマー繊維(6)は紡糸ブロック(3)を出て、空気(7)で急冷される。仕上剤アプリケーター(8)で繊維(6)に仕上剤を塗布する。繊維(6)はインターレース・ジェット(9)によって冷却され、そのセパレータロール(11)付き第1加熱ゴデット(10)に移動する。繊維(6)はインターレース・ジェット(12)によって冷却され、セパレータロール(14)付き第2冷ゴデット(13)に移動する。繊維(6)はファニング・ガイド(15)を通って巻取機(16)へ、およびパッケージ(17)上へ移動する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステル糸およびその製造に関する。より具体的には、本発明は、延伸および/または延伸テクスチャー加工のような後加工用の供給糸としての使用、およびまたさらなる加工なしに布での直接使用にも好適である、貯蔵時に耐老化性のポリ(トリメチレンテレフタレート)糸の提供方法である。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本件出願は、全体を本明細書に参照により援用される、2003年9月16日出願の米国特許出願第10/663,295号および2003年2月5日出願の米国仮特許出願第60/445,158号に関するものであり、かつ、それらの優先権の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
一般に「ポリアルキレンテレフタレート」と言われる、ポリエチレンテレフタレート(「2GT」)およびポリブチレンテレフタレート(「4GT」)は普及している市販ポリエステルである。ポリアルキレンテレフタレートは優れた物理的および化学的性質、特に、化学、熱および光安定性、高融点ならびに高強度を有する。結果としてそれらは樹脂、フィルムおよび繊維用に広く使用されてきた。
【0004】
ポリトリメチレンテレフタレート(「3GT」)は、1,3−プロパンジオール(PDO)(ポリマー主鎖成分の1つ)へのより低コスト・ルートが最近開発されたので、繊維として増大する商業的関心を勝ち取ってきた。3GTは、大気圧でのその分散可染性、低い曲げ弾性率、弾性回復率およびに回復性のために繊維形で長く望まれてきた。
【0005】
フィーダー糸(部分延伸糸、「POY」のような、本明細書では「供給糸」とも言われる)は典型的には出発ポリマーの溶融紡糸によって製造される。フィーダー糸は、さらなる延伸または延伸テクスチャー加工なしにテキスタイル製品を製造するために必要とされる特性を持たず、それ故、しばしば貯蔵を免れない。後の加工前の貯蔵中に、フィーダー糸はしばしば老化し、特性の損失をもたらす。延伸テクスチャー加工または延伸のための供給糸として、POYはしばしば繊維製造業者から、POYが延伸テクスチャー加工されるまたは延伸される工場へ輸送される。
【0006】
3GT・POY糸についての重大な老化問題は、一般に、糸が紡糸機から製造された後から糸が延伸またはテクスチャー加工機で加工される前までの期間中に起こる。(対照的に、2GT糸は典型的には糸貯蔵期間中に非常に速く老化することはなく、例えば3ヶ月ほどに長い貯蔵期間後に下流延伸または延伸テクスチャー加工作業に好適のままであるかもしれない。)3GT糸での老化問題は貯蔵および輸送中の高温で特に明らかである。例えば、38℃以上の温度は、エアコンなしの施設で夏季に貯蔵中に糸によって経験されるかもしれない。38℃またはそれ以上の温度で貯蔵されたPOY・3GT糸は、24時間未満の後の加工に不適切になるかもしれない。
【0007】
(特許文献1)は、紡糸法および貯蔵が温度および湿度の厳しい条件下(75〜90%の相対湿度で10〜25℃)で行われる3GT糸の製造方法を開示している。この方法は、温暖な気候でエアコン貯蔵施設を欠く、またはエアコンを欠くトラックもしくは他の輸送手段によって紡績糸を輸送する製造業者にとって実用的ではない。(特許文献1)はさらに、糸収縮に対する温度の重大な影響があり、その影響は後の延伸およびテクスチャー加工工程に不適切である変形パッケージをもたらすことを開示している。
【0008】
同様に、(特許文献2)はまた、貯蔵するおよびその後にテクスチャー加工することができると主張された3GT糸を開示している。該特許は、繊維が0.030〜0.070の複屈折によって測定されるような配向度と、1.320〜1.340g/cm3の繊維密度によって測定されるような結晶化度とを有するならば、糸は改善されたパッケージ巻きを有すると主張している。紡糸工程中に繊維を熱処理し(50〜170℃)および結晶化させ、直ちに「極めて低い張力」(0.02〜0.20cN/dtex)で巻き取ることによってかかる繊維を製造するための方法が提供されている。しかしながら、該特許に開示された技術は、第1ゴデットが冷たい、第2ゴデットが熱い、そしてパッケージが熱ゴデットの直後に巻き取られることを伴う。
【0009】
(特許文献3)は、熱ゴデットの直後にパッケージに巻き取る紡糸アニーリング技術を再検討している。(特許文献3)によれば、熱ゴデット後の直接パッケージ巻取りは、加熱ゴデット(heated godet)と巻取機との間での繊維の高温によってもたらされるソフトな繊維を与える。ソフトな繊維は揺れ動く繊維をもたらし、増加した紡糸切れまたは増加した数の自動ドフィングでのパッケージ切替のミスをもたらす。さらに、糸一様性を改善する、紡糸切れを減らす、または該技術でのソフト繊維によってもたらされる自動ドフィングでのパッケージ切替ミスを減らすために、熱ゴデットと巻取機との間の巻取張力を増加させなければならない。この増加した巻取張力は、引き締まったパッケージ巻取りを回避することを不可能にした。それ故、熱ゴデットの直後にパッケージに巻き取る該技術は、引き締まったパッケージ巻取りなしに、紡糸切れなしにまたはパッケージ切替のミスなしにPTT−POYを製造することができる進歩したものではない。
【0010】
米国特許公報(特許文献4)および(特許文献5)の両方とも、3GT糸が急冷および紡糸繊維への仕上剤(finish)の塗布の後、巻き取られる前に熱処理工程を受ける方法を開示している。これらの方法では、熱い糸は、繊維が巻取前に低い張力下で他のゴデットを通ることを回避するためにパッケージ上へ直接巻き取られる。
【0011】
(特許文献6)は紡糸中に非結晶性糸を熱処理することを開示している。該糸は非晶質であるので、延伸がかけられ繊維に第2(冷)ゴデットを通過させる。
【0012】
(特許文献3)は、先行特許で遭遇する問題の幾つかを認識しており、熱ゴデット後、巻取前に冷ゴデットを置いている。
【0013】
【特許文献1】EP1 172 467 Al号明細書
【特許文献2】EP1 209 262号明細書
【特許文献3】特開2002−129427号公報
【特許文献4】米国特許第6,399,194号明細書
【特許文献5】特開2001−214372号公報
【特許文献6】国際公開第01/85590号パンフレット
【特許文献7】米国特許第5,015,789号明細書
【特許文献8】米国特許第5,276,201号明細書
【特許文献9】米国特許第5,284,979号明細書
【特許文献10】米国特許第5,334,778号明細書
【特許文献11】米国特許第5,364,984号明細書
【特許文献12】米国特許第5,364,987号明細書
【特許文献13】米国特許第5,391,263号明細書
【特許文献14】米国特許第5,434,239号明細書
【特許文献15】米国特許第5,510,454号明細書
【特許文献16】米国特許第5,504,122号明細書
【特許文献17】米国特許第5,532,333号明細書
【特許文献18】米国特許第5,532,404号明細書
【特許文献19】米国特許第5,540,868号明細書
【特許文献20】米国特許第5,633,018号明細書
【特許文献21】米国特許第5,633,362号明細書
【特許文献22】米国特許第5,677,415号明細書
【特許文献23】米国特許第5,686,276号明細書
【特許文献24】米国特許第5,710,315号明細書
【特許文献25】米国特許第5,714,262号明細書
【特許文献26】米国特許第5,730,913号明細書
【特許文献27】米国特許第5,763,104号明細書
【特許文献28】米国特許第5,774,074号明細書
【特許文献29】米国特許第5,786,443号明細書
【特許文献30】米国特許第5,811,496号明細書
【特許文献31】米国特許第5,821,092号明細書
【特許文献32】米国特許第5,830,982号明細書
【特許文献33】米国特許第5,840,957号明細書
【特許文献34】米国特許第5,856,423号明細書
【特許文献35】米国特許第5,962,745号明細書
【特許文献36】米国特許第5,990,265号明細書
【特許文献37】米国特許第6,232,511号明細書
【特許文献38】米国特許第6,235,948号明細書
【特許文献39】米国特許第6,245,844号明細書
【特許文献40】米国特許第6,255,442号明細書
【特許文献41】米国特許第6,277,289号明細書
【特許文献42】米国特許第6,281,325号明細書
【特許文献43】米国特許第6,297,408号明細書
【特許文献44】米国特許第6,312,805号明細書
【特許文献45】米国特許第6,325,945号明細書
【特許文献46】米国特許第6,331,264号明細書
【特許文献47】米国特許第6,335,421号明細書
【特許文献48】米国特許第6,350,895号明細書
【特許文献49】米国特許第6,353,062号明細書
【特許文献50】米国特許第6,437,193号明細書
【特許文献51】米国特許出願第10/057,497号明細書
【特許文献52】米国特許出願第09/708,209号明細書
【特許文献53】国際公開第01/34693号パンフレット
【特許文献54】米国特許出願第09/938,760号明細書
【特許文献55】米国特許第4,001,190号明細書
【特許文献56】米国特許第3,671,379号明細書
【特許文献57】米国特許第5,798,433号明細書
【特許文献58】米国特許第5,340,909号明細書
【特許文献59】米国特許第6,153,679号明細書
【特許文献60】EP699 700号明細書
【特許文献61】国際公開第00/26301号パンフレット
【非特許文献1】エッチ.エル.トラウブ(H.L.Traub)著、「ポリ−トリメチレンテレフタラートの合成および繊維化学的性質(Synthese und textilchemische Eigenschaften des Poly−Trimethyleneterephthalats)」、スツットガルト大学学位論文(Dissertation Universitat Stuttgart)(1994年)
【非特許文献2】エス.シャウホッフ(S.Schauhoff)著、「ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)の生産における新たな進展(New Developments in the Production of Poly(trimethylene terephthalate)(PTT)」、人造繊維年報(Man−Made Fiber Year Book)(1996年9月)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
3GTフィーダー糸の老化が問題であることは認識されるが、高い一様性でおよび低い隆起または凹み形成で、約6kgまたはそれ以上のような大きなパッケージ・サイズで糸を製造することができる、紡糸切れのほとんどない紡糸法を提供することは望ましいであろう。さらに、安定なパッケージ形成および安定な糸特性を有する糸パッケージを提供する、すなわち、パッケージが変形せず、糸特性が38℃またはそれ以上のような高い貯蔵温度で変化しない、かかる方法は望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従った第1態様によれば、方法は、
(a)溶融した3GTを紡糸口金を通して押し出す工程と、
(b)押し出された3GTを急冷して固体フィラメントの繊維を形成する工程であって、該フィラメントが130℃で約0.02g/dより大きい張力を有する工程と、
(c)フィラメントをある速度および温度で運転される加熱ゴデットに通して繊維を加熱する工程であって、繊維が加熱される速度および温度が約4%以下のDWS値の糸を提供するのに十分である工程と、
(d)糸を約35℃以下の温度に冷却する工程と
を含む。
急冷後、固体フィラメントに仕上剤を塗布することができる。好ましくは、冷ゴデット(cool godet)の速度は、加熱ゴデットと冷ゴデットとの間で約1.04以下の延伸比を提供する。冷ゴデットからの繊維がパッケージ上に巻き取られる時、好ましくは、巻取りは、真の糸速度が冷ゴデットの速度未満であるように巻き取るものである。また、好ましくは、フィラメントは、デニール当たり約0.04グラム(g/d)より大きい張力でパッケージ上に巻き取られる。
【0016】
本発明に従った別の態様によれば、繊維張力は冷ゴデットに移動する前に増加する。
【0017】
本発明に従ったさらなる態様によれば、溶融紡糸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸は約4%以下の乾温収縮(Dry Warm Shrinkage)(DWS)を有する。好ましくは、DWSは約2%以下である。本発明のその上さらなる態様によれば、パッケージ上に巻き取られた溶融紡糸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸は、少なくとも約3.2時間41℃の温度に暴露した時に約0.82もしくはそれ未満の凹み率(dish ratio)を有する、または約2mmもしくはそれ未満のパッケージ直径差を有する。
【0018】
本発明に従ったさらなる態様によれば、約4%以下のDWSを有する糸は、少なくとも約50mmの糸層の厚さと少なくとも約6kgのパッケージ重量とを有するパッケージへ巻き取ることができる。巻き取りパッケージ(wound package)は、少なくとも約63mm、約74mm、約84mmまたはさらに少なくとも約94mmの糸層の厚さと、少なくとも約8kg、約10kg、約12kgまたはさらに約14kgのパッケージ重量とを有することができよう。好ましくは、巻き取りパッケージは、約9%未満の隆起率(bulge ratio)と、約2%以下の凹み率とを有する。好ましくは、糸は、実質的に圧潰(crush)なしであるチューブの周りに巻き取られる。
【0019】
好ましくは、糸は約2.5g/d以上の靱性(tenacity)を有する。また好ましくは、糸は約23g/d以下の弾性率(modulus)を有する。さらに、糸は好ましくは約2%以下のウースター斑(Uster)を有する。さらに、糸は好ましくは約14%以下のボイルオフ収縮(boil off shrinkage)を有する。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、約4%以下のDWS、少なくとも約16mmの糸層の厚さを有し、少なくとも約1.5kgの重さがあり、かつ、少なくとも約142mmのパッケージ直径を有する、溶融紡糸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸から製造されたパッケージは、少なくとも3.2時間少なくとも41℃の温度に暴露した時に、約0.82%以下の凹み率を有する。
【0021】
本発明のその上さらなる態様によれば、約4%以下のDWS、約20〜30mmの糸層の厚さを有し、約2〜3kgの重さがあり、かつ、約151〜169mmのパッケージ直径を有する、溶融紡糸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸から製造されたパッケージは、少なくとも3.2時間少なくとも41℃の温度に暴露した時に、パッケージ端直径と中央直径との差が約2mm以下である。
【0022】
本発明の別の態様では、方法は、
(a)糸の非延伸長さをL1として測定し、
(b)糸がその平衡収縮(equilibrium shrinkage)の少なくとも85%に達するのに十分な時間および温度下で糸を加熱する工程と、
(c)加熱された糸を冷却する工程と、
(d)冷却された糸の非延伸長さをL2として測定する工程と、
(e)糸の乾温収縮(DWS)を下記の式を用いて計算する工程と
を含む。
【0023】
【数1】

【0024】
好ましくは、加熱温度は約30〜90℃である。また好ましくは、加熱時間は、次の関係
加熱時間≧1.561×1010×e-0.4482[加熱温度]
(ここで、加熱時間は分単位であり、加熱温度は℃単位である)
に従って加熱温度によって決定される。より好ましくは、加熱時間は、次の関係
加熱時間≧1.993×1012×e-0.5330[加熱温度]
(ここで、加熱時間は分単位であり、加熱温度は℃単位である)
に従って加熱温度によって決定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、3GT直接最終用途糸だけでなく、紡糸中のアニーリングによって改善された耐老化性の、延伸およびテクスチャー加工工程用の3GTフィーダー糸を提供する。具体的には、本発明は、温度が38℃、およびさらにより高い温度に達するかもしれない貯蔵時に安定である糸を提供する。安定な糸は、紡糸中に容易なパッケージ巻取りを可能にし、貯蔵後に低い凹み率と低い隆起率との、大きなサイズ・パッケージ、すなわち、サイズが6kgを超えるパッケージの製造を可能にする。さらに、パッケージはチューブ圧潰を受けやすくない。本発明の方法によって製造された3GT糸は、アニーリングなしに製造された他の糸と類似の伸度(elongation)および靱性を有し、それによって紡糸法での生産性を維持する。本発明は、紡糸法の紡糸パラメーターが老化試験によって測定されるような耐老化性に基づいて選択される紡糸法を提供する。
【0026】
(ポリ(トリメチレンテレフタレート)3GT)
本発明で提供される糸は、ホモポリマーおよび少なくとも約70モル%(トリメチレンテレフタレート)繰り返し単位を含有するコポリエステルまたは共重合体を包含する3GTポリマーをベースにする。好ましいポリ(トリメチレンテレフタレート)は少なくとも約85モル%、より好ましくは少なくとも約90モル%、さらにより好ましくは少なくとも約95または少なくとも約98モル%、最も好ましくは約100モル%トリメチレンテレフタレート繰り返し単位を含有する。
【0027】
「コポリエステルまたは共重合体」とは、それぞれが2つのエステル形成基を有する3つ以上の反応体を使用して製造されたそれらのポリエステルを意味する。例えば、コポリエステルを製造するために使用されるコモノマーが4〜12個の炭素原子を有する直鎖、環状、および分岐脂肪族ジカルボン酸(例えば、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸);テレフタル酸以外のおよび8〜12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸);2〜8個の炭素原子を有する直鎖、環状、および分岐脂肪族ジオール(1,3−プロパンジオール以外の、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および1,4−シクロヘキサンジオール);ならびに4〜10個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族エーテルグリコール(例えば、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、またはジエチレンエーテルグリコールをはじめとする、約460より下の分子量を有するポリ(エチレンエーテル)グリコール)よりなる群から選択されるコポリ(トリメチレンテレフタレート)を使用することができる。コモノマーは典型的には約0.5〜約15モル%の範囲のレベルでコポリエステル中に存在することができ、約30モル%までの量で存在することができる。
【0028】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)は少量の他のコモノマーを含有することができ、かかるコモノマーは、通常、それらが特性に有意の悪影響を及ぼさないように選択される。かかる他のコモノマーには、例えば、約0.2〜5モル%の範囲のレベルでの5−ナトリウム−スルホイソフタレートが含まれる。非常に少量の三官能性コモノマー、例えば、トリメリット酸を粘度調節のために組み入れることができる。
【0029】
本発明のポリ(トリメチレンテレフタレート)の固有粘度(I.V.)は少なくとも約0.80dl/g、好ましくは少なくとも約0.90dl/g、最も好ましくは少なくとも約1.0dl/gである。本発明のポリエステル組成物の固有粘度は好ましくは約2.0dl/g以下、より好ましくは約1.5dl/g以下、最も好ましくは約1.2dl/g以下である。安定な繊維を得るために、かつ、安定な糸を製造するために、より低い固有粘度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)はより高い固有粘度を有するポリマーより高い紡糸速度を必要とすることが認識されるべきである。
【0030】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の製造に好ましい製造技術は、そのすべてが参照により本明細書に援用される、米国特許公報(特許文献7)、米国特許公報(特許文献8)、米国特許公報(特許文献9)、米国特許公報(特許文献10)、米国特許公報(特許文献11)、米国特許公報(特許文献12)、米国特許公報(特許文献13)、米国特許公報(特許文献14)、米国特許公報(特許文献15)、米国特許公報(特許文献16)、米国特許公報(特許文献17)、米国特許公報(特許文献18)、米国特許公報(特許文献19)、米国特許公報(特許文献20)、米国特許公報(特許文献21)、米国特許公報(特許文献22)、米国特許公報(特許文献23)、米国特許公報(特許文献24)、米国特許公報(特許文献25)、米国特許公報(特許文献26)、米国特許公報(特許文献27)、米国特許公報(特許文献28)、米国特許公報(特許文献29)、米国特許公報(特許文献30)、米国特許公報(特許文献31)、米国特許公報(特許文献32)、米国特許公報(特許文献33)、米国特許公報(特許文献34)、米国特許公報(特許文献35)、米国特許公報(特許文献36)、米国特許公報(特許文献37)、米国特許公報(特許文献38)、米国特許公報(特許文献39)、米国特許公報(特許文献40)、米国特許公報(特許文献41)、米国特許公報(特許文献42)、米国特許公報(特許文献43)、米国特許公報(特許文献44)、米国特許公報(特許文献45)、米国特許公報(特許文献46)、米国特許公報(特許文献47)、米国特許公報(特許文献48)、米国特許公報(特許文献49)、および米国特許公報(特許文献50)、(非特許文献1)、(非特許文献2)、ならびに米国特許公報(特許文献51)に記載されている。本発明のポリエステルとして有用なポリ(トリメチレンテレフタレート)は、商標ソロナ(Sorona)で本願特許出願人から商業的に入手可能である。
【0031】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)はまた、その両方とも参照により本明細書に援用される、2000年11月8日出願の米国特許公報(特許文献52)((特許文献53)に対応する)または2002年8月24日出願の米国特許公報(特許文献54)に記載されているような酸性可染性ポリエステル組成物であり得る。米国特許公報(特許文献52)のポリ(トリメチレンテレフタレート)は、酸性可染性のおよび酸性染色されるポリエステル組成物の酸性可染性を促進するために有効な量で第二級アミンまたは第二級アミン塩を含む。好ましくは、第二級アミン単位は少なくとも約0.5モル%、より好ましくは少なくとも約1モル%の量でポリマー組成物中に存在する。第二級アミン単位は、組成物の重量を基準にして、好ましくは約15モル%以下、より好ましくは約10モル%以下、最も好ましくは約5モル%以下の量でポリマー組成物中に存在する。2001年8月24日出願の米国特許公報(特許文献54)の酸性可染性ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)および第三級アミンをベースとするポリマー添加剤を含む。ポリマー添加剤は(i)トリアミン含有第二級アミンまたは第二級アミン塩単位と(ii)1つまたは複数の他のモノマーおよび/またはポリマー単位とから製造される。好ましい一ポリマー添加剤は、ポリ−イミノ−ビスアルキレン−テレフタルアミド、−イソフタルアミドおよび−1,6−ナフタルアミド、ならびにそれらの塩よりなる群から選択されたポリアミドを含む。酸性可染性繊維はまた、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献55)に記載されているようなテトラメチルピペリジンポリエーテルグリコールを使用して製造することもできる。本発明で有用なポリ(トリメチレンテレフタレート)はまた、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献44)に記載されているもののようなカチオン可染性のまたはカチオン染色される組成物、および染色されたまたは染料含有組成物を含むこともできる。
【0032】
強度を改善するために、ポスト押出加工を容易にするまたは他の便益を与えるために、他のポリマー添加剤をポリ(トリメチレンテレフタレート)に添加することができる。例えば、本発明の酸性可染性のポリエステル組成物に強度および加工性を追加するために、ヘキサメチレンジアミンを約0.5〜約5モル%の少量で添加することができる。本発明の酸性可染性のポリエステル組成物に強度および加工性を追加するために、ナイロン6またはナイロン6−6のようなポリアミドを約0.5〜5モル%の少量で添加することができる。核剤、好ましくは約0.005〜約2重量%のテレフタル酸モノナトリウム、ナフタレンジカルボン酸モノナトリウムおよびイソフタル酸モノナトリウムよりなる群から選択されたジカルボン酸のモノナトリウム塩を核剤として、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献39)に記載されているように添加することができる。
【0033】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)は、必要ならば、添加剤、例えば、艶消剤、核剤、熱安定剤、粘度増強剤、蛍光増白剤、顔料、および酸化防止剤を含有することができる。TiO2または他の顔料をポリ(トリメチレンテレフタレート)、ブレンドに、または繊維製造中に添加することができる。(例えば、参照により本明細書に援用される、米国特許公報(特許文献56)、米国特許公報(特許文献57)、米国特許公報(特許文献58)および米国特許公報(特許文献59)、(特許文献60)ならびに(特許文献61)を参照されたい。)
【0034】
(紡糸法)
本発明の方法では、紡糸は、ポリエステル繊維の製造に関して当該技術で公知の従来装置を用いて実施することができる。典型的には、3GTはフレーク状材料として入手できる。フレークは、ポリエステル用の典型的なフレーク乾燥システムで乾燥される。典型的には乾燥後の含水率は約40ppm(百万部当たりの部)以下であろう。
【0035】
押出、急冷およびフィラメントへの仕上剤の塗布の工程は、ポリエステル糸の紡糸の当該技術で標準的な任意の方法によって行うことができる。典型的には、いったんポリマー流れが紡糸口金から押し出されると、それらは急冷されて固体フィラメントを形成する。急冷は、空気または当該技術で記載される他の流体(例えば、窒素)を用いて、通常のやり方で実施することができる。クロス−フロー、放射状または他の通常の技術が用いられてもよい。好ましくは、該流れは空気で急冷される。フィラメントに通常の紡糸仕上剤を塗布する。
【0036】
いったんフィラメントに仕上剤を塗布すると、フィラメントは場合によりインターレース・ジェットを、そして次に加熱ゴデットを通過する。
【0037】
加熱ゴデット上の温度および回転数はフィラメントをアニールし、安定な繊維を提供するのに十分であるべきである。一般に、この温度は約90〜165℃、好ましくは約115〜160℃、より好ましくは約125〜155℃の範囲にあるであろう。フィラメントは典型的には加熱ゴデット上で約4〜10回転し、それによってフィラメントは加熱され、アニールされる。より少ない回転がより高温の加熱ゴデットでは必要であろうが、より多い回転は十分なアニーリングが起こるようにより低い温度を可能にする。余りにも多くのまたは余りにも少ない回転はフィラメントを不安定にする結果をもたらすかもしれない。例えば、余りにも少ない回転では、ゴデットは、ゴデットと繊維との間にこぼれをもたらし得る、繊維を適切に保持する困難さを有するかもしれない。余りにも多い回転では、ゴデットは繊維を揺さぶり、不安定化するかもしれない。糸製品のDWS値が約4%以下である場合に、フィラメントは十分にアニールされる。
【0038】
ある特定のI.V.を有する所与の3GTポリマーについての本発明での最小紡糸速度は、フィラメントが凝固後に、および加熱ゴデットに達する前に、十分に結晶性である、すなわち、フィラメントが130℃で少なくとも約0.02g/d、好ましくは少なくとも約0.03g/dの張力を有することを確実にするべきである。結晶化度は、紡糸ラインが繊維を安定化する、および配向緩和をサポートするための張力を有することを可能にする。結晶性糸は、ある温度および速度で、多くの回転の間ゴデット上で加熱される、またはアニールされ、ここで、速度は安定な方法を提供するために少なくとも最小紡糸速度である。
【0039】
加熱ゴデットの速度が紡糸速度と定義される。十分な紡糸ライン張力での安定した紡糸−アニーリング法のため、より高いポリマーI.V.はより遅い紡糸速度を可能にし、より低いポリマーI.V.はより高い紡糸速度を必要とするかもしれない。例えば、約1.02のポリマーI.V.のホモポリマーが適用される場合、加熱ゴデットの速度は130℃での張力の要件を満たすために少なくとも約3000m/分である。約1.02未満のポリマーI.V.のホモポリマーについては、加熱ゴデットの速度は少なくとも約3000m/分より高い値にある。そのI.V.が約1.02より高いホモポリマーについては、加熱ゴデットの速度は少なくとも約3000m/分より低い値にある。共重合体またはブレンドされたポリマーについては、熱ゴデットの速度は、熱ゴデットに達する前に130℃で約0.02g/dより大きい張力を有する凝固フィラメントを与えるべく同様に調節される。
【0040】
加熱ゴデット後に、繊維は、約35℃以下に繊維を冷却するための温度にある冷ゴデットに移動する。冷ゴデットの温度は典型的には≦約35℃である。繊維を加熱ゴデットによるアニーリング後に冷ゴデット上で冷却して繊維張力を調節することが重要である。別の加熱ゴデット、またはヒーターのような追加の加熱装置を、繊維を冷却する前に用いることができる。冷却されたフィラメントは冷ゴデット上で少なくとも0.5回転する。冷ゴデット上での繊維のより多い回転は、冷ゴデットの前または後に何の冷却装置もない場合に必要とされるかもしれない。
【0041】
好ましくは、繊維は加熱ゴデットと冷ゴデットの間で適切な手段によって冷却される。典型的には、冷却は、繊維を加熱ゴデットからインターレース・ジェットへ通すことによって成し遂げられる。インターレース・ジェットの使用は、冷却に加えて、冷ゴデットに移動するための増加した張力を繊維中に提供する。
【0042】
冷ゴデットの速度は、延伸比(延伸比=2つのゴデットシステムでの、冷ゴデットの速度/加熱ゴデットの速度)が約1.04未満であるようなものである。好ましくは延伸比は約1.02未満であり、より好ましくは延伸比は約1.0以下である。冷ゴデットが加熱ゴデットより遅い、すなわち、延伸比が約1未満である場合、繊維は弛緩する。
【0043】
延伸比は、紡糸を実施させる延伸比に下端で制限される。延伸比が余りにも低いと、繊維が所望の紡糸速度でゴデットを通るのを維持するのに十分な繊維張力がないであろう。延伸比が増えるにつれて、伸度は著しく低下し、強度は大きくなり、それはより低い紡糸生産性をもたらす。約1.04より上の延伸比は、糸パッケージを不安定にする凹み形成およびチューブ圧潰のようなパッケージ巻取問題を引き起こすかもしれない。
【0044】
次にフィラメントはパッケージへ巻き取られ、ここで、巻取りでの糸速度と本明細書で定義される真の糸速度は冷ゴデットの速度未満である。真の糸速度は次の方程式
【0045】
【数2】

【0046】
(式中、SP(WU)は巻取速度であり、HAは巻き螺旋角である)
によって与えられる。フィラメントは約0.04g/dより大きい、好ましくは約0.05g/dより大きい巻取張力で巻き取られる。フィラメントは約0.12g/d未満、好ましくは約0.10g/d未満、より好ましくは約0.8g/d未満の巻取張力で巻き取られる。巻取張力は、方程式(III)
【0047】
【数3】

【0048】
(式中、OvFd(WU)は巻取供給過剰であり、SP(G2)は冷ゴデットの回転速度であり、TYSは上に定義されたような真の糸速度である)
に従って、巻取供給過剰によって制御される。
【0049】
上の議論は第1ゴデットとしての加熱ゴデット、第2ゴデットとしての冷ゴデットに関するが、代わりの紡糸機器構成が本発明の精神から逸脱しない限り、それらが用いられてもよいことは認識されるべきである。例えば、急冷繊維は、上記のように「第1」加熱ゴデット上で回転させる前に先ず冷ゴデット上で回転させられてもよい。先行冷ゴデットは、加熱ゴデットと同じ速度またはわずかにより高い速度で作動してもよい。あるいはまた、2つの加熱ゴデットが冷ゴデットの前に用いられてもよい。他の代案には、繊維が先ず加熱ゴデットまたは加熱ゴデット・セットに、次に冷ゴデットまたは冷ゴデット・セットに移動させられる限り、加熱ゴデットもしくは冷ゴデット(または両方)をゴデットのセット(セット中に2つ以上のゴデット)で置き換えることが含まれる。
【0050】
代わりの紡糸機器構成では、延伸比の定義は変わる。例えば、3つのゴデットが冷−加熱−冷の順序で、または加熱−冷−冷の順序で用いられる場合、延伸比は、加熱ゴデットの直後に置かれている冷ゴデットと加熱ゴデットとの間の速度比と定義される。加熱−加熱−冷のゴデット順序でのように、第2加熱ゴデットが用いられる場合、延伸比は冷ゴデットと第1加熱ゴデットとの間の速度比と定義される。
【0051】
本発明の方法は、図1に準拠して行われてもよい。しかしながら、これは例示的なものであるに過ぎないことを意図され、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。変形は当業者により容易に理解されるであろう。ポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーはホッパー1に供給され、それはポリマーを押出機2に紡糸ブロック3中へ供給する。紡糸ブロック3は紡糸ポンプ4および紡糸パック5を含有する。ポリマー繊維6は紡糸ブロック3を出て、空気7で急冷される。繊維6に仕上剤アプリケーター8で仕上剤を塗布する。繊維6はインターレース・ジェット9によって冷却され、そのセパレータロール11付き第1加熱ゴデット10に移動する。繊維6はインターレース・ジェット12によって冷却され、セパレータロール14付き第2冷ゴデット13に移動する。繊維6はファニング・ガイド15から巻取機16にパッケージ17上へ通過する。
【0052】
(糸パッケージ老化)
3GT・POYパッケージのような、糸パッケージでの老化は、糸パッケージのあらゆる部分での糸の特性の変化に加えて、「隆起形成」、「凹み形成」、および「チューブ圧潰」のような現象によって明示される。
【0053】
(1.隆起形成)
隆起は、糸がパッケージの元の横断面の上方に垂直方向に膨らむ、パッケージ長さに沿った方向での変形であり、図2を参照されたい。隆起形成は、図2に例示されるように、方程式(V)
【0054】
【数4】

【0055】
(式中、hは隆起高さであり、TYLはパッケージ上の糸の厚さであり、Bは糸パッケージの最大長さであり、Aはチューブコアの表面に沿ったパッケージの長さであり、EDはパッケージの端での直径、「パッケージ端直径」であり、TODはチューブ外径である)
による隆起率によって定量的に表現されるかもしれない。隆起高さ、hは方程式IIIの関係を有し、パッケージの糸層の厚さ、TYLは方程式(IV)の関係を有する。
A+2h=B (III)
TOD+2TYL=ED (IV)
隆起率の計算には、糸層の厚さ、「TYL」によるパッケージ直径の影響が含まれることが留意されるべきである。それ故、小直径パッケージはかなりの隆起を小さく見えるようにし得る。隆起形成は、パッケージ巻取り、パッケージ・ドフィング中にまたは糸貯蔵中に発現するかもしれない。
【0056】
(2.凹み形成)
凹み形成は、パッケージ半径に沿った方向でのパッケージ変形であって、パッケージ中央直径が端直径より小さいように2つのパッケージ横断面間の糸がこれらの近横断面より多く収縮している変形に関する。図2を参照されたい。凹み変形は方程式(VI)
【0057】
【数5】

【0058】
(式中、EDはパッケージの端での直径、「パッケージ端直径」であり、MDはパッケージの中央でのパッケージの直径、「パッケージ中央直径」であり、Aはチューブコアの表面に沿ったパッケージの長さである)
によって凹み率として定量的に表現されるかもしれない。凹み形成は、パッケージ巻取りまたはパッケージ貯蔵中に発現するかもしれない。
【0059】
(3.チューブ圧潰)
チューブ圧潰は、糸を担持するチューブがチューブによって担持される糸によって文字通り圧潰される、糸パッケージでの現象に関する。3GT紡糸でのチューブ圧潰は、パッケージ巻取り中に起こるかもしれない。チューブ圧潰は、厳しいパッケージ形成欠陥であり、通常、凹みおよび/または隆起形成に随伴される。
【0060】
(4.糸特性変化)
老化がない場合、3GT糸パッケージのあらゆる部分で糸のデニールは一定である。隆起形成または凹み形成によって明示されるように、3GT糸パッケージが老化する時、糸の特性は変化する。パッケージの上面で測定される糸のデニールは、老化前の上面でのデニールと比べて約10〜20だけ上がるかもしれない。老化後に、デニールはまた、パッケージの一横断面から他の横断面まで移動する糸の層内で変わるかもしれない。しかしながら、チューブコアの近くまたはチューブコアでの糸のデニール、例えば、約4〜10糸層は老化後に不変のままであるかもしれない。糸層がチューブコアから離れるにつれて、デニールは急速に上がり、老化後に最大に達する。次にデニールは、チューブコアからのさらなる距離と共に、最大値と比べて下がり、最終的にはチューブコアでの糸のデニールと最大デニールとの間のデニールで上面に達するかもしれない。
【0061】
パッケージのあらゆる部分での糸デニールの差は、延伸テクスチャー加工で問題を引き起こす。フィーダー糸でのこれらのデニール差は延伸テクスチャー加工糸中にそのまま残り、製品糸での他の望ましくない特徴の中でも特に、染色一様性の欠如をもたらすかもしれない。
【0062】
デニールの変化に加えて、老化すると伸度および靱性もまた変化し、靱性は急速に小さくなり、伸度が増加する。靱性および伸度の変化はデニール変化と一致する。デニールが変化する時はいつでも、靱性および伸度は変化する。3GTフィーダー糸の老化時に収縮特性の劇的な変化もまた存在する。
【0063】
(改善された分析方法)
本発明の方法はテキスタイルでの使用のための3GT糸であって、温度が約38℃を超えるかもしれない環境への長期にわたる暴露時に耐老化性である3GT糸を提供する。老化は糸パッケージにおいて隆起および/または凹み形成によって明示されるが、これらの現象は発現するのに数時間または数日かかるかもしれない。糸製造業者は、老化に抵抗するパッケージのみを製造することを好むであろう。これまで、紡糸工程条件を老化に抵抗する紡績糸の性質と相関させるために、迅速に行うことができる、利用可能な何の試験方法もなかった。
【0064】
驚くべきことに、乾温収縮、すなわち「DWS」と呼ばれる新たな試験における特定条件下での糸収縮の測定が、約38℃より高いような高温で貯蔵された時に糸パッケージが凹み形成(老化の特徴)を発現するかどうかを予測できるようにすることが本発明で見いだされた。DWSは、ほんの短い長さの糸を測定に用いて、糸老化の予測を迅速に可能にする。許容されるDWSの糸パッケージは、パッケージ変形のリスクなしに将来使用のために安全に貯蔵することができる。DWSはパッケージ・サイズで制限されず、いったん紡糸条件が特定されると、該条件を用いて、任意のパッケージ・サイズを製造できることを意味する。
【0065】
この議論の目的のためには、老化影響は凹み形成によって実証される。糸の耐老化性は貯蔵前後に測定されるパッケージの凹み率の差によって表現される。貯蔵後の凹み率が大きければ大きいほど、糸の耐老化性は低い。所与のパッケージについて、貯蔵後の凹み率が貯蔵前の凹み率と同じである場合、パッケージは優れた耐老化性を有する。該差が大きい場合、耐老化性は乏しい。
【0066】
本発明は、一般適用の改善された促進老化試験である方法を提供する。本発明の方法は、ある長さの糸がその平衡収縮の少なくとも85%、好ましくは95%に達する条件に糸を曝し、糸の収縮を測定することによって3GT紡績糸の耐老化性を測定する。加熱温度は約30〜約90℃、好ましくは約38〜約52℃、より好ましくは約42〜約48℃であってもよい。DWS測定において所与の加熱温度での加熱時間は、それ故
加熱時間≧1.561×1010×e-0.4482[加熱温度]
である。
好ましい加熱時間は
加熱時間≧1.993×1012×e-0.5330[加熱温度]
(式中、加熱時間は分単位であり、加熱温度は℃単位である)
である。例えば、41℃の加熱温度で、サンプル加熱時間は163分(2.72時間)、好ましくは644分(10.73時間)より長いかそれに等しいべきである。45℃のサンプル加熱温度での場合、サンプル加熱時間は27.2分(0.45時間)、好ましくは76.4分(1.27時間)より長いかそれに等しいべきである。本発明の目的のためには、測定値は、平衡収縮を測定するために糸を少なくとも24時間41℃に曝した後に採取されるべきである。
【0067】
DWS測定に使用される糸はかせであっても非ループ糸であってもよい。かせは、ループがシングルフィラメントであってもマルチプルフィラメントであってもよい、シングルループであってもマルチプルループであってもよい。非ループ糸サンプルは、糸がシングルフィラメントであってもマルチプルフィラメントであってもよい、マルチプル糸または単糸を含有してもよい。
【0068】
サンプル長さ(加熱前L1および加熱後L2)は、かせ中にシングルループを作る糸長さの半分であるかせ長さと定義される。サンプル長さは、加熱前後に、実際に測定可能である任意の長さであってもよい。サンプル長さL1は典型的には約10〜1000mm、好ましくは約50〜700mmの範囲にある。約100mmの長さL1がシングルループかせの形でのサンプルについて、および約500mmのL1がマルチループかせの形でのサンプルについて便利に使用されてもよい。
【0069】
本方法では、テンション重りがサンプルを真っ直ぐ保持して長さ、L1を測定するために糸のサンプルから吊される。糸は末端を結ぶことによって典型的にはループにされる。長さ、L1は、テンション重りをループに吊して周囲温度で測定される。テンション重りは、サンプルを真っ直ぐに保持するのに少なくとも十分であるべきであるが、サンプルを延伸させるべきではない。サンプル糸に好ましいテンション重りは次式
テンション重り=0.1×2×(かせ中のループ数)×(糸デニール)
に従って計算されるかもしれない。
【0070】
典型的には、サンプルは二重ループ状にされ、架に吊される。架に吊された場合、場合により、加えられる重りはループから吊されてもよい。重りはサンプルを安定させるために有用であるかもしれない。加えられる重りは、サンプルの収縮を制限せず、また加熱中に延伸も引き起こさない。何の重りも加えられない場合、サンプルは単に、それが加熱中に自由に収縮することを許される表面上に置かれてもよい。
【0071】
加熱はガスまたは液体流体を使用して成し遂げられてもよい。液体が使用される場合、糸は容器中に入れられる。流体がガスであり、好ましいガスが空気である場合、オーブンが便利に用いられる。サンプルは、サンプルを自由に収縮させるやり方で加熱流体中に置かれるべきである。
【0072】
サンプルは、加熱から取り出され、少なくとも約15分間冷却される。加熱されたサンプルの長さはテンション重りを試料から吊して測定され、この値をL2として記録する。DWSは方程式(VII)に基づいてL1およびL2から計算される。
【0073】
【数6】

【0074】
驚くべきことに、DWSは、例えば、凹み形成によって明示されるような、糸の耐老化性に対応する。
【0075】
図3は、DWSと凹み率との相関関係を示すグラフである。先に述べられたように、凹み率の発現はパッケージ老化の表れである。直径差、(パッケージ端直径−パッケージ中央直径)であるED−MDと一緒にDWSが、約2.5kg、直径160mmの個々の糸パッケージを3.2時間41℃の温度に曝した後のパッケージについての凹み率に対してプロットされている。パッケージのDWS値は暴露前に測定された。凹み率および直径差は暴露後に測定された。図3から理解できるように、DWSは、凹み率が増加するにつれて増え、このように凹み形成と相関関係がある。
【0076】
理論によって拘束されることを望まないが、老化によって引き起こされるパッケージ変形は糸収縮に由来すると考えられ、DWSは、エアコンなしで夏季に温暖な気候で遭遇するものと類似の温度での糸貯蔵時に発現できる糸収縮を測定する。それ故、DWSは、糸の耐老化性を効果的に表現するために用いることができる。
【0077】
フィラメント紡糸についての商業標準は、2.5kg、直径160mmの糸パッケージにおいて2mmのED−MDの直径差を許容する。それ故、老化した糸の直径差が約2mm以下である場合、糸は商業標準で許容される耐老化性を有する。
【0078】
直径差は、図3のグラフに示されるようにDWSと関連がある。図3によれば、ED−MD=2mmである場合、凹み率=0.8%およびDWS=4%である。それ故、約4%以下のDWS値を有する糸は許容される耐老化性を有する。製品糸が約4%以下、好ましくは約2%以下のDWS値を有し、凹み率が約0.8%以下、好ましくは約0.44%以下、直径差が約2mm以下、好ましくは約1.1mm以下ならば、糸が紡糸中にアニールされる許容される紡糸法の条件をそれ故決定することができる。
【0079】
上に提供されたED−MDおよび凹み率はパッケージ・サイズで制限されることを認識することが重要である。これらの研究でのパッケージ・サイズは直径160mm、重量2.5kgであった。パッケージ・サイズの増加は、ED−MDおよび凹み率についての限界の増加を必要とするであろう。しかしながら、DWSはパッケージ・サイズによって影響を受けず、それ故DWSは任意サイズの任意の糸パッケージに適用される。いったんDWSが糸について測定されると、糸が貯蔵中に耐老化性であるかどうかを直ちに評価することができる。
【0080】
(糸およびパッケージ特性)
本発明に従って製造された糸は、次の特性の1つまたは複数を有するとして表現されてもよい。
【0081】
(1)既に上に記載されたようなDWS老化試験に基づいて、約4%以下、好ましくは約2%以下の乾温収縮(DWS)値を有することによって示唆されるように糸は耐老化性である。
【0082】
あるいはまた、しかしパッケージ・サイズで制限されて、糸の耐老化性は、条件(C)を満たすサンプル・パッケージについて老化条件(A)および(B)で記述される老化試験で発現した凹み率と隆起率とによって表現されるかもしれない。糸は、次の2つの条件が満たされる場合に耐老化性である。
−凹み率≦約0.82%、および
−老化試験前後の隆起率の差≦約5%
(A)温度41℃
(B)加熱時間3.2時間
(C)チューブコアの外面とパッケージの外面との間で測定された糸層の厚さが約25mmである。
【0083】
(2)糸は約105%以下の伸度を有する。伸度は、類似の条件下で、しかしアニーリングおよび何の延伸もなしの、本明細書で「単純」紡糸法と言われる紡糸法で提供されるものと似ている。一般に、後の延伸−テクスチャー加工工程での紡糸生産性の低下を回避するために、約1以下の延伸比で、より高い伸度が好ましい。しかしながら、約105%より大きい伸度は紡糸法安定性を維持するためには望ましくない。
【0084】
製品糸が直接最終用途を意図される場合、伸度が指定されるかもしれず、紡糸条件は指定された伸度を提供するために調節される。
【0085】
(3)本発明の糸は、約2.5g/d以上、好ましくは約2.8g/dより大きい強度を有し、それは単純紡糸法で達成される強度と似ている。
【0086】
(4)糸は、約23g/d以下、好ましくは22.5g/d未満の弾性率を有する。弾性率は、単純紡糸法で提供されるものより本発明の糸で有利にもわずかに低い。
【0087】
(5)糸のウースター斑、U%は約2%以下、好ましくは約1.5%未満であり、それは単純紡糸法で提供されるウースター斑と似ている。DTY供給糸に対する老化の一重大影響は、老化後糸の増加した非一様性である。糸の増加した非一様性は、DTY糸の染色欠陥に関係する、著しく増加したU%をもたらす。
【0088】
(6)本発明の糸のボイルオフ収縮(BOS)は約14%以下、好ましくは約10%未満である。この糸は、単純紡糸法で製造された糸と比べて著しく低下したBOSを有する。低いBOS値は直接最終用途糸にとって重要である。SAYのBOSが約14%より高い場合、布収縮は余りにも高くて許容されないかもしれない。
【0089】
(7)130℃での張力(Tens130)は約0.02グラム/デニール(g/d)以上である。
【0090】
(8)約45〜70℃、好ましくは約50〜70℃の収縮開始温度(shrinkage onset temperature)(Ton)。耐老化性の観点から、高い収縮開始温度は、糸貯蔵中に糸が老化するための機会が少ない傾向がある。
【0091】
約60〜90℃、好ましくは約65〜90℃の第1熱張力ピーク温度(first thermal tension peak temperature)(T(p1))。本発明に従ってSAY紡糸に適用される紡糸速度での単純紡糸については、2つのピーク熱張力が熱張力温度測定で典型的に観察される。第1ピーク熱張力は室温近くである。第2ピーク熱張力は結晶性領域での配向度減少に関係する。第2ピーク張力はしばしばサンプル調製によって影響を受ける、または測定するのが困難であるので、本発明者らは第2張力ピークを表すために210℃での張力値を用いる。第1ピーク張力温度は、2つの張力ピークを有する糸についての収縮開始温度に非常に近いので、収縮開始温度に影響を及ぼすファクターは同様に第1張力ピーク温度にも影響を及ぼす。
【0092】
(10)約0.03〜0.15g/d、好ましくは約0.03〜0.10g/dの第1ピーク張力(first peak tension)。より低い第1ピーク張力は、高い糸貯蔵温度で糸が収縮するための低い駆動力を与える。糸の老化特性を改善するために、得られた糸が低い第1ピーク張力を有することが望まれる。低い第1ピーク張力は低い紡糸張力と関係がある。それ故、第1ピーク張力は約0.03g/dより低くないべきである。他方、過度に高い第1ピーク張力は、通常、かなりの延伸が紡糸でかけられていることを意味する。第1ピーク張力が約0.15g/dより高い、かかるケースでは、それはSAY紡糸における圧潰チューブありパッケージ巻取りの発生の強い証拠である。
【0093】
糸パッケージは、耐老化性の糸を提供するために本発明の紡糸法を用いて調製されてきた。糸パッケージは小さなサイズに限定されず、より大きなパッケージが熟慮される。
【0094】
本発明の態様に従って、本発明の溶融紡糸ポリ(トリメチレンテレフタレート)の巻き取りパッケージは少なくとも約50mmの糸層の厚さおよび少なくとも約6kgのパッケージ重量を有する。好ましくは、巻き取りパッケージは少なくとも約63mmの糸層の厚さおよび少なくとも約8kgのパッケージ重量を有する。より好ましくは、パッケージは少なくとも約74mmの糸層の厚さおよび少なくとも約10kgのパッケージ重量を有する。さらにより好ましくは、パッケージは少なくとも約84mmの糸層の厚さおよび少なくとも約12kgのパッケージ重量を有する。最も好ましくは、パッケージは少なくとも約94mmの糸層の厚さおよび少なくとも約14kgのパッケージ重量を有する。本明細書で用いるところでは、「パッケージ重量」は糸だけの重量を含み、チューブの重量を除外することを意図される。好ましくは、巻き取りパッケージは約9%未満の隆起率と、約2%以下、好ましくは約1%以下の凹み率とを有する。好ましくは、糸はチューブの周りに巻き取られ、チューブは実質的に圧潰がない、または、紡糸中に何のチューブ圧潰巻取もない。
【実施例】
【0095】
(試験方法)
伸度および靱性は、インストロン社(Instron Corp.)引張試験機、モデルNo.1122を用いて測定した。破断伸度および靱性は、米国材料試験協会(ASTM)方法D2256に従って測定した。
【0096】
ボイルオフ収縮(「BOS」)は、ASTM D2259に従って次の通り測定した。糸に0.2g/d(0.18cN/dtex)負荷を生み出すために重りをある長さの糸から吊し、次にその長さ、L1を測定した。次に重りを取り除き、糸を沸騰水中に30分間浸漬した。次に糸を沸騰水から取り出し、約1分間遠心分離し、約5分間放冷した。次に、冷えた糸に前と同じ重りで負荷をかけた。糸の新たな長さ、L2を記録した。パーセント収縮を下の方程式に従って計算した。
【0097】
【数7】

【0098】
乾温収縮(「DWS」)。マルチプルフィラメントを含むシングルループかせ糸のサンプル長さを選択した。テンション重りを、糸に0.2g/d(0.18cN/dtex)負荷を生み出すためにある長さの糸から吊し、次に100mmのその長さ、L1を測定した。約0.51gの重さがある紙クリップをループに取り付けた。糸を架上に置き、次に約45℃の空気加熱オーブン中へ2時間入れた。次に糸をオーブンから取り出し、約15分間放冷し、次に長さを再び測定し、L2として記録した。次にパーセント収縮を上の方程式Iに従って計算した。
【0099】
本明細書での目的のための熱機械分析は熱張力対温度の測定である。次の特性は、熱−張力−温度測定から得られてもよい:収縮開始温度、第1ピーク熱張力、第1ピーク張力温度、第2ピーク熱張力(第2ピーク張力温度は本明細書での目的のためには210℃に固定される)、および130℃での熱張力。
【0100】
熱張力対温度の測定は、本願特許出願人によって製造された収縮−張力−温度測定装置を用いて30℃/分の加熱速度で実施した。機器はシングルループの下に記載されるある長さのサンプルを使用する。全体サンプルを、機器中で所与の一定の加熱速度で一様に加熱する。熱張力を温度に対して測定する場合、サンプル長さを一定に維持し、加熱が始まる前にサンプルにプレテンションをかける。熱張力を加熱の間ずっと測定する。3GTフィラメントについては、サンプルを25〜30℃から210〜215℃へ加熱する。加熱速度は一定である。3、5、10、30℃/分などのような幾つかの加熱速度が利用可能である。糸サンプルを、約100mm長さのループのために、約200mmの糸からループとして調製した。張力−温度測定でかけられたプレテンションは0.005グラム/デニールであった、すなわち、プレテンション(グラム)=糸デニール×2×0.005(グラム/デニール)であった。
【0101】
収縮開始温度(Ton)は糸収縮の開始点を表現する。収縮開始温度(Ton)は、熱張力の急な増加を通して直線を引き、温度軸に平行の直線を引き、張力が急速に増加する前の最小張力を通すことによって得られる。2直線の交差点の温度が収縮開始温度(Ton)と定義される。
【0102】
ウースター斑、平均偏差むら、U%は、ツェルウェガー・ウースター(Zellweger Uster)によって製造されたウースター試験機(Uster Tester)3、タイプUT3−EC3を用いてASTM方法D−1425に従って測定した。U%、正常値を2.5分の試験時間で、200m/分のストランド速度で得た。
【0103】
(実施例1〜2)
1.02のI.V.および40ppm未満の含水率を有し、本願特許出願人によって提供される、ポリ(トリメチレンテレフタレート)(3GT)フレークを、再溶融するための押出機へ供給し、次に紡糸ブロックに移し、264℃の温度で紡糸口金から押し出した。紡糸口金は0.254mmの直径の34穴を有した。紡糸口金からの溶融ポリマー流れは先ず、紡糸口金から急冷の開始までの長さ70mmの非加熱急冷遅延ゾーンに入り、引き続きクロスフロー急冷空気ゾーンに入って固体フィラメントになった。計量供給仕上剤塗布で塗布された後、フィラメントは第1インターレース・ジェットを通過して延伸システムに入り、そこでフィラメントは直径190mmの2つのゴデットに移動した。紡糸パラメーターを表1に示す。図1でのように、フィラメントを加熱ゴデットに移動させ、次に、先ずインターレース・ジェットを通過させて温度を下げた後、冷ゴデットに移動させた。フィラメントを冷ゴデットからファニング・ガイドを通って巻取機に移動させた。巻取張力を、0.70%の巻取供給過剰で0.06g/dに制御した。本研究で適用されるチューブコアは次の仕様を有した。
チューブコア長さ:300mm
巻きストローク:257mm
チューブコア外径:110mm
チューブ肉厚:7mm
【0104】
得られた糸の特性を表2に示す。
【0105】
(比較例A〜D)
加熱ゴデットを室温に保持し、何のアニーリングも行わなかったことを除いては実施例1〜2の方法を繰り返した。紡糸パラメーターを表1に示す。得られた糸の特性を表2に示す。
【0106】
(比較例EおよびF)
耐老化性クライテリアを満たすのに十分に糸をアニールしない温度に加熱ゴデットを保持したことを除いては実施例1〜2の方法を繰り返した。紡糸パラメーターを表1に示す。得られた糸の特性を表2に示す。
【0107】
【表1】

【0108】
【表2】

【0109】
(結果の議論−実施例1〜2ならびに比較例A、E、およびF)
表2で理解できるように、表1による他の条件に加えて3334の紡糸速度で、115℃以上のアニーリング温度は、低いDWS値で示唆されるように耐老化性の3GT糸をもたらす。実施例1および2ならびに比較例A、EおよびFは、3334m/分の紡糸速度でのアニーリング温度の影響を示す。実施例1および2は4%未満のDWS値を有するので、アニーリング温度が製品糸に十分な耐老化性を提供した。比較例でのアニーリング温度は、耐老化性の糸を生み出すのに十分ではなかった。3334m/分および表1に明記された条件で十分なアニーリング温度は従って決定された。130℃での張力は、例すべてについて約0.04g/dより大きかった。
【0110】
実施例1に従って調製した2.3kg、156mm直径糸パッケージを、空気加熱オーブン中で3.2時間41℃の温度に曝すことによるパッケージ変形についてモニターした。暴露前に、パッケージ凹み率は0.15%であり、端および中央パッケージ直径の間の差、ED−MDは0.4mmであった。2.25時間暴露後に、凹み率は0.29%であり、ED−MDは0.7mmであった。3.2時間暴露後に、凹み率は0.29%であり、耐老化性を示唆した。比較例Aに従って調製した類似のパッケージの凹み率もまた3.2時間41℃への暴露時にモニターした。このパッケージの凹み率は加熱前の0.65の値から加熱後の1.87まで増加し、高度の変形を示唆した。暴露結果は、糸パッケージにおける耐老化性の正確な予測子としてのDWS値をサポートする。
【0111】
(実施例3〜5)
紡糸速度が3500m/分であり、第2インターレース・ジェットが35psiの代わりに25psiの圧力を有したことを除いては実施例1〜2の方法を繰り返した。他の紡糸条件を表3に示す。所望の巻取張力を達成するために巻取速度をセットした。得られた糸の特性を表4に示す。
【0112】
これらの例では1の延伸比を用いた。紡糸中に何の加熱も適用しなかった比較例Bを含めて、4つの加熱ゴデット温度を3500m/分で試験した。表3を参照されたい。実施例1と比べて、これらの例は、所望の巻取張力を達成するために異なる巻取速度を用いた。実施例3〜5および比較例Bは、実施例1と同じポリマー押出量を用いる。それ故、実施例3〜5および比較例Bについて得られた糸のデニールは実施例1でのデニールより僅かに低い。
【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
(結果の議論−実施例3〜5および比較例B)
表4で分かるように、DWSは、紡糸速度3500m/分で加熱ゴデット温度が上がるにつれて低下した。加熱ゴデット温度が実施例3で135℃に上げられた場合にDWSは約2%より下に低下したが、125℃および115℃では、DWSは、それぞれ、2.2%および3.9%であった。それ故、115℃の温度がこれらの条件下で耐老化性糸を提供するのに十分である。130℃での張力はまた、例すべてについて約0.04g/dより大きかった。
【0116】
実施例3に従って調製した2.7kg、164mm直径糸パッケージを、実施例1によって5.2時間41℃の温度に曝すことによるパッケージ変形についてモニターした。暴露前に、パッケージ凹み率は0.13%であり、端および中央パッケージ直径の間の差、ED−MDは0.3mmであった。3.5時間暴露後に、凹み率は0.26%であり、ED−MDは0.7mmであった。5.2時間暴露後に、凹み率は0.25%であり、ED−MDは0.6mmであり、耐老化性を示唆した。比較例Bに従って調製した類似の糸パッケージの凹み率もまた5.2時間41℃での処理時にモニターした。このパッケージの凹み率は加熱前の0.63の値から加熱後の1.86まで増加し、高度の変形を示唆した。暴露結果は、糸パッケージにおける耐老化性の正確な予測子としてのDWS値をサポートする。
【0117】
(実施例6〜8)
紡糸速度が3800m/分であり、第2インターレース・ジェットが35psiの代わりに25psiの圧力を有したことを除いては実施例1〜2の方法を繰り返した。紡糸パラメーターを表5に示す。所望の巻取張力を達成するために巻取速度をセットした。得られた糸の特性を表6に示す。
【0118】
【表5】

【0119】
【表6】

【0120】
(結果の議論−実施例6〜8および比較例C)
表5および6で理解できるように、115℃またはそれ以上の加熱ゴデット上の温度で実施例6〜8の条件下で、DWS値はすべて4%未満であり、耐老化性を示唆した。
【0121】
実施例6に従って調製した2.7kg、160mm直径糸パッケージを、実施例1によって5.2時間41℃の温度に曝すことによるパッケージ変形についてモニターした。暴露前に、パッケージ凹み率は0.25%であり、端および中央パッケージ直径の間の差、ED−MDは0.6mmであった。3.5時間暴露後に、凹み率は0.29%であり、ED−MDは0.7mmであった。5.2時間暴露後に、凹み率は0.38%であり、ED−MDは1mmであり、耐老化性を示唆した。パッケージにおけるこれらの変化は良好な耐老化性を示し、DWSによる予測を裏付ける。比較例Cに従って調製した類似の糸パッケージの凹み率もまた5.2時間41℃での処理時にモニターした。このパッケージの凹み率は加熱前の0.52の値から加熱後の1.76まで増加し、高度の変形を示唆した。暴露結果は、糸パッケージにおける耐老化性の正確な予測子としてのDWS値をサポートする。
【0122】
実施例1と比べて増加した紡糸速度および下がったフィラメント当たりのデニールのために、実施例6〜8および比較例Cで製造された糸の伸度値は、紡糸速度3334m/分での約80%と比べて約71%に低下した。紡糸速度を3334から3800m/分に上げたことによって弾性率または強度には何の有意な変化も起こらなかった。
【0123】
(実施例9〜12)
実施例1〜2の方法を4000m/分の紡糸速度で繰り返し、第2インターレース・ジェットは35psiの代わりに25psiの圧力を有した。紡糸パラメーターを表7に示す。所望の巻取張力を達成するために巻取速度をセットした。得られた糸の特性を表8に示す。
【0124】
【表7】

【0125】
【表8】

【0126】
(結果の議論−実施例9〜12および比較例D)
表7および8から理解できるように、加熱ゴデット温度が上がるにつれて、得られた糸のDWSは低下した。加熱ゴデット温度が115℃または125℃である場合、得られた糸のDWSは2〜4%であった。それ故、115℃および125℃は両方とも、耐老化性糸を製造するために4000m/分の紡糸速度でアニールするのに許容される温度である。より低いDWS値はより高い温度で達成された。
【0127】
実施例10に従って調製した2kg、152mm直径糸パッケージを、実施例1によって3.4時間41℃の温度に曝すことによるパッケージ変形についてモニターした。暴露前に、パッケージ凹み率は0.18%であり、端および中央パッケージ直径の間の差、ED−MDは0.64mmであった。3.4時間暴露後に、凹み率は0.44%であり、ED−MDは1.1mmであった。パッケージにおけるこれらの変化は良好な耐老化性を示し、DWSによる予測を裏付ける。比較例Dに従って調製した類似の糸パッケージの凹み率もまた3.4時間41℃での処理時にモニターした。このパッケージの凹み率は加熱前の0.53の値から加熱後の1.52まで増加し、高度の変形を示唆した。暴露結果は、糸パッケージにおける耐老化性の正確な予測子としてのDWS値をサポートする。
【0128】
(実施例13〜16および比較例G〜I)
表9に特定されるそれらのパラメーターおよび本明細書で議論されるものを除いては実施例1〜2の方法を繰り返した。3GTポリマーは1.02のI.V.を有した。紡糸口金温度は264℃であった。適用した紡糸速度は3500m/分であった。第2インターレース・ジェットは35psiの圧力を有した。延伸比は0.999〜1.10で変わった。チューブ圧潰の存在を評価するために、約2.5kgおよびパッケージ直径約160mmのサイズのパッケージを、表9に示すすべての実施例および比較例で製造した。得られた糸の特性を表10に示す。
【0129】
【表9】

【0130】
【表10】

【0131】
(実施例13〜16および比較例G〜Iについての結果の議論)
表10は、延伸比が増えるにつれてDWSが増えることを示す。1.10の延伸比では、DWSは4%より僅かに高い。1.08の延伸比では、DWSはこれらの条件で耐老化性を示唆する、たったの3.4%であったが、1.04より大きい延伸比で、チューブ圧潰が起こった。それ故、糸貯蔵中の耐老化性の観点からすれば、紡糸アニーリング法での延伸比の増加は糸の耐老化性を劇的には弱くしない。しかしながら、チューブ圧潰はパッケージ巻取り中に起こり、それはパッケージが巻取機のスピンドルから取り去られるのを妨げる。表10はまた、延伸比が増えるにつれて得られた糸の伸度が低下することも示す。チューブ圧潰がまさに起ころうとしている延伸比1.04では、伸度は、1以下の延伸比での70%より上から約66%に低下した。得られた糸の伸度は、延伸比が1.04からさらに増えた場合にはさらに低下する。DTY供給糸での伸度の低下は紡糸生産性を低下させる。それ故、生産性の観点から、低い延伸比がまた望ましい。
【0132】
(実施例17〜20)
表11に特定されるそれらのパラメーターを除いては実施例1〜2の方法を繰り返した。得られた糸の特性を表12に示し、実施例1、3、6および9の特性と比較する。
【0133】
実施例1、3、6および9と共に実施例17〜20は、紡糸速度3334、3500、3800および4000m/分で延伸比を変えることの例を提供する。主要な工程条件を表11に示す。延伸比はすべて1以下である。加熱ゴデット温度は、各紡糸速度で比較される2つの実施例については同じものであった。所望の巻取張力に到達するために巻取供給過剰を各実施例について調節した。延伸比の影響を各紡糸速度で比較する。紡糸速度が実施例1および17、実施例3および18、実施例6および19ならびに実施例9および20の間で変わった場合、ポリマー押出量は実施例1に規定された値に維持した。それ故、紡糸速度が上がるにつれてデニールは下がる。
【0134】
【表11】

【0135】
【表12】

【0136】
(結果の議論−実施例17〜20)
表12から理解できるように、検討した各紡糸速度で、DWSはより高い延伸比でより高かった。この影響は低い紡糸速度でより明白であった。3334m/分で、延伸比を0.9989から1に変えた場合、DWSは1.5から2.4%へ増えた。延伸比が0.9989から1に変わった場合、他の糸特性、特に、DWSより少ししか変わらないBOSは各紡糸速度で全く同様である。表12はまた、本発明のSAY紡糸でのパッケージ巻取りの4つの実施例も示す。実施例1、18、19および20はそれぞれ紡糸速度3334、3500、3800および4000m/分でのパッケージ巻取りを示す。得られたパッケージのパッケージ重量、パッケージ端直径、隆起率と凹み率とを表12に示す。驚くべきことに、実施例1、18および19のパッケージ・サイズは16.7kgに達する。
【0137】
本開示の助けを借りる当業者は、本発明の多くの利点および特徴を理解し、かつ、本発明の精神から逸脱することなく、本明細書に記載されるような本発明の様々な態様および実施形態に多くの修正が行われてもよいことを理解するであろう。例えば、テキスタイル用途向け糸は、製織およびニッティングのようなテキスタイル加工での使用に好適であるのに十分に低い収縮と共に、十分な強度および適切な伸度のような、ある種の特性を持たなければならない。既存の商業的に入手可能な3GT糸は部分延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸(3GT・POY)であり、それは布での使用前に延伸されるまたは延伸テクスチャー加工される必要がある。本発明に従った方法は、とりわけ、テキスタイル製品をさらなる延伸なしに製造するために使用されてもよい「直接使用」紡績糸を提供する。また例えば、糸パッケージでの耐老化性を改善するための紡糸法のデザインは、実際のパッケージ老化に基づいているべきである。しかしながら、パッケージの実際の老化を測定することは非常に時間がかかる。本発明の一態様は、パッケージの老化を予測することができる、迅速にかつ容易に行うことができる方法を提供する。従って、本明細書に記載される様々な態様および実施形態は、例示的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明で有用な紡糸機器構成を例示する。
【図2】隆起および凹み変形を例示する糸パッケージの略図を提供する。
【図3】DWSと、凹み率と共に老化時パッケージ直径差(老化現象)との関係を示すグラフである。
【図4】老化前後の糸パッケージについて凹み率およびパッケージ直径差を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)溶融したポリ(トリメチレンテレフタレート)を紡糸口金を通して押し出す工程と、
(b)押し出されたポリ(トリメチレンテレフタレート)を急冷して固体フィラメントの繊維を形成する工程であって、前記フィラメントが130℃で約0.02g/dより大きい張力を有する工程と、
(c)前記フィラメントをある速度および温度で運転される加熱ゴデット(heated godet)に通して前記繊維を加熱する工程であって、前記繊維と加熱する速度および温度が約4%以下のDWS値の糸を提供するのに十分である工程と、
(d)前記糸を約35℃以下の温度に冷却する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
急冷後、前記固体フィラメントに仕上剤(a finish)を塗布することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
冷ゴデット(cool godet)を用いて前記冷却を成し遂げ、前記冷ゴデットの速度が前記加熱ゴデットと前記冷ゴデットとの間で約1.04以下の延伸比を提供し、前記繊維張力を前記冷ゴデットに移動する前に増加させ、前記繊維張力を少なくとも約0.005g/dだけ増加させ、前記加熱ゴデットの速度が少なくとも約3000m/分であり、かつ、前記加熱ゴデットの温度が約90℃〜約165℃であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記冷ゴデットからの繊維がパッケージ上に巻き取られ、前記フィラメントが約0.04g/dより大きい張力でパッケージ上に巻き取られ、かつ、前記巻取りが、真の糸速度が前記冷ゴデットの速度未満であるように巻き取るものであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
約4%以下のDWSを有することを特徴とする溶融紡糸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸。
【請求項6】
約105%以下の伸度(elongation)、約2.5g/d以上の靱性(tenacity)、約23g/d以下の弾性率(modulus)、約2%以下のウースター斑(Uster)、約14%以下のボイルオフ収縮(boil off shrinkage)、130℃で約0.02g/d以上の張力、約60〜90℃の第1熱張力ピーク温度(first thermal tension peak temperature)、および/または約0.03〜0.15g/dの第1ピーク張力(first peak tension)を有することを特徴とする請求項5に記載の糸。
【請求項7】
約45℃〜70℃の収縮開始温度(shrinkage onset temperature)を有することを特徴とする請求項5または6に記載の糸。
【請求項8】
少なくとも約50mmの糸層の厚さおよび少なくとも約6kgのパッケージ重量を有することを特徴とする請求項5、6または7のいずれか1項に記載の溶融紡糸ポリ(トリメチレンテレフタレート)の巻き取りパッケージ(wound package)。
【請求項9】
少なくとも約16mmの糸層の厚さを有し、少なくとも約1.5kgの重さがあり、かつ、少なくとも約142mmのパッケージ直径を有する請求項5に記載の糸から製造されたパッケージであって、少なくとも3.2時間、少なくとも41℃の温度に暴露した時に約0.82%以下の凹み率(dish ratio)を有することを特徴とするパッケージ。
【請求項10】
約20〜30mmの糸層の厚さを有し、少なくとも約2〜3kgの重さがあり、かつ、約151〜169mmのパッケージ直径を有する請求項5に記載の糸から製造されたパッケージであって、少なくとも3.2時間、少なくとも41℃の温度に暴露した時にパッケージ端直径と中央直径との差が約2mm以下であることを特徴とするパッケージ。
【請求項11】
少なくとも3.2時間、41℃の温度に暴露した時に約5%以下の隆起率(bulge ratio)を有することを特徴とする請求項10に記載のパッケージ。
【請求項12】
約2%以下の凹み率を有することを特徴とする請求項5に記載のパッケージ。
【請求項13】
チューブの周りに巻き取られた請求項5に記載のパッケージであって、実質的に圧潰(crush)がないことを特徴とするパッケージ。
【請求項14】
(a)糸の非延伸長さをL1として測定し、前記糸がその平衡収縮(equilibrium shrinkage)の少なくとも85%に達するのに十分な時間および温度下で前記糸を加熱する工程と、
(b)前記加熱された糸を冷却する工程と、
(c)前記冷却された糸の非延伸長さをL2として測定する工程と、
(d)前記糸の乾温収縮(DWS,dry warm shrinkage)を
【数1】

を用いて計算する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記加熱温度が約30〜90℃であることを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−524764(P2007−524764A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503359(P2006−503359)
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/003381
【国際公開番号】WO2004/072340
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】