説明

索条式コンベア

【課題】搬送経路が水平カーブ状経路を含む場合であっても使用することができる索条式コンベアを得る。
【解決手段】キャリア2が、所定軌道に沿って移動可能に支持された複数のトロリ21,22間を連結ロッド25,…により連結してなるものであり、前端トロリ21及び後端トロリ22に、索条5の駆動力をキャリア2へ伝達する握索状態CLと索条5の駆動力をキャリア2へ伝達しない放索状態OPとを切り替える握索装置3,4を上下方向に揺動可能に取り付け、放索状態OPで握索装置3,4と索条5とが水平方向に相対的に揺動してもこれらが干渉しないように握索装置3,4を上下方向に揺動させる上下揺動手段を備え、水平カーブ状経路では上下揺動手段を作用させるとともに、前後の握索装置3,4の握放索の切り替えを行うことにより、水平カーブ状経路を含む搬送経路に沿ってキャリア2を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置により駆動されて移動する索条を用いてキャリアを搬送する索条式コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動プーリ及び従動プーリ間に掛け渡した無端状の索条(ワイヤーロープ、ワイヤーケーブル)を、駆動装置により駆動プーリを駆動することにより移動させ、この索条の駆動力によりキャリアを搬送する索条式コンベアとして、索条に対する挟持溝を有する相対向する二枚のクランプ板を平行リンクによりキャリア(パレット)に対し相互に接離自在に設け、二枚のクランプ板間に引張りバネを設け、一端にクランプ板に対する駆動部を有するとともに他端にキャリアより前方に突出する被駆動部を有するコントロールレバーを枢着してなり、クランプ板が索条を挟持した握索状態(駆動力がキャリアへ伝達された状態)から、コントロールレバーの被駆動部をカム面等により操作してクランプ板の間隔を拡げることにより放索状態(駆動力がキャリアへ伝達されない状態)とする握索装置を用いるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、キャリア(移動体)の前端のトロリ(被案内装置)に上下方向に揺動自在な受動体を下側へ突出付勢して設け、受動体の下側の面を圧接受動面に形成し、この圧接受動面を無端回動式送り装置の索条(回動体)に圧接して駆動力がキャリアへ伝達された状態とし、受動体の移動経路にストッパー体を突出させ、受動体を上方へ揺動させて回動体から離反させることにより駆動力がキャリアへ伝達されない状態とするものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】実開昭59−83821号公報(第1−5図)
【特許文献2】特開2001−261144号公報(図1、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2のような索条式コンベアでは、搬送経路が水平カーブ状経路を含む場合には垂直軸まわりに索条の方向を変えるために垂直軸まわりに回転するプーリを備える必要があり、キャリアの搬送経路に索条の経路を合わせて握索状態のキャリアが水平カーブ状経路を走行するようにすることが困難であるため、直線経路における使用に限定される(特許文献1の第1図及び特許文献2の図2参照。)。
また、特許文献1のような索条式コンベアでは、その握索装置が平行リンクにより平行移動するクランプ板を引張りコイルばねにより近接方向に付勢して握索状態におけるクランプ力を確保する構成であることから、クランプ力を大きくして安定した握索状態を確保するためには引張りバネの付勢力を大きくする必要があるため、握索状態から放索状態にする際に必要な駆動力が大きくなる。特にキャリアにより搬送する被搬送物の重量が大きい場合には、放索状態にする際に必要な駆動力が非常に大きくなるため、放索状態にするための構造が大掛かりなものになるとともに、円滑かつ安定した動作ができない場合がある。
さらに、特許文献2のような索条式コンベアでは、索条の上側から受動体の圧接受動面を圧接することにより索条の駆動力をキャリアに伝達する構成であることから、上下振動防止等のために、索条を下側から受けて摺接案内するプレート体を経路方向に沿って連続的又は断続的に設置する必要があるとともに、プレート体を索条に摺接させていることから、索条及びプレート体が摩耗しやすく、これらの摩耗に伴い、水平軸まわりに揺動する受動体の圧接受動面と索条との当たりが悪くなってキャリアが円滑に搬送されない場合がある。
【0005】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、搬送経路が水平カーブ状経路を含む場合でも使用することができ、キャリアにより搬送する被搬送物の重量が大きい場合であっても円滑かつ安定した動作で握索状態と放索状態との切り替えを行うことができる索条式コンベアを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る索条式コンベアは、前記課題解決のために、駆動装置により駆動されて移動する索条を用いて搬送経路に沿ってキャリアを搬送する索条式コンベアであって、前記キャリアが、所定軌道に沿って移動可能に支持された複数のトロリ間を連結ロッドにより連結してなるものであり、前記複数のトロリの前端トロリ及び後端トロリの各々に、前記索条の駆動力を前記キャリアへ伝達する握索状態と前記駆動力を前記キャリアへ伝達しない放索状態とを切り替える握索装置を上下方向に揺動可能に取り付け、前記放索状態で、前記握索装置と前記索条とが水平方向に相対的に揺動してもこれらが干渉しないように前記握索装置を上下方向に揺動させる上下揺動手段を備え、水平カーブ状経路では前記上下揺動手段を作用させるとともに、前記前端トロリに取り付けられた前握索装置と前記後端トロリに取り付けられた後握索装置との握放索の切り替えを行うことにより、水平カーブ状経路を含む搬送経路に沿って前記キャリアを移動させるものである。
【0007】
ここで、前記前握索装置が、前記前端トロリに連結固定された連結部材と、該連結部材に対して上下方向に揺動可能に連結された支持部材と、前記索条の搬送幅方向の両側に位置して外周面同士が対向し、該外周面が前記握索状態で前記索条に食い込むように、垂直偏心軸まわりに回動可能に前記支持部材により支持された一対の偏心ローラと、前記握索状態で、前記外周面が前記索条に近づく方向に前記偏心ローラを付勢する付勢手段と、搬送経路に設置した放索操作体により操作され、前記偏心ローラが前記付勢手段の付勢力に抗して前記索条から離れる方向に移動して前記放索状態になる、前記偏心ローラに取り付けられた放索被操作体とからなり、前記後握索装置が、前記後端トロリに連結固定された連結部材と、該連結部材に対して上下方向に揺動可能に連結された支持部材と、前記索条の搬送幅方向の両側に位置して外周面同士が対向し、該外周面が前記握索状態で前記索条に食い込むように、垂直偏心軸まわりに回動可能に前記支持部材により支持された一対の偏心ローラと、前記握索状態で、前記外周面が前記索条から離れる方向に前記偏心ローラを付勢する付勢手段と、搬送経路に設置した握索操作体により操作され、前記偏心ローラが前記付勢手段の付勢力に抗して前記索条に近づく方向に移動して前記握索状態になる、前記偏心ローラに取り付けられた握索被操作体とからなり、前記上下揺動手段が、搬送経路に設置した上下揺動操作体と、該上下揺動操作体により操作され、前記放索状態で前記支持部材及び偏心ローラが上下方向に揺動して該偏心ローラと前記索条とが水平方向に相対的に移動してもこれらが干渉しないようになる、前記支持部材に取り付けられた上下揺動被操作体とにより構成され、前記放索操作体を前記水平カーブ状経路の上流側に設置し、前記上下揺動操作体を前記水平カーブ状経路に設置し、前記握索操作体を、前記放索操作体により前記前握索装置が前記放索状態になる直前又は前記放索状態になると同時に、前記後握索装置が前記握索状態になるように設置してなると好ましい。
【0008】
また、前記前握索装置の付勢手段が、前記放索操作体により前記放索被操作体が操作された際に、該放索被操作体から前記放索操作体が離れても前記放索状態が保持されるように、前記支持部材と前記偏心ローラとの間に取り付けられたものであり、前記前握索装置の偏心ローラに、搬送経路に設置した握索操作体により操作され、前記偏心ローラが前記索条に近づく方向に移動して前記握索状態になる握索被操作体を取り付け、前記握索操作体を前記水平カーブ状経路の下流側に設置してなると好ましい。
【0009】
さらに、前記トロリ及び連結ロッドの側面をフリクションローラが圧接される被駆動面とし、前記水平カーブ状経路において前記前握索装置及び後握索装置の両方が前記放索状態になった際に、前記被駆動面に前記フリクションローラを圧接して前記キャリアに推進力を付与するフリクションローラ式駆動装置を、前記水平カーブ状経路に設置してなると好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る索条式コンベアによれば、駆動装置により駆動されて移動する索条を用いて搬送経路に沿ってキャリアを搬送する索条式コンベアであって、前記キャリアが、所定軌道に沿って移動可能に支持された複数のトロリ間を連結ロッドにより連結してなるものであり、前記複数のトロリの前端トロリ及び後端トロリの各々に、前記索条の駆動力を前記キャリアへ伝達する握索状態と前記駆動力を前記キャリアへ伝達しない放索状態とを切り替える握索装置を上下方向に揺動可能に取り付け、前記放索状態で、前記握索装置と前記索条とが水平方向に相対的に揺動してもこれらが干渉しないように前記握索装置を上下方向に揺動させる上下揺動手段を備え、水平カーブ状経路では前記上下揺動手段を作用させるとともに、前記前端トロリに取り付けられた前握索装置と前記後端トロリに取り付けられた後握索装置との握放索の切り替えを行うことにより、水平カーブ状経路を含む搬送経路に沿って前記キャリアを移動させるので、水平カーブ状経路では上下揺動手段により握索装置が上下方向に揺動して、握索装置と索条とが水平方向に相対的に揺動してもこれらが干渉しないため、搬送経路が水平カーブ状経路を含む場合であっても、さらに右カーブと左カーブとが混在するライン構成であっても使用することができる。
その上、例えば直線経路では前握索装置を握索状態として後握索装置を放索状態とし、水平カーブ状経路では前握索装置を放索状態として後握索装置を握索状態とし、前握索装置が水平カーブ状経路の下流側に出た際に前握索装置を握索状態とし、後握索装置が水平カーブ状経路に入る前に放索状態とするように、キャリアの前端トロリの前握索装置及び後端トロリの後握索装置の握放索を切り替え、索条の駆動力をキャリアへ伝達しながら、水平カーブ状経路を含む搬送経路に沿ってキャリアを移動させることができる。
【0011】
また、前記前握索装置が、前記前端トロリに連結固定された連結部材と、該連結部材に対して上下方向に揺動可能に連結された支持部材と、前記索条の搬送幅方向の両側に位置して外周面同士が対向し、該外周面が前記握索状態で前記索条に食い込むように、垂直偏心軸まわりに回動可能に前記支持部材により支持された一対の偏心ローラと、前記握索状態で、前記外周面が前記索条に近づく方向に前記偏心ローラを付勢する付勢手段と、搬送経路に設置した放索操作体により操作され、前記偏心ローラが前記付勢手段の付勢力に抗して前記索条から離れる方向に移動して前記放索状態になる、前記偏心ローラに取り付けられた放索被操作体とからなり、前記後握索装置が、前記後端トロリに連結固定された連結部材と、該連結部材に対して上下方向に揺動可能に連結された支持部材と、前記索条の搬送幅方向の両側に位置して外周面同士が対向し、該外周面が前記握索状態で前記索条に食い込むように、垂直偏心軸まわりに回動可能に前記支持部材により支持された一対の偏心ローラと、前記握索状態で、前記外周面が前記索条から離れる方向に前記偏心ローラを付勢する付勢手段と、搬送経路に設置した握索操作体により操作され、前記偏心ローラが前記付勢手段の付勢力に抗して前記索条に近づく方向に移動して前記握索状態になる、前記偏心ローラに取り付けられた握索被操作体とからなり、前記上下揺動手段が、搬送経路に設置した上下揺動操作体と、該上下揺動操作体により操作され、前記放索状態で前記支持部材及び偏心ローラが上下方向に揺動して該偏心ローラと前記索条とが水平方向に相対的に移動してもこれらが干渉しないようになる、前記支持部材に取り付けられた上下揺動被操作体とにより構成され、前記放索操作体を前記水平カーブ状経路の上流側に設置し、前記上下揺動操作体を前記水平カーブ状経路に設置し、前記握索操作体を、前記放索操作体により前記前握索装置が前記放索状態になる直前又は前記放索状態になると同時に、前記後握索装置が前記握索状態になるように設置してなると、前記効果に加え、前握索装置及び後握索装置の握索状態で索条を挟持する一対のローラが偏心ローラであり、これらの外周面が握索状態で索条に食い込むように垂直偏心軸を設けているため、このような一対の偏心ローラにより大きなクランプ力を得ることができる。
よって、クランプ力を大きくして安定した握索状態を確保するために付勢手段の付勢力を大きくする必要がないことから、握索状態から放索状態にする際に必要な駆動力を小さく抑えることができるため、キャリアにより搬送する被搬送物の重量が大きい場合であっても円滑かつ安定した動作で握索状態と放索状態との切り替えを行うことができる。
【0012】
その上、前握索装置の付勢手段が偏心ローラの外周面が索条に近づく方向に偏心ローラを付勢するものであり、後握索装置の付勢手段が偏心ローラの外周面が索条から離れる方向に偏心ローラを付勢するものであることから、例えば直線経路で前握索装置を握索状態として後握索装置を放索状態としてキャリアを搬送する場合において、前握索装置は放索操作体により操作されない状態で常時握索状態となっており、後握索装置は握索操作体により操作されない状態で常時放索状態となっているため、直線経路における搬送の際には握索操作体及び放索操作体を設置する必要がない。
その上さらに、上下揺動手段が、搬送経路に設置した上下揺動操作体と、該上下揺動操作体により操作される上下揺動被操作体とにより構成されることから、上下揺動操作体を水平カーブ状経路に設置しておけば、搬送経路に沿って移動する前端トロリ及び後端トロリに取り付けられた前握索装置及び後握索装置には、アクチュエータを設ける必要がない。
【0013】
さらに、前記前握索装置の付勢手段が、前記放索操作体により前記放索被操作体が操作された際に、該放索被操作体から前記放索操作体が離れても前記放索状態が保持されるように、前記支持部材と前記偏心ローラとの間に取り付けられたものであり、前記前握索装置の偏心ローラに、搬送経路に設置した握索操作体により操作され、前記偏心ローラが前記索条に近づく方向に移動して前記握索状態になる握索被操作体を取り付け、前記握索操作体を前記水平カーブ状経路の下流側に設置してなると、前記効果に加え、前握索装置を握索状態から放索状態にする際には、放索操作体により放索被操作体を操作して一対の偏心ローラを索条から離反する方向へ移動させて放索状態とすることにより、放索被操作体から放索操作体が離れても放索状態が保持され、放索状態から握索状態にする際には、握索操作体により握索被操作体を操作して一対の偏心ローラを索条に接近する方向へ移動させて握索状態とすることにより、この握索状態が保持されることから、握索状態と放索状態とを切り替えるための放索操作体及び握索操作体を搬送経路の所定箇所のみに設置すればよいため、放索操作体及び握索操作体の構成が簡素になる。
【0014】
さらにまた、前記トロリ及び連結ロッドの側面をフリクションローラが圧接される被駆動面とし、前記水平カーブ状経路において前記前握索装置及び後握索装置の両方が前記放索状態になった際に、前記被駆動面に前記フリクションローラを圧接して前記キャリアに推進力を付与するフリクションローラ式駆動装置を、前記水平カーブ状経路に設置してなると、前記効果に加え、水平カーブ状経路が長く連続する場合等において、前握索装置及び後握索装置の両方が放索状態となっても、フリクションローラ式駆動装置によりキャリアの側面(トロリ及び連結ロッドの側面)にフリクションローラを圧接しながら、キャリアを水平カーブ状経路に沿って搬送することができるため、様々なライン構成にフレキシブルに対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、キャリアの搬送方向(図中矢印F参照。)を前とし、左右は前方に向かっていうものとする。また、右方から見た図を正面図とする。
【0016】
図1は本発明の実施の形態に係る索条式コンベアの一例を示す概略平面図であり、直線経路から右方へ90°屈曲する水平カーブ状経路部分を示している。
索条式コンベア1は、図示しない駆動プーリ及び従動プーリ間に掛け渡した無端状の索条5を、駆動装置により駆動プーリを駆動することにより移動させ、この索条5に対して、キャリア2の前端トロリ21及び後端トロリ22に取り付けた前握索装置3及び後握索装置4の握放索の切り替えを行うことにより、図示しない被搬送物が載置されたキャリア2を水平カーブ状経路を含む搬送経路に沿って移動させることができ、また、停止及びストレージすることができる。
なお、図1のような水平カーブ状経路では索条5を水平方向に屈曲させる必要があるため、索条5は水平プーリ18によりガイドされるとともに、索条5の弛みを抑制するために、搬送経路に沿って適宜間隔に設置されたガイドプーリ60,…によりガイドされる(図4、図5、図10〜図13参照。)。
【0017】
図2〜図5は、キャリア及び握索装置の構成説明図であり、図2及び図3はキャリアの正面図、図4は前端トロリを前方から見た図、図5は後端トロリを前方から見た図である。
なお、図2(a)はキャリアを直線経路で搬送している状態を、図2(b)は前後のキャリアを連続してストレージしている状態を、図3(a)は前端トロリが水平カーブ状経路に差し掛かった状態を、図3(b)は前端トロリが水平カーブ状経路を出て直線経路に差し掛かった状態を示している。
【0018】
図1〜図3に示すように、キャリア2は、前端トロリ21と後端トロリ22との間に、被搬送物を支持する荷受体30が取り付けられた前後のロードトロリ23,24を備えており、前端トロリ21と前ロードトロリ23とは前連結ロッド25を介して、前ロードトロリ23と後ロードトロリ24とは中間連結ロッド27を介して、後ロードトロリ24と後端トロリ22とは後連結ロッド26を介して連結される。
ここで、前端トロリ21の後端部と前連結ロッド25の前端部とは、垂直軸21A及び水平軸25Aをまわりに回動可能に、前ロードトロリ23の前端部と前連結ロッド25の後端部とは、垂直軸23A及び水平軸25Bまわりに回動可能に、後端トロリ22の前端部と後連結ロッド26の前端部とは、垂直軸22A及び水平軸26Bまわりに回動可能に、後ロードトロリ24の後端部と後連結ロッド26の前端部とは、垂直軸24B及び水平軸26Aまわりに回動可能に連結される。
また、前ロードトロリ23の後端部と中間連結ロッド27の前端部とは、垂直軸23B及び水平軸27Aまわりに回動可能に、後ロードトロリ24の前端部と中間連結ロッド27の後端部とは、垂直軸24A及び水平軸27Bまわりに回動可能に連結され、中間連結ロッド27の中間部はカーブ状経路の円滑走行が可能なように伸縮可能に構成される。
なお、キャリア2を構成するトロリ21,…及び連結ロッド25,…の構成は本実施の形態に限定されるものではなく、搬送方向に離間した複数のトロリ間を連結ロッドにより連結してなるものであればよい。
【0019】
図1〜図5に示すように、各トロリ21〜24には、走行車輪28,…及びサイドローラ29,…が取り付けられており、搬送経路に沿って配設されたヨーク8,…に固定された左右の走行レール9,9上部の立起部にサイドローラ29,…が当接するため、左右方向への振れ止めがされた状態で、走行レール9,9のコ字状開口部に走行車輪28,…が係合するため、各トロリ21〜24は走行レール9,9に沿って移動可能であり、キャリア2は搬送経路に沿って移動することができる。
また、前端トロリ21及び後端トロリ22には、移動している索条5に対して握索状態CLと放索状態OPとを切り替える前握索装置3及び後握索装置4が取り付けられているため、前述のとおり、これら握索装置3,4の握放索の切り替えを行うことによりキャリア2を搬送経路に沿って移動させたり、停止及びストレージすることができる。
【0020】
次に、前握索装置3及び後握索装置4の構成及び動作の詳細について説明する。
図6は握索状態CLである前握索装置3の底面図、図7は放索状態OPである前握索装置3の底面図、図8は放索状態OPである後握索装置4の底面図、図9は握索状態CLである後握索装置4の底面図、図10は前握索装置3の要部拡大正面図、図11は放索状態OPである前握索装置3を上側へ揺動させた状態を示す要部拡大正面図、図12は後握索装置4の要部拡大正面図、図13は放索状態OPである後握索装置4を上側へ揺動させた状態を示す要部拡大正面図、図14は前握索装置3を放索状態OPから握索状態CLに復帰させた状態を示す底面図である。
【0021】
まず、前握索装置3の構成について説明する。
図4、図6、図7及び図10に示すように、前端トロリ21には、連結部材31が取り付けられ、連結部材31の後端部に対して支持部材32の後端部が連結ピン38を介して上方に揺動可能に取り付けられ、支持部材32の水平板36には、その下面前端部の左右に垂直偏心軸40,40が下方へ突設され、これらの垂直偏心軸40,40まわりに回動可能に、左右一対の偏心ローラ51,52が取り付けられる。
また、索条5の左右方向の両側に位置する偏心ローラ51,52は、これらの外周面である係合溝51A,52A同士が対向し、係合溝51A,51Bが握索状態CLで索条5に食い込むように垂直偏心軸40,40が設けられる。
なお、偏心ローラ51,52は円板状であってもよいし、索条5に押圧される外周面である係合溝51A,52Aが必要な範囲で形成されていればよいので、例えば図6に示すように、その一部を切り欠いた形状であってもよい。
【0022】
連結部材31は、前端トロリ21の下端部左右両側面に螺着された左右の連結板33,33、連結板33の後部に溶着された垂直板34、垂直板34の上端部左右に螺着された調整ボルト34A及び調整ナット34B、並びに、連結板33の後端部に溶着されたスリーブ35からなる。
【0023】
支持部材32は、水平板36及び水平板36の上面に溶着された正面視略L字状の左右の支持アーム37,37からなり、支持アーム37,37の後部を連結板33,33の後端部両側面の左右方向外側に添わせた状態で、連結ピン38により、連結部材31に対して上方へ揺動可能に連結される。
そして、調整ボルト34A,34A後端の頭部が支持アーム37,37の当接面37B,37Bに当接していることから、調整ボルト34A,34A及び調整ナット34A,34Bを用いて、調整ボルト34A,34Aの頭部の前後方向位置を調整することにより、支持アーム37,37を連結ピン38まわりに揺動することができるため、水平板36の水平だしを容易に行うことができる。
【0024】
偏心ローラ51,52の上面にはそれぞれ立起ピン44が突設されており、ばね受け12の通孔12Aに挿通されるため、ばね受け12は立起ピン44まわりに揺動する。
また、水平板36の後端部左右には垂下ピン14,14が突設されており、ばね受け13の通孔13Aに挿通されるため、ばね受け13は垂下ピン14まわりに揺動する。
そして、ばね受け12の水平方向に突出する連結軸12Bを圧縮コイルばね11のコイル内に挿通し、ばね受け13の連結孔13Bに挿入することにより、圧縮コイルばね11が圧縮された状態ではその弾性変形に基づく復元力が作用するため、圧縮コイルばね11及びばね受け12、13等が付勢手段6を構成する。
付勢手段6は、例えば図6に示す握索状態CLでは、偏心ローラ51,52の係合溝51A,52Aが索条5に近づく方向に偏心ローラ51,52を付勢する(付勢方向は矢印A参照。)。
【0025】
図6に示す握索状態CLで、左右の偏心ローラ51,52の左右の垂直偏心軸40,40の間には、その上下に、放索被操作体である水平ローラ46,46及び水平ローラ47,47が、垂直軸まわりに回転可能に取り付けられる。
また、偏心ローラ51,52の下面には、垂直偏心軸40,40の軸心から略周方向に延びて図7に示す放索状態OPで左右方向に突出する垂直板状の、握索被操作体である被操作板49,50が取り付けられる。
【0026】
水平板36上面の左右端かつ前端部には、ローラ支持ブロック41が取り付けられ、左右のローラ支持ブロック41,41から左右方向の外側に突出する支軸42,42まわりに回転可能に、上下揺動被操作体である垂直ローラ43,43が、水平板36の左右端から左右方向に突出した状態で取り付けられる。
【0027】
次に、前握索装置3の動作について説明する。
図6に示すように前握索装置3を握索状態CLとして搬送されているキャリア2(前端トロリ21)に対して、図7に示すように、搬送経路の所定箇所に設けた放索操作体である前端トロリ放索用操作ブロック61(図4も参照。)が放索被操作体である左右の下水平ローラ47,47に当接してこれらを押して、偏心ローラ51,52を垂直偏心軸40,40まわりに付勢手段6,6の付勢力に抗して揺動させる(図7中の矢印C参照。)。
そうすると、偏心ローラ51,52の係合溝51A,52Aが索条5から離れる方向に移動し、前端トロリ放索用操作ブロック61が下水平ローラ47,47から離れても、付勢手段6の付勢力が偏心ローラ51,52の係合溝51A,52Aが索条5に近づく方向に偏心ローラ51,52を揺動させないように、付勢手段6が水平板36(支持部材32)と偏心ローラ51,52との間に取り付けられているため、この放索状態OPが保持される。
このように保持された放索状態OPから握索状態CLに復帰させる際には、図14に示すように、偏心ローラ51,52に取り付けられた握索被操作体である被操作板49,50を搬送経路の所定箇所に設けた握索操作体である前端トロリ握索用操作片64,64により操作することにより、偏心ローラ51,52を揺動させて(図中矢印E参照。)、付勢手段6の付勢力が偏心ローラ51,52の係合溝51A,52Aが索条5に近づく方向に作用するようにすれば、握索状態CLに容易に復帰し、この握索状態CLが保持される。
【0028】
次に、後握索装置4の構成について説明する。
なお、後握索装置4において、前握索装置3と同一符号は同一又は相当部分であるため、説明が必要な箇所を除き、これら同一符号を付した部材等についての説明は省略する。
図5、図8、図9及び図12に示すように、後端トロリ22には、連結部材31が取り付けられ、連結部材31の前端部に対して支持部材32(支持アーム37,37)の前端部が連結ピン38を介して上方に揺動可能に取り付けられ、支持部材32の水平板36には、その下面前端部の左右に垂直偏心軸40,40が下方へ突設され、これらの垂直偏心軸40,40まわりに回動可能に、左右一対の偏心ローラ51,52が取り付けられる。
また、索条5の左右方向の両側に位置する偏心ローラ51,52は、これらの外周面である係合溝51A,52A同士が対向し、係合溝51A,51Bが握索状態CLで索条5に食い込むように垂直偏心軸40,40が設けられる。
【0029】
偏心ローラ51,52に立設されたばね受け16,16と、水平板36の後端部左右から垂下するばね受け17,17との間には、引張コイルばね15,15が掛止され、引張コイルばね15が伸張された状態ではその弾性変形に基づく復元力が作用するため、引張コイルばね15及びばね受け16、17が付勢手段7を構成する。
付勢手段7は、例えば図9に示す握索状態CLでは、偏心ローラ51,52の係合溝51A,52Aが索条5から離れる方向に偏心ローラ51,52を付勢する(付勢方向は矢印B参照。)。
【0030】
図8に示す放索状態OPにおいて、偏心ローラ51,52の垂直偏心軸40,40の軸心から略周方向に延びるように偏心ローラ51,52の上面に取り付けられたローラ支持ブロック54,54にはその左右方向の端部にローラ支持ピン55,55が立設され、これらのローラ支持ピン55,55まわりに回転可能に、握索被操作体である水平ローラ56,56が、偏心ローラ51,52の左右端から左右方向に突出した状態で取り付けられる。
また、水平板36の左右方向中央下面に添うように、キャリア2,…を連続してストレージする際の放索操作体であるプッシャ57が、水平板36の後端から後方に突出した状態で取り付けられる。
【0031】
次に、後握索装置4の動作について説明する。
図2(a)及び図6に示すように前握索装置3を握索状態CLとしてキャリア2(前端トロリ21)を搬送している状態では、図8に示すように後握索装置4は放索状態OPとなっており、この放索状態OPは付勢手段7,7により保持される。
このように保持された放索状態OPから握索状態CLにする際には、図9に示すように、搬送経路の所定箇所に設けた握索操作体である後端トロリ握索用レール62,62(図5も参照。)が握索被操作体である水平ローラ56,56に当接してこれらを押して、偏心ローラ51,52を垂直偏心軸40,40まわりに付勢手段7,7の付勢力に抗して揺動させる(図9中の矢印D参照。)。
そうすると、偏心ローラ51,52の係合溝51A,52Aが索条5に近づく方向に移動して握索状態CLとなる。
握索状態CLから放索状態OPに復帰させる際には、偏心ローラ51,52は外周面51A,52Aが索条5から離れる方向に付勢手段7,7により付勢されているため、後端トロリ握索用レール62,62を無くせばよく、後端トロリ握索用レール62,62が無い箇所では放索状態OPが保持される。
【0032】
次に、前握索装置3及び後握索装置4において、上下揺動手段により偏心ローラ51,52を上方に揺動させる動作について説明する。
図1、図4、図11及び図13に示すように、放索状態OPである前握索装置3及び後握索装置4に対し、これらの水平板36に取り付けられた上下揺動被操作体である垂直ローラ43,43を、上下揺動操作体である左右の跳ね上げレール63,63により押し上げることにより、支持部材32が左右方向軸である連結ピン38まわりに上方へ揺動し、この状態では、支持部材32により支持された偏心ローラ51,52が索条5の上側に位置しているため、偏心ローラ51,52と索条5とが水平方向に相対的に移動してもこれらが干渉しないようになっている。
このように、上下揺動操作体である左右の跳ね上げレール63,63と上下揺動被操作体である垂直ローラ43,43とが、放索状態OPで前握索装置3又は後握索装置4と索条5とが水平方向に相対的に揺動しても、これらが干渉しないように前握索装置3又は後握索装置4を上下方向に揺動させる上下揺動手段を構成する。
【0033】
次に、前後のキャリア2,…を連続してストレージする動作について説明する。
図2(b)に示すように、先行キャリア2の前握索装置3及び後握索装置4が放索状態OPであり、この先行キャリア2が停止した状態で、この先行キャリア2に向かって前握索装置3を握索状態CLとして後方から移動してきた後行キャリア2において、図2(b)及び図4に示すように、先行キャリア2の後端トロリ22の支持部材32(水平板36)から後方に突出する放索操作体であるプッシャ57が、後行キャリア2の前握索装置3の偏心ローラ51,52に取り付けられた放索被操作体である上水平ローラ46,46を押して、これらを付勢手段6,6の付勢力に抗して揺動させるため、後行キャリア2の前握索装置3の偏心ローラ51,52の係合溝51A,52Aが索条5から離れる方向に移動して、後行キャリア2の前握索装置3が放索状態OPとなり、よって後行キャリア2は先行キャリア2に衝突した状態で停止する。
このような構成により、後行キャリア2を先行キャリア2に衝突した状態で次々と停止させて、ストレージすることができる。
【0034】
次に、図1に示す索条式コンベア1の動作について説明する。
水平カーブ状経路に差し掛かる前の直線経路に沿って搬送されているキャリア2は、図2(a)に示すように、その前握索装置3は握索状態CLであり、その後握索装置4は放索状態OPである。
この状態から図1に示すように前端トロリ21が水平カーブ状経路に差し掛かる前には、放索操作体である前端トロリ放索用操作ブロック61により前握索装置3が放索状態OPにされ、前握索装置3が放索状態OPになる直前又は前握索装置3が放索状態OPになると同時に、握索操作体である後端トロリ握索用レール62,62により後握索装置4が握索状態CLにされる。
【0035】
このように後握索装置4を握索状態CLとして、後握索装置4により索条5により駆動されながら搬送されているキャリア2において、その放索状態OPの前握索装置3を、上下揺動操作体である跳ね上げレール63,63により揺動させた状態とすると(図3(a)も参照。)、前述のとおり前握索装置3の偏心ローラ51,52と索条5とが水平方向に相対的に移動してもこれらが干渉しないため、前握索装置3が取り付けられた前端トロリ21は水平カーブ状経路に沿って搬送される。
【0036】
そして、前端トロリ21の放索状態OPの前握索装置3は、前端トロリ21が水平カーブ状経路を出て上下揺動操作体である跳ね上げレール63,63を通過した際に、前記上方への揺動が解除されて偏心ローラ51,52が索条5の左右に位置する状態に復帰し(図3(b)参照。)、この状態で握索操作体である前端トロリ握索用操作片64,64により前握索装置3が握索状態CLとなる(図14も参照。)。
この状態で後端トロリ22が水平カーブ状経路に差し掛かる前に、後握索装置4は握索操作体である後端トロリ握索用レール62,62が無くなった位置で放索状態OPとなり、さらに、上下揺動操作体である跳ね上げレール63,63により揺動した状態とされ(図3(b)も参照。)、前述のとおり後握索装置4の偏心ローラ51,52と索条5とが水平方向に相対的に移動してもこれらが干渉しないため、後握索装置4が取り付けられた後端トロリ22は水平カーブ状経路に沿って搬送される。
【0037】
次に、図15に示す、直線経路から右方へ180°屈曲する水平カーブ状経路における索条式コンベア1の動作について説明する。なお、図5に示すように、索条5を右方へ180°屈曲させるために、索条5は水平プーリ19,20によりガイドされ、キャリア2の構成は図1〜図3に示すキャリア2の構成と同一である。
図15に示す構成において、水平カーブ状経路に差し掛かる前の直線経路に沿うキャリア2の搬送、水平カーブ状経路の上流で前握索装置3を前端トロリ放索用操作ブロック61により放索状態OPとする動作、前握索装置3が放索状態OPになる直前又は前握索装置3が放索状態OPになると同時に後握索装置4を後端トロリ握索用レール62,62により握索状態CLにする動作、前握索装置3及び後握索装置4を跳ね上げレール63,63により上方へ揺動させる動作、前端トロリ21が水平カーブ状経路を出て上下揺動操作体である跳ね上げレール63,63を通過した際に前端トロリ握索用操作片64,64により握索状態CLにする動作は、図1に示す索条式コンベア1の動作の説明と同様である。
【0038】
図15に示す例では、水平カーブ状経路が図1に示す例よりも長く連続しており、水平カーブ状経路内で前握索装置3及び後握索装置4の両方が放索状態OPとなっている状態が存在するため、この状態ではキャリア2に索条5の駆動力が付与されない。
したがって、水平カーブ状経路内でのキャリア2の搬送のために、トロリ21,22,23,24及び連結ロッド25,26,27の左右側面をフリクションローラ10が圧接される被駆動面2Aとして、この被駆動面2Aに対し、水平カーブ状経路に設置した図示しないフリクションローラ式駆動装置のフリクションローラ10を圧接することにより、キャリア2に推進力を付与してキャリア2を搬送するように構成している。
このような構成によれば、水平カーブ状経路が長く連続する場合等において、前握索装置3及び後握索装置4の両方が放索状態OPとなっても、フリクションローラ式駆動装置によりキャリア2の被駆動面2Aにフリクションローラ10を圧接することによりキャリア2を水平カーブ状経路に沿って搬送することができるため、様々なライン構成にフレキシブルに対応することができる。
【0039】
以上のような索条式コンベア1の構成によれば、水平カーブ状経路では上下揺動手段(上下揺動操作体である跳ね上げレール63,63及び支持部材32に取り付けられた上下揺動被操作体である垂直ローラ43,43)により握索装置3,4が上下方向に揺動して、握索装置3,4と索条5とが水平方向に相対的に揺動してもこれらが干渉しないため、搬送経路が水平カーブ状経路を含む場合であっても、さらに右カーブと左カーブとが混在するライン構成であっても使用することができる。
また、前握索装置3及び後握索装置4の握索状態CLで索条5を挟持する一対のローラが偏心ローラ51,52であり、これらの外周面51A,52Aが握索状態CLで索条5に食い込むように垂直偏心軸40,40を設けているため、このような一対の偏心ローラ51,52により大きなクランプ力を得ることができる。
よって、クランプ力を大きくして安定した握索状態CLを確保するために付勢手段の付勢力を大きくする必要がないことから、握索状態CLから放索状態OPにする際に必要な駆動力を小さく抑えることができるため、キャリア2により搬送する被搬送物の重量が大きい場合であっても円滑かつ安定した動作で握索状態CLと放索状態OPとの切り替えを行うことができる。
【0040】
さらに、前握索装置3の付勢手段6,6が偏心ローラ51,52の外周面51A,52Aが索条5に近づく方向に偏心ローラ51,52を付勢するものであり、後握索装置4の付勢手段7,7が偏心ローラ51,52の外周面51A,52Aが索条5から離れる方向に偏心ローラ51,52を付勢するものであることから、例えば直線経路で前握索装置3を握索状態CLとして後握索装置4を放索状態OPとしてキャリア2を搬送する場合において、前握索装置3は放索操作体である前端トロリ放索用操作ブロック61により操作されない状態で常時握索状態CLとなっており、後握索装置4は握索操作体である後端トロリ握索用レール62,62により操作されない状態で常時放索状態OPとなっているため、直線経路における搬送の際には前端トロリ放索用操作ブロック61及び後端トロリ握索用レール62,62を設置する必要がない。
さらにまた、上下揺動手段が、搬送経路に設置した上下揺動操作体である跳ね上げレール63,63と、上下揺動被操作体である垂直ローラ43,43とにより構成されることから、跳ね上げレール63,63を水平カーブ状経路に設置しておけば、搬送経路に沿って移動する前握索装置3及び後握索装置4にはアクチュエータを設ける必要がない。
【0041】
また、前握索装置3を握索状態CLから放索状態OPにする際には、放索操作体である前端トロリ放索用操作ブロック61により放索被操作体である水平ローラ47,47を操作して一対の偏心ローラ51,52を索条5から離反する方向へ移動させて放索状態OPとすることにより、この放索状態OPが保持され、放索状態OPから握索状態CLにする際には、握索操作体である前端トロリ握索用操作片64,64により握索被操作体である被操作板49,50を操作して一対の偏心ローラ51,52を索条5に接近する方向へ移動させて握索状態CLとすることにより、この握索状態CLが保持されることから、握索状態CLと放索状態OPとを切り替えるための放索操作体及び握索操作体を搬送経路の所定箇所のみに設置すればよいため、放索操作体及び握索操作体の構成が簡素になる。
【0042】
以上の説明においては、駆動装置により駆動されて移動する索条5を用いてキャリア2を搬送する索条式コンベア1がフロアコンベアである場合について説明したが、索条式コンベア1はオーバーヘッドコンベアであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る索条式コンベアの例を示す概略平面図である。
【図2】キャリアの正面図であり、(a)はキャリアを直線経路で搬送している状態を、(b)は前後のキャリアを連続してストレージしている状態を示している。
【図3】同じく正面図であり、(a)は前端トロリが水平カーブ状経路に差し掛かった状態を、(b)は前端トロリが水平カーブ状経路を出て直線経路に差し掛かった状態を示している。
【図4】前端トロリを前方から見た図である。
【図5】後端トロリを前方から見た図である。
【図6】前握索装置の底面図であり、握索状態を示している。
【図7】同じく底面図であり、放索状態を示している。
【図8】後握索装置の底面図であり、放索状態を示している。
【図9】同じく底面図であり、握索状態を示している。
【図10】前握索装置の要部拡大正面図である。
【図11】同じく要部拡大正面図であり、上側へ揺動させた状態を示している。
【図12】後握索装置の要部拡大正面図である。
【図13】同じく要部拡大正面図であり、上側へ揺動させた状態を示している。
【図14】前握索装置を放索状態から握索状態に復帰させた状態を示す底面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る索条式コンベアの別の例を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0044】
A,B 付勢方向
F 搬送方向
CL 握索状態
OP 放索状態
1 索条式コンベア
2 キャリア
3 前握索装置
4 後握索装置
5 索条
6,7 付勢手段
9 走行レール
11 圧縮コイルばね
12,13 ばね受け
15 引張コイルばね
16,17 ばね受け
18,19,20 水平プーリ
21 前端トロリ
22 後端トロリ
23 前ロードトロリ
24 後ロードトロリ
25 前連結ロッド
26 後連結ロッド
27 中間連結ロッド
28 走行車輪
31 連結部材
32 支持部材
38 連結ピン
40 垂直偏心軸
43 垂直ローラ(上下揺動被操作体)
46,47 水平ローラ(放索被操作体)
49,50 被操作板(握索被操作体)
51,52 偏心ローラ
51A,52A 係合溝(外周面)
56 水平ローラ(握索被操作体)
57 プッシャ(放索操作体)
61 前端トロリ放索用操作ブロック(放索操作体)
62 後端トロリ握索用レール(握索操作体)
63 跳ね上げレール(上下揺動操作体)
64 前端トロリ握索用操作片(握索操作体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置により駆動されて移動する索条を用いて搬送経路に沿ってキャリアを搬送する索条式コンベアであって、
前記キャリアが、所定軌道に沿って移動可能に支持された複数のトロリ間を連結ロッドにより連結してなるものであり、
前記複数のトロリの前端トロリ及び後端トロリの各々に、前記索条の駆動力を前記キャリアへ伝達する握索状態と前記駆動力を前記キャリアへ伝達しない放索状態とを切り替える握索装置を上下方向に揺動可能に取り付け、
前記放索状態で、前記握索装置と前記索条とが水平方向に相対的に揺動してもこれらが干渉しないように前記握索装置を上下方向に揺動させる上下揺動手段を備え、
水平カーブ状経路では前記上下揺動手段を作用させるとともに、前記前端トロリに取り付けられた前握索装置と前記後端トロリに取り付けられた後握索装置との握放索の切り替えを行うことにより、水平カーブ状経路を含む搬送経路に沿って前記キャリアを移動させる索条式コンベア。
【請求項2】
前記前握索装置が、前記前端トロリに連結固定された連結部材と、該連結部材に対して上下方向に揺動可能に連結された支持部材と、前記索条の搬送幅方向の両側に位置して外周面同士が対向し、該外周面が前記握索状態で前記索条に食い込むように、垂直偏心軸まわりに回動可能に前記支持部材により支持された一対の偏心ローラと、前記握索状態で、前記外周面が前記索条に近づく方向に前記偏心ローラを付勢する付勢手段と、搬送経路に設置した放索操作体により操作され、前記偏心ローラが前記付勢手段の付勢力に抗して前記索条から離れる方向に移動して前記放索状態になる、前記偏心ローラに取り付けられた放索被操作体とからなり、
前記後握索装置が、前記後端トロリに連結固定された連結部材と、該連結部材に対して上下方向に揺動可能に連結された支持部材と、前記索条の搬送幅方向の両側に位置して外周面同士が対向し、該外周面が前記握索状態で前記索条に食い込むように、垂直偏心軸まわりに回動可能に前記支持部材により支持された一対の偏心ローラと、前記握索状態で、前記外周面が前記索条から離れる方向に前記偏心ローラを付勢する付勢手段と、搬送経路に設置した握索操作体により操作され、前記偏心ローラが前記付勢手段の付勢力に抗して前記索条に近づく方向に移動して前記握索状態になる、前記偏心ローラに取り付けられた握索被操作体とからなり、
前記上下揺動手段が、搬送経路に設置した上下揺動操作体と、該上下揺動操作体により操作され、前記放索状態で前記支持部材及び偏心ローラが上下方向に揺動して該偏心ローラと前記索条とが水平方向に相対的に移動してもこれらが干渉しないようになる、前記支持部材に取り付けられた上下揺動被操作体とにより構成され、
前記放索操作体を前記水平カーブ状経路の上流側に設置し、
前記上下揺動操作体を前記水平カーブ状経路に設置し、
前記握索操作体を、前記放索操作体により前記前握索装置が前記放索状態になる直前又は前記放索状態になると同時に、前記後握索装置が前記握索状態になるように設置してなる請求項1記載の索条式コンベア。
【請求項3】
前記前握索装置の付勢手段が、前記放索操作体により前記放索被操作体が操作された際に、該放索被操作体から前記放索操作体が離れても前記放索状態が保持されるように、前記支持部材と前記偏心ローラとの間に取り付けられたものであり、前記前握索装置の偏心ローラに、搬送経路に設置した握索操作体により操作され、前記偏心ローラが前記索条に近づく方向に移動して前記握索状態になる握索被操作体を取り付け、前記握索操作体を前記水平カーブ状経路の下流側に設置してなる請求項2記載の索条式コンベア。
【請求項4】
前記トロリ及び連結ロッドの側面をフリクションローラが圧接される被駆動面とし、前記水平カーブ状経路において前記前握索装置及び後握索装置の両方が前記放索状態になった際に、前記被駆動面に前記フリクションローラを圧接して前記キャリアに推進力を付与するフリクションローラ式駆動装置を、前記水平カーブ状経路に設置してなる請求項1記載の索条式コンベア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−263039(P2009−263039A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112015(P2008−112015)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】