説明

紫外線ランプシステムのための検出器と、マイクロ波エネルギーを監視するための対応する方法

【課題】過剰な量のマイクロ波エネルギーをより良く検出する紫外線ランプシステムを提供する。
【解決手段】マイクロ波発生器を有するタイプの紫外線ランプシステムのための検出器であって、マイクロ波発生器から発生したマイクロ波エネルギーを検出すべく構成された第1の回路を含む。第1の回路は過剰な量のマイクロ波エネルギーに晒されると故障することができる少なくとも1つの放射線感受性素子を備える。第2の回路は第1の回路に繋がれており、放射線感受性素子が故障したかどうかを断続的にテストするよう構成される。紫外線ランプシステムは上記検出器を備える。関連する方法は、過剰な量のマイクロ波エネルギーに晒されると故障することができる、少なくとも1つの放射線感受性素子を備える第1の回路を介してマイクロ波エネルギーを監視する段階と、放射線感受性素子をテストしその放射線感受性素子が故障したかどうかを決定する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、一般には紫外線ランプシステムに関し、より詳細には、マイクロ波で励起された(microwave−excited)紫外線ランプシステムからのマイクロ波エネルギーの検出に関する。
【0002】
[発明の背景]
紫外線(UV:ultraviolet)ランプシステムは、接着剤、シーリング剤、インク、そして塗料といった材料の熱処理(heating)や硬化処理(curing)に、広く用いられている。特定の紫外線ランプシステムは無電極の光源を有し、マイクロ波エネルギーを用いて無電極プラズマランプを励起することによって動作する。マイクロ波エネルギーを用いての励起に依存した、ある無電極の紫外線ランプシステムにおいて、その無電極ランプは金属のマイクロ波空洞(microwave cavity)又はチャンバー内部に搭載される。マグネトロンのような1以上のマイクロ波発生器が、導波管を介してマイクロ波チャンバー内部に繋がれる。マグネトロンは、無電極ランプ内に封入されたガス混合物からプラズマを開始し持続させるためのマイクロ波エネルギーを供給する。そのプラズマは、紫外域、そして赤外域の波長を有するスペクトル線、又は光子で強く重みが付けられた、特性スペクトル電磁波放射を放出する。
【0003】
基材(substrate)へ照射するために、紫外線はマイクロ波チャンバーからチャンバーの排出口(chamber outlet)を介して、外部の場所へ向けられる。チャンバーの排出口は、紫外線がマイクロ波チャンバーの外部へと透過することを許しつつ、一方でマイクロ波エネルギーの放出をブロックすることができる。従来の紫外線ランプシステムの多くは、目の細かい(fine−meshed)金属スクリーンによってチャンバーの排出口を覆う。金属スクリーン中の開口部は、マイクロ波チャンバーの外部に配置された基材へ照射するための紫外線を透過させるが、マイクロ波エネルギーの放出を大体はブロックする。
【0004】
紫外線ランプシステムの操作者を保護するため、操作者とランプの間にRF検知器が置かれる。これらRF検知器はマイクロ波エネルギー検出器に接続されており、それらはOSHA(米国安全衛生局)標準(電子レンジの標準と類似のものである)に基づいた、既定の量、例えば約5mW/cm2 を超えるマイクロ波エネルギーを検出するためのセットである。マイクロ波エネルギーの出力レベルがこの量を超えた場合は、操作者がマイクロ波エネルギーに晒されることを抑えるために、マイクロ波エネルギー検出器はシステムをシャットダウンするよう構成されている。
【0005】
マイクロ波エネルギー検出器は、放射線感受性(radiation−sensitive)がある何らかの素子を備えていてよい。1以上の放射線感受性素子が故障した場合には、マイクロ波エネルギー検出器が損傷を受け、過剰なマイクロ波エネルギーの放出を正確に報告できない可能性がある。例えば、チャンバーの排出口を覆ってマイクロ波エネルギーをブロックするために使われる網目スクリーンは、典型的にはタングステン線のような金属から作られており、極めて繊細である。従ってそれらは簡単に損傷を受けるのであり、マイクロ波エネルギーがマイクロ波空洞の外に抜け出ることを許す。極端なケースでは、保護スクリーンが取り除かれた状態で紫外線ランプシステムを動作させようとする試みがなされるかもしれない。これらのケースでは、検出器がランプシステムの動作を阻止するはずである。しかしながら、検出器とサポート回路(supporting circuitry)は過剰なマイクロ波エネルギーによって損傷を受けうるし、損傷を受けた素子が開回路となるかショートする(open or short circuit)時に継続してランプシステムが動作することを検出器が許すようなやり方をすれば、それらはまた損傷を受けうる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[発明の概要]
本発明は、マイクロ波エネルギー発生器と、そのマイクロ波エネルギー発生器によって発生したマイクロ波エネルギーによって励起された時に紫外線を放出するよう構成された無電極のランプとを備える、紫外線ランプシステムを提供する。この紫外線ランプシステムは更に、過剰な量のマイクロ波エネルギーを検出するための検出器を備える。その検出器は、マイクロ波エネルギーを検出するよう構成された第1の回路を含むのであり、その第1の回路は、過剰な量のマイクロ波エネルギーに晒されると故障することができる、少なくとも1つの放射線感受性の素子を備える。第2の回路は第1の回路に繋がれており、そして、その放射線感受性素子が故障したかどうかを断続的にテストするよう、構成されている。
【0007】
第2の回路は、その放射線感受性素子をテストするために、ある既知の信号を第1の回路へ供給するよう構成されている。その既知の信号はRF信号、低周波AC信号、又はDC信号であってよい。その第2の回路は更に、その放射線感受性素子をテストするために、第1の回路によるマイクロ波の検出を一時的に停止させるよう構成されている。第2の回路は、その放射線感受性素子(検出ダイオードか抵抗器であってよい)を隔てての、開回路又はショートした回路を検出することによって、その放射線感受性素子をテストする。ある実施形態において、その紫外線ランプシステムのためのマイクロ波エネルギー発生器はマグネトロンである。
【0008】
[詳細な説明]
ここにおいて開示されるさまざまな実施形態は、検出回路と繋がれたテスト回路を含む、紫外線ランプシステムのための、マイクロ波エネルギー検出器を提供する。テスト回路は、検出回路における1以上の放射線感受性素子のインテグリティをチェックするよう、そして紫外線ランプシステムの操作者への追加的保護手段を提供するよう、動作可能である。いくつかの実施形態において、テスト回路は、マイクロ波エネルギー検出器の動作を停止させ、既知の信号を検出回路に取り込み、そのマイクロ波エネルギー検出器の出力を既知のテスト信号に基づいた理論値に対して比較することによって、検出回路における放射線感受性素子をテストすることができる。マイクロ波エネルギー検出器から過剰なエネルギーが検出されたときにそうするであろうと同様に、テストの結果が放射線感受性要素の故障を示すものであるならば紫外線ランプシステムをシャットダウンしてよい。この実施形態において回路という用語は、電気回路を形成する電気素子の個々の集合と、特定の機能を果たす電気回路の集合との両方へ言及するのに用いられる。
【0009】
放射線感受性素子は、他にも様々なやり方で故障しうるのではあるが、そのような素子が故障する1つのメカニズムは、UVランプシステムの開口部(aperture)を覆うために広く用いられている、目の細かいスクリーンに関係する。上で論じたように、目の細かいスクリーンは典型的には紫外線ランプの前部に備えられるのであるが、それらはマイクロ波チャンバーから開口部を介して、電磁波放射(紫外線)と共にやって来る、マイクロ波エネルギー量を最小化するために用いられる。上で論じたように、マイクロ波エネルギーはマイクロ波エネルギー検出器によって継続的に監視されているのであり、マイクロ波エネルギーがあらかじめ与えられた安全レベルを超える場合に、マイクロ波エネルギー検出器はマイクロ波エネルギー発生器とランプの動作とをシャットダウンしてよい。しかしながら、目の細かいスクリーンを取り除いて、又はそれが損傷した状態で紫外線ランプシステムを動作させることは、マイクロ波エネルギー検出器の検出回路における放射線感受性素子を過剰なマイクロ波エネルギーに晒し、そしてそれら素子を故障させる(検出回路によって、マイクロ波エネルギーの過剰な出力を報告することが不可能となる)可能性がある、ということが明らかになっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照すると(同等の番号は同等の素子を多角的視点で示している)、図1は紫外線ランプシステム10のブロック図であって、該ランプシステムはマイクロ波エネルギーによって無電極ランプ12を励起させることに依存するものである。無電極ランプ12は金属のマイクロ波チャンバー14内部に搭載されている。1以上のマイクロ波エネルギー発生器16a、16b、例えばマグネトロンなどが、導波管18a、18bを介してマイクロ波チャンバー14内部と繋がれている。マイクロ波エネルギー発生器16a、16bは、紫外線20を発生させるため、無電極ランプ12にマイクロ波エネルギーを供給する。紫外線20は、マイクロ波チャンバー14からチャンバーの排出口22を介して、チャンバーの排出口22を覆っていて紫外線20がマイクロ波チャンバー14の外へ透過することを許しつつマイクロ波エネルギーの放出をブロックすることができる目の細かい金属スクリーン24を介して、外部の場所へ向けられる。
【0011】
マイクロ波エネルギー検出器30に繋がれたRF検知器28は、紫外線ランプシステム10の操作者26を、過剰なレベルのマイクロ波エネルギーに晒されることから保護する。RF検知器28は操作者26とランプ10との間に置かれる。マイクロ波エネルギー検出器は既定の量、例えば約5mW/cm2 を超えるマイクロ波エネルギーを検出するよう構成される。UVランプシステム10がその既定の量を超えるマイクロ波エネルギーレベルを出力する場合、操作者26がマイクロ波エネルギーに晒されることを抑えるため、マイクロ波エネルギー検出器30は直接的に、または間接的に、UVランプ10をシャットダウンするよう構成される。
【0012】
図2は、本発明に従ったテスト回路60−66と共にある、ダイオード検出回路40を有するマイクロ波エネルギー検出器30の典型的実施形態についての更なる詳細を与えるブロック図である。例えばアンテナ29のようなRF検知器28が、図1で図示された操作者26への保護手段として、ランプ10と操作者26との間に置かれる。アンテナ29のレセプタクル(receptacle)29a−29c(図3)は、マイクロ波発生器16a、16bによって発生し、開口部22を介してマイクロ波空洞14から放射されたマイクロ波エネルギーを受信する。アンテナ29はダイオード検出回路40として構成された第1の回路に電気的に接続されるのであり、第1の回路は、例えば検出ダイオード70(図3)のような放射線感受性素子を含んでよい。
【0013】
ダイオード検出回路40はコンパレータ回路として振る舞い、入力されるマイクロ波エネルギーをあらかじめ与えられた値に対して比較する。比較はダイオード検出回路40それ自身において行われてもよいし、または、追加的な例として、検出回路40はマイクロコントローラ42に電気的に接続され、それによって、受信されたマイクロ波エネルギーとあらかじめ与えられた値との比較が実行されてもよい。いくつかの実施例においては、マイクロ波エネルギーがあらかじめ与えられた値を超える場合にUVランプシステム10の動作をシャットダウンするよう、マイクロコントローラ42を用いてもよい。あらかじめ与えられる比較値はおよそ5mW/cm2であり、現在の電子レンジにおける標準とOSHA要件とに基づいている。この検出回路の別の実施形態として、上記とは異なる別の標準に基づいた値をあらかじめ与えてもよい。いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ42はUVランプシステム10を直接はシャットダウンせず、UVランプシステム10内の他の回路にシャットダウンのための信号を送る“トリップ(Trip)”条件をセットしてもよい。トリップ調整ポテンショメータ44を用いての、検出されるべきトリップ条件の調整は、製品において最初になされる較正の一部である。
【0014】
アンテナ29によって受信されるマイクロ波エネルギーは、入力電圧が常にダイオード検出回路40によって測定されるようにとシフトされた値である。いくつかの実施形態において、電圧シフトはエネルギー入力ゼロに対しておおよそ2ボルト(Volt)である。シフトレベルは、トリップ調整ポテンショメータ44か、又は他の基準回路46によって調整してよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ42は、例えば図2において通信及び電力供給コネクタ48とラベルが付された回路、そして素子のような、UVランプシステム10における他の部分と通信する。マイクロコントローラ42はシリアル通信50を介して通信してもよいし、又は他の実施例のために他のタイプの通信を介してもよい。通信及び電力供給コネクタは、マイクロコントローラ14に電力を供給するのであり(52)、基準回路46における基準電圧レベルを決定し、そして/又はセットする責任を負う。
【0016】
UVランプシステム10の安全性を改善するために、ダイオード検出回路40における任意の放射線感受性素子のインテグリティをテストするテスト回路60−66として構成された第2の回路を、実施形態に含める。ダイオード検出回路40中の素子のテストは断続的に、例えば大体10秒から30秒ごとに実行してよい。他の実施形態においては、より高い頻度で、またはより低い頻度でテストを実行してもよい。本願の目的においては、テストが規則的な間隔で実行されるならば、断続的とは周期的を意味するものであるし、テストの間の間隔が可変であって、そして/または 操作者26の自由裁量であるならば、それは周期的でないことを意味する。そのテストを実行するために、マイクロコントローラ42は、ダイオード検出回路40によるマイクロ波エネルギーの検出を一時的に停止させる。マイクロ波エネルギー検出の停止の後、マイクロコントローラ42は第1のアナログスイッチ60を入れる(activate)のであり、それによってテスト信号を、低域通過フィルタ62を通過させ、放射線感受性素子の前にあるダイオード検出回路40へと渡すことが可能となる。放射線感受性素子がテストに合格した場合、マイクロコントローラ42はそれから第1のアナログスイッチ60を切り(deactivate)、そして第2のアナログスイッチ64を入れる。再びテスト信号はスイッチ64から低域通過フィルタ66を通過し、放射線感受性素子の後ろにあるダイオード検出回路40へと渡される。放射線感受性素子がこのテストにも合格した場合、マイクロコントローラ42は第2のアナログスイッチ64を切って、ダイオード検出回路40へのマイクロ波エネルギー検出動作を復旧させる。低域通過フィルタ62、66は、アンテナ29から受信されたマイクロ波エネルギーからテスト回路60−66を隔離するために用いてよい。
【0017】
検出回路40の放射線感受性素子は、図3の概略図に示されるように並列接続された検出ダイオード70と抵抗器72から成っていてよい。過剰なマイクロ波エネルギーに晒されることでこれら素子のいずれかが故障すれば、マイクロ波エネルギーレベルを正確に検出するというダイオード検出回路40の能力に影響を及ぼすかもしれない。第1のテストの間、マイクロコントローラ42は第1のアナログスイッチ60を入れ、DC基準電圧74をもってアナログスイッチ60と低域通過フィルタ62を通過させ、アンテナ29からコンデンサ76における地面へと電圧を供給する。電圧測定はコンデンサ76において行うことができ、それは上で論じた閾値電圧約2ボルトより高いかもしれない。他の実施形態において、ダイオード検出回路40の別の部分からの電圧測定を、例えば抵抗回路網78において行ってもよい。マイクロ波エネルギー検出器はまた、ダイオード検出回路40とデジタル論理回路80の2つの区域から成っていてもよい。ダイオード検出回路40を含む区域は、上で論じた基準に対して比較される電圧を供給するため、抵抗回路網78と併せて検出ダイオード70を使うのであり、当該技術分野で現在知られているものである。デジタル論理回路80は、UVランプシステムコントロールと通信するマイクロコントローラ42と共に追加的デジタル素子82を備え、いくつかの実施形態においては、マイクロ波エネルギーの検出とテスト信号の検出との間での切り替え動作を行うことができる。
【0018】
第2のテストの間、マイクロコントローラ42は第1のアナログスイッチ60を切って、第2のアナログスイッチ64を入れる。これにより、基準電圧74をダイオード70の後ろからコンデンサ76における地面へと印加することが可能となる。再び、コンデンサ76において電圧測定が可能であるが、ダイオードの両端での電圧降下により、測定値は第1のテストにおけるよりも低いかもしれない。ダイオード70がショートした場合、電圧は同じかもしれない。ダイオード70が開回路である場合には電圧は一層低いかもしれないのであって、それはダイオード検出回路40の中での故障を示唆する。同様の電圧測定値は、抵抗器72の故障を示唆するものである。テスト回路60−66についての代わりの実施形態では、抵抗器72又はダイオード70の両端での電位差をテストすることのみが可能である。
【0019】
図2と図3において描かれる、上述の検出回路40とテスト回路60−66とは、図4のフローチャート中で図解される2つのテストループにおいて機能する。ブロック100におけるマイクロコントローラ42と他ハードウェアの初期化の後、ブロック102において、ダイオード検出回路40のテストのための時間間隔が診断タイマーにロードされる。もしテストのためのタイマーが切れていなければ(判定ブロック104における“NO”の分岐)、ダイオード検出回路40に対するループが実行される。ダイオード検出回路40のループでは、まずブロック106において、較正ポテンショメータ44からトリップ値(trip value)のセットを読み込む。回路40はそれから、ブロック108において、アンテナ29上で受信されたマイクロ波エネルギーからRF電圧を測定し、そしてそのRF電圧を、ダイオード検出回路40を介して処理する。それからブロック110において、RF電圧は較正ポテンショメータ44から得られたトリップ値と比較される。RF電圧の測定値がトリップ値を超える場合(判定ブロック112における“YES”の分岐)、マイクロコントローラ42はブロック114においてトリップ条件をセットし、別の検出サイクルに移ってもよい。上で論じたように、他の回路がそれからそのトリップ信号を受信して、UVランプシステム10の動作をシャットダウンしてよい。RF電圧の測定値がトリップ値を超えない場合(判定ブロック112における“NO”の分岐)、マイクロコントローラ42はブロック116においてトリップ条件をクリアし、別の検出サイクルに移るであろう。この一連のステップ104−116は、テストのためのタイマーが切れる(判定ブロック104における“YES”の分岐)まで続く。
【0020】
タイマーが切れると、上述の通りダイオード検出回路40をテストする前に、マイクロコントローラ42が一時的にマイクロ波エネルギー検出を停止させてよい。マイクロコントローラ42が第1のアナログスイッチ60を有効にするとき、ブロック120においてテストが開始される。ブロック122において、第1のアナログスイッチ60から印加される基準電圧74が上述の通り測定され、そして電圧の理論値と比較される。テスト電圧の測定値が、許容できる窓の内部において(within an acceptable window)理論値と一致しない場合(判定ブロック124における“NO”の分岐)、ブロック126において故障条件がセットされ、第1のアナログスイッチ60は無効となる。処理はそれからマイクロ波エネルギーの検出動作へと戻るのであり、そこにおいては、上記のダイオード検出回路40を用いたのと同様に、他の回路が故障条件を受信し、UVランプシステム10をシャットダウンするか、又は他の適切な措置を講じてよい。
【0021】
電圧の測定値が理論値と、許容できる窓の内部において一致する場合には(判定ブロック124における“YES”の分岐)、ブロック128において、第1のテストからの第1のアナログスイッチ60が無効となり、第2のテストのための第2のアナログスイッチ64が有効となる。ブロック130において、第2のアナログスイッチ64から印加される基準電圧74が測定され、理論値と比較される。上記と同様に、電圧測定値が許容できる窓の内部において理論値と一致しない場合(判定ブロック132における“NO”の分岐)、ブロック134において故障条件がセットされ、第2のアナログスイッチは無効となる。処理はそれからマイクロ波エネルギーの検出動作へと戻るのであり、そこにおいては、第1のテストからの故障と同じく、そして上記のダイオード検出回路40を用いたのと同様に、他の回路が故障条件を受信し、UVランプシステム10をシャットダウンするか、又は他の適切な措置を講じてよい。 電圧の測定値が理論値と、許容できる窓の内部において一致する場合には(判定ブロック132における“YES”の分岐)、ブロック136において、故障条件はクリアされ、第2のアナログスイッチ64は無効となる。テスト回路のための診断タイマーはそれからリセットされ、ブロック102において新しい時間の値をロードされ、そして104−116のマイクロ波エネルギー検出が再び始まる。
【0022】
上述の実施形態においては2つのテスト条件を含むシステムを説明したのだが、他の実施形態においては2を超えるテスト条件を合間に採用しても、又はより少ないテスト条件を採用してもよい。同様に、上述の実施形態においては抵抗素子72とダイオード素子70のみをテストしたのであるが、ダイオード検出回路40における他の1以上の素子を、それに代わって、またはそれに追加してテストしてよい。上述の実施形態においてはダイオード検出回路40からテスト回路60−66を隔離するために低域通過フィルタ62、66を利用しており、よってテスト信号はDC又は低周波のACとすることが可能である。RFテスト信号を採用することもできるのであり、それには上述の低域通過フィルタを用いたのとは別の隔離手段が要求される。
【0023】
加えて、本発明の実施形態を、マイクロ波エネルギー検出器30の較正におけるドリフト(drift in the calibration)を検出するのに用いることもできる。UVランプシステム10の較正の間、現時点でマイクロ波エネルギーが存在しないときは、較正テスト電圧は放射線感受性素子の両端にかけられ、そしてマイクロコントローラ42によって不揮発性メモリに記憶される。引き続いての動作の間、マイクロコントローラ42は最初に、マイクロ波エネルギーが存在するかどうかを測定するであろう。存在する場合、マイクロコントローラ42は断続的にマイクロ波エネルギーの検出を停止し、上述の実施形態で説明されたテスト信号を供給するであろう。マイクロ波エネルギーが存在しない場合は、マイクロコントローラ42は、放射線感受性素子の両端における電圧測定値と較正の間に記録された較正テスト電圧とを比較し、較正におけるドリフトがあるかどうかを決定する。
【0024】
本発明はさまざまな実施形態の描写によって説明されてきたのであり、これら実施形態はかなり詳細に描写されてきたのではあるが、添付の請求の範囲をそのような細部へと制限することも、又はいかなる限定をすることも、出願人は意図していない。当業者は、追加的な利点や改良を容易に思いつくであろう。従って、幅広い態様においての本発明は、特定の細部や、典型的な装置や方法や、そして図示され、説明された図解的な例にも制限されない。従って、出願人の有する一般的発明概念の精神ないしは範囲から逸脱することなく、そのような細部より出発することができる。
【0025】
添付の図面は本発明の実施形態を図解するものであり、上述された本発明の一般的説明、そして以下に与えられる詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、紫外線ランプシステムのブロック図である。
【図2】図2は、本発明に従った図1のUVランプシステムにおけるマイクロ波エネルギー検出器のためのテスト回路を含む、検出回路の典型的実施形態のブロック図である。
【図3】図3は、図2におけるテスト回路の典型的実施形態の概略図である。
【図4】図4は、本発明の典型的実施形態のフローチャートであり、マイクロ波エネルギー検出器の検出回路と連動して動作するテスト回路を説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波エネルギーを発生させるためのマイクロ波エネルギー発生器、を備えるタイプの紫外線ランプシステム、のための検出器であって、
前記マイクロ波エネルギーを検出するよう構成された、過剰な量のマイクロ波エネルギーに晒されると故障することができる少なくとも1つの放射線感受性素子を備える第1の回路と、
前記第1の回路に繋がれており、前記放射線感受性素子が故障したかどうかを断続的にテストするよう構成された第2の回路と、
を備える検出器。
【請求項2】
前記第2の回路は、前記放射線感受性素子をテストするために、既知の信号を前記第1の回路に供給するよう構成される、請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
前記既知の信号はRF信号である、請求項2に記載の検出器。
【請求項4】
前記既知の信号は低周波AC信号である、請求項2の記載の検出器。
【請求項5】
前記第2の回路は更に、前記放射線感受性素子をテストするために、前記第1の回路による前記マイクロ波エネルギーの検出を一時的に停止させるよう構成される、請求項2に記載の検出器。
【請求項6】
前記既知の信号はDC信号である、請求項5に記載の検出器。
【請求項7】
前記放射線感受性素子は検出ダイオードであって、前記第2の回路は該検出ダイオードを隔てての開回路またはショート回路を検出するよう構成される、請求項1に記載の検出器。
【請求項8】
前記放射線感受性素子は抵抗器であって、前記第2の回路は該抵抗器を隔てての開回路またはショート回路を検出するよう構成される、請求項1に記載の検出器。
【請求項9】
マイクロ波エネルギー発生器と、
前記マイクロ波エネルギー発生器から発生したマイクロ波エネルギーによって励起されたときに紫外線を放出するよう構成された無電極ランプと、
過剰な量のマイクロ波エネルギーを検出するための検出器であって、
i. マイクロ波エネルギーを検出するよう構成された、過剰な量のマイクロ波エネルギーに晒されると故障することができる少なくとも1つの放射線感受性素子を備える第1の回路と、
ii.前記第1の回路に繋がれており、前記放射線感受性素子が故障したかどうかを断続的にテストするよう構成された第2の回路と、
を含む検出器と、
を備える、基材へ照射するための紫外線ランプシステム。
【請求項10】
前記マイクロ波エネルギー発生器はマグネトロンである、請求項9に記載の紫外線ランプシステム。
【請求項11】
前記第2の回路は、前記放射線感受性素子をテストするために既知の信号を前記第1の回路へ供給するよう構成される、請求項9に記載の紫外線ランプシステム。
【請求項12】
前記既知の信号はRF信号である、請求項11に記載の紫外線ランプシステム。
【請求項13】
前記既知の信号は低周波AC信号である、請求項11に記載の紫外線ランプシステム。
【請求項14】
前記第2の回路は更に、前記放射線感受性素子をテストするため、前記第1の回路による前記マイクロ波エネルギーの検出を一時的に停止させるよう構成される、請求項11に記載の紫外線ランプシステム。
【請求項15】
前記既知の信号はDC信号である、請求項14に記載の紫外線ランプシステム。
【請求項16】
前記放射線感受性素子は検出ダイオードであり、前記第2の回路は該検出ダイオードを隔てての開回路またはショート回路を検出するよう構成される、請求項9に記載の紫外線ランプシステム。
【請求項17】
前記放射線感受性素子は抵抗器であって、前記第2の回路は該抵抗器を隔てての開回路またはショート回路を検出するよう構成される、請求項9に記載の紫外線ランプシステム。
【請求項18】
紫外線ランプシステムから放出されるマイクロ波エネルギーを監視するための方法であって、
過剰な量のマイクロ波エネルギーに晒されると故障することができる少なくとも1つの放射線感受性素子を備える第1の回路を介してマイクロ波エネルギーを監視する段階と、
前記放射線感受性素子をテストして、前記放射線感受性素子が故障したかどうかを決定する段階と、
を含む、方法。
【請求項19】
前記放射線感受性素子のテストは、前記放射線感受性素子の故障を検出するために既知の信号を前記第1の回路へ断続的に供給する段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記既知の信号の断続的な供給は、RF信号を断続的に供給する段階を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線感受性素子のテストは、
前記第1の回路による前記マイクロ波エネルギーの監視を断続的に停止させる段階と、
前記マイクロ波エネルギーの監視が停止されている間に前記既知の信号を供給する段階と、
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記既知の信号の断続的な供給は、DC信号を断続的に供給する段階を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記放射線感受性素子のテストは、検出ダイオードを隔てて開回路またはショート回路を検出する段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記放射線感受性素子のテストは、抵抗器を隔てて開回路またはショート回路を検出する段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
マイクロ波エネルギーが存在しないときに前記放射線感受性素子の較正テスト値を記憶する段階を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記放射線感受性素子のテストは、
前記マイクロ波エネルギーの存在を検出する段階と、
前記マイクロ波エネルギーの存在に応答して、前記放射線感受性素子の故障を検出するために、前記第1の回路に既知の信号を断続的に供給する段階と、
前記マイクロ波エネルギーの不在に応答して、前記放射線感受性素子からの信号を前記較正テスト値と比較して較正におけるドリフトを検出する段階と、
を含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−16355(P2009−16355A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−192824(P2008−192824)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(399018677)ノードソン コーポレイション (15)
【氏名又は名称原語表記】Nordson Corporation
【住所又は居所原語表記】28601 Clemens Road Westlake Ohio 44145−1119 USA
【Fターム(参考)】