説明

紫外線検出システム

【課題】簡易な構成により紫外線量の高い場所における紫外線量を検出すること。
【解決手段】本発明の紫外線検出システム1は、テレビジョン信号を受信すると共に屋外の紫外線検出信号を検出する紫外線センサ7を有するアンテナ2と、テレビジョン信号の信号経路となる信号線5を介して前記アンテナ2に接続され前記テレビジョン信号及び前記紫外線検出信号を抽出するテレビジョンチューナ3と、前記テレビジョンチューナ3に接続される表示装置4を備え、前記テレビジョンチューナ3は前記紫外線検出信号を紫外線情報を示す紫外線検出値に変換して前記表示装置4に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の紫外線量を検出する紫外線検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外の紫外線量を検出する紫外線センサを備えた空気調和機が知られている(特許文献1参照)。この空気調和機は、紫外線センサを有する室外機と、連絡配線を介して室外機と接続された室内機と、室内機と通信可能なリモコン(表示装置)とを備えており、紫外線センサで検出した紫外線量を、連絡配線を介して室内機に送り、リモコンに表示させている。
【特許文献1】特開2002−188844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、紫外線量は、太陽光を直接受ける場所(日向)と太陽光が一部遮られる場所(日陰)とでは大きく異なるため、例えば、皮膚や目に影響を及ぼす紫外線対策を行う場合には、紫外線量の高い日向の紫外線量を利用することが好ましい。しかしながら、室外機はベランダの床面や、上階のベランダ下面近傍に吊下げられて設置された場合、室外機は建物の影に入り込み、紫外線センサは日陰の紫外線量を検出するため、紫外線対策としては適切でない紫外線量を表示してしまうことになる。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成により紫外線量の高い場所における紫外線量を検出することができる紫外線検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の紫外線検出システムは、テレビジョン信号を受信すると共に屋外の紫外線検出信号を検出する紫外線センサを有するアンテナと、テレビジョン信号の信号経路となる信号線を介して前記アンテナに接続され前記テレビジョン信号及び前記紫外線検出信号を抽出するテレビジョンチューナと、前記テレビジョンチューナに接続される表示装置を備え、前記テレビジョンチューナは前記紫外線検出信号を紫外線情報を示す紫外線検出値に変換して前記表示装置に表示することを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、簡易な構成により紫外線量の高い場所における紫外線量を検出することができる。特に、アンテナは、建物の屋上やベランダの手すり部分等の当該建物により日陰とならない場所に設置されることが多いので、直射日光下における高い紫外線量を検出することができる。
【0007】
上記紫外線検出システムにおいて、前記アンテナは、パラボラアンテナで構成することができる。この構成によれば、例えば、パラボラアンテナの湾曲面に紫外線センサを取り付けた場合、一定方向の紫外線量を検出することができる。
【0008】
上記紫外線検出システムにおいて、前記紫外線センサを複数備え、当該複数の紫外線センサの紫外線検出値のうち最大値となる紫外線検出値を検出することが好ましい。この場合、検出時間による太陽の位置の影響(時間変化に伴う紫外線の入射角度の変化の影響)を受けた場合でも、最大値となる紫外線検出値を検出することができる。
【0009】
上記紫外線検出システムにおいて、前記紫外線センサを複数備え、前記アンテナへの取付角度の異なる複数の紫外線センサの紫外線検出値の差分に基づく紫外線の相対感度差と、当該相対感度差に基づく紫外線の入射角度ずれとにより、前記紫外線センサの紫外線検出値を紫外線の入射角度が0度における紫外線検出値になるように補正することが好ましい。
【0010】
この場合、複数の紫外線センサの紫外線検出値の差分から求められる紫外線の相対感度差及びこれに対応する入射角度ずれに基づいて、紫外線センサが検出した実際の紫外線検出値を、紫外線の入射角度が0度における紫外線検出値に補正するので、実際には紫外線の入射角度ずれがあった場合でも、紫外線の相対感度が最も高い入射角度0度における紫外線検出値を検出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成により紫外線量の高い場所における紫外線量を検出することができる紫外線検出システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る紫外線検出システムを模式的に示した図であり、図2は、紫外線検出システムを構成するアンテナを模式的に示した図である。図1に示すように、紫外線検出システム1は、屋外に設置される共にテレビジョン信号を受信するアンテナ2と、信号経路となる同軸ケーブル5を介してアンテナ2と接続されると共に室内に設置されたテレビジョンチューナ3と、テレビジョンチューナ3と接続される表示装置4と、テレビジョンチューナ3と通信可能なリモコン6とを備えており、アンテナ2は屋外の紫外線量を検出する紫外線センサ7を有している。この紫外線検出システム1では、アンテナ2に取り付けられた紫外線センサ7が屋外の紫外線量を示す紫外線検出信号を検出し、該紫外線検出信号をテレビジョン信号と共に同軸ケーブル5を介してテレビジョンチューナ3に送信し、紫外線検出値を表示装置4に表示させている。
【0013】
アンテナ2は、通常のテレビジョン信号受信機能を備えたものであり、受信したテレビジョン信号を同軸ケーブル5を介してテレビジョンチューナ3に送出する。このアンテナ2は、例えば、パラボラアンテナで構成され、該パラボラアンテナの湾曲面には複数の紫外線センサ7が取り付けられている。これら複数の紫外線センサ7は、屋外の紫外線量を示す紫外線検出信号を検出し、この検出信号を上記同軸ケーブル5を介してテレビジョンチューナ3に送る。パラボラアンテナは、取付面となる湾曲面に複数の紫外線センサ7を取り付けられるので、時刻や季節により太陽の位置が変わった場合でも、同一方向の太陽光(紫外光)を多く入射させることができる点で好ましい。
【0014】
図2に示すアンテナ2においては、取付面の中心近傍に1つの紫外線センサ7aが配設され、該紫外線センサ7aを挟んで左右両側にそれぞれ紫外線センサ7bが配設されている。なお、アンテナ2には、任意の位置に紫外線センサ7を配設可能であり、例えば、図3に示すように、取付面中心近傍に配設された紫外線センサ7aを挟んで、上下左右に4つの紫外線センサ7cを配設してもよい。また、図4に示すように、取付面中心近傍に配設された紫外線センサ7aと、該紫外線センサ7aを挟んで配設された4つの紫外線センサ7cとの間にさらに紫外線センサ7dをそれぞれ設けるようにしてもよい。ここで、複数の紫外線センサ7は、所定の角度でアンテナ2の取付面に取り付けられている。なお、紫外線センサ7のアンテナ2への取付方法は、任意の方法で取り付け可能である。このように構成されたアンテナ2は、例えば、建物の屋上やベランダの手すり部分等、太陽光を遮ることのない場所であって、当該アンテナ2の取り付けられる建物の位置や季節等に応じて、紫外線センサ7の取付面側を、紫外線量の最も多い時間帯(午前10時〜午後2時位)における太陽光が直接入射する方向に向けて取り付けられることが好ましい。
【0015】
テレビジョンチューナ3は、増幅器及びIC等で構成され、通常のテレビジョンチューナとして機能するものであり、アンテナ2から受信したテレビジョン信号に増幅及び復調処理等を施し、所望の音声及び映像信号を表示装置4に送出する。また、テレビジョンチューナ3は、複数の紫外線センサ7が検出した複数の紫外線検出信号のうち最大値となる紫外線検出信号を、表示装置4に出力可能な検出値(データ)に変換し紫外線情報として表示装置4に送出し、当該紫外線情報を前記音声及び映像信号と共に表示装置4に表示する。これにより、複数の紫外線センサ7の検出値の中から最大検出値を紫外線量として検出するので、検出時間による太陽の位置の影響(時間変化に伴う紫外線の入射角度の変化の影響)を受けた場合でも、最大検出値を示す紫外線量を表示することができる。ここで、テレビジョンチューナ3は、紫外線センサ7の検出値の高低により、紫外線情報を、例えば、高レベル、中レベル、低レベルの3段階にレベル分けしたレベル情報として表示装置4に表示してもよい。なお、紫外線情報は、テレビジョンチューナ3を遠隔操作するリモコン6の表示部に表示してもよい。
【0016】
次に、テレビジョンチューナ3の変形例について説明する。変形例に係るテレビジョンチューナ3は、取付角度の異なる複数の紫外線センサ7の紫外線検出値の出力差に基づいて紫外線の相対感度差及び入射角度ずれを算出し、この入射角度により実際の紫外線検出値を、入射角0度における検出値(最大検出値)となるように補正し、補正後の検出値を紫外線情報として表示装置4に送出する。
【0017】
次に、図5から図7を参照して、テレビジョンチューナ3における紫外線センサ7の検出値の補正方法について詳細に説明する。図5は、太陽光(紫外光)の入射角と感度の相対変化を示すグラフであり、横軸に入射角度を、縦軸に相対感度を示している。図5に示すように、入射角0度の場合が最も相対感度が高く、入射角が大きくなるにつれて相対感度が小さくなる。図6は、取付面に対して設置角度が20度ずれた位置の2つの紫外線センサa,bの検出値の出力差を示したグラフであり、横軸に設置角度を、縦軸に相対感度を示している。図6に示すように、入射角度0度に近い紫外線センサa1及びb1の出力差ΔAに比べて、入射角度0度から離れた紫外線センサa2及びb2の出力差ΔBが大きくなっている。
【0018】
ここで、図5に示す特性を持つ紫外線センサにおいて、相対感度は下記式(1)で表わすことができる。
相対感度=−0.000196×角度の2乗−0.000319×角度+1…(1)
【0019】
図7は、20度の角度差で設置した場合の相対感度差を示すグラフであり、横軸に入射角度ずれを、縦軸に相対感度差を示している。図7で示すように、入射角度ずれが大きくなるにつれて、相対感度差も大きくなっている。例えば、2つの紫外線センサ7の感度差が0.4の場合には、入射角度のずれは略40度となる。この場合、上記式(1)により紫外線センサaの出力は、入射角0度の出力を1とした場合0.68しか出力されていないため、この比を補正係数とすることにより、紫外線センサ7の実際の検出値を最大検出値に補正することができる。すなわち、変形例に係るテレビジョンチューナ3は、アンテナ2への取付角度の異なる複数の紫外線センサ7の検出値の差分に基づく紫外線の相対感度差と、当該相対感度差に基づく紫外線の入射角度ずれとにより、前記紫外線センサ7の検出値を紫外線の入射角度が0度における検出値になるように補正する。これにより、実際には紫外線の入射角度ずれがあった場合でも、紫外線の相対感度が最も高い入射角度0度における紫外線量を検出することができる。
【0020】
このように、本実施の形態によれば、紫外線センサを有するアンテナ2は建物の屋上やベランダの手すり部分等の当該建物により日陰とならない場所に設置されることが多いので、太陽光を直接入射させることができ、室内に居ながら高い紫外線量を検出することができる。
【0021】
また、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態にいて、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、紫外線量を検出する紫外線センサが取り付けられたアンテナを備えた紫外線センサに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る紫外線検出システムを模式的に示した図である。
【図2】本実施の形態に係る紫外線センサがアンテナに取り付けられた状態を示す模式図である。
【図3】本実施の形態に係る紫外線センサがアンテナに取り付けられた状態のその他の例を示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係る紫外線センサがアンテナに取り付けられた状態のその他の例を示す模式図である。
【図5】太陽光(紫外光)の入射角と感度の相対変化を示すグラフである。
【図6】取付面に対して設置角度が20度ずれた位置の2つの紫外線センサa,bの検出値の出力差を示したグラフである。
【図7】20度の角度差で設置した場合の相対感度差を示すグラフである。
【符号の説明】
【0024】
1 紫外線検出システム
2 アンテナ
3 テレビジョンチューナ
4 表示装置
5 同軸ケーブル(信号線)
6 リモコン
7 紫外線センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン信号を受信すると共に屋外の紫外線検出信号を検出する紫外線センサを有するアンテナと、テレビジョン信号の信号経路となる信号線を介して前記アンテナに接続され前記テレビジョン信号及び前記紫外線検出信号を抽出するテレビジョンチューナと、前記テレビジョンチューナに接続される表示装置を備え、前記テレビジョンチューナは前記紫外線検出信号を紫外線情報を示す紫外線検出値に変換して前記表示装置に表示することを特徴とする紫外線検出システム。
【請求項2】
前記アンテナは、パラボラアンテナであることを特徴とする請求項1に記載の紫外線検出システム。
【請求項3】
前記紫外線センサを複数備え、当該複数の紫外線センサの紫外線検出値のうち最大値となる紫外線検出値を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紫外線検出システム。
【請求項4】
前記紫外線センサを複数備え、前記アンテナへの取付角度の異なる複数の紫外線センサの紫外線検出値の差分に基づく紫外線の相対感度差と、当該相対感度差に基づく紫外線の入射角度ずれとにより、前記紫外線センサの紫外線検出値を紫外線の入射角度が0度における紫外線検出値になるように補正することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紫外線検出システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−41265(P2010−41265A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200339(P2008−200339)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】