説明

紫外線殺菌浄水装置とそれに使用する紫外線LEDユニット

【課題】
紫外線LEDユニットを光源として水質浄化する場合に、LEDチップから水に達するまでの紫外線の損失を低減すると共に、水中での損失をも低減し、より効率よく水を殺菌できるようにする.
【解決手段】
水を溜める容器(2)又は水を流す流路の内壁に配された紫外線LEDユニット(3)が、中心発光波長275±5nmに選定されたLEDチップ(6)をベース表面(5)にマウントして成り、前記LEDチップ(6)の発光面(6a)から水接触面となるウィンドウ(7)まで、水の屈折率に実質的に等しい屈折率の紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂(8)で充填した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中に含まれる細菌、藻類、および不純物などを紫外線の照射により殺菌・光分解して水質浄化する紫外線殺菌浄水装置及びそれに使用する紫外線LEDユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に水の殺菌方法としては塩素などによる薬剤殺菌、加熱殺菌、紫外線殺菌、オゾン殺菌などが知られているが、薬剤による弊害や環境意識の高まりから、紫外線殺菌が広く用いられるようになってきている。
紫外線を水中に照射しても薬剤のように残留するものがなく、ウイルスが不活化されるので、安全性において優れている。また、紫外線はウイルスのDNA又はRNAを破壊すると言われ、薬剤殺菌と違い耐性菌を作らないという利点もある。
【0003】
紫外線の殺菌効果に対する波長特性は、260nm付近に最大値を有しており、DNAの吸収スペクトルの最大吸収係数を示す波長に重なる。これは、DNAを構成するチミン分子が二量体を形成し、DNAの複製機能が失われ細菌や微生物の細胞が死滅すると言われている。
このため、この波長に近い254nmの紫外線を効率的に放射する低圧水銀灯が殺菌等として広く製品化されている。
しかし、大型大出力の低圧水銀灯の寿命は比較的短く、1年余りでランプ交換が要求されるだけでなく、電源を含めて大型であるため小型軽量化しにくい。
また、管内にはアルゴンガスと水銀が封入されており、廃棄時にその処理が煩雑で面倒なだけでなく、水銀は環境汚染につながるなどの問題点がある。
【0004】
このため、殺菌灯に代わって、近年、LEDを使用する紫外線殺菌装置の提案がなされている(特許文献1及び2参照)。
これは、水を貯留する容器内に紫外線LEDを配したものであり、その容器内に水を入れて紫外線LEDを点灯させることにより、水が紫外線被曝されて殺菌処理されるようになっている。
【0005】
図5は、このような従来の紫外線殺菌浄水装置61を示し、容器62の内壁63に紫外線LEDユニット64…が配されている。
紫外線LEDユニット64は、メタル缶ケース65のベース66にLEDチップ67が取り付けられてワイヤボンディングされている。そして、水接触面となるウィンドウ68に石英ガラス(硬質ガラス)などの透光部材が嵌め付けられて缶ケース65が気密シールされている。
この容器62に殺菌処理しようとする水を入れ、紫外線LEDユニット51を点灯させると、LEDチップ67の発光面69から照射された紫外線は、メタル缶ケース65内の空気層L1、ウィンドウ68となるガラス層L2を透過して水中に放射され、水が殺菌処理される。
【0006】
ところで、このような紫外線 LEDユニット64を用いて紫外線を照射する場合に、紫外線が夫々の媒質を透過する際に、媒質の屈折率差及びガラス層L2の光透過率に起因して損失を生じる。
各媒質の屈折率は、空気層L1が1.0、石英ガラスでなるガラス層L2が1.5、水が1.33であるため、この屈折率差に起因して各境界面で紫外線の一部が反射されて損失が生じる。
この場合、空気層L1とガラス層L2の境界面及びガラス層L2と水の境界面の屈折率差に起因する直進光だけでも反射損失が5%程度あり、LEDチップ64から拡がってガラス層L2に入射される紫外線の反射損失はもっと高くなることを考慮すると、水に照射される紫外線はLEDチップ64から照射された紫外線の反射損失は10%程度に達することが推測される。
【0007】
また、殺菌対象となる水は、波長500nm付近に吸収の極小値を有し、紫外側・赤外側とも吸収係数が大きくなる。
紫外域では、波長254nmの吸収係数が6.5×10−4(cm−1)であり、500nmに向って吸収係数が小さくなるので、波長を紫外域で長波長側へシフトさせることにより水中での光吸収が少なくなるため、水中の細菌類や微生物との相互作用が効果的に起こることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−292902号公報
【特許文献2】特開2002−219455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、紫外線LEDユニットを光源として水質浄化する場合に、LEDチップから水に達するまでの紫外線の損失を低減すると共に、水中での損失をも低減し、より効率よく水を殺菌できるようにすることを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明は、水を溜める容器又は水を流す流路の内壁に、水に対して紫外線を照射する紫外線LEDユニットが配された紫外線殺菌浄水装置において、前記紫外線LEDユニットは、中心発光波長275±5nmに選定されたLEDチップがベース表面にマウントされると共に、前記LEDチップの発光面から水接触面となるウィンドウまで、水の屈折率に実質的に等しい屈折率の紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂が充填されたことを特徴としている。
アモルファスフッ素樹脂の屈折率は、請求項2に記載されているように1.31以上、1.35以下が好ましい。
また、アモルファスフッ素樹脂は種類によって物性が異なり、例えば、可視光から紫外線まで高い透過性を有するものは金属への結合性がないため、LEDユニットに充填しても脱落しやすい。このような場合は、請求項3に記載されているように、紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂が、金属に対し結合可能な官能基を有する結合性フッ素樹脂膜と、フッ素樹脂に対しては結合可能で、金属に対しては結合不能な官能基を有する非結合性フッ素樹脂の二層構造とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、LEDチップの発光面から水接触面となるウィンドウまで、水の屈折率(1.33)に実質的に等しい屈折率(1.31〜1.35)のアモルファスフッ素樹脂が充填されている。
紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂を充填することにより、LEDチップの発光面とフッ素樹脂との間に空気層が存在しないので、その間で反射損失が生じることがない。
また、紫外線透過性フッ素樹脂と水との間で最大0.02の屈折率差を生ずるが、その境界面における屈折率差に起因する直進光の反射損失は僅か10−3%程度しかなく、0に等しい。
また、紫外線LEDユニットの中心発光波長が275±5nmであり、殺菌効果は260nmの殺菌効果に比して数%低下するものの、水中での光吸収分は40%小さくなるので、260nmの紫外線と同等又はそれ以上の殺菌効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る紫外線殺菌浄水装置の一構成例を示す説明図。
【図2】他の実施形態を示す説明図。
【図3】他の実施形態を示す説明図。
【図4】他の実施形態を示す説明図。
【図5】従来装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本例では、紫外線LEDユニットを光源として水質浄化する場合に、LEDチップから水に達するまでの紫外線の損失を低減すると共に、水中での損失をも低減し、より効率よく水を殺菌できるようにするという目的を達成するために、水を溜める容器又は水を流す流路の内壁に、水に対して紫外線を照射する紫外線LEDユニットが配された紫外線殺菌浄水装置において、前記紫外線LEDユニットは、中心発光波長275±5nmに選定されたLEDチップがベース表面にマウントされると共に、前記LEDチップの発光面から水接触面となるウィンドウまで、水の屈折率に実質的に等しい紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂が充填されたことを特徴とする。
【実施例1】
【0014】
図1に示す紫外線殺菌浄水装置1は、旅行などに携帯可能なタイプで、水を溜めるコップ状の容器2の底面内側(内壁)2Bに、水に対して紫外線を照射する紫外線LEDユニット3が配されている。
紫外線LEDユニット3は、メタル缶ケース4のベース表面5に、中心発光波長275±5nmに選定されたLEDチップ6がマウントされると共に、当該LEDチップ6の発光面6aから水接触面となるウィンドウ7まで、水の屈折率に実質的に等しい紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂8が充填されている。
LEDチップ6の中心発光波長を275±5nmとしたのは、発光波長が280nmを超えると水中吸収率の低下による効率上昇より、殺菌効果の低下による効率低下が影響し、発光波長が270nm以下の場合は、殺菌効果の上昇による効率上昇より水中吸収率の上昇による効率低下の影響を受けるためである。
なお、本例では、中心発光波長が275nmのLEDチップ6を用いた。
【0015】
この紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂8としては、例えば、(C10O)n−R(Rは官能基)の非晶質フッ素樹脂サイトップ(旭硝子株式会社の商品名)が用いられており、金属に対し結合可能な官能基(−COOH)を有する結合性フッ素樹脂8Aの薄膜と、フッ素樹脂に対しては結合可能で、金属に対しては結合不能な官能基(−CF)を有する非結合性フッ素樹脂8Bの二層構造から成る。
【0016】
紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂8を二層構造としたのは以下の理由による。
すなわち、非結合性フッ素樹脂8Bの方が、結合性フッ素樹脂に比して紫外線透過性に優れているものの、金属結合性がないため、メタル缶ケース4に直接充填しても剥離脱落するおそれがある。
そこで、金属結合性を有する同種のフッ素樹脂8Aをプライマとして使用することで、紫外線透過性に優れた非結合性フッ素樹脂8Bを固定できるようにしている。
なお、アモルファスフッ素樹脂8の屈折率は、いずれも1.31以上、1.35以下であり本例ではいずれの樹脂8A及び8Bも屈折率1.34のものが用いられている。
【0017】
容器2は、水を入れる容器本体11と、その底部に対して例えばバヨネット式に着脱可能に装着されるドライブユニット12と、上面開口を塞ぐ蓋体13を備えている。
容器本体11は、その内面に陽極酸化法により鏡面状酸化チタン膜14が形成されたチタン容器でなる。
酸化チタン膜は、紫外線が照射されたときに光触媒として機能し、浄化処理しようとする水に含まれる有機物を分解する。
また、底面2に設けられたLEDユニット3が発熱すると、その熱がチタン製の容器本体から水に伝導されて、容器本体11内の水が対流を生じて効率よく光触媒となる酸化チタン膜14に接触される。
【0018】
なお、容器本体11の底部には、紫外線LEDユニット3を嵌め付けられる透孔15が形成され、LEDユニット3を装着したときにウィインドウ6が底面内側2Bに面一に固定されるように設計されており、透孔15とLEDユニット3の隙間から水が漏れないようにパッキンリング16が設けられている。
【0019】
また、容器本体11の底部外側にはLEDユニット3に電源を供給するためにコネクタ17が配され、先端にプラグ18を取り付けた給電線19を介して、ドライブユニット12に接続されている。
ドライブユニット12は、スイッチ20をオンすることによりバッテリ21から紫外線LEDユニット3に電源を供給する電源回路22が内蔵されている。
【0020】
以上が本発明の一構成例であって、次にその作用について説明する。
容器本体11にドライブユニット12をセットした状態で、蓋体13を外して浄化処理しようとする水を入れ、必要に応じて蓋体13をする。
ここでスイッチ20をオンすると、紫外線LEDユニット3が点灯され、LEDチップから275nmの紫外線が照射される。
【0021】
LEDチップ6の発光面6aから所定の広がり角度で発せられた紫外線は、結合性フッ素樹脂8A及び非結合性フッ素樹脂8Bからなる紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂8を透過して水中に放射される。
このとき、結合性フッ素樹脂8Aは発光面6aに密着されており、その間に空気層が形成されていないので、紫外線が結合性フッ素樹脂8A薄膜に入射するときに反射損失を生じることがない。
また、結合性フッ素樹脂8A及び非結合性フッ素樹脂8Bは、いずれも屈折率が1.34と等しいので、その境界面を透過するときに反射損失を生じることもない。
さらに、非結合性フッ素樹脂8Bから水中に放射されるとき、その境界面で反射損失を生ずるが、その損失Rは下式で算出され、僅かに1.4×10−3%にすぎない。
R=[(n−n)/(n+n)]
:非結合性フッ素樹脂8Bの屈折率(1.34)
:水の屈折率(1.33)
【0022】
LEDユニット3から照射される紫外線の波長は275nmであり、260nmよりは殺菌効果が低下するものの、水中での吸収が少ないため、260nmの紫外線を照射したときと同等かそれ以上の殺菌効果が期待できる。
また、水中に拡がりながら放射された紫外線は、容器本体11の内面に形成された鏡面状酸化チタン膜14に次々反射されるので、容器本体11内の広範囲にわたって照射されて殺菌効果が向上する。
しかも、容器本体11の内面に形成された酸化チタン膜14は光触媒として作用するので、水中に含まれる有機物を効率的に分解することができる。
【実施例2】
【0023】
図2は本発明の他の実施形態を示す。なお、図1との共通部分は同一符号を付して詳細は省略する。
本例の紫外線殺菌浄水装置31は水を入れる容器が楕円ポット32で形成され、当該楕円ポット32は、楕円体をその短軸が通る面の近傍で、下半体32A及び上半体32Bに上下二分割して形成され、各半体32A及び32Bが互いに螺合され、あるいは、嵌め合わされて組み立てられるようになっている。
下半体32Aには紫外線LEDユニット3とそのドライブユニット(図示セズ)を内蔵した脚33が形成され、上半体32Bには水を出し入れするキャップ34が形成されている。
なお、本例でも、楕円ポット32の各半体32A及び32Bはチタンで形成され、その内面に陽極酸化法により鏡面状酸化チタン膜35が形成されている。
【0024】
LEDユニット3は、実施例1と同じ構造のものが用いられており、メタル缶ケース4のベース表面5に、中心発光波長275nmのLEDチップ6がマウントされ、当該LEDチップ6の発光面6aから水接触面となるウィンドウ7まで、結合性フッ素樹脂8Aの薄膜及び非結合性フッ素樹脂8Bの二層構造の紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂8が充填されている。
【0025】
この紫外線殺菌浄化装置31によれば、下半体32A及び上半体32Bを組み立てた状態でキャップ34を外し、水を入れた後に再びキャップ34をしてLEDユニット3を点灯させれば、紫外線が水中に放射される。
このとき、反射損失が少ない点では実施例1と同様であるが、本例では、容器が楕円ポット32に形成されているので、鏡面状酸化チタン膜35により楕円反射鏡が形成されることと成り、水中に拡がりながら放射された紫外線が繰り返し反射されて、ポット32内に満遍なく照射され、極めて高効率で殺菌浄化することができる。
また、光触媒作用により有機物を分解する際も、酸化チタン膜の全域に光が照射されるので、高効率で分解浄化することができる。
【実施例3】
【0026】
図3はさらに他の実施形態を示し、本例の紫外線殺菌浄水装置41は、直管状の金属パイプ42で形成された水を流す流路の管端部内壁43に、水に対して紫外線を照射する紫外線LEDユニット3が配されている。
紫外線LEDユニット3は、管端部42a及び42bの一方又は双方から対向する管端部に向けて配されており、本例では、双方の管端部42a及び42bに設けられている。
また、上流となる一方の管端部42aにはその側面に流入口44inが形成され、下流となる他方の管端部42bにはその側面に流出口44outが形成されて成る。
そして、パイプ42の内周面には、鏡面状酸化チタン膜45が形成されている。
【0027】
なお、LEDユニット3は、実施例1と同じ構造のものが用いられており、メタル缶ケース4のベース表面5に、中心発光波長275nmのLEDチップ6がマウントされ、当該LEDチップ6の発光面6aから水接触面となるウィンドウ7まで、結合性フッ素樹脂8Aの薄膜及び非結合性フッ素樹脂8Bの二層構造の紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂8が充填されている。
【0028】
本例によれば、パイプ42に水を流しながら紫外線LEDユニット3を点灯させて紫外線を水中に照射するときの反射損失が少なく、また、パイプ42の双方の管端部42a及び42bから水中に拡がりながら放射された紫外線はパイプ42の内周面に形成された鏡面状酸化チタン膜45で反射されてパイプ42内にくまなく照射されるので、効率的に紫外線浄水処理を行うことができる。
また、パイプ42内を水が流れることにより、水中の有機物が酸化チタン膜45に触れれると、酸化チタン膜45の光触媒作用により有機物が分解されて水質浄化される。
【実施例4】
【0029】
図4はさらに他の実施形態を示し、本例の紫外線殺菌浄水装置51は、直管状の金属パイプ52で形成された水を流す流路の内周面(内壁)53に、水に対して紫外線を照射する複数の紫外線LEDユニット3…が配されている。
紫外線LEDユニット3は、内周面53の周方向に所定間隔(例えば中心角90°)で設けられると共に、パイプ52の長手方向に沿って所定間隔で配されている。
また、上流となる一方の管端部52aにはその側面に流入口54inが形成され、下流となる他方の管端部52bにはその側面に流出口54outが形成されて成る。
そして、パイプ52の内周面には、鏡面状酸化チタン膜55が形成されている。
【0030】
なお、個々のLEDユニット3は、実施例1と同じ構造のものが用いられており、メタル缶ケース4のベース表面5に、中心発光波長275nmのLEDチップ6がマウントされ、当該LEDチップ6の発光面6aから水接触面となるウィンドウ7まで、結合性フッ素樹脂8Aの薄膜及び非結合性フッ素樹脂8Bの二層構造の紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂8が充填されている。
【0031】
本例においても、パイプ52に水を流しながら多数の紫外線LEDユニット3…を点灯させて紫外線を水中に照射するときの反射損失が少なく、また、水中に拡がりながら放射された紫外線はパイプ52の内周面に形成された鏡面状酸化チタン膜55で反射されてパイプ52内にくまなく照射されるので、効率的に紫外線浄水処理を行うことができる。
特に本例では、多数の紫外線LEDユニット3…から同時に紫外線を照射させることができるため、その分、紫外線のエネルギー強度を高くなり、浄水能力を向上させることができる。
さらに、パイプ52内を水が流れることにより、水中の有機物が酸化チタン膜55に触れると、酸化チタン膜55の光触媒作用により有機物が分解されて水質浄化される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上述べたように、本発明は、紫外線LED光源を用いた紫外線殺菌浄水装置の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 紫外線殺菌浄水装置
2 容器
2B 底面内側(内壁)
3 紫外線LEDユニット
5 ベース表面
6 LEDチップ
6a 発光面
7 ウィンドウ
8 紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂
11 容器本体
12 ドライブユニット
14 鏡面状酸化チタン膜


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を溜める容器又は水を流す流路の内壁に、水に対して紫外線を照射する紫外線LEDユニットが配された紫外線殺菌浄水装置において、
前記紫外線LEDユニットは、中心発光波長275±5nmに選定されたLEDチップがベース表面にマウントされると共に、前記LEDチップの発光面から水接触面となるウィンドウまで、水の屈折率に実質的に等しい屈折率の紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂が充填されたことを特徴とする紫外線殺菌浄水装置。
【請求項2】
前記アモルファスフッ素樹脂の屈折率が1.31以上、1.35以下である請求項1記載の紫外線殺菌浄水装置。
【請求項3】
前記紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂が、金属に対し結合可能な官能基を有する結合性フッ素樹脂膜と、フッ素樹脂に対しては結合可能で、金属に対しては結合不能な官能基を有する非結合性フッ素樹脂の二層構造から成る請求項1又は2記載の紫外線殺菌浄水装置。
【請求項4】
前記容器が、その内面に、鏡面状酸化チタン膜を形成したチタン容器でなる請求項1乃至3いずれか記載の紫外線殺菌浄水装置。
【請求項5】
前記容器が水を入れる容器本体の底面に形成された開口部に紫外線LEDユニットが嵌め付けられると共に、当該容器本体の底部に紫外線LEDユニットに電源を供給する電源回路を形成したドライブユニットが着脱可能に装着された請求項1乃至4いずれか記載の紫外線殺菌浄水装置。
【請求項6】
前記流路が、所定長さの直管で形成され、前記紫外線LEDユニットが、管端部の一方又は双方から対向する管端部に向けて配され、上流となる一方の管端部にはその側面に流入口が形成され、下流となる他方の管端部にはその側面に流出口が形成されて成る請求項1乃至3いずれか記載の紫外線殺菌浄水装置。
【請求項7】
前記流路が、所定長さの直管で形成され、前記紫外線LEDユニットが管内壁に配されて成る請求項1乃至3いずれか記載の紫外線殺菌浄水装置。
【請求項8】
前記流路の内壁面に、鏡面状酸化チタン膜が形成されて成る請求項5又は6記載の紫外線殺菌浄水装置。
【請求項9】
LEDチップの発光面から照射された紫外線を水接触面となるウィンドウから水中に放射する殺菌浄水用の紫外線LEDユニットにおいて、
中心発光波長275±5nmに選定されたLEDチップがベース表面にマウントされると共に、前記LEDチップの発光面から水接触面となるウィンドウまで、水の屈折率に実質的に等しい屈折率の紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂が充填されたことを特徴とする紫外線LEDユニット。
【請求項10】
前記アモルファスフッ素樹脂の屈折率が1.31以上、1.35以下である請求項9記載の紫外線LEDユニット。
【請求項11】
前記紫外線透過性アモルファスフッ素樹脂が、金属に対し結合可能な官能基を有する結合性フッ素樹脂膜と、フッ素樹脂に対しては結合可能で、金属に対しては結合不能な官能基を有する非結合性フッ素樹脂の二層構造から成る請求項1又は2記載の紫外線LEDユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−16074(P2011−16074A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162456(P2009−162456)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(506308633)ユーヴィックス株式会社 (11)
【Fターム(参考)】