説明

紫外線測定装置および紫外線測定方法

【課題】各種の条件下であっても正確な紫外線照射量を測定できる紫外線測定装置を実現する。
【解決手段】所定厚みの直方体形状からなる筐体100には、開口部101が形成されており、当該開口部101によって開口される領域内に、UVセンサ素子10と照度センサ素子20とが設置されている。信号処理回路の制御部300は、照度センサ素子20の出力に基づく照度検知電圧信号のレベル(判断値)に基づいて、筐体100の受波面側表面に、紫外線測定可能閾値レベルの紫外線が照射しているかどうかを判断する。制御部300は、判断値が紫外線測定可能閾値に達していればUVセンサ素子101からのUV検知電圧信号に基づいて紫外線照射量を測定する。すなわち、まず照度によって紫外線を観測可能な環境であるかを把握し、紫外線を観測可能な環境であると判断すればUVセンサ素子により紫外線照射量を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線照射量を測定する紫外線測定装置および紫外線測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線(UV)照射量を測定する各種の紫外線測定装置が考案されている。ここで、紫外線照射量を正確に測定するためには、紫外線を感知するUVセンサ素子の受波面が紫外線の照射方向に対してできる限り垂直に近づくように、紫外線測定装置を設置しなければならない。また、このような測定の制限があることから、経時的に紫外線照射量を測定する場合には、太陽の位置の移動に応じて受波面を回転等させる必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の紫外線測定装置では、固定台に対して回転可能に軸支された支持台を備え、当該支持台の上板上にUVセンサ素子を固定設置している。そして、この上板上にUVセンサ素子の受波面に対して垂直に伸びる形状からなる杆状体を設置し、当該杆状体が上板表面につくる陰に基づいて、支持台を回転させることで、UVセンサ素子の受波面を紫外線(太陽光)の照射方向へ向けるようにしている。
【特許文献1】特開2000−121430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の紫外線測定装置では、固定台、支持台、支持台の上板に設置された杆状体のように構成要素が多くなるとともに機構が複雑になってしまう。また、紫外線は照射されているが、可視光によって決まる陰が見えなかったり極端に見えにくい状況下では、正確にUVセンサ素子の受波面を合わせ込むことができなかった。このため、正確に受波面を合わせ込めていない状況のままで測定を行っていることもあり、正確な紫外線照射量を測定することが難しくなってしまう。
【0005】
この発明の目的は、各種の条件下であっても、正確な紫外線照射量を測定することができる紫外線測定装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の紫外線測定装置は、筐体に紫外線センサ素子と照度センサ素子とが、所定の位置関係で配置される。紫外線センサ素子は、紫外線に感応し、該紫外線の受波量に応じた信号を出力する。照度センサ素子は、紫外線を含む光の照度に応じた信号を出力する。紫外線量測定手段は、照度センサ素子の出力信号レベルに基づいて紫外線測定のための判断値を取得する。紫外線量測定手段は、この判断値が紫外線測定可能閾値に達したことを検出すると、紫外線センサ素子からの出力信号に基づいた紫外線照射量を測定値として出力する。
【0007】
この構成では、紫外線を含む光の照度を照度センサ素子により測定して、紫外線照射量の測定の判断値として利用している。そして、当該判断値に基づいて紫外線照射測定が可能なレベルであるかどうかの閾値が紫外線測定可能閾値として予め設定されており、当該紫外線測定可能閾値を超えなければ、紫外線センサ素子の出力信号を用いず、当該紫外線測定可能閾値を超えた場合にのみ紫外線センサ素子の出力信号を用いた紫外線照射量の測定値が出力される。この際、紫外線測定可能閾値を超えた時点で紫外線センサ素子で紫外線照射量の測定を行うようにしても良いし、照度センサ素子による測定とともに紫外線センサ素子による測定を行って測定値を記憶しておき、紫外線測定可能閾値を超えた場合に、紫外線測定可能閾値を超えた時点に対応して記憶した測定値を出力するようにしても良い。
【0008】
また、この発明の紫外線測定装置は、筐体を回転させる回転手段をさらに備える。紫外線量測定手段は、回転手段を回転させながら判断値を順次取得し、最大値となる判断値が紫外線測定可能閾値に達していれば、該最大値となる判断値に基づいた紫外線照射量を測定値として出力する。
【0009】
この構成では、回転手段によりUVセンサ素子および照度センサ素子の受波面が回転すると、この回転に応じて各センサ素子の受波面と紫外線照射方向との関係が変化して、照度センサ素子で得られる判断値も変化する。これを利用し、受波面と紫外線照射方向とが最適な測定が可能な方向関係に近づいた時点の判断値、すなわち回転に応じて順次取得した判断値の最大値を、紫外線測定が可能かどうかの判断に用いる。これにより、常時最適な判断値を用いて紫外線照射量の測定を行うことができる。
【0010】
また、この発明の紫外線測定装置は、紫外線センサ素子は複数からなる。これら複数の紫外線センサ素子は筐体に対して、受波面の方向がそれぞれに異なるように設置されている。
【0011】
この構成では、受波面が異なる複数の紫外線センサ素子を用いることで、筐体に対して複数の角度から紫外線照射量を測定することができる。これにより、回転機構を備えなくても適当な紫外線照射量を測定できたり、回転機構による回転量を少なくしても最適な測定状態で紫外線照射量を測定することができる。
【0012】
また、この発明の紫外線測定装置は、複数の紫外線センサ素子のそれぞれに対して一対の関係となるように、照度センサ素子が複数設置されている。そして、一対の関係となる照度センサ素子と紫外線センサ素子とは互いの受波面の方向が略一致するように設置されている。
【0013】
この構成では、紫外線センサ素子毎に照度センサ素子が設けられているので、紫外線照射量とともに、筐体に対して複数の角度から照度(判断値)を測定することができる。このため、回転機構を備えなくても判断値の測定ができたり、回転機構による回転量を少なくしても判断値を測定することができる。これにより、筐体を回転させることなく、もしくは回転量を少なくしても、最適な判断値の選択および紫外線照射量測定が可能であるかの判定を行うことができる。さらに、紫外線照射量測定に最適な判断値の選択および紫外線照射量測定が可能であるかの判定を素早く行うことができる。
【0014】
また、この発明の紫外線測定方法は、閾値設定工程、判断値取得工程、測定判断工程、および紫外線量測定工程を有する。閾値設定工程は、照度センサ素子の出力信号に基づいて紫外線照射量の測定が可能かどうかを判定するための紫外線測定可能閾値を設定する。判断値取得工程は、照度センサ素子の出力信号レベルに基づいて紫外線照射量測定のための判断値を取得する。測定判断工程は、この判断値が紫外線測定可能閾値に達したかどうかを判断する。紫外線量測定工程は、判断値が紫外線測定可能閾値に達したことを検出した時点で、紫外線センサ素子からの出力信号に基づいた紫外線照射量を測定値として出力する。
【0015】
この方法では、照度センサ素子の出力信号に基づく判断値が紫外線測定可能閾値に達していなければ紫外線センサ素子からの出力信号を採用せず、紫外線測定可能閾値に達していれば紫外線センサ素子の出力信号を採用して、紫外線照射量を測定する。これにより、紫外線が紫外線センサ素子へ確実に照射されている場合にのみ測定が行われ、紫外線照射量を正確に測定することができる。
【0016】
また、この発明の紫外線測定方法は、さらに、回転角別判断値取得工程と最大判断値検出工程とを有する。回転角別判断値取得工程は、判断値を照度センサ素子の受波方向を回転させながら順次取得する。最大判断値検出工程は、この回転させながら取得した複数の判断値の最大値を検出する。そして、判断値取得工程は、この最大値となる判断値を、紫外線測定可能閾値による判断に利用する。
【0017】
この方法では、筐体の回転により最適な測定の方向が得られるので、紫外線照射量を正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、紫外線測定装置の配置状況に影響されることなく、正確な紫外線照射量を容易に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態に係る紫外線測定装置について図を参照して説明する。
図1は、本実施形態の紫外線測定装置の主要構成を示す図であり、(A)は受波面側から見た平面図、(B)は側面断面図、(C)は回路ブロック図である。
また、図2は、本実施形態の紫外線測定装置を用いた紫外線測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0020】
紫外線測定装置1は、機構的には、図1(A)、図1(B)に示すように、所定開口面積からなる開口部101が形成された筐体100を有する。筐体100は、例えば所定の厚み(図1における縦方向の長さ)からなる内部空間を有する直方体形状からなる。
【0021】
筐体100の内部には、平板状の誘電体基板に回路電極パターンを形成してなる信号処理回路基板30が設置されている。この信号処理回路基板30の開口部101側の表面には、UVセンサ素子10と照度センサ素子20とが実装されている。これらUVセンサ素子10と照度センサ素子20とは、受波面が平行になるとともに近接して設置されている。また、信号処理回路基板30の開口部101側の表面には、信号処理用IC40が実装されている。また、信号処理回路基板30の開口部101と反対の表面には、二次電池とこれを収納するホルダ部材とからなるバッテリ50が設置されている。なお、信号処理回路IC40およびバッテリ50の設置位置は、図1に示す例に限らず、設計仕様に応じて適宜設定すればよい。
【0022】
筐体100の開口部101には、カバー部材110が設置されている。当該カバー部材100は、例えば紫外線のみを透過する材質からなる。
【0023】
このような紫外線測定装置1は、電気回路的には、図1(C)に示す構成からなる。すなわち、UVセンサ素子10および照度センサ素子20は、信号処理回路基板30および信号処理用IC40により実現される信号処理回路に接続する。信号処理回路は、マイコン等からなる制御部300と、UV用電圧検出回路301、照度用電圧検出回路302、およびメモリ303を備える。また、バッテリ50は、UVセンサ素子10、照度センサ素子20、および信号処理回路に接続し、これらの回路構成要素に対して電力を供給する。
【0024】
UVセンサ素子10とUV用電圧検出回路301は、バッテリ50からの電力供給により、UVセンサ素子10が検出した紫外線受波量(照射量)に応じたUV検知電圧信号を出力する。照度センサ素子20と照度用電圧検出回路302は、バッテリ50からの電力供給により、照度センサ素子20が検出した照度に応じた照度検知電圧信号を出力する。制御部300は、照度検知電圧信号のレベルを取得し、予め設定した紫外線測定可能閾値に達しているかどうかを判定する。制御部300は、照度検知電圧信号のレベルが紫外線測定可能閾値に達していれば、UV検知電圧信号のレベルを取得して、後段の回路に出力したり、メモリ300に記憶する。この際、図示しないが表示部等を備えていれば、当該表示部へUV検知電圧信号のレベルに応じた表示を行っても良い。なお、制御部300は、照度検知電圧信号のレベルが紫外線測定可能閾値に達していなければUV検知電圧信号のレベルを行わないか測定結果を破棄し、表示部を備えていれば有効な紫外線測定結果が得られていないことを示す表示を行う。
【0025】
このような構成の紫外線測定装置1は図2に示すフローにより紫外線照射量を測定する。
【0026】
まず、制御部300は、照度センサ素子20により得られる照度をパラメータとして、UVセンサ素子10によって検出される紫外線照射量が利用可能な程度のレベルであるかの判断基準を決定する(S101)。例えば、UVセンサ素子10および照度センサ素子20の受波面が水平になるように紫外線測定装置1を設置し、受波面に対する紫外線を含む光の照射角を変化させながら、通常検出可能な最低レベルで一定レベルの光を照射する。そして紫外線の照射方向が受波面に直交する場合を基準として、UVセンサ素子10が仕様上紫外線照射量を正確に検出できる範囲での照度検知電圧信号の最低値を取得する。
【0027】
制御部300は、この値を紫外線測定可能閾値として記憶しておく。なお、この紫外線測定可能閾値は、日付や時刻毎や緯度毎等によって個別に設定してもよく、日付、時刻や緯度を取得する機能部を備えておくことで、これらのパラメータに応じて紫外線測定可能閾値を変更してもよい。
【0028】
制御部300は、照度検知電圧信号のレベル(以下、「判断値」と称する。)を取得し(S102)、当該判断値と紫外線測定可能閾値とを比較する(S103)。
【0029】
制御部300は、判断値が紫外線測定可能閾値に達していなければ、紫外線照射量の測定を行わず、再度、判断値である照度検知電圧信号のレベルの取得処理を行う(S103:No→S102)。
【0030】
一方、制御部300は、判断値が紫外線測定可能閾値に達していれば、UV検知電圧信号のレベルを取得して、紫外線照射量の測定を行う(S103:Yes→S104)。なお、この際、UVセンサ素子10は、照度センサ素子20とともに順次UV検知電圧信号のレベルを測定して記憶しておき、制御部300は、判断値が紫外線測定可能閾値に達した時点で、当該時点に対応する、記憶されているUV検知電圧信号のレベルを測定値として出力しても良い。
【0031】
このような構成および測定方法を用いることにより、紫外線が確実に照射されている状態、すなわち十分に観測対象となり得る状態の時にのみ紫外線照射量を測定することができる。これにより、測定環境が不十分な状態での測定値を含まず、正確な紫外線照射量の測定を行うことができる。
【0032】
次に、第2の実施形態にかかる紫外線測定装置について図を参照して説明する。
【0033】
図3は、本実施形態の紫外線測定装置2の主要構成を示す図であり、(A)は外観斜視図であり、(B)は回路ブロック図である。
また、図4は、本実施形態の紫外線測定装置2を用いた紫外線測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0034】
本実施形態に示す紫外線測定装置2は、第1の実施形態(図1)に示した紫外線測定装置1に対して、筐体100を支持する支持軸102および台103が設置されたものである。支持軸102は、棒体からなり、軸方向の一方端に筐体100が接続され、他方端に台103が接続されている。この際、支持軸102は、筐体100に対しては側壁面に接続し、台103に対しては一主面に接続する。この構成により、紫外線測定装置2は、筐体100のUVセンサ素子10および照度センサ素子20の受波面が鉛直方向に沿うように、立てた状態で設置することができる。
【0035】
さらに、筐体100には図3(B)に示すようにモータ60が配設されるとともに、筐体100と支持軸102とは、互いに噛合するギアが設置されている。モータ60で発生する動力は、ギアに伝達され、筐体100は、前記受波面が鉛直方向に沿ったままで、支持軸102に対して回動する。この構成により、紫外線測定装置2は、水平面の全周方向からの紫外線およびこれを含む光を受波することができる。
【0036】
このような構成の紫外線測定装置2は図4に示すフローにより紫外線照射量を測定する。
【0037】
まず、制御部300は、第1の実施形態と同様に、照度センサ素子20により得られる照度をパラメータとして、UVセンサ素子10によって観測される紫外線照射量が利用可能な程度のレベルであるかの判断基準を決定する(S201)。
【0038】
制御部300は、筐体100が所定の角速度で回転するように回転制御する(S202)。
【0039】
制御部300は、筐体100の回転中の所定タイミング毎に、照度検知電圧信号のレベル(以下、「判断値」と称する。)を取得して、各タイミングでの回転角度も記憶する(S203)。この処理は、筐体100が一回転するまで行われる。これにより、回転角度毎の判断値を全周方向で得ることができる。
【0040】
制御部300は、一回転中の複数の判断値を比較して、最大値となる判断値(以下、「最大判断値」と称する。)を取得する(S204)。この際、制御部300は、当該最大判断値に対応する回転角度も取得する。
【0041】
制御部300は、判断値が紫外線測定可能閾値に達していなければ、紫外線照射量の測定を行わず、再度、筐体100を回転させながらの判断値の取得処理を行う(S205:No→S202)
一方、制御部300は、最大判断値が紫外線測定可能閾値に達していれば、UV検知電圧信号のレベルを取得して、紫外線照射量の測定を行う(S205:Yes→S206)。この際、制御部300は、最大判断値となる回転角度になるように筐体100を回転させて、固定する。これにより、当該測定の時点で最適な方向に受波面が向くので、より正確な紫外線照射量を測定することができる。
【0042】
このような構成および測定方法を用いることにより、測定を実行する時点および状況において最適な測定環境で紫外線照射量を測定することができる。これにより、さらに正確な紫外線照射量の測定を行うことができる。
【0043】
なお、上述の第2の実施形態の説明では、最大判断値となる回転角度が決定してから、最適な方向へ受波面を向けて紫外線照射量の測定を行う例を示したが、予め各回転角度におけるUV検知電圧信号のレベルを測定して記憶しておき、最大判断値となる各回転角度が決定した時点で、当該回転角度に対応する予め記憶されていたUV検知電圧信号のレベルを測定値として出力するようにしても良い。
【0044】
また、上述の第2の実施形態の説明では、受波面が水平方向を向きながら、筐体100が水平面上で回転する例を示したが、図5に示すように、鉛直面上で半周回転するようにしてもよい。
図5は、別の構造からなる本実施形態の紫外線測定装置2’の主要構成を示す外観斜視図である。
図5に示すように、紫外線測定装置2’は図3に示した紫外線測定装置2に対して、略立方体形状からなる筐体100’の回転方向が鉛直面上となるように駆動するものである。このような構成とすることで、紫外線測定装置2’を水平面上に設置した場合に、当該設置位置の水平面から天頂方向側の半円の内で、最適な方向を受波面の向く方向とすることができる。このような構成であっても、回転によって最適な方向に受波面を向けて紫外線照射量を測定することができる。
【0045】
次に、第3の実施形態に係る紫外線測定装置について図を参照して説明する。
図6は、本実施形態の紫外線測定装置3の主要構成を示す図である。
本実施形態の紫外線測定装置3は、第2の実施形態における図3で示した紫外線測定装置2に対して、筐体200が略立方体形状からなり、軸支される面に対して垂直な四つの側壁にそれぞれUVセンサ素子と照度センサ素子とが一対になって設置されたものである。
【0046】
具体的には、四つの側壁における第一の側壁(図6の右前壁面)には、UVセンサ素子10Aと照度センサ素子20Aとの組が設置されており、カバー部材110で保護されている。この第一の側壁に対向する第三の側壁(図6の左奥壁面)には、UVセンサ素子10Cと照度センサ素子20Cとの組が設置されている。さらに、これらの側壁に垂直な第二の側壁(図6の右奥壁面)には、UVセンサ素子10Bと照度センサ素子20Bとの組が設置されており、第四の側壁(図6の左前壁面)には、UVセンサ素子10Dと照度センサ素子20Dとの組が設置されている。この際、各センサの組は、図6のように設置した状態で、同じ水平位置となるように設置されている。
【0047】
また、本実施形態の紫外線測定装置3は、第2の実施形態に示したようなモータを用いなくてもよい。
このような構成の場合、制御部300は、それぞれに受波面の向く方向が90°ずつ異なる照度センサ素子20A〜20Dによる判断値(照度検知電圧信号のレベル)を取得する。制御部300は、これらの照度センサ素子20A〜20Dによる判断値を比較して、最大値をとる照度センサ素子を選択する。制御部300は、最大値をとる照度センサ素子と組を成すUVセンサ素子を選択し、当該UVセンサ素子によるUV検知電圧信号のレベルを取得して、上述のような閾値を用いた紫外線照射量の測定を行う。これにより、モータを用いることなく、観測に適する方向に向く受波面での紫外線照射量を測定することができる。
【0048】
なお、本実施形態の構成では、もちろんモータを設置してもよい。この場合、第2の実施形態に示したように、360°の回転を行う必要はなく、90°の回転を行えば全周囲方向に対する照度結果を得ることができるので、より簡単かつ素早く、受波面の向くべき最適な方向を決定することができる。
【0049】
また、本実施形態の構成では、四側面を有する筐体200を例に説明したが上面視した形状が多角形となる多側面体からなる筐体を用いることもでき、この構成では、各側面にUVセンサ素子と照度センサ素子との対を設置すればよい。
【0050】
また、本実施形態の構成に対して、図5に示すような円直面上で回転する機構を設けてもよく、この場合には、水平面よりも天頂側のみに複数の側面を有する形状の筐体を用いればよい。
【0051】
なお、前述の各実施形態では、UVセンサ素子と照度センサ素子とが筐体の同じ壁面に設置されている例を示したが、図7に示すような構造であってもよい。
【0052】
図7は、他の構造例からなる紫外線測定装置の構成を示す図であり、(A)が平面図、(B)が側面図である。
【0053】
図7に示すように、紫外線測定装置4は、上面の面積が下面の面積よりも狭い台形型の立方体からなる筐体210を有する。筐体210の上面には、カバー部材110を用いて内装される照度センサ素子20が設置されている。筐体210の四側面のそれぞれには、カバー部材110を用いて内装されるUVセンサ素子10A〜10Dが内装される。この際、照度センサ素子20、UVセンサ素子10A〜10Dは、それぞれが内装される壁面と受波面とが平行になり、受波面が筐体210から外方を向くように設置されている。このような構造であっても、受波面の向く方向が異なるUVセンサ素子10A〜10Dを用いることができるので、回転を行わずとも観測に適する方向に受波面が向くUVセンサ素子からのUV検知電圧信号のレベルを取得して、紫外線照射量の測定をより正確に行うことができる。この際、照度センサ素子20による判断値に対する紫外線測定可能閾値の設定を、照度センサ素子20の受波面とUVセンサ素子10A〜10D群の受波面との成す角に応じて適宜設定すれば、照度センサ素子20による判断値を用いて正確に紫外線測定が可能であるかどうかを決定することができる。
【0054】
また、図7の構成を用いることで、UVセンサ素子数と同じ数の照度センサ素子を用いなくても、正確な紫外線測定を行うことができる。また、水平面に対して直角でない所定の角度を成すように斜めの側壁を設け、当該側壁に沿ってUVセンサ素子10A〜10Dの受波面が設置されるので、第1の実施形態に示した照度センサ素子20とUVセンサ素子10とが同一方向を向く構造で、受波面を天頂方向に向けた場合と比較して、光の照射方向の仰角が低くても紫外線照射量を測定することができる。
【0055】
なお、図7に示すような構造であっても側面数を五面以上にしてもよく、多側面体とすることで、より正確に紫外線測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1の実施形態に係る紫外線測定装置の主要構成を示す図である。
【図2】第2の実施形態に係る紫外線測定装置を用いた紫外線測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】第2の実施形態に係る紫外線測定装置2の主要構成を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る紫外線測定装置2を用いた紫外線測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る別の構造からなる本実施形態の紫外線測定装置2’の主要構成を示す外観斜視図である。
【図6】第3の実施形態に係る紫外線測定装置3の主要構成を示す図である。
【図7】他の構造例からなる紫外線測定装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1,2,3,4−紫外線測定装置、10,10A〜10D−UVセンサ素子、20,20A〜20D−照度センサ素子、30−信号処理回路基板、40信号処理IC、50バッテリ、60−モータ、100,100’−筐体、101−開口部、110−カバー部材、102−支持軸、103−台、300−制御部、301−UV用電圧検出回路、302−照度用電圧検出回路、303−メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線に感応し、該紫外線の受波量に応じた信号を出力する紫外線センサ素子と、
前記紫外線を含む光の照度に応じた信号を出力する照度センサ素子と、
前記紫外線センサ素子と前記照度センサ素子とが所定の位置関係で配置される筐体と、
前記照度センサ素子の出力信号レベルに基づいて紫外線測定のための判断値を取得し、該判断値が紫外線測定可能閾値に達したことを検出すると、前記紫外線センサ素子からの出力信号に基づいた紫外線照射量を測定値とする紫外線量測定手段と、を備えた紫外線測定装置。
【請求項2】
前記筐体を回転させる回転手段を備え、
前記紫外線量測定手段は、前記回転手段を回転させながら前記判断値を順次取得し、最大値となる判断値が前記紫外線測定可能閾値に達していれば、該最大値となる判断値に基づいた前記紫外線照射量を測定値とする、請求項1に記載の紫外線測定装置。
【請求項3】
前記紫外線センサ素子は複数からなり、該複数の紫外線センサ素子は前記筐体に対して、受波面の方向がそれぞれに異なるように設置されている、請求項1または請求項2に記載の紫外線測定装置。
【請求項4】
前記照度センサ素子は、前記複数の紫外線センサ素子のそれぞれに対して一対の関係となるように、複数設置されており、一対の関係となる照度センサ素子と紫外線センサ素子とは互いの受波面の方向が略一致するように設置されている、請求項3に記載の紫外線測定装置。
【請求項5】
照度センサ素子の出力信号に基づいて紫外線の測定が可能かどうかを判定するための紫外線測定可能閾値を設定する閾値設定工程と、
前記照度センサ素子の出力信号レベルに基づいて紫外線測定のための判断値を取得する判断値取得工程と、
該判断値が前記紫外線測定可能閾値に達したかどうかを判断する測定判断工程と、
前記判断値が前記紫外線測定可能閾値に達したことを検出した時点で、紫外線センサ素子からの出力信号に基づいた紫外線照射量を測定値とする紫外線量測定工程と、を有する紫外線測定方法。
【請求項6】
前記判断値を前記照度センサ素子の受波方向を回転させながら順次取得する回転角別判断値取得工程と、
該回転させながら取得した複数の判断値の最大値を検出する最大判断値検出工程と、をさらに有し、
前記判断値取得工程では、該最大値となる判断値を、前記紫外線測定可能閾値による判断に利用する、請求項5に記載の紫外線測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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