説明

紫外線照射システム

【課題】紫外線硬化樹脂の任意の範囲についての硬化状態を確実に測定することができる紫外線照射システムを提供する。
【解決手段】ガイド光光源38が発生するガイド光58は、光軸Ax3に沿って、コリメートレンズ64を通過してハーフミラー24に入射する。そして、ハーフミラー24がガイド光58の伝搬方向を光軸Ax2に沿った紙面上方向に変化させるため、ガイド光58は蛍光52と同一の光学経路上を逆方向に伝搬して紫外線硬化樹脂12へ照射される。このガイド光58は、受光素子28の受光視野と略一致するようにそのビーム断面の大きさが定められており、紫外線硬化樹脂12に照射されることで受光素子28の受光視野を表示する。そして、ユーザは、このガイド光58の投射像を参照して、所望範囲の硬化状態が測定できるように蛍光測定ヘッド部104の位置などを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は紫外線照射システムに関し、特に紫外線硬化樹脂の硬化処理に適した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの産業分野において、接着剤やコーティング剤の硬化方法として紫外線硬化法(Ultra Violet Curing)が利用されている。紫外線硬化法は、熱エネルギーを利用する熱硬化方法に比較して、有害物質を大気中に放散しない、硬化時間が短い、熱に弱い製品にも適用できるなどの多くの利点を有している。
【0003】
紫外線硬化法では、紫外線照射前においては主に液体である一方、紫外線照射後においては固体に変化する、紫外線硬化樹脂が用いられる。このような紫外線硬化樹脂は、主剤としてモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方を含み、さらに光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、照射される紫外線を受けてラジカルやカチオンを発生し、発生したラジカルやカチオンがモノマーやオリゴマーと重合反応を生じる。この重合反応に伴いモノマーやオリゴマーはポリマーに変化し、分子量が極めて大きくなるとともに、融点が低下する。この結果、紫外線硬化樹脂は液体状態を維持できなくなって固体に変化する。
【0004】
一方、目視による紫外線硬化樹脂の硬化度や品質異常有無の判断は困難であり、紫外線硬化樹脂の硬化反応状態を容易に判断する方法が要望されている。そこで、たとえば特許第2651036号公報(特許文献1)には、硬化可能材料の硬化度の関数として変化するように発光するプローブを紫外線硬化樹脂に添加することで、硬化可能コーティング材料の硬化程度を監視する方法が開示されている。しかしながら、上述のプローブのように特別な材料を添加することはコスト的に不利であり、また品質上の観点からそのようなプローブを添加することが許容されない場合も多いため、汎用的ではない。
【0005】
これに対して、本願発明者らは、紫外線硬化樹脂に対する紫外線照射に応じて、紫外線硬化樹脂に含まれる光重合開始剤自体が紫外線硬化樹脂の状態(たとえば、硬化度)と相関のある観測可能な蛍光を放射する事実を見出し、この事実を利用した紫外線硬化樹脂の状態推定方法を特願2006−071580号として出願した。
【特許文献1】特許第2651036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の紫外線硬化樹脂の状態推定方法によれば、投光素子で発生した励起用紫外線を紫外線硬化樹脂に照射するとともに、この励起用紫外線によって生じた蛍光を受光素子で検出し、この受光素子で検出される蛍光量に基づいて硬化状態が判断される。したがって、紫外線硬化樹脂における硬化状態の測定対象範囲(測定対象領域)は、対象となる紫外線硬化樹脂の励起用紫外線の照射範囲と受光素子の受光視野との関係によって定まることになる。
【0007】
ところで、励起用紫外線は不可視光であり、その照射範囲を目視で確認することはできない。また、受光素子の受光視野についても目視で確認することはできない。そのため、紫外線硬化樹脂における硬化状態の測定対象範囲を一見して把握することができず、何らかの原因によって、硬化状態を測定すべき本来の位置とは異なる位置が測定対象範囲となっている場合であっても、それに気付かないという問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、紫外線硬化樹脂の任意の範囲についての硬化状態を確実に測定することができる紫外線照射システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面に従えば、モノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方からなる主剤と光重合開始剤とを含む紫外線硬化樹脂を硬化させるための紫外線照射システムであって、紫外線硬化樹脂の硬化状態を測定する硬化状態測定装置を備える。硬化状態測定装置は、紫外線硬化樹脂を活性化するための第1の紫外線を発生する投光部と、第1の紫外線を受けて光重合開始剤から放射される蛍光を検出する受光部と、受光部で検出された蛍光の量に基づいて硬化状態を判断する判断部と、紫外線硬化樹脂における硬化状態の測定対象範囲を表示するための可視領域の波長を含むガイド光を紫外線硬化樹脂へ照射するガイド光光源とを含む。
【0010】
この発明によれば、ガイド光光源から可視領域の波長を含むガイド光が紫外線硬化樹脂へ照射され、紫外線硬化樹脂における硬化状態の測定対象範囲が表示される。そのため、ユーザはこのガイド光による表示を参照しながら、対象となる紫外線硬化樹脂の所望の範囲が測定対象範囲となるように調整することができる。
【0011】
したがって、紫外線硬化樹脂の任意の範囲についての硬化状態を確実に測定することができる。
【0012】
好ましくは、紫外線硬化樹脂における受光部の受光視野は、紫外線硬化樹脂における第1の紫外線の照射領域と同一またはそれより小さく、硬化状態測定装置は、紫外線硬化樹脂から受光部までの蛍光の光学経路上の所定位置において、ガイド光を注入する光注入部をさらに含み、ガイド光は、蛍光の光学経路上を硬化状態測定装置から紫外線硬化樹脂へ向けて伝播する。
【0013】
また好ましくは、紫外線硬化樹脂における第1の紫外線の照射領域は、紫外線硬化樹脂における受光部の受光視野と同一またはそれより小さく、硬化状態測定装置は、投光部から紫外線硬化樹脂までの第1の紫外線の光学経路上の所定位置において、ガイド光を注入する光注入部をさらに含み、ガイド光は、第1の紫外線の光学経路上を硬化状態測定装置から紫外線硬化樹脂へ向けて伝播する。
【0014】
さらに好ましくは、ガイド光は、第1の紫外線のビーム径と異なるビーム径を有する。
好ましくは、ガイド光は、同心円状のビームプロファイルを有する。
【0015】
好ましくは、ガイド光は、その光軸を中心として複数の線が放射状に配置されたビームプロファイルを有する。
【0016】
好ましくは、ガイド光光源は、外部からの照射指令に応答してガイド光の照射を開始し、投光部は、ガイド光光源からのガイド光の照射中に、第1の紫外線の発生を停止またはその強度を低減する。
【0017】
好ましくは、ガイド光の波長範囲は、第1の紫外線の波長範囲から所定波長以上離れている。
【0018】
好ましくは、紫外線硬化樹脂の硬化反応を促進するための第2の紫外線を照射する光源装置をさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、紫外線硬化樹脂の任意の範囲についての硬化状態を確実に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0021】
(紫外線照射システムの概略構成)
図1は、この発明の実施の形態に従う紫外線照射システム1の概略構成図である。
【0022】
図1を参照して、この発明の実施の形態に従う紫外線照射システム1は、紫外線硬化樹脂の硬化状態を測定する硬化状態測定装置100(または、100#)と、紫外線硬化樹脂の硬化反応を促進するための硬化用紫外線54を照射する光源装置200とを備える。そして、紫外線照射システム1は、一例として、基材6の上に被着体8を配置し、紫外線硬化樹脂12を用いて両者を接着するような製造ラインに配置される。なお、基材6と、被着体8と、紫外線硬化樹脂12とを一体として「ワーク」とも称す。紫外線硬化樹脂12は、モノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方からなる主剤と、光重合開始剤とを含み、紫外線を受けて硬化反応を生じる。
【0023】
本明細書では、この発明の実施の形態の第1実施例(以下、実施の形態1とも記す)に従う硬化状態測定装置100、および同第2実施例(以下、実施の形態2とも記す)に従う硬化状態測定装置100#についてそれぞれ説明する。
【0024】
光源装置200は、硬化用紫外線54を発生する照射ヘッド部204と、照射ヘッド部204を制御するための制御部202とからなる。
【0025】
照射ヘッド部204は、硬化用紫外線54を発生する紫外線光源を含み、紫外線光源は、代表的に紫外線LED(Light Emitting Diode)や紫外線ランプなどを含む。また、発生した硬化用紫外線54が紫外線硬化樹脂12に照射されるように、照射ヘッド部204は、たとえばワークの垂直上部に配置される。
【0026】
制御部202は、照射ヘッド部204と電気的に接続され、ユーザや外部装置などからの外部指令に応答して、照射ヘッド部204における硬化用紫外線54およびガイド光56の発生を制御する。具体的には、制御部202は、硬化用紫外線54の照射指令(図示しない)に応答して、硬化用紫外線54の発生を開始するとともに、硬化状態測定装置100(または100#)などからの硬化用紫外線54の照射終了指示に応答して、硬化用紫外線54の発生を停止する。
【0027】
また、硬化状態測定装置100(または100#)は硬化用紫外線54の照射状態に同期して動作するので、制御部202は硬化用紫外線54の照射状態信号、たとえば照射開始信号や照射終了信号を硬化状態測定装置100(または100#)へ送出する。
【0028】
一方、この発明の実施の形態1に従う硬化状態測定装置100は、蛍光測定ヘッド部104と、蛍光測定ヘッド部104を制御するための制御部102とを備える。この発明の実施の形態2に従う硬化状態測定装置100#は、蛍光測定ヘッド部104#と、蛍光測定ヘッド部104#を制御するための制御部102とを備える。
【0029】
蛍光測定ヘッド部104(または104#)は、制御部102から受けた制御指令に従って、紫外線硬化樹脂12を活性化させるための励起紫外線50を発生し、紫外線硬化樹脂12に向けて照射するとともに、励起紫外線50を受けて紫外線硬化樹脂12から放射される蛍光52を受光し、検出した蛍光量を示す信号を制御部102へ出力する。すなわち、蛍光測定ヘッド部104(または104#)は、励起紫外線50を発生する紫外線LEDなどの投光部を含む。さらに、蛍光測定ヘッド部104(または104#)は、紫外線硬化樹脂における硬化状態の測定対象範囲を表示するための可視領域の波長を含むガイド光58を発生するガイド光光源を含む。本実施の形態では、蛍光測定ヘッド部104(または104#)が発生するガイド光58が蛍光の光学経路と略同一の光学経路上を蛍光測定ヘッド部104(または104#)から紫外線硬化樹脂12へ向けて伝播する構成について例示する。そして、ガイド光58は、紫外線硬化樹脂12における硬化状態の測定対象範囲を確認および調整するための視覚的な表示として機能する。
【0030】
制御部102は、蛍光測定ヘッド部104(または104#)と電気的に接続され、光源装置200の照射状態に応じて蛍光測定ヘッド部104(または104#)における励起紫外線50およびガイド光58の発生を制御するとともに、蛍光測定ヘッド部104(または104#)から出力される蛍光量を示す信号に基づいて、紫外線硬化樹脂12の硬化状態を判断する。具体的には、制御部102は、制御部202から照射開始信号を受けると、励起紫外線50の発生を開始するとともに、光重合開始剤から放射される蛍光量の測定を開始する。さらに、制御部102は、制御部202から照射終了信号を受けると、励起紫外線50の発生を停止するとともに、光重合開始剤から放射される蛍光量の測定を停止する。
【0031】
特に、本実施の形態に従う制御部102は、ユーザなどからガイド光58の照射指令(図示しない)を受けると、ガイド光58の発生を開始するとともに、励起紫外線50の発生を停止またはその強度を低減する。これは、ガイド光58の照射中は、紫外線硬化樹脂12における硬化状態の測定対象範囲が所望の位置となるように、ユーザが蛍光測定ヘッド部104(または104#)の位置や方向を調整することが想定されるので、この調整作業におけるユーザの安全性を確保するために、励起紫外線50の照射を停止または励起紫外線50の強度を安全なレベルまで低減するものである。
【0032】
(紫外線硬化樹脂)
まず、本実施の形態に従う紫外線照射システム1において使用される紫外線硬化樹脂12について説明する。紫外線硬化樹脂12は、紫外線照射前においては主に液体である一方、紫外線照射後においては固体に変化(硬化)する。なお、本明細書において、「紫外線硬化樹脂」とは、その状態(紫外線照射前の液体状態、もしくは紫外線照射後における固体状態)にかかわらず総称的な意味で使用する。
【0033】
紫外線照射前(硬化前)における紫外線硬化樹脂は、モノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方と、光重合開始剤と、各種添加剤とを含む。モノマーおよびオリゴマーは主剤であり、紫外線を受けて光重合開始剤が発生するラジカルやカチオンにより重合反応(主鎖反応や架橋反応など)を生じる。そして、この重合反応に伴いモノマーおよびオリゴマーは、ポリマーに変化して分子量が極めて大きくなるとともに融点が低下する。この結果、紫外線硬化樹脂は液体から固体へ変化する。
【0034】
モノマーおよびオリゴマーは、一例として、ポリエステルアクリレートや、ウレタンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコンアクリレート、エポキシアクリレートなどからなる。モノマーは、単量体とも呼ばれ、重合反応によって重合体を合成する場合の原料となる状態である。一方、オリゴマーは、低重合体とも呼ばれ、重合度が2〜20程度の比較的重合度の低い状態である。
【0035】
光重合開始剤は、紫外線を受けてラジカルを発生するラジカル重合開始剤と、紫外線を受けてカチオンを発生するカチオン重合開始剤とに大別される。なお、ラジカル重合開始剤は、アクリル系のモノマーおよびオリゴマーに対して使用され、カチオン重合開始剤は、エポキシ系やビニールエーテル系のモノマーおよびオリゴマーに対して使用される。さらに、ラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤の混合物からなる光重合開始剤を用いてもよい。
【0036】
ラジカル重合開始剤は、ラジカルの発生過程に応じて、水素引抜型および分子内開裂型に大別される。水素引抜型は、一例として、ベンゾフェノンおよびオルソベンゾイル安息香酸メチルなどからなる。一方、分子内開裂型は、一例として、ベンゾインエーテルや、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、オキソベンゾイル安息香酸メチル(OBM)、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド(BMS)、イソプロピルチオキサントン(IPTX)、ジエチルチオキサントン(DETX)、エチル4−(ジエチルアミノ)ベンゾエート(DAB)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−オン、ベンジルジメチルケタール(BDK)、1,2αヒドロキシアルキルフェノンなどからなる。
【0037】
また、カチオン重合開始剤は、一例として、ジフェニルヨードニウム塩などからなる。
なお、本明細書において、「光重合開始剤」とは、光重合反応を開始させる能力が残存しているものに限らず、当初の光重合開始剤が光重合反応に寄与することによって変化したり光重合反応の対象となるモノマーやオリゴマーが周囲に存在しなかったりすることにより、もはや光重合反応の開始に寄与しない物質となったものをも含む意味で使用する。ここで、光重合開始反応に寄与した後の光重合開始剤は、多くの場合、ほぼ当初の分子の大きさを保持したまま、あるいは2つまたはそれ以上の数の分子に分裂した状態で、ポリマーの末端に結合している。
【0038】
上述したように、本願発明者らは、この紫外線硬化樹脂12に含まれる光重合開始剤自体が紫外線照射に応じて、紫外線硬化樹脂12の状態(たとえば、硬化度)と相関のある観測可能な蛍光を放射することを見出した。
【0039】
より詳細には、本願発明者らは、代表的な紫外線硬化樹脂(合計22種類)の各々に対して、波長365nmをもつ励起紫外線50を照射した場合に放射される光の波長について、スペクトルアナライザーを用いて調査した。この結果、いずれの紫外線硬化樹脂からも、励起紫外線50の波長より長い波長をもつ光(蛍光)が放射されていることを確認した。
【0040】
ここで、紫外線硬化樹脂に含まれる光重合開始剤は、以下のような性質を有する。
(1)重合反応を開始させるための活性種(ラジカルや酸など)を生成する能力(量子収率、モル吸光係数)が高い。
【0041】
(2)反応性の高い活性種を生成する。
(3)活性種の生成能力を発揮するための励起エネルギーのスペクトル域が紫外線領域である。
【0042】
すなわち、光重合開始剤は、紫外線を吸収しやすい分子構造のものが採用され、紫外線吸収したことによるエネルギー(電子)を他の分子に与えやすいものとなっている。
【0043】
一方、紫外線硬化樹脂の主剤であるモノマーおよびオリゴマーは、キャリア(電子)が分子内をスムーズに動きにくい構造をとるため、蛍光をほとんど発しないと考えられる。
【0044】
したがって、本願発明者らは、本質的に光重合開始材が紫外線を受けて蛍光を放射する性質を有する物質であると結論付けた。本実施の形態に従う紫外線照射システムは、この光重合開始材から放射される蛍光を測定し、測定結果から紫外線硬化樹脂12の状態(たとえば、硬化度)を判断するものである。
【0045】
(実施の形態1に従う硬化反応検知装置の構成)
図2は、この発明の実施の形態1に従う硬化状態測定装置100のより詳細な概略構成図である。
【0046】
図2を参照して、制御部102は、CPU(Central Processing Unit)40と、表示部42と、操作部44と、記憶部46と、インターフェイス部(I/F)48とからなる。
【0047】
CPU40は、硬化状態測定装置100の全体処理を司る制御装置であって、記憶部46に格納されるプログラムを読込んで実行することで、以下に示す処理を実現する。具体的には、CPU40は、インターフェイス部48を介して制御部202(図1)から与えられる照射状態信号(照射開始信号や照射終了信号)に応答して、蛍光測定ヘッド部104へ制御指令を与える。そして、蛍光測定ヘッド部104から与えられる蛍光量を示す信号に基づいて、光重合開始剤から放射される蛍光量を測定する。このように測定された蛍光量の時間的挙動に基づいて、CPU40は、紫外線硬化樹脂12の硬化反応状態を判断する。そして、当該硬化反応が完了したと判断されると、CPU40は、制御部202(図1)に照射終了指示を与えて硬化用紫外線54(図1)の照射を停止する。さらに、CPU40は、測定された蛍光量の時間的挙動を記憶部46に格納するとともに、紫外線硬化樹脂12の硬化反応状態を表示部42上に表示したり、インターフェイス部48を介して外部出力したりする。
【0048】
また、CPU40は、操作部44を介して与えられるユーザなどからのガイド光照射指令に応答して、ガイド光58の発生を開始するとともに、励起紫外線50の発生を停止またはその強度を低減するための制御指令を蛍光測定ヘッド部104へ与える。
【0049】
表示部42は、ユーザに対して硬化反応に係る情報を表示するための表示装置であり、一例として、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode-Ray Tube)などのディスプレイを含んで構成される。
【0050】
操作部44は、ユーザからの操作指令を受付ける指令入力装置であり、一例として、スイッチ、タッチパネルもしくはマウスなどから構成され、ユーザ操作に応じた操作指令をCPU40へ出力する。
【0051】
記憶部46は、CPU40で実行されるプログラムや過去の時間的挙動を不揮発的に格納可能な装置であり、一例として、ハードディスクやフラッシュメモリなどで構成される。
【0052】
インターフェイス部48は、外部装置とCPU40との間の通信を仲介するための装置であり、一例として、デジタルアナログ変換部(DAC)、USB(Universal Serial Bus)もしくはイーサネット(登録商標)などで構成される。
【0053】
一方、蛍光測定ヘッド部104は、投光駆動回路20と、投光素子22と、ダイクロイックミラー66と、光フィルタ26と、ハーフミラー24と、ガイド光光源38と、受光素子28と、ハイパスフィルタ回路(HPF:High Pass Filter)30と、増幅回路32と、サンプルホールド回路(S/H:Sample and Hold)34と、アナログデジタル変換部(ADC)36とからなる。
【0054】
投光駆動回路20は、CPU40からの制御指令に応じて、投光素子22で励起紫外線50を発生させるための駆動電力を供給する。励起紫外線50は、光重合開始剤から放射される蛍光量をより正確に測定できるように、その強度が周期的に変化することが望ましい。そこで、投光駆動回路20は、CPU40から照射を指示する制御指令が与えられる期間において、所定周期で変化する駆動電力を投光素子22へ供給する。
【0055】
図3は、この発明の実施の形態1に従う蛍光測定ヘッド部104とワークとの間の光学的な配置図である。
【0056】
図2および図3を参照して、蛍光測定ヘッド部104は、コリメートレンズ60,64と、集束レンズ62,68とをさらに備える。投光素子22と、コリメートレンズ60と、ダイクロイックミラー66と、集束レンズ68と、対象となる紫外線硬化樹脂12とは、いずれも共通の光軸Ax1上に配置される。また、光軸Ax1に対して直交方向に向かう光軸Ax2上に、ダイクロイックミラー66と、光フィルタ26と、ハーフミラー24と、集束レンズ62と、受光素子28とが配置される。さらに、光軸Ax2に対して直交方向に向かう光軸Ax3上に、ガイド光光源38と、コリメートレンズ64と、ハーフミラー24とが配置される。
【0057】
実施の形態1では、紫外線硬化樹脂12における受光素子28の受光視野が紫外線硬化樹脂12における励起紫外線50の照射領域と同一またはそれより小さい場合について例示する。紫外線硬化樹脂における硬化状態の測定対象範囲は、励起紫外線50の照射領域と受光素子28の受光視野との重複部分となるので、この場合には、硬化状態の測定対象範囲は受光素子28の受光視野と実質的に同一となる。そのため、硬化状態の測定対象範囲を表示することは、受光素子28の受光視野を表示することを意味する。
【0058】
投光駆動回路20から供給される駆動電力を受けて投光素子22が発生する励起紫外線50は、コリメートレンズ60、ダイクロイックミラー66、および集束レンズ68の順に通過して所定の照射位置に集束する。この励起紫外線50を受けて、紫外線硬化樹脂12では、その硬化状態に応じた蛍光52が発生する。発生した蛍光52は、励起紫外線50の照射経路と略同一の経路を逆方向に伝播してダイクロイックミラー66に入射する。そして、ダイクロイックミラー66が蛍光52の伝搬方向を光軸Ax2に沿った紙面下方向に変化させるため、蛍光52は光フィルタ26、ハーフミラー24および集束レンズ62を通過して受光素子28へ入射する。このように、ダイクロイックミラー66が紫外線硬化樹脂12から受けた蛍光52の伝播方向を変化させることで、同一直線上を伝播する励起紫外線50と蛍光52とを分離することができ、微弱な強度を有する蛍光52を受光素子28によって確実に検出できる。
【0059】
一方、ガイド光光源38が発生するガイド光58は、光軸Ax3に沿って、コリメートレンズ64を通過してハーフミラー24に入射する。そして、ハーフミラー24がガイド光58の伝搬方向を光軸Ax2に沿った紙面上方向に変化させるため、ガイド光58は蛍光52と同一の光学経路上を逆方向に伝搬して紫外線硬化樹脂12へ照射される。すなわち、ハーフミラー24は、紫外線硬化樹脂12から受光素子28までの光学経路上の所定位置に介挿され、ガイド光光源38が発生するガイド光58を注入する光注入部として機能する。
【0060】
このガイド光58は、受光素子28の受光視野と略一致するようにそのビーム断面の大きさが定められており、紫外線硬化樹脂12に照射されることで受光素子28の受光視野を表示する。そして、ユーザは、このガイド光56の投射像を参照して、所望範囲の硬化状態が測定できるように蛍光測定ヘッド部104の位置などを調整する。
【0061】
投光素子22は、励起紫外線50を発生する紫外線光源であって、代表的に紫外線LEDからなる。なお、投光素子22で発生する励起紫外線50の主発光ピークは365nmが好ましい。
【0062】
コリメートレンズ60は、投光素子22が発生する励起紫外線50を平行光線に変換するための光学系であり、コリメートレンズ64を通過後の励起紫外線50は、平行光線となってダイクロイックミラー66に入射する。
【0063】
ダイクロイックミラー66は、ビームスプリッタの一種であり、入射する光の波長に依存する反射・透過特性を有する光フィルタである。具体的には、ダイクロイックミラー66は、励起紫外線50の波長帯域(紫外領域)において相対的に高い透過率をもち、かつ蛍光52およびガイド光58の波長帯域(可視領域)において相対的に高い反射率をもつように光学設計される。このような光学設計により、ダイクロイックミラー66を透過する励起紫外線50、ならびにダイクロイックミラー66で反射される蛍光52およびガイド光58のいずれについても損失を低減することができる。
【0064】
光フィルタ26は、投光素子22から放射される励起紫外線50が直接的に受光素子28へ入射することを抑制するために配置されたものであり、紫外領域の光を減衰させる一方で可視領域の光を透過するように構成される。一例として、光フィルタ26は、波長が410nm以上の光を透過する誘電体多層膜のフィルタからなる。
【0065】
ハーフミラー24は、ビームスプリッタの一種であり、光の入射方向によって反射率および透過率を異ならしめる反射部材である。すなわち、ハーフミラー24は、ガイド光光源38からのガイド光を反射してその伝播方向を紙面上方向に変化させるとともに、紙面下方向に伝播する蛍光52を透過して受光素子28へ導く。なお、ハーフミラー24の反射・透過特性は、ダイクロイックミラー66のそれとは異なり周波数依存性をもたなくてもよい。
【0066】
コリメートレンズ64は、ガイド光光源38が発生するガイド光58を平行光線に変換するための光学系である。同時に、コリメートレンズ64は、紫外線硬化樹脂12に向けて照射されるガイド光58のビームプロファイル(ビーム断面における強度特性)の調整機構としても機能する。すなわち、ガイド光58は、ユーザが紫外線硬化樹脂12における硬化状態の測定対象範囲を容易に確認できるように、そのビームプロファイルを所定の特性に調整することが好ましい。
【0067】
集束レンズ62は、紫外線硬化樹脂12で生成された蛍光52を受光素子28に集束するための光学系である。
【0068】
受光素子28は、一例としてフォトダイオードからなり、光フィルタ26、ハーフミラー24および集束レンズ62を通過して入射する蛍光の強度に応じた電気信号を発生する。
【0069】
集束レンズ68は、励起紫外線50およびガイド光58を所定の照射位置に集束する光学系である。同時に、集束レンズ68は、紫外線硬化樹脂12で生成された蛍光52を平行光線に変換するコリメートレンズとしても機能する。すなわち、集束レンズ68には波長帯域の互いに異なる励起紫外線50、蛍光52およびガイド光58が通過するので、集束レンズ68は色収差の小さいことが望ましい。
【0070】
(蛍光量の測定方法)
次に、図2を参照して、紫外線硬化樹脂12から放射される蛍光量の測定方法とともに、ハイパスフィルタ回路(HPF)30、増幅回路32、サンプルホールド回路(S/H)34、およびアナログデジタル変換部(ADC)36について説明する。
【0071】
本実施の形態に従う紫外線照射システム1では、図1に示すように、紫外線硬化樹脂12に対して光源装置200から硬化用紫外線54が放射される。そのため、紫外線硬化樹脂12に含まれる光重合開始剤で発生する蛍光は、励起紫外線50を受けて生じる蛍光と、硬化用紫外線54を受けて生じる蛍光とが含まれると考えられる。そこで、本実施の形態では、それぞれの紫外線を周波数領域上で分離する。すなわち、主として直流(DC)成分の強度を有する硬化用紫外線54と、その強度に交流成分(一例として、パルス状変化)を含む励起紫外線50とを照射し、この照射によって測定される蛍光量を示す信号のうち、励起紫外線50の強度変化周期に対応する周期成分を抽出して、励起紫外線50によって生じた蛍光量として測定する。
【0072】
ハイパスフィルタ回路30は、受光素子28で検出される蛍光量のうち、周期成分(励起紫外線50に起因する成分)を抽出するためのフィルタであり、励起紫外線50の強度変化周期に対応する周期成分より高周波の成分を通過させる。
【0073】
増幅回路32は、HPF30からの出力信号を所定の増幅率(電流電圧変換率)で増幅してサンプルホールド回路34へ出力する。そして、サンプルホールド回路34は、投光素子22から照射される励起紫外線50のパルス周期に同期してHPF30からの出力信号をサンプリングし、サンプリングした信号値を次回のサンプリング時まで保持する。これにより、各パルスの最大振幅値に応じた値がサンプルホールド回路34から出力される。このサンプルホールド回路34から出力される信号(アナログの電圧信号)はアナログデジタル変換部36(図2)によってデジタル値に変換されて、蛍光量の測定値としてCPU40へ出力される。
【0074】
上述した図2および図3と本願発明との対応関係については、硬化状態測定装置100が「硬化状態測定装置」に相当し、投光素子22が「投光部」に相当し、受光素子28が「受光部」に相当し、ガイド光光源38が「ガイド光光源」に相当し、ハーフミラー24が「光注入部」に相当し、制御部102が「判断部」に相当し、励起紫外線50が「第1の紫外線」に相当する。
【0075】
(実施の形態2に従う硬化反応検知装置の構成)
次に、実施の形態2では、紫外線硬化樹脂12における励起紫外線50の照射領域が紫外線硬化樹脂12における受光素子28の受光視野と同一またはそれより小さい場合について例示する。紫外線硬化樹脂における硬化状態の測定対象範囲は、励起紫外線50の照射領域と受光素子28の受光視野との重複部分となるので、この場合には、硬化状態の測定対象範囲は励起紫外線50の照射領域と実質的に同一となる。そのため、硬化状態の測定対象範囲を表示することは、励起紫外線50の照射領域を表示することを意味する。
【0076】
図4は、この発明の実施の形態2に従う硬化状態測定装置100#のより詳細な概略構成図である。
【0077】
図5は、この発明の実施の形態2に従う蛍光測定ヘッド部104#とワークとの間の光学的な配置図である。
【0078】
図4および図5を参照して、実施の形態2では、ガイド光58が紫外線硬化樹脂12における励起紫外線50の照射領域を表示するように照射されるので、ガイド光58は、投光素子22から紫外線硬化樹脂12までの励起紫外線50の光学経路上の所定位置に注入される。そして、ガイド光58は、励起紫外線50とともに紫外線硬化樹脂12へ照射される。
【0079】
実施の形態2に従う蛍光測定ヘッド部104#は、実施の形態1に従う蛍光測定ヘッド部104(図2,図3)において、ガイド光光源38、ダイクロイックミラー66およびハーフミラー24の位置を変更したものであり、各構成部位の機能および動作は実質的に同一である。具体的には、光軸Ax1上には、投光素子22と、コリメートレンズ60と、ダイクロイックミラー66と、ハーフミラー24と、集束レンズ68とが一連に配置される。また、光軸Ax1に直交方向に向かう光軸Ax2上には、ハーフミラー24と、光フィルタ26と、集束レンズ62と、受光素子28とが一連に配置される。さらに、光軸Ax1に直交方向に向かう光軸Ax3上には、ダイクロイックミラー66と、コリメートレンズ64と、ガイド光光源38とが一連に配置される。
【0080】
特に、実施の形態2では、ガイド光光源38が発生するガイド光58は、コリメートレンズ64を通過してダイクロイックミラー66に入射する。そして、ダイクロイックミラー66がガイド光58の伝搬方向を光軸Ax1に沿った紙面左方向に変化させるため、ガイド光58は励起紫外線50と同一の光学経路上を伝搬して紫外線硬化樹脂12へ照射される。すなわち、ダイクロイックミラー66は、投光素子22から紫外線硬化樹脂12までの励起紫外線50の光学経路上の所定位置に介挿され、ガイド光光源38が発生するガイド光58を注入する光注入部として機能する。蛍光測定ヘッド部104#のその他の構成については、上述の実施の形態1に従う蛍光測定ヘッド部104と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0081】
また、実施の形態2に従う硬化状態測定装置100#を構成する制御部102については、上述したので、詳細な説明は繰返さない。
【0082】
上述した図4および図5と本願発明との対応関係については、硬化状態測定装置100が「硬化状態測定装置」に相当し、投光素子22が「投光部」に相当し、受光素子28が「受光部」に相当し、ガイド光光源38が「ガイド光光源」に相当し、ダイクロイックミラー66が「光注入部」に相当し、制御部102が「判断部」に相当し、励起紫外線50が「第1の紫外線」に相当する。
【0083】
(ガイド光のビームプロファイル)
ガイド光58のビームプロファイルは、紫外線硬化樹脂12における受光素子28の受光視野または励起紫外線50と実質的に同一、すなわちガイド光のビーム径と受光素子28の受光視野または励起紫外線50のビーム径とが互いに同一であるように構成してもよいが、より視認性を高めるために他のビームプロファイルを採用してもよい。
【0084】
図6は、この発明の実施の形態に従うガイド光58のビームプロファイルの一例を示す図である。なお、後述するように、本実施の形態に従う硬化状態測定装置100(または100#)は、ガイド光58の照射を開始すると、励起紫外線50の照射を停止またはその強度を低減するため、ガイド光と(強度の高い)紫外線とが同時に照射されることはないが、図6では説明の便宜上、両者のビームプロファイルを同一図面に示す。
【0085】
図6(a)〜図6(d)は、それぞれガイド光のビームプロファイルの第1例〜第4例を示す。
【0086】
図6(a)は、硬化状態の測定対象範囲300の外径に比較して、ガイド光58による投射像302の外径がより大きな場合を示す。なお、測定対象範囲300は、紫外線硬化樹脂12における、励起紫外線50の照射領域と受光素子28の受光視野との重複部分に相当し、受光素子28の受光視野が励起紫外線50の照射領域と同一またはそれより小さい場合には、測定対象範囲300は受光素子28の受光視野に相当し、その反対の場合には、測定対象範囲300は励起紫外線50の照射領域に相当する。
【0087】
また、測定対象範囲300が励起紫外線50の照射領域に相当する場合(実施の形態2の場合)には、図6(a)に示すガイド光のビーム径は、励起紫外線50のビーム径より大きくなる。
【0088】
このようなビームプロファイルをもつガイド光58を採用することで、ユーザは、ガイド光58が照射されるスポットを視認した上で、その内側の領域が硬化状態の測定対象範囲300であることを確認できる。このようなガイド光58は、硬化状態の測定対象範囲300が相対的に小さい場合などに有効である。
【0089】
これに対して、図6(b)は、硬化状態の測定対象範囲300の外径に比較して、ガイド光58による投射像302の外径がより小さい場合を示す。このようなビームプロファイルをもつガイド光58を採用することで、ユーザは、ガイド光が照射されるスポットを視認した上で、その外側を含む領域が硬化状態の測定対象範囲300であることを確認できる。
【0090】
図6(c)は、ガイド光58が同心円状のビームプロファイルを有する場合を示す。特に、同心円状の内径と測定対象範囲300の外径とを略一致させることがより好ましい。このようなビームプロファイルをもつガイド光58を採用することで、ユーザは、ガイド光が照射されるスポットを視認した上で、その内側の領域に紫外線が照射されることを確認できる。このようなガイド光58は、硬化状態の測定対象範囲300が相対的に小さい場合などに有効である。
【0091】
なお、図6(a)〜図6(c)に示すガイド光のビームプロファイルは、ガイド光光源38が発生したガイド光58が通過するコリメートレンズ64(図3,図5)の光学特性(屈折率や焦点距離)などを適宜選択することで実現できる。
【0092】
一方、図6(d)は、その光軸を中心として複数の線が放射状に配置されたビームプロファイルを有する場合を示し、特に2本の線が直交した「十字形状」のビームプロファイルを示す。なお、3本以上の線がガイド光の光軸で交差するような形状であってもよい。このようなビームプロファイルをもつガイド光を採用することで、ユーザは、ガイド光の光軸、すなわち硬化状態の測定対象範囲300の照射中心位置を確認できる。このようなガイド光は、紫外線硬化樹脂12の微小な照射領域に比較して紫外線を照射する必要がある場合などに有効である。
【0093】
図7は、図6(d)に示すビームプロファイルをもつガイド光58を発生する構成を示す概略図である。なお、図7は、実施の形態2における光学的な配置(図5)に適用した場合の構成を例示する。
【0094】
図7を参照して、コリメートレンズ64とダイクロイックミラー66との間の光学経路上にマスク部84を設けることで、任意のビームプロファイルをもつガイド光58を生成できる。すなわち、マスク部84に所望のビームプロファイルに相当するスリットを形成することで、スリット以外の領域に入射するガイド光は遮断され、スリットに相当するビームプロファイルをもつガイド光58が生成される。
【0095】
以上のように、ガイド光58のビームプロファイルを励起紫外線50のビームプロファイルと異なるようにしてもよい。
【0096】
(ガイド光の波長)
ガイド光は、ユーザが硬化状態の測定対象範囲を確認および調整するための表示として機能するために、可視領域の波長を含む必要がある。したがって、原則的にガイド光の波長は可視領域にあれば任意に選択可能であるが、ユーザが装着する保護メガネの特性や、紫外線硬化樹脂12に含まれる光重合開始剤の反応特性などを考慮して適切な波長を選択することが好ましい。
【0097】
通常、紫外線照射装置を操作するユーザは、紫外線から目を保護するために保護メガネを装着する。このような保護メガネは、紫外線に相当する波長帯域の光を遮断する一種の光フィルタである。
【0098】
図8は、保護メガネを装着した状態での視認可能特性の一例を示す図である。
図8を参照して、多くの保護メガネの波長遮断特性は比較的緩やかである。そのため、保護メガネが遮断する波長には紫外領域に加えて可視領域の一部が含まれる。したがって、このような保護メガネを装着したユーザは、可視領域の紫外線領域側、すなわち紫色や青色を視認し難いことが考えられる。
【0099】
そこで、本実施の形態に従うガイド光としては、硬化用紫外線54や励起紫外線50の波長範囲(紫外線波長)から所定の波長以上だけ長波長側に離れた波長範囲に含まれる波長(色)が用いられる。具体的には、約450nm〜700nmの波長範囲に含まれる色、たとえば「緑色」、「黄色」、「赤色」などが好ましい。
【0100】
また、紫外線硬化樹脂12に含まれる光重合開始剤の種類によっては、可視領域の短波長側、たとえば約400nm付近の波長の可視光によって蛍光を放射するものもある。このような蛍光は蛍光量測定の誤差要因となるので、可能な限り発生を抑制する必要がある。そのため、この観点からも、ガイド光58の波長範囲は、励起紫外線50の波長範囲(紫外線波長)から所定の波長以上だけ長波長側に離れていることが好ましい。
【0101】
(制御構造)
本実施の形態に従う制御部102は、ユーザなどからガイド光58の照射指令を受けると、ガイド光58の発生を開始させるとともに、ユーザの安全性を確保するために、励起紫外線50の発生を停止またはその強度を低減する。この制御動作を実現するための制御構造について、図9を参照して説明する。
【0102】
図9は、この発明の実施の形態に従う制御部102における制御構造を示す図である。
図9を参照して、制御部102のCPU40は、インターフェイス部48を介して与えられる紫外線照射指令に応答して投光駆動回路20に制御指令を与える紫外線制御部92と、操作部44を介して与えられるガイド光照射指令に応答してガイド光光源38に制御指令を与えるガイド光制御部94とを機能として含む。さらに、制御部102のCPU40は、紫外線制御部92の出力側に配置された指令遮断部96を機能として含み、指令遮断部96はガイド光制御部94から出力される制御指令に応答して、信号伝達を遮断する。すなわち、ガイド光制御部94がガイド光光源38に制御指令を与えると、紫外線制御部92から投光駆動回路20への制御指令が強制的に遮断される。このような制御構造によって、ガイド光58の発生の開始に同期して励起紫外線50の発生を停止できる。
【0103】
また、ガイド光58の発生開始に伴って励起紫外線50の強度を低減する場合には、指令遮断部96に代えて、紫外線制御部92からの制御指令のレベルを低減する指令低減部などを設ければよい。
【0104】
図10は、この発明の実施の形態に従うガイド光58および励起紫外線50の発生状態を示すタイムチャートである。図10(a)は、ガイド光強度の時間的変化を示し、図10(b)および図10(c)は、紫外線強度の時間的変化を示す。
【0105】
図10(b)または図10(c)に示すように、励起紫外線50の照射中に、ユーザがガイド光の照射指令を制御部102に与えると(ガイド光ON)、制御部102は、図10(a)に示すようにガイド光58の照射を開始するとともに、図10(b)に示すように励起紫外線50の照射を停止する。もしくは、制御部102は、図10(c)に示すように励起紫外線50(または、硬化用紫外線54)の照射強度を低減する。
【0106】
その後、ユーザが制御部102に与えていたガイド光の照射指令を停止すると(ガイド光OFF)、制御部102は、図10(a)に示すようにガイド光58の照射を停止するとともに、図10(b)に示すように励起紫外線50の照射を再開する。もしくは、制御部102は、図10(c)に示すように励起紫外線50の照射強度を元のレベルまで増加する。
【0107】
(モード選択機能)
上述のようなガイド光の照射指令に応答してガイド光58および励起紫外線50が選択的に照射される形態に加えて、ガイド光58および励起紫外線50のいずれか一方のみが照射されるように予めユーザが選択する形態が用意されていれば、よりユーザフレンドリであり、かつより安全である。そこで、本実施の形態では、励起紫外線50の発生のみを許容する第1のモードと、ガイド光58の発生のみを許容する第2のモードとを選択可能に構成される。
【0108】
再度、図9を参照して、紫外線制御部92およびガイド光制御部94は、それぞれ第1および第2のモードの選択状態を示す信号を受付け、この各モードの選択状態を示す信号が与えられている場合に限って、対応の制御指令を出力可能にする。この第1および第2のモードの選択状態を示す信号は、ユーザや外部装置などからインターフェイス部48を介して制御部102へ与えられ、もしくはユーザが操作部44を操作することで制御部102へ与えられてもよい。さらに、蛍光測定ヘッド部104(または、#104)の一端面にモード選択スイッチを設けてもよい。
【0109】
図11は、モード選択機能によるガイド光および紫外線の照射切替えを示す概念図である。図11(a)は、第1のモード(励起紫外線50の照射を許容)が選択された場合を示し、図11(b)は、第2のモード(ガイド光58の照射を許容)が選択された場合を示す。
【0110】
図11(a)および図11(b)には、蛍光測定ヘッド部104(または、104#)の一端面にモード選択スイッチ99が設けられた構成を示す。図11(a)に示すように、モード選択スイッチ99によって第1のモードが選択されると、励起紫外線50(または、硬化用紫外線54)のみの照射が許容され、図11(b)に示すように、モード選択スイッチ99によって第2のモードが選択されると、ガイド光58(または、ガイド光56)のみの照射が許容される。
【0111】
このように、蛍光測定ヘッド部104(または、#104)の一端面にモード選択スイッチ99を設けることで、ユーザによるモード切替え操作が容易化できる。
【0112】
(光源装置の構成)
次に、紫外線硬化樹脂12の硬化反応を促進するための硬化用紫外線54を照射する光源装置200について説明する。特に、本実施の形態に従う光源装置200は、硬化用紫外線54とともに、硬化用紫外線54の照射範囲を表示するための可視領域の波長を含むガイド光56を紫外線硬化樹脂12に照射する。すなわち、ガイド光56は、ユーザが硬化用紫外線54の照射位置を確認および調整するための視覚的な表示として機能する。なお、ガイド光56の照射機能は本願発明において必須の構成ではない。
【0113】
図12は、この発明の実施の形態に従う光源装置200のより詳細な概略構成図である。
【0114】
図12を参照して、制御部202は、CPU84と、操作部90と、記憶部88と、インターフェイス部(I/F)86とからなる。
【0115】
CPU84は、光源装置200の全体処理を司る制御装置であって、記憶部88に格納されるプログラムを読込んで実行することで、以下に示す処理を実現する。具体的には、CPU84は、ユーザや外部装置などからの硬化用紫外線54の照射指令(図示しない)に応答して、硬化用紫外線54の発生を開始するための制御指令を照射ヘッド部204へ与える。また、CPU84は、照射ヘッド部204における照射状態を示す照射状態信号(たとえば、照射開始信号や照射終了信号)をインターフェイス部86から硬化状態測定装置100の制御部102(図2)へ送出する。さらに、CPU84は、インターフェイス部86を介して硬化状態測定装置100の制御部102(図1)から与えられる照射終了指示に応答して、硬化用紫外線54の発生を停止するための制御指令を照射ヘッド部204へ与える。
【0116】
また、CPU84は、インターフェイス部86を介して与えられるユーザなどからのガイド光照射指令に応答して、ガイド光56の発生を開始するとともに、硬化用紫外線54の発生を停止またはその強度を低減するための制御指令を照射ヘッド部204へ与える。
【0117】
操作部90は、ユーザからの操作指令を受付ける指令入力装置であり、一例として、スイッチ、タッチパネルもしくはマウスなどから構成され、ユーザ操作に応じた操作指令をCPU84へ出力する。
【0118】
記憶部88は、CPU84で実行されるプログラムなどを不揮発的に格納可能な装置であり、一例として、ハードディスクやフラッシュメモリなどで構成される。
【0119】
インターフェイス部86は、外部装置とCPU84との間の通信を仲介するための装置であり、一例として、デジタルアナログ変換部(DAC)、USB(Universal Serial Bus)もしくはイーサネット(登録商標)などで構成される。
【0120】
一方、照射ヘッド部204は、投光駆動回路80と、投光素子82と、ガイド光光源72、ダイクロイックミラー78とからなる。
【0121】
投光駆動回路80は、CPU84からの制御指令に応じて、投光素子82で硬化用紫外線54を発生させるための駆動電力を供給する。
【0122】
図13は、この発明の実施の形態に従う照射ヘッド部204とワークとの間の光学的な配置図である。
【0123】
図12および図13を参照して、照射ヘッド部204は、コリメートレンズ74,76と、集束レンズ98とをさらに備える。投光素子82と、コリメートレンズ74と、ダイクロイックミラー78と、集束レンズ98と、対象となる紫外線硬化樹脂12とは、いずれも共通の光軸Ax4上に配置される。また、光軸Ax4に対して直交方向に向かう光軸Ax5上に、ダイクロイックミラー78と、コリメートレンズ76と、ガイド光光源72とが配置される。
【0124】
投光駆動回路80から供給される駆動電力を受けて投光素子82が発生する硬化用紫外線54は、コリメートレンズ74、ダイクロイックミラー78および集束レンズ98の順に通過して所定の照射位置に集束する。紫外線硬化樹脂12は、この照射位置に一致するように配置する必要があり、ユーザがガイド光56の照射像を参照して照射ヘッド部204の位置などを調整する。
【0125】
一方、ガイド光光源72が発生するガイド光56は、コリメートレンズ76を通過してダイクロイックミラー78に入射する。そして、ダイクロイックミラー78がガイド光56の伝搬方向を光軸Ax4に沿った紙面左方向に変化させるため、ガイド光56は硬化用紫外線54と同一の光学経路上を伝搬して紫外線硬化樹脂12へ照射される。すなわち、ダイクロイックミラー78は、紫外線光源である投光素子82から硬化用紫外線54の照射位置までの光学経路上の所定位置に介挿され、ガイド光光源72が発生するガイド光56を注入する光注入部として機能する。
【0126】
投光素子82は、硬化用紫外線54を発生する紫外線光源であって、代表的に紫外線LEDからなる。なお、投光素子82で発生する硬化用紫外線54の主発光ピークは、上述した励起紫外線50と同様に365nmが好ましい。
【0127】
コリメートレンズ74は、投光素子82が発生する硬化用紫外線54を平行光線に変換するための光学系であり、コリメートレンズ74を通過後の硬化用紫外線54は、平行光線となってダイクロイックミラー78に入射する。
【0128】
ダイクロイックミラー78は、ビームスプリッタの一種であり、入射する光の波長に依存する反射・透過特性を有する光フィルタである。具体的には、ダイクロイックミラー78は、硬化用紫外線54の波長帯域(紫外領域)において相対的に高い透過率をもち、かつガイド光56の波長帯域(可視領域)において相対的に高い反射率をもつように光学設計される。このような光学設計により、ダイクロイックミラー78を透過する硬化用紫外線54およびダイクロイックミラー78で反射されるガイド光56のいずれについても損失を低減しつつ、紫外線硬化樹脂12に向けて照射できる。
【0129】
コリメートレンズ76は、ガイド光光源72が発生するガイド光56を平行光線に変換するための光学系である。同時に、コリメートレンズ76は、紫外線硬化樹脂12に向けて照射されるガイド光56のビームプロファイルの調整機構としても機能する。すなわち、後述するように、ガイド光56は、ユーザが硬化用紫外線54の照射位置を確実に確認できるように、そのビームプロファイルを所定の特性に調整することが好ましい。
【0130】
集束レンズ98は、硬化用紫外線54およびガイド光56を所定の照射位置に集束する光学系である。なお、集束レンズ98には波長帯域の互いに異なる硬化用紫外線54およびガイド光56が通過するので、集束レンズ98は色収差の小さいことが小さいことが望ましい。
【0131】
上述した図12および図13と本願発明との対応関係については、光源装置200が「光源装置」に相当する。
【0132】
本実施の形態に従う光源装置200においても、上述した硬化状態測定装置100(または、100#)と同様に、硬化用紫外線54のビーム径と同一のビーム径を有するガイド光56を採用してもよいし、図6に示すような硬化用紫外線54のビーム径と異なるビーム径を有するガイド光56を採用してもよい。
【0133】
また、ガイド光56の波長についても、上述したガイド光58と同様に、硬化用紫外線54や励起紫外線50の波長範囲(紫外線波長)から所定の波長以上だけ長波長側に離れた波長範囲に含まれる波長(色)が用いられる。
【0134】
さらに、本実施の形態に従う光源装置200においても、この調整作業におけるユーザの安全性を確保するために、ユーザなどからガイド光56の照射指令(図示しない)を受けると、ガイド光56の発生を開始するとともに、硬化用紫外線54の発生を停止またはその強度を低減する。
【0135】
なお、これらの各機能については、硬化状態測定装置100(または、100#)に関する記載において説明したので、詳細な説明は繰返さない。
【0136】
この発明の実施の形態によれば、対象の紫外線硬化樹脂12における硬化状態の測定対象範囲を一見して把握できるので、ユーザは紫外線硬化樹脂12の任意の範囲についての硬化状態を確実に測定することができる。すなわち、硬化状態の測定対象範囲は、受光素子28の受光視野と励起紫外線50の照射領域との重複部分となるが、励起紫外線50は不可視光であり、かつ受光素子は何らの光も照射しないので、硬化状態の測定対象範囲を目視で確認することはできない。そこで、受光素子28の受光視野または励起紫外線50の照射領域を表示するガイド光58を紫外線硬化樹脂12へ照射し、この可視領域の波長を含むガイド光58の投射像によって硬化状態の測定対象範囲が表示される。したがって、ユーザは、ガイド光58の投射像から測定対象範囲を把握できる。
【0137】
そして、ユーザは、このガイド光58による表示を参照しながら、対象となる紫外線硬化樹脂12の所望の範囲が測定対象範囲となるように調整することで、紫外線硬化樹脂12の任意の範囲についての硬化状態を確実に測定することができる。
【0138】
また、この発明の実施の形態によれば、ガイド光の照射中には、励起紫外線50および硬化用紫外線54の照射が停止、またはその強度が低減されるので、有害なレベルの紫外線が人体に照射されることを回避できる。したがって、紫外線を所望の位置に適切に照射できるとともに、照射位置の調整に際して安全な状態を維持できる。
【0139】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】この発明の実施の形態に従う紫外線照射システムの概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に従う硬化状態測定装置のより詳細な概略構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に従う蛍光測定ヘッド部とワークとの間の光学的な配置図である。
【図4】この発明の実施の形態2に従う硬化状態測定装置のより詳細な概略構成図である。
【図5】この発明の実施の形態2に従う蛍光測定ヘッド部とワークとの間の光学的な配置図である。
【図6】この発明の実施の形態に従うガイド光のビームプロファイルの一例を示す図である。
【図7】図6(d)に示すビームプロファイルをもつガイド光を発生する構成を示す概略図である。
【図8】保護メガネを装着した状態での視認可能特性の一例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態に従う制御部における制御構造を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態に従うガイド光および励起紫外線の発生状態を示すタイムチャートである。
【図11】モード選択機能によるガイド光および紫外線の照射切替えを示す概念図である。
【図12】この発明の実施の形態に従う光源装置のより詳細な概略構成図である。
【図13】この発明の実施の形態に従う照射ヘッド部とワークとの間の光学的な配置図である。
【符号の説明】
【0141】
1 紫外線照射システム、6 基材、8 被着体、12 紫外線硬化樹脂、20,80 投光駆動回路、22,82 投光素子、24 ハーフミラー、26 光フィルタ、28 受光素子、30 ハイパスフィルタ回路(HPF)、32 増幅回路、34 サンプルホールド回路(S/H)、36 アナログデジタル変換部(ADC)、38,72 ガイド光光源、42 表示部、44,90 操作部、46,88 記憶部、48,86 インターフェイス部(I/F)、50 励起紫外線、52 蛍光、54 硬化用紫外線、56,58 ガイド光、60,64 コリメートレンズ、62,68,98 集束レンズ、66,78 ダイクロイックミラー、74,76 コリメートレンズ、84 マスク部、92 紫外線制御部、94 ガイド光制御部、96 指令遮断部、99 モード選択スイッチ、100,100# 硬化状態測定装置、102,202 制御部、104,104# 蛍光測定ヘッド部、200 光源装置、204 照射ヘッド部、300 測定対象範囲、302 投射像、Ax1〜Ax5 光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方からなる主剤と光重合開始剤とを含む紫外線硬化樹脂を硬化させるための紫外線照射システムであって、
前記紫外線硬化樹脂の硬化状態を測定する硬化状態測定装置を備え、
前記硬化状態測定装置は、
前記紫外線硬化樹脂を活性化するための第1の紫外線を発生する投光部と、
前記第1の紫外線を受けて前記光重合開始剤から放射される蛍光を検出する受光部と、
前記受光部で検出された前記蛍光の量に基づいて前記硬化状態を判断する判断部と、
前記紫外線硬化樹脂における前記硬化状態の測定対象範囲を表示するための可視領域の波長を含むガイド光を前記紫外線硬化樹脂へ照射するガイド光光源とを含む、紫外線照射システム。
【請求項2】
前記紫外線硬化樹脂における前記受光部の受光視野は、前記紫外線硬化樹脂における前記第1の紫外線の照射領域と同一またはそれより小さく、
前記硬化状態測定装置は、前記紫外線硬化樹脂から前記受光部までの前記蛍光の光学経路上の所定位置において、前記ガイド光を注入する光注入部をさらに含み、
前記ガイド光は、前記蛍光の光学経路上を前記硬化状態測定装置から前記紫外線硬化樹脂へ向けて伝播する、請求項1に記載の紫外線照射システム。
【請求項3】
前記紫外線硬化樹脂における前記第1の紫外線の照射領域は、前記紫外線硬化樹脂における前記受光部の受光視野と同一またはそれより小さく、
前記硬化状態測定装置は、前記投光部から前記紫外線硬化樹脂までの前記第1の紫外線の光学経路上の所定位置において、前記ガイド光を注入する光注入部をさらに含み、
前記ガイド光は、前記第1の紫外線の光学経路上を前記硬化状態測定装置から前記紫外線硬化樹脂へ向けて伝播する、請求項1に記載の紫外線照射システム。
【請求項4】
前記ガイド光は、前記第1の紫外線のビーム径と異なるビーム径を有する、請求項3に記載の紫外線照射システム。
【請求項5】
前記ガイド光は、同心円状のビームプロファイルを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線照射システム。
【請求項6】
前記ガイド光は、その光軸を中心として複数の線が放射状に配置されたビームプロファイルを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線照射システム。
【請求項7】
前記ガイド光光源は、外部からの照射指令に応答して前記ガイド光の照射を開始し、
前記投光部は、前記ガイド光光源からの前記ガイド光の照射中に、前記第1の紫外線の発生を停止またはその強度を低減する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の紫外線照射システム。
【請求項8】
前記ガイド光の波長範囲は、前記第1の紫外線の波長範囲から所定波長以上離れている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の紫外線照射システム。
【請求項9】
前記紫外線硬化樹脂の硬化反応を促進するための第2の紫外線を照射する光源装置をさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の紫外線照射システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−14667(P2009−14667A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179908(P2007−179908)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】