説明

紫外線硬化型塗料組成物およびその利用

【課題】飲料や食品等を収容する金属、プラスチック、プラスチック被覆金属製の飲料缶等の表面被覆に好ましく用いられ得る、紫外線硬化型塗料組成物を提供すること。
【解決手段】光カチオン重合性物質(A)、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)及びカチオン性光重合開始剤(C)を含有してなる紫外線硬化型塗料組成物であって、光カチオン重合性物質(A)と、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)との重量比が(A):(B)=99:1〜80:20であることを特徴とする紫外線硬化型塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線の照射により硬化する塗料組成物に関し、詳細には本発明は、金属、プラスチック、プラスチックフィルム被覆金属の被覆剤として好適に用いられる紫外線硬化型塗料組成物に関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、特に、飲料又は食品を収容する飲料缶や食缶(以下「飲料缶等」という)のベースコートとして好適に用いられる、硬化性に優れ、インキ転移性に優れた硬化塗膜を形成することが可能な紫外線硬化型塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
飲料缶等の外面は、缶基材の腐食を防止し、美的商品価値を高めるべく、塗膜によって被覆されている。この塗膜には、内容物である飲料や食品殺菌処理時の熱処理工程に対する耐性が要求される。
【0004】
従来これらの塗膜は、エポキシ/アミノ系樹脂、アクリル/アミノ系樹脂、ポリエステル/アミノ系樹脂等の有機溶剤型塗料をロールコートにて塗装し、焼き付け硬化することによって形成されてきた。しかし、これらの塗料は、焼き付け時に、多量の溶剤を揮散するので、大気汚染を防止すべく特別の回収装置が必要である。そこで最近では、大気汚染の原因となりにくく、特別の回収装置のいらない水性塗料が種々提案されている。
【0005】
しかし、この水性塗料においても、200℃以上の高温と長時間の焼き付け時間とを要するため、エネルギーコスト及び生産性、さらには設備のスペース等の点で改良が望まれている。
【0006】
そのため、大気を汚染しにくく、省エネルギー、省資源、省スペースの点から、紫外線硬化性組成物の利用が従来より検討されている。
【0007】
紫外線の照射により短時間で架橋硬化する組成物としては、ラジカル重合型とカチオン重合型とがある。ラジカル重合型としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、不飽和ポリエステル系化合物、ポリエン−チオール系化合物等の不飽和二重結合を有する化合物からなる組成物が知られている。
【0008】
カチオン重合型としては、エポキシ基を有する化合物、オキセタン基を有する化合物、ビニルエーテル基を有する化合物からなる組成物等が知られており、それぞれ適当な重合開始剤と共に使用される。
【0009】
紫外線硬化性組成物のうちラジカル重合性組成物の様に不飽和二重結合を有する化合物を含む組成物は、硬化が速く、硬化後の塗膜硬度が高いという長所を有する。反面、硬化反応により歪みが発生しやすく、これにより基材との密着性が不足しやすいという短所を有する。
【0010】
一方、カチオン重合性組成物は、硬化反応により歪みが発生しにくく、基材との密着性が良好であるという長所を有するが、硬化が遅く、硬化後の塗膜硬度が低いという短所を有する。
【0011】
このような特徴を有するために、顔料を含有しない場合、硬化性及び塗膜硬度に対する要求が高い用途にはラジカル重合性組成物が多く用いられ、基材との密着性が強く要求される用途には、カチオン重合性組成物が多く用いられている。
【0012】
一方、顔料を含有する場合、顔料が紫外線を吸収したり、紫外線を反射し、塗膜内部への紫外線の到達を妨げてしまうので、塗膜を十分紫外線硬化させることが難しい。そこで、顔料を含有する場合、硬化性に優れるラジカル重合性組成物が多く用いられるが、密着性が強く要求される用途には、適用することが困難であった。
【0013】
密着性を重要視する場合には、カチオン重合性組成物が用いられるが、硬化性の確保が困難なので、この場合には顔料濃度を低く抑えて、塗膜を十分紫外線硬化させている。
【0014】
しかしながら、意匠性の観点から顔料を高濃度に含有する場合には、十分な硬化性が得られないという問題がある。
【0015】
このように、顔料を含有する紫外線硬化性組成物においては、硬化性と密着性の両立が困難であり、特に高い密着性を必要とする基材には適用が困難であった。
【0016】
高い密着性能を必要とする用途、例えば、飲料缶等の円筒状胴部外面に、顔料を含有するカチオン重合性塗料組成物を塗布して硬化塗膜を形成する場合、生産効率向上のために高速塗装化が進む現在、塗膜表面近傍の速硬化性に優れると共に塗膜の内部の速硬化性に優れることが求められる。
【0017】
即ち、飲料缶等の胴部分は、塗料組成物を塗布した後、紫外線を照射され、10秒程度後には次の加工工程に搬送されることとなるが、この搬送過程で硬化塗膜同士が接触したり、塗膜と搬送設備とが接触したりする。
【0018】
従って、紫外線硬化直後、具体的には約10秒後には、係る搬送過程に耐え得る程度の硬度になるまで、塗膜の表面近傍が速やかに硬化することが必要である。また、紫外線照射約30秒後までには、塗膜の硬化がさらに進行し、塗膜内部も十分硬化することが求められる。
【0019】
また、最近では飲料缶等において消費者の目を引き、購買意欲を掻き立てるための華麗かつ微細な印刷が施されるようになって来た。この微細印刷を行うには従来から使用されてきた印刷インキに比べ粘度が高いインキを使用する必要があり、被印刷物である飲料缶等の胴部へのインキ転移性が不十分になりやすい。さらに生産効率向上のために高速塗装化が進む現在、インキの転移性を十分に確保させることは必要不可欠である。
【0020】
このために微細印刷を行う際には、インキ転移性の向上と、意匠性向上の観点より、飲料缶等の胴部に紫外線硬化型塗料組成物からなるベースコート層が設けられるようになった。
【0021】
これまでに、紫外線硬化型塗料組成物から形成されるベースコート層に対するインキ転移性を向上させる所作として、特許文献1に見られるように、紫外線硬化型塗料に疎水性アクリル樹脂を添加する方法がとられたが、高速塗装化に対応した高速硬化性、硬度が十分ではなかった。
【0022】
また、高速硬化性を向上させる所作として特許文献2に見られるように、2個以上の水酸基を有する化合物を添加した紫外線硬化型塗料組成物が公開されているが、硬化反応に寄与しない水酸基の影響で、インキ転移性は十分には得られなかった。
【特許文献1】特開平11−60996号公報
【特許文献2】特開2001−31905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の目的は、飲料や食品等を収容する金属、プラスチック、プラスチック被覆金属製の飲料缶等の表面被覆に好ましく用いられ得る、紫外線硬化型塗料組成物を提供することにある。
【0024】
更に詳しくは、被覆物の高速生産に対応できる、硬化性に優れ、表面硬度に優れた被膜を形成する紫外線硬化型組成物でありながら、印刷インキの転移性が十分得られるベースコート層を形成し得る紫外線硬化型塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者は、上記の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0026】
即ち、第1の発明は、光カチオン重合性化合物(A)、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)及びカチオン性光重合開始剤(C)を含有してなる紫外線硬化型塗料組成物であって、光カチオン重合性化合物(A)と、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)との重量比が(A):(B)=99:1〜80:20であることを特徴とする紫外線硬化型塗料組成物であり、
第2の発明は、光カチオン重合性化合物(A)が、エポキシ基を有する化合物及び/またはオキセタン基を有する化合物であることを特徴とする第1の発明の紫外線硬化型塗料組成物であり、
第3の発明は、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない(B)がポリオール化合物中の水酸基が1個残存し、その他の水酸基がアルコキシ化された化合物であることを特徴とする第1または第2の発明の紫外線硬化型塗料組成物であり、
第4の発明は、顔料(D)を含有することを特徴とする第1ないし第3いずれかの発明の紫外線硬化型塗料組成物である。
【0027】
また、第5の発明は、金属板、プラスチック板、プラスチック被覆金属板及びこれらの板を成型してなる缶からなる群より選ばれる少なくとも1種の被覆に用いられることを特徴とする第1ないし第4いずれかの発明の紫外線硬化型塗料組成物である。
【0028】
更に、第6の発明は、第1ないし第4いずれかの発明の紫外線硬化型塗料組成物から形成される硬化塗膜で被覆されてなる被覆物である。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、飲料や食品等を収容する金属、プラスチック、プラスチック被覆金属製の飲料缶等の表面の被覆剤として好適に用いることができる、高速生産に対応可能な、硬化性に優れ、表面硬度に優れた被膜を形成する紫外線硬化型塗料組成物であり、印刷インキの転移性が十分得られるベースコート層を形成し得る紫外線硬化型塗料組成物を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明で使用する光カチオン重合性化合物(A)は、カチオン性光重合開始剤(C)の存在下で光の照射により重合反応を引き起こし、高分子量化する化合物である。
【0031】
具体的には、例えば、エポキシ化合物、スチレン類、ビニル化合物、ビニルエーテル類、スピロオルソエステル類、ビシクロオルソエステル類、スピロオルソカーボナート類、環状エーテル類、ラクトン類、オキサゾリン類、アジリジン類、シクロシロキサン類、ケタール類、環状酸無水物類、ラクタム類およびアリールジアルデヒド類などが挙げられる。
【0032】
まず、エポキシ化合物としては、従来公知の芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、更にはエポキシド単量体、エピサルファイト単量体類が挙げられる。
【0033】
芳香族エポキシ化合物の例としては、フェニルグリシジルエーテルなどの単官能エポキシ化合物や、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテルであって、例えばビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物またはビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル類、
ノボラック型エポキシ樹脂類(例えば、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂等)、
トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0034】
脂環式エポキシ化合物としては、4−ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ノルボルネンモノエポキサイド、リモネンモノエポキサイド、リモネンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、BHPE−3150〔ダイセル化学工業(株)製、脂環式エポキシ樹脂(軟化点71℃)〕等が挙げられる。
【0035】
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば1,4−ブタンジオールジクリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0036】
これらのエポキシ化合物のうち、その分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく用いられるが、必要に応じ、分子内にエポキシ基を1個有する化合物を併用してもよい。
【0037】
スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン等が挙げられる。
【0038】
ビニル化合物としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0039】
ビニルエーテル類としては、例えばn−(またはiso−、t−)ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,4ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリゴールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルグリコール、ネオペンチルグリコールモノビニルグリコール、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジグリセロールトリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)プロパンジビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)トリフルオロプロパンジビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、
アリルビニルエーテルなどのアルケニルビニルエーテル類、
エチニルビニルエーテル、1−メチル−2−プロペニルビニルエーテルなどのアルキニルビニルエーテル類、
4−ビニルエーテルスチレン、ハイドロキノンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、フェノキシエチレンビニルエーテル、p−ブロモフェノキシエチレンビニルエーテルなどのアリールビニルエーテル類、
1,4−ベンゼンジメタノールジビニルエーテル、N−m−クロロフェニルジエタノールアミンジビニルエーテル、m−フェニレンビス(エチレングリコール)ジビニルエーテル等のアラルキルジビニルエ一テル類、
ウレタンポリビニルエーテル(例えば、ALLIED−SIGNAL社製、「VECtomer2010」)等を挙げることができる。
【0040】
スピロオルソエステル類としては、1,4,6−トリオキサスピロ(4,4)ノナン、2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ(4,4)ノナン、1,4,6−トリオキサスピロ(4,5)デカンなどが、
ビシクロオルソエステル類としては、1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ(2,2,2)オクタン、1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ(2,2,2)オクタンなどが、
スピロオルソカーボナート類としては、1,5,7,11−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ(5、5)ウンデカンなどがそれぞれ挙げられる。
【0041】
環状エーテル類としては、1分子中にオキセタン環を1個有する、3―エチル―3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3―エチル―3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンおよび3―エチル―3−(クロロメチル)オキセタンや1分子中にオキセタン環を2個有する、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル(東亞合成(株)製 アロンオキセタンOXT−101、OXT−121、OXT−211、OXT−221およびOXT−212)等のオキセタン化合物類、
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのテトラヒドロフラン類、
テトラヒドロピラン、3−プロピルテトラヒドロピランなどのテトラヒドロピラン類、
およびトリメチレンオキサイド、s−トリオキサンなどが挙げられる。
【0042】
ラクトン類としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチルラクトン、δ−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどが挙げられる。
【0043】
オキサゾリン類としては、オキサゾリン、2−フェニルオキサゾリン、2−デシルオキサゾリン等が挙げられる。
【0044】
アジリジン類としては、アジリジン、N−エチルアジリジンなどが挙げられる。
【0045】
シクロシロキサン類としては、ヘキサメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサンなどが挙げられる。
【0046】
ケタール類としては、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン、2−フェニル−1,3−ジオキサン、2,2−ジオクチル−1,3−ジオキソランなどが挙げられる。
【0047】
環状酸無水物類としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸などが、
ラクタム類としてはβ−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−カプロラクタムなどがそれぞれ挙げられる。
【0048】
またアリールジアルデヒド類としては1,2−ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,2−ナフタレンジアルデヒドなどが挙げられる。
【0049】
これらの光カチオン重合性化合物は単独でもまた2種類以上混合しても一向に構わないものであるが、好ましくはエポキシ基を有する化合物もしくはオキセタン基を有する化合物であるか、あるいはその双方を含むことであり、更に好ましくは、エポキシ基を有する化合物を使用する場合には、該化合物の合計100重量%のうち50重量%以上が脂環式エポキシ化合物であることである。
【0050】
本発明に用いる、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)とは、分子内に1個の水酸基を有し、かつ、エポキシ基、オキセタン基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アリル基などの反応性である官能基を有さない化合物のことである。
【0051】
例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n-(もしくはiso-)プロピルセロソルブ、n-(もしくはiso-、s-、t-)ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、
プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、
ブタンジオールモノアルキルエーテル類、
グリセリンジアルキルエーテル類やメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等の脂肪族アルコール類、
ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類である。
【0052】
これらの中でも、ポリオール化合物中の水酸基が1個残存し、その他の水酸基がアルコキシ化された化合物が好ましく用いられる。さらに前記ポリオール化合物はジオール化合物であることがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類が特に好適に用いられる。
【0053】
これらの化合物(B)は、単独で用いてもよく、2種類以上のものを組み合わせて用いてもよい。
【0054】
光カチオン重合性化合物(A)と、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)とは、混合して用いることで高速硬化性を付与できるわけであるが、その重量比が(A):(B)=99:1〜80:20であることが重要であり、好ましくは(A):(B)=99:1〜90:10であり、更に好ましくは(A):(B)=97:3〜92:8である。
【0055】
化合物(B)の割合が1重量%より少ないと高速硬化性を付与できず、20重量%より多いと得られる硬化塗膜の硬度が低下する傾向にあり、ベースコートとして適切でない。
【0056】
本発明で使用するカチオン性光重合開始剤(C)としては、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、スルホキソニウムカチオン、ホスホニウムカチオンがアニオンと対イオンを形成してなるオニウム塩が使用される。これらのオニウム塩は1種もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0057】
ヨードニウムカチオンとしては、例えば、下記一般式(1)および(2)で示されるものが挙げられる。
【0058】
【化1】

【0059】
【化2】

スルホニウムカチオンまたはスルホキソニウムカチオンとしては、例えば、下記一般式(3)〜(6)で示されるものが挙げられる。
【0060】
【化3】

【0061】
【化4】

【0062】
【化5】

【0063】
【化6】

ホスホニウムカチオンとしては、例えば、下記一般式(7)で示されるものが挙げられる。
【0064】
【化7】

上記した一般式(1)〜(7)においてR4〜R7は下記の意味を表す。尚、1つの一般式に複数のR4、R6およびR7が示される場合、その一般式においてはR4、R6およびR7はそれぞれ異なったものであってもよく、同じものであってもよい。
【0065】
4は、C1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルキル基、又は下記R7を示す。
【0066】
前記アルキル基は、無置換であっても、置換されていてもよい。置換原子または置換基としては、フッ素、塩素、臭素、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、アジド基等が挙げられる。
【0067】
1〜C18の直鎖状、分岐鎖状、環状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−デシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0068】
各種官能基により置換された上記アルキル基としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ヒドロキシメチル基、カルボキシメチル基、メルカプトメチル基、シアノメチル基、ニトロメチル基、アジドメチル基などがあげられる。
【0069】
7は、後述するようにC6〜C18の単環又は縮合多環アリール基を示す。前記アリール基は、無置換であっても、置換されていてもよい。置換原子または置換基としては、フッ素、塩素、臭素、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、アジド基等が挙げられる。
【0070】
5は、ベンジル基、フェナシル基、アリル基、アルコキシル基、アリールオキシ基を示す。前記各官能基は、それぞれ無置換であっても、置換されていてもよい。
【0071】
置換されたベンジル基としては、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、水酸基、メルカプト基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、アセチル基、ベンゾイル基、C1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルキル基、C1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルコキシル基、C2〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルコキシカルボニル基から選ばれるいずれかの置換原子または置換基で置換されたベンジル基があげられ、さらに、ベンジル基中のベンゼン環が、不飽和炭化水素基によって、C10〜C22の縮合多環芳香族環を形成していても良い。
【0072】
これら置換されたベンジル基の具体例としては、例えば、o−フルオロベンジル基、m−フルオロベンジル基、p−フルオロベンジル基、o−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、p−クロロベンジル基、o−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、p−ブロモベンジル基、o−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、p−シアノベンジル基、o−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、2,4−ジフルオロフェニルメチル基、2,6−ジクロロフェニルメチル基、2,4,6−トリブロモフェニルメチル基、ペンタフルオロフェニルメチル基、p−(トリフルオロメチル)ベンジル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルメチル基、o−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、o−メルカプトベンジル基、m−メルカプトベンジル基、p−メルカプトベンジル基、o−メチルスルフィニルベンジル基、m−メチルスルフィニルベンジル基、p−メチルスルフィニルベンジル基、o−メチルスルホニルベンジル基、m−メチルスルホニルベンジル基、p−メチルスルホニルベンジル基、o−アセチルベンジル基、m−アセチルベンジル基、p−アセチルベンジル基、o−ベンゾイルベンジル基、m−ベンゾイルベンジル基、p−ベンゾイルベンジル基、o−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、p−エチルベンジル基、p−プロピルベンジル基、p−イソプロピルベンジル基、p−t−ブチルベンジル基、p−オクタデシルベンジル基、p−シクロヘキシルベンジル基、o−メトキシベンジル基、m−メトキシベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−エトキシベンジル基、p−プロポキシベンジル基、p−イソプロポキシベンジル基、p−t−ブトキシベンジル基、p−オクタデシルベンジル基、p−シクロヘキサンオキシベンジル基、o−メトキシカルボニルベンジル基、m−メトキシカルボニルベンジル基、p−メトキシカルボニルベンジル基、p−エトキシカルボニルベンジル基、p−プロポキシカルボニルベンジル基、p−イソプロポキシカルボニルベンジル基、p−t−ブトキシカルボニルベンジル基、p−オクタデシルオキシカルボニルベンジル基、p−シクロヘキサンオキシカルボニルベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、9−アンスリルメチル基、1−ピレニルメチル基、5−ナフタセニルメチル基、6−ペンタセニルメチル基などが挙げられる。
【0073】
置換されたフェナシル基としては、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、ニトロ基、卜リフルオロメチル基、水酸基、メルカプト基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、アセチル基、ベンゾイル基、C1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルキル基、C1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルコキシル基、C2〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルコキシカルボニル基から選ばれるいずれかの置換原子または置換基で置換されたフェナシル基があげられ、さらに、フェナシル基中のベンゼン環が不飽和炭化水素基によって、C10〜C22の縮合多環芳香族環を形成していても良い。
【0074】
これら置換されたフェナシル基の具体例としては、例えば、o−フルオロフェナシル基、m−フルオロフェナシル基、p−フルオロフェナシル基、o−クロロフェナシル基、m−クロロフェナシル基、p−クロロフェナシル基、o−ブロモフェナシル基、m−ブロモフェナシル基、p−ブロモフェナシル基、o−シアノフェナシル基、m−シアノフェナシル基、p−シアノフェナシル基、o−ニトロフェナシル基、m−ニトロフェナシル基、p−ニトロフェナシル基、2,4−ジフルオロフェニルカルボニルメチル基、2,6−ジクロロフェニルカルボニルメチル基、2,4,6−トリブロモフェニルカルボニルメチル基、ペンタフルオロフェニルカルボニルメチル基、p−(トリフルオロメチル)フェナシル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルカルボニルメチル基、o−ヒドロキシフェナシル基、m−ヒドロキシフェナシル基、p−ヒドロキシフェナシル基、o−メルカプトフェナシル基、m−メルカプトフェナシル基、p−メルカプトフェナシル基、o−メチルスルフィニルフェナシル基、m−メチルスルフィニルフェナシル基、p−メチルスルフィニルフェナシル基、o−メチルスルホニルフェナシル基、m−メチルスルホニルフェナシル基、p−メチルスルホニルフェナシル基、o−アセチルフェナシル基、m−アセチルフェナシル基、p−アセチルフェナシル基、o−ベンゾイルフェナシル基、m−ベンゾイルフェナシル基、p−ベンゾイルフェナシル基、o−メチルフェナシル基、m−メチルフェナシル基、p−メチルフェナシル基、p−エチルフェナシル基、p−プロピルフェナシル基、p−イソプロピルフェナシル基、p−t−ブチルフェナシル基、p−オクタデシルフェナシル基、p−シクロヘキシルフェナシル基、o−メトキシフェナシル基、m−メトキシフェナシル基、p−メトキシフェナシル基、p−エトキシフェナシル基、p−プロポキシフェナシル基、p−イソプロポキシフェナシル基、p−t−ブトキシフェナシル基、p−オクタデシルオキシフェナシル基、p−シクロヘキサンオキシフェナシル基、o−メトキシカルボニルフェナシル基、m−メトキシカルボニルフェナシル基、p−メトキシカルボニルフェナシル基、p−エトキシカルボニルフェナシル基、p−プロポキシカルボニルフェナシル基、p−イソプロポキシカルボニルフェナシル基、p−t−ブトキシカルボニルフェナシル基、p−オクタデシルオキシカルボニルフェナシル基、p−シクロヘキサンオキシカルボニルフェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、9−アンスロイルメチル基、1−ピレニルカルボニルメチル基、5−ナフタセニルカルボニルメチル基、6−ペンタセニルカルボニルメチル基などが挙げられる。
【0075】
置換されたアリル基としては、フッ素、ニトロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、アセチル基、ベンゾイル基、C1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルキル基、C2〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルコキシカルボニル基、フェニル基から選ばれる置換原子または置換基で置換されたアリル基が挙げられる。
【0076】
これら置換されたアリル基の具体例としては、例えば、2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル基、3,3−ジニトロ−2−プロペニル基、3,3−ビス(トリフルオロメチル)−2−プロペニル基、3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、2−メチル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、3−ヘキシル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、2−オクタデシル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、2−イソプロピル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、2−t−ブチル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、2−シクロヘキシル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、2−アセチル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、2−ベンゾイル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、2−フェニル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−メチル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−ヘキシル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−オクタデシル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−イソプロピル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−t−ブチル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−シクロヘキシル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−アセチル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−ベンゾイル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−フェニル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−フェニル−3,3−ビス(ヘキシルオキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−フェニル−3,3−ビス(オクタデシルオキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−フェニル−3,3−ビス(t−ブトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−フェニル−3,3−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)−2−プロペニル基などが挙げられる。
【0077】
アルコキシル基としては、C1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルコキシル基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、オクタデカンオキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0078】
置換されたアルコキシル基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、水酸基から選ばれるいずれかの置換原子または置換基で置換されたC1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルコキシル基が挙げられ、それらの具体例としてはフルオロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、3−ブロモプロポキシ基、4−シアノブトキシ基、8−ニトロオクチルオキシ基、18−トリフルオロメチルオクタデカンオキシ基、2−ヒドロキシイソプロポキシ基、トリクロロメトキシ基などが挙げられる。
【0079】
アリールオキシ基としては、C6〜C18の単環もしくは縮合多環アリールオキシ基であり、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、5−ナフタセニルオキシ基、1−インデニルオキシ基、2−アズレニルオキシ基、1−アセナフチルオキシ基、9−フルオレニルオキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、2,3−キシリルオキシ基、3,5−キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、p−クメニルオキシ基、p−デシルフェノキシ基、p−シクロヘキシルフェノキシ基、4−フェニルフェノキシ基などが挙げられる。
【0080】
置換されたアリールオキシ基としては、フッ素、塩素、臭素、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、アジド基から選ばれるいずれかの置換原子または置換基で置換されたC6〜C18の単環、縮合多環アリールオキシ基であり、o−フルオロフェノキシ基、m−クロロフェノキシ基、p−ブロモフェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基、m−カルボキシフェノキシ基、o−メルカプトフェノキシ基、p−シアノフェノキシ基、m−ニトロフェノキシ基、m−アジドフェノキシ基、2−クロロ−1−ナフチルオキシ基、10−シアノ−9−アンスリルオキシ基、11−ニトロ−5−ナフタセニルオキシ基などが挙げられる。
【0081】
これらR5において、好ましいものとしては、フッ素、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、C1〜C4の直鎖状もしくは分岐鎖状アシル基、C2〜C5の直鎖状もしくは分岐鎖状アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、p−トシル基といった、電子吸引性の置換原子または置換基で置換されたベンジル基、フェナシル基、アリル基が挙げられる。
【0082】
そのような具体例としては、例えば、o−シアノベンジル基、p−シアノベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、ペンタフルオロフェニルメチル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルメチル基、o−アセチルベンジル基、p−アセチルベンジル基、o−メトキシカルボニルベンジル基、p−メトキシカルボニルベンジル基、o−t−ブトキシカルボニルベンジル基、p−t−ブトキシカルボニルベンジル基、o−ベンゾイルベンジル基、p−ベンゾイルベンジル基、o−メチルスルフィニルベンジル基、p−メチルスルフィニルベンジル基、o−メチルスルホニルベンジル基、p−メチルスルホニルベンジル基、o−(p−トシル)ベンジル基、o−シアノフェナシル基、p−シアノフェナシル基、o−ニトロフェナシル基、p−ニトロフェナシル基、ペンタフルオロベンゾイルメチル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルメチル基、o−アセチルフェナシル基、p−アセチルフェナシル基、o−メトキシカルボニルフェナシル基、p−メトキシカルボニルフェナシル基、o−t−ブトキシカルボニルフェナシル基、p−t−ブトキシカルボニルフェナシル基、o−ベンゾイルフェナシル基、p−ベンゾイルフェナシル基、o−メチルスルフィニルフェナシル基、p−メチルスルフィニルフェナシル基、o−メチルスルホニルフェナシル基、p−メチルスルホニルフェナシル基、o−(p−トシル)フェナシル基、p−(p−トシル)フェナシル基、3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、1−メチル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、2−フェニル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル基、3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、2−フェニル−3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、シアノメトキシ基、アセチルメトキシ基、ベンゾイルメトキシ基、p−シアノフェノキシ基、ペンタフルオロフェニルメトキシ基が挙げられる。
【0083】
6は、C1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルキル基、C1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルコキシ基のいずれかを示す。前記各官能基は、それぞれ無置換であっても、置換されていてもよい。置換原子もしくは置換基としては、フッ素、塩素、臭素、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、アジド基が挙げられる。
【0084】
1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルキル基は、R4に記載したものと同様である。
【0085】
1〜C18の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、オクタデカンオキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられ、置換されたものとしては、トリフルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリブロモメトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、カルボキシメトキシ基、メルカプトメトキシ基、シアノメトキシ基、ニトロメトキシ基、アジドメトキシ基などが挙げられる。
【0086】
7は、C6〜C18の単環もしくは縮合多環アリール基を示す。前記各官能基は、それぞれ無置換であっても、置換されていてもよい。置換原子または置換基としては、フッ素、塩素、臭素、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、アジド基が挙げられる。
【0087】
具体的には、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、1−アセナフチル基、9−フルオレニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,5−キシリル基、メシチル基、p−クメニル基、p−ドデシルフェニル基、p−シクロヘキシルフェニル基、4−ビフェニル基、o−フルオロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、m−カルボキシフェニル基、o−メルカプトフェニル基、p−シアノフェニル基、m−ニトロフェニル基、m−アジドフェニル基などが挙げられる。
【0088】
一般式(1)〜(2)で示されるヨードニウムカチオンとしては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0089】
フリルもしくはチエニルヨードニウムカチオンとしては、例えば、ジフリルヨードニウム、ジチエニルヨードニウム、ビス(4,5−ジメチル−2−フリル)ヨードニウム、ビス(5−クロロ−2−チエニル)ヨードニウム、ビス(5−シアノ−2−フリル)ヨードニウム、ビス(5−ニトロ−2−チエニル)ヨ−ドニウム、ビス(5−アセチル−2−フリル)ヨードニウム、ビス(5−カルボキシ−2−チエニル)ヨードニウム、ビス(5−メトキシカルボニル−2−フリル)ヨードニウム、ビス(5−フェニル−2−フリル)ヨードニウム、ビス(5−(p−メトキシフェニル)−2−チエニル)ヨードニウム、ビス(5−ビニル−2−フリル)ヨードニウム、ビス(5−エチニル−2−チエニル)ヨードニウム、ビス(5−シクロヘキシル−2−フリル)ヨードニウム、ビス(5−ヒドロキシ−2−チエニル)ヨードニウム、ビス(5−フェノキシ−2−フリル)ヨードニウム、ビス(5−メルカプト−2−チエニル)ヨードニウム、ビス(5−ブチルチオ−2−チエニル)ヨードニウム、ビス(5−フェニルチオ−2−チエニル)ヨードニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0090】
ジアリールヨードニウムカチオンとして、例えば、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−トリル)ヨードニウム、ビス(p−オクチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−オクタデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−オクタデシルオキシフェニル)ヨードニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0091】
一般式(3)〜(6)で示されるスルホニウムカチオンもしくはスルホキソニウムカチオンとしては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0092】
スルホニウムカチオンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
【0093】
ベンジルスルホニウムカチオンとしては、例えば、ジメチル(ベンジル)スルホニウム、ジメチル(o−フルオロベンジル)スルホニウム、ジメチル(m−クロロベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−ブロモベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−シアノベンジル)スルホニウム、ジメチル(m−ニトロベンジル)スルホニウム、ジメチル(2,4,6−トリブロモフェニルメチル)スルホニウム、ジメチル(ペンタフルオロフェニルメチル)スルホニウム、ジメチル(p−(トリフルオロメチル)ベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−ヒドロキシベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−メルカプトベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−メチルスルフィニルベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−メチルスルホニルベンジル)スルホニウム、ジメチル(o−アセチルベンジル)スルホニウム、ジメチル(o−ベンゾイルベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−メチルベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−イソプロピルベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−オクタデシルベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−シクロヘキシルベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−メトキシベンジル)スルホニウム、ジメチル(o−メトキシカルボニルベンジル)スルホニウム、ジメチル(p−イソプロポキシカルボニルベンジル)スルホニウム、ジメチル(2−ナフチルメチル)スルホニウム、ジメチル(9−アンスリルメチル)スルホニウム、ジエチル(ベンジル)スルホニウム、メチルエチル(ベンジル)スルホニウム、メチルフェニル(ベンジル)スルホニウム、ジフェニル(ベンジル)スルホニウム、ジイソプロピル(ベンジル)スルホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0094】
フェナシルスルホニウムカチオンとして、例えば、ジメチル(フェナシル)スルホニウム、ジメチル(o−フルオロフェナシル)スルホニウム、ジメチル(m−クロロフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−ブロモフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−シアノフェナシル)スルホニウム、ジメチル(m−ニトロフェナシル)スルホニウム、ジメチル(2,4,6−トリブロモフェニルメチル)スルホニウム、ジメチル(p−(トリフルオロメチル)フェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−ヒドロキシフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−メルカプトフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−メチルフルフィニルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−メチルスルホニルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(o−アセチルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(o−ベンゾイルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−メチルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−イソプロピルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−オクタデシルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−シクロヘキシルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−メトキシフェナシル)スルホニウム、ジメチル(o−メトキシカルボニルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(p−イソプロポキシカルボニルフェナシル)スルホニウム、ジメチル(2−ナフトイルメチル)スルホニウム、ジメチル(9−アンスロイルメチル)スルホニウム、ジエチル(フェナシル)スルホニウム、メチルエチル(フェナシル)スルホニウム、メチルフェニル(フェナシル)スルホニウム、ジフェニル(フェナシル)スルホニウム、ジイソプロピル(フェナシル)スルホニウム、テトラメチレン(フェナシル)スルホニウム、ペンタメチレン(フェナシル)スルホニウム、ヘキサメチレン(フェナシル)スルホニウム、エチレンジオキシ(フェナシル)スルホニウム、ジエチレンジオキシ(フェナシル)スルホニウム、エチレンジチオ(フェナシル)スルホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0095】
アリルスルホニウムカチオンとしては、例えば、ジメチル(アリル)スルホニウム、ジメチル(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)スルホニウム、ジメチル(3,3−ジシアノ−2−プロペニル)スルホニウム、ジメチル(2−メチル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル)スルホニウム、ジメチル(2−アセチル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル)スルホニウム、ジメチル(2−ベンゾイル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル)スルホニウム、ジメチル(2−フェニル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル)スルホニウム、ジメチル(3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル)スルホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0096】
アルコキシスルホニウムカチオンとしては、例えば、ジメチル(メトキシ)スルホニウム、ジメチル(エトキシ)スルホニウム、ジメチル(プロポキシ)スルホニウム、ジメチル(ブトキシ)スルホニウム、ジメチル(オクチルオキシ)スルホニウム、ジメチル(オクタデカンオキシ)スルホニウム、ジメチル(イソプロポキシ)スルホニウム、ジメチル(t−ブトキシ)スルホニウム、ジメチル(スクロペンチルオキシ)スルホニウム、ジメチル(シクロヘキシルオキシ)スルホニウム、ジメチル(フルオロメトキシ)スルホニウム、ジメチル(2−クロロエトキシ)スルホニウム、ジメチル(3−ブロモプロポキシ)スルホニウム、ジメチル(4−シアノブトキシ)スルホニウム、ジメチル(8−ニトロオクチルオキシ)スルホニウム、ジメチル(18−トリフルオロメチルオクタデカンオキシ)スルホニウム、ジメチル(2−ヒドロキシイソプロポキシ)スルホニウム、ジメチル(トリス(トリクロロメチル)メチル)スルホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0097】
アリールオキシスルホニウムカチオンとしては、例えば、ジメチル(フェノキシ)スルホニウム、ジメチル(1−ナフチルオキシ)スルホニウム、ジメチル(2−ナフチルオキシ)スルホニウム、ジメチル(9−アンスリルオキシ)スルホニウム、ジメチル(9−フェナントリルオキシ)スルホニウム、ジメチル(p−トリルオキシ)スルホニウム、ジメチル(2,3−キシリルオキシ)スルホニウム、ジメチル(o−フルオロフェノキシ)スルホニウム、ジメチル(m−クロロフェノキシ)スルホニウム、ジメチル(p−ブロモフェノキシ)スルホニウム、ジメチル(p−ヒドロキシフェノキシ)スルホニウム、ジメチル(m−カルボキシルフェノキシ)スルホニウム、ジメチル(o−メルカプトフェノキシ)スルホニウム、ジメチル(p−シアノフェノキシ)スルホニウム、ジメチル(m−ニトロフェノキシ)スルホニウム、ジメチル(m−アジドフェノキシ)スルホニウム、ジメチル(2−クロロ−1−ナフチルオキシスルホニウム、ジメチル(11−ニトロ−5−ナフタセニル)スルホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0098】
スルホキソニウムカチオンとしては、例えば、次のものが挙げられる。
【0099】
ベンジルスルホキソニウムカチオンとしては、例えば、ジメチル(ベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(p−ブロモベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(p−シアノベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(m−ニトロベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(ペンタフルオロフェニルメチル)スルホキソニウム、ジメチル(p−ヒドロキシベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(o−アセチルベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(o−ベンゾイルベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(p−イソプロピルベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(p−メトキシベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(o−メトキシカルボニルベンジル)スルホキソニウム、ジメチル(2−ナフチルメチル)スルホキソニウム、ジメチル(9−アンスリルメチル)スルホキソニウム、ジエチル(ベンジル)スルホキソニウム、メチルエチル(ベンジル)スルホキソニウム、メチルフェニル(ベンジル)スルホキソニウム、ジフェニル(ベンジル)スルホキソニウム、ジイソプロピル(ベンジル)スルホキソニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0100】
フェナシルスルホキソニウムカチオンとしては、例えば、ジメチル(フェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(p−ブロモフェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(p−シアノフェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(m−ニトロフェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(2,4,6−トリブロモフェニルメチル)スルホキソニウム、ジメチル(p−ヒドロキシフェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(p−メルカプトフェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(o−ベンゾイルフェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(p−メチルフェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(p−メトキシフェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(o−メトキシカルボニルフェナシル)スルホキソニウム、ジメチル(2−ナフチルメチル)スルホキソニウム、ジメチル(9−アンスリルメチル)スルホキソニウム、ジエチル(フェナシル)スルホキソニウム、メチルエチル(フェナシル)スルホキソニウム、メチルフェニル(フェナシル)スルホキソニウム、ジフェニル(フェナシル)スルホキソニウム、ジイソプロピル(フェナシル)スルホキソニウム、テトラメチレン(フェナシル)スルホキソニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0101】
アリルスルホキソニウムカチオンとしては、例えば、ジメチル(アリル)スルホキソニウム、ジメチル(3,3−ジシアノ−2−プロペニル)スルホキソニウム、ジメチル(2−ベンゾイル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル)スルホキソニウム、ジメチル(2−フェニル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル)スルホキソニウム、ジメチル(3,3−ビス(メトキシカルボニル)−2−プロペニル)スルホキソニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0102】
アルコキシスルホキソニウムカチオンとして、例えば、ジメチル(エトキシ)スルホキソニウム、ジメチル(プロポキシ)スルホキソニウム、ジメチル(オクチルオキシ)スルホキソニウム、ジメチル(イソプロポキシ)スルホキソニウム、ジメチル(シクロヘキシルオキシ)スルホキソニウム、ジメチル(2−クロロエトキシ)スルホキソニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0103】
アリールオキシスルホキソニウムカチオンとしては、例えば、ジメチル(フェノキシ)スルホキソニウム、ジメチル(2−ナフチルオキシ)スルホキソニウム、ジメチル(9−アンスリルオキシ)スルホキソニウム、ジメチル(p−トリルオキシ)スルホキソニウム、ジメチル(m−クロロフェノキシ)スルホキソニウム、ジメチル(m−カルボキシフェノキシ)スルホキソニウム、ジメチル(p−シアノフェノキシ)スルホキソニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0104】
トリアリールスルホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルスルホニウム、トリス(p−トリル)スルホニウム、トリス(フェニル)スルホニウム、トリス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウム、トリス(p−シアノフェニル)スルホニウム、トリス(p−クロロフェニル)スルホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0105】
トリアリールスルホキソニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルスルホキソニウム、トリス(p−トリル)スルホキソニウム、トリス(フェニル)スルホキソニウム、トリス(2,6−ジメチルフェニル)スルホキソニウム、トリス(p−シアノフェニル)スルホキソニウム、トリス(p−クロロフェニル)スルホキソニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0106】
一般式(7)で示されるホスホニウムカチオンの例としては、例えば、下記のものがあげられる。
【0107】
ベンジルホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルベンジルホスホニウム、トリエチルベンジルホスホニウム、トリフェニルベンジルホスホニウム、トリフェニル(p−フルオロベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(o−クロロベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(m−ブロモベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(p−シアノベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(m−ニトロベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(o−ヒドロキシベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(o−アセチルベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(m−ベンゾイルベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(p−メチルベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(p−イソプロポキシベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(o−メトキシカルボニルベンジル)ホスホニウム、トリフェニル(1−ナフチルメチル)ホスホニウム、トリフェニル(9−アンスリルメチル)ホスホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0108】
フェナシルホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルフェナシルホスホニウム、トリエチルフェナシルホスホニウム、トリフェニルフェナシルホスホニウム、トリフェニル(p−フルオロフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(o−クロロフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(m−ブロモフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(p−シアノフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(m−ニトロフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(o−ヒドロキシフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(o−アセチルフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(m−ベンゾイルフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(p−メチルフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(p−イソプロポキシフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(o−メトキシカルボニルフェナシル)ホスホニウム、トリフェニル(1−ナフチロイルメチル)ホスホニウム、トリフェニル(9−アンスロイルメチル)ホスホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0109】
アリルホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルアリルホスホニウム、トリフェニル(3,3−ジシアノ−2−プロペニル)ホスホニウム、トリフェニル(2−ヘキシル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル)ホスホニウム、トリフェニル(2−アセチル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル)ホスホニウム、トリフェニル(2−フェニル−3,3−ジシアノ−2−プロペニル)ホスホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0110】
アルコキシホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルメトキシホスホニウム、トリフェニルブトキシホスホニウム、トリフェニルオクタデシルオキシホスホニウム、トリフェニルイソプロポキシホスホニウム、トリフェニル(2−クロロエトキシ)ホスホニウム、トリフェニル(4−シアノブトキシ)ホスホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0111】
アリールオキシホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルフェノキシホスホニウム、トリフェニル(1−ナフチルオキシ)ホスホニウム、トリフェニル(2−ナフチルオキシ)ホスホニウム、トリフェニル(9−アンスリルオキシ)ホスホニウム、トリフェニル(p−トリルオキシ)ホスホニウム、トリフェニル(2,3−キシリルオキシ)ホスホニウム、トリフェニル(p−ヒドロキシフェノキシ)ホスホニウム、トリフェニル(m−カルボキシフェノキシ)ホスホニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0112】
上記一般式(1)〜(7)で示されるカチオンの対イオンとなるアニオンとしては、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオンなどの如きハロゲンアニオンや、
酢酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、硫酸アニオン、硫酸水素アニオン、メタン硫酸アニオン、トリフルオロメタン硫酸アニオン、パークロレートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、ヘキサクロロアンチモネートアニオン、ヘキサフルオロアンチモネートアニオンなどが挙げられる。
【0113】
これらのカチオン性光重合開始剤は単独で用いてもよく、2種類以上のものを併用してもよい。
【0114】
カチオン性光重合開始剤(C)は、光カチオン重合性化合物(A)と、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)との合計100重量部に対して、0.01〜20重量部用いることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部より少ないと硬化性が低下しやすくなり、20重量部より多いと、得られる硬化塗膜の耐水性が低下しやすい傾向にある。
【0115】
本発明において用いられる顔料(D)について説明する。
【0116】
本発明の紫外線硬化型塗料組成物は、飲料缶外面用のベースコートとして好ましく用いられる。アルミニウム顔料を配合することによりシルバーベースコートとして用いられ、白色顔料を配合することでホワイトベースコートとして用いられる。
【0117】
アルミニウム顔料としてはアルミニウム粉末が挙げられ、これをミネラルスピリットやソルベントナフサ等でペースト状にしたアルミニウムペーストが好適に用いられる。
【0118】
アルミニウム顔料の含有率は、塗料組成物100重量%中、1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは、5〜30重量%である。
【0119】
白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等が挙げられる。
【0120】
白色顔料の含有率は、塗料組成物100重量%中、10〜70重量%であることが好ましく、更に好ましくは30〜50重量%である。10重量%より少ないと隠蔽力が不十分となりやすく、70重量%より多いと硬化性が低下する傾向にある。
【0121】
本発明の紫外線硬化型塗料組成物は、必要に応じ、前記アルミニウム顔料及び白色顔料以外の顔料を含有していても良い。
【0122】
本発明の紫外線硬化型組成物は、必要に応じて光増感剤を含有しても良い。光増感剤とは、光開始剤の助剤となり硬化性の向上に寄与する物質である。
【0123】
光増感剤としては、例えば、9,10−ジメトキシ−アントラセン、9,10−ジエトキシ−アントラセン、9,10−ジプロポキシ−アントラセン、9,10−ジブトキシ−アントラセン、9,10−ジヘキサノキシ−アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシ−アントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシ−アントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシ−アントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシ−アントラセン、2−メチル−9,10−ジメトキシ−アントラセン、2−メチル−9,10−ジエトキシ−アントラセン、2−メチル−9,10−ジプロポキシ−アントラセン、2−メチル−9,10−ジブトキシ−アントラセン、2−プロピル−9,10−ジメトキシ−アントラセン、2−プロピル−9,10−ジエトキシ−アントラセンなどがあげられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0124】
本発明の紫外線硬化型塗料組成物は、目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の慣用の成分、例えば染料、有機溶剤、分散助剤、レベリング剤、クレーター防止剤、界面活性剤、消泡剤、滑り剤、紫外線吸収剤、反応性又は非反応性希釈剤等の塗料用添加剤を含有していても良い。
【0125】
本発明の紫外線硬化型塗料組成物は、金属板、プラスチック板、プラスチック被覆金属板の被覆に用いられることが好ましいが、紙、木材、ガラス等の基材の被覆にも用いることができる。
【0126】
金属板としては、スチール板、アルミニウム板が好適に用いられ、プラスチック板としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリカーボネート等からなるプラスチック板が用いられる。
【0127】
プラスチックフィルム被覆金属板とは、スチールやアルミニウム等の金属板に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリカーボネート等のプラスチックからなるフィルムを貼り合わせたものである。
【0128】
本発明の紫外線硬化型塗料組成物は、飲料缶等の缶の外面被覆に用いられることが特に好ましい。
【0129】
本発明の紫外線硬化型塗料組成物を金属板、プラスチック板もしくはプラスチック被覆金属板に塗布し、光の照射により硬化させて硬化塗膜を形成した後、必要に応じて該硬化塗膜面上に印刷を施し、さらにトップコート層を設けた後、缶状に成型することにより、被覆された缶を得ることができる。
【0130】
あるいは、金属板、プラスチック板もしくはプラスチック被覆金属板を成型してなる缶の外面に、本発明の紫外線硬化型塗料組成物を塗布し、光の照射により硬化させて硬化塗膜を形成した後、必要に応じて該硬化塗膜面上に印刷を施し、さらにトップコート層を設けることにより、被覆された缶を得ることができる。
【0131】
このようにして得られる、外面が被覆された缶は、主として清涼飲料水、コーヒー飲料、アルコール飲料、紅茶、ウーロン茶等の飲食料品を収納する容器として用いられる。
【0132】
本発明の紫外線硬化型塗料組成物の塗装方法としては、ロールコート、グラビアコート、グラビアオフセットコート、カーテンフローコート、リバースコート、スクリーン印刷、スプレー塗装、及び浸漬塗装等の従来公知の方法によることができる。
【0133】
本発明の紫外線硬化型塗料組成物を光硬化させるための光源としては、通常、波長が200〜500ナノメートルの範囲の光を含む光源、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯等を使用することが出来る。又、これらの光源と、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱を併用しても良い。
【実施例】
【0134】
以下に、本発明について実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」は「重量部」を表す。
[実施例1]
使用した材料は、以下の通りである。
(1)光カチオン重合性化合物
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ユニオン・カーバイド社製「サイラキュアUVR−6110」) 80部
(2)光カチオン重合性化合物
ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル(東亞合成(株)製「アロンオキセタンOXT−221」) 10部
(3)水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物
プロピレングリコールモノメチルエーテル 5部
(4)カチオン性光重合開始剤
ユニオン・カーバイド社製「サイラキュアUVI−6992」
[ジフェニル〔(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウムヘキサフルオロホスフェートとビス〔4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビス(ヘキサフルオロホスフェート)との混合物のプロピレンカーボネート溶液(有効成分44%)] 5部
上記の(1)、(2)、(3)を混合して十分撹拌し、その後(4)を加え再度十分撹拌し、紫外線硬化型塗料組成物を得た。
【0135】
[実施例2〜3]及び[比較例1〜3]
表1、表2に示す組成にもとづき、実施例1と同様の操作で紫外線硬化型塗料組成物を得た。
[実施例4]
(1)光カチオン重合性化合物
「サイラキュアUVR−6110」 46部
(2)光カチオン重合性化合物
「アロンオキセタンOXT−221」 5部
(3)水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物
プロピレングリコールモノメチルエーテル 3部
(4)カチオン性光重合開始剤
「サイラキュアUVI−6992」 5部
(5)顔料
酸化チタン(石原産業(株)製「タイペークCR-58」) 40部
(6)光増感剤
9,10−ジブトキシアントラセン 1部
上記の(1)、(2)、(3)、(5)を混合して十分撹拌し、更に3ロールにて剪断力下で混練する。その後、(4)と(6)を加え再度十分撹拌し、紫外線硬化型塗料組成物であるホワイトベースコートを得た。
[比較例4]
表2に示す組成にもとづき、実施例4と同様の操作で紫外線硬化型塗料組成物であるホワイトベースコートを得た。
[実施例5]
(1)光カチオン重合性化合物
「サイラキュアUVR−6110」 50部
(2)光カチオン重合性化合物
「アロンオキセタンOXT−221」 20部
(3)水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物
プロピレングリコールモノメチルエーテル 3部
(4)水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物
ブチルセロソルブ 2部
(5)カチオン性光重合開始剤
「サイラキュアUVI−6992」 5部
(6)顔料
ミネラルスピリットにて湿潤されているリーフィングアルミニウムペースト(東洋アルミニウム(株)製「0620MS」、有効成分=69%) 20部
上記の(1)、(2)、(3)、(4)、(6)を混合して十分撹拌し、その後(5)を加え再度十分攪拌し、紫外線硬化型塗料組成物であるシルバーベースコートを得た。
[比較例5]
表2に示す組成にもとづき、実施例5と同様の操作で紫外線硬化型塗料組成物であるシルバーベースコートを得た。
【0136】
実施例1〜5、比較例1〜5の各紫外線硬化型塗料組成物を、ティンフリースチール板にポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートした基材上に塗膜量60mg/dm2になるように塗装し、それぞれ紫外線照射を行い、試験用試料板を得た。
【0137】
尚、紫外線の光源としては、顔料を含まない紫外線硬化型塗料およびシルバーベースコートは、フュージョン社製Dバルブ(240W/cm)、ホワイトベースコートは、フュージョン社製Vバルブ(240W/cm)をそれぞれ用い、いずれもコンベア速度40m/minの速度で通過させて紫外線照射を行った。
[評価方法]
各試料板について次の試験を行い評価した。
1.鉛筆硬度
JIS K5400に準拠し、常温で三菱鉛筆「ユニ」(登録商標)により塗膜が剥離しない最高硬度を表示。紫外線照射10秒後、30秒後の鉛筆硬度を測定。
◎;F以上
○;HB
△;B
×;2B以下
2.インキ転移性評価
各塗料から得られる、紫外線照射後1分以内の硬化塗膜の上に、油性の印刷インキ(墨)をRIテスターにて全面印刷し、転移したインキの濃度を目視評価した。RIテスターの回転速度は40rpm、100rpmの2水準にて評価を行った。
◎;良好
○;ほぼ良好
△;濃度は劣るが実用レベル
×;実用外レベル
それぞれの評価結果を表3に示す。
【0138】
【表1】

【0139】
【表2】

【0140】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光カチオン重合性化合物(A)、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)及びカチオン性光重合開始剤(C)を含有してなる紫外線硬化型塗料組成物であって、光カチオン重合性化合物(A)と、水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)との重量比が(A):(B)=99:1〜80:20であることを特徴とする紫外線硬化型塗料組成物。
【請求項2】
光カチオン重合性化合物(A)が、エポキシ基を有する化合物及び/またはオキセタン基を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化型塗料組成物。
【請求項3】
水酸基を1個有し、それ以外の反応性官能基を有さない化合物(B)が、ポリオール化合物中の水酸基が1個残存し、その他の水酸基がアルコキシ化された化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の紫外線硬化型塗料組成物。
【請求項4】
顔料(D)を含有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の紫外線硬化型塗料組成物。
【請求項5】
金属板、プラスチック板、プラスチック被覆金属板及びこれらの板を成型してなる缶からなる群より選ばれる少なくとも1種の被覆に用いられることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の紫外線硬化型塗料組成物。
【請求項6】
請求項1ないし4いずれか記載の紫外線硬化型塗料組成物から形成される硬化塗膜で被覆されてなる被覆物。


【公開番号】特開2008−19370(P2008−19370A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193708(P2006−193708)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】