説明

紫外線硬化性パテ組成物

本発明は、高エネルギー放射線によって硬化可能なパテ組成物であって、A)少なくとも1つのオレフィン性不飽和基を有する、ラジカル重合可能な少なくとも1種の化合物と、B)少なくとも1種の充填剤とを含み、少なくとも1種の充填剤または充填剤の混合物が、充填剤の全体積に対して8体積%以下の充填剤粒子が1.9μm以下の粒度を有するような粒度分布を有し、かつ車体およびその一部の補修塗装に特に用いることができるパテ組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高エネルギー放射線によって硬化可能なパテ組成物および多層コーティングのための方法に関し、ここで、パテ組成物および少なくとも1種の他の塗料組成物が基材に塗布される。パテ組成物および多層コーティングのための方法は、車体およびその一部の補修塗装の分野に特に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
高エネルギー放射線、特に紫外線によって硬化可能な塗料組成物を、自動車塗装、特に自動車補修塗装に用いることが知られている。同様に、自動車塗装および自動車補修塗装に関して、紫外線によって硬化可能な塗料組成物から、パテ、プライマー、プライマーサーフェーサー、ベースコートおよび/またはクリアコート層などの様々な層の多層構造を製造することが知られている。
【0003】
紫外線硬化系が好ましい特性を有することは明白であるが、紫外線によって硬化可能な公知のパテ組成物はまだいくつかの欠点を示す。
【0004】
パテ組成物が従来どおり塗布された膜厚が非常に厚い(例えば約1〜2mmの膜厚)ため、およびパテ組成物における充填剤の割合が非常に高い(例えば全パテ組成物に対して50〜80重量%)ため、紫外線を用いて硬化を行う際に、厚いパテ層の適切で完全な硬化を実現するには問題がある。硬化手順に必要な紫外線は、所要の強度で膜内に十分に深く浸透しない。このため、不十分な硬化が、例えば、基材への付着、塗料の硬度および研磨性(sandability)に悪影響を及ぼす。
【0005】
例えば、ガラス玉、あるいは特定の色の有機または無機顔料などの紫外線透過または紫外線吸収物質などの高レベルの光透過率を有する充填剤を導入することによって、比較的厚い膜の硬化を改善するための試みが既になされてきた。
【0006】
国際公開第97/33928号パンフレットには、例えば、可視光によって硬化可能な、シートメタルの補修用の光硬化性一液性パテ組成物が記載されている。このパテ組成物は、33.3〜73.5重量%のビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、0.7〜33.3重量%の光重合性(メタ)アクリレート、25.7〜33.3重量%の、1分子当たり2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する光重合性ウレタンオリゴマーならびに光開始剤としてのα−ジケトン、光増感剤としての第3級アミンおよび光反応促進剤としてのオニウム塩を含む。さらに、パテ組成物は、高い光透過率を有する充填剤を含む。有用な充填剤の例は、無機微小中空球状充填剤(例えばガラス球)、ならびに、超微細酸化亜鉛粒子、超微細二酸化チタン粒子および超微細硫酸バリウム粒子などの、平均して約0.02μmの粒度を有する超微細粒子である。ガラスでできた充填剤には、例えば、その比較的高いレベルの硬度のために、最適研磨性に悪影響を及ぼし得るという欠点がある。
【0007】
さらに、欧州特許第983 801号明細書には、紫外線硬化性パテ原料を塗布する工程と、パテ原料を紫外線硬化させる工程と、紫外線硬化性プライマーサーフェーサーを塗布する工程と、プライマーサーフェーサーを紫外線硬化させる工程とを含む、車両の塗装面への損傷を補修するための方法が記載されている。このパテ原料は、20〜30重量%の紫外線重合性プレポリマー、15〜30重量%の紫外線重合性モノマー、1〜10重量%の紫外線重合開始剤、40〜60重量%の顔料、1〜30重量%の紫外線透過材料および/または紫外線吸収材料ならびに1〜5重量%の非反応性樹脂を含む。この紫外線透過材料および/または紫外線吸収材料は、青紫色ないし紫色の有機または無機顔料であるが、パテは、さらに、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、粘土およびタルクなどの従来の体質顔料を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ここに示される溶液では、上記の問題を完全に十分に解決することができなかった。したがって、厚い膜厚で塗布され、基部にいたるまでの完全に完成した硬化を確実にし、また非常に優れた研磨性も有する、特に自動車補修塗装に用いるための紫外線硬化性パテ組成物が依然として必要とされている。パテ層は、基材に非常によく付着し、また塗装の縁部領域における優れた付着性および他の塗装系を上塗りするための優れた能力も有するべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、高エネルギー放射線によって硬化可能なパテ組成物であって、
A)少なくとも1つのオレフィン性不飽和基を有する、ラジカル重合可能な少なくとも1種の化合物と、
B)少なくとも1種の充填剤とを含み、少なくとも1種の充填剤または充填剤の混合物が、充填剤の全体積に対して8体積%以下、好ましくは6体積%以下の充填剤粒子が1.9μm以下の粒度を有するような粒度分布を有するパテ組成物に関する。
【0010】
本発明はまた、基材の多層コーティングのための方法であって、
I)高エネルギー放射線によって硬化可能なパテ組成物のパテ層を基材に塗布する工程と、
II)前記パテ層を、高エネルギー放射線にそれを曝露することによって硬化する工程と、
III)他の塗料組成物の少なくとも1つの他のコーティング層をパテ層に塗布し、少なくとも1つの他のコーティング層を硬化する工程と
を含み、
ここで、パテ組成物が、
A)少なくとも1つのオレフィン性不飽和基を有する、ラジカル重合可能な少なくとも1種の化合物と、
B)少なくとも1種の充填剤とを含み、少なくとも1種の充填剤または充填剤の混合物が、充填剤の全体積に対して8体積%以下、好ましくは6体積%以下の充填剤粒子が1.9μm以下の粒度を有するような粒度分布を有する方法にも関する。
【0011】
意外にも、本発明によるパテ組成物を従来の厚い膜厚で用いたときに、基材に非常によく付着しかつ非常に優れた研磨性を有する完全に硬化されたパテコーティングが得られることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】Appyral(登録商標)15の粒度分布のグラフである。
【図2】Appyral(登録商標)22の粒度分布のグラフである。
【図3】Min Talc(登録商標)97−45の粒度分布のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を以下にさらに詳細に説明する。
【0014】
明確にするために別個の実施形態に関して上記および下記で説明される本発明のある特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることが理解されよう。これとは反対に、簡潔にするために単一の実施形態に関して説明された本発明の様々な特徴が、別個にまたは任意の副次的な組合せで提供することもできる。さらに、単数形での言及は、文脈から複数でないことが特に明記されない限り、複数形も含む(例えば、単数形(「a」および「an」)は1つ、または1つ以上を指すことがある)。
【0015】
本出願に記載された様々な範囲での数値の使用は、特に明記されない限り、記載の範囲内の最小値および最大値の前にいずれも「約」という用語があるかのように近似値として記載される。したがって、記載の範囲の上下にわずかに変動した値を用いて、範囲内の値とほぼ同じ結果を得ることができる。さらに、これらの範囲の開示においては、これらの範囲の最小端点および最大端点を含む最小値〜最大値の間の全ての値を含む連続した範囲が意図されている。
【0016】
高エネルギー放射線は、紫外線および電子線放射線を意味するものである。
【0017】
パテは、例えば金属に塗布され、かつ従来のプライマーまたはプライマーサーフェーサーを用いて補修するには大き過ぎる、基材の不均一領域の平滑化の目的で主に用いられる着色された、充填剤含量の高い塗料材料を意味するものである。パテは、石による傷または引っかき傷などの小さな不均一領域の平滑化にも、また、深さが最大1cmの比較的大きな不均一領域の被覆にも用いることができる(Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben[Roempp Dictionary of Coatings and Printing Inks]、531頁を参照)。
【0018】
充填剤は、塗布媒体に不溶であり、かつある技術的特性を得るかまたは高め、および/または最適な特性に作用するために、体積を増大させるために塗料材料中に用いられる粒子を含む物質である(Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben[Roempp Dictionary of Coatings and Printing Inks]、250頁;DIN 55943:2001−10;3.65を参照)。
【0019】
顔料は、周囲媒体に不溶である粉末または小板状の形態の着色剤である(Roempp Lexikon、Lacke und Druckfarben[Roempp Dictionary of Coatings and Printing Inks]、451頁を参照)。
【0020】
粒子という用語は、顔料または充填剤の画定された(delimitable)単位を意味するものである。これは、任意の形状を取ることができ、任意の構造を有することができる(DIN 55943:2001−10;3.136を参照)。
【0021】
粒度は、粒子の空間的範囲を特徴付けるための幾何学的測定値である(DIN53 206、1972年8月、2.を参照)。粒度は、様々なパラメータによって示され得る。
【0022】
粒径:球状粒子の直径または非球状であるが規則的に画定された粒子の特徴的な寸法(DIN 53 206、1972年8月、2.1.を参照)。
【0023】
粒度分布:一連の粒子の粒度の統計(DIN 53 206、1972年8月、3.を参照)。実際には、経験的に決定された粒度分布が、例えば、表の形態で、ヒストグラムの形態のグラフで、または閉曲線の形態で示され得る。
【0024】
ここで、充填剤の粒度分布は、x軸に沿って粒度を示しおよびy軸に沿って充填剤の関連した重量パーセントまたは体積パーセントを示す粒度分布曲線によって特徴付けられ得る。充填剤の製造業者は、典型的に、d98%値またはd50%値として公知のものを規定する。d98%値は、例えば、「上部区域(upper section)」とも呼ばれ、充填剤の、特定の粒度を下回る重量パーセントまたは体積パーセントを特徴付ける。これは、例えば10μmのd98%値が、充填剤の総量に対して98重量%の充填剤粒子が10μmより小さいことを意味することを意味する。
【0025】
(メタ)アクリロイルまたは(メタ)アクリルは、アクリロイルおよび/またはメタクリロイルあるいはアクリルおよび/またはメタクリルを意味するものである。
【0026】
特に記載しない限り、本明細書で言及される全ての分子量(数平均分子量および重量平均分子量の両方)は、標準としてポリスチレンを用い、液相としてテトラヒドロフランを用いたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)によって決定される。
【0027】
本発明における粒度分布について記載した図は、レーザー回折方法によって動作する、Malvern Instruments Ltd.製のMastersizer 2000測定ユニット(Version 5.126)を用いた粒度および粒度分布の決定に基づくものである。この測定ユニットの製造業者が定めた手順にしたがって決定を行った。決定は、ISO規格13320−1(Particle size analysis−Laser diffraction methods)に基づいて行った。粒度として、測定されている粒子が球状であるものと仮定して粒径を決定した。用いられる技術は、粒子の体積を測定するものである。これにより、測定された粒子と同じ体積を有する球の直径が粒度として表されることになる。
【0028】
レーザー回折は、レーザー線を通す粒子がその粒度に直接関係する角度で光を散乱させることになることに依存するものである。粒度分布は、試料の散乱パターンをしかるべき最適モデルと比較することによって計算される。本発明では、最適モデルとしてミー理論を用いた。粒子について1.520の標準屈折率を用いた。
【0029】
試料の調製を、分散モジュールHydro 2000Sを用いて行った。分散剤流体は水であった。測定の前および測定中に試料を特別な方法で処理しなかった。
【0030】
基本的には、本発明に用いられる方法によって得られる結果と同等の結果が得られる限り、粒度を分析するのに他の測定方法または測定ユニットを用いることも可能である。また、粒子の密度が知られている限り、粒子の重量パーセントに基づいた1つの方法で得られる結果は、粒子の体積パーセントに換算することができる。
【0031】
まず初めに、本発明によるパテ組成物をさらに詳細に説明する。
【0032】
本発明によるパテは、それぞれ全パテ組成物に対して、20〜80重量%、好ましくは30〜60重量%の、紫外線によって硬化可能な化合物A)、および20〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の充填剤B)を含む。好ましくは、パテ組成物は、全パテ組成物に対して、80〜95重量%の成分A)およびB)を含有する。
【0033】
パテ組成物は、成分A)として少なくとも1つのオレフィン性不飽和基を有する高エネルギー放射線によって硬化可能な化合物を含有する。成分A)として用いられてもよい、高エネルギー放射線によって硬化可能な化合物は、ラジカル重合によって放射線硬化可能である任意の従来の化合物を含む。ラジカル重合可能な化合物は、1分子当たり、少なくとも1つのオレフィン性不飽和基、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜5つのオレフィン性不飽和基を有する。この化合物は、100〜10,000、好ましくは200〜5,000のC=C当量を有し得る。
【0034】
当業者は、かかる化合物を認識しており、所望の機能性(functionality)を得るための従来の方法にしたがってそれらを製造することができる。
【0035】
ラジカル重合可能な化合物A)は、低分子化合物ならびに、分子中に少なくとも1つの重合性オレフィン性不飽和基を含むポリマーまたはオリゴマーなどのプレポリマーを含んでもよい。重合性オレフィン性不飽和基は、例えば、(メタ)アクリロイル、ビニル、アリル、マレエートおよび/またはフマレート基の形態で存在してもよい。特に好ましいオレフィン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基である。(メタ)アクリロイル基は、他のオレフィン性不飽和基と組み合わせて存在してもよい。
【0036】
化合物A)の例は、(メタ)アクリロイル官能性(メタ)アクリルコポリマー、(メタ)アクリロイル官能性エポキシ樹脂、(メタ)アクリロイル官能性ポリエステル、(メタ)アクリロイル官能性ポリエーテル、(メタ)アクリロイル官能性ポリウレタン、ウレタン化合物、(メタ)アクリロイル官能性アミノ化合物、(メタ)アクリロイル官能性シリコーン樹脂、(メタ)アクリロイル官能性メラミン樹脂、(メタ)アクリロイル基以外の不飽和基を有する不飽和ポリウレタンまたは不飽和ポリエステルである。(メタ)アクリロイル官能性(メタ)アクリルコポリマー、(メタ)アクリロイル官能性ポリエステル、(メタ)アクリロイル官能性ポリエーテルおよび(メタ)アクリロイル官能性ポリウレタンおよびウレタン化合物が好ましい。これらの化合物の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500〜8,000の範囲である。この化合物は、個別にまたは混合物で用いてもよい。
【0037】
ラジカル重合可能な化合物A)は、紫外線硬化性モノマー反応性希釈剤も含んでもよい。この反応性希釈剤は、系において溶媒として働き、かつ塗料組成物の架橋反応に関与する反応性の重合性液体モノマーである。
【0038】
紫外線硬化性反応性希釈剤は、例えば500g/モル未満の分子量を有するラジカル重合可能な低分子量モノマー化合物である。この反応性希釈剤は、単不飽和、二不飽和または多価不飽和モノマーであってもよい。単不飽和反応性希釈剤の例は、(メタ)アクリル酸およびそのエステル、マレイン酸およびその半エステル、酢酸ビニル、ビニルエーテル、置換されたビニルウレア、スチレン、ビニルトルエンである。二不飽和反応性希釈剤の例は、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタン−1,3−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレートである。多価不飽和反応性希釈剤の例は、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレートである。この反応性希釈剤は個別に用いてもよく、または好適な組合せの反応性希釈剤の混合物を用いてもよい。
【0039】
好ましい反応性希釈剤は、1分子当たり1つのオレフィン二重結合を有する、ラジカル重合可能なα,β−オレフィン性不飽和モノカルボン酸のエステルである。これらは、オレフィン性不飽和モノカルボン酸と、脂肪族、脂環式または芳香族アルコールとのエステルである。考えられるオレフィン性不飽和モノカルボン酸は、例えば、メタクリル酸、クロトン酸およびイソクロトン酸である。アルコールは、特に、1分子当たり1〜20個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式または芳香族、一価分岐または非分岐アルコールを含む。(メタ)アクリル酸のエステルが好ましい。脂肪族アルコールとの(メタ)アクリル酸エステルの例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートおよび対応するメタクリレートである。脂環式アルコールとの(メタ)アクリル酸エステルの例は、シクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートおよび対応するメタクリレートである。脂環式(メタ)アクリレートはまた、任意に置換されていてもよい。置換基は、例えば、1つ以上、例えば3つ以下のアルキル基、特に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を含む。芳香族アルコールとの(メタ)アクリル酸エステルの例は、ベンジル(メタ)アクリレートである。イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびそれらの誘導体などの、脂環式アルコールとの(メタ)アクリル酸エステルは、反応性希釈剤として特に好ましい。好ましい反応性希釈剤は、さらなる反応性希釈剤と組み合わせて用いられてもよい。
【0040】
パテ組成物は、成分A)の総量を基準にして、例えば40〜70重量%のポリマーおよび/またはオリゴマープレポリマーと、30〜60重量%のモノマー反応性希釈剤とを含有することができる。
【0041】
高エネルギー放射線によって硬化可能なパテ組成物はまた、高エネルギー放射線によってラジカル重合可能な成分に加えて、さらなる硬化機構によって化学的に架橋可能な他の成分、例えばバインダーおよび/または反応性希釈剤を含有してもよい。用いられてもよい化学的に架橋するバインダーは、例えば、ヒドロキシ官能性成分およびイソシアネート官能性成分、ヒドロキシ官能性成分および無水物成分、ポリアミン成分およびエポキシド成分ならびにマイケル反応によって互いに反応することができる成分をベースとする任意の所望の二液性バインダー系である。ラジカル重合可能なさらなる官能基および基は、この場合、同じバインダーおよび/または別のバインダーに存在してもよい。
【0042】
本発明によるパテ組成物は、少なくとも1種の充填剤(成分B)を含有する。本発明にしたがって用いられるべき充填剤は、特定の粒度分布を特徴とする。このパテ組成物は、充填剤の全体積に対して8体積%以下、好ましくは6体積%以下の充填剤粒子が1.9μm以下の粒度を有するような粒度分布を特徴とする。これは、パテ組成物が非常に低い割合の微粒子を有することを意味する。粒度分布における粒度の上限は重要でなく、従来から充填剤に典型的な大きさの範囲内である。例えば、充填剤の全体積に対して98体積%以下の充填剤粒子が100μm以下の粒度を有してもよい。
【0043】
充填剤は、上記の要件を満たす、塗料組成物、特にパテ組成物に従来用いられる充填剤であり得る。用いられる充填剤の例は、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムなどのカーボネート、硫酸バリウムおよび硫酸カルシウムなどのサルフェート、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびタルク(含水ケイ酸マグネシウム)などのシリケート、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなどの水酸化物ならびに二酸化ケイ素である。
【0044】
本明細書では、微粒子の割合に対する前記制限を満たす場合、従来どおりに得られる充填剤が使用可能であり、ここで、用いられる充填剤のそれぞれは、権利請求される粒度分布に対応する必要があり、または充填剤の組合せは、微粒子の割合に対する前記制限を満たす必要がある。
【0045】
上記の基準を満たす充填剤のうち、1.5〜1.8の屈折率および約1〜5のモース硬度を有する充填剤がさらに好ましい。特に好ましい充填剤は、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)および/または水酸化アルミニウムであり、これは、単独でまたは互いに組み合わせて粒度および粒度分布の上記の要件を満たさなければならない。タルクと水酸化アルミニウムとの組合せが最も好ましい。
【0046】
充填剤は、基本的に、個別にまたは互いに組み合わせて使用されてもよい。
【0047】
必要に応じて、充填剤粒子の全体積に対して10体積%以下の他の充填剤または成分B)以外の充填剤の混合物を用いてもよい。
【0048】
本発明によるパテ組成物は、成分A)のラジカル重合のための1つ以上の光開始剤を含有する。好適な光開始剤としては、例えば、190〜600nmの波長域で吸収する光開始剤が挙げられる。光開始剤は、例えば、ラジカル重合可能なバインダー、反応性希釈剤および光開始剤の合計に対して、0.1〜10重量%、好ましくは0.4〜5重量%の量で存在してもよい。好適な光開始剤の例は、ベンゾインおよびその誘導体、アセトフェノンおよびその誘導体、例えば2,2−ジアセトキシアセトフェノン、ベンゾフェノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、アントラキノン、1−ベンゾイルシクロヘキサノール、ならびにアシルホスフィンオキシドなどの有機リン化合物である。光開始剤は、個別にまたは組み合わせて用いられてもよい。
【0049】
本発明によるパテ組成物は、顔料を含有してもよい。顔料は、従来の有機または無機顔料を含む。さらに、塗装業界において使用可能な耐食顔料も用いてよい。顔料の例は、二酸化チタン、微粉化二酸化チタン、酸化鉄顔料、カーボンブラック、アゾ顔料、およびパテ組成物を調製するために用いられるような従来の顔料である。耐食顔料の例は、リン酸亜鉛である。
【0050】
パテ組成物は、塗料組成物、特にパテ組成物に従来用いられる添加剤をさらに含有してもよい。パテ組成物に従来用いられる添加剤の例は、流れ調整剤、沈降防止剤および付着促進剤である。これに関して、特に、好ましくは不飽和基も含むホスフェートをベースとする付着促進剤を用いることが好都合である。
【0051】
添加剤は、当業者に公知の従来の量で用いられる。
【0052】
本発明によるパテ組成物は、水および/または有機溶媒を含有してもよい。しかしながら、本組成物はまた、有機溶媒および水を含まない100%系の形態を取っていてもよい。このパテ組成物は、例えば0〜10重量%の水および/または有機溶媒を含有してもよい。
【0053】
パテ組成物は、当業者に公知の従来の方法で、例えば溶解機における混合によって製造される。
【0054】
特に好ましいパテ組成物は、
A)ラジカル硬化可能な少なくとも1種の化合物であって、
A1)少なくとも1つのオレフィン性不飽和基、好ましくは少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種のオリゴマーまたはポリマープレポリマー40〜70重量%、
A2)分子中に1つのオレフィン性不飽和基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種のモノマー反応性希釈剤20〜40重量%、および
A3)分子中に少なくとも2つの、好ましくは2つまたは3つのオレフィン性不飽和基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する少なくとも1種のモノマー反応性希釈剤0〜20重量%
から構成され、成分A1)、A2)およびA3)の重量%の合計が100重量%になる成分A)を30〜60重量%と、
B)タルク、水酸化アルミニウムまたはそれらの混合物を好ましくは含む上記のような少なくとも1種の充填剤を40〜70重量%とを含み、成分A)およびB)の重量%の合計が100重量%になる。
【0055】
このパテ組成物は、全パテ組成物に対して80〜95重量%の成分A)およびB)を含有するのが好ましい。
【0056】
本発明はまた、上記のパテ組成物を用いた多層コーティングのための方法にも関する。
【0057】
本方法によれば、パテ層は、基材上に直接塗布される。基材は、例えば、鉄、鋼、亜鉛めっき鋼、アルミニウムおよび亜鉛などの金属基材、あるいはプラスチック基材であり得る。基材は、特に、自動車の車体またはその一部である。パテは、基材の金属またはプラスチック部分、好ましくは自動車の車体またはその一部、あるいは既に塗られている塗装に塗布され得る。塗布は、公知の方法を用いて行われてもよい。パテは、従来の方法で塗布されてもよく、はけによって塗布可能であり、ナイフで塗布可能であり、またはスプレー可能である。パテは、種類に応じて、1つ以上の層で塗布される。パテは、例えば、1〜2mmの乾燥膜厚が得られるように塗布される。
【0058】
パテ組成物を基材に塗布したら、パテ層を、任意にフラッシュオフ(flash−off)段階の後、高エネルギー放射線、好ましくは紫外線に曝露する。使用可能な紫外線源は、180〜420nm、特に200〜400nmの波長域で放射するものである。紫外線源は、通常、可視光または赤外線の波長域でも放射することは言うまでもない。必要に応じて、フィルタを用いてこれらの放射を低減するかまたはなくすことができる。紫外線源の例は、任意にドープした高圧、中圧および低圧の水銀蒸気放射器、低圧のキセノンランプなどのガス放電管、非パルス状(unpulsed)紫外線レーザー、ならびに紫外線発光ダイオードおよびブラックライト管などの紫外点光源放射器(UV point source emitter)である。
【0059】
しかしながら、これらの連続して動作する紫外線源に加えて、不連続な紫外線源、例えばパルス状紫外線レーザーまたは「高エネルギーフラッシュ機器(flash installation)」(紫外線フラッシュランプの略称で知られている)を用いることも可能である。紫外線フラッシュランプは、例えば、キセノンなどの不活性ガスを満たされた石英管といった複数のフラッシュ管を含有してもよい。紫外線源として紫外線フラッシュランプが用いられるときの紫外線照射時間は、選択されたフラッシュ放出回数に応じて、例えば、1ミリ秒間〜400秒間、好ましくは4〜160秒間の範囲であり得る。フラッシュは、例えばほぼ毎秒起こされ得る。例えば1〜40回の連続的なフラッシュ放出によって硬化が起こり得る。連続的な紫外線源が用いられる場合、照射時間は、例えば、数秒間〜約5分間、好ましくは5分間未満の範囲であり得る。
【0060】
さらに、UV−Aランプ、すなわち、実質的にUV−A放射線を放射する紫外線源を用いて、本発明のパテ組成物を硬化することができる。実質的にUV−A放射線を放射する紫外線源は、UV−B:UV−A比が1未満、好ましくはUV−B:UV−A比が0.5未満、特に好ましくはUV−B:UV−A比が0.2未満の紫外線を放射し、かつ実質的にUV−C放射線を放射しない紫外線源である。
【0061】
紫外線源の所要のスペクトル出力(UV−B:UV−A比、実質的にUV−C放射線を含まない)は、所要の比率で所要の波長の紫外線を直接放射する紫外線ランプを用いることによって、または適切なフィルタと組み合わせて従来の紫外線源を用いることによって生成することができる。例えば、特定のフィルタを用いて280〜440nmの波長の紫外線を生成することができる。所与の放射線源のスペクトル出力は、関連する波長における検出感度が公知であるモノクロメータおよび光検出器を含むエネルギー分散型分光器で測定することができる。UV−B:UV−A比は、それぞれの波長域のスペクトル出力の強度を積分することによって求めることができる。適切な測定機器が、市販されており、紫外線技術の分野の当業者に周知である。
【0062】
好適なUV−Aランプは市販されている。好適なUV−Aランプの例は、Dr.Hoenle GmbH製のランプ「UVA hand 250」である。
【0063】
基本的に、紫外線源と照射される基材表面との間の距離は、例えば2〜60cmであってもよい。通常の放射線時間は、例えば1〜5分間の範囲である。
【0064】
パテ組成物がさらなる架橋機構によって硬化するバインダーを含有する場合、塗装は、照射動作の後、室温で完全に硬化させるために、例えば16〜24時間放置しておいてもよい。例えば、30〜130℃、好ましくは40〜80℃といった、より高い温度で完全な硬化を行うことも可能である。完全な硬化は、従来の方法によって、例えば温められた室において、または赤外線を用いて行ってもよい。硬化温度に応じて、例えば1〜60分間の硬化時間が可能である。熱硬化はまた、当然ながら、照射段階の前または照射段階の前と後に行ってもよい。
【0065】
本発明による方法にしたがって、パテ層を高エネルギー放射線によって硬化させてから、そのパテ層に少なくとも1つのさらなるコーティング層を上塗りする。通常、パテ層には、プライマーおよび/またはプライマーサーフェーサーならびにトップコートが上塗りされる。
【0066】
自動車塗装および自動車補修塗装業界で公知であるように、従来の水性または溶剤系のプライマーおよびプライマーサーフェーサーを用いることができる。
【0067】
次に、プライマーおよび/またはプライマーサーフェーサーの層に、トップコートを上塗りする。トップコート層は、着色された塗料組成物(塗装される基材に所望の色および/または効果を与えるベースコート組成物)の層と、透明クリアコート組成物の層とを含み得る。あるいは、トップコート層は、塗装される基材に所望の色および/または効果を与える着色された一段塗料組成物の層を含んでもよい。この時点で用いられるべきベースコート、クリアコートおよび着色された一段トップコート組成物については、特に制限は適用されない。
【0068】
当業者に公知で、自動車塗装、特に自動車補修塗装において通常の任意の溶剤系または水性のベースコート組成物が好適である。着色されたベースコート組成物および一段トップコート組成物は、塗装に所望の色および/または効果を与える色付与性(colour−imparting)および/または特殊効果付与性(special effect−imparting)顔料を含有する。
【0069】
パテ層に塗布されるコーティング層の硬化は、室温で進行させても、または例えば40〜80℃もしくはそれ以上の温度(例えば最高で130℃)で加速させてもよい。紫外線によって硬化可能な塗料組成物は、ベースコート、クリアコートおよび/またはトップコート層を調製するための一段トップコート組成物としても適している。
【0070】
本発明による方法は、車両の塗装、例えば乗用車および輸送用車両の塗装に特に用いることができる。本方法は、塗装面への損傷を補修するための、車体およびその一部の補修塗装に用いることができることが特に好都合である。
【0071】
本発明によるパテ組成物は、様々な金属基材だけでなく、プラスチック基材および既に塗られている塗装に対する非常に優れた付着性、ならびに比較的膜厚の薄い、塗装の縁部領域においても問題のない付着性を塗装に与えるものである。特に塗装の縁部領域における付着性が不十分だと、該当箇所における跡が、トップコート層まで透けて現れることがある。本塗装は、許容される硬度および非常に優れた研磨性を有する。研磨紙の目詰まりは全くないか、非常に限られた程度に過ぎない。硬化されたパテ層に、他のコーティング層を上塗りして、高品質を得ることができる。
【0072】
以下の実施例は、本発明をより詳細に例示するものである。
【実施例】
【0073】
実施例1
本発明によるパテの調製
以下の成分を、溶解機を用いて従来の方法で調製してパテを得た。
24.48重量部の市販されている紫外線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(Roskydal UA LS 2258;Bayer AG)、
10.50重量部のイソボルニルアクリレート(UCB)、
0.21重量部の市販されている流れ調整剤(Byk 410;Byk Chemie)、
5.28重量部の市販されている沈降防止剤(Antiterra U;Byk Chemie)、
27.18重量部の市販されている含水ケイ酸マグネシウムベースの充填剤(Min Talc(97−45x);Mines Minerals)、
27.18重量部の市販されている水酸化アルミニウムベースの充填剤(Apyral 15;Nabaltec)、
0.92重量部の市販されている光開始剤(Irgacure 819;Ciba)、
0.62重量部の市販されている光開始剤(Darocure 1173)、
3.22重量部の市販されている流れ調整剤(Bentone 38;Elementis)、
1.49重量部の市販されている不飽和リン酸エステル(Ebecryl 171;UCB)
【0074】
比較例2
比較例としてのパテ1の調製
充填剤Apyral 15の代わりに、27.18重量部の、より高い割合の微粒子を含む充填剤(Apyral 22;Nabaltec)を用いた以外は実施例1と同様のパテを調製した。
【0075】
比較例3
比較例としてのパテ2の調製
充填剤Apyral 15およびMin Talc(97−45x)の代わりに、54.36重量部の、より高い割合の微粒子を含む充填剤(Apyral 22;Nabaltec)を用いた以外は実施例1と同様のパテを調製した。
【0076】
用いた充填剤(Apyral 15、Apyral 22、Min Talc(97−45x))の粒度分布を以下に分布曲線の形態で図1〜3に示す。製造業者が規定する条件下で、および本発明の明細書において説明されるように、Malvern Instruments Ltd.製のMastersizer 2000測定ユニット(Version 5.126)を用いて粒度分布を決定した。
【0077】
以下のパラメータを、粒度分布パラメータから決定した(≦は「以下」を意味する)。
【0078】
粒度 粒子の体積%
Appyral 15 ≦ 1.660 μm 5.44
≦ 1.905 μm 6.18
Min Talc 97-45x ≦ 1.660 μm 1.45
≦ 1.905 μm 1.85
Appyral 22 ≦ 1.660 μm 18.40
≦ 1.905 μm 20.30
【0079】
充填剤の混合物(Appyral 15とMin Talc(97−45x)との混合物(実施例1)およびAppyral 22とMin Talc(97−45x)との混合物(比較例2))のそれぞれの粒度範囲における粒子の体積パーセントを、個々の充填剤の数値(figure)および混合物における個々の充填剤の比率に基づいて計算した。
【0080】
Appyral 15とMin Talc 97−45との混合物(充填剤の重量比=50:50、充填剤の体積比=52.943:47.057):
粒度≦1.660μm:3.56体積%の粒子混合物
粒度≦1.905μm:4.14体積%の粒子混合物
【0081】
Appyral 22とMin Talcとの混合物(充填剤の重量比=50:50、充填剤の体積比=52.943:47.057):
粒度≦1.660μm:10.42体積%の粒子混合物
粒度≦1.905μm:11.62体積%の粒子混合物
【0082】
塗布実施例
実施例1ならびに比較例2および3にしたがって調製したパテ組成物を、パテナイフを用いて金属基材に塗布して、約2mmの乾燥膜厚を得た。
【0083】
塗布の直後に、それぞれを、紫外線フラッシュランプ(UV Flash Dry 15/700;Visit)を用いて放射線にさらした。放射は、約40秒にわたり20フラッシュで行った。
【0084】
次に、このように得られたパテ層の硬度および研磨性を試験した。これらの試験の結果を以下に示す。
【0085】

【0086】
これらの結果により、紫外線放射の後、本発明にしたがって調製したパテは、1.5mmの深さにおけるかなり良好な硬度を有し、また、問題なくかつ研磨紙の目詰まりを起こさずに研磨可能であることが示された。これに対して、比較例のパテは、深さにおいて完全に不十分なレベルの硬度を有し、研磨したときに、研磨紙が目詰まりを起こすのが早いことが観察される。
【0087】
(1)引っかき試験(fingernail test)によるいわゆる引っかき硬度(fingernail hardness)の決定
1.5mmの深さにおいて試験を行った。そのためにまず、パテ層に楔形の傷を付けた。
【0088】
結果を決定するのに以下の基準を用いた。
10−引っかきが貫通できなかった
8−引っかきによる非常にわずかな貫通が可能
6−引っかきによるわずかな貫通が可能
4−引っかきによる中程度の貫通が可能
2−引っかきによるかなりの程度の貫通が可能
0−引っかきによる非常に顕著な貫通が可能
【0089】
(2)1.5mmの深さにおいて研磨紙P 120を用いて偏心研磨(eccentric sanding)動作を行った。そのためにまず、0.5mmの膜厚を残してパテ層を取り除いた。評価の際、「良好」は、研磨紙の目詰まりのない良好な研磨性を意味し、「不良」は、研磨性が低く、研磨紙が目詰まりを起こすのが早いことを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギー放射線によって硬化可能なパテ組成物であって、
A)少なくとも1つのオレフィン性不飽和基を有する、ラジカル重合可能な少なくとも1種の化合物と、
B)少なくとも1種の充填剤とを含み、前記少なくとも1種の充填剤または充填剤の混合物が、充填剤の全体積に対して8体積%以下の充填剤粒子が1.9μm以下の粒度を有するような粒度分布を有するパテ組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の充填剤または充填剤の混合物が、充填剤の全体積に対して6体積%以下の充填剤粒子が1.9μm以下の粒度を有するような粒度分布を有する請求項1に記載のパテ組成物。
【請求項3】
パテ組成物の総量を基準にして、20〜80重量%の成分A)と、20〜80重量%の成分B)とを含む請求項1または2に記載のパテ組成物。
【請求項4】
パテ組成物の総量を基準にして、30〜60重量%の成分A)と、40〜70重量%の成分B)とを含む請求項3に記載のパテ組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の充填剤B)が1.5〜1.8の屈折率を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のパテ組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の充填剤B)が1〜5のモース硬度を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のパテ組成物。
【請求項7】
充填剤の全体積に対して98体積%以下の前記充填剤粒子が100μm以下の粒度を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のパテ組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の充填剤B)が、タルク、水酸化アルミニウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される請求項1〜7のいずれか一項に記載のパテ組成物。
【請求項9】
基材の多層コーティングのための方法であって、
I)請求項1〜8のいずれか一項に記載のパテ組成物のパテ層を基材に塗布する工程と、
II)前記パテ層を、高エネルギー放射線にそれを曝露することによって硬化する工程と、
III)他の塗料組成物の少なくとも1つの他のコーティング層を前記パテ層に塗布し、前記少なくとも1つの他のコーティング層を硬化する工程と
を含む方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの他の塗料組成物が、プライマーサーフェーサー組成物およびトップコート組成物を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記トップコート組成物が、色彩効果および/または特殊効果を与えるベースコート塗料組成物および前記ベースコート塗料組成物上に塗布される透明クリアコート塗料組成物を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記トップコート組成物が、着色された1層のトップコート組成物を含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記基材が車体またはその一部である請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
車体またはその一部を補修塗装するための方法である請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−501662(P2010−501662A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525555(P2009−525555)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/017672
【国際公開番号】WO2008/024208
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】