Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物
説明

紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物

【課題】耐候性及び透明性に優れ、基材との密着性、加工性、各種の耐性に優れた塗膜を短時間で形成し得る安価な紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ラジカル重合性不飽和単量体を含む重合性組成物を多段乳化重合してなる重合体の水性分散体であって、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤の存在下に、特定の構造を有する重合性紫外線安定剤を必須成分とする重合性組成物を最終段階で重合せしめた重合体の水性分散体(A)と、紫外線吸収能を有し、且つチッソ吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m2/gである金属酸化物(B)とを含有する、膜厚2〜5μmにおいてヘイズが1%以下の乾燥膜を形成し得る、紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線遮断能を備えた、長期耐候性にも優れる水系コーティング用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で用いられる塗膜が、紫外線への暴露によって劣化することは周知である。紫外線による劣化は250〜400nmの波長の光が原因であり、この範囲の光を防ぐ事が望まれる。包装等に用いられる材料の多くは、400nm以上の波長の可視光は透過して透明であることが必要とされている。
紫外線による塗膜劣化を防止するために、塗膜は紫外線吸収剤を含むことが一般的である。塗料に添加して紫外線を吸収する材料としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、サリチル酸フェニル等のような有機化合物が知られている。
しかし、有機紫外線吸収剤は、有機物であるために劣化が起り易く、塗膜からの溶出、分解などによって効力が経時的に低下する傾向が見られる。これらはしばしば黄変の原因となる。
【0003】
上記問題に対し、平均粒径0.1μm以下の微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウムなどは同様に紫外線を選択的に吸収する性質を有し、化学的に安定であることから有機紫外線吸収剤に代わって塗料に配合することが提案されている。
しかし、可視光の透過性に優れる塗膜を形成するためには、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の粉末を多量には添加できないため、紫外線の吸収が完全ではない。
また、これらの材料は、屈折率が約1.9〜2.8であり、一般的な塗膜形成性材料の屈折率との乖離が大きい為、高い機能を得る為に高濃度で使用すると、塗膜にしたときの透明性が得られないといった問題がある。
さらに、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等は紫外線によりラジカルを発生し塗膜のバインダーである有機樹脂を劣化させて、結果として塗膜の耐候性を悪化させてしまう問題がある。したがって有機樹脂自体にも高度な耐候性が要求される。
【0004】
ところで、微粒子の可視光散乱強度は、その粒子と媒質とが有する屈折率にも依存するが、一般的に粒径が波長の1/2付近で最大となり、それよりも粒径が小さくなるとレイリーの散乱式から示される様に、粒径の6乗に比例して散乱強度は小さくなっていく。よって可視光(波長が400〜800nm)に対しては、粒径が200〜400nmの時に散乱強度が最大となり、それ以下になるにつれて散乱強度が低下(透明化)していくことになる。即ち、一次粒子径の小さな粒子を高度に分散することが透明性の確保に関しては不可欠となる。
しかし、金属酸化物の様な無機粒子を溶剤やポリマー中に分散する場合、無機粒子の表面張力は媒質の表面張力に比べて大きい為、二者間の表面張力の乖離が大きくなる程、粒子と媒質との界面における界面エネルギーも大きくなり粒子は凝集する。
また、一次粒子径の小さな無機粒子を使用するということは、同時に粒子の比表面積が増大することを意味し、結果、粒子同士の接触機会が増え、凝集傾向が強くなり、安定した分散体を得ることが更に難しくなる。
【0005】
特許文献1には、10m2/g以上60m2/g以下の比表面積を有する酸化亜鉛粉末を、塗料固形分中30〜80wt%含有する紫外線吸収塗料が開示されている。特許文献1には、「透明」紫外線吸収塗料と記載される。しかし、特許文献1に開示される紫外線吸収塗料から形成される塗膜は、それ自体はヘーズ値が高く、けっして透明性に優れるものではない。特許文献1は、あまり透明性に優れない塗膜の上に透明な樹脂だけの塗料をオーバーコートすることによって、透明な塗膜が得られることを開示するものである。
【0006】
特許文献2には、一次粒子径が0.1μm以下の酸化亜鉛を単分散させた透明紫外線吸収酸化亜鉛塗料材料を用いて、ヘイズ値0.5%程度のかなり透明性に優れる塗膜を形成し得る旨記載されている。
しかし、特許文献2記載の塗料は、酸化亜鉛とポリエステル樹脂とをサンドミルで8時間混合後に超音波処理し、合計45時間かけて分散したものである。超音波分散機は分散する力が比較的弱いので、上記のように分散に長時間を要したものと推測される。このような長時間の分散は非効率的であり、工業的な生産には不適当である。
【特許文献1】特開平1−217084公報
【特許文献2】特開平2−169673公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、長期耐候性及び透明性に優れ、基材との密着性、加工性、各種の耐性に優れる塗膜を短時間で形成し得る安価な紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、ラジカル重合性不飽和単量体を含む重合性組成物を多段乳化重合してなる重合体の水性分散体であって、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤の存在下に、一般式(1)で示される重合性紫外線安定剤を必須成分とする重合性組成物を最終段階で重合せしめた重合体の水性分散体(A)と、紫外線吸収能を有し、且つチッソ吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m2/gである金属酸化物(B)とを含有する、膜厚2〜5μmにおいてヘイズが1%以下の乾燥膜を形成し得る、紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物に関する。
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、R1は水素原子又はシアノ基を表し、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R4は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、−CO−C(R5)=CH(R6)を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表す。R5、R6はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表わす。)
【0011】
また本発明は、重合体の水性分散体(A)がラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する反応性乳化剤を使用して得られることを特徴とする上記の発明記載の紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物に関する。
【0012】
さらに本発明は、一般式(1)で示される重合性紫外線安定剤を必須成分とする重合性組成物を最終段階で重合せしめる際に、下記一般式(2)で示される重合性紫外線吸収剤を併用してなることを特徴とする上記いずれかの発明記載の紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物に関する。
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R7は水素原子又はメチル基を表し、Yは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
【0015】
また本発明は、シクロアルキル基がシクロヘキシル基であり、環状エーテル構造を有しないシランカップリング剤を用いることを特徴とする上記いずれかの発明記載の紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物に関する。
【0016】
さらにまた、本発明は、紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m2/gである金属酸化物(B)70〜95重量%と分散樹脂または分散剤30〜5重量%とを、2本ロールで混練するか、もしくは乾式粉砕装置で混練して予備分散体を得、
ラジカル重合性不飽和単量体を含む重合性組成物を多段乳化重合してなる重合体の水性分散体であって、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤の存在下に、一般式(1)で示される重合性紫外線安定剤を必須成分とする重合性組成物を最終段階で重合せしめた重合体の水性分散体(A)100重量部に対して、
前記予備分散体を、前記金属酸化物(B)が30〜200重量部となるように配合することを特徴とする紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、長期耐候性及び透明性に優れ、基材との密着性、加工性、各種の耐性に優れる塗膜を短時間で形成し得る安価な紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に用いられる重合体の水性分散体(A)は、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤の存在下に一般式(1)で示される重合性紫外線安定剤を必須成分とする重合性組成物を、多段乳化重合の最終段階で重合せしめてなるものである。重合性紫外線安定剤とシクロアルキル基を有するシランカップリング剤とを重合体粒子の最外層に共存させることにより、相溶性に優れた均質なコーティング膜が得られ、耐候性、特に、長期における光沢保持性をさらに向上させることができる。
尚、本発明にいう多段乳化重合とは、乳化重合の一種であって、二つ以上の異なる重合段階からなるものである。即ち、使用する単量体、乳化剤、重合開始剤等の相違する複数の重合段階を経る重合方法である。
【0019】
【化5】

【0020】
(式中、R1は水素原子又はシアノ基を表し、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R4は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、−CO−C(R5)=CH(R6)を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表す。R5、R6はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表わす。)
【0021】
本発明における重合性紫外線安定剤の具体例としては、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。これらは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0022】
本発明においては、前記例示の重合性紫外線安定剤の中でも特に、前記一般式(1)において、R1 が水素原子であり、R2 がメチル基であり、R3 が水素原子であり、R4 が水素原子またはメチル基であり、Xが酸素原子であるような化合物が、特に好ましい。このような化合物としては、具体的には、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等が挙げられる。
【0023】
上記重合性紫外線安定剤の含有量は、重合性紫外線安定剤、後述するシクロアルキル基を有するシランカップリング剤及び後述するラジカル重合性不飽和単量体の合計100重量%中に(後述する重合性紫外線吸収剤やアルコキシシリル基を有する重合性単量体を用いる場合にはこれらも含めて合計100重量%中に)、0.1〜60重量%であるのがよい。重合性紫外線安定剤が0.1重量%未満では耐候性向上の効果を十分に発揮しにくい。また60重量%を越えると重合反応が進行しにくくなり未反応モノマーが多量に残存し、また乳化重合の際に重合安定性も低下し凝集物が発生するので好ましくない。尚、本発明でいう「ラジカル重合性不飽和単量体」の中には、重合性紫外線安定剤、後述する重合性紫外線吸収剤やアルコキシシリル基を有する重合性単量体は含めないものとする。
【0024】
また、本発明においては、後述するようにアクリル酸等の重合性不飽和カルボン酸を最終段階の重合の前までに重合せしめておくことが好ましい。このような場合、上記重合性紫外線安定剤を最終段階で乳化重合させる前に、重合性不飽和カルボン酸に由来する−COOHをアンモニア水などの中和剤で中和し、予め反応液のpHを4.0以上に調整しておくことが好ましい。pHを調整しておかないと重合安定性が悪くなりやすい。
【0025】
また、本発明の水性分散体(A)は、使用する重合性紫外線安定剤の含有量に応じて様々な使い方ができる。
すなわち、重合性紫外線安定剤の含有量が、水性分散体(A)の固形分重量100重量%中0.1〜10重量%である場合、重合体の水性分散体そのものをコーティング剤として用い、長期耐候性に優れたコーティング膜が得られる。
また、重合性紫外線安定剤の含有量が10〜60重量%である場合には、アクリル、ウレタン、ポリエステル、エポキシ、アルキッド等の各種重合体の水性分散体の固形分で100重量部に対し、本発明の水性分散体を固形分で0.5〜5重量部を後添加することにより、長期耐候性向上用の添加剤として使用することができる。
【0026】
本発明の水性分散体(A)を得るにあたり、その重合工程において、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤を使用することが重要である。
シクロアルキル基を有するシランカップリング剤の具体例としては、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0027】
本発明においては、前記例示のシクロアルキル基を有するシランカップリング剤の中でも特に好ましい化合物としては、シクロヘキシル基を有し、かつ環状エーテル構造を有しない、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のように環状エーテル構造を有する化合物を使用した場合、この環状エーテル構造が塗膜中で−COOHと反応すると、水酸基が生じる。あるいは、この環状エーテル構造が−COOHと反応することなく単独で
開環重合した場合、ポリエーテル構造が形成される。これらの水酸基やポリエーテル構造の存在は、塗膜の耐水性を悪化させることがある。従って、シクロヘキシル基を有し、かつ環状エーテル構造を有しないシランカップリング剤を用いることが好ましい。
【0028】
シクロアルキル基を有するシランカップリング剤の含有量は、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤、重合性紫外線安定剤、後述するラジカル重合性不飽和単量体、必要に応じて使用し得る重合性紫外線吸収剤及び必要に応じて使用し得るアルコキシシリル基を有する重合性単量体の合計100重量%中に、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%であるのがよい。シクロアルキル基を有するシランカップリング剤の含有量が0.1重量%未満であると、耐候性および相溶性の向上効果が現れにくく、一方、10重量%を超えると、コーティング膜の耐水性が低下する傾向があるので好ましくない。
【0029】
本発明において多段乳化重合の際には、種々の乳化剤を用いることができるが、塗膜の耐水性向上の観点からは、ラジカル重合性と乳化剤としての機能を併せ持つ、いわゆる反応性乳化剤を用いることが好ましい。
本発明で好適に使用する反応性乳化剤としては、非ノニルフェノール構造の分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を1個以上有するアニオン性またはノニオン性の乳化剤が挙げられる。例えば、スルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば花王株式会社製ラテムルS−120,S−180P,S−180A,三洋化成株式会社製エレミノールJS−2等)やアルキルエーテル系(市販品としては、例えば第一工業製薬株式会社製アクアロンKH−05、KH−10、旭電化工業株式会社製アデカリアソープSR−10N、SR−20N、ER−10、20、30、40等)がある。
【0030】
乳化重合に際しては、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。これら乳化剤は、重合性紫外線安定剤、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤、後述するラジカル重合性不飽和単量体、後述するように必要に応じて使用し得る重合性紫外線吸収剤及び後述するように必要に応じて使用し得るアルコキシシリル基を有する重合性単量体の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部であることが好ましい。10重量部を超えると粒子径は小さくなるが、多量の乳化剤を使用するため、その悪影響として被膜の耐水性が悪くなる傾向にある。尚、本発明でいう「ラジカル重合性不飽和単量体」の中には、反応性乳化剤は、含めないものとする。
【0031】
本発明は多段乳化重合の最終段階において、一般式(2)で示される重合性紫外線吸収剤をさらに共重合せしめることが好ましい。
【0032】
【化6】

【0033】
(式中、R7は水素原子又はメチル基を表し、Yは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
【0034】
本発明における重合性紫外線吸収剤の具体例としては、 2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−t−ブチル−3'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
これらの中でも、特に2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールが好ましい。
【0035】
前記重合性紫外線吸収剤の含有率は、重合性紫外線吸収剤、重合性紫外線安定剤、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤、後述するラジカル重合性不飽和単量体及び後述するように必要に応じて使用し得るアルコキシシリル基を有する重合性単量体の合計100重量%中に、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%であるのがよい。重合性紫外線吸収剤の含有率が、0.1重量%未満であると、耐侯性の相乗向上効果が現れにくい。一方、10重量%を越えると、重合安定性が悪く、しかも一般に重合性紫外線吸収剤は高価であり、コスト的に不利となるため、好ましくない。
【0036】
本発明において、コーティング膜に架橋構造を導入して各種物性を向上させ、かつ、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤と、重合性紫外線安定剤やラジカル重合性不飽和単量体等との相溶性を高め、耐候性向上の相乗効果を現すために、重合の際にアルコキシシリル基を有する重合性単量体を使用することができる。
アルコキシシリル基を有する重合性単量体の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0037】
前記アルコキシシリル基を有する重合性単量体の含有率は、アルコキシシリル基を有する重合性単量体、重合性紫外線安定剤、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤、後述するラジカル重合性不飽和単量体及び必要に応じて使用し得る重合性紫外線吸収剤の合計100重量%中に、0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%であるのがよい。アルコキシシリル基を有する重合性単量体の含有率が、0.1重量%未満であると、耐侯性の相乗向上効果が現れにくい、一方、5重量%を越えると、塗膜が脆くなりやすく、貯蔵中に物性が変化しやすくなるため、好ましくない。尚、本発明でいう「ラジカル重合性不飽和単量体」の中には、アルコキシシリル基を有する重合性単量体は、含めないものとする。
【0038】
本発明で用いられる、ラジカル重合性不飽和単量体としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等の、コーティング膜に架橋構造を導入することが可能な多官能の重合性不飽和単量体を使用することができる。
【0039】
その他のラジカル重合性不飽和単量体として具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシルなどのアクリル酸アルキルエステル類、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸アルキルエステル類、
スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系単量体、
アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基含有単量体、
N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタアクリルアミドなどのN−置換アクリル系もしくはメタクリル系単量体、並びにアクリロニトリルなどの1種または2種以上から選択することができる。
【0040】
さらに、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などの重合性不飽和カルボン酸およびそれらの無水物は、重合時あるいは水性樹脂分散体の保存安定性を保つため併用することが好ましい。この目的のために重合性不飽和カルボン酸は、重合性紫外線安定剤、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤、ラジカル重合性不飽和単量体、必要に応じて使用し得る重合性紫外線吸収剤及び必要に応じて使用し得るアルコキシシリル基を有する重合性単量体の合計100重量%中に、0.05〜5重量%を使用することができる。
【0041】
乳化重合時に使用する開始剤としては、アンモニウムパーサルフェイト、ソディウムパーサルフェイト等の無機系過酸化物重合開始剤や水溶性アゾ系開始剤を使用する。場合によればベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性の開始剤を併用することもできる。これら開始剤は単独で使用することもできるが、ロンガリット等の還元剤との併用によるレドックス型で使用してもよい。
【0042】
また乳化重合中に、硫酸第二銅、塩化第二銅等の銅イオンや、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等の鉄イオンなどの遷移金属イオンを重合系に10-7〜10-5モル/リットルの範囲で添加することができる。これら遷移金属イオンは、重合反応をスムーズに開始する一種の触媒的な機能を担う。
【0043】
さらに緩衝剤として酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が、また保護コロイドとしてのポリビニルアルコール、水溶性セルロース誘導体等が、連鎖移動剤としてのステアリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類が使用できる。
【0044】
本発明に用いる金属酸化物(B)としては、紫外線吸収能を有する金属酸化物であれば特に制限はなく、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等が挙げられる。金属酸化物(B)としては、窒素吸着法(BET法)により求められる比表面積が30〜160m2/gの金属酸化物粉末を用いる。比表面積が30m2/gを下回ると、金属酸化物粒子による光の散乱が顕著となり、透明な塗膜を得ることが難しくなる。
これら金属酸化物(B)は単独で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良いが、得られる塗膜が無色になること、および紫外線遮蔽能の高さの点から、二酸化チタンもしくは、酸化亜鉛の使用が好ましい。また、二酸化チタンや酸化亜鉛は触媒活性を示し、有機塗膜の劣化(チョーキング)の原因となる為、粒子表面をシリカ、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物やその水和物で表面処理し、触媒活性を落としたものを使用することが好ましい。
【0045】
また本発明に用いる金属酸化物(B)は、予めカップリング剤、オルガノシリコーン、高級脂肪酸、リン酸エステルおよび高級アルコール等で疎水化処理されていても良い。
例えばカップリング剤は、シラン系、チタネート系、アルミキレート系のいずれでも良く、具体的には、シラン系としてはメチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;
チタン系としてはイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミドエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート;
アルミキレート系としてはアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等がある。
【0046】
本発明における金属酸化物(B)の疎水化処理方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
しかしながら、本発明では水系コーティング剤であるのであえて金属酸化物(B)の疎水化処理を行う必要はない。
【0047】
本発明のコーテイング用樹脂組成物は、金属酸化物(B)を含有する予備分散体を予め得ておき、該予備分散体を水性分散体(A)と混合することが好ましい。
金属酸化物粉末(B)を含有する予備分散体について説明する。予備分散体は、金属酸化物粉末(B)70〜95重量%と分散樹脂または分散剤30〜5重量%とを、2本ロールで混練してなるかもしくは乾式粉砕装置で混練してなるものである。
2本ロールの強力な剪断作用、もしくは粉砕メディアの強力な衝撃力により、凝集している金属酸化物(B)粒子が解砕されると同時に、粒子表面への分散樹脂または分散剤の強固な吸着が起こる為、微細且つ分散安定性良好な分散体を得ることができる。
また、2本ロールもしくは乾式粉砕装置による混練処理と、湿式メディア型分散機による分散処理を併用することもできる。併用することによってメディア型分散機単独で長時間分散を行う場合に比して分散時間が大幅に短縮されるとともに、ベッセルやメディアの摩耗等に起因するコンタミネーションの大幅軽減が可能となる。
【0048】
まず、2本ロールによる混練処理によって予備分散体を得る方法について説明する。
本発明における2本ロールによる混練処理は、2本ロールによるせん断力を利用して金属酸化物粒子の凝集体を解砕しつつ、粒子表面に分散樹脂を吸着させるものである。
金属酸化物(B)70〜95重量%と分散樹脂または分散剤30〜5重量%とを常温もしくは加熱下で混合し、均質な混合物を作る。特に水系の場合は表面が疎水化処理されていない金属酸化物を用いる場合が好ましい。
金属酸化物(B)が70重量%未満であると、次の2本ロールによる混練処理工程の作業性が悪化する。また90重量%を超える場合には、得られる予備分散体の分散安定性が低下する。
【0049】
こうして得られた混合物を、加熱温度40〜200℃、回転速度を10〜50rpmとした2本ロールにて複数回混練処理し、断片状もしくはシート状の混練物を得る。混練回数は、希望とする混練度に応じて任意に設定できる。得られた混練物がシート状の場合は、粉砕して粉状または断片状とした後に、次の溶解、分散工程に使用するのが好ましい。シート状の混練物を粉砕する方法としては、通常の粉砕機を用いればよく、特に限定されない。
【0050】
続いて、金属酸化物粉末(B)と分散樹脂または分散剤との乾式粉砕装置による混練処理について説明する。
本発明における乾式粉砕装置による混練処理は、紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m2/gである金属酸化物(B)70〜95重量%と分散樹脂または分散剤30〜5重量%とを添加し、常温もしくは加熱下で、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した粉砕機を使用して行われる。すなわち、粉砕メディアの衝撃力を利用して金属酸化物粒子の凝集体を粉砕しつつ、粒子表面に分散樹脂を吸着させるものである。乾式粉砕装置としては、乾式のアトライター、ボールミル、振動ミルなどの公知の方法を用いることができる。必要に応じて窒素ガスなどを流すことで、乾式粉砕処理装置内部を脱酸素雰囲気として混練処理を行っても良い。
【0051】
このような予備分散体を水性分散体(A)に分散することで本発明の紫外線遮断性コーティング用樹脂組成物を得ることができる。
予備分散体を水性分散体(A)に分散させるには、これらをディゾルバー等の高速攪拌機を用いて分散し、その後各種分散機で更に分散処理をすることが、均一且つ微細な分散体を得るのに好ましい。
【0052】
ここで用いる分散機としては、通常顔料分散に用いる分散機が使用できる。
以下に具体例を挙げるが、それらに限定されるものではない。
例えば、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)等を用いることができる。コスト、処理能力等を考えた場合、メディア型分散機を使用するのが好ましい。また、メディアとしてはガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、ステンレスビーズ等を用いることができる。
【0053】
本発明の紫外線遮断性コーティング用樹脂組成物は、コーティング膜の可視光(波長が400〜800nm)に対する透明性を考えた場合、一般にフィラーの分散粒径を波長の1/2 (200〜400nm)以下、さらに好ましくは100nm以下にすることが好ましい。即ち、一次粒径の細かいフィラーを高度に分散することが透明性の確保には好適である。
【0054】
本発明の紫外線遮断性コーティング用樹脂組成物は、長期耐候性に優れたコーティング膜を形成することができ、各種コーティング剤として使用することができる。
コーティング剤の具体的な用途としては紙、フィルム、金属、ガラス、木材、皮革などの各種基材に使用することのできる塗料やインキが挙げられる。
またコーティング剤には、顔料、染料等の着色剤やフィラー、微粉末シリカ等のチキソ性調整剤、コロイダルシリカ、アルミナゾル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性または水分散性ポリウレタン樹脂、乳化剤、消泡剤、レベリング剤、滑り剤、粘着性付与剤、防腐剤、防黴剤、造膜助剤としての有機溶剤などを必要に応じて配合してもよい。
【実施例】
【0055】
以下実施例により、本発明を説明する。例中、部とは重量部を、%とは重量%をそれぞれ表す。
【0056】
[製造例1]
温度計、滴下ロート、還流冷却管を備え窒素ガスで置換した反応容器に、イオン交換水240部、及び表1に示すあらかじめ調製しておいた一段目用のプレエマルジョンのうちの5%を仕込んだ。内温を80℃に昇温した後、滴下を開始した。内温を80℃に保ちながら一段目用プレエマルジョンの残りを1時間かけて滴下し、さらにその温度で0.5時間反応した後、25%アンモニア水を2部添加し、生成エマルジョンを中和した。
次に表1に示すあらかじめ調製しておいた2段目用のプレエマルジョンを0.5時間かけて上記中和後のエマルジョン中に滴下し、さらに80℃で2時間反応させた。冷却後、固形分40.5%、粘度100mPa・s、pH5.3、粒子径150nmの水性分散体を得た。
【0057】
[製造例2〜4]
表1に示す組成にもとづいて、製造例1と同様の方法で重合して、それぞれの水性分散体を得た。
【0058】
[製造例5〜12]
表2に示す組成にもとづいて、製造例1と同様の方法で重合して、それぞれの水性分散体を得た。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
[実施例1〜4、および比較例1〜8]
製造例1〜12の水性分散体を用いて下記の方法によりコーティング剤を作製した。
NANOFINE50A(シリカ−アルミナ処理酸化亜鉛、BET比表面積 50m2/g、堺化学社製)120部とデモールEP(花王(株)製 分散剤)10部、エチレングリコール10部および水15部を室温下で混合し、均質な湿潤混合物を得た。この湿潤混合物を80℃に加温した2本ロールで繰り返し混練処理し、6時間後に固形の予備分散体Aを得た。
続いて、表3に示すそれぞれの水性分散体100部、プライマル ASE−60(日本アクリル(株)製の増粘剤)1部、CS-12 (チッソ(株)製の成膜助剤)8部、SNデフォーマー−364(サンノプコ(株)製の消泡剤)0.5部、アンモニア水0.2部、水7部を、上記予備分散体Aに添加し、高速ディスパーを用いて分散した後にガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントシェーカーで更に2時間分散し、コーティング剤を得た。
得られたコーティング剤を膜厚0.5mmのアルミシートにバーコーターを用いて乾燥後の厚みが3μmになるように塗工し、150℃の電気オーブン中で10分間加熱硬化させ、塗工物を得た。
【0062】
[比較例9]
二本ロールではなくサンドミルでNANOFINE50Aを湿式分散処理して予備分散体A’を得、次いで実施例1と同様にして水性分散体と予備分散体A’とを高速ディスパーを用いて分散した後、ペイントシェーカーではなく超音波処理機を用いて処理したこと以外は、実施例1と同様に行い、塗工物を得た。
【0063】
[ヘイズ]
各実施例、比較例で得られたコーティング剤を厚さ32μmのPETフィルムにバーコーターを用いて乾燥後の厚みが3μmになるように塗工し、150℃の電気オーブン中で10分間加熱硬化させ塗工物を得た。
得られた塗工物のヘイズを「HAZEMETER HM-150」(村上色彩技術研究所製)で測定した。
【0064】
[ブリードアウト性]
上記で得られた、アルミシートを基材とした塗工物の試験前と、65℃−90%RHの条件下で5000時間放置させた試験後の、重合性紫外線安定剤あるいは重合性紫外線吸収剤がブリードアウトしているかを観察した。
〇・・・・・ブリードアウトなし
×・・・・・ブリードアウトあり
【0065】
[促進耐侯性試験]
試験条件は以下の通りである。
試験機:「QUV/Spray」耐候試験機(Q-Panel Lab Products社製)
ランプ:UVB-313
試験サイクル;照射65℃ 8時間、シャワー:5分間、結露:50℃ 3時間55分
試験時間:5000時間
上記で得られた、アルミシートを基材とした塗工物を用いて曝露試験を行い、暴露していない試験片(ブランク)との色差を測定した。
【0066】
結果を表3に示す。
【0067】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物は、自動車用のフロントガラス、リアガラス、ドアガラス、フェンダーミラー、ドアミラー及び鉄道、飛行機等の輸送用機器用のガラス、高層建築の窓ガラス、一般窓ガラス、酵素等保存用ガラス瓶、アンプル瓶、試薬保存瓶、その他一般に使用されるガラス瓶、鏡等のガラス製品、更に、医療関連分野、食品、工業、農業等の各種産業分野及び一般家庭において使用されるプラスチック製品、各種フィルム製品、金属製品、コンクリート、セラミック製品、布、皮革製品等で、撥水性、撥油性、防汚性、耐候性等が必要とされる各種の用途、例えば、撥水性ガラス、防曇鏡、酵素、試薬等非付着性ガラス瓶、防菌、防黴性プラスチック、インクジェットプリンターヘッド、着雪、着氷防止塗装板、厨房用防汚アルミシート、水無しオフセット版等の印刷版材料、オフセット印刷で使用する捨て版用塗料、及びその他の印刷版関連製品等に使用可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性不飽和単量体を含む重合性組成物を多段乳化重合してなる重合体の水性分散体であって、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤の存在下に、一般式(1)で示される重合性紫外線安定剤を必須成分とする重合性組成物を最終段階で重合せしめた重合体の水性分散体(A)と、紫外線吸収能を有し、且つチッソ吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m2/gである金属酸化物(B)とを含有する、膜厚2〜5μmにおいてヘイズが1%以下の乾燥膜を形成し得る、紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1は水素原子又はシアノ基を表し、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R4は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、−CO−C(R5)=CH(R6)を表し、Xはイミノ基又は酸素原子を表す。R5、R6はそれぞれ独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表わす。)
【請求項2】
重合体の水性分散体(A)がラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する反応性乳化剤を使用して得られることを特徴とする請求項1記載の紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物。
【請求項3】
一般式(1)で示される重合性紫外線安定剤を必須成分とする重合性組成物を最終段階で重合せしめる際に、下記一般式(2)で示される重合性紫外線吸収剤を併用してなることを特徴とする請求項1又は2記載の紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物。
【化2】

(式中、R7は水素原子又はメチル基を表し、Yは炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
【請求項4】
シクロアルキル基がシクロヘキシル基であり、環状エーテル構造を有しないシランカップリング剤を用いることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物。
【請求項5】
紫外線吸収能を有し、且つ窒素吸着法(BET法)による比表面積が30〜160m2/gである金属酸化物(B)70〜95重量%と分散樹脂または分散剤30〜5重量%とを、2本ロールで混練するか、もしくは乾式粉砕装置で混練して予備分散体を得、
ラジカル重合性不飽和単量体を含む重合性組成物を多段乳化重合してなる重合体の水性分散体であって、シクロアルキル基を有するシランカップリング剤の存在下に、一般式(1)で示される重合性紫外線安定剤を必須成分とする重合性組成物を最終段階で重合せしめた重合体の水性分散体(A)100重量部に対して、
前記予備分散体を、前記金属酸化物(B)が30〜200重量部となるように配合することを特徴とする紫外線遮断性水系コーティング用樹脂組成物の製造方法。


【公開番号】特開2007−246799(P2007−246799A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74283(P2006−74283)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】