説明

細径同軸ケーブルハーネス及びその製造方法

【課題】狭い収容スペースにおいても筐体同士の相対移動が阻害されることなく良好に相対移動可能であり、かつハーネスの損傷を起こすことがない細径同軸ケーブルハーネス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】細径同軸ケーブルハーネスは、複数本の細径同軸ケーブル24のうちの一部の細径同軸ケーブル24が束ねられた分岐束部である複数の電線束41,42を有し、かつ全部の細径同軸ケーブル24が一つに束ねられた全数束部である結束部33を有し、電線束41,42は、ポリマー繊維を編組したまたは経編みした筒状のスリーブ23,23’内に細径同軸ケーブル24が通されて束ねられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細径同軸ケーブルを束ねて成端処理した細径同軸ケーブルハーネス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や小型ビデオカメラなどの普及により、これら電子機器の小型化や高画質化が求められている。このような要求に対応するために、機器本体と液晶表示部との接続や機器内の配線などに、極めて細い同軸ケーブルが用いられている。それらは配線の容易性から、複数本の同軸ケーブルを集合一体化させた同軸ケーブルハーネスとして用いられている。
携帯端末としては、互いにスライド可能に重ねた二つの筐体で構成し、使用状況に応じてこれら二つの筐体をスライドさせて長さを伸張させたり短縮することを可能としたものがあり、上下に重ねて配置されスライドする二つの基板間を、少なくとも一箇所で束ねられた複数の同軸ケーブルを含んでなる同軸ケーブルハーネスで接続し、同軸ケーブルが全体としてU字状になるように接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、同軸ケーブルハーネスは、通常、端末部分では電気コネクタなどが接続されて成端処理が施され、ハーネスの中間部では、複数本の同軸ケーブルを束ねた部分が形成される。複数本の同軸ケーブルを束ねるには、接着テープ等の束ね部材を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/136040号パンフレット
【特許文献2】特開2005−235690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯端末や小型ビデオカメラ等の電子機器において、機器のさらなる小型・薄型化を図るため、回転や摺動など相対移動される筐体にそれぞれ収容される基板間を電気的に接続する同軸ケーブルハーネスの収容スペースの高さを低くすることが要求されている。その一方、機能のさらなる高度化に伴い同軸ケーブルの本数は増加し、ハーネスの束の径が大きくなる傾向にある。
したがって、狭い収容スペースに同軸ケーブルハーネスを収容すると、筐体同士の相対移動が良好に行われなくなる。また、ハーネスの損傷を引き起こすこともある。
このように、筐体同士が相対移動する筐体にそれぞれ含まれる基板間を接続する同軸ケーブルハーネスを収容するための収容スペースを低くして機器の小型・薄型化を図ることが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、狭い収容スペースにおいても筐体同士の相対移動が阻害されることなく良好に相対移動可能であり、かつハーネスの損傷を起こすことがない細径同軸ケーブルハーネス及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することのできる本発明に係る細径同軸ケーブルハーネスは、複数本の細径同軸ケーブルが束ねられた細径同軸ケーブルハーネスであって、
前記複数本の細径同軸ケーブルのうちの一部の細径同軸ケーブルが束ねられた分岐束部を複数有し、
かつ全部の細径同軸ケーブルが一つに束ねられた全数束部を有し、
各前記分岐束部は、ポリマー繊維を編組したまたは経編みした筒状のスリーブ内に前記細径同軸ケーブルが通されて束ねられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る細径同軸ケーブルハーネスにおいて、複数の前記分岐束部の長さが異なることが好ましい。
【0009】
本発明に係る細径同軸ケーブルハーネスにおいて、前記スリーブが溶融液晶性ポリマーと屈曲性ポリマーからなるモノフィラメントハイブリッド繊維を編組したものであることが好ましい。
【0010】
本発明に係る細径同軸ケーブルハーネスの接続構造は、上記の細径同軸ケーブルハーネスの端部が異なる基板に接続された細径同軸ケーブルハーネスの接続構造であって、
少なくとも一つの前記分岐束部に含まれる前記細径同軸ケーブルの一端が接続される基板が、その細径同軸ケーブルの他端が接続される他の基板に対して相対的に移動するものであり、
前記分岐束部が、余長を有するか曲げられて配線されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る細径同軸ケーブルハーネスの製造方法は、上記の細径同軸ケーブルハーネスを製造する方法であって、
ポリマー繊維を編組したまたは経編みした筒状の前記スリーブに複数本の細径同軸ケーブルを通して束ねることで前記分岐束部を複数形成した後、
前記複数本の細径同軸ケーブルの端末を成端処理することを特徴とする。
なお、ここでいう成端処理するとは、細径同軸ケーブルの端末がコネクタ付けまたはFPC(フレキシブルプリント基板)付けして、基板に対して間接的に接続可能な状態とすること、または、細径同軸ケーブルの端部から中心導体や外部導体を段階的に露出させて、基板に対して直接的に接続可能な状態とすることを指す。
【発明の効果】
【0012】
本発明の細径同軸ケーブルハーネス、及び本発明の製造方法により製造される細径同軸ケーブルハーネスは、複数本の細径同軸ケーブルのうちの一部の細径同軸ケーブルが束ねられた分岐束部を複数有し、かつ全部の細径同軸ケーブルが一つに束ねられた全数束部を有し、各前記分岐束部は、ポリマー繊維を編組または経編みした筒状のスリーブ内に通されて束ねられている。これにより、各分岐束部が繰り返し変形(湾曲や回動)しても、スリーブ内で複数の同軸ケーブル同士が移動し、同軸ケーブルに加わる曲げの負荷を逃がしやすくすることができ、同軸ケーブルに過度の負荷がかかりにくい。したがって、当該ハーネスが繰り返し変形しても各同軸ケーブルの中心導体の破断は極めて生じにくい。
さらに、各分岐束部のスリーブを扁平させて収容スペースへ収容させることで、高さが低い収容スペースにも良好に収容することができる。しかも、複数本の細径同軸ケーブルが複数の分岐束部に分けられているので、各分岐束部におけるスリーブの径を小さくすることができる。これにより、狭い収容スペースにおいても筐体同士の相対移動の阻害やハーネスの損傷を起こすことなく、良好に収容することができる。
さらには、複数の分岐束部の長さを異ならせた場合は、回転、捻回、摺動等を伴う可動部分で使用しても、短い分岐束部を内側として湾曲させて配置させることにより、曲げ径の差によるストレスを軽減することができ、この結果、同軸ケーブルの曲げや捻れの可動範囲が大きくなり、よって、各分岐束部を可動部分の可動に対して良好に追従させることができ、同軸ケーブルの断線の発生を低減させ、機器の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る細径同軸ケーブルハーネス及びその製造方法の実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態では、上下に重ねて配置され前後(図1,図2の左右方向)に水平移動する二つの基板11,12間が、複数本(20〜60本)の細径同軸ケーブル24を含む細径同軸ケーブルハーネス20によって接続されている。基板11,12は、例えば、携帯電話等の機器の相対的にスライドする筐体内にそれぞれ組み込まれている。細径同軸ケーブルハーネス20の両方の端末は、コネクタ25を取り付けて成端処理することで、基板11,12との接続を容易としている。なお、コネクタ25としては、横一列に細径同軸ケーブル24を配列して接続するタイプでも良く、また、複数列の細径同軸ケーブル24を複数段に配列して接続するタイプでも良い。
【0014】
そして、細径同軸ケーブルハーネス20は、両端部21a,21bを除いて複数の細径同軸ケーブル24を束ねた複数の電線束(分岐束部)41,42としており、全体としてU字状(またはJ字状)になるように両基板11,12に接続されている。これにより、細径同軸ケーブルハーネス20を基板11,12の平面視方向におけるU字状形状として両基板11,12間に配線することができる。なお、図1は細径同軸ケーブルハーネス20の両端部21a,21bが最も離れた状態であり、図2は両端部21a,21bが最も近接した状態である。基板11,12の水平移動距離は、例えば30mmから60mm程度である。
【0015】
細径同軸ケーブル24は、中心軸に直交する径方向の断面において、中心から外側に向かって、中心導体、内部絶縁体、外部導体、外被を有する構成であり、それぞれの端部21a,21bでは端末処理が施されて、外部導体、内部絶縁体、中心導体が段階的に所定長さずつ露出している。また、細径同軸ケーブルハーネス20には、複数本の細径同軸ケーブルの他に、外部導体のない細径絶縁ケーブルが含まれていても良い。なお、図面では細径同軸ケーブル24の本数を少なく示して簡略化している。
【0016】
細径同軸ケーブルハーネス20は、平面図でみて基板11,12の幅方向(図1(A)の両矢印Wの方向)に湾曲されている。基板11,12の幅が数cmあるので、この方向の曲げ径を十分確保することができる。例えば、図1(A)に示すように、細径同軸ケーブルハーネス20の一方の端部21aがスライド方向に対して上基板11の右側(図1(A)において上側)に接続されていれば、他方の端部21bをスライド方向に対して下基板12の左側(図1(A)において下側)に接続する。細径同軸ケーブルハーネス20はU字状に曲げられているが、細径同軸ケーブルハーネス20を収容するスペースを小さくするためには、U字の幅(直線部分の間隔)が狭いほどよい。
【0017】
従来のFPC(フレキシブルプリント基板)を用いた場合は、FPCは両基板11,12の間で、基板11,12の平面方向と直交する方向で曲げられるので、その曲げ径を確保するために両基板11,12の隙間を大きくする必要がある。本発明では、両基板11,12の隙間は、細径同軸ケーブルハーネス20の厚さ程度で十分であり、FPCを使用する場合のように大きくとる必要がなく、機器の薄型化を図ることができる。
【0018】
図3に示すように、上記の細径同軸ケーブルハーネス20は、その中間部分が、前述のように、複数本の細径同軸ケーブル24を複数組(本例では2組)の電線群に分割し、それぞれの電線群をポリマー繊維を編組または経編みしたスリーブ23,23’によって束ねることにより、2組の分岐束部である電線束41,42に分離されている。なお、分割する細径同軸ケーブル24の本数は等分である必要はないが、少なくとも10本以上の単位で分割されているのが望ましい。図では分岐束部(電線束41,42)のほとんど全長にわたってスリーブ23,23’が細径同軸ケーブル24を覆っているが、分岐束部の一部がばらばらにならない程度にスリーブで束ねられている形態でもよい。この場合、各スリーブが長さ方向にずれないように各分岐束部に各スリーブが接着テープ等で固定されるのが好ましい。
【0019】
2組の電線束41,42は、基板11,12に接続してU字状に湾曲させた際に、そのU字の内径側に配置される電線束41の長さよりもU字の外径側に配置される電線束42が長くされている。これにより、細径同軸ケーブルハーネス20は、直線状に配置した際に、長い電線束42に余長部42aが形成される。
なお、電線束41,42の長さの寸法差は、ケーブルの曲げ径により異なり、屈曲率が大きい場合は、長さの寸法差も大きくなり、屈曲率が小さい場合は長さの寸法差も小さくなる。
本発明の細径同軸ケーブルハーネスは、それに含まれる全部の細径同軸ケーブルが一つに束ねられた全数束部を有する。図3に示す例では、2つに分割された電線束41,42の始端と終端となる部分にスリーブあるいはテープによって全部の細径同軸ケーブル24を一つの束とするように結束した結束部33が全数束部である。この結束部33によりスリーブ23,23’の端部が細径同軸ケーブル24とともに留められて電線束41,42の端部の位置決めがなされる。もし、結束部33がなくて全部の細径同軸ケーブル24が一つに成端処理された場合は、その端末部分が全数束部である。
【0020】
細径同軸ケーブル24としては、例えばAWG(American Wire Gauge)の規格によるAWG42,AWG44,AWG46などの細い極細同軸ケーブルまたは外径が0.30mmよりも細い同軸ケーブルを用いるのが望ましい。これにより、細径同軸ケーブルハーネス20は曲がり易く、両基板11,12がスライドするときの抵抗を小さくすることができる。また、複数本の細径同軸ケーブル24を束ねて2組の電線束41,42を有する細径同軸ケーブルハーネス20を形成したときに、細径同軸ケーブルハーネス20のそれぞれの電線束41,42の厚さh1(図4(C)参照)を薄く形成することができ、機器の薄型化を図ることができる。この厚さh1としては、例えば、2mm以下の高さが望まれている。
【0021】
また、細径同軸ケーブルハーネス20の電線束41,42を基板11,12や筐体で挟んで押しつぶして扁平化することもできるので、基板11,12間や筐体間の隙間の高さは細径同軸ケーブルハーネス20の厚さよりも0.2〜0.5mm程度小さくてもよい。前述のように、細径同軸ケーブルハーネス20には、外部導体のない細径絶縁ケーブルが含まれていてもよいが、その細径絶縁ケーブルは外径が0.30mmより細いケーブルを用いるのが好ましい。
【0022】
細径同軸ケーブルハーネス20の各電線束41,42は、10本以上の細径同軸ケーブル24を含むものである。電線束の断面の直径が2.5mm以下であれば扁平化して高さ2mmの隙間に入れることができる。スリーブの厚さが0.2mm程度であれば、各電線束41,42に含まれる細径同軸ケーブル24を束ねるのに強度も耐久性も十分である。細径同軸ケーブル24がAWG46の細さまたは外径が0.27mm以下の細さである場合には、断面が円に近い形状の束として細径同軸ケーブルハーネス20の電線束41,42(細径絶縁ケーブルが含まれていてもよい)を形成すると、各束に含まれる細径同軸ケーブルの本数を20本とするとスリーブ23,23’の厚さを含めた外径(厚さ)は1.5mm以下であり、各束に含まれる細径同軸ケーブルの本数を30本とするとスリーブ23の厚さを含めた外径(厚さ)は1.7mm以下であり、いずれも2.0mmの高さ(厚さ)の収容スペースに配線することが可能である。この細径同軸ケーブルハーネス20をU字状に配置するとそのU字の幅は10mmから16mm以内に収めることができる。心数(細径同軸ケーブル24の本数)の増加によりU字の幅も広がるが、60本のAWG44の細径同軸ケーブル24を分割して束ねたとしてもそのU字の幅は18mm以内にできる。
【0023】
図1から図4に示すように、細径同軸ケーブルハーネス20は複数本の細径同軸ケーブル24をスリーブ23,23’内に通すことで束ねて電線束41,42としており、例えば図4(C)に示すように、扁平した楕円形断面のような厚さ寸法h1をできるだけ小さな形状とするのが望ましい。スリーブ23,23’によって複数本の細径同軸ケーブル24を覆うことにより、基板11,12等の壁面と摺動した際の摩擦に対する細径同軸ケーブルハーネス20の耐久性が向上する。また、スリーブ23,23’の断面積(内側の空間も含む)をそれに含まれる細径同軸ケーブル24の断面積(含まれる全ての極細同軸ケーブルの断面積の和)よりも大きくして、緩く細径同軸ケーブル束ねているため、細径同軸ケーブル24がスリーブ23,23’の中で並び変わるなど動きやすい。
【0024】
細径同軸ケーブルハーネス20の両端がそれぞれ接続された基板11,12が水平移動し、それに伴い細径同軸ケーブルハーネス20の2組の電線束41,42が繰り返し変形しても、それぞれの電線束41,42におけるスリーブ23,23’内で複数の細径同軸ケーブル24が移動可能であるため、細径同軸ケーブル24に加わる曲げの負荷が全体的に逃げやすく、細径同軸ケーブル24に過度の負荷がかからない。したがって、細径同軸ケーブルハーネス20が繰り返し変形しても細径同軸ケーブル24の中心導体の破断を防ぐことができる。
【0025】
本実施形態のスリーブ23,23’は、ポリマー繊維を編組して筒状に形成したものである。ポリマー繊維には、ポリエステルなどの合成繊維を使用することができるが、溶融液晶性ポリマーと屈曲性ポリマーからなるモノフィラメントハイブリッド繊維を用いることが好ましい。このモノフィラメントハイブリッド繊維は、溶融液晶性ポリマーからなる芯成分と、屈曲性ポリマーを含む鞘成分により構成されている。
【0026】
芯成分に使用される溶融液晶性ポリマーは、溶融液晶性(溶融異方性)、すなわち溶融相において光学的液晶性(異方性)を示すポリマーであり、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等の反復構成単位からなる溶融液晶性ポリエステルを使用できる。溶融液晶性は、例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。好ましい溶融液晶性ポリエステルの融点(MP)は、260〜360℃、より好ましくは270〜350℃である。ここでいう融点とは、示差走査熱量(DSC:例えばmettler社製、TA3000)で観察される主吸熱ピークのピーク温度である(JIS K7121)。
【0027】
溶融液晶性ポリエステルには、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエステルケトン、フッ素樹脂熱可塑性ポリマーを添加しても良い。また酸化チタン、カオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を含んでいても良い。
【0028】
鞘成分に使用される屈曲性熱可塑性ポリマー(屈曲性ポリマー)は特に限定されないが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等が挙げられる。特に好ましくは、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート及び半芳香族ポリエステルアミドである。なお、ここでいう屈曲性ポリマーとは、主鎖上に芳香環を有さないポリマー及び主鎖上に芳香環を有し、かつ芳香環間の主鎖上に原子が4個以上存在するポリマーをいう。
【0029】
また、鞘成分を、屈曲性熱可塑性ポリマーのみでなく、屈曲性熱可塑性ポリマーと溶融液晶性ポリエステルのブレンドで構成するのが好ましく、特に屈曲性熱可塑性ポリマーを海成分、溶融液晶性ポリエステルを島成分とする海島構造とするのが好ましい。鞘成分を溶融液晶性ポリエステルと屈曲性高分子からなるブレンド(特に海島構造)で構成することにより、鞘成分の強度を高めると同時に鞘成分と芯成分との接着性を顕著に高めることができる。
【0030】
ここでいう海島構造とは、繊維横断面において、マトリックスとなる海成分の中に数十から数百の島が存在している状態を意味する。海成分及び島成分の混合比、溶融粘度等を変えることにより島数を調整することができる。海成分と島成分をチップブレンドする、または両成分の溶融物をスタチックミキサー等で混合することにより得られる。鞘成分中の島成分比は、製造された鞘型複合繊維の横断面積比(島成分/海成分+島成分)において、強度及び耐フィブリル性の点で0.25〜0.5とするのが好ましい。島成分比は、繊維横断面の顕微鏡写真から求められるが、製造時の芯成分と鞘成分の吐出量の体積比により求めることもできる。島成分の直径は0.1〜2μm程度とするのが好ましい。
【0031】
鞘成分の溶融液晶性ポリエステルは、芯成分と同様の溶融液晶性ポリエステルを用いることができ、これらは同種であっても異種であっても良い。好ましくは、鞘成分の屈曲性熱可塑性ポリマーの融点(MP)+80℃以下、MP−10℃以上のポリマーが好ましい。また、鞘成分には、他のポリマーや各種添加剤を含んでいても良い。
【0032】
スリーブ23,23’を構成するモノフィラメントハイブリッド繊維は、芯鞘型複合繊維の他、偏心芯鞘型を含むものである。複合繊維における芯成分比は0.25〜0.80、好ましくは、0.4〜0.7とする。特に、鞘成分を屈曲性熱可塑性ポリマーと溶融液晶性ポリエステルで構成した場合には、鞘成分も強度向上に寄与するため、芯成分比率を低くした場合においても、強度15g/d以上の優れた複合繊維を得ることができる。芯成分比が大きくなりすぎると芯が露出しやすく、小さすぎると強度の点で不十分となる場合がある。なお、ここでいう芯成分比とは、複合繊維の断面積比(芯成分/(芯成分+鞘成分))を示す。断面積比は、繊維横断面の顕微鏡写真から求められる。得られる繊維の線径変動率は−3.5〜+3.5%、さらに−3.0〜+3.0%であるのが好ましく、抱合度(ガイド摩耗回数)は1200回以上とするのが好ましい。
【0033】
このようなモノフィラメントハイブリッド繊維などのポリマー繊維が、図5に示すように、編組されてスリーブ23,23’が形成されている。例えば、編組の形態は、ポリマー繊維を並列にした束23a(図5中、丸印で囲った箇所)を16単位用意して、16のキャリアを用いて筒状に編み込む。一つの束23aを6本から13本として16のキャリアで編組すると、スリーブ23はおよそ100本から200本のポリマー繊維により構成される。例えば、一つの束23aを9本とした場合、ポリマー繊維の数は9×16=144本である。また、1本のポリマー繊維の直径は0.02mmから0.10mmであり、スリーブ23,23’の厚さ(筒形状の肉厚)は、0.05mmから0.20mmである。繊維の直径が0.045mmである場合には、スリーブ23,23’の厚さは0.1mm程度である。また、高さ2mmの隙間に収容するには、スリーブ23,23’を円筒状とした状態の断面の直径を2.5mm以下とする。繊維を編み込むときに、断面が楕円のダミーコアを使用したり、断面が円のダミーコアを複数本並べて使用して、その周囲に繊維を編み込むと、断面が楕円のスリーブが製造される。
【0034】
モノフィラメント繊維により構成されたスリーブ23,23’は、耐摩耗性、強度、および弾性率が優れており、これを用いた細径同軸ケーブルハーネス20は、曲げ性が良好で、なおかつ基板11,12等や電子機器の筐体との繰り返し摩擦によってスリーブ23,23’の表面が荒れて毛羽立つことなく、編組が破れることもない。したがって、細径同軸ケーブル24が繰り返し曲げられても中心導体が破断することを防止できるとともに、複数の細径同軸ケーブル24を束ねた状態を長期に亘って維持することができる。
【0035】
例えば、AWG46の太さの細径同軸ケーブル24を40本接着テープ(テフロン(登録商標)テープ)で束ね、さらに20本ずつに分岐させてテフロン(登録商標)テープで束ねて、各分岐束部を高さ1.2mmの隙間に入れて摺動させた場合では、8万回の曲げ及び摺動の繰り返しにより、中心導体の破断が生じるが、本実施形態のスリーブ23,23’で20本ずつ二束に束ねた場合では、20万回の曲げ及び摺動の繰り返し後も中心導体が破断することがない。
【0036】
また、細径同軸ケーブル24を接着テープ等で拘束して束ねると、その部分の断面形状が比較的崩れにくい(扁平しにくい)が、スリーブ23,23’を用いて細径同軸ケーブル24を束ねることにより、スリーブ23,23’とともに複数の細径同軸ケーブル24が断面内方向で移動することができ、束ねた部分が収容スペースに合わせて適宜扁平する。例えば、スリーブ23,23’を円筒状としたときの直径が2.5mmであっても、スペースに合わせて扁平させることで2mmの厚さ(扁平した楕円の短径)まで扁平することができる。そのような断面が扁平した形状のスリーブを使用してもよい。上記の試験例のようにAWG46の太さの細径同軸ケーブル24を40本用意し、本実施形態のスリーブ23,23’で20本ずつ二束に束ねると1.4mm程度の径となる。これを高さ1.2mmの隙間に入れて、図1および図2のようにU字(J字)状に曲げて摺動させた場合、スリーブ23,23’が無理なく扁平するので、上記のように20万回の曲げ及び摺動の繰り返し後も中心導体が破断することがない。一方、接着テープで束ねる場合、直線状態では径が1.4mmとなるがU字状に曲げたときには隙間の高さ方向に2.5mm程度に膨れる。これを無理に1.2mmの高さに押し縮めるので上記のように摺動試験で耐久性がよくないと考えられる。
【0037】
上記の細径同軸ケーブルハーネス20を製造するには、複数本の細径同軸ケーブル24を、2組の電線群に分割し、これら電線群を構成する複数本の細径同軸ケーブル24を、それぞれスリーブ23,23’へ挿通させ、スリーブ23,23’の両端から細径同軸ケーブル24を引き出す。束の長さを異ならせるときは、複数本の細径同軸ケーブル24を、その長さ毎に2組の電線群に分割する(他は同様)。
そして、2つに分割した電線束41,42の始端と終端となる部分が一つの束となるように、始端部分及び終端部分にスリーブを取り付けたりテープを巻き付けて結束部33を形成する。
【0038】
その後、細径同軸ケーブル24の配列状態をフィルムや治具等で保持しながら、細径同軸ケーブル24の端部から中心導体や外部導体を段階的に露出させて端末処理し、さらにコネクタ25を接続して成端処理する。
これにより、中間部分が2組に分割されてスリーブ23,23’により束ねられた(長さの異なる)電線束41,42を有する細径同軸ケーブルハーネス20を形成することができる。
【0039】
なお、成端処理する箇所の近傍部分で細径同軸ケーブル24の配列状態を平面状に維持するために、結束部33をテープで平面状に形成してもよい。
【0040】
そして、この細径同軸ケーブルハーネス20は電線束41,42が繰り返し変形(湾曲や回動)しても、スリーブ23,23’内で複数の細径同軸ケーブル24同士が移動し、細径同軸ケーブル24に加わる曲げの負荷を逃がしやすくすることができ、細径同軸ケーブル24に過度の負荷がかかりにくい。したがって、細径同軸ケーブルハーネス20が繰り返し変形しても中心導体の破断は極めて生じにくい。
【0041】
しかも、複数本の細径同軸ケーブル24が複数の束に分かれて束ねられているので、各電線束41,42におけるスリーブ23,23’の径を小さくすることができる。これにより、狭い収容スペースにおいても筐体同士の相対移動の阻害することがなく、またハーネスの損傷を起こすことがない。さらに、各電線束41,42のスリーブ23を扁平させて収容させることで、高さが低い収容スペースにも良好に収容することができる。
さらには、回転、捻回、摺動等を伴う可動部分で使用する場合は、分岐束部の長さを異ならせて短い電線束41を内側として湾曲させて配置させることにより、曲げ径の差によるストレスを軽減することができる。その結果、細径同軸ケーブル24の曲げや捻れの可動範囲が大きくなり、各電線束41,42を可動部分の可動に対して良好に追従させることができ、細径同軸ケーブル24の断線の発生を低減し、機器の信頼性を高めることができる。
【0042】
なお、上記実施形態においては、細径同軸ケーブルハーネス20の端部21a,21bにコネクタ25を取り付けて成端処理した場合について説明したが、図6及び図7に示すように、細径同軸ケーブルハーネス20の細径同軸ケーブル24を基板11,12に直付けして成端処理することも可能である。細径同軸ケーブル24を基板11,12に直付けする場合には、並列させた細径同軸ケーブル24の端末を基板11,12に対してフィルムなどで仮止めし、細径同軸ケーブル24の端末の中心導体を基板11,12の接続端子に半田付けで接続すればよい。また、外部導体にグランドバー26を接続し、その反対側から別のグランドバー27または押さえ部材27を配置して、各細径同軸ケーブル24を挟むことでも、ピッチを固定できる。基板11,12の片面に直付けすることもでき(図7(A)参照)、基板11,12の端部に直付けする場合は両面に直付けすることもできる(図7(B)参照)。図1(B)や図2(B)に示したような向き合った二つの基板に接続する場合は、上の基板11の下面と、下の基板12の上面にそれぞれ端末を付ける。直付けに限らずコネクタ等で基板11,12に接続するときも基板11,12の両面に接続することができる。
【0043】
また、細径同軸ケーブルハーネス20の端を、前記で説明したコネクタ25の替わりにFPCに接続し、FPCを基板11,12に取り付けることもできる。
また、本発明の細径同軸ケーブルハーネスには、外部導体を有さない絶縁電線を適宜混在させることができる。絶縁電線をグランドとして使用することや、絶縁電線を給電線として使用することができる。
【0044】
また、細径同軸ケーブルハーネス20は、例えば、図8に示すように、筐体同士が相対的に回動するようにスライドする携帯電話等の機器に組み込んで使用することもできる。
【0045】
図8の例では、相対的に非移動側となる筐体32に直線溝32aと曲線溝32bが形成され、これらの溝32a,32bに移動側の筐体31に設けられたピン31a,31bが嵌挿されている。筐体31の移動時には、図8(A)に示した状態から、筐体31がピン31aの移動に伴い上方に変位するとともにピン31bの移動に伴い反時計回りに回動され、図8(B)の状態を経て、筐体31がピン31aの移動に伴い下方に変位するとともにピン31bの移動に伴いさらに反時計回りに回動されて、図8(C)の状態となる。これにより、筐体31が筐体32に対して90度回転されたことになる。このとき、筐体31の基板と筐体32の基板に接続された細径同軸ケーブルハーネス20は、筐体32に接続された端部21b付近は動かず、筐体31に接続された端部21aが上下に変位するとともに90度回動する。図8(A)から(C)の動きと、その逆の動きの繰り返しにより、細径同軸ケーブルハーネス20には端部21a近傍部分が繰り返し曲げられ、筐体31,32内および筐体間で摺動する。図8(A),図8(C)に比べて図8(B)の状態がコネクタ間の距離が長くなるが、細径同軸ケーブルハーネス20はその各電線束41,42がいずれの状態のコネクタ距離よりも長くなるように余長を有するように配線される。筐体が摺動しても細径同軸ケーブル24は過度に引っ張られることなく、かつスリーブ23,23’内で負荷を逃がすように移動し、中心導体が破断することが防がれる。
【0046】
また、前記のスリーブ23,23’は、その内側に細径同軸ケーブル24を通す時に、編組された編み目を広げるが、それにより端末部分から編組が解けてしまうことが考えられる。編組が解けてしまうと作業性が悪くなり、解けを止める作業も必要となるため、加工に要する時間が長くなり製造コストが増加してしまう。そこで、スリーブ23,23’の両端において、編組されているポリマー繊維同士を熱融着して一体化させておくことが望ましい。
【0047】
ポリマー繊維の熱融着は、加熱したチップをスリーブ23,23’の端末部分に押し当てて、ポリマー繊維の表面を溶融させてポリマー繊維同士を相互に融着させて行うことができる。このときに、ポリマー繊維が前述のように芯成分と鞘成分により構成されているものであれば、ポリマー繊維同士を融着させる温度を鞘成分の融点より高くかつ芯成分の融点よりも低くして、鞘成分のみを熱で溶かして融着させると、芯成分が溶けずに残っているために、融着した部分が十分な強度を持つことになり、切れたり解けたりすることがない。芯成分に使用される溶融液晶性ポリマーの融点は、前述のように260〜360℃であり、鞘成分に使用される屈曲性熱可塑性ポリマーの融点は、190〜290℃である。例えば、芯成分の溶融液晶性ポリマーの融点が340℃、鞘成分の屈曲性熱可塑性ポリマーの融点が270℃であれば、熱融着時の加熱温度を290℃とすると鞘成分は溶けて芯成分は溶けないため、融着後のスリーブ23,23’の両端部(融着部)の強度が保たれる。
【0048】
このように両端を熱融着させたスリーブに細径同軸ケーブルを通すには、スリーブ23,23’の融着させた端部28から少し中央寄りの箇所の編み目を広げ、その開口部分に細径同軸ケーブル24を通す。このとき、端部28はポリマー繊維同士が熱溶着により一体化されているため、解けることがない。複数本の細径同軸ケーブル24を、コネクタ付けする前にこのスリーブ23,23’に通し、スリーブ23,23’から出ている部分の細径同軸ケーブル24の端部にコネクタ25を接続することができる。
あるいはポリエステルなどのポリマー繊維を経編みしたスリーブであれば、スリーブの口径を拡大して細径同軸ケーブル24を通すことができる。
【0049】
図9に示す細径同軸ケーブルハーネス50は、長さの異なる複数本の細径同軸ケーブル24を、その長さ毎に2組の電線群に分割し、これら電線群を構成する複数本の細径同軸ケーブル24を、それぞれスリーブ23,23’で束ねて分岐束部である電線束41,42としたものである。この細径同軸ケーブルハーネス50では、各電線束41,42のそれぞれの一方の端部にそれぞれコネクタ51,52が接続されている。
これにより、この細径同軸ケーブルハーネス50では、短い方の電線束41を内側にしてU字状あるいはJ字状に湾曲させて配線し、それぞれの電線束41,42が一括して接続されたコネクタ25を一方の基板11に接続し、それぞれの電線束41,42の端部にそれぞれ接続したコネクタ51,52を他方の基板12にそれぞれ独立に接続する。コネクタ25と51とが同じ基板に接続されてコネクタ52が他の基板に接続される、またはコネクタ25と52とが同じ基板に接続されてコネクタ51が他の基板に接続されるという場合もある。
基板が三つあるときは、各コネクタ25,51,52がそれぞれ異なる基板に接続されるという場合もある。この場合は、三つのうちのいずれか二つが相対的に移動すればよい。例えば、コネクタ25が接続される基板Aとコネクタ51とが接続される基板Bとは同じ筐体に収容されて相対的に移動しないが、コネクタ52が接続される基板Cと基板Aとは別の筐体に収容されて相対的に移動する場合などである。
【0050】
上記の細径同軸ケーブルハーネス50を製造するには、長さの異なる複数本の細径同軸ケーブル24を、その長さ毎に2組の電線群に分割し、これら電線群を構成する複数本の細径同軸ケーブル24を、それぞれスリーブ23,23’へ挿通させ、スリーブ23の両端から細径同軸ケーブル24を引き出す。
そして、2つに分割した電線束41,42の一端側が一つの束となるように、一端側にスリーブを取り付けたりテープを巻き付けて結束部33を形成する。
その後、電線束41,42の一端側を、まとめて端末処理してコネクタ25を接続し、電線束41,42の他端側を、それぞれ端末処理してコネクタ51,52を接続することにより、成端処理を施す。この形態では、コネクタ25,51,52を細径同軸ケーブルに接続した後に、コネクタ51,52をそれぞれスリーブ41,42に通して細径同軸ケーブルをスリーブに通すことも可能である。そして、結束部33は、スリーブ41,42を通す前に形成してもよい。
図9の形態の細径同軸ケーブルハーネスの変形例として、スリーブ41と42とが結束部33の近くで一つの管となった二股形状のスリーブを使用することもできる。
【0051】
これにより、二股に分割されてスリーブ23により束ねられた長さの異なる電線束41,42を有する細径同軸ケーブルハーネス50を形成することができる。
そして、この細径同軸ケーブルハーネス50の場合も、複数本の細径同軸ケーブル24が、互いに長さの異なる複数の分岐束部に分かれて束ねられて電線束41,42とされ、一端では一つに束ねられた全数束部を有し、各電線束41,42は、ポリマー繊維を編組した筒状のスリーブ23,23’内に通されて束ねられている。これにより、電線束41,42が繰り返し変形(湾曲や回動)しても、スリーブ23内で複数の細径同軸ケーブル24同士が移動し、細径同軸ケーブル24に加わる曲げの負荷を逃がしやすくすることができ、細径同軸ケーブル24に過度の負荷がかかりにくい。したがって、細径同軸ケーブルハーネス50が繰り返し変形しても中心導体の破断は極めて生じにくい。
【0052】
しかも、複数本の細径同軸ケーブル24が複数の束に分かれて束ねられているので、各電線束41,42におけるスリーブ23,23’の径を小さくすることができる。これにより、狭い収容スペースにおいても筐体同士の相対移動の阻害やハーネスの損傷を起こすことなく、良好に収容することができる。特に、各電線束41,42のスリーブ23を扁平させて収容させることで、高さが低い収容スペースにも良好に収容することができる。
【0053】
さらには、回転、捻回、摺動等を伴う可動部分で使用しても、短い電線束41を内側として湾曲させて配置させることにより、曲げ径の差によるストレスを軽減することができ、この結果、細径同軸ケーブル24の曲げや捻れの可動範囲が大きくなり、よって、各電線束41,42を可動部分の可動に対して良好に追従させることができ、細径同軸ケーブル24の断線の発生を低減し、機器の信頼性を高めることができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、複数本の細径同軸ケーブル24を2組の電線群に分割し、それぞれの電線群をスリーブ23,23’によって束ねることにより、2組の電線束41,42に分離したが、分割数は2組に限らず、3組以上であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(A)は本発明の細径同軸ケーブルハーネスに係る実施形態の例を示す平面図、(B)はその側面図である。
【図2】(A)は上下の基板を重ねた状態を示す平面図、(B)はその側面図である。
【図3】細径同軸ケーブルハーネスの平面図である。
【図4】(A)は細径同軸ケーブルハーネスの端部にコネクタを装着した状態を示す平面図、(B)はその側面図、(C)はその断面図である。
【図5】スリーブの一部を示す平面図である。
【図6】細径同軸ケーブルハーネスを基板に直付けした状態の例を示す平面図である。
【図7】(A)は細径同軸ケーブルハーネスを基板の片面に直付けした状態の例を示す側面図、(B)は細径同軸ケーブルハーネスを基板の両面に直付けした状態の例を示す側面図である。
【図8】細径同軸ケーブルハーネスを、筐体が回動する携帯電話内に配線した例を示す平面図である。
【図9】細径同軸ケーブルハーネスの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
11,12…基板、20,50…細径同軸ケーブルハーネス、21a,21b…端部、23…スリーブ、24…細径同軸ケーブル、25,51,52…コネクタ、33…結束部(全数束部)、41,42…電線束(分岐束部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の細径同軸ケーブルが束ねられた細径同軸ケーブルハーネスであって、
前記複数本の細径同軸ケーブルのうちの一部の細径同軸ケーブルが束ねられた分岐束部を複数有し、
かつ全部の細径同軸ケーブルが一つに束ねられた全数束部を有し、
各前記分岐束部は、ポリマー繊維を編組したまたは経編みした筒状のスリーブ内に前記細径同軸ケーブルが通されて束ねられていることを特徴とする細径同軸ケーブルハーネス。
【請求項2】
複数の前記分岐束部の長さが異なることを特徴とする請求項1に記載の細径同軸ケーブルハーネス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の細径同軸ケーブルハーネスであって、
前記スリーブが溶融液晶性ポリマーと屈曲性ポリマーからなるモノフィラメントハイブリッド繊維を編組したものであることを特徴とする細径同軸ケーブルハーネス。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の細径同軸ケーブルハーネスの端部が異なる基板に接続された細径同軸ケーブルハーネスの接続構造であって、
少なくとも一つの前記分岐束部に含まれる前記細径同軸ケーブルの一端が接続される基板が、その細径同軸ケーブルの他端が接続される他の基板に対して相対的に移動するものであり、
前記分岐束部が、余長を有するか曲げられて配線されていることを特徴とする細径同軸ケーブルハーネスの接続構造。
【請求項5】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の細径同軸ケーブルハーネスを製造する方法であって、
ポリマー繊維を編組したまたは経編みした筒状の前記スリーブに複数本の細径同軸ケーブルを通して束ねることで前記分岐束部を複数形成した後、
前記複数本の細径同軸ケーブルの端末を成端処理することを特徴とする細径同軸ケーブルハーネスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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