説明

細胞を分離する方法

血液又は血液生成物から細胞を分離する方法は、(i)血液生成物を含む血液バッグ(35)をカートリッジ(1)の血液バッグ区画(5)に挿入するステップと、(ii)血液バッグ(35)に接続されたチューブ(36)を、第1のセンサ(25)及び第2のセンサ(85)が配置されると共に血液バッグ(35)を生成物バッグ(33)に接続する生成物移送経路(36)に挿入するステップと、(iii)カートリッジ(1)を遠心分離器のロータに挿入するステップと、(iv)個々の血液成分を分離するために遠心分離器を回転させるステップと、(v)所定の量の血液成分を生成物移送経路(36)に沿って第1の流速で移送するステップと、(vi)移送される血液成分の組成を第1のセンサ(25)で検出するステップと、を含む。第1のセンサ(25)が血液成分の所定の組成に対応する信号を出力した後に、第2のセンサ(85)も移送される血液成分の組成を検出する。第2のセンサ(85)が所定の組成を検出して終了信号を出力した時、または所定時間経過時に、移送ステップおよび回転ステップが終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全血または血液生成物から細胞を分離する方法と、当該方法の実行に適したカートリッジと、遠心分離器と、に関する。
【背景技術】
【0002】
輸血医学において、いわゆる血液成分療法は90年代初頭以来確立されている。これにより患者には、全血の保存血液の代わりにそれぞれが必要とする血液成分のみが投与される。個々の血液成分を別々に投与することによって、1つの保存血液を平均で1.8人の患者に最適に役立てることが可能になる。
【0003】
基本的な血液成分は以下の通りである。
赤血球濃厚液における赤血球。この成分は、極度に失血した後に酸素供給を維持するために輸血される。
血小板濃厚液における血小板。この成分は、血液凝固障害(血友病)の場合に投与される。
血漿。この成分は、血液の凝固障害および欠乏の場合に投与される。それとは別に、血漿は、数多くの薬剤製造の基本的な成分である。
【0004】
血液の個別成分への分離は細胞分離として定義され、遠心分離器内で血液を処理することによって行われることが知られている。遠心分離によって、血液の個別成分が分離され、さらに使用するために個々の容器に充填することができる。
【0005】
かかる遠心分離器は、例えば特許文献1により知られている。この技術状況によると、遠心分離器のロータにあるハブの周りには、複数のカートリッジが配置される。このカートリッジは、血液バッグが直立位置で遠心分離されるように、ロータにしっかりと保持される。カートリッジはその内部に、全血を含んだ血液バッグと、血漿および赤血球濃厚液を収集する生成物バッグと、をそれぞれ収容するための収容装置を備える。個々の成分を分離した後に生成物の流れが継続して再び混じり合うのを防ぐために、カートリッジには、個々のチューブをクランプする様々なクランプ手段が設けられる。分離完了後、バッグをカートリッジから取り外す前に、バッグの個別の接続チューブは適切な手段で封止されなければならない。その後にカートリッジのクランプを開いてバッグを取り外すことができ、そのカートリッジにて新しいバッグのセットを収容する準備をすることができる。
【0006】
血漿または赤血球を分離し抜き出した後には、「バフィーコート」と呼ばれる混合物が血液バッグ内に残る。この「バフィーコート」は主に血小板と、白血球および赤血球からなる。この「バフィーコート」から血小板を得るには、バフィーコートを添加液で希釈し、次いでその希釈された「バフィーコート」を再度、遠心分離によって各成分に分離する。
【0007】
特許文献2により、上記目的のためのシステムおよび方法がすでに知られている。この文献には、「バフィーコート」と添加溶液の混合物を含んだ環状のバッグが単一のチャンバに挿入される遠心分離器が開示されている。この場合、遠心分離操作によって血液成分が分離され、分離された成分はチューブ管路を経由し、ハブの領域に設けられたフィルタを通過して、やはりハブの領域に設けられた収集容器へと移送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1351772B1号
【特許文献2】国際公開第03/089027号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、収量がより良好である細胞分離を可能にするとともに、より経済的な細胞分離を可能にする、血液または血液生成物から細胞を分離する改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、請求項1に記載の細胞を分離する方法と、請求項11に記載のカートリッジと、請求項18に記載の遠心分離器と、によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に従って実現される。
【0011】
本発明による血液または血液生成物から細胞を分離する方法では、血液生成物を含んだ血液バッグが、カートリッジの血液バッグ区画に挿入される。次いで、血液バッグに接続されたチューブが、生成物移送経路に挿入される。この生成物移送経路により、血液バッグは生成物バッグに接続される。生成物移送経路に沿って、第1のセンサおよび第2のセンサが配置されている。次に、カートリッジが、遠心分離器のロータに挿入される。
【0012】
次いで、個々の血液成分を分離するために、遠心分離器が回転する。このステップの後に、所定の量の血液成分が生成物移送経路に沿って第1の流速で移送される。次に、上記流速を低減させることができ、血液成分をさらに続けて移送することができる。遠心分離器の回転もそのまま作動状態にある。
【0013】
移送中、第1のセンサが血液成分の組成を検出する。ただし、この検出は、場合によってあり得る第1の流速の低減が行われてから実行されることが好ましい。
【0014】
所定の血液成分組成に達すると、第1のセンサがその信号を出力する。第1のセンサが上記信号を出力完了してはじめて、第2のセンサが作動することが好ましい。次いで、第2のセンサは血液成分の組成を検出し、所定の組成を検出すると終了信号を出力する。これにより移送が終了する。第2のセンサによる終了のかわりに、第1のセンサが信号を出力してから所定時間経過後に、移送を終了してもよい。移送が終了すると、回転も終了する。
【0015】
上記の所定の血液成分組成は、分離すべき血液生成物を表している。これは、所定の割合の不要な血液生成物を含む。上記センサの領域で不要な血液生成物が所定の割合に達したときに、その所定の割合は上記の所定の組成に対応する。
【0016】
したがって、上記センサの有利な配置により、所望の血液生成物の一部分が移送に使用されるチューブ内に残留することなく、最適な量の所望の血液生成物を採取することが可能になる。
【0017】
第1の流速で所定の量の血液成分を生成物移送経路に沿って移送する前に、低減された初速度で血液成分を移送できると有利である。これは、生成物移送経路の第1のセンサと第2のセンサの間に設けられたフィルタに通水する働きをする。初速度を低減する、すなわち、流速を低速にすることにより、気泡または第2のセンサに不正確な信号を出力させる可能性のあるその他の混入物が、フィルタに残留しないようにする。
【0018】
血液成分(生成物)が、フィルタ内に径方向外側下から入ってくると有利である。したがって、フィルタ処理は遠心力に対向して行われる。
【0019】
第1の流速で移送を行う前と低減された初速度で移送を行う前にそれぞれ、チューブに配設されたチューブ・クランプを、カートリッジに設けられた作動装置によって開くことができる。血液バッグの取り扱い中は、チューブ・クランプを閉じることにより、細胞分離が開始される前にその内容物がチューブに入らないようにする。
【0020】
代替方法として、または追加で、第2のセンサと生成物バッグの間にチューブ・クランプを設けることができ、移送が終了したときにそれを閉じることができると有利である。これにより、最適なときに確実に移送を終了することができる。それぞれのチューブ・クランプは、作動装置によって、移送が開始されたときに開かれ、終了したときに閉じられる。
【0021】
第1および第2のセンサを光センサとして設けることができると有利である。その場合、移送される血液成分の所定の組成は、赤血球の特定の割合を表すことができる。この割合は、上記センサによって検出される。
【0022】
上記流速を調節するために、径方向外向きに作用する圧力を、ロータに設けられた押圧要素によって血液バッグに加えることができる。
【0023】
本発明によるカートリッジおよび遠心分離器は、全血から細胞および血漿を分離するのに適している一方で、既知の遠心分離操作後に残る「バフィーコート」から、細胞を分離するためにも提供される。
【0024】
このために、複数の血液バッグからの「バフィーコート」が、添加液を加えて新しい血液バッグに収集され、混合される。この新しい血液バッグは、本発明による血液バッグに対応する。新しい血液バッグは、チューブおよび/またはフィルタ、特に、白血球のフィルタ処理のために提供されるフィルタを装備できると有利である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるカートリッジの上面図である。
【図2】上記カートリッジの斜視図である。
【図3】上記カートリッジの対称中心線に沿った断面斜視図である。
【図4】図4を補足する上記カートリッジの断面斜視図である。
【図5】上記カートリッジの他の断面斜視図である。
【図6】上記カートリッジのカバーの下部表面の図である。
【図7】収容ボックスの斜視図である。
【図8a】細胞分離が見られる上記カートリッジの断面図である。
【図8b】細胞分離が見られる上記カートリッジの断面図である。
【図8c】細胞分離が見られる上記カートリッジの断面図である。
【図9】フィルタを通る血液生成物の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の一実施形態について、図を用いて説明する。
【0027】
本発明の一実施形態について、図1〜9を用いて説明する。
【0028】
カートリッジ1は、基本的に、仕切り壁3およびカバー9からなる。仕切り壁は、血液バッグ区画5と、生成物バッグ区画7と、を画成する。遠心分離器のロータのシステム・ボックス89にカートリッジ1が挿入されると、血液バッグ区画5は仕切り壁3の径方向内側に配置され、生成物バッグ区画7は仕切り壁3の径方向外側に配置される。本発明による収容ボックス89は、システム・ボックス89として設計されている。
【0029】
血液バッグ区画5の上方には、カバー9が設けられる。カバー9は基本的に矩形の形状を有し、閉じた状態において、その長手方向壁の一方が仕切り壁3と接触する。カバーは、あるコーナ点では仕切り壁に旋回式に取付けられ、第2のコーナ点ではボルト10で仕切り壁3と係合する。カバーを開くには、ボルト10に圧力をかけてから、カバーを側方に旋回させる。これによって、血液バッグ区画5は自在にアクセス可能になり、血液バッグ35を入れることができる。
【0030】
この簡易な旋回機構を用いることによって、カバー9を閉じるときに、かなり容易にチューブ36および血液バッグ35を所望の位置に保持することができ、カバー9を閉じることによって、その所定の位置に固定することができる。
【0031】
カバー9を閉じた後は、カバー9の上部表面に形成された陥凹部15、19に、チューブ36を挿入することができる。陥凹部15には、第1の光センサ25が設けられる。
【0032】
血液バッグに付属するとともに、チューブ(例えば「ハルキー・ロバーツ(Halkey Roberts)」社製のものなど)に配設される、閉じた状態のチューブ・クランプ34は、カバー9の上部表面に形成された陥凹部17に収容される。
【0033】
チューブ36の、血液バッグ35に対して遠い方の端部は、生成物バッグ区画7に達し、そこで固定具29に保持された白血球フィルタ31に連結される。チューブ36は、白血球フィルタ31に径方向外側下から挿入される。フィルタ31およびチューブ36の挿入は、固定具29の外壁71にあるスロット73により可能となる。フィルタを固定具に挿入する際には、チューブ36がフィルタ31に径方向外側を通って下から通じるように、フィルタ31に連結されたチューブ36をスロット73を介して上から下へと移動させることができる。
【0034】
フィルタ31の後ろで、チューブ36は、陥凹部15、17、19に対して略鏡像的に配置されるとともにカバー9に設けられた第2の陥凹部75、79、81、83を介して、生成物バッグ33に至る。生成物バッグ33は、固定具29の径方向外側に配置されている。
【0035】
陥凹部81には、第2のチューブ・クランプ34が設けられる。陥凹部79には、第2の光センサ85が配置される。
【0036】
カバー9の内側では、クランプ34を作動させるための作動手段としての2本のロッド21、23がカバーを通って延び、それぞれの一方の端部は仕切り壁3とは反対側に位置するカバー9の側部表面8からわずかに突出し、もう一方の端部はクランプ34を収容する陥凹部17の領域に配置されるようになっている。側部表面8から突出している一方の端部に圧力をかけることによって、クランプ34を開閉することができる。この実施形態によると、チューブ・クランプ34は、空圧でだけでなく個別に操作することもできる。
【0037】
カートリッジ1の装入後、カートリッジ1を遠心分離器のロータのシステム・ボックス89に挿入することができる。その完了後、仕切り壁3とは反対側に位置するカバー9の側部表面8が、遠心分離器のハブの領域に設けられた、システム・ボックス89の支持部57上に載置される。さらに、支持部57のところには、径方向外側に突出部56を有するロッド形のロック要素55が設けられる。カートリッジ1を挿入することによりカバー9の側部表面8が摺動して突出部56を覆い、ロック要素55を径方向内向きに移動させて、側部表面8が突出部56の下へ配置されるようにするとともに、ロック要素55のばねが元の位置に跳ね戻ることによってカートリッジ1の上向きの移動を妨げるようにする。これで、カートリッジ1はシステム・ボックス89の外壁と支持部の間に確実に位置決めされる。
【0038】
この実施形態によると、それぞれカートリッジ1を1つ有する6個のシステム・ボックス89のための遠心分離器のロータが設計される。遠心分離器は、全てのカートリッジ1が挿入された後で始動される。所望の血液成分の分離は遠心力によって行われる。血液バッグ35内には添加液によって希釈された「バフィーコート」が入っており、より軽い成分が径方向内側に留まるとともに、より重い成分、すなわち赤血球は外側に集まる。
【0039】
所望の血液成分(この実施形態によると、血小板である)を高品質に、すなわち他の血液細胞の混合物を含むことなしに血液バッグから移送するために、この成分分離の後に、既知の圧力パッド61によってわずかな圧力が血液バッグにかけられる。これにより、クランプ34が開いた後、血小板濃度の高い液が、上向きかつ径方向内向きに延びるチューブ36を上昇し始める。血小板濃度の高い液は、径方向外側下から入ってくるチューブ36を経由して、白血球フィルタ31内に導かれる。
【0040】
白血球フィルタ31において、不要な白血球、すなわち白血球が除去される。チューブ36がフィルタ31を含む本発明による配置によって、遠心力に対抗して濾過が行われる。したがって、意図せずに送られた赤血球などのより重い血液成分は、径方向外側に配置されたフィルタの前置チャンバにトラップされる。
【0041】
白血球フィルタ31を通過した後、血小板濃度の高い液は、チューブ36を介して生成物バッグ33へと流れ続け、そこで収集される。生成物バッグ33は、生成物の最終的な保存バッグとしてすでに形成されていると好ましい。全体的なプロセスは、図8a〜8cに略図で示されている。
【0042】
フィルタ内に存在する可能性のある空気を取り除くために、生成物移送の初めは所定量の流速が低く保たれる。これにより、確実かつ完全にフィルタを血液生成物で充填することができる。この所定量の移送の後、圧力パッドの適切な制御によって、特定の第2の量を送るための移送速度を上昇させる。この第2の量が移送される間、赤血球が血液生成物(ここでは、血小板濃厚液)を汚染する恐れはほとんど存在しない。それにもかかわらず赤血球が混入した場合、わずかに混入した赤血球は、チューブが径方向外側下からフィルタ内に送られ、遠心力が作用していることから、フィルタの下側および外側の領域に集められる。
【0043】
第2の量の移送完了後、第1の光センサが作動し、チューブ36内の血液生成物の流速が低減される。
【0044】
第1の光センサ25は、血小板濃度の高い液で赤血球の所定の割合を検出すると、流速を再び低下させる信号を出力する。さらに、フィルタ31の後ろに配置された第2の光センサ85が作動する。
【0045】
この段階中、第2の光センサ85が血液生成物内における赤血球の所定の割合を検出し、細胞分離プロセスを終了させるための信号を出力するまでは、やはりかなりの赤血球がフィルタ31に入って通過する可能性がある。上記プロセス終了信号により、ロッド23が作動することによってチューブ・クランプ34が閉じられる結果、フィルタ内の赤血球は生成物バッグ内の血小板濃厚液から確実に切り離される。ロッドの操作は、システム・ボックス89内に設けられた作動機構によって行われる。
【0046】
第2の光センサ85によって終了する代わりに、第2の光センサ85の作動後一定時間が経過した後に、細胞分離プロセスを終了してもよい。
【0047】
この実施形態では、計6個のカートリッジが遠心分離器に設けられる。カートリッジ1における圧力パッド61による細胞分離プロセスと、チューブ・クランプ34の開閉と、2つの光センサ25、85によるプロセス制御からなる上記の制御により、残りのシステム・ボックス89のカートリッジで連続した細胞分離を行うことが可能になる。これは、上記のプロセス制御が、カートリッジとシステム・ボックスの組合せごとに個別に動作するためである。
【0048】
制御信号およびその他の電気信号を伝送するために、個別の接点59の形をした電気接点パッドが、システム・ボックス89の支持部57に設けられる。カバー9の下部表面には接点59に割り当てられる接触表面27が設けられ、カートリッジ1がシステム・ボックスに挿入されたときに接触表面27が接点59と接触する。このため、接点59にはばねが取付けられている。
【0049】
扱いを容易にする一方、バッグ33、35、チューブ36またはフィルタ31の損傷により血液成分が漏れた場合のために、カートリッジ1は径方向内向きの方向から収集タンク87に挿入される。損傷があった場合には、システム・ボックス89またはロータ自体の汚染が少しで済むように、漏れた血液成分は収集タンク87に大部分収集される。これによれば、システム・ボックス89をロータから簡単に取り外すことができる。
【0050】
細胞分離が終了した後、ロック要素55にわずかな圧力をかけて径方向内側に移動させることによって、各カートリッジ1が取り外される。
【0051】
それと同時に、カートリッジ1を収集タンク87の指穴88のところでつかみ、遠心分離器のシステム・ボックス89から上向きに持ち上げ、新たに装入する新しいカートリッジ1とすぐに置き換える。その後の細胞分離中に、この交換したカートリッジ1から血液バッグ35および生成物バッグ33が取り外され、再装入することができる。
【0052】
血液または血液生成物から細胞分離する方法であって、上記方法は、
(i)血液生成物を含んだ血液バッグ(35)をカートリッジ(1)の血液バッグ区画(5)に挿入するステップと、
(ii)上記血液バッグ(35)に接続されたチューブ(36)を、第1のセンサ(25)および第2のセンサ(85)が配置されるとともに上記血液バッグ(35)を生成物バッグ(33)に接続する生成物移送経路(36)に挿入するステップと、
(iii)上記カートリッジ(1)を遠心分離器のロータに挿入するステップと、
(iv)個々の血液成分を分離するために上記遠心分離器を回転させるステップと、
(v)所定の量の血液成分を上記生成物移送経路(36)に沿って第1の流速で移送するステップと、
(vi)上記移送される血液成分の組成を第1のセンサ(25)で検出するステップと、を含む。上記第1のセンサ(25)が上記血液成分の所定の組成に対応する信号を出力した後に、上記第2のセンサ(85)も上記移送される血液成分の組成を検出する。上記第2のセンサ(85)が上記所定の組成を検出し、その終了信号を出力したとき、または所定の期間が経過したときに、上記移送ステップおよび上記回転ステップが終了する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)血液生成物を含む血液バッグ(35)を、カートリッジ(1)の血液バッグ区画(5)に挿入するステップと、
(ii)前記血液バッグ(35)に接続されたチューブ(36)を、第1のセンサ(25)および第2のセンサ(85)が配置されるとともに前記血液バッグ(35)を生成物バッグ(33)に接続する生成物移送経路(36)に挿入するステップと、
(iii)前記カートリッジ(1)を遠心分離器のロータに挿入するステップと、
(iv)個々の血液成分を分離するために前記遠心分離器を回転させるステップと、
(v)前記生成物移送経路(36)に沿って所定の量の血液成分を第1の流速で移送するステップと、
(vi)移送される血液成分の組成を前記第1のセンサ(25)により検出するステップと、を含む、血液または血液生成物から細胞を分離する方法であって、
前記第1のセンサ(25)が前記血液成分の所定の組成に対応する信号を出力した後に、前記第2のセンサ(85)も移送される血液成分の組成を検出し、
前記第2のセンサ(85)が前記所定の組成を検出して対応する終了信号を出力したとき、または所定の期間が経過したときに、前記移送するステップおよび前記回転させるステップが終了することを特徴とする細胞を分離する方法。
【請求項2】
前記血液成分は、前記ステップ(v)の前には低減された初速度で移送され、前記生成物移送経路(36)の前記第1のセンサ(25)と前記第2のセンサ(85)の間に設けられたフィルタ(31)に通水する、請求項1に記載の細胞を分離する方法。
【請求項3】
前記生成物が径方向外側下から前記フィルタ(31)に移送され、このフィルタ処理が遠心力に対向して行われる、請求項1に記載の細胞を分離する方法。
【請求項4】
前記チューブ(36)に配設されたチューブ・クランプ(34)が、前記第1の流速で移送が行われる前および前記低減された初速度で移送が行われる前のそれぞれに、前記カートリッジ(1)に設けられた作動装置(21、23)によって開かれる、請求項1〜3に記載の細胞を分離する方法。
【請求項5】
前記第1のセンサ(25)と前記フィルタ(31)との間に第1のチューブ・クランプ(34)が設けられ、ならびに/または、前記第2のセンサ(85)と前記生成物バッグ(33)との間に第2のチューブ・クランプ(34)が設けられる、請求項1〜4に記載の細胞を分離する方法。
【請求項6】
前記第1のチューブ・クランプ(34)および/または前記第2のチューブ・クランプ(34)が、前記作動装置(21、23)によって、移送が開始されたときに開かれ、移送が終了したときに閉じられる、請求項5に記載の細胞を分離する方法。
【請求項7】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサ(25、26)が光センサであり、移送される血液成分の前記所定の組成が特定の割合の赤血球を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の細胞を分離する方法。
【請求項8】
前記流速を調節するために、前記ロータに設けられた押圧要素(61)によって前記血液バッグ(35)に径方向外向きに作用する圧力が加えられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の細胞を分離する方法。
【請求項9】
前記第1のセンサ(25)が前記所定の組成を示す信号を出力した後に、前記第2のセンサ(85)が作動する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
所定時間経過後、または所定の移送量に達したときに前記第1の流速が低減され、前記流速が低減された後に、この低減された流速で前記血液成分がさらに移送されるとともに前記第1のセンサが前記血液成分の組成を検出する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
血液バッグを挿入するための血液バッグ区画(5)と、
前記血液バッグ(35)を生成物バッグ(33)に接続する生成物移送経路(36)と、を備え、
前記生成物移送経路(36)に沿って第1のセンサ(25)および第2のセンサ(85)が配置されている、血液または血液生成物から細胞を分離するための遠心分離器に挿入されるカートリッジであって、
前記第1のセンサ(25)および前記第2のセンサ(85)が直列に設けられ、前記第1のセンサ(25)が前記生成物移送経路内に移送される血液成分の所定の組成を示す信号を出力した後に、前記移送される血液成分の組成を検出するために前記第2のセンサ(85)を作動させることができ、
前記第2のセンサ(85)が前記所定の組成を検出して対応する終了信号を出力すると、または所定時間が経過したときに、移送が終了することを特徴とするカートリッジ。
【請求項12】
前記第1のセンサ(25)と前記第2のセンサ(85)との間にフィルタ(31)が設けられる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記生成物移送経路が、径方向外側下から前記フィルタ(31)に通じている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項14】
チューブ・クランプ(34)が配設されたチューブ(36)が、前記生成物移送経路に設けられ、前記チューブ・クランプが、前記カートリッジ(1)に設けられた作動装置(21、23)によって操作可能である、請求項1〜3に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記第1のセンサ(25)と前記フィルタ(31)との間に第1のチューブ・クランプ(34)が配設され、ならびに/または、前記第2のセンサ(85)と前記生成物バッグ(33)との間に第2のチューブ・クランプ(34)が配設される、請求項1〜4に記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記第1のチューブ・クランプ(34)および/または前記第2のチューブ・クランプ(34)が、前記作動装置(21、23)によって、移送が開始されたときに開かれ、移送が終了したときに閉じられる、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項17】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサ(25、26)が光センサである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項18】
前記流速を調節するため、前記ロータに配置される押圧要素(61)が、前記血液バッグ(35)に径方向外向きに作用する圧力を加えるように設けられる、請求項11〜17のいずれか一項に記載のカートリッジ(1)を有する遠心分離器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−528638(P2010−528638A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510787(P2010−510787)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056925
【国際公開番号】WO2008/148810
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509334480)テルモ ヨーロッパ エヌ ヴイ (5)
【出願人】(508291836)アンドレアス ヘティック ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー (9)
【Fターム(参考)】