細胞内病原体の検出法および定量化法
本発明は、生物学的試料において、クラミジア科(Chlamydiaceae)の細菌を検出するための方法および組成物を提供する。方法には、例えばクラミジア感染血液細胞の表面上に提示されるクラミジア抗原に特異的に結合する抗体と、生物学的試料を接触させる工程;および蛍光顕微鏡観察またはフローサイトメトリーを用いて試料を分析して、結合している抗体を検出する工程が含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、生物学的試料を分析するための方法および組成物に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年4月16日に出願された米国特許仮出願第60/563,087号に優先権を主張し、その内容は全体として、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
背景
クラミジア科(Chlamydiaceae)のメンバーによる感染は、増大しつつある公衆衛生問題を構成する。ヒトに対する2つの主な病原体は、(1)トラコーマおよび性感染疾患の病因であるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、および(2)市中肺炎の病因であり、かつ慢性疾患の開始または増悪に関わる病原体の有力候補である、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)である。こうした慢性疾患には、例えば、アテローム性動脈硬化症、心臓動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、ならびに多発性硬化症およびアルツハイマー病のような神経病変が含まれる。
【0004】
感染性でありかつ持続性のクラミジアを、患者において検出する方法がないことは公衆衛生問題である。これらの細菌が「ステルス(stealth)」病原体であり、高頻度に存在するが明らかには見えないため、容易な同定法および定量化法が必要である。さらに、ルーチンにサンプリングされる生物学的液体である血液中には、クラミジア細胞は仮に存在するとしても低頻度で存在するものと一般的に考えられた。その結果、これらの病原体を検出する試験はしばしば行われない。さらに、ある種の試験は侵襲性であってしばしば生検を必要とし、その後組織試料中に病原体が示される。
【発明の開示】
【0005】
概要
本発明は、部分的に、クラミジアが広い範囲の白血球細胞種に感染し、かつこれらの感染が定量化可能であるという発見に基づく。驚くべきことに、クラミジア疾病に関して無症候性であるようである被験体においてさえ、クラミジアの存在は、比較的よく見られることが見出された。クラミジア糖脂質外抗原(GLXA)などのクラミジア抗原に特異的に結合する抗体で、感染細胞を標識することによって、被験体から採取された感染細胞を定量化できる。これらの抗原のいくつかは、クラミジア細菌自体から解離し、かつクラミジア宿主細胞(例えば白血球)の表面上または内部で発現される。クラミジア抗原は、感染血液細胞の表面上または内部で発現され得るため、フローサイトメトリーを用いて、生物学的液体試料(例えば血液または尿)において、感染しているこうした細胞(例えば単球、マクロファージ、B細胞、T細胞、好塩基球、マスト細胞、好酸球、樹状細胞、または好中球)の実際の数を定量化できる。この技術は、感染細胞負荷量の定量化を可能にし、したがって、診断目的および定量化目的のためだけでなく、クラミジア感染を減少させるかまたは除去することを目的とする、薬剤およびワクチン処置の効力を追跡するためにも重要な価値を有する。クラミジア感染を分析するための本方法は、実際に感染している宿主細胞を同定し、かつ宿主細胞の外部にもまた見出され得るクラミジア核酸の存在を単に同定しない点で、PCR法に対して有利である。さらに、被験体由来の生物学的試料におけるクラミジア感染細胞数の評価は、クラミジア核酸のコピー数よりも、被験体におけるクラミジア負荷量のより正確な基準である。
【0006】
したがって、1つの局面において、本発明は、被験体由来の生物学的試料におけるクラミジア感染細胞数を定量化するための方法を提供する。この方法には、クラミジア感染細胞中かまたは表面上に存在するクラミジア抗原に特異的に結合する第一の抗体と、被験体由来の細胞を含む生物学的試料を接触させる工程、およびフローサイトメトリーを用いて生物学的試料を分析して、第一の抗体が結合している細胞を検出する工程が含まれる。結合した第一の抗体の検出は、細胞中にクラミジア科の細菌が存在することを示し、かつ第一の抗体が結合している細胞数が計数される。生物学的試料は、クラミジアによって引き起こされる障害に関して、無症候性である個体から採取してもよい。生物学的試料は、尿、血液、唾液、痰、粘液、精液、羊水、滑液、脳脊髄液、洗口液、気管支洗浄液、およびそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの態様において、細胞種特異的抗原、例えば好塩基球、好酸球(例えばCDw125)、好中球(例えばCD16b)、樹状細胞、マスト細胞、または単球(例えばCD14)において特異的に発現される抗原に特異的に結合する第二の抗体ともまた、生物学的試料を接触させて、クラミジア感染のプロフィールを決定し得る。第一の抗体および第二の抗体が両方とも結合している細胞を、第二の抗体によって標識された細胞種のクラミジア感染細胞であると決定する。いくつかの態様において、異なる時点、例えば少なくとも1週間隔てられた時点で、被験体から得た生物学的試料に本方法が適用される。
【0007】
別の局面において、本発明は、被験体から得た生物学的試料において、クラミジア感染細胞数を減少させるための方法を提供する。この方法は、抗クラミジア抗原抗体と、被験体由来の生物学的試料を接触させる工程、および蛍光活性化細胞選別を用いて、感染していると見なされる、結合した抗体を有する第一の細胞亜集団、およびクラミジア感染細胞数が減少した第二の細胞亜集団に、生物学的試料中の細胞集団を分別する工程を含む。いくつかの態様において、生物学的試料は、血液試料または精液試料である。
【0008】
本明細書において記載される任意の方法において、定量化可能なクラミジア種には、例えば、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・スイス(Chlamydia suis)、クラミジア・ミュリダルム(Chlamydia muridarum)、クラミドフィリア・シッタシ(Chlamydophilia psittaci)、クラミドフィリア・ニューモニエ、クラミドフィリア・カビエ(Chlamydophilia caviae)、クラミドフィリア・ペコルム(Chlamydophilia pecorum)、クラミドフィリア・アボーツス(Chlamydophilia abortus)、およびクラミドフィリア・フェリス(Chlamydophilia felis)、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるクラミジア種が含まれる。用いられる抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、またはモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体両方の混合物であってもよい。例えば、用いられる抗体は、アクセッション番号ATCC H.B.11300として、American Type Culture Collection (ATCC)に寄託されるハイブリドーマによって産生される抗体の結合特異性を有する抗体であってもよい。またはもしくはさらに、抗体断片を使用してもよい。さらに、任意の方法において、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、Texas Red(商標)、5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン、リサミン(lissamine)ローダミンB、5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)、7-ジエチルアミノクマリン-3カルボン酸、テトラメチルローダミン-5-(および-6)-イソチオシアネート、5-(および-6)-カルボキシテトラメチルローダミン、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸、6-[フルオレセイン5(および-6)-カルボキサミド(carboxamide)]ヘキサン酸、N-(4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4aジアザ-3-インダセンプロピオン酸、エオジン-5-イソチオシアネート、エリトロシン-5-イソチオシアネート、フィコエリトリン(B-、R-、またはシアニン-)、アロフィコシアニン、Oregon Green(商標)、およびCascade(商標)ブルーアセチルアジドなどの1つまたは複数の蛍光体で、抗体(またはその断片)を標識してもよい。決定できる細胞種には、例えば好塩基球、好酸球、好中球、樹状細胞、マスト細胞、または単球が含まれる。任意の方法において、クラミジア抗原は、例えば、クラミジア糖脂質外抗原(GLXA)であってもよい。
【0009】
本発明は、被験体(例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、または家禽)、ならびに寄付される、医学的に価値がある生物学的液体、例えば、血液、精液、および幹細胞におけるクラミジア感染の、ルーチンでかつ高感度の定量的評価を可能にする。さらに、被験体(例えばヒト患者)におけるクラミジア感染の進行および細胞種分布を経時的に定量化可能であり、したがって被験体における抗クラミジア治療の効力を評価する際に非常に有用である。本発明はまた、寄付されるか、または商業的に用いられる、被験体から採取された試料(例えば血液および精子)から、クラミジア感染細胞を枯渇させるためにも用いられ得る。
【0010】
別に定義しない限り、本明細書において用られるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと類似かまたは同等の方法および材料が、本発明の実施または試験に使用可能であるが、適切な方法および材料を以下に記載する。すべての刊行物、特許出願、特許、および本明細書において言及される他の参考文献は、全体として参照により組み入れられる。矛盾する場合は、定義を含めて、本明細書が支配するであろう。さらに、材料、方法、および実施例は、例示のみであり、かつ限定することを意図しない。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【0012】
詳細な説明
本発明は、任意のタイプの生物学的試料において、クラミジア感染細胞を検出および/または定量化するための、最小限に侵襲性である新規の方法を提供する。本方法は、生物学的試料を、抗クラミジア抗体(例えば抗GLXA抗体)またはその断片に曝露する工程、およびフローサイトメトリーを用いてその生物学的試料を分析する工程、またはその任意のバリエーションを含む。同時に多くの生物学的試料を分析するため、本明細書において記載される方法を、自動化系、例えばハイスループット系で行ってもよい。
【0013】
本方法は、例えば、患者が(a)クラミジア科の細菌に現在感染しているかどうか;および(b)患者が感染している場合、患者の感染状態を、医師が診断することを可能にし得る。患者の感染状態を決定する際、決定は、いくつの細菌を患者が保因しているか(すなわち患者の「クラミジア負荷量」)に関して行われる。患者が比較的高いクラミジア負荷量を保因する場合、患者は細菌の症候性キャリアーであり得る(すなわち患者は疾患の外見上の徴候を示し得る)。患者が比較的低いクラミジア負荷量を保因する場合、患者は最近感染した可能性もあるし、またはクラミジアの無症候性キャリアーである可能性もある。本方法は、患者がクラミジアのキャリアーである、すなわち他者への伝染を可能とするほど十分に高いが、患者が疾患症状を示さないほど十分に低い、クラミジア負荷量を持続的に保因すると診断するのに特に有用である。患者が、患者からクラミジアを減少させる/排除する治療処置を受けたか、受けているか、または受けるであろう場合、本方法は、治療処置の有効性を、経時的に監視するのに特に有用である。
【0014】
例えば、クラミジア感染を排除する治療処置の開始前の時点、およびその後のさまざまな時点で、クラミジア負荷量を決定してもよい。さまざまな細胞種におけるクラミジアの相対的分布(すなわちクラミジア感染のプロフィール)、例えば感染した好酸球、好中球、好塩基球、マスト細胞、および単球またはそれらの任意の組み合わせの数もまた決定可能であり、これはさまざまな時点で、被験体におけるクラミジア感染の状態を決定する際に有用であり得る。本方法を用いて、例えばクラミジア抗原に特異的に結合する抗体でクラミジア感染細胞を標識し、蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いて、生物学的試料から標識細胞を除くことによって、被験体から採取された液体生物学的試料からクラミジア感染細胞を除くこともまた可能である。
【0015】
他の態様において、年1回、2回、またはそれ以上行われるルーチンの血液検査として、クラミジア感染細胞、例えば特定の種類の感染細胞(例えば好塩基球、好酸球、好中球、樹状細胞、単球、またはマスト細胞)のレベルが分析される。幼児期から検査を開始し、その後、小児期から成人期まで、毎年検査を続けてもよい。次いで、このレベルのプロフィールを、患者のクラスに関して、例えば年齢、人種、性別、もしくは地理によって、または特定の患者に関して確立し、目的とする将来の診断のために用いてもよい。例えば、患者が無症候性である際に、特定のレベルの感染細胞を有し(例えば基底レベル)、これが長期間本質的に同じままであり得(年間の時期に基づき増加および減少する可能性があり、例えば冬期には幾分高い)、その場合、この基底レベルの上昇、例えば突然または別の異常な上昇は、クラミジアによって誘導される疾患症状の開始を示し得る。同種の検査が、例えば家畜、家禽、またはウマにおいて、特に交配に用いる動物においてもまた、行われ得る。
【0016】
他の態様において、抗クラミジア抗原抗体を用いて生存感染細胞を標識し、医学的または商業的に価値がある生物学的液体、例えば血液、精液、幹細胞から、クラミジア感染細胞を枯渇させることも可能である。1つの態様において、クラミジア感染の枯渇は、貯蔵および将来の使用のための枯渇させた細胞集団(例えば凍結精子)の貯蔵かまたはバンクへの寄託の前に行われる。
【0017】
I.抗体の産生
特定のクラミジア抗原に対して向けられる抗体を用いて、本発明の方法を行ってもよい。1つの態様において、抗GLXA抗体が用いられる。別の態様において、抗クラミジア抗体、例えばモルモット抗クラミジア(例えばBioMediaから入手可能)などの市販されているポリクローナル抗体が用いられる。
【0018】
標準的方法を用いて、GLXAエピトープのようなクラミジア抗原(例えば、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・スイス、クラミジア・ミュリダルム、クラミドフィリア・シッタシ、クラミドフィリア・ニューモニエ、クラミドフィリア・カビエ、クラミドフィリア・ペコルム、クラミドフィリア・アボーツス、および/またはクラミドフィリア・フェリス由来)に特異的結合親和性を有するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生してもよい。本発明で有用な例示的な方法および抗体は、米国特許第5,716,793号および第5,840,297号に記載され、これらはいずれも、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。例えば、アクセッション番号ATCC H.B.11300および11301としてAmerican Type Culture Collection (ATCC)に寄託されるハイブリドーマから得られるモノクローナル抗体を使用してもよい。
【0019】
本明細書において用いられるように、「抗体」という用語には、クラミジア抗原、例えばGLXAに結合可能な、無傷の抗体分子およびその断片が含まれる。用語「エピトープ」は、抗体のパラトープが結合する、抗原上の抗原決定基を指す。エピトープ決定基は、典型的にアミノ酸または糖側鎖のような化学的に活性な表面分子群からなり、かつ典型的に特定の三次元構造特性、ならびに特定の電荷特性を有する。エピトープは、一般的に、少なくとも5つの隣接アミノ酸を有する。「抗体」という用語には、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、一本鎖Fv抗体断片、Fab断片、およびF(ab)2断片が含まれる。本発明で用いられる抗体は、任意の免疫グロブリンクラス、例えばIgG、IgM、IgE、IgA、IgD、およびそれらの任意のサブクラスであってもよい。
【0020】
本発明において、キメラ抗体もまた、有用である。キメラ抗体は、異なる部分が、異なる動物種に由来する分子、例えばマウスモノクローナル抗体由来の可変領域、およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する分子などである。標準的な技法によりキメラ抗体を産生できる。
【0021】
クラミジア抗原、例えばGLXAに特異的結合親和性を有する抗体断片を、公知の技法によって生成できる。こうした断片には、非限定的に、抗体分子のペプシン消化によって産生し得るF(ab')2断片、およびF(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって生成し得るFab断片が含まれる。またはもしくはさらに、Fab発現ライブラリーを構築してもよい。例えば、Huse et al., 1989, Science, 246:1275を参照されたい。
【0022】
またはもしくはさらに、一本鎖Fv抗体断片を用いてもよい。一本鎖Fv抗体断片は、アミノ酸架橋(例えば15〜18アミノ酸)を介してFv領域の重鎖および軽鎖断片を連結して、一本鎖ポリペプチドを生じることによって形成される。標準的技法により、一本鎖Fv抗体断片が産生できる。例えば、米国特許第4,946,778号を参照されたい。
【0023】
一旦得られかまたは産生されれば、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)技法およびラジオイムノアッセイ(RIA)を含む標準的イムノアッセイ法によって、クラミジア抗原の認識に関して、抗体またはその断片を試験できる。例えば、Short Protocols in Molecular Biology, Chapter 11, Green Publishing Associates and John Wiley & Sons, Edited by Ausubel, F.M et al., 1992を参照されたい。適切な抗体は、組換えタンパク質および天然タンパク質に対して、等しい結合親和性を有し得る。
【0024】
II.標識抗体
本発明において有用な抗体を、特定の色、例えば他の蛍光体と対照的な色の光を発する蛍光体で標識してもよい。またはもしくはさらに、抗クラミジア抗体に対して向けられる標識二次抗体を使用してもよい。本発明で使用するため、標識抗体を購入するかまたは産生してもよい。抗体を標識するための技法は当技術分野において周知であり、かつ例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 353-355(1988)に記載されている。例えば、当業者は1つまたは複数の以下の蛍光体:7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、Texas Red(商標)(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR)、5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン、リサミンローダミンB、5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)、7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸、テトラメチルローダミン-5-(および-6)-イソチオシアネート、5-(および-6)-カルボキシテトラメチルローダミン、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸、6-[フルオレセイン5(および-6)-カルボキサミド]ヘキサン酸、N-(4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4aジアザ-3-インダセンプロピオン酸、エオジン-5-イソチオシアネート、エリトロシン-5-イソチオシアネート、フィコエリトリン(B-、R-、またはシアニン-)、アロフィコシアニン、Oregon Green(商標)、および/またはCascade(商標)ブルーアセチルアジド(Molecular Probes, Inc., Eugene, Oreg.)を用いて抗体を標識するように選択してもよい。抗体はまた電気化学標識(Bio Veris)で標識してもよい。
【0025】
またはもしくはさらに、半導体ナノ結晶で抗体を標識してもよい。水溶性ナノ結晶は、シリカ・シェル中に封入された、異なるサイズのカドミウム-セレン/カドミウム硫黄コア-シェル・ナノ結晶、またはメルカプト酢酸中で可溶化された、カドミウム-セレン/亜鉛硫黄ナノ粒子で構成される。こうした水溶性ナノ結晶は、調整可能な細い対称的発光スペクトルを有し、かつ光度的に安定である。例えば、いずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる、Bruchez Jr. et al., Science, 1998, 281:2013-2016;およびChan et al., Science, 1998, 281:2016-2018を参照されたい。
【0026】
III.分析用の試料
本明細書において記載される方法を用いて、被験体から得た生物学的試料を分析できる。用語「被験体」は、本明細書全体にわたって、生物学的試料を得ることができる動物またはヒトを記載するために用いられる。被験体がクラミジアに感染しており、かつ基底レベルのクラミジア感染細胞を有するが、クラミジア誘導性疾患、例えば肺炎、失明性トラコーマ、骨盤内炎症性疾患、または性感染反応性関節炎の症状を有さないことがあることを本発明者らが見出したように、被験体は、無症候性であるか、または健康に見える可能性がある。本発明によって、獣医学的適用が明らかに意図されている。動物という用語には、非限定的に、鳥類、爬虫類、両生類、および哺乳類、例えば類人猿、ブタ、マウスおよびラットのようなげっ歯類、ウサギ、モルモット、ハムスター、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ならびにヤギが含まれる。用語「生物学的試料」は、蛍光顕微鏡観察および/またはフローサイトメトリーを用いて分析し得る、患者から得た材料を指す。生物学的試料は、例えば、患者から得られる任意の液体、例えば尿、血液、唾液、痰、粘液、精液、羊水、洗口液、気管支洗浄液、滑液、脳脊髄液、腹腔洗浄液、尿、および/または臍帯血であってもよい。当業者に公知の任意の方法を用いて、患者から分析用の試料を得てもよい。
【0027】
IV.分析
典型的には、当技術分野に公知の方法を用いて、蛍光顕微鏡観察および/またはフローサイトメトリーによる分析のため、生物学的試料を調製する。しかしながら、調製の一部として、抗クラミジア抗体、例えば抗GLXA抗体と生物学的試料を接触させる。さらに、細胞種特異的マーカー(例えばCD14、CD16b、またはCDw125)などの分化抗原を認識する第二の抗体と、細胞を接触させてもよい。当業者に公知の任意の手段を用いて、例えばこれらを検出するため、異なるように標識された二次抗体を用いることによって各一次抗体の結合を区別できる。二次抗体を用いて、例えば分化抗原の存在で同定される特定の特性を持つ細胞の亜集団を同定することもできる(例えば、単球上のCD14の存在によって、好酸球が同定される)。分化抗原は、細胞表面上または細胞内部に存在し得る。1つの例において、クラミジア感染細胞を含有する白血球試料を、異なる白血球種の相対的画分に関して分析してもよい。したがって、所与の細胞を、クラミジア抗原の存在および白血球種特異的マーカーの存在に関してフローサイトメトリーによって同時にアッセイできる。
【0028】
分析用の試料を調製し、蛍光顕微鏡観察を行ってクラミジア感染細胞を検出し、フローサイトメトリーを行うための方法は、当技術分野において周知であり、かつ例えば、Norkin et al., Exp. Cell. Res. 266(2):229-38 (2001); Handbook of Flow Cytometry Methods. J. Paul Robinson (Editor) Wiley (1993);およびGuide To Flow Cytometry Methods W.McLean, Grogan James, M. Collins. Marcel Dekker, Inc, New York, (1990); Poccia et al, Emerging Infectious Diseases, 9(11)03-0349 (2003);およびMandy et al., Guidelines for the Performing Single-Platform Absolute CD4+ T-CeIl Determinations with CD45 Gating for Persons Infected with Human Immunodeficiency Virus; Jan. 2003/52 (RR02);l-13. Morbidity & Mortality Reportに記載されている。
【0029】
フローサイトメトリーにおいて、蛍光色素で標識されたかまたは蛍光色素と結合された細胞(または細胞断片)を含有する試料は、典型的に、シース液と共に細長いフローセルを通過し、したがって細胞は単一の縦列で流れる。フロー中の個々の細胞は、流体力学的集束により光線(例えばレーザー光線)で一度に一つずつ照射され、細胞からの散乱光または蛍光の強度、例えば細胞を示す光情報は、細胞を分析するため瞬時に測定される。この種のフローサイトメトリーは、多数の細胞を高速でかつ非常に正確に分析し得る点で有利である。
【0030】
フローサイトメーターは、当技術分野において周知であり、かつ例えばBeckman CoulterおよびBecton, Dickinson, and Companyから市販されている。典型的なフローサイトメーターには、光源、集光光学系、電子機器、およびシグナルをデータに翻訳するコンピュータが含まれる。多くのサイトメーターにおいて、選択される光源は、指定された波長でコヒーレント光を発するレーザーである。散乱蛍光および放射蛍光が2つのレンズ(光源の前の1組および直角方向の1組)によって集められ、かつ一連の光学系、光線スプリッタおよびフィルターによって蛍光の特定のバンドが測定できる。
【0031】
フローサイトメトリーを用いた細胞分析装置の1つの公知の例は、細長い液体流を形成するためのフローセル、フローセルの内部を流れる細胞を光線で照射するための光源(例えばレーザー)、光線を照射された細胞からの細胞光情報を検出し、かつ光情報を電気シグナルに変換するための光検出器、光検出器によって産生されたシグナルを増幅し、統合し、かつノイズを取り除くためのシグナルプロセシング回路、およびシグナルプロセシング回路によって出力された、細胞光情報を示すシグナルをプロセシングするためのコンピュータを含む。分析に加えて、フローサイトメトリーを用いて、生物学的試料中に見られる細胞を、物理的に分離される集団に選別することも可能であり、このプロセスは、蛍光活性化細胞選別(FACS)として知られ、被験体から得た生物学的試料から、抗クラミジア抗原抗体で標識されているクラミジア感染細胞を取り除くのに特に有用である。
【0032】
当業者は、基本のフローサイトメトリー系に対して、多くの変化および/または付加を加えて、例えば実験者にさらなるおよび/または異なる分析能を提供できることを理解する。さらに、当業者は自動化方式でフローサイトメトリーを行ってもよく、かつフローサイトメーターをより大きい自動化系、例えばハイスループット系の一部として提供してもよいことを理解する。本発明の方法は、こうした装置および系の使用を意図する。本発明内に同様に含まれるのは、フローサイトメーター(例えば蛍光活性化細胞選別器)として公知ではないが、本質的にはフローサイトメーターと同一の機能を実施する、任意の装置の使用である。
【0033】
いくつかの場合において、クラミジア抗原の細胞内局在を決定することが望ましいこともある。共焦点蛍光顕微鏡観察を用いて、細胞内の抗クラミジア免疫蛍光染色の位置を正確に決定し得る。共焦点像によって、画像化された細胞を通して非常に薄い平面(光学切片)内の蛍光の検出が可能になる。したがって、細胞の全深度にわたって(すなわち最上部から最下部まで)、一連の共焦点光学切片を撮ることによって、高い細胞内空間分解能で、クラミジア抗原を位置決定することが可能である(共焦点顕微鏡の最近の概説については、Miyashita, Methods Mol. Biol., 261:399-410(2004)を参照されたい)。
【0034】
実施例
実施例1:異なる年齢群由来のランダムな血液試料におけるクラミドフィリア・ニューモニエ:フローサイトメトリー分析および血液スメア分析
クラミドフィリア・ニューモニエ(Cp)は、市中肺炎の発生と関連する偏性細胞内病原体である。CpはB細胞およびT細胞を含む多くの細胞に感染可能であり、かつ心臓血管疾患、喘息、老年性認知症、および自己免疫障害との関連が推定され、関心が高まっている。HEp-2を用いた標準的Cp培養からの知見によって、Cpが培養しにくいことが示されたため、分子技法およびインビトロでない培養が標準とされてきた。500の正常血液ドナーのパイロット調査は、末梢血スメアおよび軟膜(BC)細胞のインビトロ培養物を免疫染色することによって、Cp陽性を調べた。それらは優れた一致を見せ:25%±1.6%および24%±1.2%、かつこれらの試料におけるCpの生存可能性および感染性を示した。フローサイトメトリー(FC)は、別の臨床的に適切なクラミジア検出法であり、かつ病原体負荷量の定量化および細胞種特異的病原体負荷の同定(すなわち病原体の住処となっている細胞種の同定)を可能にするものである。
【0035】
方法:
健康診断時に患者から収集したEDTA血液試料を、ELISAおよびCp特異的ペプチドによって、抗Cp抗体に関して力価決定した。BCスメア調製物を免疫染色し、かつBC溶解物をマウス・マクロファージ(J774A.1)単層上で96時間培養し、その時点で免疫染色、検査、およびスコア付けすることによって、BC溶解物をインビトロで試験した。残りのBCは洗浄、固定、透過処理、染色され、かつCp含有細胞についてのFCにより分析された。
【0036】
結果:
最初の結果は、FC技法がCp感染末梢血細胞(PBC)を容易に検出したことを示す。所与の試料内の非感染細胞に対する感染細胞の平均蛍光強度の相違は、110倍もの高さであり、かつ感染細胞はより高い側方散乱によって特徴付けられた。FC統計データもまた、Cp陽性試料で計数された10,000事象のうち、1174±388個の感染細胞が存在したことを示した。最後に、スメア上および培養物中に見られる感染細胞数とFC分析によって検出される感染細胞の量の間には、正の相関が存在した。典型的な血液スメアおよびフローサイトメトリー結果を、それぞれ図1A〜1D、図2A〜2C、および図3A〜3Cに提供する。
【0037】
図1Aは、感染48時間後にマウス血清Ab3およびFITC結合二次抗体で染色し、続いて1%パラホルムアルデヒド中で固定した、クラミジア・トラコマチス血清型K感染の生HeLa細胞の写真である。感染生細胞蛍光(矢印)に注目されたい。図1Bは、メタノールで固定し、マウス血清Ab3で染色したクラミジア・トラコマチス血清型K感染HeLa細胞の写真である。図1Bにおいて、固定のためにメタノールを使用することにより、細胞表面からGLXAが除かれることに注目されたい。図1Cは、マウス血清Ab3で免疫検出する前に、クラミジア・トラコマチス由来のGLXAと2時間共インキュベーションした、生存非感染HeLa細胞の写真である。図1Dは、プレブリード(pre-bleed)マウス血清で免疫検出する前に、クラミジア・トラコマチス由来のGLXAと2時間、共インキュベーションした、生存非感染HeLa細胞の写真である。図1Cの斑点状の染色パターンが、HeLa細胞表面に限定されており、かつ抗GLXA抗体の存在下でのみ視覚化され得ることに注目されたい。図1A〜1Dに示す結果は、3回の実験を代表する。元の倍率:×400。
【0038】
図2A〜2Cは、血液スメアの抗Cpn FA染色によって、および/またはJ774A.1単層培養物の感染によって、最初に:図2A:弱;図2B:強;および図2C:中程度とスコア付けされた血液試料由来の軟膜のフローサイトメトリー・プロフィールである。Cpn陰性結果を黒で示し、かつCpn陽性結果を灰色で示し、かつ矢印
で表示する。血液スメアをFCによって試験した試料で作成し、抗クラミジア一次抗体(BioMedia)およびFITC結合二次抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて免疫染色した。モルモット抗クラミジア(BioMediaより)を、1:100希釈のJackson FITC結合抗クラミジアで検出した。免疫染色血液スメアの顕微鏡観察を用いて、検体が3つの明確な蛍光細胞/スライドを含有する場合、検体を陽性と称した。これらを弱陽性と称した。蛍光陽性細胞数に応じて、他の試料のさらなるスメアを中程度陽性および強陽性に大まかに分けた。最初に調べた検体では、スメアあたり8個(強陽性)を超えない陽性細胞が見い出され、こうした検体は、図2A〜2Cに示されるFCプロットを生じた。この事実は、わずか10,000「事象」(これらの結果を生じるのに、用いた機器が許容する最小限の数)を評価することによって、これらの3つの異なる検体間の明らかな差異が得られ得ることを示す。これらの結果を生じるのに用いた機器は、最大で1×106事象/試料を計数することから、感度および識別が容易にかつ著しく増大され得る。これらの知見は、クラミジア感染細胞数に関してBC検体を定量化し、かつ特定の感染細胞サブセットを定義するための、この技術の潜在的な分析力を示す。ここには示していないが、クラミジアに関して陽性である細胞はまた、白血球共通抗原、CD45に関しても陽性であることが見出されており、この抗原は、PE蛍光標識を有するモノクローナル抗CD45(Sigma-Aldrich)を用いて検出された。
【0039】
陰性(黒色)試料に関しては、事象の99%が蛍光に関して≦101であり、かつ平均蛍光は≦3.4であった。対照的に、図2Bの灰色の線で示す強陽性は、合計10,000の事象の63%が蛍光スケール上で101〜102の間であり、かつ平均蛍光が52.5であることを示した。これはバックグラウンド平均の3.4より15.4倍高い。中程度の陽性に関しては(図2C)、2つのピークが存在した。水平蛍光スケール(横軸)上、≧101-〜≦102の間の第一のピークは事象の69%を含有し、平均蛍光は29.1であり、かつ蛍光に基づくとより小さい第二のピークは横軸上、102-以上〜103以下の間であった。このピークは、計数した事象の22.03%を含有し、かつ351.8の蛍光平均を有した。さらに、約≧103にマイナーなピークが存在した。このピークは計数した事象のわずか4%しか含有しなかったが、蛍光平均は2,100であり、ほかの点ではマイナーなこのピークにおいて、非常に顕著な細胞標識を示した。
【0040】
これらは、フローサイトメトリー分析が、クラミジア感染の明らかな徴候のない感染患者のPBCにおけるCp含有細胞についての有効なスクリーニング法であることを示す。
【0041】
実施例2:細胞内病原体の検出
以下の実施例は、患者において、クラミジアを検出する際に使用するためのプロトコルを例示する。以下のプロトコルは完全に例示的であり、かついかなる点でも限定を意図しない。
【0042】
白血球単離:
1. EDTAまたは他の抗凝血剤溶液中に5mlの血液を収集し、かつ低温で一晩静置する。これによって、下層の赤血球(RBC)および上層の血漿から、白血球が自然に分離させることができる。
【0043】
2.白色の軟膜層(BC)をピペットまたはカニューレで収集し、BC層を穏やかにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH〜7.0〜7.2中に排出し、かつ穏やかに遠心分離する(400×g)ことによってペレット化する。このPBS洗浄工程をさらに2回反復する。
【0044】
免疫染色
以下に記載するもの、または以下に記載するものに抗体濃度、インキュベーション時間および温度に関してマイナーな改変を加えたものなど、標準的プロトコルを用いて免疫染色を行う。このプロトコルはまた、(a)検出抗体がフルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)またはフィコエリトリン(PE)などの蛍光体に、直接結合されているか、および/または(b)蛍光体に結合した抗マウスまたは抗ウサギなどの二次抗体を用いて、クラミジア特異的抗体の結合を検出するかに依存して変化することもある。いずれの場合でも、インキュベーション後、〜2〜3mlのPBSを、細胞を含有する試験管に添加し混合する。上述のように、穏やかに遠心分離することによって細胞を収集する。この工程を計3〜4回洗浄して反復する。免疫染色される細胞の正確な数は変化し得る。
【0045】
細胞内抗原を免疫染色するため、1%緩衝パラホルムアルデヒドで細胞を固定する(室温で10分間)。しかしながら、GLXAは細胞内封入体内に保持されるのに加え、感染細胞表面上にも明確に提示されることに注目すべきである。蛍光色素が結合された、膜抗原に対する抗体によって標識される細胞には、パラホルムアルデヒド固定を用いてもよい。この固定は、大部分の場合光散乱および標識を最長1週間安定化するため、実験者がサイトメーターの時間の予定を立てるのにより融通が利く可能性もある。この固定はまた、大部分の生物災害物質を不活性化する。細胞膜に提示される抗原に対する細胞内抗原の場合、適切であるように、1%パラホルムアルデヒド固定に加え、1% Triton X100を用いて細胞を透過処理する。
【0046】
1. 20μl(約1μg)の特異的モノクローナル抗体、または200μlの適切な濃度の市販されているポリクローナル抗体、例えばモルモット抗クラミジア(BioMedia、事前力価測定によって決定されるような、@1:100希釈)を、BC細胞(血球計算板で計数することによって決定される、〜1.5〜2.0×107個の細胞)の試料に添加する。より多数の細胞の免疫染色は、適切に増加した量の一次抗体、および適切であるような/適切である場合、二次抗体を用いるべきである。
【0047】
2.試料を混合し、かつ室温で30〜60分間インキュベーションする。
【0048】
3.上述のように、試料をPBSで複数回リンスし、かつ必要に応じて適切な二次抗体濃度、ならびに一般的に室温で30〜60分間である予備試験によって決定されるような時間および温度パラメータを用いて、結合された二次抗体とインキュベーションする。
【0049】
4.新鮮なPBS中に再懸濁し、次いで、穏やかに遠心分離することによって、3〜4回リンスする。パラホルムアルデヒドで固定した場合、FCによって評価する前に試料を4℃で保存してもよい。
【0050】
5.分析直前に試料を試験管中で混合して、細胞が最適に分散した細胞であることを確実にし、かつナイロンフィルターを通過させて完全に分散されていなかった可能性がある塊を除外する。
【0051】
単球の単離
望ましい場合、試料の単球集団を以下のように得ることも可能である:抗凝血剤中の5mlの血液を15mlの遠心管に添加する。5〜8mlのPBS+アジドで血液を希釈し、かつピペットまたはカニューレを用いて、血液/PBS試料の下に2〜5mlのFicoll-Hypaqueを注入し、かつ標準的な密度遠心分離を用いる(Ficoll-Hypaque、Pharmacia、Uppsala、Sweden)。PBS/血漿の上層を取り除き、赤血球との界面にある細胞を新しい試験管に移して、PBSでリンスし、かつ最後の細胞ペレットを再懸濁した後、細胞計数を行う。次いで、上に論じたように、この濃縮集団をクラミジアに関して染色してもよい。クラミジアは多くの細胞種に感染可能であるようであるため、ある種のフローサイトメトリー・スクリーニングは、BC調製物中のすべての白血球を調べることができる。さらに、CD4(TH細胞)またはCD8細胞傷害性T細胞(TC)、およびB細胞などのサブセット表面マーカーに特異的な、市販されているモノクローナル抗体を用いて(免疫グロブリン重鎖および軽鎖に対する抗体を用いて)、BC調製物中の総白血球集団の異なるサブセット集団を区別することも可能である。
【0052】
結果
診断された小児喘息患者および非喘息呼吸器小児患者由来の検体(血液および気管支洗浄−スメアおよび培養物)ならびに小児健康診断診療由来の血液試料を調べた。結果を以下の表1および表2に提供する。以下に示すように、気管支肺胞洗浄(BAL)に関して陽性であるスメアおよび培養物の数は、血液に関するものと本質的に同一である。
【0053】
(表1)BAL培養物
【0054】
(表2)血液培養物
【0055】
実施例3:共焦点顕微鏡観察およびフローサイトメトリー分析を用いた、クラミジアに感染した細胞の細胞種分布のプロファイリング
血液ドナーのスメアの免疫染色
スメアは、血液ドナー試料のEDTA試験管から約20μlの全血を清浄ガラススライド上に置くことにより準備し、かつ30〜40°の角度に保持した第二のスライドを用いて、スライドに沿って広げ、スメアを完成させた。スメアを乾燥させ、次いで70%冷メタノールを用いて10分間固定した。ウサギ抗クラミジア血清00MS78の1:50希釈と共にスライドをインキュベーションした。1×PBS中でリンスした後、FITC抱合体化ヤギ抗ウサギIgG(H+L)(Jackson Immuno Research Laboratories, Inc、West Grove、PA)二次抗体の1:100希釈を添加した。一次抗体および二次抗体溶液とのインキュベーションを室温で1時間行った。PBSのビーカー中で簡単にリンスした後、Fluoromount G (Bio Whittaker、Walkersville、MD)を用いてカバーガラスをマウントし、次いで密封、検査し、Nikon Eclipse E600エピ蛍光顕微鏡およびSPOTデジタルカメラ(Digital Instruments Inc.)を用いて写真撮影した。
【0056】
単球、好酸球/好塩基球、および好中球染色
70%メタノール固定の代わりに、穏やかな熱固定を用いたことを例外とし、上述のような方法を用いて、新鮮血液(FB)試料の血液スメアを3つ組で調製した。収集後≦7日に入手可能なFB試料を用い、かつ製造者によって提供される標準的Wright Giemsa染色プロトコル(Fisher Scientific、Middletown、Va.によるACCRA)を用いて、差次的な細胞数を得、WBCの脆弱性、死、または調製中の損失を評価した。スメアを、ポリクローナル・ウサギ抗クラミジア血清、およびマウス・モノクローナル抗ヒトCD14(Sigma、Saint Louis、MO)、PE結合マウス・モノクローナル抗ヒトCDw125またはマウス・モノクローナル抗ヒトCD16bのいずれかとインキュベーションすることによって、FBスメアを二重免疫染色した。すべての希釈をPBS中で行った。最終抗体濃度は以下の通りであった:ウサギ抗クラミジア・ポリクローナル1:100、ならびに106細胞あたり20μlのCD14、106細胞あたり5μlのCDw125、および106細胞あたり2μlのCD16b。これらを個々のスライド上で、室温で1時間、共インキュベーションした。PBSの入ったビーカー中で簡単にリンスした後、すべての試料を蛍光標識二次抗体とインキュベーションした。CD14またはCD16b感染細胞を同定するため、1:100希釈のFITC結合ヤギ抗マウスIgG(H+L)を、TRITCヤギ抗ウサギIgG(H+L)抗体と同時にスライドに添加した。抗CD125wをフィコエリトリン(PE)に直接結合させた。したがって、ウサギ抗クラミジア抗体結合は、1:100希釈のFITC結合ヤギ抗ウサギIgG(H+L)で同定された。別に明記しない限り、すべてのインキュベーションを室温で1時間行った。インキュベーションおよびPBSによる数回のリンスの後、上述のように、Flouro-Gを用いて試料をカバーグラスで覆った。Zeiss LSM 510 Meta Confocal Systemを用いて、蛍光顕微鏡観察によって、免疫標識細胞を観察した。
【0057】
新鮮血液WBCのフローサイトメトリー:好酸球および好中球についての二重免疫染色
FB試料のEDTA血液試験管からBC材料を取り除き、微量遠心管に入れた。滅菌1×PBS中で細胞を2回洗浄し、15秒間の12,400rpmでの遠心分離によって収集した。Trypan Blue排除によって生存度に関して細胞を評価し、かつ血球計算板で計数した。次いで室温で、1%パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、かつ1% Triton X-100(Aldrich Chemical Company, Inc.、Milwaukee、WI)で10分間透過処理した。上述のように2回リンスした後、BC細胞をポリクローナル・モルモット抗クラミジア一次抗体(Biomeda Corp. Foster City、CA)、およびマウス・モノクローナルPE結合抗ヒトCDw125またはマウス・モノクローナル抗ヒトCD16bのいずれかと1時間インキュベーションした。上述のように、BC細胞を3回洗浄し、次いで1:100希釈のFITC結合F(ab')2ロバ抗モルモット(H+L)、または1:100希釈のR-PE-結合F(ab')2ロバ抗モルモットIgG(H+L)のいずれか、および1:100希釈FITC結合ウサギ抗マウスIgG(H+L) (Jackson Immuno Research Laboratories Inc、West Grove、PA.)とインキュベーションした。次いで、試料を上述のように3回洗浄し、ナイロンメッシュフィルターを通過させて、単分散細胞にした(Lab-Line Instruments Inc、Melrose Park、IL)。血球計算板によってこの分散試料を再び計数し、かつ必要に応じて1×106細胞/mlに希釈して、フローサイトメトリーによって分析した。すべての固定、透過処理、および抗体とのインキュベーションを室温で行った。
【0058】
WBC連続希釈のフローサイトメトリー
血液試料由来の軟膜、および別個にRBCを洗浄して、上述のように調製し、次いで、軟膜由来WBCおよびRBCを別個にプールした。ポリクローナル・モルモット抗クラミジア一次抗体(Biomeda Corp. Foster City、CA)および1:100希釈のR-PE-結合F(ab')2ロバ抗モルモットIgG(H+L)で、WBCおよびRBCプールを別個に染色した。次いで、試料を上述のように3回洗浄し、ナイロンメッシュフィルターを通過させて、単分散細胞にした(Lab-Line Instruments Inc、Melrose Park、IL)。プール中の細胞を血球計算板によって計数し、かつ別個の試験管中にWBCを以下のように添加した:100% (50,000細胞)、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、および0%。必要に応じて、RBCを各試験管に添加し、50,000の総細胞/試料を得た。次いで、各希釈の10,000細胞試料をフローサイトメトリー分析に用いた。
【0059】
結果
標準法によって、血液スメアを調製し、次いでウサギ抗クラミジア抗体で染色した。FITC結合二次抗体で抗体結合を検出した。図3Aおよび図3Bは、クラミジア感染陽性スメアを示し、特徴的なクラミジア封入体が免疫染色されている(FITC、緑色)。図3Cは、抗クラミジア免疫染色を用いて決定されるような、特徴的なクラミジア封入体に関して陰性であったスメアである。
【0060】
末梢血循環由来のBC試料をインビトロで培養して、血液細胞中に存在するクラミジアが、他の細胞に感染可能かどうかを決定した。図4Aは、J774A.1宿主細胞単層上の培養96時間後の検体を示し、これは正常血液ドナー試料のWBC内にあるクラミジアの存在および感染性を示す。図4Bは、クラミジア陰性WBC試料と96時間培養した後の同じ種類の単層を示す。このように、血液のWBC中で視覚化されたクラミジア封入体は、感染性クラミジア単位を含むことが明らかに示された。
【0061】
特定の細胞種(例えば白血球種)におけるクラミジアの存在を検出するため、二重免疫蛍光染色を行って、クラミジアおよび細胞種特異的抗原両方を検出した。重要なことに、図5(最上段)に示すように、抗クラミジア免疫蛍光(赤色)は、抗CD16b免疫蛍光(緑色)の検出において、ほとんどまたはまったくバックグラウンド蛍光を生じない。逆に、図5の最下段に見られるように、抗CD16b免疫蛍光は抗クラミジア蛍光の検出において、まったくまたは無視できる程度しか、バックグラウンドを引き起こさない。同様に、非特異的バックグラウンド蛍光は、図5の中段で見られるように、低いかまたは存在しない。
【0062】
末梢血循環にある範囲の白血球種は、図6に示すようにクラミジアにより感染されることが見出され、これには、単球(最上段)、好酸球/好塩基球(中段(この段では、クラミジア染色が緑色であることに注目されたい))、および好中球(最下段)が含まれた。クラミジアおよび細胞種特異的マーカーに関する二重免疫蛍光染色が、赤色染色(中段を除いて、抗クラミジア)および緑色染色(中段を除いて抗細胞種マーカー)の統合像中に明らかに観察され、各段の端に示すように、黄色の染色を与えた。クラミジアおよびCD14に関する二重免疫蛍光染色の場合(最上段)、視野に見られるどちらの細胞も(微分干渉コントラスト(DIC)像を参照されたい)、抗クラミジア免疫蛍光に関して陽性であるが、一方の細胞のみが抗CD14免疫蛍光に関して陽性であり(統合像に注目されたい)、これは二重免疫蛍光技法の特異性を再度示した。
【0063】
共焦点顕微鏡観察像によって、特定の細胞種におけるクラミジア抗原およびクラミジア封入体の細胞内局在を観察した。二重免疫蛍光抗クラミジアおよび抗CDマーカー染色の共焦点像を図7に示す。図7の各段は、抗クラミジアおよび抗CDマーカー免疫蛍光染色の共焦点光学切片の一連の統合像を示す。各画像下の数字は、細胞の下部表面から始まり、細胞の上部に向かって上向きに進行する系列における切片番号を指す。
【0064】
上述のデータは、クラミジアが多様な白血球種に感染し、かつこれらの細胞種内で細胞内局在化され得ることを示す。二重免疫蛍光フローサイトメトリーを用いて、特定の白血球種集団内のクラミジア感染細胞の分布を定量的に評価した。フローサイトメーターは、2つのチャネルで同時に蛍光強度を測定し(例えば、赤色チャネルで抗クラミジア免疫蛍光、および緑色チャネルで抗CDw125免疫蛍光)、したがって、細胞のそれぞれの免疫蛍光強度にしたがって、各細胞を感染または非感染、および細胞種マーカー陽性または陰性と分類し得る。図8において、抗クラミジア免疫蛍光強度ヒストグラムは、細胞の3つの集団に関してプロットされている(A、B、およびCと示す)。「A」ヒストグラムは、蛍光体結合二次抗体でのみ染色された、非感染細胞集団において検出された免疫蛍光強度の分布を示す。「A」ヒストグラム・データを用いて、二次抗体に関連する非特異的バックグラウンド蛍光を決定した。「B」ヒストグラムは、非感染細胞集団において検出された免疫蛍光強度の分布を示す。「C」ヒストグラムは、いくらかのクラミジア感染細胞を含むことが公知の細胞集団において検出された免疫蛍光強度の分布を示す。約20またはそれ以上の抗クラミジア免疫蛍光強度を示す細胞(矢印およびM1線によって示す)を、クラミジアに感染していると見なした。Bヒストグラム集団(非感染集団)のわずか2%が、この免疫蛍光強度の閾値に到達しており、これは、この蛍光強度閾値と同じかまたはそれを超える検出された事象の2%が、バックグラウンド免疫染色のためであったことを意味する。
【0065】
図9において、図8に示す細胞集団(BおよびC)に関する、抗CDw125免疫蛍光強度の分布を示す。CDw125検出陽性に関する閾値蛍光強度を20またはそれ以上と定義する。興味深いことに、CDw125陽性細胞(好酸球/好塩基球)の相対的比率は、非感染(A)集団対クラミジア感染細胞の亜集団を含む(B)集団では異なっていた。
【0066】
図10において、検出した細胞種マーカーが、好中球に特異的であるCD16bであったことを除き、同じ種類の分析を行った。
【0067】
上に提供するこれらのデータは、二重免疫蛍光フローサイトメトリーを用いて、クラミジア抗原、および所定の細胞集団内でその抗原を発現している特定の細胞種の両方を検出し得ることを立証する。
【0068】
フローサイトメトリーの感度および精度を確認するため、感染白血球の集団を赤血球で連続希釈し、かつ分析した。結果は図11に提供され、この図は、試料集団における検出細胞数が、感染細胞の非感染細胞での希釈に直線的に関連したことをグラフによって示す。縦軸は、分析した相当する10,000細胞試料において、白血球の総数を示す(例えば白血球を赤血球で50%希釈すると、縦軸上、5,000細胞に相当する)。横軸は、試料において検出した感染細胞数を示す。予想されるように、検出される感染細胞数は、図11に示すように、希釈と直線的に関連する。この技法によって、10,000個のうち、わずか3個の感染細胞が検出可能であった。これらの結果は、フローサイトメトリーが、非感染細胞の大集団において、クラミジア感染細胞を検出するのに、正確でかつ感度が高いことをさらに示す。
【0069】
他の態様
本発明のいくつかの態様を記載した。にもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな改変を行い得ることが理解される。したがって、他の態様は特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1A〜1Dは、クラミジア感染および非感染の生HeLa細胞の間接的免疫蛍光染色を示す顕微鏡写真である。図1A:クラミジア・トラコマチス血清型K感染生HeLa細胞を、感染48時間後に、マウス血清Ab3およびフルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)結合二次抗体で染色し、続いて1%パラホルムアルデヒド中で固定した。図1B:メタノールで固定し、マウス血清Ab3で染色したクラミジア・トラコマチス血清型K感染HeLa細胞。図1C:マウス血清Ab3で免疫検出する前に、クラミジア・トラコマチス由来のGLXAと2時間、共インキュベーションしたHeLa細胞。図1D:プレブリードマウス血清で免疫検出する前に、クラミジア・トラコマチス由来のGLXAと2時間、共インキュベーションしたHeLa細胞。
【図2】図2A〜2Cは、クラミドフィリア・ニューモニエ(Cp)陽性血液試料由来の軟膜(主に白血球の混合物)のフローサイトメトリー研究から得た結果を示すグラフである。図2A:弱陽性結果;図2B:強陽性結果;および図2C:中程度の陽性結果。Cp陰性=太線、Cp陽性=矢印を伴う細線。
【図3】図3A〜3Cは、クラミジア感染細胞を含有する血液スメア試料における、クラミジア抗原についての免疫蛍光染色を示す顕微鏡写真である。図3Aおよび図3Bは、クラミジア陽性スメアであり、感染細胞は、FITC結合二次抗体で免疫染色されている、特徴的なクラミジア封入体を示す。図3Cは、クラミジア陰性免疫スメアを示す。
【図4】図4Aおよび図4Bは、J774A.1宿主細胞単層と共培養した末梢血細胞の培養物における、クラミジア抗原についての免疫蛍光染色を示す顕微鏡写真である。図4Aは、クラミジアに感染し、かつJ774A.1宿主細胞と共培養された、末梢血細胞を示す。図4Bは、J774A.1宿主細胞と共培養された非感染末梢血細胞を示す。
【図5】クラミジア感染および非感染のCD16b陽性およびCD16b陰性細胞の差次的免疫染色を示す顕微鏡写真の組である。細胞を抗クラミジア抗体および抗CD16b抗体で染色した。最上段:クラミジア感染CD16b陰性細胞。中段:非感染CD16b陰性細胞。最下段:非感染CD16b陽性細胞。
【図6】クラミジア抗原および細胞種特異的表面抗原分類(CD)抗原に関する、共焦点二重免疫蛍光染色の一連の顕微鏡写真である。第一列は、抗クラミジア抗体での染色を示す(最上段および最下段のPE染色(赤色);中段のFITC染色(緑色))。第二列は、抗CDマーカー抗体での染色を示す(最上段および最下段のFITC染色(緑色);中段のPE染色(赤色))。CDマーカー抗原の発現は、細胞種特異的である(細胞種を括弧内に示す)。第三列は、視野に存在するすべての細胞を示す、微分干渉コントラスト(DIC)明視野像である。第四列は、第一列〜第三列に観察される先行画像の統合像を示す。染色されているクラミジア抗原およびCDマーカーの両方に関して陽性に発現している細胞は、統合像では黄色である。染色されている抗原の1つしか発現しない細胞は1色のみである(例えば第四列、第一段の下部左隅の細胞)。
【図7】クラミジア抗原および細胞種特異的CD抗原に関する、二重免疫蛍光染色の一連の共焦点光学切片顕微鏡写真(統合像)であり、細胞の下部から進行し、細胞の上部に向かって進行する。抗クラミジア染色は赤色であり、かつ抗CDマーカー染色は緑色であり、したがって、染色抗原が共局在する領域は各画像中で黄色に見える。細胞全体の高分解能共焦点光学切片化(切片は下部から上部に番号付けされる;左から右の順)によって、特定の細胞種におけるクラミジア抗原およびクラミジア封入体の細胞内位置決定が可能になる。
【図8】軟膜由来細胞集団の頻度分布ヒストグラムの組である。クラミジア抗原および好酸球/好塩基球特異的マーカー(CDw125)に関して細胞を染色し、かつフローサイトメトリーを用いて分析した。ヒストグラムは、抗クラミジア免疫蛍光に基づく、細胞(または「事象」)の分布を示す。「A」と表示するヒストグラムは、二次抗体でのみ染色された非感染細胞集団を示す(蛍光バックグラウンド対照として)。「B」と表示するヒストグラムは、抗クラミジア一次抗体および抗CDw125一次抗体で染色され、かつ蛍光体結合二次抗体で検出された、既知の非感染細胞集団を示す。「C」と表示するヒストグラムは、いくらかのクラミジア感染細胞を含むことが公知であり、かつ「B」で用いたものと同じ一次抗体で染色された細胞集団を示す。「M1」は、マーカーに関して、細胞が陽性であると判断するのに用いた閾値蛍光基準を示す。
【図9】軟膜由来細胞集団の頻度分布ヒストグラムの組である。クラミジア抗原および好酸球/好塩基球特異的マーカー(CDw125)に関して細胞を染色し、かつフローサイトメトリーを用いて分析した。ヒストグラムは、抗CDw125免疫蛍光に基づく、細胞(または「事象」)の分布を示す。「A」と表示するヒストグラムは、二次抗体のみで染色された非感染細胞集団を示す(蛍光バックグラウンド対照として)。「B」と表示するヒストグラムは、非感染細胞集団を示す。「C」と表示するヒストグラムは、抗クラミジア免疫蛍光に関して陽性である、いくらかの細胞を含む細胞集団を示す。
【図10】軟膜由来細胞集団の頻度分布ヒストグラムの組である。クラミジア抗原および好中球特異的マーカー(CD16b)に関して細胞を染色し、かつフローサイトメトリーを用いて分析した。ヒストグラムは、抗CD16b免疫蛍光に基づく、細胞(または「事象」)の分布を示す。「A」と表示するヒストグラムは、二次抗体のみで染色された非感染細胞集団を示す(蛍光バックグラウンド対照として)。「B」と表示するヒストグラムは、非感染細胞集団におけるCD16b免疫蛍光を示す。「C」と表示するヒストグラムは、抗クラミジア免疫蛍光に関して陽性である細胞を含む細胞集団におけるCD16b免疫蛍光を示す。
【図11】赤血球で連続希釈したクラミジア感染白血球の、フローサイトメトリーによる検出を示すグラフである。方法の感度の試験として、クラミジア感染白血球を、赤血球で連続希釈して、50,000細胞の総集団を得た。フローサイトメトリー分析のため、10,000細胞試料を用いた。縦軸は、フローサイトメトリーに用いた試料中の白血球の総数を示す(例えば計数した試料において50%の白血球は、縦軸上の5,000細胞に相当する)。横軸は、フローサイトメトリーによって計数した10,000細胞試料中で検出された感染細胞数を示す。
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、生物学的試料を分析するための方法および組成物に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年4月16日に出願された米国特許仮出願第60/563,087号に優先権を主張し、その内容は全体として、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
背景
クラミジア科(Chlamydiaceae)のメンバーによる感染は、増大しつつある公衆衛生問題を構成する。ヒトに対する2つの主な病原体は、(1)トラコーマおよび性感染疾患の病因であるクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、および(2)市中肺炎の病因であり、かつ慢性疾患の開始または増悪に関わる病原体の有力候補である、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)である。こうした慢性疾患には、例えば、アテローム性動脈硬化症、心臓動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患、ならびに多発性硬化症およびアルツハイマー病のような神経病変が含まれる。
【0004】
感染性でありかつ持続性のクラミジアを、患者において検出する方法がないことは公衆衛生問題である。これらの細菌が「ステルス(stealth)」病原体であり、高頻度に存在するが明らかには見えないため、容易な同定法および定量化法が必要である。さらに、ルーチンにサンプリングされる生物学的液体である血液中には、クラミジア細胞は仮に存在するとしても低頻度で存在するものと一般的に考えられた。その結果、これらの病原体を検出する試験はしばしば行われない。さらに、ある種の試験は侵襲性であってしばしば生検を必要とし、その後組織試料中に病原体が示される。
【発明の開示】
【0005】
概要
本発明は、部分的に、クラミジアが広い範囲の白血球細胞種に感染し、かつこれらの感染が定量化可能であるという発見に基づく。驚くべきことに、クラミジア疾病に関して無症候性であるようである被験体においてさえ、クラミジアの存在は、比較的よく見られることが見出された。クラミジア糖脂質外抗原(GLXA)などのクラミジア抗原に特異的に結合する抗体で、感染細胞を標識することによって、被験体から採取された感染細胞を定量化できる。これらの抗原のいくつかは、クラミジア細菌自体から解離し、かつクラミジア宿主細胞(例えば白血球)の表面上または内部で発現される。クラミジア抗原は、感染血液細胞の表面上または内部で発現され得るため、フローサイトメトリーを用いて、生物学的液体試料(例えば血液または尿)において、感染しているこうした細胞(例えば単球、マクロファージ、B細胞、T細胞、好塩基球、マスト細胞、好酸球、樹状細胞、または好中球)の実際の数を定量化できる。この技術は、感染細胞負荷量の定量化を可能にし、したがって、診断目的および定量化目的のためだけでなく、クラミジア感染を減少させるかまたは除去することを目的とする、薬剤およびワクチン処置の効力を追跡するためにも重要な価値を有する。クラミジア感染を分析するための本方法は、実際に感染している宿主細胞を同定し、かつ宿主細胞の外部にもまた見出され得るクラミジア核酸の存在を単に同定しない点で、PCR法に対して有利である。さらに、被験体由来の生物学的試料におけるクラミジア感染細胞数の評価は、クラミジア核酸のコピー数よりも、被験体におけるクラミジア負荷量のより正確な基準である。
【0006】
したがって、1つの局面において、本発明は、被験体由来の生物学的試料におけるクラミジア感染細胞数を定量化するための方法を提供する。この方法には、クラミジア感染細胞中かまたは表面上に存在するクラミジア抗原に特異的に結合する第一の抗体と、被験体由来の細胞を含む生物学的試料を接触させる工程、およびフローサイトメトリーを用いて生物学的試料を分析して、第一の抗体が結合している細胞を検出する工程が含まれる。結合した第一の抗体の検出は、細胞中にクラミジア科の細菌が存在することを示し、かつ第一の抗体が結合している細胞数が計数される。生物学的試料は、クラミジアによって引き起こされる障害に関して、無症候性である個体から採取してもよい。生物学的試料は、尿、血液、唾液、痰、粘液、精液、羊水、滑液、脳脊髄液、洗口液、気管支洗浄液、およびそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの態様において、細胞種特異的抗原、例えば好塩基球、好酸球(例えばCDw125)、好中球(例えばCD16b)、樹状細胞、マスト細胞、または単球(例えばCD14)において特異的に発現される抗原に特異的に結合する第二の抗体ともまた、生物学的試料を接触させて、クラミジア感染のプロフィールを決定し得る。第一の抗体および第二の抗体が両方とも結合している細胞を、第二の抗体によって標識された細胞種のクラミジア感染細胞であると決定する。いくつかの態様において、異なる時点、例えば少なくとも1週間隔てられた時点で、被験体から得た生物学的試料に本方法が適用される。
【0007】
別の局面において、本発明は、被験体から得た生物学的試料において、クラミジア感染細胞数を減少させるための方法を提供する。この方法は、抗クラミジア抗原抗体と、被験体由来の生物学的試料を接触させる工程、および蛍光活性化細胞選別を用いて、感染していると見なされる、結合した抗体を有する第一の細胞亜集団、およびクラミジア感染細胞数が減少した第二の細胞亜集団に、生物学的試料中の細胞集団を分別する工程を含む。いくつかの態様において、生物学的試料は、血液試料または精液試料である。
【0008】
本明細書において記載される任意の方法において、定量化可能なクラミジア種には、例えば、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・スイス(Chlamydia suis)、クラミジア・ミュリダルム(Chlamydia muridarum)、クラミドフィリア・シッタシ(Chlamydophilia psittaci)、クラミドフィリア・ニューモニエ、クラミドフィリア・カビエ(Chlamydophilia caviae)、クラミドフィリア・ペコルム(Chlamydophilia pecorum)、クラミドフィリア・アボーツス(Chlamydophilia abortus)、およびクラミドフィリア・フェリス(Chlamydophilia felis)、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるクラミジア種が含まれる。用いられる抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、またはモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体両方の混合物であってもよい。例えば、用いられる抗体は、アクセッション番号ATCC H.B.11300として、American Type Culture Collection (ATCC)に寄託されるハイブリドーマによって産生される抗体の結合特異性を有する抗体であってもよい。またはもしくはさらに、抗体断片を使用してもよい。さらに、任意の方法において、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、Texas Red(商標)、5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン、リサミン(lissamine)ローダミンB、5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)、7-ジエチルアミノクマリン-3カルボン酸、テトラメチルローダミン-5-(および-6)-イソチオシアネート、5-(および-6)-カルボキシテトラメチルローダミン、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸、6-[フルオレセイン5(および-6)-カルボキサミド(carboxamide)]ヘキサン酸、N-(4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4aジアザ-3-インダセンプロピオン酸、エオジン-5-イソチオシアネート、エリトロシン-5-イソチオシアネート、フィコエリトリン(B-、R-、またはシアニン-)、アロフィコシアニン、Oregon Green(商標)、およびCascade(商標)ブルーアセチルアジドなどの1つまたは複数の蛍光体で、抗体(またはその断片)を標識してもよい。決定できる細胞種には、例えば好塩基球、好酸球、好中球、樹状細胞、マスト細胞、または単球が含まれる。任意の方法において、クラミジア抗原は、例えば、クラミジア糖脂質外抗原(GLXA)であってもよい。
【0009】
本発明は、被験体(例えば、ヒト、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、または家禽)、ならびに寄付される、医学的に価値がある生物学的液体、例えば、血液、精液、および幹細胞におけるクラミジア感染の、ルーチンでかつ高感度の定量的評価を可能にする。さらに、被験体(例えばヒト患者)におけるクラミジア感染の進行および細胞種分布を経時的に定量化可能であり、したがって被験体における抗クラミジア治療の効力を評価する際に非常に有用である。本発明はまた、寄付されるか、または商業的に用いられる、被験体から採取された試料(例えば血液および精子)から、クラミジア感染細胞を枯渇させるためにも用いられ得る。
【0010】
別に定義しない限り、本明細書において用られるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと類似かまたは同等の方法および材料が、本発明の実施または試験に使用可能であるが、適切な方法および材料を以下に記載する。すべての刊行物、特許出願、特許、および本明細書において言及される他の参考文献は、全体として参照により組み入れられる。矛盾する場合は、定義を含めて、本明細書が支配するであろう。さらに、材料、方法、および実施例は、例示のみであり、かつ限定することを意図しない。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【0012】
詳細な説明
本発明は、任意のタイプの生物学的試料において、クラミジア感染細胞を検出および/または定量化するための、最小限に侵襲性である新規の方法を提供する。本方法は、生物学的試料を、抗クラミジア抗体(例えば抗GLXA抗体)またはその断片に曝露する工程、およびフローサイトメトリーを用いてその生物学的試料を分析する工程、またはその任意のバリエーションを含む。同時に多くの生物学的試料を分析するため、本明細書において記載される方法を、自動化系、例えばハイスループット系で行ってもよい。
【0013】
本方法は、例えば、患者が(a)クラミジア科の細菌に現在感染しているかどうか;および(b)患者が感染している場合、患者の感染状態を、医師が診断することを可能にし得る。患者の感染状態を決定する際、決定は、いくつの細菌を患者が保因しているか(すなわち患者の「クラミジア負荷量」)に関して行われる。患者が比較的高いクラミジア負荷量を保因する場合、患者は細菌の症候性キャリアーであり得る(すなわち患者は疾患の外見上の徴候を示し得る)。患者が比較的低いクラミジア負荷量を保因する場合、患者は最近感染した可能性もあるし、またはクラミジアの無症候性キャリアーである可能性もある。本方法は、患者がクラミジアのキャリアーである、すなわち他者への伝染を可能とするほど十分に高いが、患者が疾患症状を示さないほど十分に低い、クラミジア負荷量を持続的に保因すると診断するのに特に有用である。患者が、患者からクラミジアを減少させる/排除する治療処置を受けたか、受けているか、または受けるであろう場合、本方法は、治療処置の有効性を、経時的に監視するのに特に有用である。
【0014】
例えば、クラミジア感染を排除する治療処置の開始前の時点、およびその後のさまざまな時点で、クラミジア負荷量を決定してもよい。さまざまな細胞種におけるクラミジアの相対的分布(すなわちクラミジア感染のプロフィール)、例えば感染した好酸球、好中球、好塩基球、マスト細胞、および単球またはそれらの任意の組み合わせの数もまた決定可能であり、これはさまざまな時点で、被験体におけるクラミジア感染の状態を決定する際に有用であり得る。本方法を用いて、例えばクラミジア抗原に特異的に結合する抗体でクラミジア感染細胞を標識し、蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いて、生物学的試料から標識細胞を除くことによって、被験体から採取された液体生物学的試料からクラミジア感染細胞を除くこともまた可能である。
【0015】
他の態様において、年1回、2回、またはそれ以上行われるルーチンの血液検査として、クラミジア感染細胞、例えば特定の種類の感染細胞(例えば好塩基球、好酸球、好中球、樹状細胞、単球、またはマスト細胞)のレベルが分析される。幼児期から検査を開始し、その後、小児期から成人期まで、毎年検査を続けてもよい。次いで、このレベルのプロフィールを、患者のクラスに関して、例えば年齢、人種、性別、もしくは地理によって、または特定の患者に関して確立し、目的とする将来の診断のために用いてもよい。例えば、患者が無症候性である際に、特定のレベルの感染細胞を有し(例えば基底レベル)、これが長期間本質的に同じままであり得(年間の時期に基づき増加および減少する可能性があり、例えば冬期には幾分高い)、その場合、この基底レベルの上昇、例えば突然または別の異常な上昇は、クラミジアによって誘導される疾患症状の開始を示し得る。同種の検査が、例えば家畜、家禽、またはウマにおいて、特に交配に用いる動物においてもまた、行われ得る。
【0016】
他の態様において、抗クラミジア抗原抗体を用いて生存感染細胞を標識し、医学的または商業的に価値がある生物学的液体、例えば血液、精液、幹細胞から、クラミジア感染細胞を枯渇させることも可能である。1つの態様において、クラミジア感染の枯渇は、貯蔵および将来の使用のための枯渇させた細胞集団(例えば凍結精子)の貯蔵かまたはバンクへの寄託の前に行われる。
【0017】
I.抗体の産生
特定のクラミジア抗原に対して向けられる抗体を用いて、本発明の方法を行ってもよい。1つの態様において、抗GLXA抗体が用いられる。別の態様において、抗クラミジア抗体、例えばモルモット抗クラミジア(例えばBioMediaから入手可能)などの市販されているポリクローナル抗体が用いられる。
【0018】
標準的方法を用いて、GLXAエピトープのようなクラミジア抗原(例えば、クラミジア・トラコマチス、クラミジア・スイス、クラミジア・ミュリダルム、クラミドフィリア・シッタシ、クラミドフィリア・ニューモニエ、クラミドフィリア・カビエ、クラミドフィリア・ペコルム、クラミドフィリア・アボーツス、および/またはクラミドフィリア・フェリス由来)に特異的結合親和性を有するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生してもよい。本発明で有用な例示的な方法および抗体は、米国特許第5,716,793号および第5,840,297号に記載され、これらはいずれも、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。例えば、アクセッション番号ATCC H.B.11300および11301としてAmerican Type Culture Collection (ATCC)に寄託されるハイブリドーマから得られるモノクローナル抗体を使用してもよい。
【0019】
本明細書において用いられるように、「抗体」という用語には、クラミジア抗原、例えばGLXAに結合可能な、無傷の抗体分子およびその断片が含まれる。用語「エピトープ」は、抗体のパラトープが結合する、抗原上の抗原決定基を指す。エピトープ決定基は、典型的にアミノ酸または糖側鎖のような化学的に活性な表面分子群からなり、かつ典型的に特定の三次元構造特性、ならびに特定の電荷特性を有する。エピトープは、一般的に、少なくとも5つの隣接アミノ酸を有する。「抗体」という用語には、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体、一本鎖Fv抗体断片、Fab断片、およびF(ab)2断片が含まれる。本発明で用いられる抗体は、任意の免疫グロブリンクラス、例えばIgG、IgM、IgE、IgA、IgD、およびそれらの任意のサブクラスであってもよい。
【0020】
本発明において、キメラ抗体もまた、有用である。キメラ抗体は、異なる部分が、異なる動物種に由来する分子、例えばマウスモノクローナル抗体由来の可変領域、およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する分子などである。標準的な技法によりキメラ抗体を産生できる。
【0021】
クラミジア抗原、例えばGLXAに特異的結合親和性を有する抗体断片を、公知の技法によって生成できる。こうした断片には、非限定的に、抗体分子のペプシン消化によって産生し得るF(ab')2断片、およびF(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって生成し得るFab断片が含まれる。またはもしくはさらに、Fab発現ライブラリーを構築してもよい。例えば、Huse et al., 1989, Science, 246:1275を参照されたい。
【0022】
またはもしくはさらに、一本鎖Fv抗体断片を用いてもよい。一本鎖Fv抗体断片は、アミノ酸架橋(例えば15〜18アミノ酸)を介してFv領域の重鎖および軽鎖断片を連結して、一本鎖ポリペプチドを生じることによって形成される。標準的技法により、一本鎖Fv抗体断片が産生できる。例えば、米国特許第4,946,778号を参照されたい。
【0023】
一旦得られかまたは産生されれば、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)技法およびラジオイムノアッセイ(RIA)を含む標準的イムノアッセイ法によって、クラミジア抗原の認識に関して、抗体またはその断片を試験できる。例えば、Short Protocols in Molecular Biology, Chapter 11, Green Publishing Associates and John Wiley & Sons, Edited by Ausubel, F.M et al., 1992を参照されたい。適切な抗体は、組換えタンパク質および天然タンパク質に対して、等しい結合親和性を有し得る。
【0024】
II.標識抗体
本発明において有用な抗体を、特定の色、例えば他の蛍光体と対照的な色の光を発する蛍光体で標識してもよい。またはもしくはさらに、抗クラミジア抗体に対して向けられる標識二次抗体を使用してもよい。本発明で使用するため、標識抗体を購入するかまたは産生してもよい。抗体を標識するための技法は当技術分野において周知であり、かつ例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 353-355(1988)に記載されている。例えば、当業者は1つまたは複数の以下の蛍光体:7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、Texas Red(商標)(Molecular Probes, Inc., Eugene, OR)、5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン、リサミンローダミンB、5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)、7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸、テトラメチルローダミン-5-(および-6)-イソチオシアネート、5-(および-6)-カルボキシテトラメチルローダミン、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸、6-[フルオレセイン5(および-6)-カルボキサミド]ヘキサン酸、N-(4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4aジアザ-3-インダセンプロピオン酸、エオジン-5-イソチオシアネート、エリトロシン-5-イソチオシアネート、フィコエリトリン(B-、R-、またはシアニン-)、アロフィコシアニン、Oregon Green(商標)、および/またはCascade(商標)ブルーアセチルアジド(Molecular Probes, Inc., Eugene, Oreg.)を用いて抗体を標識するように選択してもよい。抗体はまた電気化学標識(Bio Veris)で標識してもよい。
【0025】
またはもしくはさらに、半導体ナノ結晶で抗体を標識してもよい。水溶性ナノ結晶は、シリカ・シェル中に封入された、異なるサイズのカドミウム-セレン/カドミウム硫黄コア-シェル・ナノ結晶、またはメルカプト酢酸中で可溶化された、カドミウム-セレン/亜鉛硫黄ナノ粒子で構成される。こうした水溶性ナノ結晶は、調整可能な細い対称的発光スペクトルを有し、かつ光度的に安定である。例えば、いずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる、Bruchez Jr. et al., Science, 1998, 281:2013-2016;およびChan et al., Science, 1998, 281:2016-2018を参照されたい。
【0026】
III.分析用の試料
本明細書において記載される方法を用いて、被験体から得た生物学的試料を分析できる。用語「被験体」は、本明細書全体にわたって、生物学的試料を得ることができる動物またはヒトを記載するために用いられる。被験体がクラミジアに感染しており、かつ基底レベルのクラミジア感染細胞を有するが、クラミジア誘導性疾患、例えば肺炎、失明性トラコーマ、骨盤内炎症性疾患、または性感染反応性関節炎の症状を有さないことがあることを本発明者らが見出したように、被験体は、無症候性であるか、または健康に見える可能性がある。本発明によって、獣医学的適用が明らかに意図されている。動物という用語には、非限定的に、鳥類、爬虫類、両生類、および哺乳類、例えば類人猿、ブタ、マウスおよびラットのようなげっ歯類、ウサギ、モルモット、ハムスター、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ならびにヤギが含まれる。用語「生物学的試料」は、蛍光顕微鏡観察および/またはフローサイトメトリーを用いて分析し得る、患者から得た材料を指す。生物学的試料は、例えば、患者から得られる任意の液体、例えば尿、血液、唾液、痰、粘液、精液、羊水、洗口液、気管支洗浄液、滑液、脳脊髄液、腹腔洗浄液、尿、および/または臍帯血であってもよい。当業者に公知の任意の方法を用いて、患者から分析用の試料を得てもよい。
【0027】
IV.分析
典型的には、当技術分野に公知の方法を用いて、蛍光顕微鏡観察および/またはフローサイトメトリーによる分析のため、生物学的試料を調製する。しかしながら、調製の一部として、抗クラミジア抗体、例えば抗GLXA抗体と生物学的試料を接触させる。さらに、細胞種特異的マーカー(例えばCD14、CD16b、またはCDw125)などの分化抗原を認識する第二の抗体と、細胞を接触させてもよい。当業者に公知の任意の手段を用いて、例えばこれらを検出するため、異なるように標識された二次抗体を用いることによって各一次抗体の結合を区別できる。二次抗体を用いて、例えば分化抗原の存在で同定される特定の特性を持つ細胞の亜集団を同定することもできる(例えば、単球上のCD14の存在によって、好酸球が同定される)。分化抗原は、細胞表面上または細胞内部に存在し得る。1つの例において、クラミジア感染細胞を含有する白血球試料を、異なる白血球種の相対的画分に関して分析してもよい。したがって、所与の細胞を、クラミジア抗原の存在および白血球種特異的マーカーの存在に関してフローサイトメトリーによって同時にアッセイできる。
【0028】
分析用の試料を調製し、蛍光顕微鏡観察を行ってクラミジア感染細胞を検出し、フローサイトメトリーを行うための方法は、当技術分野において周知であり、かつ例えば、Norkin et al., Exp. Cell. Res. 266(2):229-38 (2001); Handbook of Flow Cytometry Methods. J. Paul Robinson (Editor) Wiley (1993);およびGuide To Flow Cytometry Methods W.McLean, Grogan James, M. Collins. Marcel Dekker, Inc, New York, (1990); Poccia et al, Emerging Infectious Diseases, 9(11)03-0349 (2003);およびMandy et al., Guidelines for the Performing Single-Platform Absolute CD4+ T-CeIl Determinations with CD45 Gating for Persons Infected with Human Immunodeficiency Virus; Jan. 2003/52 (RR02);l-13. Morbidity & Mortality Reportに記載されている。
【0029】
フローサイトメトリーにおいて、蛍光色素で標識されたかまたは蛍光色素と結合された細胞(または細胞断片)を含有する試料は、典型的に、シース液と共に細長いフローセルを通過し、したがって細胞は単一の縦列で流れる。フロー中の個々の細胞は、流体力学的集束により光線(例えばレーザー光線)で一度に一つずつ照射され、細胞からの散乱光または蛍光の強度、例えば細胞を示す光情報は、細胞を分析するため瞬時に測定される。この種のフローサイトメトリーは、多数の細胞を高速でかつ非常に正確に分析し得る点で有利である。
【0030】
フローサイトメーターは、当技術分野において周知であり、かつ例えばBeckman CoulterおよびBecton, Dickinson, and Companyから市販されている。典型的なフローサイトメーターには、光源、集光光学系、電子機器、およびシグナルをデータに翻訳するコンピュータが含まれる。多くのサイトメーターにおいて、選択される光源は、指定された波長でコヒーレント光を発するレーザーである。散乱蛍光および放射蛍光が2つのレンズ(光源の前の1組および直角方向の1組)によって集められ、かつ一連の光学系、光線スプリッタおよびフィルターによって蛍光の特定のバンドが測定できる。
【0031】
フローサイトメトリーを用いた細胞分析装置の1つの公知の例は、細長い液体流を形成するためのフローセル、フローセルの内部を流れる細胞を光線で照射するための光源(例えばレーザー)、光線を照射された細胞からの細胞光情報を検出し、かつ光情報を電気シグナルに変換するための光検出器、光検出器によって産生されたシグナルを増幅し、統合し、かつノイズを取り除くためのシグナルプロセシング回路、およびシグナルプロセシング回路によって出力された、細胞光情報を示すシグナルをプロセシングするためのコンピュータを含む。分析に加えて、フローサイトメトリーを用いて、生物学的試料中に見られる細胞を、物理的に分離される集団に選別することも可能であり、このプロセスは、蛍光活性化細胞選別(FACS)として知られ、被験体から得た生物学的試料から、抗クラミジア抗原抗体で標識されているクラミジア感染細胞を取り除くのに特に有用である。
【0032】
当業者は、基本のフローサイトメトリー系に対して、多くの変化および/または付加を加えて、例えば実験者にさらなるおよび/または異なる分析能を提供できることを理解する。さらに、当業者は自動化方式でフローサイトメトリーを行ってもよく、かつフローサイトメーターをより大きい自動化系、例えばハイスループット系の一部として提供してもよいことを理解する。本発明の方法は、こうした装置および系の使用を意図する。本発明内に同様に含まれるのは、フローサイトメーター(例えば蛍光活性化細胞選別器)として公知ではないが、本質的にはフローサイトメーターと同一の機能を実施する、任意の装置の使用である。
【0033】
いくつかの場合において、クラミジア抗原の細胞内局在を決定することが望ましいこともある。共焦点蛍光顕微鏡観察を用いて、細胞内の抗クラミジア免疫蛍光染色の位置を正確に決定し得る。共焦点像によって、画像化された細胞を通して非常に薄い平面(光学切片)内の蛍光の検出が可能になる。したがって、細胞の全深度にわたって(すなわち最上部から最下部まで)、一連の共焦点光学切片を撮ることによって、高い細胞内空間分解能で、クラミジア抗原を位置決定することが可能である(共焦点顕微鏡の最近の概説については、Miyashita, Methods Mol. Biol., 261:399-410(2004)を参照されたい)。
【0034】
実施例
実施例1:異なる年齢群由来のランダムな血液試料におけるクラミドフィリア・ニューモニエ:フローサイトメトリー分析および血液スメア分析
クラミドフィリア・ニューモニエ(Cp)は、市中肺炎の発生と関連する偏性細胞内病原体である。CpはB細胞およびT細胞を含む多くの細胞に感染可能であり、かつ心臓血管疾患、喘息、老年性認知症、および自己免疫障害との関連が推定され、関心が高まっている。HEp-2を用いた標準的Cp培養からの知見によって、Cpが培養しにくいことが示されたため、分子技法およびインビトロでない培養が標準とされてきた。500の正常血液ドナーのパイロット調査は、末梢血スメアおよび軟膜(BC)細胞のインビトロ培養物を免疫染色することによって、Cp陽性を調べた。それらは優れた一致を見せ:25%±1.6%および24%±1.2%、かつこれらの試料におけるCpの生存可能性および感染性を示した。フローサイトメトリー(FC)は、別の臨床的に適切なクラミジア検出法であり、かつ病原体負荷量の定量化および細胞種特異的病原体負荷の同定(すなわち病原体の住処となっている細胞種の同定)を可能にするものである。
【0035】
方法:
健康診断時に患者から収集したEDTA血液試料を、ELISAおよびCp特異的ペプチドによって、抗Cp抗体に関して力価決定した。BCスメア調製物を免疫染色し、かつBC溶解物をマウス・マクロファージ(J774A.1)単層上で96時間培養し、その時点で免疫染色、検査、およびスコア付けすることによって、BC溶解物をインビトロで試験した。残りのBCは洗浄、固定、透過処理、染色され、かつCp含有細胞についてのFCにより分析された。
【0036】
結果:
最初の結果は、FC技法がCp感染末梢血細胞(PBC)を容易に検出したことを示す。所与の試料内の非感染細胞に対する感染細胞の平均蛍光強度の相違は、110倍もの高さであり、かつ感染細胞はより高い側方散乱によって特徴付けられた。FC統計データもまた、Cp陽性試料で計数された10,000事象のうち、1174±388個の感染細胞が存在したことを示した。最後に、スメア上および培養物中に見られる感染細胞数とFC分析によって検出される感染細胞の量の間には、正の相関が存在した。典型的な血液スメアおよびフローサイトメトリー結果を、それぞれ図1A〜1D、図2A〜2C、および図3A〜3Cに提供する。
【0037】
図1Aは、感染48時間後にマウス血清Ab3およびFITC結合二次抗体で染色し、続いて1%パラホルムアルデヒド中で固定した、クラミジア・トラコマチス血清型K感染の生HeLa細胞の写真である。感染生細胞蛍光(矢印)に注目されたい。図1Bは、メタノールで固定し、マウス血清Ab3で染色したクラミジア・トラコマチス血清型K感染HeLa細胞の写真である。図1Bにおいて、固定のためにメタノールを使用することにより、細胞表面からGLXAが除かれることに注目されたい。図1Cは、マウス血清Ab3で免疫検出する前に、クラミジア・トラコマチス由来のGLXAと2時間共インキュベーションした、生存非感染HeLa細胞の写真である。図1Dは、プレブリード(pre-bleed)マウス血清で免疫検出する前に、クラミジア・トラコマチス由来のGLXAと2時間、共インキュベーションした、生存非感染HeLa細胞の写真である。図1Cの斑点状の染色パターンが、HeLa細胞表面に限定されており、かつ抗GLXA抗体の存在下でのみ視覚化され得ることに注目されたい。図1A〜1Dに示す結果は、3回の実験を代表する。元の倍率:×400。
【0038】
図2A〜2Cは、血液スメアの抗Cpn FA染色によって、および/またはJ774A.1単層培養物の感染によって、最初に:図2A:弱;図2B:強;および図2C:中程度とスコア付けされた血液試料由来の軟膜のフローサイトメトリー・プロフィールである。Cpn陰性結果を黒で示し、かつCpn陽性結果を灰色で示し、かつ矢印
で表示する。血液スメアをFCによって試験した試料で作成し、抗クラミジア一次抗体(BioMedia)およびFITC結合二次抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いて免疫染色した。モルモット抗クラミジア(BioMediaより)を、1:100希釈のJackson FITC結合抗クラミジアで検出した。免疫染色血液スメアの顕微鏡観察を用いて、検体が3つの明確な蛍光細胞/スライドを含有する場合、検体を陽性と称した。これらを弱陽性と称した。蛍光陽性細胞数に応じて、他の試料のさらなるスメアを中程度陽性および強陽性に大まかに分けた。最初に調べた検体では、スメアあたり8個(強陽性)を超えない陽性細胞が見い出され、こうした検体は、図2A〜2Cに示されるFCプロットを生じた。この事実は、わずか10,000「事象」(これらの結果を生じるのに、用いた機器が許容する最小限の数)を評価することによって、これらの3つの異なる検体間の明らかな差異が得られ得ることを示す。これらの結果を生じるのに用いた機器は、最大で1×106事象/試料を計数することから、感度および識別が容易にかつ著しく増大され得る。これらの知見は、クラミジア感染細胞数に関してBC検体を定量化し、かつ特定の感染細胞サブセットを定義するための、この技術の潜在的な分析力を示す。ここには示していないが、クラミジアに関して陽性である細胞はまた、白血球共通抗原、CD45に関しても陽性であることが見出されており、この抗原は、PE蛍光標識を有するモノクローナル抗CD45(Sigma-Aldrich)を用いて検出された。
【0039】
陰性(黒色)試料に関しては、事象の99%が蛍光に関して≦101であり、かつ平均蛍光は≦3.4であった。対照的に、図2Bの灰色の線で示す強陽性は、合計10,000の事象の63%が蛍光スケール上で101〜102の間であり、かつ平均蛍光が52.5であることを示した。これはバックグラウンド平均の3.4より15.4倍高い。中程度の陽性に関しては(図2C)、2つのピークが存在した。水平蛍光スケール(横軸)上、≧101-〜≦102の間の第一のピークは事象の69%を含有し、平均蛍光は29.1であり、かつ蛍光に基づくとより小さい第二のピークは横軸上、102-以上〜103以下の間であった。このピークは、計数した事象の22.03%を含有し、かつ351.8の蛍光平均を有した。さらに、約≧103にマイナーなピークが存在した。このピークは計数した事象のわずか4%しか含有しなかったが、蛍光平均は2,100であり、ほかの点ではマイナーなこのピークにおいて、非常に顕著な細胞標識を示した。
【0040】
これらは、フローサイトメトリー分析が、クラミジア感染の明らかな徴候のない感染患者のPBCにおけるCp含有細胞についての有効なスクリーニング法であることを示す。
【0041】
実施例2:細胞内病原体の検出
以下の実施例は、患者において、クラミジアを検出する際に使用するためのプロトコルを例示する。以下のプロトコルは完全に例示的であり、かついかなる点でも限定を意図しない。
【0042】
白血球単離:
1. EDTAまたは他の抗凝血剤溶液中に5mlの血液を収集し、かつ低温で一晩静置する。これによって、下層の赤血球(RBC)および上層の血漿から、白血球が自然に分離させることができる。
【0043】
2.白色の軟膜層(BC)をピペットまたはカニューレで収集し、BC層を穏やかにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH〜7.0〜7.2中に排出し、かつ穏やかに遠心分離する(400×g)ことによってペレット化する。このPBS洗浄工程をさらに2回反復する。
【0044】
免疫染色
以下に記載するもの、または以下に記載するものに抗体濃度、インキュベーション時間および温度に関してマイナーな改変を加えたものなど、標準的プロトコルを用いて免疫染色を行う。このプロトコルはまた、(a)検出抗体がフルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)またはフィコエリトリン(PE)などの蛍光体に、直接結合されているか、および/または(b)蛍光体に結合した抗マウスまたは抗ウサギなどの二次抗体を用いて、クラミジア特異的抗体の結合を検出するかに依存して変化することもある。いずれの場合でも、インキュベーション後、〜2〜3mlのPBSを、細胞を含有する試験管に添加し混合する。上述のように、穏やかに遠心分離することによって細胞を収集する。この工程を計3〜4回洗浄して反復する。免疫染色される細胞の正確な数は変化し得る。
【0045】
細胞内抗原を免疫染色するため、1%緩衝パラホルムアルデヒドで細胞を固定する(室温で10分間)。しかしながら、GLXAは細胞内封入体内に保持されるのに加え、感染細胞表面上にも明確に提示されることに注目すべきである。蛍光色素が結合された、膜抗原に対する抗体によって標識される細胞には、パラホルムアルデヒド固定を用いてもよい。この固定は、大部分の場合光散乱および標識を最長1週間安定化するため、実験者がサイトメーターの時間の予定を立てるのにより融通が利く可能性もある。この固定はまた、大部分の生物災害物質を不活性化する。細胞膜に提示される抗原に対する細胞内抗原の場合、適切であるように、1%パラホルムアルデヒド固定に加え、1% Triton X100を用いて細胞を透過処理する。
【0046】
1. 20μl(約1μg)の特異的モノクローナル抗体、または200μlの適切な濃度の市販されているポリクローナル抗体、例えばモルモット抗クラミジア(BioMedia、事前力価測定によって決定されるような、@1:100希釈)を、BC細胞(血球計算板で計数することによって決定される、〜1.5〜2.0×107個の細胞)の試料に添加する。より多数の細胞の免疫染色は、適切に増加した量の一次抗体、および適切であるような/適切である場合、二次抗体を用いるべきである。
【0047】
2.試料を混合し、かつ室温で30〜60分間インキュベーションする。
【0048】
3.上述のように、試料をPBSで複数回リンスし、かつ必要に応じて適切な二次抗体濃度、ならびに一般的に室温で30〜60分間である予備試験によって決定されるような時間および温度パラメータを用いて、結合された二次抗体とインキュベーションする。
【0049】
4.新鮮なPBS中に再懸濁し、次いで、穏やかに遠心分離することによって、3〜4回リンスする。パラホルムアルデヒドで固定した場合、FCによって評価する前に試料を4℃で保存してもよい。
【0050】
5.分析直前に試料を試験管中で混合して、細胞が最適に分散した細胞であることを確実にし、かつナイロンフィルターを通過させて完全に分散されていなかった可能性がある塊を除外する。
【0051】
単球の単離
望ましい場合、試料の単球集団を以下のように得ることも可能である:抗凝血剤中の5mlの血液を15mlの遠心管に添加する。5〜8mlのPBS+アジドで血液を希釈し、かつピペットまたはカニューレを用いて、血液/PBS試料の下に2〜5mlのFicoll-Hypaqueを注入し、かつ標準的な密度遠心分離を用いる(Ficoll-Hypaque、Pharmacia、Uppsala、Sweden)。PBS/血漿の上層を取り除き、赤血球との界面にある細胞を新しい試験管に移して、PBSでリンスし、かつ最後の細胞ペレットを再懸濁した後、細胞計数を行う。次いで、上に論じたように、この濃縮集団をクラミジアに関して染色してもよい。クラミジアは多くの細胞種に感染可能であるようであるため、ある種のフローサイトメトリー・スクリーニングは、BC調製物中のすべての白血球を調べることができる。さらに、CD4(TH細胞)またはCD8細胞傷害性T細胞(TC)、およびB細胞などのサブセット表面マーカーに特異的な、市販されているモノクローナル抗体を用いて(免疫グロブリン重鎖および軽鎖に対する抗体を用いて)、BC調製物中の総白血球集団の異なるサブセット集団を区別することも可能である。
【0052】
結果
診断された小児喘息患者および非喘息呼吸器小児患者由来の検体(血液および気管支洗浄−スメアおよび培養物)ならびに小児健康診断診療由来の血液試料を調べた。結果を以下の表1および表2に提供する。以下に示すように、気管支肺胞洗浄(BAL)に関して陽性であるスメアおよび培養物の数は、血液に関するものと本質的に同一である。
【0053】
(表1)BAL培養物
【0054】
(表2)血液培養物
【0055】
実施例3:共焦点顕微鏡観察およびフローサイトメトリー分析を用いた、クラミジアに感染した細胞の細胞種分布のプロファイリング
血液ドナーのスメアの免疫染色
スメアは、血液ドナー試料のEDTA試験管から約20μlの全血を清浄ガラススライド上に置くことにより準備し、かつ30〜40°の角度に保持した第二のスライドを用いて、スライドに沿って広げ、スメアを完成させた。スメアを乾燥させ、次いで70%冷メタノールを用いて10分間固定した。ウサギ抗クラミジア血清00MS78の1:50希釈と共にスライドをインキュベーションした。1×PBS中でリンスした後、FITC抱合体化ヤギ抗ウサギIgG(H+L)(Jackson Immuno Research Laboratories, Inc、West Grove、PA)二次抗体の1:100希釈を添加した。一次抗体および二次抗体溶液とのインキュベーションを室温で1時間行った。PBSのビーカー中で簡単にリンスした後、Fluoromount G (Bio Whittaker、Walkersville、MD)を用いてカバーガラスをマウントし、次いで密封、検査し、Nikon Eclipse E600エピ蛍光顕微鏡およびSPOTデジタルカメラ(Digital Instruments Inc.)を用いて写真撮影した。
【0056】
単球、好酸球/好塩基球、および好中球染色
70%メタノール固定の代わりに、穏やかな熱固定を用いたことを例外とし、上述のような方法を用いて、新鮮血液(FB)試料の血液スメアを3つ組で調製した。収集後≦7日に入手可能なFB試料を用い、かつ製造者によって提供される標準的Wright Giemsa染色プロトコル(Fisher Scientific、Middletown、Va.によるACCRA)を用いて、差次的な細胞数を得、WBCの脆弱性、死、または調製中の損失を評価した。スメアを、ポリクローナル・ウサギ抗クラミジア血清、およびマウス・モノクローナル抗ヒトCD14(Sigma、Saint Louis、MO)、PE結合マウス・モノクローナル抗ヒトCDw125またはマウス・モノクローナル抗ヒトCD16bのいずれかとインキュベーションすることによって、FBスメアを二重免疫染色した。すべての希釈をPBS中で行った。最終抗体濃度は以下の通りであった:ウサギ抗クラミジア・ポリクローナル1:100、ならびに106細胞あたり20μlのCD14、106細胞あたり5μlのCDw125、および106細胞あたり2μlのCD16b。これらを個々のスライド上で、室温で1時間、共インキュベーションした。PBSの入ったビーカー中で簡単にリンスした後、すべての試料を蛍光標識二次抗体とインキュベーションした。CD14またはCD16b感染細胞を同定するため、1:100希釈のFITC結合ヤギ抗マウスIgG(H+L)を、TRITCヤギ抗ウサギIgG(H+L)抗体と同時にスライドに添加した。抗CD125wをフィコエリトリン(PE)に直接結合させた。したがって、ウサギ抗クラミジア抗体結合は、1:100希釈のFITC結合ヤギ抗ウサギIgG(H+L)で同定された。別に明記しない限り、すべてのインキュベーションを室温で1時間行った。インキュベーションおよびPBSによる数回のリンスの後、上述のように、Flouro-Gを用いて試料をカバーグラスで覆った。Zeiss LSM 510 Meta Confocal Systemを用いて、蛍光顕微鏡観察によって、免疫標識細胞を観察した。
【0057】
新鮮血液WBCのフローサイトメトリー:好酸球および好中球についての二重免疫染色
FB試料のEDTA血液試験管からBC材料を取り除き、微量遠心管に入れた。滅菌1×PBS中で細胞を2回洗浄し、15秒間の12,400rpmでの遠心分離によって収集した。Trypan Blue排除によって生存度に関して細胞を評価し、かつ血球計算板で計数した。次いで室温で、1%パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、かつ1% Triton X-100(Aldrich Chemical Company, Inc.、Milwaukee、WI)で10分間透過処理した。上述のように2回リンスした後、BC細胞をポリクローナル・モルモット抗クラミジア一次抗体(Biomeda Corp. Foster City、CA)、およびマウス・モノクローナルPE結合抗ヒトCDw125またはマウス・モノクローナル抗ヒトCD16bのいずれかと1時間インキュベーションした。上述のように、BC細胞を3回洗浄し、次いで1:100希釈のFITC結合F(ab')2ロバ抗モルモット(H+L)、または1:100希釈のR-PE-結合F(ab')2ロバ抗モルモットIgG(H+L)のいずれか、および1:100希釈FITC結合ウサギ抗マウスIgG(H+L) (Jackson Immuno Research Laboratories Inc、West Grove、PA.)とインキュベーションした。次いで、試料を上述のように3回洗浄し、ナイロンメッシュフィルターを通過させて、単分散細胞にした(Lab-Line Instruments Inc、Melrose Park、IL)。血球計算板によってこの分散試料を再び計数し、かつ必要に応じて1×106細胞/mlに希釈して、フローサイトメトリーによって分析した。すべての固定、透過処理、および抗体とのインキュベーションを室温で行った。
【0058】
WBC連続希釈のフローサイトメトリー
血液試料由来の軟膜、および別個にRBCを洗浄して、上述のように調製し、次いで、軟膜由来WBCおよびRBCを別個にプールした。ポリクローナル・モルモット抗クラミジア一次抗体(Biomeda Corp. Foster City、CA)および1:100希釈のR-PE-結合F(ab')2ロバ抗モルモットIgG(H+L)で、WBCおよびRBCプールを別個に染色した。次いで、試料を上述のように3回洗浄し、ナイロンメッシュフィルターを通過させて、単分散細胞にした(Lab-Line Instruments Inc、Melrose Park、IL)。プール中の細胞を血球計算板によって計数し、かつ別個の試験管中にWBCを以下のように添加した:100% (50,000細胞)、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、および0%。必要に応じて、RBCを各試験管に添加し、50,000の総細胞/試料を得た。次いで、各希釈の10,000細胞試料をフローサイトメトリー分析に用いた。
【0059】
結果
標準法によって、血液スメアを調製し、次いでウサギ抗クラミジア抗体で染色した。FITC結合二次抗体で抗体結合を検出した。図3Aおよび図3Bは、クラミジア感染陽性スメアを示し、特徴的なクラミジア封入体が免疫染色されている(FITC、緑色)。図3Cは、抗クラミジア免疫染色を用いて決定されるような、特徴的なクラミジア封入体に関して陰性であったスメアである。
【0060】
末梢血循環由来のBC試料をインビトロで培養して、血液細胞中に存在するクラミジアが、他の細胞に感染可能かどうかを決定した。図4Aは、J774A.1宿主細胞単層上の培養96時間後の検体を示し、これは正常血液ドナー試料のWBC内にあるクラミジアの存在および感染性を示す。図4Bは、クラミジア陰性WBC試料と96時間培養した後の同じ種類の単層を示す。このように、血液のWBC中で視覚化されたクラミジア封入体は、感染性クラミジア単位を含むことが明らかに示された。
【0061】
特定の細胞種(例えば白血球種)におけるクラミジアの存在を検出するため、二重免疫蛍光染色を行って、クラミジアおよび細胞種特異的抗原両方を検出した。重要なことに、図5(最上段)に示すように、抗クラミジア免疫蛍光(赤色)は、抗CD16b免疫蛍光(緑色)の検出において、ほとんどまたはまったくバックグラウンド蛍光を生じない。逆に、図5の最下段に見られるように、抗CD16b免疫蛍光は抗クラミジア蛍光の検出において、まったくまたは無視できる程度しか、バックグラウンドを引き起こさない。同様に、非特異的バックグラウンド蛍光は、図5の中段で見られるように、低いかまたは存在しない。
【0062】
末梢血循環にある範囲の白血球種は、図6に示すようにクラミジアにより感染されることが見出され、これには、単球(最上段)、好酸球/好塩基球(中段(この段では、クラミジア染色が緑色であることに注目されたい))、および好中球(最下段)が含まれた。クラミジアおよび細胞種特異的マーカーに関する二重免疫蛍光染色が、赤色染色(中段を除いて、抗クラミジア)および緑色染色(中段を除いて抗細胞種マーカー)の統合像中に明らかに観察され、各段の端に示すように、黄色の染色を与えた。クラミジアおよびCD14に関する二重免疫蛍光染色の場合(最上段)、視野に見られるどちらの細胞も(微分干渉コントラスト(DIC)像を参照されたい)、抗クラミジア免疫蛍光に関して陽性であるが、一方の細胞のみが抗CD14免疫蛍光に関して陽性であり(統合像に注目されたい)、これは二重免疫蛍光技法の特異性を再度示した。
【0063】
共焦点顕微鏡観察像によって、特定の細胞種におけるクラミジア抗原およびクラミジア封入体の細胞内局在を観察した。二重免疫蛍光抗クラミジアおよび抗CDマーカー染色の共焦点像を図7に示す。図7の各段は、抗クラミジアおよび抗CDマーカー免疫蛍光染色の共焦点光学切片の一連の統合像を示す。各画像下の数字は、細胞の下部表面から始まり、細胞の上部に向かって上向きに進行する系列における切片番号を指す。
【0064】
上述のデータは、クラミジアが多様な白血球種に感染し、かつこれらの細胞種内で細胞内局在化され得ることを示す。二重免疫蛍光フローサイトメトリーを用いて、特定の白血球種集団内のクラミジア感染細胞の分布を定量的に評価した。フローサイトメーターは、2つのチャネルで同時に蛍光強度を測定し(例えば、赤色チャネルで抗クラミジア免疫蛍光、および緑色チャネルで抗CDw125免疫蛍光)、したがって、細胞のそれぞれの免疫蛍光強度にしたがって、各細胞を感染または非感染、および細胞種マーカー陽性または陰性と分類し得る。図8において、抗クラミジア免疫蛍光強度ヒストグラムは、細胞の3つの集団に関してプロットされている(A、B、およびCと示す)。「A」ヒストグラムは、蛍光体結合二次抗体でのみ染色された、非感染細胞集団において検出された免疫蛍光強度の分布を示す。「A」ヒストグラム・データを用いて、二次抗体に関連する非特異的バックグラウンド蛍光を決定した。「B」ヒストグラムは、非感染細胞集団において検出された免疫蛍光強度の分布を示す。「C」ヒストグラムは、いくらかのクラミジア感染細胞を含むことが公知の細胞集団において検出された免疫蛍光強度の分布を示す。約20またはそれ以上の抗クラミジア免疫蛍光強度を示す細胞(矢印およびM1線によって示す)を、クラミジアに感染していると見なした。Bヒストグラム集団(非感染集団)のわずか2%が、この免疫蛍光強度の閾値に到達しており、これは、この蛍光強度閾値と同じかまたはそれを超える検出された事象の2%が、バックグラウンド免疫染色のためであったことを意味する。
【0065】
図9において、図8に示す細胞集団(BおよびC)に関する、抗CDw125免疫蛍光強度の分布を示す。CDw125検出陽性に関する閾値蛍光強度を20またはそれ以上と定義する。興味深いことに、CDw125陽性細胞(好酸球/好塩基球)の相対的比率は、非感染(A)集団対クラミジア感染細胞の亜集団を含む(B)集団では異なっていた。
【0066】
図10において、検出した細胞種マーカーが、好中球に特異的であるCD16bであったことを除き、同じ種類の分析を行った。
【0067】
上に提供するこれらのデータは、二重免疫蛍光フローサイトメトリーを用いて、クラミジア抗原、および所定の細胞集団内でその抗原を発現している特定の細胞種の両方を検出し得ることを立証する。
【0068】
フローサイトメトリーの感度および精度を確認するため、感染白血球の集団を赤血球で連続希釈し、かつ分析した。結果は図11に提供され、この図は、試料集団における検出細胞数が、感染細胞の非感染細胞での希釈に直線的に関連したことをグラフによって示す。縦軸は、分析した相当する10,000細胞試料において、白血球の総数を示す(例えば白血球を赤血球で50%希釈すると、縦軸上、5,000細胞に相当する)。横軸は、試料において検出した感染細胞数を示す。予想されるように、検出される感染細胞数は、図11に示すように、希釈と直線的に関連する。この技法によって、10,000個のうち、わずか3個の感染細胞が検出可能であった。これらの結果は、フローサイトメトリーが、非感染細胞の大集団において、クラミジア感染細胞を検出するのに、正確でかつ感度が高いことをさらに示す。
【0069】
他の態様
本発明のいくつかの態様を記載した。にもかかわらず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな改変を行い得ることが理解される。したがって、他の態様は特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1A〜1Dは、クラミジア感染および非感染の生HeLa細胞の間接的免疫蛍光染色を示す顕微鏡写真である。図1A:クラミジア・トラコマチス血清型K感染生HeLa細胞を、感染48時間後に、マウス血清Ab3およびフルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)結合二次抗体で染色し、続いて1%パラホルムアルデヒド中で固定した。図1B:メタノールで固定し、マウス血清Ab3で染色したクラミジア・トラコマチス血清型K感染HeLa細胞。図1C:マウス血清Ab3で免疫検出する前に、クラミジア・トラコマチス由来のGLXAと2時間、共インキュベーションしたHeLa細胞。図1D:プレブリードマウス血清で免疫検出する前に、クラミジア・トラコマチス由来のGLXAと2時間、共インキュベーションしたHeLa細胞。
【図2】図2A〜2Cは、クラミドフィリア・ニューモニエ(Cp)陽性血液試料由来の軟膜(主に白血球の混合物)のフローサイトメトリー研究から得た結果を示すグラフである。図2A:弱陽性結果;図2B:強陽性結果;および図2C:中程度の陽性結果。Cp陰性=太線、Cp陽性=矢印を伴う細線。
【図3】図3A〜3Cは、クラミジア感染細胞を含有する血液スメア試料における、クラミジア抗原についての免疫蛍光染色を示す顕微鏡写真である。図3Aおよび図3Bは、クラミジア陽性スメアであり、感染細胞は、FITC結合二次抗体で免疫染色されている、特徴的なクラミジア封入体を示す。図3Cは、クラミジア陰性免疫スメアを示す。
【図4】図4Aおよび図4Bは、J774A.1宿主細胞単層と共培養した末梢血細胞の培養物における、クラミジア抗原についての免疫蛍光染色を示す顕微鏡写真である。図4Aは、クラミジアに感染し、かつJ774A.1宿主細胞と共培養された、末梢血細胞を示す。図4Bは、J774A.1宿主細胞と共培養された非感染末梢血細胞を示す。
【図5】クラミジア感染および非感染のCD16b陽性およびCD16b陰性細胞の差次的免疫染色を示す顕微鏡写真の組である。細胞を抗クラミジア抗体および抗CD16b抗体で染色した。最上段:クラミジア感染CD16b陰性細胞。中段:非感染CD16b陰性細胞。最下段:非感染CD16b陽性細胞。
【図6】クラミジア抗原および細胞種特異的表面抗原分類(CD)抗原に関する、共焦点二重免疫蛍光染色の一連の顕微鏡写真である。第一列は、抗クラミジア抗体での染色を示す(最上段および最下段のPE染色(赤色);中段のFITC染色(緑色))。第二列は、抗CDマーカー抗体での染色を示す(最上段および最下段のFITC染色(緑色);中段のPE染色(赤色))。CDマーカー抗原の発現は、細胞種特異的である(細胞種を括弧内に示す)。第三列は、視野に存在するすべての細胞を示す、微分干渉コントラスト(DIC)明視野像である。第四列は、第一列〜第三列に観察される先行画像の統合像を示す。染色されているクラミジア抗原およびCDマーカーの両方に関して陽性に発現している細胞は、統合像では黄色である。染色されている抗原の1つしか発現しない細胞は1色のみである(例えば第四列、第一段の下部左隅の細胞)。
【図7】クラミジア抗原および細胞種特異的CD抗原に関する、二重免疫蛍光染色の一連の共焦点光学切片顕微鏡写真(統合像)であり、細胞の下部から進行し、細胞の上部に向かって進行する。抗クラミジア染色は赤色であり、かつ抗CDマーカー染色は緑色であり、したがって、染色抗原が共局在する領域は各画像中で黄色に見える。細胞全体の高分解能共焦点光学切片化(切片は下部から上部に番号付けされる;左から右の順)によって、特定の細胞種におけるクラミジア抗原およびクラミジア封入体の細胞内位置決定が可能になる。
【図8】軟膜由来細胞集団の頻度分布ヒストグラムの組である。クラミジア抗原および好酸球/好塩基球特異的マーカー(CDw125)に関して細胞を染色し、かつフローサイトメトリーを用いて分析した。ヒストグラムは、抗クラミジア免疫蛍光に基づく、細胞(または「事象」)の分布を示す。「A」と表示するヒストグラムは、二次抗体でのみ染色された非感染細胞集団を示す(蛍光バックグラウンド対照として)。「B」と表示するヒストグラムは、抗クラミジア一次抗体および抗CDw125一次抗体で染色され、かつ蛍光体結合二次抗体で検出された、既知の非感染細胞集団を示す。「C」と表示するヒストグラムは、いくらかのクラミジア感染細胞を含むことが公知であり、かつ「B」で用いたものと同じ一次抗体で染色された細胞集団を示す。「M1」は、マーカーに関して、細胞が陽性であると判断するのに用いた閾値蛍光基準を示す。
【図9】軟膜由来細胞集団の頻度分布ヒストグラムの組である。クラミジア抗原および好酸球/好塩基球特異的マーカー(CDw125)に関して細胞を染色し、かつフローサイトメトリーを用いて分析した。ヒストグラムは、抗CDw125免疫蛍光に基づく、細胞(または「事象」)の分布を示す。「A」と表示するヒストグラムは、二次抗体のみで染色された非感染細胞集団を示す(蛍光バックグラウンド対照として)。「B」と表示するヒストグラムは、非感染細胞集団を示す。「C」と表示するヒストグラムは、抗クラミジア免疫蛍光に関して陽性である、いくらかの細胞を含む細胞集団を示す。
【図10】軟膜由来細胞集団の頻度分布ヒストグラムの組である。クラミジア抗原および好中球特異的マーカー(CD16b)に関して細胞を染色し、かつフローサイトメトリーを用いて分析した。ヒストグラムは、抗CD16b免疫蛍光に基づく、細胞(または「事象」)の分布を示す。「A」と表示するヒストグラムは、二次抗体のみで染色された非感染細胞集団を示す(蛍光バックグラウンド対照として)。「B」と表示するヒストグラムは、非感染細胞集団におけるCD16b免疫蛍光を示す。「C」と表示するヒストグラムは、抗クラミジア免疫蛍光に関して陽性である細胞を含む細胞集団におけるCD16b免疫蛍光を示す。
【図11】赤血球で連続希釈したクラミジア感染白血球の、フローサイトメトリーによる検出を示すグラフである。方法の感度の試験として、クラミジア感染白血球を、赤血球で連続希釈して、50,000細胞の総集団を得た。フローサイトメトリー分析のため、10,000細胞試料を用いた。縦軸は、フローサイトメトリーに用いた試料中の白血球の総数を示す(例えば計数した試料において50%の白血球は、縦軸上の5,000細胞に相当する)。横軸は、フローサイトメトリーによって計数した10,000細胞試料中で検出された感染細胞数を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、被験体由来の生物学的試料におけるクラミジア感染細胞数を定量化するための方法:
(a)被験体から細胞を含む生物学的試料を得る工程;
(b)クラミジア感染細胞中に存在するかまたは表面上に存在するクラミジア抗原に特異的に結合する第一の抗体と、生物学的試料を接触させる工程;
(c)フローサイトメトリーを用いて生物学的試料を分析して、第一の抗体が結合している細胞を検出し、かつ計数する工程であって、ここで第一の抗体が結合している細胞を、クラミジア感染細胞として計数する工程。
【請求項2】
被験体が、クラミジアによって引き起こされる障害に関して無症候性である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法によって、被験体由来の生物学的試料におけるクラミジア感染をプロファイリングする方法であって、ここで(b)が細胞種特異的抗原に特異的に結合する第二の抗体と、生物学的試料を接触させる工程をさらに含み、かつ(c)が細胞に結合している第二の抗体を検出する工程をさらに含み、ここで第一の抗体および第二の抗体の両方が結合している細胞を、細胞種特異的抗原を発現するクラミジア感染細胞として計数する、方法。
【請求項4】
感染細胞が、好塩基球、樹状細胞、好酸球、好中球、マスト細胞、および単球からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
生物学的試料が、尿、血液、唾液、痰、粘液、精液、羊水、滑液、脳脊髄液、洗口液、気管支洗浄液、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
生物学的試料が血液試料である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
生物学的試料が軟膜試料である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第一の抗体がポリクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第一の抗体がモノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
第一の抗体が、アクセッション番号ATCC H.B.11300のもとに、American Type Culture Collection (ATCC)に寄託されるハイブリドーマによって産生される抗体と実質的に同一の結合特異性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
クラミジア抗原がクラミジア糖脂質外抗原(GLXA)である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
(a)が生物学的試料を細胞固定剤と接触させる工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
クラミジア抗原が、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミジア・スイス(Chlamydia suis)、クラミジア・ミュリダルム(Chlamydia muridarum)、クラミドフィリア・シッタシ(Chlamydophilia psittaci)、クラミドフィリア・ニューモニエ(Chlamydophilia pneumoniae)、クラミドフィリア・カビエ(Chlamydophilia caviae)、クラミドフィリア・ペコルム(Chlamydophilia pecorum)、クラミドフィリア・アボーツス(Chlamydophilia abortus)、およびクラミドフィリア・フェリス(Chlamydophilia felis)、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるクラミジア種によって発現される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
少なくとも2つの時点で請求項1の方法を行う工程、および少なくとも2つの時点でのクラミジア感染細胞数を比較する工程を含む、被験体におけるクラミジア感染の経時的な変化を決定する方法。
【請求項15】
時点が少なくとも1週間隔てられている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
細胞種特異的抗原が、好塩基球、好酸球、好中球、樹状細胞、マスト細胞、および単球からなる群より選択される細胞によって発現される、請求項3記載の方法。
【請求項17】
細胞種特異的抗原が好塩基球によって発現される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
細胞種特異的抗原が好酸球によって発現される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
細胞種特異的抗原が好中球によって発現される、請求項16記載の方法。
【請求項20】
細胞種特異的抗原が単球によって発現される、請求項16記載の方法。
【請求項21】
細胞種特異的抗原がCD16bである、請求項3記載の方法。
【請求項22】
細胞種特異的抗原がCDw125である、請求項3記載の方法。
【請求項23】
細胞種特異的抗原がCD14である、請求項3記載の方法。
【請求項24】
第一の抗体もしくは第二の抗体、または両方が:7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、Texas Red(商標)、5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン、リサミン(lissamine)ローダミンB、5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)、7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸、テトラメチルローダミン-5-(および-6)-イソチオシアネート、5-(および-6)-カルボキシテトラメチルローダミン、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸、6-[フルオレセイン5(および-6)-カルボキサミド(carboxamido)]ヘキサン酸、N-(4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4aジアザ-3-インダセンプロピオン酸、エオジン-5-イソチオシアネート、エリトロシン-5-イソチオシアネート、フィコエリトリン(B-、R-、またはシアニン-)、アロフィコシアニン、Oregon Green (商標)、およびCascade (商標)ブルー・アセチルアジドからなる群より選択される少なくとも1つの蛍光体で標識されている、請求項3記載の方法。
【請求項25】
以下の工程を含む、被験体から得た生物学的試料において、クラミジア感染細胞数を減少させる方法:
(a)被験体から細胞を含む生物学的試料を得る工程;
(b)生物学的試料を、クラミジア感染細胞の表面上のクラミジア抗原に特異的に結合する抗体と接触させる工程;
(c)蛍光活性化細胞選別を用いて、結合した抗体を有する細胞を含み、ここで結合した抗体を有する細胞は感染していると決定される、第一の細胞集団、およびクラミジア感染細胞数が減少した第二の細胞集団の2つの細胞集団に、生物学的試料由来の細胞を分類する工程。
【請求項26】
生物学的試料が血液試料である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
生物学的試料が精液試料である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
第一の抗体がポリクローナル抗体である、請求項25記載の方法。
【請求項29】
第一の抗体がモノクローナル抗体である、請求項25記載の方法。
【請求項30】
クラミジア抗原がクラミジア糖脂質外抗原(GLXA)である、請求項25記載の方法。
【請求項31】
第一の抗体が、アクセッション番号ATCC H.B.11300のもとに、American Type Culture Collection (ATCC)に寄託されるハイブリドーマによって産生される抗体と実質的に同一の結合特異性を有する、請求項25記載の方法。
【請求項1】
以下の工程を含む、被験体由来の生物学的試料におけるクラミジア感染細胞数を定量化するための方法:
(a)被験体から細胞を含む生物学的試料を得る工程;
(b)クラミジア感染細胞中に存在するかまたは表面上に存在するクラミジア抗原に特異的に結合する第一の抗体と、生物学的試料を接触させる工程;
(c)フローサイトメトリーを用いて生物学的試料を分析して、第一の抗体が結合している細胞を検出し、かつ計数する工程であって、ここで第一の抗体が結合している細胞を、クラミジア感染細胞として計数する工程。
【請求項2】
被験体が、クラミジアによって引き起こされる障害に関して無症候性である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法によって、被験体由来の生物学的試料におけるクラミジア感染をプロファイリングする方法であって、ここで(b)が細胞種特異的抗原に特異的に結合する第二の抗体と、生物学的試料を接触させる工程をさらに含み、かつ(c)が細胞に結合している第二の抗体を検出する工程をさらに含み、ここで第一の抗体および第二の抗体の両方が結合している細胞を、細胞種特異的抗原を発現するクラミジア感染細胞として計数する、方法。
【請求項4】
感染細胞が、好塩基球、樹状細胞、好酸球、好中球、マスト細胞、および単球からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
生物学的試料が、尿、血液、唾液、痰、粘液、精液、羊水、滑液、脳脊髄液、洗口液、気管支洗浄液、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
生物学的試料が血液試料である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
生物学的試料が軟膜試料である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第一の抗体がポリクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第一の抗体がモノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
第一の抗体が、アクセッション番号ATCC H.B.11300のもとに、American Type Culture Collection (ATCC)に寄託されるハイブリドーマによって産生される抗体と実質的に同一の結合特異性を有する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
クラミジア抗原がクラミジア糖脂質外抗原(GLXA)である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
(a)が生物学的試料を細胞固定剤と接触させる工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
クラミジア抗原が、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミジア・スイス(Chlamydia suis)、クラミジア・ミュリダルム(Chlamydia muridarum)、クラミドフィリア・シッタシ(Chlamydophilia psittaci)、クラミドフィリア・ニューモニエ(Chlamydophilia pneumoniae)、クラミドフィリア・カビエ(Chlamydophilia caviae)、クラミドフィリア・ペコルム(Chlamydophilia pecorum)、クラミドフィリア・アボーツス(Chlamydophilia abortus)、およびクラミドフィリア・フェリス(Chlamydophilia felis)、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるクラミジア種によって発現される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
少なくとも2つの時点で請求項1の方法を行う工程、および少なくとも2つの時点でのクラミジア感染細胞数を比較する工程を含む、被験体におけるクラミジア感染の経時的な変化を決定する方法。
【請求項15】
時点が少なくとも1週間隔てられている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
細胞種特異的抗原が、好塩基球、好酸球、好中球、樹状細胞、マスト細胞、および単球からなる群より選択される細胞によって発現される、請求項3記載の方法。
【請求項17】
細胞種特異的抗原が好塩基球によって発現される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
細胞種特異的抗原が好酸球によって発現される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
細胞種特異的抗原が好中球によって発現される、請求項16記載の方法。
【請求項20】
細胞種特異的抗原が単球によって発現される、請求項16記載の方法。
【請求項21】
細胞種特異的抗原がCD16bである、請求項3記載の方法。
【請求項22】
細胞種特異的抗原がCDw125である、請求項3記載の方法。
【請求項23】
細胞種特異的抗原がCD14である、請求項3記載の方法。
【請求項24】
第一の抗体もしくは第二の抗体、または両方が:7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、Texas Red(商標)、5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン、リサミン(lissamine)ローダミンB、5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン、フルオレセイン-5-イソチオシアネート(FITC)、7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸、テトラメチルローダミン-5-(および-6)-イソチオシアネート、5-(および-6)-カルボキシテトラメチルローダミン、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸、6-[フルオレセイン5(および-6)-カルボキサミド(carboxamido)]ヘキサン酸、N-(4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4aジアザ-3-インダセンプロピオン酸、エオジン-5-イソチオシアネート、エリトロシン-5-イソチオシアネート、フィコエリトリン(B-、R-、またはシアニン-)、アロフィコシアニン、Oregon Green (商標)、およびCascade (商標)ブルー・アセチルアジドからなる群より選択される少なくとも1つの蛍光体で標識されている、請求項3記載の方法。
【請求項25】
以下の工程を含む、被験体から得た生物学的試料において、クラミジア感染細胞数を減少させる方法:
(a)被験体から細胞を含む生物学的試料を得る工程;
(b)生物学的試料を、クラミジア感染細胞の表面上のクラミジア抗原に特異的に結合する抗体と接触させる工程;
(c)蛍光活性化細胞選別を用いて、結合した抗体を有する細胞を含み、ここで結合した抗体を有する細胞は感染していると決定される、第一の細胞集団、およびクラミジア感染細胞数が減少した第二の細胞集団の2つの細胞集団に、生物学的試料由来の細胞を分類する工程。
【請求項26】
生物学的試料が血液試料である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
生物学的試料が精液試料である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
第一の抗体がポリクローナル抗体である、請求項25記載の方法。
【請求項29】
第一の抗体がモノクローナル抗体である、請求項25記載の方法。
【請求項30】
クラミジア抗原がクラミジア糖脂質外抗原(GLXA)である、請求項25記載の方法。
【請求項31】
第一の抗体が、アクセッション番号ATCC H.B.11300のもとに、American Type Culture Collection (ATCC)に寄託されるハイブリドーマによって産生される抗体と実質的に同一の結合特異性を有する、請求項25記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−532913(P2007−532913A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508526(P2007−508526)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/012660
【国際公開番号】WO2005/116234
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(399093869)ユニバーシティー オブ マサチューセッツ (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/012660
【国際公開番号】WO2005/116234
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(399093869)ユニバーシティー オブ マサチューセッツ (19)
【Fターム(参考)】
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