説明

細胞増殖抑制剤の発酵生産方法及びそれらの結晶体

【課題】
エポチロン類の大規模製造方法を提供すること。
【解決手段】
本発明の一つの様相は、生物工学的規模でエポチロン類を製造するために、培地中で、エポチロン類、とりわけエポチロンAおよび/またはB、特にエポチロンBを濃縮する方法に関し、この方法はこれらの化合物を製造する微生物、特に粘液細菌(天然物質の生産菌として)より成り、それによって培地に可溶な複合体が培地に加えられる。また、本明細書によりエポチロンBの新しい結晶体も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、工業的規模でのエポチロン類の製造に使用し得る新しい生物工学的生産方法、特に培地中でこれらの化合物を濃縮する方法、並びにこれらの化合物を発酵生産するための新しい菌株に関する。又、本発明は、これらの新方法により得られるエポチロン類、特にエポチロンB、の新しい結晶体、医薬品製剤、これらの新結晶体から成る新しい医薬品製剤の製造におけるこれらの使用、並びに/又は腫瘍のような増殖性疾患の治療における、又はこれらの治療に適する医薬品製剤の製造におけるこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
腫瘍を治療するための既存の細胞毒性有効成分のうち、微小管安定剤であるタキソール(登録商標)(Paclitaxel;Bristol-Myers Squibb)が重要な役割を果たし、且つ顕著な商業的成功を得ている。しかしながら、タキソールは数多くの不利な点を有する。特に、その水中での非常に低い溶解度が問題である。それ故に、CremophorEL(登録商標)(ポリオキシエチル化ひまし油;BASF,Ludwigshafen、ドイツ)との製剤でタキソール(登録商標)を投与することが必要となった。CremophorEL(登録商標)は重大な副作用を持っている;例えば、アレルギーを引き起こし、少なくとも一事例においては患者の死にまで至っている。
【0003】
タキサン級の微小管安定性抗がん剤は“多分、過去10年間でがんに対する医薬品的武器への最も重要な追加”として賞賛され(Rowinsky E.K., Ann. rev. Med. 48, 353-374 (1997)参照)そしてタキソール(登録商標)は商業的成功を収めてはいるが、これらの化合物は未だ、がんの化学療法における真に偉大な飛躍的発展を象徴するようには見えない。タキソール(登録商標)での治療は一連の顕著な副作用につながり、且つ少数の原発性級のち密腫瘍、すなわち、結腸及び前立腺腫瘍はこの化合物にごく僅かしか奏効しない(Rowinsky E.K.、とりわけ参照)。加えて、タキソールの効果は減少されたり、後天性耐性機構により完全に中和されたりもするが、特に、多剤輸送糖タンパク質“P−糖タンパク質”の過剰発現による“多剤耐性”のように、有効成分の流出ポンプとして作用するリンタンパク質の過剰発現に基づく機構による。
【0004】
エポチロンAとBは、下記式:
【化1】

ここでRは水素(エポチロンA)又はメチル(エポチロンB)を意味する、を持つ新しいクラスの微小管安定性細胞毒性有効成分(Gerth, K. 等、 J. Antibiot. 49, 560-3 (1966)参照)を代表する。
【0005】
これらの化合物はタキソール(登録商標)より以下のように勝っている:
a)これらは水溶性がより優れ、そのため製剤化により容易に利用しやすい。
b)細胞培養実験において、これらは、タキソール(登録商標)を含む他の化学療法剤による治療に対して、それらを“多剤耐性”とするP−糖タンパク質流出ポンプの活性のために、耐性を示すところの細胞の増殖に対しても有効であることが報告されている(Bolag, D. M.等、“エポチロン類、タキソール−様作用機構を有する新しいクラスの微小管安定性剤”、Cancer Research 55,2325-33 (1995)参照)。そして
c)これらは、修飾β−チューブリンを持つタキソール(登録商標)−耐性卵巣がん細胞系に対して、生体外実験でなお非常に有効であることを示すことができた(Kowalski, R. J.等、J. Biol. Chem. 272(4), 2534-2541 (1997)参照)。
【0006】
例えば、腫瘍治療のためのエポチロン類の医薬品的投与は、タキソール用に記載されているものと類似した様式で可能である(例えば、US 5.641.803; US 5.496.804; US 5.565.478参照)。
しかしながら、エポチロン類を大規模で医薬的目的のために使用することを可能にするためには、適切な量のこれらの化合物を取得することが必要である。
これまでには、粘液細菌を使う天然物質、特にSorangium Cellulosum Soce90菌株(微生物ドイツコレクションに6773号として寄託、WO93/10121参照)からエポチロン類、の抽出が文献に記載されている。十分な濃度の天然物質、特にエポチロン類、をすぐ後に抽出する培地中に得るためには、以前から、例えばアンバーライトXAD−1180(Rohm & Haas, Frankfurt、ドイツ)等のポリスチレンを基材とする吸着樹脂が何時も添加されていた。
【0007】
しかしながら、この方法の不利な点は、大量規模ではこれが多数の問題を起こすことである。バルブは樹脂の粒により損傷し、パイプは詰まり、且つ装置は機械的摩擦のためにより大きい摩損を受けるであろう。樹脂の粒は多孔性であり、そのため大きい内部表面積(樹脂1グラム当たり約825m2)を有する。樹脂に閉じ込められた空気は蒸気滅菌されないので、滅菌が問題となる。よって、この方法は樹脂添加を使う大規模においては、実用的に実施することはできない。
一方においては、樹脂の粒を添加しなければ、培地中に十分な濃度のエポチロン類を得ることはできない。
【0008】
驚くべきことには、この矛盾から抜け出す方法を見出すための必要条件がいまや見出されてきたので、樹脂の添加無しに、微生物、特にエポチロンAとBのようなエポチロン類を製造する粘液細菌、から得られる天然物質の十分な濃度、特にエポチロンAとBの濃度を培地中に得ることが可能となり、且つ、これらの化合物、特にエポチロン類の製造が、上述の不利点無しに、技術的且つ工業的規模で実施できるようになった。
【発明の概要】
【0009】
(発明の開示)
本発明の一つの様相は、生物工学的規模でエポチロン類を製造するために、培地中で、これらの化合物、特にエポチロンA及び/又はB、特にエポチロンBを濃縮する方法に関し、この方法はこれらの化合物を製造する微生物、特に粘液細菌(天然物質の生産菌として)より成り、それによって培地に可溶な複合体が培地に加えられる。
【0010】
その次の様相は、対応する複合体-形成成分並びに微生物、特に粘液細菌、特にエポチロン類、特にエポチロンA及び/又はBを製造するのに適したSorangium属菌、から成るところの対応する培地に関する。
【0011】
本発明のさらに次の様相は、エポチロン類がこれらの化合物の生物工学的生産のための培地を後処理することから得られ、その培地はエポチロン類を製造する微生物、特に天然物質の生産菌としての粘液細菌よりなり、その培地には、培地に可溶な複合体−形成成分が加えられており、そして引き続いてエポチロン類を精製し、且つ所望により、エポチロン類、例えばエポチロンA及びB、を分離することを特徴とするところのエポチロン類、特にエポチロンA及び/又はB、特にこの二つの純粋な化合物、特にエポチロンBの製造方法に関する。
【0012】
本発明の第4の様相は、逆相カラム上で低級アルキルシアン化物を含む溶離液を用いるクロマトグラフィーであることを特徴とするところのエポチロン類、特にエポチロンAとBをお互いに分離する方法に関する。
本発明のさらに次の様相は、その他は同一の条件下で、Sorangium Cellulosum Soce90より多くのエポチロン類を製造するところの突然変異誘発により得られるSorangium Cellulosumの菌株に関する。
その次の様相は、エポチロンBの新しい結晶体に関する。
【0013】
ここで先に及び後に使用される一般的用語は、好ましくは、この後に示す意味を有する。
先に及び後に文書に指示される場合には、これらの用語は必要な限り組み入れられる。
【0014】
接頭辞の“低級”は、対応して命名した基が、好ましくは、最高で7までの炭素原子、特に4までの炭素原子を含有し、且つ、分枝又は非分枝していることを常に示す。例えば、低級アルキルは非分枝又は一回又はそれ以上分枝していてもよく、例えば、メチル、エチル、イソプロピル又はn−プロピルのようなプロピル、イソブチル、sec.−ブチル、tert.−ブチル又はn−ブチルのようなブチル、又は、アミル又はn−ペンチルのようなペンチルである。
【0015】
エポチロン類を生物工学的に製造するための培地は、これらの化合物を製造する微生物、特に天然物質の生産菌としての粘液細菌を含み、本来、培地は、対応する(天然に存在するか又は培養により又特に遺伝子修飾によっても得られる)微生物、特にこれらの化合物を製造する立場にある粘液細菌株、特にSorangium属の粘液細菌、好ましくは(特にエポチロン製造のために)Sorangium Cellulosum Soce90型(WO93/10121を参照)微生物、若しくは、それから(例えば、突然変異誘発又は組換え遺伝子技術により)又はこの粘液細菌の部分から誘導される生体物質、特に対応して誘導された菌株、特に照合番号BCE33/10又はその変異株、更に加えるに、水と共に、好ましくは、生体高分子、糖、アミノ酸、塩、核酸、ビタミン、抗生物質、情報化学物質、増殖培地、酵母又は他の細胞エキス等の生体物質からのエキス、ダイズ粕、ジャガイモでんぷん等のでんぷん、及び/又は、例えば錯体と結合した形の鉄イオンのような微量元素、若しくはこれらの成分及び/又は類似の添加物の全部又は幾らかの適切な配合物等の他の従来及び適当な培地成分より成る。対応する培地は、当業者に公知であるか公知の方法により製造してもよい(例えは、本開示の実施例又はWO93/10121にある培地を参照)。
【0016】
一つの好ましい粘液細菌は、紫外線突然変異により選択された菌株で、Sorangium Cellulosum Soce90よりもエポチロンA及び/又はBを多く生成するように選択したもので、DSMに番号6773として寄託されており、特に、番号DSM11999として1998年2月9日に微生物及び細胞培養群ドイツコレクション(DSMZ, Braunschweig、ドイツ)に寄託された変異株BCE33/10が好ましい。
【0017】
菌株BCE33/10の菌株培地及び形態学的記載:この菌株は炭素及びエネルギーの単一源としてのセルローズ上で硝酸カリウムを窒素の単一源として、例えば、ST21無機塩寒天培地(0.1% KNO3; 0.1% MgSO4×7H2O; 0.1% CaCl2×2H2O; 0.1% K2HPO4; 0.01% MnSO4×7H2O; 0.02% FeCl3; 0.002%酵母エキス;標準微量元素溶液;1%寒天)にのせたろ紙上で増殖することができる。この培地上では、暗帯赤褐色から帯黒褐色の子実体が形成される。これらは小さい小胞子嚢(直径15乃至30μm)から成り、種々の大きさの密集した塊及び束状で存在する。
栄養かん菌はSorangiumに典型的な形(位相差顕微鏡下で比較的密集した、黒色の円柱形かん菌で、平均して長さ3乃至6μm及び厚さ1μmの幅広で円い端を有す)をしている。
【0018】
エポチロン類は主としてエポチロンA及び/又Bであるが、例えば、国際申請WO97/19086及びWO98/22461で命名されたエポチロンC及びD、WO98/22461で命名されたエポチロンE及びF並びに対応する微生物から得られる別のエポチロン類等のその他のエポチロン類もある。
【0019】
水溶性の複合体-形成成分は主として水溶性のオリゴ−又はポリ−ペプチド誘導体又は、特に、分子間空洞を形成するところの環状又はらせん状のオリゴ糖又は多糖の誘導体であり、これは、十分に疎水性な性質のために、エポチロン類、特にエポチロンA及び/又Bを結合する立場にある。特に好ましい水溶性の複合体-形成成分はシクロデキストリン類又は(特に)シクロデキストリン誘導体、又はそれらの混合物から選択されるものである。
【0020】
シクロデキストリン類は、比較的疎水性の中心空洞及び親水性の外部表面積を持ったα−D−グルコピラノースの環状(α−1,4)−結合したオリゴ糖である。
以下は特に顕著なものである(括弧内の数字は一分子当たりのグルコース単位数を示す):α−シクロデキストリン(6)、β−シクロデキストリン(7)、γ−シクロデキストリン(8)、δ−シクロデキストリン(9)、ε−シクロデキストリン(10)、ζ−シクロデキストリン(11)、η−シクロデキストリン(12)及びθ−シクロデキストリン(13)。特別に好ましいものはδ−シクロデキストリン及び特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリン、又はそれらの混合物である。
【0021】
シクロデキストリン類は、主として上述のシクロデキストリン類、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンの誘導体であり、主として一つ又はそれ以上全部のヒドロオキシル基(グルコース基当たり3)がエーテル化又はエステル化されたシクロデキストリン誘導体である。
【0022】
エーテル類は主としてアルキルエーテル類、特に、メチル又はエチルエーテル、またプロピル又はブチルエーテル等の低級アルキル;フェニル−ヒドロキシ−低級アルキル、特にフェニル−ヒドロキシ−エチルエーテル等のアリール−ヒドロオキシアルキルエーテル類;ヒドロオキシアルキルエーテル類、特にヒドロオキシ−低級アルキルエーテル類、特に2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロオキシプロピル等のヒドロオキシプロピル、2−ヒドロオキシブチルエーテル等のヒドロオキシブチル;カルボキシアルキルエーテル類、特にカルボキシ−低級アルキルエーテル、特にカルボキシメチル又はカルボキシエチルエーテル;誘導化されたカルボキシアルキルエーテル類、特に、誘導化されたカルボキシル基がエーテル化された又はアミド化されたカルボキシ(主としてアミノカルボニル、モノ−またはジ−低級アルキルアミノカルボニル、モルホリノ−、ピペリジノ−、ピロリジノ−又はピペラジノ−カルボニル、又はアルキルオキシカルボニル)であるところの誘導化されたカルボキシ低級アルキルエーテル類、特に低級アルコキシカルボニル−低級アルキルエーテル、例えばメチルオキシカルボニルプロピルエーテル又はエチルオキシカルボニルプロピルエーテル;スルホアルキルエーテル類、特にスルホ−低級アルキルエーテル、特にスルホブチルエーテル;一つ又はそれ以上のOH基が下記式
【化2】

ここではalkはアルキルであり、nは2を含む数値から12を含む全数値、特に2乃至5、特に2又は3である基でエーテル化されているところのシクロデキストリン類;一つ又はそれ以上のOH基が下記式
【化3】

ここではR'は水素、ヒドロオキシル、-O-(alk-O)z-H、-O-(alk(-R)-O)p-H又はO-(alk(-R)-O)q-alk-CO-Yであり;すべての場合でalkはアルキル、特に低級アルキルであり;m、n、p、q及びzは1から12の全数値、特に1乃至5、特に1乃至3であり;そしてYはOR1又はNR2R3、ここではR1、R2及びR3は、お互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、あるいはR2及びR3は、結合する窒素と合体させてモルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ又はピペラジノを示すところのシクロデキストリン類;又はエーテル化あるいはアセタールが他の糖分子と共に存在するところの分枝シクロデキストリン類、特にグルコシル−、ジグルコシル−(G2-β−シクロデキストリン)、マルトシル−及びジマルトシル−シクロデキストリン、若しくはN−アセチルグルコサミニル−、グルコサミニル−、N−アセチルガラクトサミニル−及びガラクトサミニル−シクロデキストリンである。
【0023】
エステル類は主としてアルカノイルエステル類、特にシクロデキストリン類のアセチルエステルのような低級アルカノイルエステルである。
また、二つ又はそれ以上の異なった該エーテル及びエステル基が同時に存在するところのシクロデキストリン類であることも可能である。
該シクロデキストリン類及び/又はシクロデキストリン誘導体の二つ又はそれ以上の混合物であってもよい。
【0024】
特に好ましいものとしては、α−、β−又はγ−シクロデキストリン又はそれらの低級アルキルエーテル類で、例えば、メチル−β−シクロデキストリン又は特に2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリン、若しくは特に2−ヒドロキシプロピル−α−、2−ヒドロキシプロピル−β−又は2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンなどのヒドロキシ低級アルキルエーテル類が挙げられる。
【0025】
シクロデキストリン類又はシクロデキストリン誘導体は、好ましくは0.02乃至10、好ましくは0.05乃至5、特に好ましくは、例えば0.1乃至2等の0.1乃至4の重量パーセント(w/v)濃度で培地に加えられる。
【0026】
シクロデキストリン類又はシクロデキストリン誘導体は既知であるか若しくは既知の方法(例えば、US 3,459,731;US 4,383,992;US 4,535,152;US 4,659,696;EP 0 094 157;EP 0 149 197;EP 0 197 571;EP 0 300 526;EP 0 320 032;EP 0 499 322;EP 0 503 710;EP 0 818 469;WO 90/12035;WO 91/11200;WO 93/19061;WO 95/08993;WO 96/14090;GB 2,189,245;DE 3,118,218;DE 3,317,064及びシクロデキストリン類又はシクロデキストリン誘導体の合成についても引用しているところの上記の参考資料、また:T. Loftsson及びM. E. Brewster (1996):シクロデキストリン類の製薬的応用:医薬品の可溶化及び安定化:Journal of Pharmaceutical Science 85 (10): 1017-1025;R. A. Rajewski及びV. J. Stella (1996):シクロデキストリン類の製薬的応用:生体内薬物伝達:Journal of Pharmaceutical Science 85 (11): 1142-1169等を参照)。
【0027】
後処理及び精製についての下記の記述においては、エポチロンとは対応する微生物から得られる一つのエポチロン、好ましくは、エポチロンC、D、E、F又は特にA又はエポチロンBであると理解される。“エポチロン類”が言及されている場合には、特記しない限り、個々のエポチロン又は混合物を含む一般用語であることを意図する。
【0028】
エポチロン類の後処理は常法により行う;先ず最初に、培地をろ過又は遠心分離(管形遠心分離機又は分離器)により液体相(遠心分離液又はろ液)と固体相(細胞)に分離する。それから、この遠心分離液中又はろ液中に在るエポチロン類の(主)部分を合成樹脂、例えば、アンバーライトXAD−16[Rohm & Haas Germany GmbH, Frankfurt]又はダイアイオンHP−20[Rosindion S.R.L., Mitsubishi Chemical Co., Milan]等のポリスチレンを母材とした樹脂(以後、単にポリスチレン樹脂とも言う)と直接に混合する(好ましくは、遠心分離液:樹脂の比率は約10:1乃至100:1、好ましくは50:1)。好ましくは0.25乃至50時間、特に0.8乃至22時間の間の接触後、樹脂をろ過又は遠心分離等により分離する。必要により、吸着後、その樹脂を強極性溶媒で、好ましくは水で、洗浄する。それから、エポチロン類の脱着は適当な溶媒、特にアルコール、特にイソプロパノールを用いて行う。次いで、好ましくは、事前の、同時の又は事後の水の添加により、溶媒相、特にイソプロパノール相から溶媒を、特に循環式蒸発器で除去し、それにより必要に応じて濃縮されるが、それから得られた水層を、例えば、低級アルカノールの低級アルカンエステル、典型的には酢酸エチル又は酢酸イソプロピル等のエステルのような第2層の形成に好適な溶媒で抽出する。これにより、エポチロン類は有機溶媒層中に移行する。それから、回転式蒸発器等を使用して有機層を必要な程度まで濃縮し、好ましくは乾固する。
【0029】
引き続き、以後の処理を以下の工程を使用して実施するが、ここではニトリルで溶出する逆相クロマトグラフィーによる精製工程は進歩性であり、従って必須であるが、他の工程は任意である:
1. 例えば、メタノール等のアルコールを溶離液とする、Sephadex LH-20(Pharmacia, Uppsala、スウェーデン)等の材料のカラム上での分子ろ過(ゲルクロマトグラフィー);
【0030】
2. 適切な溶媒に溶かした後ニトリル/水の混合液で溶出する逆相クロマトグラフィーによるエポチロン類の分離(必須)、ここでは、好ましくは、特に18炭素原子を含む炭化水素鎖等の炭化水素鎖を結合させたRP−18材料のカラム上で、特に低級アルキルニトリル、特にアセトニトリルより成る溶離液を用い、特に、ニトリル/水の混合液、特に、アセトニトリル/水の混合液を、好ましくはニトリルと水の比率が約1:99乃至99:1、主として1:9及び9:1の間、例えば2:8及び7:3、例えば3:7又は4:6の間で用いるクロマトグラフィーを実施することを特徴とする;
【0031】
3. 水並びに水と混じらない溶媒、好ましくはエステル、特に酢酸エチル又は酢酸イソプロピル等の低級アルキル低級アルカンエステル、より成る2層系における残留物(特に蒸発後)の単回又は複数回の抽出;
4. 吸着クロマトグラフィー、ここでは、特に、シリカゲルのカラムに添加して、適切な溶媒又は溶媒混合液、特に、例えば、特に酢酸エチル又は酢酸イソプロピル/n−ヘキサン等の低級アルキル低級アルカンエステル/C4-C10−アルカンで溶出するが、エステルと炭化水素間の比率は、好ましくは、99:1乃至1:99、好ましくは10:1乃至1:10、例えば4:1である;
【0032】
5. 濃縮後に得られるかもしれない残留物を、メタノールのようなアルコール等の適切な溶媒に溶解すること;
6. 活性炭と混合しそしてそれを除去すること;
7. 例えば適切な溶媒又は溶媒混合液からの再結晶、例えば、エステル、エステル/炭化水素混合液又はアルコール、特に酢酸エチル又はイソプロピル:トルエンが1:10乃至10:1、好ましくは2:3(エポチロンA)或いはメタノール又は酢酸エチル(エポチロンB)から成る;
【0033】
ここでは、使用した各工程の間に、得られた溶液又は懸濁液を必要により濃縮し、そして/又は、特に溶液/懸濁液をろ過又は遠心分離することにより、固体及び液体の成分をお互いに分離する。下記の更に厳密な説明は上の個々の工程に好ましく用いることができる。
【0034】
好ましくは、後処理及び精製を以下のように実施する:収集後、培地を遠心分離(管形遠心分離機又は分離器)により液体相(遠心分離液)と固体相(細胞)に分離する。それから、エポチロン類の主部分はこの遠心分離液中に在るが、これを例えば、アンバーライトXAD−16[Rohm & Haas Germany GmbH, Frankfurt]又はダイアイオンHP−20[Rosindion S.R.L., Mitsubishi Chemical Co., Milan]等のポリスチレン樹脂と直接に混合し(好ましくは、遠心分離液:樹脂の比率は約10:1乃至100:1、好ましくは50:1)、撹拌器中でかき混ぜる。この工程において、エポチロン類はシクロデキストリンから樹脂に移行する。約1時間の接触後、樹脂を遠心分離又はろ過により分離する。エポチロン類の樹脂への吸着は、樹脂をカラムに入れそして遠心分離液を樹脂の上から流入することにより、クロマトグラフィーカラム中で実施してもよい。吸着後、その樹脂を水で洗浄する。エポチロン類の脱着はイソプロパノールを用いて行う。次いで、特に循環式蒸発器中で、好ましくは水の添加により、イソプロパノール層からイソプロパノールを除去し、得られた水層を酢酸エチルで抽出する。エポチロン類は水層から酢酸エチル層中に移行する。それから、回転式蒸発器等を使用して酢酸エチル抽出液を濃縮乾固する。次いで、エポチロン類の初期濃縮を分子ろ過(例えば、メタノールを溶離液とするSephadex LH-20[Pharmacia, Uppsala、スウェーデン])により達成する。分子ろ過からのピーク画分はエポチロンA及びBを含有し、エポチロンの総含量は10%以上である。それから、エポチロンA及びBを混合物として含有するピーク画分から個々の成分への分離を、例えば、RP−18相(1鎖当たり18炭素原子を含むアルキル基で修飾した相)等の“逆相”上で、好ましくはアセトニトリル(これは、例えばメタノール等のアルコールに比し、より良い分離を与える)のようなニトリルを含有する適切な溶離液を用いるクロマトグラフィーにより行う。エポチロンAはエポチロンBの前に溶出する。エポチロンBを持つピーク画分はなお少部分のエポチロンAを含有するかもしれないが、これはRP−18上で更に分離して除去し得る。最後に、エポチロンA画分は酢酸エチル:トルエン=2:3から、そしてエポチロンB画分はメタノール又は酢酸エチルから、直接に結晶化させる。
【0035】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、好ましくは、エポチロン類、特にエポチロンA及び/又B、特にエポチロンBをこれらの化合物を生物工学的に生産する培地中で濃縮する方法に関するが、この培地はこの生産に適した微生物、特にSorangium菌株、特にSorangium Cellulosum Soce90型、又はそれより発生する変異菌株、特に参照番号BCE33/10を有する菌株、水及び培地用の他の通常の適当な成分を含有し、ここにおいて、シクロデキストリン又はシクロデキストリンの誘導体、又は二つ又はそれ以上のこれらの化合物の混合物、特に一つ又はそれ以上、好ましくは二つ又はそれ以上の以下のものから選択されたシクロデキストリンを培地に加えるが、これらはα−シクロデキストリン(6)、β−シクロデキストリン(7)、γ−シクロデキストリン(8)、δ−シクロデキストリン(9)、ε−シクロデキストリン(10)、ζ−シクロデキストリン(11)、η−シクロデキストリン(12)及びθ−シクロデキストリン(13)、特に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリン;又は、主としてシクロデキストリン誘導体又は以下のシクロデキストリンの誘導体から選択されたシクロデキストリン誘導体の混合物であり、その誘導体とは、一つ又はそれ以上全部のヒドロオキシル基がエーテル化されてアルキルエーテル、特に、メチル又はエチルエーテル、またプロピル又はブチルエーテル等の低級アルキル;フェニル−ヒドロキシ−低級アルキル、特にフェニル−ヒドロキシ−エチルエーテル等のアリール−ヒドロオキシアルキルエーテル;ヒドロオキシアルキルエーテル、特にヒドロオキシ−低級アルキルエーテル、特に2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロオキシプロピル等のヒドロオキシプロピル、2−ヒドロオキシブチルエーテル等のヒドロオキシブチル;カルボキシアルキルエーテル、特にカルボキシ−低級アルキルエーテル、特にカルボキシメチル又はカルボキシエチルエーテル;誘導化されたカルボキシアルキルエーテル、特に、誘導化されたカルボキシル基がアミノカルボニル、モノ−またはジ−低級アルキルアミノカルボニル、モルホリノ−、ピペリジノ−、ピロリジノ−又はピペラジノ−カルボニル、又はアルキルオキシカルボニル、特に低級アルキルオキシカルボニル、例えば、好ましくは低級アルコキシカルボニル−低級アルキルエーテル、例えばメチルオキシカルボニルプロピルエーテル又はエチルオキシカルボニルプロピルエーテル;スルホアルキルエーテル、特にスルホ−低級アルキルエーテル、特にスルホブチルエーテル;一つ又はそれ以上のOH基が下記式
【化4】


ここではalkはアルキルであり、nは2を含む数値から12を含む全数値、特に2乃至5、特に2又は3である基でエーテル化されているところのシクロデキストリン;一つ又はそれ以上OH基のが下記式
【化5】

ここではR'は水素、ヒドロオキシル、-O-(alk-O)z-H、-O-(alk(-R)-O)p-H又はO-(alk(-R)-O)q-alk-CO-Yであり;すべての場合でalkはアルキル、特に低級アルキルであり;m、n、p、q及びzは1から12の全数値、特に1乃至5、特に1乃至3であり;そしてYはOR1又はNR2R3、ここではR1、R2及びR3は、お互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、あるいはR2及びR3は、結合する窒素と合体させてモルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ又はピペラジノを示すところのシクロデキストリン;又はエーテル化あるいはアセタールが他の糖分子と共に存在し、そして、グルコシル−、ジグルコシル−(G2-β−シクロデキストリン)、マルトシル−及びジマルトシル−シクロデキストリン、若しくはN−アセチルグルコサミニル−、グルコサミニル−、N−アセチルガラクトサミニル−及びガラクトサミニル−シクロデキストリンから選択されたところの分枝シクロデキストリン;又は、シクロデキストリンのアセチルエステルのような低級アルカノイルである。
【0036】
特に好ましいものとしては、シクロデキストリン及び/又はシクロデキストリン誘導体が、0.02乃至10、好ましくは0.005乃至10、更に好ましくは0.05乃至5、最も好ましくは、例えば0.1乃至2等の0.1乃至4の重量パーセント(w/v)濃度で培地に加えられる方法である。
【0037】
特別に好ましいものとしては、シクロデキストリン誘導体が、シクロデキストリン、特にβ−シクロデキストリン、及びヒドロキシ低級アルキルシクロデキストリン、特に2−ヒドロキシプロピル−α−、−β−又は−γ−シクロデキストリン;又は、それらの一つ又はそれ以上の混合物;そこでは2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン自身が特に好ましいところの、二つの先行する節の一つに基づく方法である。
【0038】
本発明は又特に、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体、特に、最後から3番目の節で、特に最後から2番目の節で定義されたシクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体、又はそれらの一つ又はそれ以上の混合物から選択された二つ又はそれ以上の複合体−形成成分の混合物、並びにエポチロン類、特にエポチロンA及び/又はB、を製造するために適切な微生物、好ましくはSorangium属、特にSorangium Cellulosumの菌株、例えばSoce90菌株又はそれより発生する変異菌株、特にBCE33/10菌株より成る培地に関する。
【0039】
本発明の次の様相は、エポチロン類が、上述の様に、これらの化合物の生物工学的生産のための培地を後処理することにより、例えば、遠心分離によって固体相と液体相(遠心分離液)に分離され、その培地には、培地に可溶な複合体−形成成分、特に、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体、又は二つ又はそれ以上のシクロデキストリン及び/又はシクロデキストリン誘導体が加えられ;この遠心分離液を樹脂、特にポリスチレン樹脂と混合し、又はそのような樹脂を充てんしたカラムを通し;必要により、その樹脂を水洗し;エポチロン(類)を樹脂から極性溶媒、特にアルコール、主としてイソプロパノールのような低級アルカノールで脱着させ;必要により、これを、事前の、同時の又は事後の水の添加とともに、濃縮し;水と混じり合わない有機溶媒、例えば酢酸エチルのようなエステルを加えてからエポチロン(類)を、例えば撹拌又はかき混ぜにより有機溶媒層中に移行させ;得られた有機層を必要により濃縮し;得られた有機溶液から低分子量の化合物用の分子ふるいを通してエポチロン類を濃縮し;そして引き続き、エポチロン類、特にエポチロンA及び/又はB、を含有する画分を逆相カラム、好ましくはアセトニトリルのようなニトリルを含有する溶離液(又は代わって、メタノールのようなアルコールを含有する溶離液)を用いて溶出することにより分離し;それによりエポチロンAとBを別々に抽出し、所望により、再結晶により更に濃縮し得るところのエポチロンA及び/又はB、特にこの二つの純粋な化合物、特にエポチロンBの製造方法に関する。
【0040】
本発明の次の好ましい様相は、逆相カラム上で低級アルキルシアン化物を含む溶離液を用いるクロマトグラフィーであり、特に18炭素原子を含む炭化水素鎖等の炭化水素鎖を結合させたRP−18材料のようなカラム材料上でクロマトグラフィーを実施し、特に低級アルキルニトリル、特にアセトニトリルより成る溶離液を用いる、特に、ニトリル/水の混合液、特にアセトニトリル/水の混合液を、好ましくはニトリルと水の比率が約1:99乃至99:1、主として1:9及び9:1の間、例えば2:8及び7:3、例えば3:7又は4:6の間で用いるクロマトグラフィーによることを特徴とするところのエポチロン類、特にエポチロンAとBをお互いに分離する方法に関する。
【0041】
本発明は、好ましくは、エポチロン類の生成方法に関するが、これは a)エポチロン類、特にエポチロンA及びBをこれ(ら)の化合物の生物工学的生産のための培地中で濃縮するする方法であり、その培地はこの生産するために適切な微生物、Sorangium菌株、特にSorangium Cellulosum Soce90型の菌株、又はそれより発生する変異菌株、特に参照番号BCE33/10を持つ菌株、水及び培地に常用される他の適切な成分を含有し、そこで、培地にシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体あるいは二つ又はそれ以上のこれらの化合物が加えられているが、これらはα−シクロデキストリン(6)、β−シクロデキストリン(7)、γ−シクロデキストリン(8)、δ−シクロデキストリン(9)、ε−シクロデキストリン(10)、ζ−シクロデキストリン(11)、η−シクロデキストリン(12)及びθ−シクロデキストリン(13)、特に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリン;又は、主としてシクロデキストリン誘導体又は以下のシクロデキストリンの誘導体から選択されたシクロデキストリン誘導体の混合物であり、その誘導体とは、一つ又はそれ以上全部のヒドロオキシル基がエーテル化されてアルキルエーテル、特に、メチル又はエチルエーテル、またプロピル又はブチルエーテル等の低級アルキル;フェニル−ヒドロキシ−低級アルキル、特にフェニル−ヒドロキシ−エチルエーテル等のアリール−ヒドロオキシアルキルエーテル;ヒドロオキシアルキルエーテル、特にヒドロオキシ−低級アルキルエーテル、特に2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロオキシプロピル等のヒドロオキシプロピル、2−ヒドロオキシブチルエーテル等のヒドロオキシブチル;カルボキシアルキルエーテル、特にカルボキシ−低級アルキルエーテル、特にカルボキシメチル又はカルボキシエチルエーテル;誘導化されたカルボキシアルキルエーテル、特に、誘導化されたカルボキシル基がアミノカルボニル、モノ−またはジ−低級アルキルアミノカルボニル、モルホリノ−、ピペリジノ−、ピロリジノ−又はピペラジノ−カルボニル、又はアルキルオキシカルボニル、特に低級アルキルオキシカルボニル、例えば、好ましくは低級アルコキシカルボニル−低級アルキルエーテル、例えばメチルオキシカルボニルプロピルエーテル又はエチルオキシカルボニルプロピルエーテル;スルホアルキルエーテル、特にスルホ−低級アルキルエーテル、特にスルホブチルエーテル;一つ又はそれ以上のOH基が下記式
【化6】

ここではalkはアルキルであり、nは2を含む数値から12を含む全数値、特に2乃至5、特に2又は3である基でエーテル化されているところのシクロデキストリン;一つ又はそれ以上のOH基が下記式
【化7】

ここではR'は水素、ヒドロオキシル、-O-(alk-O)z-H、-O-(alk(-R)-O)p-H又はO-(alk(-R)-O)q-alk-CO-Yであり;すべての場合でalkはアルキル、特に低級アルキルであり;m、n、p、q及びzは1から12の全数値、特に1乃至5、特に1乃至3であり;そしてYはOR1又はNR2R3、ここではR1、R2及びR3は、お互いに独立して、水素又は低級アルキルであり、あるいはR2及びR3は、結合する窒素と合体させてモルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ又はピペラジノを示すところのシクロデキストリン;又はエーテル化あるいはアセタールが他の糖分子と共に存在し、そして、グルコシル−、ジグルコシル−(G2-β−シクロデキストリン)、マルトシル−及びジマルトシル−シクロデキストリン、若しくはN−アセチルグルコサミニル−、グルコサミニル−、N−アセチルガラクトサミニル−及びガラクトサミニル−シクロデキストリンから選択されたところの分枝シクロデキストリン;又は、シクロデキストリンのアセチルエステルのような低級アルカノイルであり;
b)逆相カラム上で低級アルキルシアン化物を含む溶離液を用いるクロマトグラフィーであり、特に18炭素原子を含む炭化水素鎖等の炭化水素鎖を結合させたRP−18材料のようなカラム材料上でクロマトグラフィーを実施し、そして、特に低級アルキルニトリル、特にアセトニトリルより成る溶離液を用いる、特にニトリル/水の混合液、特にアセトニトリル/水の混合液を、好ましくはニトリルと水の比率が約1:99乃至99:1、主として1:9及び9:1の間、例えば2:8及び7:3、例えば3:7又は4:6の間で用い、それにより、所望により、後処理工程と精製工程が可能であるクロマトグラフィーによることを特徴とするところのエポチロン類、特にエポチロンAとBをお互いに分離する工程より成る。
【0042】
又、本発明は、特にSorangium Cellulosum Soce90の菌株から誘導される変異菌株、特に、好ましくは、一つ又はそれ以上のUV−誘導の突然変異工程(特に、200乃至400nm特に250乃至300nmのUV照射)をし、続いて各工程において、増加したエポチロン製造(特に、培地中に増加したエポチロン濃度)を持つ変異菌株を探索する突然変異により得られるSorangium Cellulosumの菌株に特に関するが、この菌株は、その他は同一の条件下で、Sorangium Cellulosum Soce90、特にSorangium Cellulosum BCE33/10菌株より多くのエポチロン類、特により多くのエポチロンA及び/又B、特別にエポチロンBを製造する。
【0043】
本発明は、実施例で命名された個々の方法工程又はそれらの組合せ、そこで命名された培地、結晶体及びそこで記述された菌株に特に関する。
【0044】
又、本発明は、エポチロンBの新しい結晶体、特に修飾Bとして記述されそして特に修飾Aとして記述されたエポチロンBの結晶体に関する。
これらの結晶体はX−線図により特に識別し得る。回折計を用い且つCu-Kα1照射を使用して得られるX−線回折図は有機化合物の固体を特性化するために好ましく用いられる。X−線回折図は、物質の結晶修飾を決定するために特に成功裡に用いられる。エポチロンBの現存する結晶修飾A及び結晶修飾Bを特性化するために、室温に保った物質の試料を用い2°及び35°の散乱角幅(2θ)で測定を行う。
【0045】
エポチロンBの結晶修飾A(修飾A)からこのように測定されたX−線回折図(反射線及び最も重要な線の強度)は以下の表によって特性化される。
【表1】

【0046】
又、本発明は、120℃以上、特に120℃と128℃の間、特に124-125℃の融点を特徴とするところのエポチロンBの新しい結晶体に特に関する。驚くべきことには、この値は文献に以前記述された値より相当高い。本発明は、結晶体AのX−線回折図及び120℃以上、特に120℃と128℃の間、例えば124℃と125℃の間の融点を特徴とするところのエポチロンBの結晶体に特に関する。
【0047】
エポチロンBの結晶修飾B(修飾B)からこのように測定されたX−線回折図(反射線及び最も重要な線の強度)は以下の表によって特性化される。
【表2】

【0048】
この新しい結晶体は特別に安定であり、特に結晶体Aは更に熱力学的に安定で在るものとして見なされるべきであり、そしてそれ故に、それらは固体の投与形体のための、固体又は液体の投与形体の調製における固体の形体で又は中間体(特別に良好な保存性を持つ)として保存するための有効成分として適切である。
【0049】
又、本発明は、これらの新しい結晶体、特に結晶体B、然し主として結晶体A(以後、全て有効成分という)を医薬品製剤、これらの新しい結晶体を含有する新しい医薬品製剤の製造における使用、及び/又は腫瘍等の増殖性疾患の治療における使用に関する。以下において、液体組成又はそのような結晶体をもはや含有しない組成において、有効成分より成るか又はこれを含有する医薬品製剤又は組成が言及された場合には、これは常に、この結晶体を用いて得られる医薬品製剤(例えば、エポチロンBの結晶体A又はBを用いて得られる輸液)を、これらがもはや個々の結晶体を含有しなくても(例えば、溶液中に存在するために)、また意味すると理解される。
【0050】
又、本発明は、エポチロンBの新しい結晶体を一つ又はそれ以上の担体と混合することを特徴とするところのエポチロンBの新しい結晶体、特に結晶体B又は特に結晶体Aの医薬品製剤の製造への使用に特別に関する。
【0051】
又、本発明は増殖性疾患に罹っている温血動物を治療する方法に関するが、この方法は、そのような疾患の治療に有効な投与量のエポチロンBを一つの新しい結晶体で、そのような治療を必要とする温血動物に投与することを特徴にしており、又、一つの新しい結晶体を用いて製造されるそれらの製剤を使用する治療;及び/又はエポチロンBの新しい結晶体をそのような治療に使用することも特に含んでいる。
【0052】
医薬品製剤を製造するためには、例えば、有効量の有効成分を相当量の一つ又はそれ以上の有機の又は無機の、液体の又は固体の、製剤的に許容される担体と共に又はそれとの混合物で有効成分を用いてもよい。
【0053】
又、本発明は、腫瘍のような増殖性疾患の治療において、温血動物、特に人間に投与するのに適した製剤組成に関するが、その組成は、該疾患を治療するために適切な量の有効成分を製剤的に許容される担体と共に含有する。
【0054】
本発明に従う医薬品組成は、温血動物、特に人間に経腸的、特に鼻内の、直腸の又は経口の、又は好ましくは非経口的な、特に筋肉内の又は静脈内の投与をすることを意図したものであり、それらは有効な量の有効成分をそれ自身で又は相当量の製剤的に許容される担体と共に含有する。有効成分の投与量は温血動物の種類、体重、年齢並びに個人の状態、個人の薬物動態的状況、治療すべき疾患及び投与形態に依存する。
【0055】
医薬品組成は約0.0001%乃至約95%、好ましくは約0.001%乃至約10%、又は20%乃至約905%の有効成分を含有する。本発明に従う医薬品組成は、例えば、アンプル、バイアル、坐剤、糖衣錠、錠剤又はカプセルの形のように、単回投与型で存在してもよい。
本発明に従う医薬品組成は、従来の溶解、凍結乾燥、混合、造粒又は製造方法等の既知の方法により製造される。
【0056】
有効成分の溶液、さらに溶液、及び特に水性の溶液又は懸濁液が好ましく使用されるが、ここでは、例えば、有効成分をそれ自身で又はマンニトール等の製剤的に許容される担体と共に含有する凍結乾燥組成の場合には、溶液又は懸濁液を投与の前に調製してもよい。医薬品組成は滅菌してもよいが、同時に又は、例えば保存剤、安定剤、保湿剤及び/又は乳化剤、溶解補助剤、浸透圧調整用の塩類及び/又は緩衝剤等の添加物を含有してもよく、そして、例えば従来の溶解又は凍結乾燥方法等の既知の方法により製造される。言及した溶液又は懸濁液は、カルボキシメチルセルローズナトリウム、カルボキシメチルセルローズ、デキストラン、ポリビニルピロリドン又はゼラチン等の粘度−増加物質を包含してもよい。
【0057】
油性の懸濁剤は、油成分として、注射の目的に慣用であるところの植物油、合成油又は半合成油を含有する。顕著な例は、特に、液体の脂肪酸エステルであり、それらに酸成分として含有されるのは、例えば、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸等の炭素原子数が8乃至22、特に12乃至22である長鎖脂肪酸、若しくは、例えばオレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸又はリノレイン酸等の対応する不飽和脂肪酸を含有するが、所望により、例えば、ビタミンE、β−カロテン又は3,5−トリ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシトルエン等の抗酸化剤を加える。これらの脂肪酸エステルのアルコール成分は、好ましくは最高6炭素原子を有し、例えばモノ−、ジ−、トリ−ヒドロキシアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はペンタノール、又はその異性体、しかし特別にはグリコール及びグリセリン等のモノ−又はポリヒオロキシアルコールである。以下の脂肪酸エステルの例が特記され得る:ミリスチン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、“Labrafil M 2375”(トリオレイン酸ポリエチレングリセリンエステル、Gattefosse,Paris)、“Miglyol 812”(8乃至12炭素原子の鎖長を有する飽和脂肪酸のトリグリセリド、Huels AG、ドイツ)、しかし特に綿実油、アーモンド油、オリーブ油、ひまし油、ごま油、大豆油及び特に落花生油。
【0058】
注射液又は輸液製剤は無菌条件下で慣用の方法に従い製造される;同じ方法はアンプル又はバイアル及び密封容器中への組成の充てんにも適用される。
有効成分及び製剤的に許容される有機溶媒を含有する輸液についての参考事項は以下のとおりである。
【0059】
本発明に従う製剤において用いられる製剤的に許容される有機溶媒は当業者におなじみの全ての溶媒から選択できる。好ましくは、この溶媒は、例えば無水アルコールのようなアルコール、エタノール/水混合液、好ましくは70%エタノール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリプロピレングリコール及びN−メチルピロリドン、特にポリプロピレングリコール又は70%エタノールから選択される。
有効成分は、0.001乃至100mg/ml、好ましくは約0.05から5mg/ml又は5から50mg/mlの濃度で製剤中に存在する。
【0060】
この種の製剤はバイアル又はアンプルとして容易に保存される。典型的には、バイアル又はアンプルは例えばホウケイ酸ガラスのようなガラスで作られる。バイアル又はアンプルは先行技術から既知のどんな容量にも適合できよう。好ましくは、0.5乃至5mlの製剤を入れられるのに十分な大きさのものである。
投与に先だって、この製剤は静脈投与に適した水性媒体中に希釈されて始めて患者に有効成分を投与することができる。
【0061】
輸液にとっては体液と同一か基本的に同一の浸透圧を持つことが好ましい。従って、水性媒体は輸液の浸透圧を体液と同一か基本的に同一の浸透圧にする効果のある等張化剤を含有する。
【0062】
等張化剤は、例えばマンニトール、デキストローズ、グルコース及び塩化ナトリウム等の当業者におなじみの全ての試剤から選択し得る。好ましくは、等張化剤はグルコース又は塩化ナトリウムである。等張化剤は輸液に体液と同一か基本的に同一の浸透圧を与える量で用いることができる。正確な必要量は日常的な試験により決定し得るが、輸液の組成及び等張化剤の種類に依存する。
【0063】
水性媒体中の等張化剤の濃度は各試剤の種類に依存する。グルコースが使用されるならば、1乃至5%W/V、好ましくは5%W/Vの濃度で使用するのが好ましい。等張化剤が塩化ナトリウムであるならば、1%以下、好ましくは約0.9%W/Vの量で使用するのが好ましい。
【0064】
輸液は水性媒体で希釈し得る。使用する水性媒体の量は輸液中の有効成分の望ましい濃度によって選ばれる。好ましくは、輸液は、水性媒体を加えて容量が200mlから1000mlになるように、輸液濃縮物(上述参照)を含むバイアル又はアンプルを水性媒体と混合することにより製造する。輸液は静脈投与用の製剤に通常使用される他の添加物を含有してもよい。その上に、これらの添加物には抗酸化剤も含まれる。
【0065】
抗酸化剤は有効成分を酸化による分解から防ぐために使用してもよい。抗酸化剤は当業者になじみがあり、且つ静脈製剤に適した物から選択し得る。抗酸化剤の量は日常的な試験により決定し得る。抗酸化剤を加える代替として、又はそれに付加的なものとして、抗酸化剤の効果は輸液と酸素(空気)との接触を制限することにより達成される。これは、輸液を含有する容器を窒素又はアルゴン等の不活性ガスで処理することにより簡単に達成し得る。
【0066】
輸液はバイアル又はアンプルをWFIで5%グルコース溶液等の水性媒体と、例えば輸液袋又は輸液瓶のような適当な容器中で混合することにより製造することができる。輸液用の容器は、輸液と反応しない常用の容器から選択できる。適切なものに、特にボロケイ酸のガラス容器があるが、プラスチックの輸液袋等のプラスチック容器が望ましい。
【0067】
プラスチック容器は熱塑性高分子から作成してもよい。プラスチックの材料は、例えば、柔軟材、賦形剤、抗酸化剤、帯電防止剤又は他の慣用添加剤のような添加剤も含有してもよい。
本発明に好適なプラスチックは滅菌に使用される高温に耐えねばならない。好ましいプラスチックの輸液袋は当業者に既知のPVC材料である。
【0068】
広範囲の容器容積が考えられる。容器の容積を選択するときには、考慮すべき要素は、特に、水性媒体中のエポチロン類の溶解度、容易な取扱い、及び適切であれば、容器の保管である。約200と1000mlの間の輸液が入れられる容器を使用することが好ましい。
【0069】
良好な処方的性質のために、本発明によるエポチロンBの新しい結晶体は該輸液の簡単な且つ再現性のある製造に特に適している。しかしながら、新しい結晶体は、例えば経口用製剤のような固体形で有効成分を含有する医薬品製剤の製造に特に適している。
経口投与用の医薬品製剤は、有効成分を固体の担体と混合し、所望により得られた混合物を細粒化し、そして、所望により又は必要により、適切な補助薬を添加後、その混合物を錠剤、糖衣錠芯剤又はカプセルに更に加工することにより得られる。又、それらをプラスチックの基質中にはめ込んで、有効成分を計量的に拡散させたり放出させたりすることも可能である。
【0070】
製剤的に使用し得る適切な担体は、特に、乳糖、サッカロース、マンニトール又はソルビトール、セルロ−ス調合剤、及び/又は、例えばリン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウムのようなリン酸カルシウム等の賦形剤、及び例えば、とうもろこし、小麦、米又はジャガイモデンプン等のデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン等の結合剤、及び/又は、所望により、上述のデンプン、橋かけビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はアルギン酸ナトリウムのようなその塩等の崩壊剤である。補助薬は、特に、例えば、ケイ酸塩、タルク、ステアリン酸又はステアリン酸マグネシウム又はカルシウムのようなその塩及び/又はポリエチレングリコール等の流れ−改良剤及び潤滑剤である。糖衣錠芯剤は、所望により、とりわけ、濃厚砂糖溶液、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、又は適切な有機溶媒中のコーティング溶液、又は胃液−抵抗性のコーティングを作るためには、フタル酸エチルセルロース又はフタル酸ヒドキシプロピルメチルセルロース等の適当なセルロース調合剤の溶液等を使用する適当な胃液−抵抗性のコーティングを備える。カプセルはゼラチン又はペクチン、及び要望によりグリセリン又はソルビトールのような柔軟剤から成る乾式カプセルである。乾式カプセルは、例えば、乳糖のような賦形剤、デンプンのような結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、そして適当であれば安定剤を付けた顆粒の形で有効成分を含有してもよい。軟カプセルにおいては、有効成分は溶解した又は懸濁した形で存在してもよいが、これにより、脂肪油、パラフィン油又は液性プロピレングリコール等の油性の補助薬が加えられる;安定剤及び/又は抗菌性の添加剤を加えてもよい。例えば、有効成分の異なる剤型を確認し易くしたり又は区別するために、染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠のコーティングに加えることができる。
【0071】
結晶体B好ましくはAの一つを増殖性疾患の治療に使用するのは、結晶体(好ましくは、上述のように、輸液の製剤での使用について)を温血動物、特に人間、に投与することにより行われるが、その投与量は、例えば修飾Fibronacci系列を使用する標準方法による最大許容投与量(MTD)の20と133%の間、好ましくは25と100%の間で決められ得るが、そこでは継続的量について投与量の増加は、全ての次の投与量の100%、67%、50%及び40%次いで33%である;そして、必要により、一つ又はそれ以上の投与量が、最初の投与に対して上で決めた投与量の範囲で投与されるが、各投与量は、治療される個人がその前の投与の後で十分に回復できるだけの期間、特に最初の投与後一週間又はそれ以上、好ましくは2乃至10週、特に3乃至6週、の後で投与される。一般的には、入院の回数が少なくて期間も短く且つ改善した抗腫瘍効果が期待できるので、高投与量を一回、二回又は数回で、個々の投与の間に回復するだけの十分に長い間隔をとって投与するところのこの治療計画はより低い投与量でより頻回の治療より好ましい。好ましくは、エポチロンBの人間に対する投与量は、0.1と50mg/mの間、好ましくは0.2と10mg/mの間である。
【0072】
以下の実施例で本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
注意:エポチロン類を取扱うときには、それらの高い毒性に鑑み、必要に応じて、適切な防御手段を取らねばならない。
以下で使用する750−リットルの培養槽は会社、Alpha AG, Nidau、スイスからの最新式スチール培養槽である。
【実施例】
【0073】
実施例1:突然変異と選別によるBCE33/10菌株の調製
使用した菌株は、下記に記述する如く、突然変異と選別によりSorangium Cellulosum Soce90菌株より誘導された変異株BCE33/10(番号DSM11999として1998年2月9日に微生物及び細胞培養群ドイツコレクションに寄託された)である。液体培地中では、変異株BCE33/10は、長さ3乃至6μm及び厚さ1μmの円い端を有するSorangiaに典型的なかん菌を形成する。Sorangium Cellulosum Soce90はDSM番号6773として微生物ドイツコレクションより入手した。
変異株BCE33/10の調製は紫外線による三回の変異工程及び個々のコロニーの選別より成る。詳細な手順は以下の操作工程に従って実施される。
【0074】
アンプルからの培養:DSM6773アンプルの細胞を50−ml三角フラスコ中のG52培地10mlに移し、30℃及び180rpmで撹拌槽中6日間培養する。この培地5mlをG52培地50ml(200−ml三角フラスコ中)に移し、30℃及び180rpmで撹拌槽中3日間培養する。
【0075】
最初のUV突然変異工程及び選別:上記の培地0.1ml部分をS42寒天培地を含有する数個のペトリ皿上に平板植菌する。次いで、平板をそれぞれ1平方センチ当たり500μワットで90又は120秒間紫外線(250−300nmの最高照射領域)で照射させる。それから、1−2mmの個々のコロニーが得られるまで、平板を30℃で7−9日間培養する。次いで、100−150コロニーの細胞を、個々のコロニーからプラスチックのループを使用して、S42寒天培地を含有するペトリ皿上に扇形集落状に平板植菌し(1平板当たり4扇形集落)、30℃で7日間培養する。約1平方センチの区域に増殖した細胞を50−ml三角フラスコ中のG52培地10mlにプラスチックのループを使用して移し、30℃及び180rpmで撹拌槽中7日間培養する。この培地5mlをG52培地50ml(200−ml三角フラスコ中)に移し、30℃及び180rpmで撹拌槽中3日間培養する。この培地10mlを23B3培地50mlに移し、30℃及び180rpmで撹拌槽中7日間培養する。
【0076】
以下の手順に従って、培地中に生成したエポチロンA及びエポチロンBの量を測定する。培養液50mlをナイロンのふるい(150μmの細孔径)を通してろ過し、ふるい上に残ったポリスチレン樹脂アンバーライトXAD16を少量の水ですすぎ洗いし、そして続いてろ過材と一緒に50−mlの遠心管(Falcon Labware,Becton Dickinson AG Immengasse 7,4056 Basle)に加える。イソプロパノール(>99%)10mlをろ過材を入れた管に加える。その後、十分に密栓した管を180rpmで1時間振とうし、樹脂に結合しているエポチロンA及びBをイソプロパノール中に溶解させる。この液1.5mlを遠心分離し、上澄み液約0.8mlをピペットを使ってHPLC管に加える。これらの試料のHPLC分析は、下記に記述するように、生成物分析項に示すHPLC分析によって実施する。このHPLC分析はどの培地が最高含量のエポチロンBを含有しているかを決定する。対応するコロニーの上述の扇形集落平板(平板はその時まで4℃に保存する)から、約1平方センチの寒天区域からの細胞を50−ml三角フラスコ中のG52培地10mlにプラスチックのループを使用して移し、30℃及び180rpmで撹拌槽中7日間培養する。この培地5mlをG52培地50ml(200−ml三角フラスコ中)に移し、30℃及び180rpmで撹拌槽中3日間培養する。
【0077】
第二回及び第三回のUV突然変異工程及び選別:この手順は上述の最初のUV突然変異工程と完全に同一であり、そこでは最初のUV突然変異から最良のコロニーの選択培地を第二回突然変異誘発に使用する。第三回の突然変異誘発には、従って、第二回突然変異誘発からの最良のコロニーの培地を使用する。第三回サイクルのUV突然変異工程の後の最良のコロニーが、得られた菌株をエポチロンBの改善製造に対する選別をすると、変異株BCE33/10に相当する。
【0078】
菌株の保存
G52培地培地で3日間培養した培地10ml(200−ml三角フラスコ中、30℃及び180rpm)を23B3培地50ml(200−ml三角フラスコ中)に移し、30℃及び180rpmで撹拌槽中3日間培養する。この培地の1ml部分をできるだけ均一な形でポリスチレン樹脂アンバーライトXAD16(ポリスチレン吸着樹脂、Rohm & Haas, Frankfurt、ドイツ)と一緒に取り出し(それぞれの取出しの前に、培地を三角フラスコ中で手でふり混ぜる)、それから1.8mlのNunc凍結管(A/S Nunc, DK 4000 Roslide、デンマーク)中に充てんし-70℃又は液体窒素中で保存する。
【0079】
これらのアンプルからの菌株の培養は、それらを空気中で室温に暖め、そしてひき続き凍結管の全内容物を50−ml三角フラスコ中のG52培地10mlに移し、30℃及び180rpmで撹拌槽中5−7日間培養することにより行う。
【0080】
培地
G52培地
酵母エキス、低塩(Springer, Maison Alfort、フランス) 2g/l
MgSO4(7H2O) 1g/l
CaCl2(2H2O) 1g/l
脱脂肪ダイズ粕(Mucedola S.r.l., Settimo Milan、イタリア) 2g/l
Noreduxジャガイモデンプン(Blattmann, Waedenswil、スイス) 8g/l
無水グルコース 2g/l
Fe-EDTA 8g/l(製品番号03625、Fluka Chemie AG, CH) 1ml/l
pH7.4、KOHで調整
滅菌:20分、120℃
S42寒天培地:S.Jauaら、Plasmid 28, 157-165 (1992)に記載のとおり
【0081】
23B3培地
グルコース 2g/l
Noreduxジャガイモデンプン(Blattmann, Waedenswil、スイス) 20g/l
脱脂肪ダイズ粕(Mucedola S.r.l., Settimo Milan、イタリア) 16g/l
Fe-EDTA 8g/l(製品番号03625、Fluka, Buchs、スイス) 8ml/l
HEPES(Fluka, Buchs、スイス) 5g/l
ポリエチレン樹脂XAD16(Rohm and Haas)2% v/v
脱イオン水
NaOHでpHを7.8に調整
20分間、120℃で滅菌
(HEPES=4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-エタンスルホン酸)
【0082】
実施例2:エポチロン類製造のための培養
菌株:Sorangium Cellulosum Soce90 BCE33/10
(実施例1)
菌株の保存:実施例1と同様で液体窒素中
培地:前培地及び中間培地:G52
主培地: 1B12
【0083】
G52培地:
酵母エキス、低塩(BioSpringer, Maison Alfort、フランス) 2g/l
MgSO4(7H2O) 1g/l
CaCl2(2H2O) 1g/l
脱脂肪ダイズ粕Soyamine 50T(Lukas Meyer, Hamburg、ドイツ) 2g/l
NoreduxジャガイモデンプンA-150(Blattmann, Waedenswil、スイス) 8g/l
無水グルコース 2g/l
EDTA-Fe(III)−Na塩(8g/l) 1ml/l
pH7.4、KOHで調整
滅菌:20分、120℃
【0084】
1B12培地:
NoreduxジャガイモデンプンA-150(Blattmann, Waedenswil、スイス) 8g/l
脱脂肪ダイズ粕Soyamine 50T(Lukas Meyer, Hamburg、ドイツ) 11g/l
EDTA-Fe(III)−Na塩 8ml/l
pH7.4、KOHで調整
滅菌:20分、120℃
【0085】
シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体の添加:異なった濃度のシクロデキストリン(Fluka, Buchs、スイス又はWacker Chemie, Munich、ドイツ)を別々に滅菌し、植菌の前に1B12に加える。
【0086】
培養:液体窒素アンプルからのSorangium Cellulosum Soce90 BCE33/10懸濁液1mlをG52培地10ml(50−ml三角フラスコ中)に移し、180rpmで撹拌槽中30℃、25mm置換で3日間培養する。この培地5mlをG52培地45ml(200−ml三角フラスコ中)に移し、180rpmで撹拌槽中30℃、25mm置換で3日間培養する。それから、この培地50mlをG52培地450ml(2−リットル三角フラスコ中)に移し、180rpmで撹拌槽中30℃、50mm置換で3日間培養する。
【0087】
保全培地:培地は、培地50mlをG52培地450ml(2−リットル三角フラスコ中)に加えることにより、3-4日毎に過剰植種をする。全ての実験及び発酵はこの保全培地で開始することにより実施する。
【0088】
フラスコ中の試験:
(i)撹拌フラスコ中の前培地:
保全培地500mlで開始し、G52培地1×450mlを保全培地50mlで植菌し、180rpmで撹拌槽中30℃、50mm置換で4日間培養する。
(ii)撹拌フラスコ中の主培地:
1B12培地40mlプラス5g/lの4-モルホリン-プロパンスルホン酸(=MOPS)粉末(200−ml三角フラスコ中)を10×濃シクロデキストリン溶液5mlと混合し、前培地10mlで植菌し、180rpmで撹拌槽中30℃、50mm置換で5日間培養する。
【0089】
発酵:発酵は10リットル、100リットル及び500リットルのスケールで行う。20リットル及び100リットルの発酵は中間培地工程の役目をする。前培地及び中間培地は保全培地10%(v/v)として植菌されるが、一方では主培地は中間培地の20%(v/v)で植菌される。重要:撹拌培地とは対照的に、発酵用の培地の成分は植菌量を含む最終的な培地容量に基づいて計算する。例えば、18リットルの培地+2リットルの植菌量が合わされるとすると、20リットル分の物質を入れるが18リットルと混合するだけである。
【0090】
撹拌フラスコ中の前培地:
保全培地500mlで開始し、G52培地の4×450ml(2−リットル三角フラスコ中)を各々保全培地50mlで植菌し、180rpmで撹拌槽中30℃、50mm置換で4日間培養する。
【0091】
中間培地、20リットル又は100リットル:
20リットル:30リットルの全容量を有する発酵槽中で18リットルのG52培地を2リットルの前培地で植菌する。培養は3-4日間続き、そしてその条件は:30℃、250rpm、1分当たり、1リットルにつき0.5リットルの空気、0.5バールの過剰圧、pH調整無し。
100リットル:150リットルの全容量を有する発酵槽中で90ットルのG52培地を10リットルの20−リットル中間培地で植菌する。培養は3-4日間続き、そしてその条件は:30℃、150rpm、1分当たり、1リットルにつき0.5リットルの空気、0.5バールの過剰圧、pH調整無し。
【0092】
主培地、10リットル、100リットル又は500リットル:
10リットル:1B12培地10リットル分の培地物質を7リットルの水中で滅菌し、次いで1リットルの滅菌した2−(ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンの10%溶液を加え、そして2リットルの20−リットル中間培地で植菌する。主培養の継続期間は6-7日間で、そしてその条件は:30℃、250rpm、1分当たり、1リットルにつき0.5リットルの空気、0.5バールの過剰圧、H2SO4/KOHでpH7.6±0.5(すなわち、pH7.1と8.1の間は無調整)にpH調整。
【0093】
100リットル:1B12培地100リットル分の培地物質を70リットルの水中で滅菌し、次いで10リットルの滅菌した2−(ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンの10%溶液を加え、そして20リットルの20−リットル中間培地で植菌する。主培養の継続期間は6−7日間で、そしてその条件は:30℃、200rpm、1分当たり、1リットルにつき0.5リットルの空気、0.5バールの過剰圧、H2SO4/KOHでpH7.6±0.5にpH調整。一連の100−リットル発酵用の植菌を以下の概念図に示す:
【表3】

500リットル:1B12培地500リットル分の培地物質を350リットルの水中で滅菌し、次いで50リットルの滅菌した2−(ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリンの10%溶液を加え、そして100リットルの100−リットル中間培地で植菌する。主培養の継続期間は6-7日間で、そしてその条件は:30℃、120rpm、1分当たり、1リットルにつき0.5リットルの空気、0.5バールの過剰圧、H2SO4/KOHでpH7.6±0.5にpH調整。
【0094】
生成物分析:
試料の調整:
50mlの試料を2mlのポリスチレン樹脂アンバーライトXAD16(Rohm & Haas, Frankfurt、ドイツ)と混合し、180rpm、30℃で1時間振とうする。引き続いて、樹脂を150μmのナイロンのふるいを通してろ過し、少量の水ですすぎ洗いし、そして続いてろ過材と一緒に15mlのNunc管へ加える。
樹脂から生成物の溶出:
イソプロパノール(>99%)10mlをろ過材及び樹脂を入れた管に加える。その後、密栓した管を室温でRota-Mixer(Labinco BV、オランダ)上で30分間振とうする。それから、この液2mlを遠心分離し、上澄み液をピペットを使ってHPLC管に加える。
【0095】
HPLC分析:
カラム: Waters-Symetry C18、100×4mm、3.5μm WAT066220+前カラム3.9×20mm WAT054225
溶媒: A:0.02%リン酸
B:アセトニトリル(HPLC級)
グラディエント: 41%B 0から7分まで
100%B 7.2から7.8分まで
41%B 8から12分まで
オーブン温度: 30℃
検出: 250nm、UV−DAD検出
注入量: 10μl
保持時間: Epo A:4.30分 Epo B:5.38分
【0096】
実施例2A:得られたエポチロン濃縮液へのシクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体の添加効果
ここで試験した全てのシクロデキストリン誘導体は会社Fluka,Buchs,CHから来ている。試験は50−mlの培地容量を持つ200−ml撹拌フラスコ中で行う。コントロールとして、吸着剤樹脂アンバーライトXAD16(Rohm & Haas, Frankfurt、ドイツ)を入れたもの及び何も吸着剤添加物の無いフラスコを用いた。5日間の培養後、以下のエポチロン力価がHPLCにより定量し得る:
【表4】

1)アンバーライト(%v/v) は別として、全ての百分率は重量(%v/v)による。
二三の試験したシクロデキストリン類(2,6-ジ-o-メチル-β-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン)は、用いた濃度においてエポチロン製造に無効果又は負の効果を示す。1−2%の2-(ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリン及びβ-シクロデキストリンは、これらの例では、シクロデキストリンを用いない製造に比べて6乃至8倍だけエポチロン製造を増加させる。
【0097】
実施例2B:1%の2-(ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリンを用いる10-リットル発酵:
発酵は15リットルのガラス発酵槽中で行う。培地は10g/lのWacker Chemie, Munich、ドイツ製の2-(ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリンを含有する。発酵の進行を表2に示す。発酵を6日間で終了させ、それから後処理を行う。
【表5】

【0098】
実施例2C:1%の2-(ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリンを用いる100-リットル発酵:
発酵は150リットルの発酵槽中で行う。培地は10g/lの2-(ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリンを含有する。発酵の進行を表3に示す。発酵物を7日後に採取し、後処理を行う。
【表6】

【0099】
実施例2D:1%の2-(ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリンを用いる500-リットル発酵:
発酵は750リットルの発酵槽中で行う。培地は10g/lの2-(ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリンを含有する。発酵の進行を表4に示す。発酵物を6日後に採取し、後処理を行う。
【0100】
【表7】

【0101】
実施例2E:吸着剤を用いない10-リットル発酵の比較例:
発酵は15リットルのガラス発酵槽中で行う。培地はシクロデキストリン又は他の吸着剤を含有しない。発酵の進行を表5に示す。発酵物を採取しないで、後処理を行わない。
【0102】
【表8】

【0103】
実施例3:エポチロン類の後処理:500−リットル主培地からの分離:
実施例2Dの500−リットル主培地からの採取物の容量は450リットルであり、Westfalia製SA-20-06型除濁分離器(rpm=6500)を使用して液体相(遠心分離液+すすぎ洗い水=650リットル)と固体相(細胞=約15kg)に分離する。エポチロン類の主要部分は遠心分離液中に在る。遠心分離した細胞組織は15%以下の測定されたエポチロン部分を含有し、それ以上の処理はしない。それから、650リットルの遠心分離液を4000−リットル撹拌容器に入れ、10リットルのアンバーライトXAD16と混合し(遠心分離液:樹脂容量=65:1)、そしてかき混ぜる。約2時間の接触時間後、樹脂をHeineいつ流式遠心分離機(バスケット容量40リットル;rpm=2800)中で遠心分離する。樹脂を遠心分離機より取り出して10−15リットルの脱イオン水で洗浄する。脱着は、樹脂を各回30−リットルガラス撹拌容器中で小分けしたイソプロパノール30リットルで30分間、2回かき混ぜることで達成する。樹脂からソプロパノール相の分離は吸引ろ過器を使用して行う。次いで、このソプロパノールを、真空操作−循環式分離器(Schmid-Verdampfer)中で15−20リットルを添加することにより合併したソプロパノール相から取り除き、そして約10リットルの得られた水相を各回酢酸エチル10リットルを用い3回抽出する。抽出は30−リットルガラス撹拌容器中で行う。酢酸エチル抽出液は真空操作−循環式分離器(Schmid-Verdampfer)中で3−5リットルに濃縮し、その後、真空下に回転式蒸発器(Buechi型)中で濃縮乾固する。その結果、50.2gの酢酸エチル抽出物を得る。この酢酸エチル抽出物をメタノール500mlに溶解し、不溶部分を折りたたみ濾紙と使ってろ過除去し、そして溶液を10kgのSephdex LH 20カラム(Pharmasia, Uppsala、スウェーデン)(カラム直径20cm、充てんレベル約1.2m)に加える。溶出はメタノールを溶出液として行う。エポチロンA及びBは画分21−23(画分量を1リットルとして)に主として存在する。これらの画分を真空下に回転式蒸発器中で濃縮乾固(全重量9.0g)する。その後、このSephadexピーク画分(9.0g)を92mlのアセトニトリル:水:塩化メチレン(50:40:2)混液に溶解し、溶液は折りたたみ濾紙と通してろ過し、それからRPカラム(装置Prebar 200, Merck;2.0kg LiChrospher RP−18 Merck、粒子径12μm、カラム直径10cm、充てんレベル42cm;Merck, Darmstadt、ドイツ)に加える。溶出はアセトニトリル:水(3:7)混液で行う(流量=500ml/分;エポチロンAの保持時間=約51-59分;エポチロンBの保持時間=約60-69分)。分画は250nmにおけるUV検出器で追跡する。画分を真空下にBuechi-Rotavapor回転式蒸発器中で濃縮乾固する。エポチロンAピーク画分の重量は700mgであり、HPLC(外部標準法)によると、75.1%の含量を有する。エポチロンBピーク画分の重量は1980mgであり、HPLC(外部標準法)による含量は86.6%である。最後に、エポチロンA画分(700mg)を5mlの酢酸エチル:トルエン(2:3)混液から結晶化させ、170mgのエポチロンAの純粋な結晶[HPLC(面積パーセント法)による含量=94.3%]を得る。エポチロンB画分(1980mg)の結晶化を18mlのメタノールから行い、1440mgのエポチロンBの純粋な結晶[HPLC(面積パーセント法)による含量=99.2%]を得る。融点(エポチロンB):例えば124−125℃;エポチロンBのH−NMRデータ:500MHz−NMR、溶媒:DMSO-d6。化学シフトδ:TMSに対するppm。s=singlet;d=doublet;m=multiplet。
【0104】
【表9】

この実施例(実施例3)において、エポチロンBは結晶修飾Aで得られるが、これは修飾AのX−線回折図で特徴づけられる(本開示の一般部分を参照)。
【0105】
実施例4:エポチロンBの結晶修飾B
50mgのエポチロンB(例えば、上述のように得られた)をイソプロパノール1ml中に懸濁させ、25℃で24時間ふり混ぜる。生成物をろ取し、乾燥する。高度真空で乾燥後、エポチロンBを白色結晶形で得る。この生成物の結晶修飾は修飾BのX−線回折図で特徴づけられる(本開示の一般部分を参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種のエポチロンを含むエポチロン混合物を逆相カラムクトマトグラフィーを用いて当該エポチロンを分離するにあたり、溶離液として低級アルキルシアン化物を含む媒体を使用することを特徴とする分離法。
【請求項2】
エポチロン混合物がエポチロンAとBを含むものである、請求項1記載の分離法。

【公開番号】特開2010−99089(P2010−99089A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15022(P2010−15022)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【分割の表示】特願2004−287797(P2004−287797)の分割
【原出願日】平成11年2月17日(1999.2.17)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】