説明

細胞数計測方法、細胞数推移計測方法、細胞数計測装置および細胞数推移計測装置

【課題】細胞の剥離処理を行わずに細胞数を計測することを可能とする。
【解決手段】培養容器3内に存在する培養細胞の観察画像を取得し、取得された観察画像内において培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、算出された占有面積率と以下の関係式とから培養容器3内に存在する培養細胞の細胞数を算出する細胞数計測方法を提供する。
細胞数=exp(a×占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器3による係数、bは培養条件による係数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞数計測方法、細胞数推移計測方法、細胞数計測装置および細胞数推移計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体内から採取された細胞や採取後保存されていた細胞を培養して増殖させ、再生医療や薬効試験に応用する研究が進められている。
培養された細胞を再生医療や薬効試験に応用する場合、用途により特定の細胞数が必要になってくる。また、細胞の培養を進め、培養容器内の細胞数が増加し、細胞密度が高くなると、個々の細胞の増殖能力が低下し始める。そして、更に細胞密度が高くなると培養細胞は増殖できなくなり、死滅し始める。
【0003】
培養細胞の増殖能力を低下させずに培養を進めるためには、培養容器内の細胞に悪影響を与える密度に達する前に、培養容器の継代を行う必要がある。
培養細胞を新しい培養容器に継代する場合や培養を終了し細胞を回収する場合には、培養容器内の細胞に悪影響を与えない密度や細胞数であることを確認する必要があり、現状では顕微鏡等の観察手段を用いて、作業者が培養容器内の細胞の分布状態を観察し、継代時期を判断している。
【0004】
培養容器の継代や培養終了の判断は、培養容器内の細胞を顕微鏡で観察して行われる。このため、培養容器内の細胞数や増殖能力等は、判断する作業者の個人差に影響されることが多い。
【0005】
この問題点を解決するために、顕微鏡による観察画像を処理し評価する方法が提案され(例えば、特許文献1参照。)、顕微鏡による観察画像から細胞の増殖能を評価する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、細胞の培養容器への投影面積を用いて細胞の増殖能力を評価する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2002−214228号公報
【特許文献2】特開2004−344049号公報
【特許文献3】特開2003−21628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、現状では、細胞数の計測するためには、培養作業を終了してトリプシン処理等によって容器から細胞を剥離した後に、血球計測板やコールターカウンター等の計測方法を用いて計測する必要がある。このため、必要な細胞数に到達したかを確認することができるのは、培養を終了した後になるという不都合がある。また、培養細胞自体の個体差や作業者の個人差の影響により、必要な細胞数に到達していない場合でも、培養を継続して必要な細胞数に到達させることができないという不都合もある。
【0007】
特許文献1の方法では、培養容器内にある細胞の顕微鏡画像から細胞数を求めるが、培養している細胞の密度が高くなると、細胞どうしの重なりや細胞自体の大きさが小さくなる等、細胞の大きさや形状に著しい変化が発生する。
細胞数の計測にこの方法を用いた場合でも、細胞数の大きさや形状の変化により、細胞数の計測誤差が大きくなる問題点が残ってしまう。また、細胞の密度が高い部分が培養容器内で分布している場合には、細胞数の計測誤差が更に大きくなる問題点も残っている。
【0008】
特許文献3に開示されている方法は、細胞を回収後、再び培養容器に播種し、細胞が培養容器底面に接着し増殖を開始したかを細胞の底面への投影面積により判断するものである。培養の初期の細胞は大きさが略均一であり、この方法を用いることにより、投影面積から細胞数を計測することは可能である。しかし、細胞の増殖が進み、細胞の密度が増加し始めると、特許文献1に示される方法と同様に、細胞の大きさと形状の変化により、細胞数の計測誤差が大きくなってしまう問題点が残ったままであり、継代時期を判断する方法として用いるのは難しい。
【0009】
また、特許文献2に開示されている方法は、個々の細胞の培養容器底面への投影面積を求め、個々の細胞の投影面積が円であることを仮定して、円の半径の時間変化を算出して細胞の増殖能力を評価するものである。
この方法では、細胞の培養容器底面への投影形状が円形になることが前提になっている。播種された直後の細胞は略球形になると考えられるが、培養容器底面に接着し増殖が進むと、細胞は複雑な形状に変化し始める。このため、円形で近似することが難しくなる。また。細胞の複雑な形状を円形で近似し、細胞数を計測すると、円形への近似誤差が大きくなり、測定精度を低下させる。
【0010】
培養容器内の細胞の画像を取り込み、個々の細胞の形状に注目して画像処理を行い、細胞数を計測すると、個々の細胞が複雑な形状になることや、細胞の密度により形状や大きさが変化することにより、正確に細胞数を求めることが難しくなる。
【0011】
本発明は、以上のような問題点を解決し、培養中の細胞の画像から細胞数を計測する方法と計測装置を提供するものであり、細胞の剥離処理を行わずに細胞数を計測することが可能であり、細胞数の計測後に更に培養を継続させることが可能な細胞数計測方法、細胞数推移計測方法、細胞数計測装置および細胞数推移計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、培養容器内に存在する培養細胞の観察画像を取得し、取得された観察画像内において培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、算出された占有面積率と以下の関係式とから培養容器内に存在する培養細胞の細胞数を算出する細胞数計測方法を提供する。
細胞数=exp(a×占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【0013】
本発明の発明者は、先の出願(特願2004−030431)において細胞の位相分布を検出し、培養容器内で培養細胞が存在する部分を正確に抽出する方法を示した。この方法により、培養中の容器内にある培養細胞の存在部分を培養細胞の占有面積として抽出することができる。また、先の出願に示した方法を用いて、培養細胞の占有面積と細胞数との関係について計測実験を行い、得られた実験結果を解析した結果、細胞数と占有面積率の間に、
細胞数=exp(a×占有面積率+b) (1)
という指数関数の関係があることを確認した
【0014】
一般に、培養細胞が培養容器の底面を占有する面積と細胞数の間には比例関係があると考えられている。しかし、培養細胞は増殖が進み、その密度が高くなり始めると、隣接する培養細胞との十分な空間が確保できなくなり、培養細胞どうしに重なりが発生する。更に、増殖が進み密度が増加すると、培養細胞どうしは接触して培養細胞自体の大きさが小さくなり、培養細胞1個が占有する面積も小さくなる。培養容器内に存在する培養細胞の密度が低い場合には、培養細胞間に十分な空間が確保でき、培養細胞の占有面積と細胞数の間には比例関係が現れる。しかし、培養細胞の密度が高くなり始めると、培養細胞間の空間を確保できなくなり、培養細胞どうしの重なり合い等が発生し、培養細胞の占有面積と細胞数の間の比例関係が成り立たなくなる。
【0015】
培養容器内に存在する培養細胞の総数を培養細胞の観察画像を用いて計測する場合、個々の培養細胞に注目して画像処理を行うより、培養容器内の培養細胞全体の統計的な振る舞いに注目した処理を用いる方が測定精度を向上できる。我々は、この統計的な手法に注目して、占有面積率と細胞数の関係を実験的に求めた。
計測実験の結果、上記関係式(1)に示す関係を得た。
【0016】
したがって、観察範囲内に存在する培養細胞の占有面積率を求め、関係式(1)の関係を用いることで観察範囲内の細胞数を培養細胞の密度に影響されることなく求めることができる。ここで、関係式(1)中の係数a,bの値は、培養細胞の種類、培養容器の大きさおよび培養条件等を設定して、予め実験的に求めておけばよい。
【0017】
また、本発明は、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内において培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率と以下の関係式とから培養容器内に存在する培養細胞の細胞数を算出する細胞数計測方法を提供する。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【0018】
本発明によれば、培養容器内の複数の位置で培養細胞の占有面積率を計測し、その平均を求めることにより、培養容器内に存在する培養細胞の平均的な占有面積率を算出することができる。この細胞の平均占有面積率を用いて細胞数を算出することにより、培養容器内に存在する培養細胞の分布によって発生する計測誤差を低減することができる。
【0019】
上記発明においては、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法によって得られた培養細胞の観察画像から培養細胞の占有面積率を算出することとしてもよい。
培養容器内に存在する培養細胞は無色透明であり、上記のように構成することで、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用いて、培養細胞の占有面積率を正確に求めることができ、細胞数を計測する精度を向上させることができる。
【0020】
また、上記発明においては、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用いて培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分布から培養細胞の観察範囲内の占有面積率を算出することとしてもよい。
このようにすることで、培養細胞を観察する際の照明ムラ等の外乱要素を取り除くことができ、培養細胞の占有面積率をより正確に計測することが可能になる。
【0021】
また、上記発明においては、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用い、培養細胞の位相分布に対応した像強度分布が異なる複数の観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分布から培養細胞の占有面積率を算出することとしてもよい。
このようにすることで、培養細胞の位相分布をより正確に抽出でき、培養細胞の占有面積率の算出をより正確に行うことが可能になる。培養細胞の培養容器内での占有面積率を計測し、関係式(1)を用いることにより、培養中の培養細胞をトリプシンによる剥離処理を行わずに、細胞数を計測することが可能になる。細胞数を計測後、必要な細胞数に到達したか否かの判定を行い、培養を継続するかの判断を行うことができる。
【0022】
また、本発明は、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率に基づいて、特定の平均占有面積率に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測方法を提供する。
【0023】
本発明の発明者は、培養細胞の占有面積と細胞数との関係を実験的に求めると同時に、培養細胞の平均占有面積率が培養時間とともにどのように変化するかについても計測実験を行った。その結果、培養細胞の平均占有面積率が80%を超えない範囲では、平均占有面積率は培養時間に比例することを見出した。
そこで、本発明によれば、培養容器内に存在する培養細胞の平均占有面積率を計測し、計測結果と必要な細胞数に相当する占有面積率とを比較することにより、必要な占有面積率に到達するまでの培養時間を求めることができる。
【0024】
また、本発明は、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率と下式とに基づいて、特定の細胞数に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測方法を提供する。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b) (2)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【0025】
更に、関係式(2)に示す関係を用いて、平均占有面積率から細胞数を換算するとともに、培養細胞の平均占有面積率が80%を超えない範囲では、平均専有面積率が培養時間に比例するという関係を利用して、特定の細胞数に到達するまでに必要な培養時間をもとめることが可能になる。
【0026】
また、本発明は、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率と下式とに基づいて、特定の培養時間が経過した後の細胞数を算出する細胞数推移計測方法を提供する。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
このようにすることで、占有面積率を計測したときから、特定の培養時間後の細胞数を予測することも可能になる。
【0027】
また、本発明は、培養細胞の占有面積率の計測を複数回行い、特定の培養時間が経過した後の細胞数または培養細胞の占有面積率を算出する細胞数推移計測方法を提供する。
【0028】
種細胞を培養容器に播種してから、培養細胞が容器底面に接着し増殖を開始するまでの時間や、培養細胞の増殖能力により占有面積率と培養時間の間の比例係数に、培養細胞の個体差による変化が生じる。
この培養細胞の個体差によって生じる増殖開始時間と比例係数の影響を無くすために、培養の初期段階で複数回占有面積率の計測を行い、占有面積率の値を比較する。
【0029】
培養容器に播種された培養細胞は、容器底面に接着し細胞分裂を開始するまでの時間では培養容器底面を占有する面積は大きく変化しない。しかし、細胞分裂を開始した後は一定の割合で増殖していく。
よって、特定の時間間隔で複数回、培養細胞の占有面積率を計測し、その変化量を比較することで、培養細胞が増殖の準備段階にあるのか増殖状態にあるのかを判断することができる。また、増殖状態にあれば、占有面積率の変化率から占有面積率と培養時間の間の比例係数を算出することができる。
【0030】
したがって、本発明によれば、複数回の培養細胞の占有面積率の計測により、培養細胞の個体差の影響を無くすことができ、特定の培養時間が経過した後の占有面積率と細胞数を計算することが可能になる。
【0031】
また、本発明は、培養細胞の占有面積率の計測を複数回行い、特定の細胞数または細胞占の有面積率に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測方法を提供する。
同様にして、本発明によれば、複数回の培養細胞の占有面積率の計測により、培養細胞の個体差の影響を無くすことができ、特定の細胞数や占有面積率に到達するまでの培養時間を算出することができる。
【0032】
上記発明においては、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法によって得られた培養細胞の観察画像に基づいて、該観察画像内における培養細胞の占有面積率を算出することとしてもよい。
また、上記発明においては、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用いて培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分布に基づいて、培養細胞の占有面積率を算出することとしてもよい。
さらに、上記発明においては、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用い、培養細胞の位相分布に対応した像強度分布が異なる複数の観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、培養細胞の占有面積率を算出することとしてもよい。
【0033】
このようにすることで、培養細胞の占有面積率の計測精度を向上させることが可能になる。
以上に示す方法を用いることにより、培養細胞の剥離処理を行うことなく培養容器内の細胞数を計測することが可能になる。また、特定の培養時間を経過した後の細胞数や、必要な細胞数に到達するまでの培養時間を求めることも可能になる。
【0034】
また、本発明は、照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、該演算装置が、取得された観察画像内に存在する培養細胞の面積の比率を占有面積率として算出し、以下の関係式により培養細胞の細胞数を計測する細胞計測装置を提供する。
細胞数=exp(a×占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【0035】
本発明によれば、培養中の培養細胞の観察範囲での占有面積率を計測することにより、培養中にトリプシン処理等の細胞剥離作業を行わずに、観察範囲内に存在する培養細胞の総数を計測する装置を実現することができる。
【0036】
また、本発明は、照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率と以下の関係式とにより培養細胞の細胞数を計測する細胞計測装置を提供する。
細胞数=exp(a×平均の占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【0037】
本発明によれば、培養容器内の複数の位置で培養細胞の占有面積率を計測し、その平均の占有面積率を求めることによって、培養容器内の培養細胞の総数をトリプシン処理することなく計測することが可能な計測装置が実現できる。
【0038】
また、上記発明においては、照明光学系および観察光学系内に細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段を有し、観察画像内の培養細胞の占有面積率を算出することとしてもよい。
このようにすることで、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用いることにより、培養細胞が培養容器内で占有する面積率を正確に求めることができ、細胞数を計測する装置の精度を向上させることができる。
【0039】
また、上記発明においては、照明光学系および観察光学系内に細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段を有し、観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分布から培養細胞の占有面積率を算出することとしてもよい。
このようにすることで、培養細胞を観察する際の照明ムラ等の外乱要素を取り除くことができ、培養細胞の占有面積率をより正確に行うことができ、計測装置の精度をより向上させることが可能になる。
【0040】
また、上記発明においては、照明光学系および観察光学系内に細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段と、変換された像強度分布のコントラスト変化させる手段とを有し、コントラストが異なる複数の観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分布から培養細胞の占有面積率を算出することとしてもよい。
このようにすることで、コントラストが異なる複数の画像を用いて、培養細胞の位相分布を抽出することができ、培養細胞の位相分布がより正確に抽出できる。そして、培養細胞の占有面積率の算出をより正確に行うことができ、測定精度の向上が可能になる。
【0041】
また、本発明は、照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率に基づいて、特定の占有面積率に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測装置を提供する。
本発明によれば、必要な占有面積率に到達するまでの培養時間を求めることが可能な細胞数推移計測装置が実現できる。
【0042】
また、本発明は、照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率および以下の関係式に基づいて、特定の細胞数に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測装置を提供する。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b) (2)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【0043】
本発明によれば、算出した平均占有面積率と培養時間とが比例関係にあることと、細胞数と平均占有面積率に関係式(2)の関係があることを利用し、特定の細胞数に到達するまでの培養時間を算出することが可能な細胞数推移計測装置を実現できる。
【0044】
また、本発明は、照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、撮像された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率および以下の関係式に基づいて、特定の培養時間後の細胞数を算出する細胞数推移計測装置を提供する。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b) (2)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【0045】
本発明によれば、算出した平均占有面積率と培養時間とが比例関係にあることと、細胞数と平均占有面積率に関係式(2)の関係があることを利用し、特定の培養時間後到達する細胞数を算出することが可能な細胞数推移計測装置を実現できる。
【0046】
また、本発明は、照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出する工程を特定の時間間隔をあけて複数回行い、特定の培養時間が経過した後に培養容器内に存在する培養細胞の細胞数または培養細胞の占有面積率を算出する細胞数推移計測装置を提供する。
本発明によれば、特定の培養時間が経過した後に培養容器内存在する培養細胞の細胞数または培養細胞の占有面積率を算出することが可能な細胞数推移計測装置を実現できる。
【0047】
また、本発明は、照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の細胞の占有する面積の比率を専有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均の占有面積率を算出する工程を特定の時間間隔をあけて複数回行い、培養容器内に存在する培養細胞が特定の細胞数または細胞の占有面積率に到達するまでに必要な培養時間を算出する細胞数推移計測装置を提供する。
本発明によれば、培養容器内に存在する培養細胞が特定の細胞数または培養細胞の占有面積率に到達するまでに必要な培養時間を算出することが可能な細胞数推移計測装置を実現できる。
【0048】
上記発明においては、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段によって得られた培養細胞の観察画像から培養細胞の観察範囲内の占有面積率を算出することとしてもよい。
このようにすることで、細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用いることにより、培養細胞が培養容器内で占有する面積率を正確に求めることができ、細胞数の推移を計測する装置の精度を向上させることができる。
【0049】
また、上記発明においては、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段を用いて培養細胞の位相分布を抽出し、抽出した位相分布に基づいて培養細胞の観察範囲内の占有面積率を算出することとしてもよい。
このようにすることで、培養細胞を観察する際の照明ムラ等の外乱要素を取り除くことができ、培養細胞の占有面積率をより正確に行うことができ、細胞数推移を計測する装置の精度をより向上させることが可能になる。
【0050】
また、上記発明においては、培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段を用い、培養細胞の位相分布に対応した像強度分布が異なる複数の観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、抽出した位相分布に基づいて細胞の観察範囲内の占有面積率を算出することとしてもよい。
このようにすることで、培養細胞の位相分布をより正確に抽出できる。そして、培養細胞の占有面積率の算出をより正確に行うことができ、細胞数推移を計測する装置の精度の向上が可能になる。
【発明の効果】
【0051】
培養細胞の剥離処理を行わずに細胞数を計測することができ、培養細胞の細胞数の計測後に更に培養を継続させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本発明の一実施形態に係る細胞数計測方法、細胞数推移計測方法、細胞数計測装置および細胞数推移計測装置について、図1〜図7を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る細胞数計測装置(細胞数推移計測装置)1は、図1に示されるように、培養細胞を観察する装置として、倒立顕微鏡(観察光学系)2を用いている。これにより、培養容器3ごと培養中の培養細胞を観察することができるようになっている。
【0053】
倒立顕微鏡2は、顕微鏡コントローラ4および電動ステージコントローラ5のようなコントロールボックスを介してコンピュータ(PC:演算装置)6に接続され、照明光の強度、倍率、焦点位置の調整をPC6から行えるようになっている。倒立顕微鏡2にはCCDカメラ7が取り付けられている。CCDカメラ7は、PC6に接続され、培養細胞の観察画像をPC6に取り込むことやPC6のモニタ8に表示することが可能になっている。倒立顕微鏡2のステージ(観察位置移動装置)9は電動化され、PC6によって制御可能になっている。これにより、PC6の制御で培養容器3の任意の位置で観察することができるようになっている。図1中、符号10は照明光学系である。
【0054】
PC6は、倒立顕微鏡2を制御して、ステージ9を駆動することにより、予めプログラムされた観察位置に培養容器3を移動させ、所望の観察位置で培養容器3内の培養細胞の観察および観察画像の取得を行うことができるようになっている。
PC6は、所望の観察位置に培養容器3を位置決めし、倒立顕微鏡2を制御して、(例えば、先願2004−030431の方法により)焦点位置を前後に変化させた2つの観察画像を取得させ、取得された2つの観察画像の差を演算することにより、培養容器3内の培養細胞の位相分布を抽出するようになっている。また、PC6は抽出された位相分布に基づいて、培養細胞の存在する部分と存在しない部分とを2値化して区別し、観察範囲内の培養細胞の占有面積率を演算するようになっている。
【0055】
特に、PC6に培養容器3内で培養細胞の占有面積率を計測する位置をプログラミングすることにより、培養容器3内の複数の位置で観察画像を取り込み、演算処理を行い、培養細胞の存在部分を抽出した2値化画像を形成し、複数の位置における培養細胞の占有面積率を算出する。そして、算出された複数の位置での占有面積率を平均することにより、培養容器3内の培養細胞の平均占有面積率を求めることができる。
【0056】
次に、培養細胞の平均占有面積率と、細胞数との関係を示す。
約5400mmの底面積を有する複数の培養容器3に同数の間葉系幹細胞(MSC)を播種し、同一培養装置(図示略)内で同一条件のもとで培養を行い、培養日数が経過するごとに培養容器3を培養装置から取り出す。そして、図1に示す倒立顕微鏡2で培養容器3内に存在する培養細胞の平均占有面積率を計測し、計測した培養容器3内の培養細胞をトリプシン処理して剥離し、従来方法である血球計測板を用いて細胞数の計測を行った。
【0057】
その結果、培養細胞の占有面積率と細胞数との間には、図2に示すグラフの関係があり、細胞数の常用対数を取ると図3に示すグラフのように比例関係が現れた。
同様の実験を、ヒーラ(HeLa)細胞およびNIH−3T3細胞について行い、図4および図5の結果を得た。
【0058】
以上から、培養容器3内に存在する培養細胞の平均占有面積率と細胞数との間には、
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b) (2)
の関係があることが確認できた。
【0059】
そこで、培養細胞および培養容器3の種類ごとに予備実験を行い、計数a,bを予め求めて、PCに記憶しておくことにより、平均占有面積率を計測することで、培養容器3内に存在する培養細胞をトリプシン処理等により剥離しなくても、細胞数を計測することができる。
細胞数と平均占有面積率の間の関係を関係式(2)で記述したが、これは細胞数と平均占有面積率との間に指数関数の関係があることを示したものであり、exp関数に限定するものではない。図3〜図5に示す結果は常用対数を用いて示したように、常用対数を用いても自然対数を用いても同様に細胞数と平均占有面積率との間に比例関係が得られる。
【0060】
図3〜図5の結果は、常用対数を自然対数に変換することにより、関係式(2)に一意的に変換することが可能である。また、関係式(2)を10の階乗等にも一意的に変換可能である。
【0061】
また、本実施形態に係る細胞数推移計測装置1は、前記PC6が、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率に基づいて、特定の占有面積率に到達するまでの培養時間、あるいは、特定の培養時間が経過した後の細胞数または培養細胞の占有面積率を算出するようになっている。
【0062】
MSCについて、培養日数と平均占有面積率の関係をグラフ化すると図6に示すようになる。この結果から、平均占有面積率が約80%以下の場合は、平均占有面積率が培養日数に比例して変化すると仮定できる。
【0063】
本実施形態においては、この特性を利用することにより、平均占有面積率を計測し、その後特定の平均占有面積率に到達するまでの培養時間、または平均占有面積率を計測後特定の培養時間が経過したときの平均占有面積率を求めることができる。
そして、関係式(2)から、平均占有面積率を細胞数に変換することができ、特定の細胞数に到達するまでの培養時間等を求めることができる。
【0064】
また、図7には、培養細胞の増殖能力が異なる2種類のMSCについて、培養日数と平均占有面積率との関係が示されている。平均占有面積率と培養日数との関係が、それぞれ2つの直線で与えられる。これは、培養細胞の個体差による増殖能力の差をあらわしている。
【0065】
したがって、特定の時間間隔で平均占有面積率を計測することにより、平均占有面積率と培養時間との間の比例係数を求めることが可能であり、特定の培養時間が経過した後の細胞数や、必要な細胞数に到達するまでの培養時間等を求めることができる。
さらに、培養細胞が培養容器3底面に接着後、増殖を開始するまでの時間を求めることもでき、増殖能力の低い培養細胞に対し培養工程の変更等を行うこともできる。
以上から、培養する細胞の個体差の影響を考慮して、特定の細胞数や占有面積率に到達するまでの時間、特定の培養時間後の細胞数を求めることができる。
【0066】
培養細胞について、該培養細胞の個体差を考慮して平均占有面積率と培養日数との間の比例係数を求め、その培養細胞と同種の培養細胞によって予め求めておいた細胞数と平均占有面積率との間の指数関数を利用することにより、図8に示すような培養日数と細胞数との関係を求めることができ、培養細胞の培養時間による細胞数の推移を推定することが可能であり、この推移曲線を利用して、培養の自動化の工程をプログラミングすることができる。
【0067】
また、培養を進める中で、この培養曲線との乖離を求めることにより、培養細胞の異常等を検出することも可能になる。
培養中の培養細胞の平均占有面積率を求めることにより、トリプシン処理等の細胞剥離工程を行わなくても細胞数を計測することが可能になることを示した。
【0068】
なお、上記説明では、培養細胞を観察する際の焦点位置を前後に移動させて画像を取り込み、演算する手法を用いているが、平均占有面積率を求める方法はこの手法に限定されるものではない。また、平均占有面積率を用いることなく、培養容器3内の培養細胞の全体的な観察画像を取得することにより、培養細胞の占有面積率を用いることにしてもよい。
従来の位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡を用いて培養細胞を観察し、観察画像を画像処理し培養細胞の平均占有面積率を求めることにより、同様にトリプシン処理を行わずに細胞数を計測することが可能である。
【0069】
位相差顕微鏡および微分干渉顕微鏡を用いる場合には、特開平9−179029および特開平9−15504に示すように、像コントラストが反転する2つの画像を演算することにより、細胞の位相分布が抽出でき、より正確に細胞の占有面積率を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る細胞数計測装置を示す全体構成図である。
【図2】間葉系幹細胞の細胞数と占有面積率との関係を示すグラフである。
【図3】細胞数を対数表示した2種類の間葉系幹細胞の占有面積率と細胞数との関係を示す図2と同様のグラフである。
【図4】ヒーラの細胞数と占有面積率との関係を示す図3と同様のグラフである。
【図5】NIH−3T3の細胞数と占有面積率との関係を示す図3と同様のグラフである。
【図6】間葉系幹細胞の培養日数と占有面積率との関係を示すグラフである。
【図7】異なる2種類の間葉系幹細胞の占有面積率と細胞数との関係を示す図6と同様のグラフである。
【図8】細胞数と培養日数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0071】
1 細胞数計測装置(細胞数推移計測装置)
2 倒立顕微鏡(観察光学系)
3 培養容器
6 PC(演算装置)
7 CCDカメラ(撮像素子)
9 ステージ(観察位置移動装置)
10 照明光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養容器内に存在する培養細胞の観察画像を取得し、取得された観察画像内において培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、算出された占有面積率と以下の関係式とから培養容器内に存在する培養細胞の細胞数を算出する細胞数計測方法。
細胞数=exp(a×占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【請求項2】
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内において培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率と以下の関係式とから培養容器内に存在する培養細胞の細胞数を算出する細胞数計測方法。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【請求項3】
培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法によって得られた培養細胞の観察画像から培養細胞の占有面積率を算出する請求項1または請求項2に記載の細胞数計測方法。
【請求項4】
培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用いて培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分布から培養細胞の観察範囲内の占有面積率を算出する請求項1または請求項2に記載の細胞数計測方法。
【請求項5】
培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用い、培養細胞の位相分布に対応した像強度分布が異なる複数の観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分布から培養細胞の占有面積率を算出する請求項1または請求項2に記載の細胞数計測方法。
【請求項6】
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率に基づいて、特定の平均占有面積率に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測方法。
【請求項7】
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率と下式とに基づいて、特定の細胞数に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測方法。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【請求項8】
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率と下式とに基づいて、特定の培養時間が経過した後の細胞数を算出する細胞数推移計測方法。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【請求項9】
培養細胞の占有面積率の計測を複数回行い、特定の培養時間が経過した後の細胞数または培養細胞の占有面積率を算出する細胞数推移計測方法。
【請求項10】
培養細胞の占有面積率の計測を複数回行い、特定の細胞数または細胞占の有面積率に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測方法。
【請求項11】
培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法によって得られた培養細胞の観察画像に基づいて、該観察画像内における培養細胞の占有面積率を算出する請求項6から請求項10のいずれかに記載の細胞数推移計測方法。
【請求項12】
培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用いて培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分布に基づいて、培養細胞の占有面積率を算出する請求項6から請求項10のいずれかに記載の細胞数推移計測方法。
【請求項13】
培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察法を用い、培養細胞の位相分布に対応した像強度分布が異なる複数の観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、培養細胞の占有面積率を算出する請求項6から請求項10のいずれかに記載の細胞数推移計測方法。
【請求項14】
照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、
該演算装置が、取得された観察画像内に存在する培養細胞の面積の比率を占有面積率として算出し、以下の関係式により培養細胞の細胞数を計測する細胞計測装置。
細胞数=exp(a×占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【請求項15】
照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率と以下の関係式とにより培養細胞の細胞数を計測する細胞計測装置。
細胞数=exp(a×平均の占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【請求項16】
照明光学系および観察光学系内に細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段を有し、観察画像内の培養細胞の占有面積率を算出する請求項14または請求項15に記載の細胞数計測装置。
【請求項17】
照明光学系および観察光学系内に細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段を有し、観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分布から培養細胞の占有面積率を算出する請求項14または請求項15に記載の細胞数計測装置。
【請求項18】
照明光学系および観察光学系内に細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段と、変換された像強度分布のコントラスト変化させる手段とを有し、コントラストが異なる複数の観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、抽出された位相分から培養細胞の占有面積率を算出する請求項14または請求項15に記載の細胞数計測装置。
【請求項19】
照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率に基づいて、特定の占有面積率に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測装置。
【請求項20】
照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率および以下の関係式に基づいて、特定の細胞数に到達するまでの培養時間を算出する細胞数推移計測装置。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【請求項21】
照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、撮像された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出し、算出された平均占有面積率および以下の関係式に基づいて、特定の培養時間後の細胞数を算出する細胞数推移計測装置。
細胞数=exp(a×平均占有面積率+b)
ここで、aは培養細胞の種類および培養容器による係数、bは培養条件による係数である。
【請求項22】
照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の培養細胞の占有する面積の比率を占有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均占有面積率を算出する工程を特定の時間間隔をあけて複数回行い、特定の培養時間が経過した後に培養容器内に存在する培養細胞の細胞数または培養細胞の占有面積率を算出する細胞数推移計測装置。
【請求項23】
照明光学系と、培養容器内に存在する培養細胞を観察する観察光学系と、該観察光学系により形成される培養細胞の観察画像を取得する撮像素子と、培養容器内の任意の位置で培養細胞の観察を可能にする観察位置移動装置と、取得された観察画像を演算処理する演算装置とを有し、
培養容器内の複数の位置で培養細胞の観察画像を取得し、取得された各観察画像内の細胞の占有する面積の比率を専有面積率として算出し、各位置での培養細胞の占有面積率の平均の占有面積率を算出する工程を特定の時間間隔をあけて複数回行い、培養容器内に存在する培養細胞が特定の細胞数または細胞の占有面積率に到達するまでに必要な培養時間を算出する細胞数推移計測装置。
【請求項24】
培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段によって得られた培養細胞の観察画像から培養細胞の観察範囲内の占有面積率を算出する請求項19から請求項23のいずれかに記載の細胞数推移計測装置。
【請求項25】
培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段を用いて培養細胞の位相分布を抽出し、抽出した位相分布に基づいて培養細胞の観察範囲内の占有面積率を算出する請求項19から請求項23のいずれかに記載の細胞数推移計測装置。
【請求項26】
培養細胞の位相分布を像強度分布に変換する観察手段を用い、培養細胞の位相分布に対応した像強度分布が異なる複数の観察画像から培養細胞の位相分布を抽出し、抽出した位相分布に基づいて細胞の観察範囲内の占有面積率を算出する請求項19から請求項23のいずれかに記載の細胞数推移計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−124913(P2007−124913A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318157(P2005−318157)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】