説明

細胞表面の前立腺特異的膜抗原に対するモノクローナル抗体および単鎖抗体フラグメント

【課題】腫瘍細胞と健常な細胞とPSMAネガティブ細胞との間を、より高い信頼性で区別する、より優れた手段および構築物により、PSMA(前立腺特異的膜抗原)を発現する特定の前立腺癌細胞を破壊する構築物を提供する。
【解決手段】腫瘍細胞表面上に存在するネイティブ形態の前立腺特異的膜抗原に結合する単離したモノクローナル抗体またはその結合部分。標識または細胞傷害性薬物に連結される、前記単離したモノクローナル抗体またはその結合部分。二価特異的抗体もしくは組換えダイアボディの一部として構築される、前記単離したモノクローナル抗体またはその結合部分。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
前立腺癌は男性において最も一般的に診断される癌であり、西洋人において最も一般的な死因の2番目である。現在、切除可能限界を超える進行後は、この腫瘍に対する完治性の処置は存在しない。疾患の進行に関連する重大な死因および罹患率のため、新規の標的型処置に対する火急の必要性が存在する。他の器官系における癌とは対照的に、前立腺癌は多くの理由のため、抗体治療法にとっての重要な標的を示す。その理由としては、i)前立腺は組織特異的抗原を発現すること、ii)前立腺は非必須器官であり、その破壊は宿主に危害を与えないこと、iii)転位部位が、高レベルの循環中の抗体を受け取るリンパ節および骨であること、およびiv)PSA血清レベルが治療応答をモニタリングする手段を提供することが、挙げられる。
【0002】
前立腺癌に関して同定されたいくつかの候補マーカーの中で、前立腺特異的膜抗原(PSMA)は最も優勢であるようである。約100kDのこのII型膜貫通型糖タンパク質は、短い細胞内セグメント(アミノ酸1〜18)、膜貫通ドメイン(アミノ酸19〜43)、および長い細胞外ドメイン(アミノ酸44〜750)からなる。PSMAは免疫治療の有用な標的として役立ち得る。なぜなら、このPSMAは以下の要件を満たすからである:i)発現が主として前立腺に限定される、ii)PSMAは疾患の全ての段階においてタンパク質として十二分に発現される、iii)これは細胞膜表面に提示されるが、循環中には入れられない、iv)発現が酵素活性またはシグナル伝達活性と関連する。PSMAはまた、大部分の他の固形腫瘍の新生脈管構造(neovasculature)においても発現され、これによって特異的な抗脈管形成薬物の送達のための標的となり得る。
【0003】
標的に指向される特異性(target−oriented specificity)のため、癌薬剤での診断利用および治療利用のためのモノクローナル抗体(mAb)の開発に重要性が多く置かれている。しかしながら、mAbのインビボ使用は、それらのサイズおよび免疫原性のため、重要な問題と関係する。従って研究は、より少ない副作用、より良好な腫瘍アクセス能およびより迅速なクリアランス速度を有する、より小さな治療抗体の開発に集中している。遺伝子工学は、癌治療に対する潜在的に強力なツールである単鎖抗体フラグメント(scFv)を構築するのを可能にした。これらの小抗体は、リンカーペプチドにより連結された軽鎖(VL)可変ドメインおよび重鎖(VH)可変ドメインからなる。これら小抗体は、ほとんど免疫原性を示さず、ほぼ無毒性の効果、クリアランス速度の増加、腫瘍による取り込みの改善、および腫瘍細胞内へのより良好な浸透性を示す。組換えマウスscFvは、ハイブリドーマ由来の発現ライブラリーまたは特に免疫したマウスの脾臓細胞由来の発現ライブラリーのいずれかを使用する標準的な方法に従って確立され得る(Chowdhuryら, Mol. Immunol. 4 (1997), p. 9−20:非特許文献1)。
【0004】
最初に公開された、PSMA標的に対するmAb(7E11−C5)は、タンパク質の細胞内ドメインを標的化し、そして高度に前立腺特異的であると示された(Horoszewiczら, Anticancer Res. 7 (1987), p. 927−935:非特許文献2)。また、PSMA細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体は、抗原による免疫後に惹起された。しかしながら、一方で固定された細胞上および組織学的切片上の抗原に結合することと、他方で生存する腫瘍細胞に結合することとの間には、依然として不一致が存在する。
【0005】
前立腺特異的膜抗原(PSMA)は前立腺のマーカーであり、これは通常の前立腺においても前立腺癌においても同じくらい良好に高発現される。この発現は、前立腺癌において上昇され、そして前立腺において主に見出される。
【0006】
前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、固有の膜結合型細胞タンパク質であり、前立腺癌において、そして他の多くの固形腫瘍の新生脈管構造において数倍に過剰発現されるが、正常組織の脈管構造においては過剰発現されない。PSMAの固有の発現により、このPSMAは、重要なマーカーおよび画像作成薬剤(造影剤;imaging agents)の大規模な細胞外標的とされる。
【0007】
PSMAは、細胞毒または放射性核種などの治療剤の送達のための標的として役立ち得る。PSMAは2つの固有の酵素機能(葉酸加水分解酵素およびNAALADase)を有し、そしてクラスリン被覆されたピットを介して他の膜結合型レセプターと同様に再利用されることが見出される。
【0008】
抗PSMAモノクローナル抗体(mAb)(7E11)の放射線免疫結合体形態は、「ProstaScint(登録商標)」として市販され、これは通常、前立腺癌の転位および再発を診断するために使用されている。モノクローナル抗体7E11−C5.3によって認識されるPSMAエピトープは、前立腺特異的膜抗原の細胞内ドメインに位置付けられる。
【0009】
しかしながら、非前立腺組織(腎臓、肝臓および脳が挙げられる)におけるPSMAの発現を説明する報告も存在する。従って、可能性ある説明は、O'Keefeら、Prostate, 2004, 2月1日号 ; 58 (2) 200−10(非特許文献3)により提供される。すなわち、ヌクレオチドレベルでPSMA遺伝子と98%の同一性を有するPSMA様遺伝子が存在し、これはPSMA遺伝子とは異なるプロモーター制御下で腎臓および肝臓に発現される。
【0010】
WO 01/009192(特許文献1)は、前立腺特異的膜抗原に対するヒトモノクローナル抗体の開発を記載する。ヒト抗PSMAモノクローナル抗体は、精製PSMAまたはPSMA抗原の富化調製物をマウスに免疫することによって調製された。このような精製抗原は、変性PSMAである。なぜなら、イオン性界面活性剤を用いた細胞の溶解後に免疫吸着によって精製されているからである。
【0011】
WO 97/35616(特許文献2)は、前立腺特異的膜抗原の細胞外ドメインに特異的なモノクローナル抗体を記載する。免疫は、C末端ペプチドまたはPSMA発現腫瘍膜調製物を用いて実施された。mAbはPSMA発現細胞には特異的に結合せず、このため診断目的にも治療目的にも使用できない。
【0012】
Banderら、Seminars in Oncology, 2003, pp 667−677(非特許文献4)およびUS 2004/0213791(特許文献3)はそれぞれ、前立腺特異的膜抗原に対するモノクローナル抗体を開示する。精製した抗原を用いて免疫を実施したので、これらのモノクローナル抗体は高度な細胞結合性を有さず、そしてこれらのmAbのいずれからもscFvを得ることができなかった。
【0013】
WO 98/03873(特許文献4)は、US 2004/0213791(特許文献3)と同じ抗体、または前立腺特異的膜高原の細胞外ドメインを認識するその抗体の結合部分を記載する。これらの抗体の結合部分が実際に抗原に結合することを示すことができなかった。
【0014】
Fracassoら, The Prostate, 2002, pp 9−23(非特許文献5)は、レシチンA鎖に化学結合した抗PSMAモノクローナル抗体を記載する。この論文に記載された構築物は、標的には特異的に結合せず、免疫毒素の生成という一般的に記載される欠点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第01/009192号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/35616号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0213791号明細書
【特許文献4】国際公開第98/03873号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Chowdhuryら, Mol. Immunol. 4 (1997), p. 9−20
【非特許文献2】Horoszewiczら, Anticancer Res. 7 (1987), p. 927−935
【非特許文献3】O'Keefeら、Prostate, 2004, February 1; 58 (2) 200−10
【非特許文献4】Banderら、Seminars in Oncology, 2003, pp 667−677
【非特許文献5】Fracassoら, The Prostate, 2002, pp 9−23
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の1つの目的は、腫瘍細胞と健常な細胞(これは実際にPSMAまたは類似のタンパク質を発現する)とPSMAネガティブ細胞との間を、より高い信頼性で区別するのを助ける、より優れた手段および構築物を提供することである。このような構築物を使用して、より特異的に前立腺癌を標的化し得る。
【0018】
本発明の別の目的は、PSMAを発現する特定の前立腺癌細胞を破壊する構築物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、前立腺癌の免疫治療法にとって魅力的な標的である。しかしながら、前立腺細胞上では、PSMAは特異的な三次元および四次元の構造で発現され、そして単離され変性されたPSMAを用いて惹起した抗体はPSMA発現腫瘍細胞を効果的には認識しない。変性PSMAに結合する抗体およびscFvは、単離され精製した抗原を用いた免疫の後に得ることができる。しかしながら本発明は、僅かな収量のみのポジティブクローンを生じる異なる免疫方法によって、ネイティブな細胞性PSMAに対して高親和性の抗体およびscFvの作製を可能にする。ネイティブなPSMAにより惹起した後者抗体のみが細胞表面のPSMAと反応でき、そしてこれは診断ツールおよび治療ツールとして使用できる。
【0020】
本発明のモノクローナル抗体(mAb)、単鎖抗体フラグメント(scFv)およびダイアボディ(二価抗体;diabody)を、マウス脾臓細胞から従来の方法に従って調製した。何らかの方法で、全長のネイティブPSMAを含むLNCap細胞およびLNCaP細胞溶解物を用いてマウスを免疫しておいた。本発明の好ましい実施形態において、抗原、いわゆる全長のネイティブPSMAを、細胞の処理後、好ましくはM−PERと呼称する特別の溶解バッファー(Pierce(Roquefort, Illinois)から市販される哺乳動物タンパク質抽出試薬)を用いたLNCaP細胞の処理後に取得した。このM−PERバッファーは、25 mMのビシン緩衝液(bicine buffer)(pH 7.6)中に専有する界面活性剤を使用する。ハイブリドーマおよびscFvを、スクリーニングし、そしてPSMAネガティブなDU145前立腺細胞を用いた吸着後、PSMAポジティブなLNCaP細胞におけるフローサイトメトリーによって選択した。さらに、これらハイブリドーマおよびscFvを精製PSMAとの反応性について試験した。LNCaPおよびPSMAをトランスフェクトしたDU−145におけるフローサイトメトリーによって、そして精製したグリコシル化PSMAおよび非グリコシル化PSMAを用いたウエスタンブロットによって、得られたモノクローナル抗体およびscFvを特徴付けた。さらに、LNCaP細胞を用いた免疫細胞学および前立腺癌サンプルのパラフィン切片における免疫組織化学を準備した。
【0021】
本発明の過程において、3種のmAb(3/F11、3/A12および3/E7)を取得できた。これらは生存するLNCaP細胞およびPSMAをトランスフェクトした生存するDU−145細胞と反応性であったが、PSMAを発現しない他の細胞株とは反応性でなかった。LNCaP細胞への結合は非常に強力であった。飽和濃度(100 nM)において、平均のPE蛍光強度(MFI)は1000〜1600の間であった。精製PSMAとの反応性は、変性かつ非グリコシル化タンパク質との反応性(ウエスタンブロット)よりも、ネイティブ形態との反応性(ELISA)がより強力であった。パラフィン切片における免疫組織化学は、mAb E7を用いると上皮細胞に対して特異的にポジティブであった。
【0022】
mAb 3/A12由来の2種のscFv(E8およびA5と呼称する)を、LNCaP細胞および精製PSMAにおける組換えファージの選択によって取得した。scFv E8の配列は、同じマウスのB細胞ライブラリーから取得したscFv A4と同一であった。scFv E8はLNCaP細胞と反応性が強く、飽和濃度において約100のMFIを示した。一方、scFv A5のMFIは同じ濃度において約40のみであった。PSMAの発現を欠く他の細胞株とは、結合は全く認められなかったかまたは最小限認められた。精製した変性グリコシル化PSMAおよび非グリコシル化PSMAへの両scFvの結合は弱かった。さらに、mAb 3/F11由来のscFv(D7と呼称される)およびmAb 3/E7由来のscFv(H12と呼称される)を取得した。
【0023】
本発明において、本発明者らは3種のmAbを記載し、これらはPSMA発現前立腺細胞の高度な結合親和性および高度な染色に関して、他の著者らにより公開されたものと異なっている。抗体3/F11、3/A12および3/E7は、強力な結合活性だけでなく、免疫蛍光細胞学および共焦点レーザー走査顕微鏡を用いた検出により示される場合、LNCaP細胞中への内在化も示す。これらのmAbを、全長のネイティブPSMAを用いた免疫処置(immunisation)の後に得ることができる。この処置は、別の公開された免疫処置方法とは対照的である。
【0024】
精製した変性PSMAを用いた免疫処置後、抗原に高度に特異的なmAbを取得したが、PSMA発現LNCaP細胞へは結合が制限されるにとどまり、また細胞内に内在化されなかった。これらのコントロールデータは本出願には示されない。数個の抗PSMA mAbが文献に記載される。しかしながら、それらの平均の蛍光強度値は、本発明の抗体が有する値よりもずっと低い。
【0025】
mAbと同様に、変性PSMAおよびネイティブPSMAを用いた免疫処置後に抗PSMA scFvを調製した。変性PSMAを用いて、本発明者らは抗原に高度に特異的だがLNCaPには結合しないscFvを取得した(本出願ではデータは示されない)。対象的に、ネイティブPSMAを用いて、本発明者らは高度な細胞結合活性を有するが、単離した変性抗原には結合性が乏しいscFvを取得した。
【0026】
しかしながら、化学結合した免疫毒素を用いてのこの試験および他の試験において確認した問題は、免疫毒素、肝臓毒性および血管漏出症候群(vascular leak syndrome)に対する抗体の開発であり、そしてまた多量の規定物質を生産するの困難さである。これらの問題は、少なくとも部分的に、より少ない免疫原性および可能性あるより小さな免疫毒素の構築物を作製し、そして多量の免疫毒素生産をより容易にさせる、組換えDNA技術を使用して克服される。また、腫瘍内への浸透は大きな結合体よりも小さなタンパク質に関してより良好であるはずであるとも考えられる。従って、組換え免疫毒素を、scFv E8、scFv H12、scFv D7およびscFv A5のコード配列と毒素PE40とを融合することによって操作した。中心となる発見は、全ての組換え毒素が培養した前立腺癌細胞を用量依存的様式で効果的に殺傷することであった。強力な殺傷は、約0.05nMのIC50を有する高結合性のE8融合タンパク質を用いた場合だけでなく、0.09nMのIC50を有するより低結合性のA5融合タンパク質を用いた場合でも見出された。PSMA非発現前立腺癌細胞の殺傷は、2000分の1未満であった。このことは、免疫毒素調製物における残りの細菌性タンパク質または他の毒性物質まで遡ることができる。なぜなら、scFv単独を用いる場合に等しい高濃度において同じ背景が観察できるからである。用語IC50は、毒素を加えない場合の細胞増殖の50%までに細胞増殖を低減する毒素のnM濃度として定義される。
【0027】
本出願に記載される抗体およびscFvはネイティブの細胞表面のPSMAに特異的に結合し、これによって前立腺癌に対する標的抗原としてPSMAに焦点を定める診断利用および治療利用において、価値を有する。
【0028】
PSMAは特定の三次元かつ四次元の構造にて前立腺癌細胞上に発現されるので、この細胞性構造に対する抗体のみが生存する前立腺癌細胞およびPSMA発現組織を認識し得、そしてこれに強力に結合し得る。従って、本研究の狙いは、前立腺癌の治療標的または診断標的のために使用され得るmAbおよびscFvを調製することである。従って、本発明は、標識または細胞傷害性薬物に連結される、腫瘍細胞表面上に存在するネイティブ形態の前立腺特異的膜抗原に結合する、単離された抗体モノクローナル抗体またはその抗原結合部位を提供する。
【0029】
(1)a)腫瘍細胞の表面上に存在するネイティブ形態の前立腺特異的膜抗原に結合し、
b)腫瘍細胞によって内在化でき、
c)LNCAP細胞には強力に結合するが、前立腺膜特異的抗原の発現を欠く細胞には結合しないかごくわずかにのみ結合し、そして
d)標識または細胞傷害性薬物と連結されることを特徴とする、
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(2)前記モノクローナル抗体(mAb)のPE蛍光強度(MFI)が抗原飽和において1000より高く、かつscFvのPE蛍光強度が抗原飽和において40より高いことを特徴とする、上記(1)に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(3)1nM〜120nMの間の濃度でPSMA部位のうち50%飽和に達するLNCAP細胞に対する高結合活性を示す、上記(1)または(2)に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(4)前記標識が放射線または蛍光線を放射する粒子であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(5)前記細胞傷害性薬物が、毒素からなる群、特にタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミスラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、および/またはピューロマイシンからなる群より選択される細胞毒性物質であることを特徴とする、上記(1)〜(4)に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(6)配列番号:1のうちの少なくとも10個の連続アミノ酸の部分アミノ酸配列を含むことを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(7)配列番号:2〜配列番号:7のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、上記(6)に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(8)配列番号:10のうちの少なくとも10個の連続アミノ酸の部分アミノ酸配列を含むことを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(9)配列番号11〜配列番号16のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、上記(8)に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(10)配列番号:20のうちの少なくとも10個の連続アミノ酸の部分アミノ酸配列を含むことを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(11)配列番号:20のうちの少なくとも25個の連続アミノ酸の部分アミノ酸配列を含むことを特徴とする、上記(10)に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(12)配列番号:22の少なくとも10個の連続アミノ酸の部分アミノ酸配列を含むことを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(13)配列番号:22の少なくとも25個の連続アミノ酸を含むことを特徴とする、上記(12)に記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
(14)上記(1)〜(13)のいずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を含む、医薬組成物。
(15)癌の処置のための医薬調製のための、上記(1)〜(13)いずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分の使用。
(16)上記(1)〜(13)のいずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を含む、腫瘍細胞検出のための診断キット。
(17)上記(1)〜(13)のいずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分と、識別されるべき腫瘍細胞とが接触されることを特徴とする、腫瘍細胞のインビトロ識別のための方法。
(18)腫瘍細胞の診断識別のための、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分の使用。
(18)配列番号:8、9、17、18、19、21、23および24からなる群のいずれかの配列のうちの少なくとも20ヌクレオチドの連続配列を含むことを特徴とする、単離されたポリヌクレオチド。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1−1】図1:PSMA発現LNCaP細胞の表面に結合するmAb 3/F11、3/A12および3/E7の飽和濃度におけるFACS分析。
【図1−2】図1a−c:mAb 3/F11(a)、mAb 3/A12(b)、mAb 3/E7(c)の抗原飽和曲線。
【図2】図2:免疫蛍光細胞学:LNCaP細胞に対する、a) mAb 3/F11、b)mAb 3A/12、c)mAb 3E7の結合。左図は4',6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)を用いたコントロールの染色を示す。
【図3】図3:免疫蛍光細胞学:LNCaP細胞に対する、a) mAb 3/F11、b)mAb 3A/12、c)mAb 3E7の内在化。左図は4',6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)を用いたコントロールの染色を示す。
【図4】図4:精製されたPSMAとmAb 3/E7、3/A12および3/F11とを用いたウエスタンブロット。
【図5】図5:グリコシル化PSMAおよび非グリコシル化PSMAとmAb 3/A12とを用いたウエスタンブロット。
【図6】図6:前立腺癌のパラフィン切片におけるmAb 3/E7の免疫組織化学。
【図7−1】図7a/b:PSMA発現LNCaP細胞における、飽和濃度でのscFv E8のFACS分析(a)およびscFv A5のFACS分析(b)。
【図7−2】図7c/d:scFv E8の抗原飽和曲線(a)およびscFv A5の抗原飽和曲線(b)。
【図8】図8:精製PSMAとscFv A5およびscFv E8とを用いたウエスタンブロット。
【図9】図9:LNCaP細胞上のscFv E8の免疫細胞学。
【図10】図10:免疫毒素E8−P40の構築物。
【図11】図11:LNCaP細胞上での組換え免疫毒素E8−P40の細胞傷害性効果
【図12】図12:LNCaP細胞上での組換え融合タンパク質A5−P40の細胞傷害性効果
【図13】図13:scFv E8の配列。DNA配列およびアミノ酸が示され、これによってCDW領域が印を付された領域により識別される。
【図14】図14:scFv A5の配列。DNA配列とアミノ酸配列とが示され、これによってCDW領域が印の付いた領域により識別される。
【図15】図15:この図は、PSMAネガティブなDU145細胞に対するscFv A5、scFv H12およびscFv D7の結合(A)、およびPSMAポジティブなLNCaP細胞に対するscFv A5、scFv H5およびscFv D7の結合(A5=B、H12=C、D7=D)を示す。mAbおよびPE結合体化抗マウスIgG mAbを用いて細胞を染色した。ヒストグラムは、フローサイトメーターにおけるPE蛍光の対数を表す。二次抗体のみを用いてネガティブコントロールを行った。
【図16】図16:PSMAネガティブBOSC細胞に対するscFv A5、scFv H12およびscFv D7の結合(A)、およびPSMAをトランスフェクトしたBOSC細胞に対するscFv A5、scFv H12およびscFv D7の結合(A5=B、H12=C、D7=D)。scFv抗c−myc mAbおよびPE結合体化抗マウスIgを用いて細胞を染色した。ヒストグラムは、フローサイトメーターにおけるPE蛍光の対数を表す。二次抗体のみを用いてネガティブコントロールを行った。
【図17】図17は、LNCaP細胞(黒)およびDU細胞(白)に対する組換え免疫毒素HE12−PE40の細胞傷害効果を実証する。
【図18】図18は、A5−CD3ダイアボディの構築スキームを模式的に示す。
【図19】図19は、scFv A5 から構築した異なる濃度のダイアボディ(A5/CD3)および末梢血リンパ球の、48時間インキュベーション後のLNCaP細胞に対する細胞傷害効果(エフェクター標的比 10:1)を示す。
【図20−1】図20は、scFv H12の配列を示す。アミノ酸配列は1行目に1文字コードにて示される(配列番号:20に対応する)。コード鎖は2行目に示され(配列番号:19)、相補鎖は3行目に示される。この配列は、配列番号:23に対応する。CDRは特に、CDR H1、CDR H2、CDR H3、CDR L1、CDR L2およびCDR L3と称される。これらのCDR領域をコードする核酸をグレーの背景で示す。
【図20−2】(図20の続き)
【図21−1】図21は、scFv D7の配列を示す。アミノ酸配列は1行目に1文字コードにて示される。のれは配列番号:22に対応する。コードする核酸鎖は1行目に示される。これは配列番号:21に対応し、相補鎖は3行目に示される。この配列は、配列番号:24に対応する。CDR領域のH1、H2、H3、L1、L2およびL3は配列中に示される。これらの領域をコードする核酸をグレーの背景で示す。
【図21−2】(図21の続き)
【発明を実施するための形態】
【0031】
用語「単離されたモノクローナル抗体」とは、ジスルフィド結合により内部接続された少なくとも2つの重鎖(H鎖)および2つの軽鎖(L鎖)を含む糖タンパク質をいう。各々の重鎖は、重鎖可変領域(VHと略される)および重鎖定常領域を含む。この重鎖定常領域は、3つのドメイン、すなわちCH1、CH2およびCH3を含む。各々の軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域(CL)を含む。VH領域およびVL領域はさらに、超可変領域に部分分割され得る。これらはまた、より保存された領域により介在される、相補性決定領域(CDR)と呼称される。これらの領域はまた、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。各々のV領域およびV領域は、3つのCDRおよび4つのFRを含む。アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。
【0032】
図13、図14および図20、図21において、CDRはグレーの箱により印を付けられる。これらの領域は、モノクローナル抗体またはその抗原結合部位の結合に重要である。他の領域は、他の配列によって置き換えられ得るフレームワーク領域である。但し、結合のために必要とされる三次元構造は乱されない。構築物の構造が変更される場合、抗原に対する十分な結合は存在しない。マウス由来のモノクローナル抗体は、抗体を惹起し得る別種由来のタンパク質を含むという事実に起因して、所望されない免疫学的副作用を引き起こし得る。この問題を克服するため、モノクローナル抗体またはその抗原結合部分がヒト化され得る。モノクローナル抗体をヒト化するプロセスは、当業者に公知である。マウスmAbのフレームワーク領域は、対応するヒトフレームワーク領域により置換される。好ましい結合特性を維持するため、CDRの配列は可能な限り維持されるべきである。しかしながら、結合特性を最適化するためいくつかのアミノ酸の変更を実施することが必要とされ得る。このことは、標準的手順によって当業者により実施され得る。さらに、ヒトフレームワークを導入することによって構築物の特性を改善するため、アミノ酸の変更および/または欠失を実施することが必要であり得る。
【0033】
モノクローナル抗体の用語「抗原結合性部分」とは、ネイティブ形態で前立腺特異的膜抗原に特異的に結合する能力を保持するような抗体の1つ以上のフラグメントをいう。抗体の抗原結合部分の例としては、Fabフラグメント、VLドメインとVHドメインとCLドメインとCH1ドメインとからなる1価フラグメント、F(ab')フラグメント、二価フラグメント(ヒンジ領域でのジスルフィド架橋によって連結される2つのFabフラグメントを含む)、VHドメインおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、抗体の単腕のVLドメインおよびVHドメインからなるFvフラグメント、VHドメインと単離された相補性決定領域(CDR)とからなるdAbフラグメント、およびが挙げられる。
【0034】
本発明に従う単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部位は、好ましくは、治療目的のために使用される場合、腫瘍細胞により内在化できる。診断目的には内在化は必要とされなくてもよい。
【0035】
本発明に従う単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、好ましくは、治療目的に使用される場合、腫瘍細胞によって内在化できる。診断目的には内在化は必要とされなくてもよい。
【0036】
本発明に従う単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、LNCAP細胞に強く結合するが、前立腺特異的膜抗原の発現を欠く細胞には結合しない。
【0037】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分の結合は、PE蛍光強度(MFI)により測定され、これは飽和濃度において、好ましくはscFvに関して40以上であり、好ましくはmAbに関して1000以上である。
【0038】
ネイティブPSMAに対する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの結合特性は、LNCaP細胞を漸増濃度の第一段階の抗PSMA Abを用いて処理し、その後第二工程のPE標識化抗体と共にインキュベートすることによって比較された。得られた飽和曲線から、PSMA部位の50%飽和に達する抗体濃度が読み取ることができる。3種のmAb 3/F11、3/A12および3/E7は、約16 nM(3/F11)、約2 nM(3/A12)および約30 nM(3/E7)にてPSMA部位の50%飽和に達する高結合活性を示した。scFvの場合、PSMA部位の50%飽和は、10nM(E8)および60nM(A5)に認められた。
【0039】
結合強度を決定するため、PE(フィコエリスリン)蛍光強度(MFI)を測定した。このMFI値を抗体濃度(またはその結合フラグメント濃度)に対してプロットし、これによってMFIのプラトー値は抗原との100%飽和に対応する。頂点の値(抗原の100%飽和に対応するプラトー)を決定した後、50%飽和に対応する値は容易に決定され得る。このグラフを使用して、抗体またはその結合フラグメントの対応する濃度(nM単位)を認めることができる。
【0040】
単離されたモノクローナル抗体またはその結合部分は標識を含み、この標識が放射線を励起する粒子であり得る。この粒子は、構築物に連結され得る形態、好ましくは錯体の形態の放射性元素であり得る。例えば、111インジウムにて標識されたmAbは、前立腺癌患者における遠隔性転位腫瘍の検出における放射性免疫シンチグラフィー剤(radioimmunoscintigraphy agent)として使用され得る。無論、35Sまたは131Iのような他の適切な放射性元素が使用できる。
【0041】
あるいは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、細胞傷害性薬物を含み得、この薬物は、毒素(例えば、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy antracin dione)、ミトキサントロン、ミスラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、および/またはピューロマイシン)からなる群より選択される細胞毒性物質である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号:1(scFv E8)、配列番号:10(scFv A5)、配列番号:20(scFv H12)、および/または配列番号:22(scFv D7)のうちの少なくとも10個の連続アミノ酸の部分アミノ酸配列を含む。好ましい実施形態において、モノクローナル抗体またはその抗原結合タンパク質は、配列番号:1、配列番号:10、配列番号:20、および/または配列番号:22それぞれのうちの、少なくとも25個、より好ましくは少なくとも35個、そして最も好ましくは少なくとも50個の連続アミノ酸を含む。
【0043】
本発明の好ましい実施形態において、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、配列番号:2〜配列番号:7および/または配列番号:11〜配列番号:16を有するCDRのうちの少なくとも1つを含む。より好ましくは、そのような構築物はそれらCDR配列のうちの少なくとも3つ、好ましくは少なくとも5つを含む。類似の様式で、CDRは、CDR配列が設計される図20〜21から導くことができる。
【0044】
本発明のさらなる局面は、モノクローナル抗体またはその結合フラグメントの調製のために使用され得るDNA配列を提供することである。配列番号:8および配列番号:9はscFv E8に関係し、配列番号:17および配列番号:18はscFv A5に関係し、配列番号:19および配列番号:23はscFv H12に関係し、そして配列番号:21および配列番号:24はscFv D7に関係する。これらの配列は、コーディング鎖およびその相補鎖を報告する。配列番号:9および配列番号:18は、5'→3'向きに示される。本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:8、9、17、18、19、21、23および24からなる群のうちの少なくとも20ヌクレオチド、好ましくは50ヌクレオチド、そしてより好ましくは75ヌクレオチドそして最も好ましくは少なくとも約100ヌクレオチドの連続配列を含む。CDRに対するコード配列が特に好ましい。
【0045】
本発明の1局面は、本出願に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を含む医薬組成物を提供することである。本発明の医薬組成物は、モノクローナル抗体またはその抗原結合部分を、薬学的に許容可能な添加物と一緒に含む。好ましくは、このような組成物は、筋肉内注射または静脈内注射のために調製される。あるいは、この抗体は、好ましくは1〜6ヶ月に及び得る特定期間にわたって生物学的に活性な薬剤の持続性放出を可能にするデポー処方物にて提供され得る。このような持続性放出処方物は、ヒトの生体中で長期にわたって分解される生分解性ポリマー(ポリ乳酸またはポリ乳酸/ポリグリコリドのコポリマーなど)を含み得る。これによって、好ましくは毒素を有する抗体またはその抗原結合部分が、特定の期間にわたって制御された様式で放出される。
【0046】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、癌、特に前立腺癌の処置のための医薬の調製のために使用され得る。
【0047】
あるいは、本発明は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を備える、腫瘍細胞検出のための診断キットを提供する。このような実施形態において、標識は適切な検出デバイスを用いてこの構築物の検出を可能にする。
【0048】
本発明はまた、腫瘍細胞のインビトロ識別のための方法を提供し、この方法により、識別されるべき腫瘍細胞は、適切な分析デバイスによって検出できる標識を保有する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分と接触される。標識は、例えば外科手術後または生検後に取得されるヒト細胞の切片において、腫瘍細胞の診断的識別を可能にする。
【0049】
本発明はさらに以下の実施例により例示される。
【実施例1】
【0050】
a)PSMAの調製
ヒト前立腺癌細胞株のLNCaP、DU 145、PC−3およびHeLa、ならびにハイブリドーマ7E11−C5.3(IgG1−κ、PSMA)を、American Type Culture Collection (ATCC)(Rockville, MD, USA)より購入した。LNCaP、DU 145およびHeLaをRPMI 1640培地中で、PC−3をF12 Nutrimix培地中で、共にペニシリン(100,000 U/l)、ストレプトマイシン(100 mg/l)および10 % FCS を補充して、5% CO2 の加湿した雰囲気において37℃で培養した。非グリコシル化PSMAを表面上に発現するLNCaP細胞の調製のため、2 μg/mlのツニカマイシン(ICN Biomedicals)を培地に48時間添加した。
【0051】
室温(RT)で10分間、4%のパラホルムアルデヒドを用いて処理することにより固定されたLNCaP細胞を取得し、次いで全体をPBSにより徹底的に洗浄した。
【0052】
精製PSMAを調製するため、108個のLNCaP細胞をPBSにより洗浄し、次いで1%のIGEPALを含むPBS中に室温で20分間溶解した。10,000 gでの遠心分離後、上清を7E11−C5アフィニティークロマトグラフィーカラム(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)にかけ、そしてPSMAを1 %のTriton X−100を含む100 mMのグリシン緩衝液(pH 2.5)により溶出した。中和後、タンパク質をPBSにより完全に透析した。
【0053】
非グリコシル化PSMAの調製のため、1/10容量の糖タンパク質変性緩衝液(BioLabs)を、精製PSMAを有する溶液に加え、そして100℃で10分間加熱した。次いで、1/10容量の10% NP−40(10%)および1μgのPSMA当たり50UのPNGaseを添加し、37℃で1時間インキュベートした。
【0054】
全長のネイティブPSMAを含むLNCaP細胞溶解物の調製のため、細胞をM−PER試薬(Pierce)を用いて10分間溶解し、次いで15,000 rpmにて4℃で30分間遠心分離した。全長のネイティブPSMAを含む上清を収集した(M−PER溶解物)。この溶解物の高分子量画分(100〜600 KD)をBiosil 250サイズ排除カラムにてHPLCにより分離した。
【0055】
b)DU 145細胞およびPC3細胞への全長PSMAのトランスフェクション
全長PSMAを2つの断片(塩基対262から塩基対1573の固有のEcoRI制限部位までの断片1、および1574位〜2512位までの断片2)にして、ベクターpCR3.1(Invitrogen)にクローニングした。製造業者のプロトコルにしたがって、500μlのRPMI培地中の4μgのDNAおよび10μlのLipofectamine (Invitrogen)の混合物を、106 個の細胞に添加することによって、一過性トランスフェクションを得た。48時間のインキュベーション後、一過性トランスフェクトした細胞を試験に使用した。
【実施例2】
【0056】
マウスの免疫
4週齢の雌Balb/cマウスに、LNCaP細胞由来のM−PER溶解物300μg、またはこの溶解物の高分子量HPLC画分、または2 %パラホルムアルデヒドで固定した106個のLNCaP細胞を、腹腔内で免疫した。これらの調製物とフロイト完全アジュバントとを1:1で混合した。マウスは各々、2週間間隔で4回または5回の免疫を受けた。最終免疫の4日後、脾臓細胞を収集し、ハイブリドーマの調製またはB細胞ライブラリーの調製のいずれかのために使用した。
【実施例3】
【0057】
B細胞ライブラリーの調製
マウス脾臓をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で洗浄し、小片に細かく刻み、再度PBS中で洗浄し、次いで「ルーズな取付けの(loose−fitting)」手動ホモジナイザーで静かにホモジナイズした。得られた単一の細胞懸濁物をFicoll(Pharmacia, Freiburg, Germany)上に重層し、400 gにて20分間室温で遠心分離した。製造業者(Miltenyi, Bergisch Gladbach, Germany)の指示書に従って、CD19マイクロビーズを用いて、間期のB細胞を単離した。106個のB細胞を350μlの溶液に、4 Mのグアニンチオシアネート、25 mMのクエン酸ナトリウム、0.5%のN−ラウロシルサルコシネートナトリウムおよび100 mMの2−メルカプトエタノールからなる溶液350μl中に溶解した。
【実施例4】
【0058】
a)ハイブリドーマの調製
脾臓を無菌的に取り出し、血清を含まないRPMI−1640中に細胞1個の懸濁物調製した。脾臓細胞をSP2/0ミエローマ細胞に10:1の比率で加え、そして融合および選択を確立された手順(Galfreら, Nature (1979), p. 131−133)に従って実施した。
【0059】
LNCaP細胞およびDU 145細胞ついてのFACS、および固相として精製PSMAを用いたELISAによって、ハイブリドーマの上清を試験した。プロテインGカラム(Pharmacia)を使用してモノクローナル抗体を精製した。
【0060】
b)mAbのアイソタイプ決定
抗PSMA mAbの免疫グロブリンアイソタイプを、標識なしの抗アイソタイプ特異的抗体(固相)またはペルオキシダーゼ標識した抗アイソタイプ特異的抗体(トレーサー)(Southern Biotechnology Associates, Birmingham, AL)のいずれかを使用して、ELISAによって決定した。
【0061】
c)抗PSMA構造型モノクローナル抗体の単離および特徴付け
確立された方法に従って、LNCaP細胞由来のM−PER溶解物を用いて5回免疫したBalb/cマウス由来の脾臓細胞をSP2/0細胞と融合した。LNCaP細胞を用いたフローサイトメトリーおよび精製PSMAに対するELISAによって、ポジティブなハイブリドーマを選択した。このようにして、3つのポジティブなクローンを取得した。それらのアイソタイプとmAbとの対応は、3/F11(lgG2a)、3/A12 (IgG1)および3/E7(lgG2b)であった。
【0062】
d)mAbの特徴付け
フローサイトメトリーによって、3つのmAbおよび染色したLNCaP細胞が非常に良好に結合し、ポジティブ細胞の割合が95%〜98%に及ぶことを観察できた。蛍光 対 事象数の曲線の形は、PSMAがLNCaP細胞集団内で均一に分布されることを示唆する(図1)。抗PSMA mAbの結合特異性を評価するため、PSMAネガティブなDU145細胞、PC3細胞、HeLa細胞およびJurkat細胞もまた染色してフローサイトメトリーにより分析した。3つ全てのmAbは、PSMAネガティブな細胞を染色しなかった(ポジティブ細胞の割合は0.04%〜2%に及ぶ)。
【0063】
これら3つの抗体の結合特性を、第一段階の抗PSMA mAbの漸増濃度でLNCaP細胞を処理し、次いで第二段階のPE(フィコエリシン)標識した飽和量のヤギ抗体とインキュベートし、次いで細胞蛍光測定(cytofluorometry)分析によって比較した。抗原飽和濃度(100nM)において、補正した平均PE(フィコエリシン)蛍光極度は、mab 3A12について約1000であり、mAb 3F11について約1400であり、そしてmAB 3E7について約1600であった。mAb 3A12について示されるように、非グリコシル化PSMAを発現するLNCaP細胞(ツニカマイシンを補充して培養したもの)に対するMFIは1/5未満であった。
【0064】
レーザー走査型共焦点顕微鏡を用いた免疫蛍光細胞学および検出により、LNCaP細胞に対する3種のmAbの強力な結合(図2)およびそれら細胞内での内在化(図3)も示すことができた。固相として精製PSMAを用いたELISAにおいて、全てのmAbはポジティブであった。変性PSMAを用いた場合、これらのmAbはウエスタンブロットにおいて約100 KDにシグナルを示し(図4)、一方、非グリコシル化PSMAを用いたブロットは約84 KDに弱いシグナルを示した。このことは、文献データと一致する(図5)。
【0065】
前立腺癌のパラフィン切片における免疫組織化学は、mAb 3/E7を用いるとポジティブであったが、mAbs 3/F11およびmAb 3/A12を用いるとポジティブではなかった(図6)。データを表1に要約する。
【表1】


MFI=抗原飽和に達するscFv濃度における、平均の蛍光強度(二次抗体単独を用いたバックグラウンド染色を差し引く)
(ポジティブ)=僅かにポジティブ。

【0066】
これらデータから、3種のmAbがネイティブPSMAおよび変性PSMAに対して非常に強力かつ高度に特異的な結合を示すこと結論付けられる。非グリコシル化PSMAに対する結合はより弱いが、PSMAを発現しない細胞に対しては結合が全く認められない事実から、糖の特異性は除外できる。
【実施例5】
【0067】
ファージミドpSEXにおけるscFv発現ライブラリーの調製
シリカゲルベースの膜(Rneasy、Qiagen、Hilden、Germany)を用いて、製造業者のプロトコルに従って、B細胞ライブラリーまたはハイブリドーマ細胞から総RNAおよびmRNAを単離した。cDNA合成を、25μlの変性RNA、10μlの5×緩衝液(Promega、Heidelberg、Germany)、5μlの10 mM dNTP(dATP、dCTP、dGTP、dTTP、Promega)、1.5μl RNAsin (40 U/μl、Promega)、2.5μlの150 pM ランダムヘキサマープライマー、および2.5μlのAMV逆転写酵素(10 U/μl、Promega)を含む最終容量50μl中で、42℃で60分間実施した。次いで、先に Orumら(Nucleic Acies Res.(1993), 4491−4498)に記載されるように、重鎖ならびにγ鎖およびκ鎖のコード領域をPCRにより増幅した。各々の鎖について、25種の異なる定常領域の順方向プライマーと対応する1種の逆方向プライマーとを組合わせることによって、25種の別個の反応を実施した。軽鎖および重鎖の増幅産物をアガロースゲル電気泳動により精製した。
【0068】
軽鎖のPCR産物をMluIおよびNotIを用いて消化し、そしてモル比1:3(2μgのベクター、400ngのインサート)を使用してファージミドpSEX81にライゲーションした(Duebelら, Gene(1993), 97−101)。1回のライゲーションの産物を、業者のプロトコルに従って、50μlのエレクトロコンピテント(electrocompetent)E. coli XL1 blue細胞(Stratagene)のエレクトロポレーションに使用した。この細菌を、100μg/mlのアンピシリンおよび0.1 Mのグルコース(SOB−AG)を含む直径80 mmの寒天プレート9個に播き、そして30℃で一晩インキュベートした。各プレートに3 mlの2×YT培地を加え、滅菌したガラススプレッダを用いて細菌を剥がし落とし(scrap off)、そして3,000gにて15分間ペレット化すること(pellet)によって、細菌を単離した。これらの細菌からVIサブライブラリーを表すファージミドDNAを単離した。次いで、重鎖およびVIサブライブラリーのPCR産物をNcoIおよびHindIIIを用いて消化した。3:1の比(2μgのサブライブラリーおよび400ngのインサート)でライゲーションを行った。VIサブライブラリーについて記載されるように、エレクトロポレーションによる形質転換、形質転換した細菌の播種および収集を行った。直径80mmのSOB−AGプレート9枚から、全部で18 mlのVHVLライブラリーを取得した。
【実施例6】
【0069】
抗体提示ファージの産生および選択
a)産生
ファージミドpSEXにおけるVHVLライブラリーにおいて、抗体遺伝子を遺伝子III(これは、線状ファージのマイナーな表面タンパク質gIIIpをコードする)とインフレームで融合した。これにより、表面上に抗体を提示する組換えファージミド粒子の産生は、レプリコン欠失ファージM13KO7をファージミド保有細菌細胞に感染させることを必要とする(14)。M13KO7を多重度10にて10 mlのライブラリー培養物に加えた。37℃で90分間のインキュベーション後、細胞をペレット化し、そして100μg/mlのアンピシリン、10μg/mlのテトラサイクリンおよび50μg/mlのカナマイシンを含む15 mlの2×YT培地に再懸濁した。この培養物を250rpmにて37℃で一晩インキュベートし、次いで氷上で冷却し、そして遠心分離して細胞を取り除いた。ファージを含む上清を、20%のPEG 8,000および14%のNaClを含む1/5容量の水溶液と混合し、4℃で1時間インキュベートした。次いで、4℃および6,200 gにて30分の遠心分離を加えた。ファージを含むペレットを、2mlの10 mM Tris/HCl(pH 7.5)、20 mM NaCl、2mM EDTA(pH 7.5)中に再懸濁し、そしてパンニング(panning)に使用した。
【0070】
b)抗原結合クローンおよび細胞結合クローンの選択のためのパンニング
精製PSMAの溶液(100μl/ウェル、PBS中12μg/ml PSMA)によりコーティングし、そして4% 脱脂粉乳/PBSを用いてブロッキングした、96ウェルのMaxi−Sorbマイクロタイタープレート(Nunc)において、精製PSMAに対するパンニングを行った。精製した組換えファージ(約1011)1mlを、15μlの10% Titon X100を補充した1mlの4% 脱脂粉乳/PBS中で15分間インキュベートし、次いでPSMAによりコーティングした8つのウェルに37℃で2時間結合させた。PBS/Tween(0.1%)による20回の洗浄後、結合したファージを、0.1Mのグリシン緩衝液(Glycine−Puffer)(pH2.2)を用いて溶出した。生存するLNCaP細胞に対するパンニングのため、ファージを予めDU 145細胞に吸収させた。この手順のため、1ml(約1011)の組換えファージを2%脱脂粉乳/PBS中で振盪機において室温で15分間インキュベートし、次いでDU 145細胞と共に1時間インキュベートした。次いで細胞を遠心分離して、吸着されなかったファージを有する上清を、振盪機において室温で1時間、106個のLNCaP細胞と共にインキュベートした。2%脱脂粉乳/PBSによる10回の洗浄およびPBSによる5回の洗浄後、結合したファージを50mMのHClを用いて溶出させ、続いて1MのTris−HCl(pH7.5)により中和した。
【0071】
この溶出したファージをE. coli TG1細胞に感染させ、SOB−AGプレート上に播き、そして30℃で一晩インキュベートした。溶出物のアリコートをタイトレーション(titration)に使用した。この選択手順を3〜6回繰り返した。
【0072】
c)小規模のファージレスキュー
タイトレーションプレートから96個の異なるコロニーを単離し、各コロニーを、100μg/mlのアンピシリンおよび0.1 Mのグルコースを含む500μlの2×YT培地(YT−AG)を満たした96ウェル深底マイクロタイタープレートのうちの1ウェルに移し、そして37℃で一晩インキュベートした(マスタープレート)。次いで、このマスタープレートの各ウェルから40μlの飽和培養物を、400μlの2×YT−AG培地を入れた新しいプレートの対応するウェルに移した。
【0073】
各ウェルに約1×1010個のM13KO7ヘルパーファージを加え、そして振盪機において37℃で2時間インキュベートした。次いで、このプレートを遠心分離し、ペレットを100μg/mlのアンピシリン、10μg/mlのテトラサイクリンおよび50μg/mlのカナマイシンを補充した2×YT培地に懸濁し、そして29℃かつ240 rpmで一晩インキュベートした。遠心分離後、レスキューされたファージミドを含む上清を取り出し、そしてファージELISAおよびフローサイトメトリーに使用した。
【0074】
d)ファージ−ELISA
マイクロタイタープレートを精製PSMA(1.5μg PSMA/ml PBS)により一晩コーティングし、次いで2%脱脂粉乳/PBSによりブロッキングした。2%脱脂粉乳/PBSと1:1で予備インキュベートした200μlのレスキューされたファージを各ウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。PBS−Tweenによる5回の洗浄工程の後、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Pharmacia)と結合体化された200μl/ウェルの抗M13抗体により、室温で2時間結合したファージを検出した。基質として3,3',5,5'−テトラメチルベンジジンを用いて、発色を実行した。
【0075】
e)抗PSMA立体構造型scFvの単離および特徴付け
抗PSMA立体構造型scFvの調製のため、LNCaP細胞のM−PER溶解物で免疫したマウスのB細胞ライブラリーから、ファージミドpSEX中にVHVLライブラリーを構築した。このライブラリーは、107の複雑度を有した。同様の方法で、LNCaP溶解物で免疫した同一のマウスより取得したモノクローナル抗体3/A12由来のVHVLライブラリーを調製した。このVHVLライブラリーは105の複雑度を有した。細胞性PSMA結合性scFvをファージ表面上に提示するファージを単離するため、20μg/mlの精製PSMAによりコーティングしたマイクロタイタープレート中およびポリスチレンチューブ中で、DU 145細胞による吸収後にLNCaP細胞に対して6回のパンニングを交互に実施した。3回、4回および6回のパンニング後、単離したファージミドコロニーを培養して、M13KO7の感染によりファージ粒子をレスキューした。LNCaP細胞を用いたフローサイトメトリーおよび精製PSMA上でのELISAによる、B細胞ライブラリー由来の800個のファージクローンの分析は、1つのポジティブクローンを示した(E8と呼称する)。mAb 3/A12由来のVHVLライブラリーからは、4回目のパンニング後に2つのポジティブクローンを得た(A4およびA5と呼称する)。配列決定により、A4はE8と同一であることが判明した。
【0076】
scFv E8およびscFv A5のコード領域を、ファージミドpSEXから発現ベクターpHOG(これはC末端にc−mycおよびHisタグを備える)の中へと移した。この配列を、対応するCDRと共に図13および図14に示す。抗原結合部分のCDRのコード領域を図13および図14中に印を付ける。これらの配列は変更されるべきではないが、一方、他の部分の印を付していない配列は変更され得る。しかしながら、適切な三次元構造が維持されなければならない。
【0077】
scFv E8は、フローサイトメトリーにより測定する場合、LNCaP生細胞と強力に反応し、飽和濃度においてMFI値は約100であった。一方、A5の結合はずっと弱く、飽和濃度におけるMFI値は約40であった(図7)。対照的に、ELISAにおいて固相とした精製PSMAに結合することは、E8に関しては弱く、そしてA5に関しては幾分強かった。変性したグリコシル化PSMAおよびグリコシル化PSMAを用いたウエスタンブロットにおいて、同様のパターンが認められた(図8)。LNCaP細胞を用いた免疫蛍光細胞学および共焦点レーザー顕微鏡による検出によって、scFv E8の非常に良好な結合および内在化を示すことができる(図9)。scFvのデータを表2に要約する。
【表2】

MFI=飽和濃度に達するscFv濃度における平均の蛍光強度。(二次抗体単独を用いたバックグラウンド染色を差し引く)
(ポジティブ)=僅かにポジティブ。

【実施例7】
【0078】
scFvの発現および精製
scFvのC末端位置にHis−6タグおよびc−mycタグの配列を備える選択ベクターpHOG 21使用して、E. coli XL1−Blue(Stratagene)においてscFvフラグメントを発現させた(Kipriganovら, J.lmmunol.Methods (1997), p. 69−77)。pHOGプラスミドで形質転換されたE. coli細菌を、2×YT−AG培地中で一晩増殖させ、次いで1:20に希釈し、そして37℃で600mlの培養物として増殖させた。培養物がOD 0.8に達したとき、1,500gで10分間の遠心分離により細菌をペレット化し、そして50:g/mlのアンピシリン、0.4 Mのショ糖および1mMのIPTGを含む、等量の新鮮なYT培地に再懸濁した。次いで、培養を室温で18時間〜20時間継続した。5,000gにて4℃で10分間の遠心分離によって細胞を収集した。可溶性ペリプラズムタンパク質を単離するため、ペレット化した細菌を初期容量の5%の氷冷した50 mMのTris−HCl、20%のショ糖、1 mMのEDTA(pH 8.0)中に再懸濁した。氷上での1時間のインキュベーション後、スフェロブラストを20,000gにて4℃で30分間遠心分離して、上清中に可溶性のペリプラズム抽出物を生じた。このペリプラズム抽出物を、10 kDaのカットオフを有するAmicon YM 10膜(Amicon, Witten, Germany)を使用して濃縮し、次いで50 mM Tris−HCl、1 M NaCl(pH 7.0)に対して完全に透析した。
【0079】
固定化金属アフィニティーカラムクロマトグラフィーによって精製した。これは、Cu2+で荷電したキレート性セファロース(Pharmacia)のカラム1mlを使用して実施し、そして50 mM Tris−HClおよび1 M NaCl(pH 7.0)を含む緩衝液を用いて平衡化した。ペリプラズム抽出物をロードし、30mMのイミダゾールを含む、20カラム容量の平衡化緩衝液により洗浄し、次いで250mMのイミダゾールを含む平衡化緩衝液により溶出した。溶出した物質をPBSに対して透析した。
【0080】
Micro BCA Protein Reagent Kit (Pierce)を用いて、製造業者の指示書に従ってタンパク質含量の測定を実施した。
【0081】
IPTGを用いてタンパク質の誘導を行った。600mlのE. coli XL1培養物からのscFv収量は約20μgであった。
【実施例8】
【0082】
フローサイトメトリー
LNCaP細胞、DU 145細胞およびPC3細胞を組織培養フラスコから新鮮に収集し、3% FCSおよび0.1% NaN3を含むPBS中に単一細胞の懸濁物を調製した。およそ105個の細胞を、2%脱脂粉乳/PBSと1:1で予めインキュベートしたレスキューしたファージミド50μlと共に、氷上で1時間インキュベートした。PBSによる3回の洗浄後、25μl/ウェルの抗c−mycモノクローナル抗体9E10(10μg/ml;Becton Dickinson)、またはファージをテストする場合には25μl/ウェルの抗M13抗体(10μg/ml;Pharmacia)を添加し、そして氷上で40分インキュベートした。PBSによる3回の洗浄後、それら細胞を100μlのPE標識化ヤギ抗マウスIgG(Becton Dickinson)と共に氷上で40分間インキュベートした。次いで、これらの細胞を再度洗浄し、死細胞を排除するため、3% FCSおよび0.1% NaN3を含むPBS中に1μg/mlのヨウ化プロピジウム(Sigma, Deisenhofen)を含む溶液100μlに再懸濁した。染色した細胞の相対的な蛍光を、FACScanフローサイトメトリーおよびCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson Mountain View, CA)を使用して測定した。
【実施例9】
【0083】
免疫蛍光細胞学
LNCaP細胞をガラスカバーストリップ上で24時間培養した。固定化のため、細胞をPBS中2%のパラホルムアルデヒド(これは細胞膜を透過性にしない)により室温(RT)で30分間処理し、1% BSA−PBSにより洗浄し、PBS中の50 mM NH4Cl中で10分間クエンチし、そして1% BSA−PBSによりリンスした。1% BSA−PBS中に4μg/mlにて一次モノクローナル抗体を添加し、そして4℃で60分間インキュベートした。FITC標識化ヤギ抗マウス二次抗体(2μg/ml;Southern Biotechnology Associates Inc. Birmingham, USA)を30分間インキュベートし、そして1% BSA−PBSにより徹底的に洗浄した。スライドをVectashield(Vector Laboratories, Inc. Burlingame, CA)に取付けた。
【0084】
内在化実験のため、この一次抗体を37℃で30分間インキュベートし、その後、PBS中2%のパラホルムアルデヒドにより細胞を固定化し、PBS中0.5%のTriton X100により透過性にした。
【実施例10】
【0085】
a)免疫組織化学
パラフィン組織切片を最初に脱パラフィン化し、次いで抗原の回復のためPBS中0.3% Triton X100により処理した。クリオスタット(Kryostat)切片を冷アセトン中で固定した。内在性ペルオキシダーゼをクエンチするため、この切片を3%のH2O2および10%のメタノールにより30分間処理した。1%のBSA−PBSによるブロッキング後、濃度2μg/mlにて一次抗体を添加し、室温で1時間インキュベートした。scFvのため、二次マウス抗c−myc抗体を室温で1時間添加した。次いでビオチン化ヤギ抗マウス抗体を室温で30分間インキュベートし、そして最後にABC試薬(Vectastain)を用いて発色させた。
【0086】
b)ウエスタンブロット
精製PSMAおよびLNCaP由来の細胞溶解物をドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲルに電気泳動し、そしてポリビニリデンジフルオライド膜に移した後、ウエスタンブロット分析を実施した。このブロットを5%脱脂粉乳を含むPBS中で一晩ブロッキングし、そして濃度10μg/mlにて精製mAbまたはscFvと共に1時間のインキュベートした。次いで、このブロットをPBS−Tween(0.5%)により5回洗浄し、そしてホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗マウスIgGと共に室温で1時間インキュベートした。PBS−Tween(0.5%)による5回の洗浄後、基質として3,3',5,5'−テトラメチルベンジジンを使用してブロットを発色させた。
【実施例11】
【0087】
scFv−PE40タンパク質の構築、発現および精製
本発明者らのアプローチにおいて使用される毒素は、Pseudomonas外毒素(PE40)の短縮バージョンであり、ドメインIaを欠失し、かつドメインIb、IIおよびIIIを含む(Pastanら, J.Biol.Chem, (1989), p.15157−15160)。ベクターpSW200中にコード領域を有するDNAを、Prof. W. Wels, Frankfurt (Welsら, Biotechnology (1992), p. 1128−1132)から取得した。PE40をコードする塩基対位置253〜613由来のDNAフラグメントを、プラスミドpSW200からのPCRにより増幅した。次いでこの増幅したDNAをベクターpHOG−His−scFv中に、制限部位XbaIを使用してscFvに対してC末端位置にライゲーションした。全てのクローニング工程を、E. coli XL1 blueにおいて標準的な方法に従って実施し、そしてその産物を配列決定によって確認した。
【0088】
免疫毒素のタンパク質誘導およびIMACによる精製は、scFvと同様であった。SDS−page、ウエスタンブロット、およびフローサイトメトリーによって、その産物を試験し、特徴付けた。
【実施例12】
【0089】
scFv−PE40免疫毒素の細胞傷害性
赤色テトラゾリウム塩WSTの水溶性ホルマザン色素への代謝を、製造業者の指示書(Boehringer)に従って決定した。標的細胞(コントロールとしてLNCaPおよびDU 145)を96ウェルプレートに2.5×104/ウェルで播種し、コンフルエントな層を形成するまで24時間培養した。50μl/ウェルのアリコート中の種々の希釈度の組換え免疫毒素を添加し、そしてそのプレートを37℃、5% CO2にて48時間インキュベートした。この時間後、培養物に15μl/ウェルのWST試薬をパルス添加(pulse)し、そして37℃、5% CO2にて90分間インキュベートした。次いで、それらサンプルの450 nm(参照は690 nm)においける分光学的吸収を測定した。未処理のコントロール培養物と比較して、細胞生存率の50%低下を達成するのに必要な免疫毒素濃度(50%阻害濃度=IC50)を計算した。
【0090】
免疫毒素E8−P40およびA5−P40を用いた細胞傷害性アッセイ(WST)を、PSMA発現するLNCaP細胞およびコントロールのDU 145細胞を用いて実施した。図11に示されるように、免疫毒素E8−PE40の場合にLNCaP細胞に対して高い細胞傷害効果を示し、IC50値は0.05 nMであった。図12において免疫毒素A5−PE40の細胞傷害性を示し、IC50は約0.09 nMである。PSMAを発現しないDU 145細胞についての細胞傷害性バックグラウンドは、E8構築物に関して5%であり、そしてA5構築物に関してわずか約0.01%であり、非常に良好な治療ウインドウを明らかにした。
【実施例13】
【0091】
mAb 3/F11およびmAb 3/E7からのscFv H12およびscFv D7の作製
各々のmAbから、ファージミドpSEXにおけるscFv発現ライブラリーを実施例5に記載されるように作製した。
【0092】
抗体提示ファージの産生および選択を実施例6に従って行った。
【0093】
PSMA細胞およびLNCaP細胞における6回の交互のパンニング後、mAB 3/E7由来の1個の特定のポジティブクローンを得(これをH12と名付けた)、mAB 3/F11由来の1個の特定のポジティブクローンを得た(これをD7と名付けた)。各scFvのコード領域を発現ベクターpHOG−21に移した。
【0094】
scFvの発現および精製を実施例7に記載されるように行った。
【実施例14】
【0095】
scFv H12およびscFv D7の特徴付け
a)PSMAポジティブ細胞株およびPSMAネガティブ細胞株についてのフローサイトメトリー
scFv H12およびscFv D7は、フローサイトメトリーによって測定した場合、LNCaP生細胞と反応した。
【0096】
飽和曲線から、PSMA部位の50%飽和濃度に達する抗体濃度を、それぞれおよそ120 nM(H12)および20 nM(D7)であると決定した。飽和濃度において、MFI値は 70(H12)および40(D7)に達した(図15)。
【0097】
scFv H12およびscFv D7のPSMA結合特異性を評価するため、PSMAネガティブな前立腺癌細胞DU145およびPC3ならびに他のPSMAネガティブ細胞株(HeLa、MCF7、HCT15およびJurkat)をさらに染色し、そしてフローサイトメトリーにより分析した。3種のscFv全てはPSMAネガティブ細胞を染色しなかった。
【0098】
b)PSMAトランスフェクタントについてのフローサイトメトリー
PSMA特異的結合を確認するため、scFv H12およびscFv D7を、PSMAをトランスフェクトしたBOSC−23細胞において試験した。両方のscFvは、全長のPSMAをトランスフェクトしたBOSC細胞に対して濃度依存的な結合を示したが、トランスフェクトしなかった細胞には濃度依存的な結合を示さなかった(Fig. 16)。飽和条件は100 nM(D7)および200 nM(H12)に達した。mAbと同様に、トランスフェクタントについてのMFI値は、LNCaP細胞についての値より低く、幅広な分布を示した。この分布は、前者の細胞表面における多様なPSMA分子に対応し得る。
【0099】
c)免疫蛍光細胞学
実施例4に記載されるように免疫蛍光細胞学を実施した。レーザー走査型共焦点顕微鏡を用いた検出後、LNCaP細胞に対するscFvの強力な結合およびこれらの細胞内への内在化を観察した。
【0100】
d)ELISAおよびウエスタンブロッティング
固相ELISAおよびウエスタンブロットにおける精製PSMAに対するscFv H12およびscFv D7の結合は、弱かった。
【0101】
H12およびD7の配列(アミノ酸配列および核酸配列)を、図20および図21に示す。
【表3】


*MFI=無関係のアイソタイプ適合性のコントロール抗体または抗マウス免疫グロブリン単独を用いたバックグラウンドを差し引いた後の、飽和条件における平均の蛍光強度の値。

【実施例15】
【0102】
H12−PE40免疫毒素およびD7−PE40免疫毒素の構築および細胞傷害性
H12−PE40免疫毒素およびD7−PE40免疫毒素の構築は、実施例11に記載されるA5免疫毒素およびE8免疫毒素と同様であった。PE−40は、Pseudomonas外毒素フラグメントを表す。
【0103】
実施例12に示されるように細胞傷害性を試験した。
【0104】
この免疫毒素は時間依存的様式にてLNCaP細胞死を促進した;最高の細胞傷害性効果を、48時間のインキュベーション後に認めることができた。
【0105】
H12−PE40およびD7−PE40について、この時点でのIC50値が約200pMであることを見出した(図17)。
【0106】
さらに、PSMAネガティブ細胞株DU 145、PC−3、MCF7およびHCT 15においてH12−PE40およびD7−PE40の細胞傷害性を試験した。これらの細胞株について、25 000 pMまでの濃度における細胞傷害性は見出さなかった。
【実施例16】
【0107】
抗PSMA/CD3ダイアボディの構築
PSMAおよびT細胞レセプター複合体のCD3鎖に特異的な二価特異的(bispecific)のダイアボディを作製した。VhCD3−VIA5 scFvおよびVhA5−VICD3 scFvの共分泌のためのジシストロン性オペロンを含むベクターを使用して、E.coliにおいて二価特異的ダイアボディを発現させた(図18)。抗A5/CD3ダイアボディ構築のため、プラスミドpKID19x3およびpKID 3x19を使用した(Kipriyanov, Int.J. Cancer 1998, pp 763)。細菌のペリプラズム性発現および精製は、scFvと同様であった。
【実施例17】
【0108】
ダイアボディA5−CD3による特異的細胞傷害性の誘導
二価特異的ダイアボディがT細胞媒介性細胞傷害性を方向変換することによって腫瘍細胞の溶解を誘導する能力を、エフェクター細胞として健常なドナー由来のPBMCを使用して調査した。IL−2の有無による4日間のインキュベーション後、これらの細胞を、96ウェルプレートに1.5×104細胞/ウェルにて播種したLNCaP標的細胞に添加した。エフェクター−標的の比率は10:1であった。異なる濃度でダイアボディを添加した。48時間のインキュベーション後、培養物を15μl/ウェルのWST試薬によりパルス添加し、そして37℃および5% CO2にて90分間インキュベートした。次いで、これらサンプルの450nm(参照は690nm)における分光学的吸収を測定した。
【0109】
このインビトロ試験において、ダイアボディは、濃度依存的様式で、活性化PBMCおよび不活性化PBMCを再標的化して標的のLNCaP細胞を溶解するのにかなり強力であるようであった(図19)。
【実施例18】
【0110】
ダイアボディA5−A5
この二価の単一物特異的(monospecific)ダイアボディを、A5−CD3ダイアボディ(実施例16)と同様に作製した。細菌のペリプラズム性発現および精製は、scFvと同様であった。
【0111】
フローサイトメトリーによって、LNCaP細胞に対するダイアボディA5−A5の強力かつ特異的な結合を示すことができる。
【配列表フリーテキスト】
【0112】
配列番号1:scFv E8
配列番号1:XaaはTyrまたはSerを意味する(存在位置:103)。
配列番号2:CDR配列
配列番号3:CDR配列
配列番号4:CDR配列
配列番号4:XaaはTyrまたはSerを意味する(存在位置:4)。
配列番号5:CDR配列
配列番号6:CDR配列
配列番号7:CDR配列
配列番号8:scFv E8
配列番号9:配列番号:8の逆相補配列
配列番号10:scFv A5
配列番号11:CDR配列
配列番号12:CDR配列
配列番号13:CDR配列
配列番号14:CDR配列
配列番号15:CDR配列
配列番号16:CDR配列
配列番号17:scFv A5
配列番号18:配列番号:17の逆相補配列
配列番号19:scFv H12
配列番号19:nはa、c、gまたはtである(存在位置:58)。
配列番号20:scFv H12
配列番号20:XaaはMet、ValまたはLeuを表す(存在位置:20)。
配列番号21:scFv D7
配列番号22:scFv D7
配列番号23:配列番号:19のscFv H12の逆相補配列
配列番号23:nはa、c、gまたはtである(存在位置:720)。
配列番号24:配列番号:21のscFv D7の逆相補配列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)腫瘍細胞の表面上に存在するネイティブ形態の前立腺特異的膜抗原に結合し、
b)腫瘍細胞によって内在化でき、
c)LNCAP細胞には強力に結合するが、前立腺膜特異的抗原の発現を欠く細胞には結合しないかごくわずかにのみ結合し、そして
d)標識または細胞傷害性薬物と連結され、
e)配列番号:10のうちの少なくとも10個の連続アミノ酸のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、
単離されたモノクローナル抗体の抗原結合部分。
【請求項2】
1nM〜120nMの間の濃度でPSMA部位のうち50%飽和に達するLNCAP細胞に対する高結合活性を示す、請求項1に記載の抗原結合部分。
【請求項3】
前記標識が放射線または蛍光線を放射する粒子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の抗原結合部分。
【請求項4】
前記細胞傷害性薬物が、毒素からなる群、特にタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミスラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される細胞毒性物質であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗原結合部分。
【請求項5】
配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16およびそれらの組み合わせからなる群より選択される配列を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗原結合部分。
【請求項6】
T細胞レセプター複合体に結合するダイアボディの一部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗原結合部分。
【請求項7】
PSMAとT細胞レセプター複合体のCD3鎖とに特異的な二価特異的ダイアボディの一部である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗原結合部分。
【請求項8】
前記二価特異的ダイアボディが、T細胞媒介性細胞傷害性を方向変換することによって腫瘍細胞の溶解を誘導する能力を有する、請求項7に記載の抗原結合部分。
【請求項9】
a)腫瘍細胞の表面上に存在するネイティブ形態の前立腺特異的膜抗原に結合し、
b)腫瘍細胞によって内在化でき、
c)LNCAP細胞には強力に結合するが、前立腺膜特異的抗原の発現を欠く細胞には結合しないかごくわずかにのみ結合し、そして
d)標識または細胞傷害性薬物と連結され、
e)配列番号:1のうちの少なくとも10個の連続アミノ酸のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、
単離されたモノクローナル抗体の抗原結合部分。
【請求項10】
T細胞レセプター複合体に結合するダイアボディの一部である、請求項9に記載の抗原結合部分。
【請求項11】
a)腫瘍細胞の表面上に存在するネイティブ形態の前立腺特異的膜抗原に結合し、
b)腫瘍細胞によって内在化でき、
c)LNCAP細胞には強力に結合するが、前立腺膜特異的抗原の発現を欠く細胞には結合しないかごくわずかにのみ結合し、そして
d)標識または細胞傷害性薬物と連結され、
e)配列番号:20のうちの少なくとも10個の連続アミノ酸のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、
単離されたモノクローナル抗体の抗原結合部分。
【請求項12】
T細胞レセプター複合体に結合するダイアボディの一部である、請求項11に記載の抗原結合部分。
【請求項13】
a)腫瘍細胞の表面上に存在するネイティブ形態の前立腺特異的膜抗原に結合し、
b)腫瘍細胞によって内在化でき、
c)LNCAP細胞には強力に結合するが、前立腺膜特異的抗原の発現を欠く細胞には結合しないかごくわずかにのみ結合し、そして
d)標識または細胞傷害性薬物と連結され、
e)配列番号:22のうちの少なくとも10個の連続アミノ酸のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、
単離されたモノクローナル抗体の抗原結合部分。
【請求項14】
T細胞レセプター複合体に結合するダイアボディの一部である、請求項13に記載の抗原結合部分。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の抗原結合部分を含む、医薬組成物。
【請求項16】
癌の治療のための医薬調製のための、請求項1〜14いずれかに記載の抗原結合部分または請求項15に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれかに記載の抗原結合部分を含む、腫瘍細胞検出のための診断キット。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20−1】
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【図20−2】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−197278(P2012−197278A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91882(P2012−91882)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2008−512701(P2008−512701)の分割
【原出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507387837)ユニベルシテーツクリニクム フライブルグ (2)
【Fターム(参考)】