説明

細菌フェロモンおよびその使用

【課題】病原性菌の潜伏状態は医療的に深刻な問題となるが、休眠の後に細菌の蘇生を刺激する新しいクラスのフェロモン、ピコモル濃度で活性を発揮することができる蘇生因子を提供する。
【解決手段】RP因子、その同系レセプター、変換酵素、その個々の遺伝子および阻害剤または模倣物、特に、RP因子およびそのレセプター/変換酵素に基づく抗体、薬学的組成物および治療、診断方法。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたRP因子。
【請求項2】
分泌型RP因子である、請求項1に記載の因子。
【請求項3】
非分泌型RP因子(例えば、細胞結合型因子または細胞質因子)である、請求項1に記載の因子。
【請求項4】
細菌(例えば、病原性細菌)から得られる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の因子。
【請求項5】
(i)G+C含有量が高いグラム陽性細菌;または
(ii)G+C含有量が低いグラム陽性細菌(例えば、Streptococcus spp.、Staphylococcus spp.、Listeria spp.、Bacillus spp.、Clostridium spp.およびLactobacillus spp.)
から得られる、請求項4に記載の因子。
【請求項6】
(a)Micrococcus spp.(例えば、M.luteus);または
(b)Mycobacterium spp.(例えば、増殖が早いマイコバクテリアまたは増殖が遅いマイコバクテリア、例えば、M.tuberculosis、M.leprae、M.smegmatisまたはM.bovis);または
(c)Streptomyces spp.(例えば、S.rimosusおよびS.coelicolor);または
(d)Corynebacterium spp.(例えば、C.glutamicum)
から得られる、請求項5(i)に記載の因子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の因子のホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体。
【請求項8】
RP因子シグナル伝達ドメインを含む(あるいは、RP因子シグナル伝達ドメインからなる)、請求項1〜7のいずれか一項に記載の因子。
【請求項9】
RP因子特異性決定ドメインを含む(あるいは、RP因子特異性決定ドメインからなる)、請求項1〜8のいずれか一項に記載の因子。
【請求項10】
RP因子が、例えば、請求項1〜9のいずれか一項に記載のものである、組換えRP因子。
【請求項11】
活性成分としてのRP因子(例えば、請求項1〜10のいずれか一項に記載の因子(あるいはホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体))を含み、このRP因子は、例えば、薬学的組成物に生物学的活性を与えるのに十分な濃度で存在する、薬学的組成物(例えば、ワクチン)。
【請求項12】
(a)治療法(例えば、免疫療法)、診断または予防において使用される;および/または
(b)薬学的賦形剤、ユニット投薬形態であるか、あるいは局所投与または全身投与に適する形態である、
RP因子(例えば、請求項1〜11のいずれか一項に記載の因子(あるいはホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体)または薬学的組成物)。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の因子(あるいはホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体)に特異的な抗体(または抗体誘導体)。
【請求項14】
(a)治療法(例えば、免疫療法)、診断または予防において使用される;および/または
(b)薬学的賦形剤、ユニット投薬形態であるか、あるいは局所投与または全身投与に適する形態である、請求項13に記載の抗体。
【請求項15】
単離されたRP因子レセプターまたは変換酵素。
【請求項16】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の供給源から得られる、請求項15に記載のレセプター/変換酵素。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載のレセプター/変換酵素のホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体。
【請求項18】
前記レセプター/変換酵素が、例えば、請求項15〜17のいずれか一項に記載のものである、組換えRP因子レセプター/変換酵素。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか一項に記載のレセプター/変換酵素(あるいはホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体)を含む薬学的組成物(例えば、ワクチン)。
【請求項20】
(a)治療法(例えば、免疫療法)、診断または予防において使用される;および/または
(b)薬学的賦形剤、ユニット投薬形態であるか、あるいは局所投与または全身投与に適する形態である、
請求項15〜19のいずれか一項に記載のレセプター/変換酵素(あるいはホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体)または薬学的組成物。
【請求項21】
請求項15〜20のいずれか一項に記載のレセプター(あるいはホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体)に特異的な抗体(または抗体誘導体)。
【請求項22】
(a)治療法(例えば、免疫療法)、診断または予防において使用される;および/または
(b)薬学的賦形剤、ユニット投薬形態であるか、あるいは局所投与または全身投与に適する形態である、
請求項21に記載の抗体。
【請求項23】
RP因子のアンタゴニスまたは阻害剤。
【請求項24】
(a)請求項13、請求項14、請求項21または請求項22に記載の抗体;および/または
(b)請求項15〜20に記載のいずれか一項に記載のレセプター;および/または
(c)変更されたRP因子特異性決定ドメインを含むか、または機能的なシグナル伝達ドメインを有さないRP因子ムテイン、
を含む、請求項23に記載のアンタゴニストまたは阻害剤。
【請求項25】
(a)治療法(例えば、免疫療法)、診断または予防において使用される;および/または
(b)薬学的賦形剤、ユニット投薬形態であるか、あるいは局所投与または全身投与に適する形態である、
請求項23または請求項24に記載のアンタゴニストまたは阻害剤。
【請求項26】
RP因子のアゴニスト、活性化因子または模倣物。
【請求項27】
(a)請求項21または請求項22に記載の抗体;および/または
(b)RP因子特異性決定ドメインを含む(あるいは、RP因子特異性決定ドメインからなる)RP因子ムテイン;および/または
(c)RP因子シグナル伝達ドメインを含む(あるいは、RP因子シグナル伝達ドメインからなる)RP因子ムテイン;および/または
(d)RP因子変換酵素;および/または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つの機能的に連結した組合せ、
を含む、請求項26に記載のアゴニスト、活性化因子または模倣物。
【請求項28】
(a)治療法(例えば、免疫療法)、診断または予防において使用される;および/または
(b)薬学的賦形剤、ユニット投薬形態であるか、あるいは局所投与または全身投与に適する形態である、
請求項27に記載のアゴニスト、活性化因子または模倣物。
【請求項29】
(例えば、抗生物質と組み合わせた)補助的治療において使用される請求項28に記載のアゴニスト、活性化因子または模倣物。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか一項に記載のRP因子(あるいはそのホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体)またはRP因子レセプターをコードする単離された核酸。
【請求項31】
請求項30に記載の核酸を含むベクター(例えば、発現ベクター)。
【請求項32】
請求項31に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項33】
RP因子(例えば、請求項1〜32のいずれか一項に記載のRP因子(あるいはホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体)を含み、例えば、RP因子を含有する培養上清を含む培養培地または輸送培地。
【請求項34】
請求項30に記載の核酸に相補的な核酸を含む核酸プローブ。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれか一項に記載のRP因子(あるいはそのホモログ、誘導体、対立遺伝子型形態、種変異体、ムテインまたは等価体)、レセプター、抗体、プローブ、培養上清または培養培地を含む診断キット。
【請求項36】
請求項30に記載の核酸に対応するアンチセンスDNA。
【請求項37】
抗菌性薬物を製造するための方法であって、
(a)RP因子レセプターを提供する工程;
(b)候補薬物を提供する工程;
(c)RP因子レセプターを候補薬物の1つと接触させ、そしてRP因子レセプターに関する候補薬物の親和性を測定し、この親和性を抗菌活性の指標とすることによって候補薬物をスクリーニングする工程;および、必要に応じて、
(d)工程(c)でスクリーニングされた候補薬物の同定に基づいて、抗菌活性を有する薬物の合成または精製を行う工程、
を含む、方法。
【請求項38】
抗菌性薬物を製造するための方法であって、
(a)RP因子レセプターを提供する工程;
(b)候補薬物を提供する工程;
(c)RP因子を提供する工程;
(d)RP因子レセプターをRP因子の存在下で候補薬物の1つと接触させ、次いでRP因子レセプターに対する結合についてRP因子と非生産的に競合する候補薬物の能力を測定し、この競合的結合能を抗菌活性の指標とすることによって候補薬物をスクリーニングする工程;および、必要に応じて、
(e)工程(d)でスクリーニングされた候補薬物の同定に基づいて、抗菌活性を有する薬物の合成または精製を行う工程、
を含む、方法。
【請求項39】
請求項37または請求項38の方法によって製造される(あるいは、それによって得ることができる)抗菌性薬剤またはその誘導体。
【請求項40】
製品(例えば、食品、薬学的調製物または医療製品)の微生物学的品質を測定するための方法であって、製品サンプルをRP因子(例えば、請求項1〜39のいずれか一項に記載のRP因子)と接触させる工程を含む、方法。
【請求項41】
細菌(例えば、マイコバクテリア)細胞を培養する方法であって、RP因子(例えば、請求項1〜40のいずれか一項に記載のRP因子)を含む培養培地で細胞をインキュベーションする工程を含む、方法。
【請求項42】
生物学的サンプルをRP因子(例えば、請求項1〜39のいずれか一項に記載のRP因子)と接触させる工程を含むエクスビボ診断方法。
【請求項43】
前記生物学的サンプルを、請求項33において規定される培養培地または輸送培地でインキュベーションする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
(a)微生物の増殖を刺激し;かつ/または
(b)休眠、仮死または潜伏している微生物を蘇生させる方法であって、微生物をRP因子(例えば、請求項1〜43のいずれか一項に記載のRP因子)と接触させる工程を含む、方法。
【請求項45】
本発明のRP因子またはRP因子レセプターを製造するための方法であって、
(a)請求項32に記載の宿主細胞を培養する工程;および
(b)培養された宿主細胞から因子またはレセプターを(例えば、培養上清または細胞の画分から)精製する工程、
を含む、方法。
【請求項46】
本発明のRP因子またはレセプターを製造するための方法であって、
(a)核酸プローブに対して選択的にハイブリダイゼーションする遺伝子を同定するシグナルを得るために、請求項30に記載の核酸と選択的にハイブリダイゼーションすることができる核酸プローブを用いて遺伝子ライブラリーを探索する工程;
(b)工程(a)で同定された遺伝子を(例えば、宿主細胞へのクローニングを、例えば請求項45において規定される方法に従って行うことによって)発現させて、因子またはレセプターを製造する工程、
を含む、方法。
【請求項47】
請求項45または請求項46の方法によって得ることができるRP因子またはレセプター。
【請求項48】
生体分子のライブラリーを作製するための方法であって、
(a)サンプル(例えば、土壌、海水、食品、淡水、組織または生物由来)を提供する工程;
(b)RP因子(例えば、請求項1〜47のいずれか一項に記載のRP因子、またはRP因子を含む培養上清)を含む培養培地でサンプルをインキュベーションして、微生物の培養物を得る工程;
(c)工程(b)の培養物から微生物を単離する工程、
を含む、方法。
【請求項49】
単離された微生物を、1つまたは複数の目的の生体分子(例えば、代謝物、酵素、抗生物質(例えば、抗ウイルス剤、抗菌剤または抗真菌剤あるいはトキシン)を産生する微生物についてスクリーニングする工程をさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
請求項48または請求項49の方法によって製造される(あるいは、それによって得ることができる)生体分子またはその誘導体。
【請求項51】
微生物(例えば、細菌)のライブラリーを作製するための方法であって、
(a)サンプル(例えば、土壌、海水、食品、淡水、組織または生物由来サンプル)を提供する工程;
(b)RP因子(例えば、請求項1〜50のいずれか一項に記載のRP因子、またはRP因子を含む培養上清)を含む培養培地でサンプルをインキュベーションして、微生物の培養物を得る工程;
(c)工程(b)の培養物から微生物を単離する工程;および必要に応じて、
(d)微生物の培養および/または変異誘発処理を行う工程、
を含む、方法。
【請求項52】
請求項51の方法によって製造される(あるいは、それによって得ることができる)微生物またはその誘導体(例えば、変異体)。
【請求項53】
RP因子を含有する培養上清(あるいはその分画物または抽出物)の使用であって、
(a)診断、予防または治療;または
(b)(例えば、請求項51に記載の方法による)微生物ライブラリーの製造;または
(c)(例えば、請求項48に記載の方法による)生物分子ライブラリーの製造;および/または
(d)(例えば、請求項44(b)に記載の方法による)休眠病原体、仮死病原体または潜伏病原体の蘇生、
を行うための使用。
【請求項54】
治療、予防または診断における使用のために必要なRP因子含有培養上清(あるいはその分画物または抽出物)。
【請求項55】
培養によりサンプルからの微生物の回収を促進するのに十分な濃度のRP因子(あるいは、請求項1〜54のいずれか一項に記載のRP因子)を含有する培養上清(あるいはその分画物または抽出物)とともにサンプルをインキュベーションする工程を含むエクスビボ(ex vivo)診断方法。
【請求項56】
前記サンプルが、
(i)採取可能な身体部位、例えば、膣、肛門、鼻、尿道、頸部、皮膚、結膜、口腔または喉に由来する;および/または
(ii)流体または半固体(例えば、体液あるいは半固体、例えば、排泄物、嘔吐物、分泌物、排出物(excrete)、痰または血液)を含む;および/または
(iii)固体(例えば、便、組織、食物または生検サンプル)を含む;および/または
(iv)培養物(微生物培養物)
を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
1つまたは複数のRP因子をコードする(あるいは、その発現または活性を調節する)遺伝子において変異を有する弱毒化微生物を含む、生ワクチン。
【請求項58】
前記微生物は、放線菌、マイコバクテリア(例えば、M.tuberculosis、M.leprae、M.bovis(例えば、M.bovis BCG)およびM.avium)、Corynebacterium spp.(例えば、Corynebacterium diphtheriae)、Tropheryma whippelii、Nocardia spp.(例えば、Nocardia asteroidesおよびNocardia brasiliensis)、Streptomyces spp.(例えば、Streptomyces griseus、Streptomyces paraguayensisおよびStreptomyces somaliensis)、Actinomadura spp.、Nocardiopsis spp.、Rhodococcus spp.、Gordona spp.、Tsukamurella spp.およびOerskovia spp.、G+C含有量が高い病原性グラム陽性細菌およびG+C含有量が低い病原性グラム陽性細菌(例えば、Streptococcus spp.、Staphylococcus spp.、Listeria spp.、Bacillus spp.、Clostridium spp.およびLactobacillus spp.)のいずれかより選択される、請求項57に記載のワクチン。
【請求項59】
前記変異が、フレームシフト変異、欠失変異、挿入変異および/または置換変異のいずれかより選択される、請求項57または請求項58に記載のワクチン。
【請求項60】
前記変異が、
(a)ヌル変異(例えば、非復帰性ヌル変異)を含み;および/または
(b)微生物の増殖を妨げる;および/または
(c)変更された特異性を有し(例えば、特異性決定ドメインは変異を受けているか、または改変されている)、かつ/または機能的なシグナル伝達ドメインを有さない変異型RP因子の発現をもたらす、
請求項57〜59のいずれか一項に記載のワクチン。

【図1A−1】
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【図1A−2】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−11852(P2010−11852A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180965(P2009−180965)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【分割の表示】特願平11−501852の分割
【原出願日】平成10年6月3日(1998.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(509218847)アバリストウィス、ユニバーシティ (1)
【氏名又は名称原語表記】ABERYSTWYTH UNIVERSITY
【Fターム(参考)】