説明

細菌性コラーゲン結合タンパク質に対して交差反応性のモノクロナール抗体

エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)由来のペプチド、例えばACE40及びACE19タンパク質、並びに黄色ブドウ球菌由来のCNA19ペプチドから生成し且つ細菌及び種々の種、例えば腸球菌、ブドウ球菌及び連鎖球菌由来のコラーゲン結合タンパク質に結合できる交差反応性モノクロナール抗体が提供される。この場合に、これらのモノクロナール抗体は、適当な医薬組成物に形成し得、従ってこれらのモノクロナール抗体は広範な細菌種による細菌感染症を治療又は予防する方法を提供するのに特に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、一般的に細菌、例えば黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)及びエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)並びに連鎖球菌由来のコラーゲン結合タンパク質及びペプチドに対して産生されているモノクロナール抗体に関し、特にこれらのタンパク質、例えばACE19及びACE40由来のコラーゲン結合ドメイン由来のある種のペプチド断片に対するモノクロナール抗体であって、種々の種にわたって交差反応性を示すモノクロナール抗体及びその細菌感染症の治療又は予防における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は2002年5月5日付けで出願された米国仮出願第60/361,347号及び2002年2月21日付けで出願された同第60/357,832号の特典を請求する。
【0003】
発明の背景
グラム陽性院内感染症の重要性は、過去二十年間にわたって科学文献及び一般誌の両方で広く取り上げられてきた。ブドウ球菌は、院内感染症の一つの最も大きい原因となっていることから、大部分の報告の核心であった。伝統的に、一般的な抗生物質バンコマイシンは、グラム陽性感染症を治療するのに選択される薬剤である。しかし、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の蔓延及び世界各国での集中治療室由来の黄色ブドウ球菌のバンコマイシン耐性株の出現の継続的増加は、臨床治療コニュニティ(clinical community)、生物医薬品会社及び政府機関が新規な治療法を開発するための再結集点(rallying point)として役立っている。バンコマイシンの継続的な乱用は、耐性黄色ブドウ球菌の発生を招いているばかりではなく、腸球菌の耐性菌の出現をももたらしている。1986年に、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)の最初の臨床株が、フランスで報告された。その後十年間、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が18カ国及び6大陸で報告されている。米国での問題は極めて厄介であり、全米院内感染サーベイランスシステム(NNIS)の病院の1998年の報告書で報告された腸球菌分離菌の>20%がバンコマイシン耐性であった。耐性率は、1993年〜1997年の期間の同じ病院について報告された耐性率よりも>50%高かった。腸球菌は、現在、米国において全病院血量の10%及び心臓血管感染症の20%を占めている。また、VREは高濃度のペニシリン類及びアミノグリコシド類に付随して適度まで耐性である傾向があり、従って抗生物質の未承認の(unproval)組み合わせを用いて治療しなければならない。ある種のVRE感染症の治療のためにリネゾリド及びキヌプリスチン/ダルホプリスチンを新しく導入したとしても、臨床医の治療器具に重要なギャップが存在する。これらのデータは、感染を予防的方法で防止できるか又は現行の治療様式を高めることができる新規な療法の開発が是認されることを示している。
【0004】
米国では、VRE感染症は軽度から重度の患者に典型的に認められる。従って、VRE感染症を詳述する大部分のデータが、救急病院、特にICU、癌病棟及び移植ユニットから入手されることは理にかなっている。VRE感染症に寄与する宿主因子としては、高齢、APACHEスコアー、好中球減少症、血液悪性疾患及び事前院内感染が挙げられる。バンコマイシンに対する長期の抗生物質暴露もまた、VRE感染症に関する危険因子として関係がある。最も重要な危険因子は、入院の長さ、VREに侵されるか又は感染した患者への接近、及び重症基礎疾患である。
【0005】
相当な量のデータが、VRE感染症の獲得に影響を及ぼす宿主又は環境条件に関して利用できるが、病原体の病原性メカニズムについてはほとんど知られていない。宿主と細菌の間の複雑な相互作用は、未だ理解されていないが、首尾よい定着は感染の開始をもたらす決定的な事象であると推測される。MSCRAMM(登録商標)(微生物表面成分認識接着性マトリックス分子)タンパク質は、別個の宿主組織細胞外成分又は血清順化(serum-conditioned)埋め込み生体材料(バイオマテリアル)、例えばカテーテル、人工関節及び血管移植片を認識し、特異的に結合する細胞表面付着因子の一つのファミリーである。生物が宿主組織に首尾よく付着し、定着すると、特定の遺伝子の発現が、抗菌剤に対してこれまでよりも抵抗性である表現型の一因となり部分変化し得る。従って、感染プロセスにおける事象に早期に強い影響を与える介入(intervention)は、有益な臨床結果をもたらし得る。MSCRAMM(登録商標)タンパク質は、抗体による免疫学的攻撃のための優れた標的を提供する。 MSCRAMM(登録商標)タンパク質に対する抗体は、少なくとも2つの生物学的性質を示す。最初には、高特異抗体は、微生物の付着及び宿主組織又は生体材料(バイオマテリアル)の再定着を防止する。第二には、細菌の細胞壁に結合されたMSCRAMM(登録商標)タンパク質抗体の量の増加が、オプソニン食作用による生物の迅速な排除を促進する。
【0006】
従来の研究は、コラーゲン結合MSCRAMM(登録商標)タンパク質 CANの存在が、黄色ブドウ球菌を軟骨などのコラゲン性組織に付着させるのに必要且つ十分であることを明らかにしている(7)。また、cna遺伝子を通常は欠いている黄色ブドウ球菌株は、実験用化膿性関節炎モデルにおいてcna遺伝子が導入されると、より伝染力が強くなる(8)。黄色ブドウ球菌由来のコラーゲン付着因子を用いた免疫処理及びコラーゲン付着因子特異抗体の受身伝達は、マウスを黄色ブドウ球菌を介した敗血症による死から保護した(9)。最近の研究において、一群の22個のモノクロナール抗体が、CNA19に対して生じさせられ且つ特定された。全てのmAbが立体配座依存性のエピトープを認識すると思われ且つ25I-コラーゲンがCNA19に及びブドウ球菌の細胞に結合することを阻害した。また、幾つかのmAbは、コラーゲン基質に付着していた細菌又は死滅細菌に結合された25I-コラーゲンを効果的に置換し得る。この知見は、これらのmAbが治療剤として使用し得る可能性を提起している(10)。
【0007】
最近の研究は、コラーゲンを結合する性質を有するACE(腸球菌由来のコラーゲンの付着因子)と呼ばれるMSCRAMM(登録商標)タンパク質をコードするエンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)から遺伝子を同定した(11)。ACEは、CANの構造構成に類似した構造構成を有し、またN末端シグナルペプチド、コラーゲン結合性領域A、次いで反復単位からなるB領域を含有し且つC末端には細胞壁係留に必要な要素、貫膜ドメイン及び短い細胞質尾部を含有する(12)。エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)ACEのAドメイン(ACE40、aa 32-367)の中心領域(aa 174-319)、すなわちACE19は、黄色ブドウ球菌CNAタンパク質の残基151−318に対して高度の配列類似性を有する。アミノ酸のこの範囲内では、残基の27%がCNA19中の残基と同じであり、さらに29%が類似している。顕著な類似性(46%)は、ACEのAドメイン及びCANドメインの対応する領域全体に留まる;Aドメインの範囲を越えて、ACEとCANの間には配列相同性はない。
【0008】
このように、病原性生物の種同士の間で交差反応するモノクロナール抗体を開発するためにMSCRAMM(登録商標)タンパク質に関する情報を特定し、利用する挑戦が相変わらずある。かかる交差反応性抗体は、極めて広い範囲の細菌感染症を治療又は予防するのに使用でき、従ってきわめて幅広い治療用途で有効であるという理由から、非常に望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の要約
従って、本発明の目的は、種々様々な細菌感染症、例えばブドウ球菌及び連鎖球菌、並びに腸球菌によって引き起こされる細菌感染症を治療又は予防するのに使用できる腸球菌及びブドウ球菌の表面タンパク質由来のコラーゲン結合タンパク質及びペプチドに対する交差反応性モノクロナール抗体を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)由来のACE19及びACE40のようなACEタンパク質由来の腸球菌ペプチドから産生される交差反応性モノクロナール抗体を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、黄色ブドウ球菌由来のCNAタンパク質由来のCNA19及びCNA55ペプチドのようなブドウ球菌コラーゲン結合タンパク質由来のペプチドから産生される交差反応性モノクロナール抗体を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、種々の細菌由来のコラーゲン結合タンパク質、例えばブドウ球菌CNAタンパク質及び腸球菌ACEタンパク質を認識でき且つ従って種々の細菌感染症を治療、予防、特定又は診断する方法に有用であり得る交差反応性抗体及び抗血清を提供することにある。
【0013】
これらの目的及びその他の目的は、ブドウ球菌及び連鎖球菌、並びに腸球菌などの細菌によって引き起こされる感染症を予防及び治療するための、ACEタンパク質の有効領域及び/又はその結合サブドメイン、例えばACE19及びACE40として特定されるペプチド領域に対して産生され且つこれらを認識できるか、あるいはCNA19又はCNA55ペプチドから産生される交差反応性モノクロナール抗体の分離、精製及び/又は使用からなる本発明によって提供される。本明細書に記載のように、本発明の交差反応性抗体は、2種以上の細菌種由来のエピトープを認識することが明らかにされており、従って種々様々な細菌感染症を治療又は予防するための組成物及びワクチンを開発するのに使用できる。
【0014】
開示された発明の精神及び範囲内でこれらの具体的態様及びその他の改変及び部分変更は、当業者には本明細書及び/又は本明細書に挙げた参考文献(これらは全て参考として組み込まれる)を読むことにより容易に明らかになるであろう。
【0015】
図面の簡単な説明
図1は、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)に対する抗ACE40モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【0016】
図2は、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)に対する抗ACE19モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【0017】
図3は、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)に対する抗ACE40モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【0018】
図4は、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)の細胞に対する抗ACEモノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【0019】
図5は、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の細胞に対する抗CNA19モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【0020】
図6は、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の細胞に対する抗CNA55モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【0021】
図7は、化膿連鎖球菌の細胞に対する抗CNA19及びCNA55モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【0022】
図8は、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)由来の組換えコラーゲン結合タンパク質を用いてACEに対して産生させたmAb類の交差反応性を示すグラフである。
【0023】
図9は、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)由来の組換えコラーゲン結合タンパク質を用いてCNA19に対して産生させたmAb類の交差反応性を示すグラフである。
【0024】
好ましい態様の詳細な説明
本発明によれば、別のグラム陽性菌由来のMSCRAMM(登録商標)タンパク質の構造類似性に対する構造類似性を有する74 kDaタンパク質であるACEタンパク質の領域から産生されている交差反応性モノクロナール抗体が提供される。発明のACEタンパク質は、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)などの腸球菌の細胞外マトリックス結合タンパク質であり、これはI型及びIV型コラーゲンなどのコラーゲンやラミニンと結合することができ、PCT国際公開第WO00/68242号明細書(本明細書に参考文献として組み込まれる)に記載の配列を有する。エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)由来のコラーゲン結合性Aceタンパク質は、本明細書に配列番号1として記載のアミノ酸配列を有する。Aceタンパク質をコードする核酸配列は、本明細書に配列番号2として記載される。
【0025】
本明細書にさらに記載されるように、ACEタンパク質のある領域が同定されており、これらの領域としては、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)ACEタンパク質のアミノ酸32−367でAドメイン(又はACE40)として知られている領域や、ACEタンパク質のアミノ酸174−319に配置された断片ACE19が挙げられる。本発明によれば、ACEのAドメイン(ACE40)及びACE19断片から産生され且つACEのAドメイン(ACE40)及びACE19断片を認識でき、結合することができるモノクロナール抗体が提供され、またこれらの産生されるモノクロナール抗体は、本発明により分離され、精製され且つ以下に記載するような交差反応性を有することが明らかにされている。本発明のモノクロナール抗体は、さらに以下で説明するように腸球菌及びブドウ球菌による感染症を治療するか又は該感染症から保護するのに使用できる。さらにまた、CNAタンパク質、すなわちグラム陽性細菌である黄色ブドウ球菌由来の別のMSCRAMM(登録商標)タンパク質の領域から産生されている交差反応性モノクロナール抗体が提供される。前記のCANとして同定されたコラーゲン結合タンパク質は、例えば国際公開第W097/43314号明細書(本明細書に参考文献として組み込まれる)に記載されており、また本発明のモノクロナール交差反応性抗体は、CNA19、すなわちCNAタンパク質のアミノ酸151−318のような断片から産生される。前記のように、これらの交差反応性モノクロナール抗体は、種々様々な細菌感染症を治療又は予防するのに使用できる。
【0026】
本発明によれば、本発明の交差反応性モノクロナール抗体は、当該技術で周知の多数の適した方法で、例えばモノクロナール抗体を産生させるのに利用できる前記の確立されたKohler及びMilstein法で製造し得る。一つのかかる適当な方法では、精製組換えタンパク質、例えば前記ACE40、ACE19又はCNA19を、マウスに、長期間週に1回腹腔内に注射し、次いで免疫したマウスから得られた血液について試験を行い、精製タンパク質又は断片に対する反応性を調べる。供試タンパク質に反応性のマウスを特定した後に、マウスの脾臓から単離したリンパ球を、マウスの骨髄腫細胞に融合させてこれらのタンパク質に対する抗体に陽性のハイブリドーマを得た。この場合、これらのタンパク質は単離し、培養し、次いで精製し、アイソタイプ化される。
【0027】
例えば、J. Biol. Chem., 1999, 274, 26939-26945(本明細書に参考として組み込まれる)に記載のように、本発明による遺伝子断片、例えばACEのAドメイン(ACE40、aa 32-367)及びACE40のドメイン、すなわちACE19(aa 174-319)に相当する遺伝子断片を得るための一つのこのような適当な手段は、PCRと、鋳型としてエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)株EF1由来の染色体DNAとを使用することによって増幅する方法を使用するべきである。この方法において、得られる遺伝子断片を、大腸菌発現ベクターpQE-30中でサブクローニングし、次いで大腸菌株JM101中に形質転換される。N末端にHis標識を有する組換えタンパク質は、100μg/mlのアンピシリンを含有するLuriaブロスの1リットル培養液に前記の発現組立て体の一夜培養液40mlを接種することにより製造された。37℃で2.5時間増殖させた後に、細胞を0.2mMイソプロピル-1-β-D-チオガラクトシド(IPGT)を用いてさらに3時間誘導した。細菌を遠心分離により回収し、上清をデンカントし、次いで得られた細胞ペーストを−80℃で凍結させた。その後に、細胞を22℃で解凍し、PBSに懸濁し、フレンチプレスを使用して溶解した。溶解しない細胞破片を30,000×gで30分間遠心分離することにより除去し、次いで0.45μmの膜を通して濾過した。上清は、5mlのNi2帯電HiTrapキレートカラム(Pharmacia製)に加え、結合タンパク質を4mM Tris-HCl、100mM NaCl(pH8.0)に溶解した0〜200mMイミダゾールの200ml直線濃度勾配を用いて溶出した。組換えACE40又はACE19に相当する画分を、プールし、25mM Tris-HCl(pH8.0)に対して透析した。透析したタンパク質を5ml HiTrap Qカラム(Pharmacia製)に通し、結合タンパク質を25mM Tris-HCl(pH8.0)に溶解した0〜0.5M NaClの200ml直線濃度勾配を用いて溶出した。これらの得られた組換えタンパク質から、本発明のモノクロナール抗体の生成を、このようにして以下に記載のような当該技術で周知の多数の慣用法で行い得る。
【0028】
別の適当な例において、本発明の組換えタンパク質及びペプチドもまた、大腸菌ベクターpQE-30を発現ベクターとして使用して調製し得る。この例では、PCRを使用して、ACEのAドメイン、すなわちACE40すなわちエンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)由来のACEタンパク質のアミノ酸32-367を増幅し、6個のヒスチジン残基を含有する組換え融合タンパク質の発現を可能にする大腸菌発現ベクターPQE-30(Qiagen製)にサブクローニングした。このベクターを、その後に大腸菌株ATCC 55151に入れ、15リットルの培養器で0.7の光学濃度(OD600)まで増殖させ、次いで0.2mMイソプロピル-1-β-Dガラクトシド(IPTG)を用いて4時間誘導した。AG Technologies製の中空繊維アセンブリー(細孔サイズ0.45μm)を使用して細胞を回収し、得られた細胞ペーストを−80℃で凍結させた。得られた細胞を、1×PBS(10mL緩衝液/1g細胞ペースト)中でフレンチプレス@1100 psiを使用して、それに2回通して溶解した。溶解細胞を17,000rpmで30分間沈降させて細胞破片を除去した。上清を0.1M NiCl2を用いて帯電させた5mL HiTrapキレート(Pharmacia製)カラムに通した。装填後に、カラムを10mM Tris(pH8.0)、100mM NaCl(緩衝液A)をカラム容量の5倍容を用いて洗浄した。タンパク質を、カラム容量の30倍容を超える10mM Tris(pH8.0)、100mM NaCl、200mMイミダゾール(緩衝液B)の0〜100%の濃度勾配を使用して溶出し、次いで有用な画分を1×PBSに透析した。
【0029】
次いで、得られたタンパク質は、内毒素除去プロトコールを行った。このプロトコールで使用した緩衝液は、5mLモノ-Qセファロース(Pharmacia製)カラムに通すことにより内毒素を除いた。タンパク質を4個の15mL管に均等に分けた。それぞれの管の容量を、緩衝液Aで9mLにした。1mLの10%トリトンX-114をそれぞれの管に加え、4℃で1時間回転培養した。管を37℃の水浴に入れ、相分離させた。管を2,000rpmで10分間沈降させ、それぞれの管から上方の水性相を採取し、洗浄剤抽出を反復した。第2番目の抽出液からの水性相を一緒にし、0.1M NiCl2を用いて帯電させた5mL IDAキレート(Sigma製)カラムに通し、残存する洗浄剤を除いた。カラムを、カラム容量の9倍容の緩衝液Aで洗浄し、その後に得られたタンパク質をカラム容量の3倍容の緩衝液Bで溶出した。溶出液を5mLのDetoxigel(Sigma製)カラムに通し、流出物を採取し、次いで上記カラムに再度加えた。第2回目のカラム通送から流出物を採取し、1×PBSに透析した。精製された生成物を、マウスに投与する前に濃度、純度及び内毒素について分析した。
【0030】
このようにして得られたACE40のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号1にアミノ酸32-567として示され、また配列番号2の配列による対応位置で核酸、すなわちヌクレオチド94-1701、又はその縮重によりコードされる。
【0031】
本発明に従って、目的のタンパク質又はペプチドを単離した後に、モノクロナール抗体を、多数の適当な方法で製造し得る。例えば、一つの好ましい方法において、これらのタンパク質を使用して、一群のネズミモノクロナール抗体を産生させる。一つの適当な方法では、ACE40及びACE19に対するモノクロナール抗体が、若干の変更を加えて、本質的に
KohlerとMilsteinにより報告されたようにして製造された。Balb/cマウスに、50μgの組換えタンパク質それぞれを用いて、10日間の間隔で5回腹腔内に注射した。抗原を、最初の免疫処置のために等容の完全フロイントアジュバントを用いて乳化させ、次いで不完全完全アジュバントにおいて3回注入した。マウスから採血し、その血清を、精製ACE40又はACE19に対する反応性についてELISA及びウエスタンブロット法を使用して試験した。最終免疫処置のために、抗原を食塩水に溶解した。3日後に、脾臓からリンパ球を単離し、50%ポリエチレングリコール4000を使用して5:1の比率でSp2/0 Ag.14マウス骨髄腫細胞(ATCC#1581)に融合した。懸濁細胞を最初に増殖させ、2%ヒポキサチン/アミノプテリン/チミジン(Sigma製)、25グルタミン、2%ペニシリン、及び2%ストレプトマイシンを含有し且つ10%(v/v)ウシ胎児血清を補足した高グルコースダルベッコ(Dulbecco)の変性イーグル培地/RPMI 1640(1:1)培地(Sigma製)中で選別した。1週間後に、ヒポキサチン/アミノプテリン/チミジン培地を、クローン化ハイブリドーマを10%(v/v)ウシ胎児血清を補足したダルベッコの変性イーグル培地/RPMI 1640(1:1)培地からなる培地中で培養することによって漸次交換した。適当なクローンが産生された後に、ハイブリドーマを、1%(容量/容量)Nutridoma-SR(Roche Molecular Biochemicals製、マンハイム、ドイツ)と抗生物質とを含有するダルベッコの変性イーグル培地/RPMI 1640から調製した血清無含有培地中で増殖させた。細胞培養物の上清を10日目にELISA法で選別し、ACE40又はACE19に対する抗体について陽性のハイブリドーマを、限界希釈法によりウエル当たり細胞1個の濃度まで継代培養し、さらにELISA及びウエスタンブロット法で特定した。36個の陽性クローンがACE40及びACE19それぞれに対して得られた。
【0032】
別の適当な方法では、一群の適当なマウス、例えばBalb/Cマウスに、溶液であるか又は適当なアジュバントと混合した目的のタンパク質の一連の皮下免疫化を受けさせた。
【0033】
アジュバントの最終送達後3日目に、脾臓を取り出し、単一の細胞懸濁液に懸濁し、次いでリンパ球を採取した。次いで、リンパ球をSP2/0-Ag14骨髄腫細胞(ATCC #1581)に融合した。細胞融合、その後の移植及び供給は、Current Protocols in Immunology (Chapter 2, Unit 2.)の「the Production of Monoclonal Antibodies protocol」に従って行った。
【0034】
次いで、融合により産生されたクローンを、標準ELISAアッセイ法を使用して特異抗体の産生について選別した。陽性クローンを拡大し、さらに試験した。15個の陽性クローンを最初に同定し、さらに特定するために限界希釈法によりクローン化した。単一細胞クローンを、活性について直接結合ELISA法、部分改変ELISA法で試験して、コラゲン結合の阻害を測定し、フローサイトメトリーにより全細胞結合を測定し且つBiacore分析によりペプチドに対する親和性を測定した。
【0035】
前記のペプチドの組換え体を使用する抗体の産生が好ましいが、さらに抗体は天然の分離及び精製ACE又はCNAペプチドから産生させ得、またモノクロナール抗体は前記の方法と同じ方法で産生させ得る。
【0036】
さらにまた、交差反応性を有する本発明のポリクロナール抗体を得ることができる。例えば、ACE40を用いて免疫したマウス由来のある種のポリクロナールマウス血清は、フローサイトメトリーで示されているように、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)の幾つかの菌株及びエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の一つの菌株との交差反応性を持つように思われる。
【0037】
以下のデータに示されるように、ACE40、ACE19及びCNA19を対象とした本発明のモノクロナール抗体を産生させるための免疫処置は、交差反応性であることを示したモノクロナール抗体を生成している。このようにして産生させた特異モノクロナール抗体を、以下でさらに説明する。
【0038】
本発明に従って、ACE40(aa 32-367)又はCNA19に対して生じた複数のMAbもまた、固定化コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)又は化膿連鎖球菌の細胞との反応性について試験した。予測されるように、ACE40に対する全てのmAbがエンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)の表面に結合することが認められ、ACE40が細菌表面で発現された抗原上で維持されるエピトープを含有することを示唆している (図3に示されるように)。さらにまた、本発明の多数の抗ACE40 mAb(例えば、7E11、8F1、9D4、10G1及び11A6)が、交差反応性であること及びエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、別の腸球菌細菌種の固定化細胞に結合されることが認められた(図1参照)。
【0039】
コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)細胞を用いたCNA19又はCNA55(aa 30-529)に対する一群のmAbの培養を行った同様のスクリーニングもまた、その他の細菌との交差反応性を示すmAb(例えば、1F6、3D3、11H11、12H10及び8G9)を明らかにした(図5及び6)。固定化コラーゲンに接着する化膿連鎖球菌細胞を用いたACE40に対するmAbの交差反応性のアッセイを行ったスクリーニングは、本発明のmAb(例えば、3E11、8F1、10A10及び11A6)もまた化膿連鎖球菌に対して交差反応性を示したことを明らかにした(図4参照)。これらのmAbがエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の表面で発現された免疫決定基と同様の反応性を示すことは、注目すべきである。CANに対するMAbもまた、化膿連鎖球菌の細胞とある種の交差反応性を示し、しかもある種のmAb(1F6及び8G9)は対照の細菌よりも著しく高い濃度(level)で細菌に結合した(図7)
本発明に従って、本発明の交差反応性モノクロナール抗体は、以下に挙げるような多数の医薬及びその他の有用な用途に利用し得る。
【0040】
医薬組成物
当業者には理解されるように、本発明の抗体はまた、ブドウ球菌によって引きこされる感染症を治療又は予防することを目的として、ヒト又は動物患者に投与するのに適した医薬組成物に成形し得る。本発明の抗体又はその有効断片を含有する医薬組成物は、当該技術で常用される適当な製薬ビヒクル、賦形剤又は担体、例えば食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、その他の治療剤化合物、及びこれらの組み合わせと組み合わせて製剤化し得る。当業者には理解されるように、使用する具体的なビヒクル、賦形剤又は担体は、患者及び患者の状態に応じて変化するであろうし、また種々の投与方法は、当業者には理解されるように、本発明の組成物に適したものであろう。本明細書に開示した医薬組成物の適当な投与方法としては、局所、経口、肛門内、膣内、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内及び経皮投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
局所投与に関しては、本発明の組成物は、軟膏、クリーム、ゲル、ローション剤、点滴剤(例えば、点眼薬及び点耳薬)又は液剤(例えば、うかい薬)の形態に製剤される。創傷包帯又は縫合剤、縫合糸及びエアゾルは前記組成物を含浸し得る。前記組成物は、慣用の添加剤、例えば防腐剤、 浸透を促進させるための溶媒、及びエモリエントを含有し得る。また、局所剤は、慣用の担体、例えばクリーム又は軟膏基剤、エタノール又はオレイルアルコールを含有し得る。
【0042】
抗体組成物の追加の形態、並びにその他のMSCRAMM(登録商標)タンパク質及びMSCRAMM(登録商標)ペプチドに関して組成物、方法及び用途に関するその他の情報は、一般にモノクロナール抗体を含む本発明に適用可能であろうし、また例えば米国特許第6,288,214号(Hookら)公報(本明細書に参考として組み込まれる)に記載されている。
【0043】
特に前記で挙げたようなACE19、ACE40及びCNA19ペプチドに対して産生される本発明の抗体組成物は、複合体(conjugate)に対して免疫原応答を高めるのに有効な量の適当なアジュバントと共に投与し得る。例えば、適当なアジュバントとしては、ミョウバン(リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウム)(これはヒトに広く使用される)、並びにその他のアジュバント、例えばサポニン及びその精製成分Quil A、フロイント完全アジュバント、RIBIアジュバント、並びに研究及び家畜用途で使用されるその他のアジュバントを挙げ得る。さらに別の化学的に規定された調剤、例えばムラミルジペプチド、モノホスホリルリピドA、リン脂質複合体、例えば Goodman-Snitkoff et al., J. Immunol., 147: 410-415 (1991)(本明細書に参考として組み込まれる)に記載のもの、Miller et al., J. Exp. Med., 176: 1739-1744 (1992)(本明細書に参考として組み込まれる)に記載のようなプロテオリポソーム内の複合体のカプセル、及びNovasome(登録商標)脂質ベシクル(Micro Vescular Systems, Inc.製、ナッシュア、ニューハンプシャー州)のような脂質ベシクル中へのタンパク質のカプセルもまた有用であり得る。
【0044】
いずれにしても、本発明の抗体組成物は、このように、ブドウ球菌属、連鎖球菌属及び腸球菌属の種由来の細菌によって生じるような、コラーゲン及びコラーゲン結合タンパク質を伴う結合相互作用を妨害、調節、阻害するのに有用である。従って、本発明は、ブドウ球菌感染症を予防又は治療する組成物及び方法を開発するのに及び宿主組織及び/又は細胞に対するブドウ球菌の結合を阻害するに具体的な適用可能性を有する。
【0045】
感染症の治療及び予防
本発明によって、有効量の前記のモノクロナール抗体を、感染症を治療又は予防するための有効量で投与することからなる細菌感染症の予防又は治療方法が提供される。さらにまた、これらのモノクロナール抗体は、コラーゲンに対する種々の細菌の結合を妨げるのに特に有用であり、従ってブドウ球菌、連鎖球菌又は腸球菌などの細菌による感染症を治療又は予防するのに有効であることを証明している。本発明の抗体は、これらが種々様々な細菌種にわたって交差反応性であることが明らかにされている点で特に有効であり、従って、本発明のモノクロナール抗体に基づいた化合物の有効性及び効果を向上するであろう。
【0046】
従って、本発明により、前記の慣用の方法(例えば、局所、非経口、筋肉内など)のいずれかの方法での本発明の抗体の投与は、ヒト又は動物患者の細菌感染症を治療又は予防するのに極めて有用な方法を提供する。有効量とは、宿主細胞に対する細菌の接着を防止するか、宿主細胞に対する細菌の結合を阻止するのに十分であり、従って細菌感染症の治療又は予防に有効である使用量、例えば抗体力価の使用量を意味する。当業者には理解されるように、感染症を治療又は予防するのに有効であるのに必要とされる抗体力価のレベル(level)は、患者の性質及び状態及び/又は既に感染している感染症の重症度に応じて変化するであろう。
【0047】
ワクチン及びヒト化抗体
本発明の単離抗体又はその活性断片はまた、細菌感染症に対する受動免疫処置用のワクチンの開発に利用し得る。また、創傷に対して医薬組成物として投与されるか、あるいは医療機器又は高分子生体材料を生体外及び生体内で被覆するのに使用される場合には、本発明の抗体は、先の感染症が存在する場合に有用であり得る。なぜならば、これらの抗体が細菌がコラーゲンに結合するのをさらに制限し且つ阻止する、このようにして感染症の程度及び伝播を制限することができるからである。さらにまた、抗体は、ある場合には、抗体が投与される患者において免疫原性が小さいように必要に応じて修飾し得る。例えば、患者がヒトである場合には、抗体は、Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986) 又は Tempest et al., Biotechnology, 9: 266-273 (1991)に記載のようにしてハイブリドーマ誘導抗体の相補性決定領域を、ヒトモノクロナール抗体に移入することによって“ヒト化”し得るし、あるいは例えばPadlan, Molecular Imm., 28: 489-498 (1991)に記載のようにして同属のヒト骨格対応部分をミミックするために免疫グロブリン可変部における表面暴露ネズミ骨格残基を変えることによって“修飾(veneered)”し得る。これらの参考文献は、本明細書に参考として組み込まれる。さらに、そのように所望する場合には、本発明のモノクロナール抗体は、本発明の組成物の細菌感染症と闘う能力をさらに高めるために、適当な抗生物質と組み合わせて投与し得る。
【0048】
好ましい態様において、抗体はまた、細菌感染症を治療又は予防するのに適した抗体を提供にするのに有用である受動ワクチンとして使用し得る。当業者には理解されるように、ワクチンは、多数の適当な方法で投与するために、例えば非経口(すなわち、筋肉内、皮内又は皮下)投与又は鼻咽頭(すなわち、鼻腔内)投与によって投与するために包装し得る。一つのかかる方式は、ワクチンを筋肉内に、例えば三角筋内に注射する場合であるが、投与の具体的な方式は、処置すべき細菌感染症の性質や、患者の状態に依存するであろう。ワクチンは、製薬学的に許容し得る担体と組み合わせて投与を促進することが好ましく、担体は、通常は防腐剤を含有するか又は含有しない水又は緩衝食塩水である。ワクチンは、投与の際に再懸濁するか又は溶解するために凍結乾燥させてもよい。
【0049】
本発明の抗体組成物を投与するための好ましい用量は、細菌感染症を予防又は治療するのに有効な量であり、この量は感染症の性質及び患者の状態に応じて大きく変化することが容易に理解されるであろう。上記のように、本発明に従って使用されるべき抗体又は医薬の“有効量”は、毒性がないが所望の予防又は治療効果が生じるような十分な量の薬剤を意味する。従って、必要とされる抗体又は具体的薬剤の量は、患者の種、年齢及び一般的な状態、治療される病気の重症度、使用される具体的な担体又は補助剤及びその投与の様式などに応じて患者に応じて変化するであろう。従って、具体的な抗体組成物の“有効量”は、具体的な環境に基づいて変化し、適当な有効量はいずれの場合にも当業者によって常用の実験法のみを使用して決定し得る。用量は、前記組成物が投与される個人に合わせて調整されるべきであり、個人の年齢、体重及び代謝と共に変化するであろう。前記組成物は、追加成分として安定剤又は製薬学的に許容し得る防腐剤、例えばチメロサール〔エチル(2-メルカプトベンゾエートS)水銀ナトリウム塩〕(Sigma Chemical Company製、セントルイス、ミズリー州)を含有し得る。
【0050】
被覆デバイス
本明細書に記載のモノクロナール抗体及び/又は組成物を用いて被覆すべき医療機器又は高分子生体材料としては、ステープル、縫合糸、代替心臓弁、心臓補助装置、ハード及びソフトコンタクトレンズ、眼内レンズ(前眼房又は後眼房)、その他のインプラント、例えば角膜インレー、人工角膜、血管ステント、エピケラトファリアデバイス(epikeratophalia device)、緑内障シャント、網膜ステープル、強膜バックル(buckles)、歯科補綴材、甲状軟骨形成デバイス、喉頭形成デバイス、血管移植片、軟組織及び硬組織補綴材例えば(以下のものに限定されないが)ポンプ、電気装置 例えば刺激装置及び記録装置、聴覚用補綴材、ペースメーカー、人工喉頭、人工歯、人工乳房、陰茎補茎用インプラント、脳顔面頭蓋腱束、人工関節、靭帯、半月、及び円板、人口骨、人工臓器 例えば人工膵臓、人工心臓、人工肢及び心臓弁;ステント、ワイヤ、ガイドワイヤ、静脈内及び中心静脈カテーテル、レーザー及びバルーン血管形成デバイス、血管及び心臓デバイス(チューブ、カテーテル、バルーン)、心室補助装置、血液透析装置、血液酸素付加装置、尿道/尿管/尿デバイス(フォーリーカテーテル、ステント、チューブ及びバルーン)、気道カテーテル(気管内及び気管開口チューブ及びカフ)、腸内栄養管(例えば、経鼻胃、胃内及び空腸チューブ)、体腔 例えば胸膜腔、腹腔、頭蓋腔及び囲心腔から排液するために使用される創傷ドレナージチューブ、血液バック、試験管、採血管、バキュテイナー、注射器、針、ピペット、ピペットチップ、及び血液管が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書で使用する“被覆された”又は“被覆する”という用語が、抗体又は活性断片あるいはこれらから誘導される医薬組成物を、デバイスの表面、好ましくは細菌に暴露されるであろう外表面に塗布することを意味することは、当業者には理解されるであろう。
【0052】
前記デバイスの表面は、前記のタンパク質、抗体又は活性断片で完全に被覆される必要はない。
【0053】
前記のように、本発明のモノクロナール抗体、あるいはその活性部分又は断片は、感染症を招く病原菌と哺乳動物宿主との間の最初の物理的相互作用、例えばコラーゲンのような哺乳動物細胞外マトリックスタンパク質に対する細菌の接着を妨害するのに特に有用であり、この物理的相互作用の妨害は、患者の治療や、在宅医療機器の細菌感染を予防又は減らしてこれらの装置の使用を安全にするのに有用であり得る。さらに別の用途としては、本発明のモノクロナール抗体に結合する細菌又はタンパク質の存在を調べるのに適した診断キットが挙げられる。これらの診断キットは、当業者には容易に理解されるように、本発明の抗体を前記抗体による結合の検出に適した手段と共に含有するであろう。例えば、前記抗体の結合を検出するのに適した手段は、前記抗体に連結される検出可能な標識を含有し得る。
【0054】
要するに、前記のような本発明のモノクロナール抗体は、種々の細菌種のエピトープを認識する、すなわち交差反応性であり且つヒト及び動物患者の細菌感染症を治療又は予防するのに及び医療機器又はその他の在宅装置の使用を含め種々様々なその他の用途に極めて有用である。
【実施例】
【0055】
本発明の好ましい態様を例示する実施例を以下に示す。当業者には、以下の実施例に記載の方法は本発明の実施において十分に機能するために本発明者らによって発見された方法を表し、従って、その実施のための好ましい様式を構成するとみなし得ることが理解されるであろう。しかし、当業者には、本明細書の開示に照らして、多数の改変を開示される特定の態様においてなし得、しかも本発明の精神及び範囲から逸脱することなく同様の結果をさらに得ることができることが認められるであろう。
【0056】
実施例1 組換えACE40及びACE19の発現及び精製
例えば、J. Biol. Chem., 1999, 274, 26939-26945(参照として本明細書に組み込まれる)に記載のようにして、ACEのAドメイン(ACE 40、aa 32-367)及びACE40のサブドメイン、すなわちACE19(aa 174-319)に相当する遺伝子断片は、鋳型としてエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)株EF1由来の染色体DNAとPCRとを使用することによって増幅させる方法で得ることができる。得られた遺伝子断片を大腸菌発現ベクターpQE-30中でサブクローニングし、次いで大腸菌株JM101中に形質転換させた。100μg/mlのアンピシリンを含有するLuriaブロスの1リットル培養液に、前記発現組み立て体の一夜培養液40mlを接種することにより、N末端にHis標識を有する組換えタンパク質を製造した。37℃で2.5時間増殖させた後に、細胞を0.2mMイソプロピル-1-β-D-チオガラクトシド(IPGT)を用いてさらに3時間誘導した。細菌を遠心分離により回収し、上清をデカントし、次いで得られた細胞ペーストを、−80℃で凍結させた。その後に、細胞を22℃で解凍し、PBSに懸濁し、次いでフレンチプレスを使用して溶解した。溶解しない細胞破片を30,000×gで30分間遠心分離することにより除去し、次いで0.45μmの膜を通して濾過した。上清を5ml Ni2帯電HiTrap キレートカラム(Pharmacia製)に供給し、0〜200mMイミダゾールの4mM Tris-HCl溶液、100mM NaCl(pH8.0)の200ml直線勾配を用いて溶出したタンパク質を固定した。組換えACE40又はACE19に相当する画分をプールし、25MM Tris-HCl(pH8.0)に透析した。透析したタンパク質を5ml HiTrap Qカラム(Phamacia製)に通し、0〜0.5M NaClの25mM Tris-HCl(pH8.0)溶液の200ml直線勾配を用いて溶出したタンパク質を固定した。
【0057】
実施例2 モノクロナール抗体の産生
ACE40及びACE19に対するモノクロナール抗体を、若干の変更を加えて本質的にKohlerとMilsteinによって報告されたようにして製造した。Balb/cマウスに、10日間の間隔で5回それぞれ組換えタンパク質50μgを腹腔内に注射した。抗原は、最初の免疫処置のために等容量の完全フロイントアジュバントを用いて乳化させ、次いで不完全アジュバントに3回注入した。マウスから採血し、その血清を、ELISA法とウエスタンブロット法を使用して精製ACE40又はACE19に対する反応性について試験した。最終免疫処置のために、抗原を食塩水に溶解した。3日後に、脾臓からリンパ球を分離し、50%ポリエチレングリコール4000を使用してSp2/0 Ag.14マウス骨髄腫細胞(ATCC#1581)に5:1の比率で融合した。懸濁した細胞を最初に増殖させ、次いで2%ヒポキサチン/アミノプテリン/チミジン(Sigma製)、25グルタミン、2%ペニシリン及び2%ストレプトマイシンを含有し且つ10%(容量/容量)のウシ胎児血清を補足した高グルコースダルベッコの変性イーグル培地/RPMI 1640(1:1)培地(Sigma製)中で選別した。1週間後に、前記のヒポキサチン/アミノプテリン/チミジン培地を、クローン化ハイブリドーマを、10%(容量/容量)のウシ胎児血清を補足したダルベッコの変性イーグル培地/RPMI 1640からなる培地中で培養することによって徐々に代えた。適当なクローンが産生された後に、ハイブリドーマを、1%(容量/容量)Nutridoma-SR(Roche Molecular Biochemicals製、マンハイム、ドイツ)と抗生物質とを含有するダルベッコの変性イーグル培地/RPMI 1640からなる血清無含有培地で増殖させた。細胞培養物の上清を10日目にELISA法で選別し、ACE40又はACE19に対する抗体に陽性のハイブリドーマを限界希釈法によりウエル当たり細胞1個の密度まで継代培養し、次いでELISA法とウエスタンブロット法を使用してさらに特定した。ACE40及びACE19それぞれに対して36個の陽性クローンが得られた。
【0058】
実施例3 固定化コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)株935/01に対する抗ACE40(aa 32-367)モノクロナール抗体の結合、
下記の実施例は、本発明のモノクロナール抗体、例えば黄色ブドウ球菌由来の組換えコラーゲン結合断片CNA19(aa 151-318)に対して指向されるモノクロナール抗体、並びにエンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)由来のACE40(aa 32-367)及びACE19(174-319)に対して生じたモノクロナール抗体の免疫学的交差反応性に関して行った試験を示す。
【0059】
下記の試験は、添付の図面に示されるようにして行った。
【0060】
図1に示す試験
ACE40に対するモノクロナール抗体を、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)株935/01を使用して前記のようにして生じさせ、次いでこれらの抗体を、これらの固定化コラーゲンに対する接着によって測定されるこれらのエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)を認識する能力について試験した。これらの試験において、マイクロタイターウエルを、1ml当たりにつきII型コラーゲン10μgを含有する50mM炭酸ナトリウム(pH9.5)10μリットルを用いて被覆した。ウエル中のさらなるタンパク質結合を、0.13MのNaClを含有する10mMリン酸ナトリウム(pH7.4)(PBS)に溶解した0.2%(重量/容量)ウシ血清アルブミン(BSA)200μリットルを用いて1時間インキュベートすることによって封止した。次いで、ウエルをPBST(PBSに溶解した0.1%Tween 20)で5回洗浄し、次いでエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)株935/01の細胞2×108個を用いて37℃で2時間インキュベートした。PBSで洗浄(3回)した後に、コラーゲン結合細胞を含有するウエルを、2μgの各mAbと共に37℃で2時間インキュベートした。次いで、ウエルをPBSで洗浄し、ウエルに会合した抗体を、1:1000希釈したペルオキシダーゼ複合ウサギ抗マウスIgGと共に22℃で1時間インキュベートすることにより検出した。洗浄後に、前記複合酵素をo-フェニレンジアミン二塩酸塩と反応させ、492nmで吸光度をマイクロプレートリーダーを用いて監視した。値は二重のウエルの中央平均値±SDを表す。このようにして図1は、固定化コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)株935/01に対する抗ACE40モノクロナール抗体の結合を示す。
【0061】
図2に示す試験
この図は、固定化コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)株935/01に対する抗ACE19モノクロナール抗体の結合を示し、この場合、コラーゲンに対する腸球菌の接着性、コラーゲン結合細菌に対するmAbの結合及び検出は、図1に報告したようにして行った。
【0062】
図3に示す試験
この図は、固定化コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)株687097に対する抗ACE40モノクロナール抗体の結合を示す。腸球菌細胞のコラーゲンに対する接着並びに固定化コラーゲンに接着する細菌に対する抗ACE40mAbの結合及び検出は、図1に報告したようにして行った。
【0063】
図4に示す試験
この図は、固定化コラーゲンに接着する化膿連鎖球菌64/14の細胞に対する抗ACE mAbの結合を示す。マイクロタイターウエルを、1ml当たりにつきII型コラーゲン10μgを含有する50mM炭酸ナトリウム(pH9.5)10Oμリットルを用いて被覆した。ウエル中のさらなるタンパク質結合部位を、PBSに溶解した0.2%(重量/容量)ウシ血清アルブミン(BSA)200μリットルを用いて1時間インキュベートすることによって封止した。次いで、ウエルをPBST(PBSに溶解した0.1%Tween 20)で5回洗浄し、次いで化膿連鎖球菌株64/14細胞3×10個を用いて37℃で2時間インキュベートした。PBSで洗浄(3回)した後に、コラーゲン結合細胞を含有するウエルを、10μgのヒトIgGを用いて被覆し、次いで22℃で60分間インキュベートした。十分に洗浄した後に、コラーゲン結合細菌を図1に報告したようにして抗ACE抗体結合について検定した。
【0064】
図5に示す試験
この図は、固定化コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)935/01に対する抗CNA19(aa 151-318)の結合を表す。コラーゲン被覆ウエルに対する腸球菌属細胞の接着及び細菌に対する抗CNA19 mAbの結合検定を、図1に報告したようにして行った。
【0065】
図6に示す試験
この図は、固定化コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)935/01の細胞に対する抗CNA55(aa 30-529)の結合を表す。コラーゲン被覆ウエルに対する腸球菌属細胞の接着及び細菌に対する抗CNA55 mAbの結合検定を、図1に報告したようにして行った。
【0066】
図7に示す試験
この図は、固定化コラーゲンに接着する化膿連鎖球菌64/14の細胞に対するCNA19及びCNA55に対する選別された個数のmAbの結合を表す。コラーゲン被覆ウエルに対する腸球菌細胞の接着及び細菌に対する抗CNA mAbの結合検定は、図4に報告したようにして行った。
【0067】
図8に示す試験
これらの図は、Acmとして同定されたエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)由来のコラーゲン結合タンパク質に対する、ACE及びCNANに対するモノクロナール抗体の結合を表す。Acmに対する、ACE及びCNANに対するmAbの反応性を、幾つかの抗ACE mAbがAcm中のエピトープを認識することで観察した。これらのデータは、抗ACE40 mAbがコラーゲン被覆ウエルに結合したエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の細胞と反応したという先の知見と十分に適合した。
【0068】
結果及び討論
この試験は、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)由来のペプチドACE19(aa 174-319)及びACE40(aa 32-367)と共に、黄色ブドウ球菌由来の組換えコラーゲン結合性断片CNA19(aa 151-318)に対して指向するモノクロナール抗体の免疫学的交差反応性を証明する。ACE40(aa 32-367)又はCNA19に対して生じたmAb類を、固定化コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)又は化膿連鎖球菌の細胞との反応について試験した。予期されたように、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)の表面に結合されたACE40に対するmAb類は全て、ACE40が細菌表面で発現された抗原上に維持されるエピトープを含有することを示唆している(図3)。適当な数の抗ACE40 mAb(7E11、8F1、9D4、10G1及び11A6)が、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)に厳密に関連する細胞種の固定化細胞に結合した(図1)。この知見は、特定のエピトープが、エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)のACEと、エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の表面上のMSCRAMM(登録商標)タンパク質との間で共有されることを示している。この研究で使用されたエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の菌株は陽性コラーゲン結合剤であるので、抗ACE40 mAbにより認識されるエピトープがコラーゲン結合性MSCRAMM(登録商標)タンパク質内に配置されると思われる。
【0069】
コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)細胞を用いてCNA19又はCNA55(aa 30-529)に対する一群のmAbのインキュベートを行った同様のスクリーニングは、数個のmAb(1F6、3D3、11H11、12H10及び8G9)が細菌と穏やかな交差反応性を示すことを明らかにした(図5及び6)。
【0070】
固定化コラーゲンに接着する化膿連鎖球菌細胞と、ACE40対するmAbとの交差反応性の検定を行ったスクリーニングは、mAb 3E11、8F1、10A10及び11A6が最も顕著なシグナルを示したことを明らかにした(図4)。これらのmAbがエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の表面で発現された免疫決定基と同様の反応性を示すことは注目すべきである。従って、化膿連鎖球菌及びエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)共有エピトープの表面成分がこれらのmAbによって認識されると思われる。
【0071】
CANに対するMAbは、対照の細胞よりも著しく高いレベルで細菌に結合したmAb 1F6及び8G9以外は、化膿連鎖球菌の細胞と広範な弱い交差反応性を示した(図7)。8G9の化膿連鎖球菌細胞との交差反応性は、固定化コラーゲンに接着するエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)細胞を用いた8G9のインキュベートを検出したシグナル応答によく似ている。このようにして、本発明者らは、ブドウ球菌のCNAのエピトープが化膿連鎖球菌及びエンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の抗原決定基を共有する分子ミミクリーの別の場合に直面する。
【0072】
下記の参考文献は、その全部がそのまま明細書に挙げられるように、本明細書に参考文献として組み込まれる:
1. Langermann, S., S. Palaszynski, M. Barnhart, G. Auguste, J.S. Pinker, J. Burlein, P. Barren, S. Koening, S. Leath, C.H. Jones, and S.J. Hutgren. 1997. Prevention of mucosal Escheriachia coli infections by FimH-adhesin-based systemic vaccination. Science, 276: 607-611;
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【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)に対する抗ACE40モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【図2】エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)に対する抗ACE19モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【図3】エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)に対する抗ACE40モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【図4】化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)の細胞に対する抗ACEモノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【図5】エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の細胞に対する抗CNA19モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【図6】エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)の細胞に対する抗CNA55モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【図7】化膿連鎖球菌の細胞に対する抗CNA19及びCNA55モノクロナール抗体の結合特性を示すグラフである。
【図8】エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)由来の組換えコラーゲン結合タンパク質を用いてACEに対して産生させたmAb類の交差反応性を示すグラフである。
【図9】エンテロコッカス・フェシウム(E. faecium)由来の組換えコラーゲン結合タンパク質を用いてCNA19に対して産生させたmAb類の交差反応性を示すグラフである。
【0074】
【配列表】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)由来のACEタンパク質のAドメイン、エンテロコッカス・フェカーリス由来のACE19及び黄色ブドウ球菌(S. aureus)由来のCNA19からなる群の中から選択されるペプチドに結合する交差反応性モノクロナール抗体。
【請求項2】
前記抗体がヒト又は動物におけるブドウ球菌、連鎖球菌及び腸球菌による感染症を治療又は予防するものである請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体がブドウ球菌、連鎖球菌及び腸球菌のコラーゲンに対する結合を阻害するものである請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体がヒト又は動物において非経口投与、経口投与、鼻腔内投与、皮下投与、エアゾル化投与又は静脈内投与に適したものである請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
前記モノクロナール抗体がネズミモノクロナール抗体、キメラモノクロナール抗体、ヒト化モノクロナール抗体及びヒトモノクロナール抗体からなる群の中から選択される種類のものである請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が一本鎖モノクロナール抗体である請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
エンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)ACEタンパク質に結合する抗体の同じ結合特異性を有する抗体断片を含有する請求項1に記載の抗体。
【請求項8】
配列番号1のアミノ酸32−567の配列を有するペプチドに結合する請求項1に記載の抗体。
【請求項9】
前記ペプチドが配列番号2のヌクレオチド94−1701に従って核酸配列によってコードされるアミノ酸配列又はその宿重を有するものである請求項8に記載の抗体。
【請求項10】
配列番号1のアミノ酸174〜319由来の配列を有するペプチドに結合する請求項1に記載の抗体。
【請求項11】
モノクロナール抗体7E11、8F1、9D4、10G1及び11A6からなる群の中から選択される請求項1に記載の抗体。
【請求項12】
請求項1に記載の抗体を含有する単離抗血清。
【請求項13】
請求項1に記載の抗体と、該抗体による結合を検出する手段とからなる診断キット。
【請求項14】
前記の結合を検出する手段が、前記抗体に連結される検出可能な標識を含有するものである請求項13に記載の診断キット。
【請求項15】
有効量の請求項1の抗体と、製薬学的に許容し得るビヒクル、担体又は賦形剤とを含有してなる細菌感染症の治療又は予防用の医薬組成物。
【請求項16】
治療又は予防される感染症が腸球菌、ブドウ球菌及び連鎖球菌からなる群の中から選択されるものである請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ヒト又は動物患者に有効量の請求項1に記載の抗体を投与することからなる腸球菌、連鎖球菌又はブドウ球菌感染症の治療又は予防方法。
【請求項18】
ACE40タンパク質及びACE19 タンパク質からなる群の中から選択されるエンテロコッカス・フェカーリス(E. faecalis)由来の単離タンパク質の免疫原量をヒト又は動物に投与することからなる免疫反応を誘発させる方法。
【請求項19】
配列番号1のアミノ酸32〜567のペプチドに結合できる能力を有する請求項1に記載の分離抗体。
【請求項20】
配列番号2のヌクレオチド94〜1701の核酸配列によってコードされるアミノ酸配列又はその縮重に結合できる能力を有する請求項1に記載の分離抗体。
【請求項21】
生理学的に許容し得る抗生物質をさらに含有してなる請求項1に記載の分離抗体。
【請求項22】
前記抗体がブドウ球菌、腸球菌及び連鎖球菌からなる群の中から選択される細菌由来のエピトープを認識するものである請求項1に記載の抗体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−502968(P2006−502968A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−571312(P2003−571312)
【出願日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/005040
【国際公開番号】WO2003/072607
【国際公開日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【出願人】(504317938)ユニヴエルシタ デリ スツディ ディ パヴィア (1)
【出願人】(305036034)
【Fターム(参考)】