組み合わせピペッター器具
【課題】異なる大きさのマイクロタイタープレートとの使用に適した試料収集用の組み合わせピペッター器具を提供する。
【解決手段】本器具は各半分が上位と下位間を独立に移動可能な第一半分と第二半分を有する上プレート20a,20bと収集先端取り付け用先端コネクターを持つ下プレート22a,22bからなる。又近位端と遠位端を持つ試料収集部材と少なくとも上プレートの半分が上位と下位間を移動する機構を含む。試料収集部材の近位端は上プレートにより保持され試料収集部材の遠位端は下プレートと連動し、少なくとも上プレートの半分が上位から下位に移動すると、対応試料収集部材が下がってコネクターの一つに取り付けた先端への試料収集を容易にする。
【解決手段】本器具は各半分が上位と下位間を独立に移動可能な第一半分と第二半分を有する上プレート20a,20bと収集先端取り付け用先端コネクターを持つ下プレート22a,22bからなる。又近位端と遠位端を持つ試料収集部材と少なくとも上プレートの半分が上位と下位間を移動する機構を含む。試料収集部材の近位端は上プレートにより保持され試料収集部材の遠位端は下プレートと連動し、少なくとも上プレートの半分が上位から下位に移動すると、対応試料収集部材が下がってコネクターの一つに取り付けた先端への試料収集を容易にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子及び/又は液体の分離及び/又は移動用器具に関する。より具体的には、本発明は異なる大きさのマイクロタイタープレートと一緒に用いることができる磁性粒子又は液体の分離及び/又は移動用のマルチコレクター型組み合わせピペッター器具に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性粒子は化学分子又は生体分子と組み合わせて種々の分離、精製及び単離技術に利用される。これらの技術では磁性粒子を単離、精製又は分離すべき生体試料中分子と特異的結合(“親和性結合”)を形成できる分子と連動する。この生体試料を次いで磁性粒子と接触させ、磁性粒子と結合したこれら生体分子を次いで磁場をかけて単離する。
【0003】
磁性微粒子やナノ粒子はDNA分子、タンパク質、細胞及びある場合には細胞内断片との結合に用いる。近年磁性微粒子が化学合成用固相として用いられた。微粒子はその大きさが0.5−10ミクロンであるが、ナノ粒子は0.05−0.3ミクロンである。
【0004】
種々の器具と方法が磁性粒子の分離と移動用に開発された。通常その利用法は二種に分けられる。第一の方法では専用の磁性浮遊容器を磁石と接触させ、粒子を磁石方向に移動させ、容器壁に付着させる。残留液をデカンテーションか吸引により容器から除く。
【0005】
第二の方法では保護プラスチック鞘か先端で覆った円筒状磁性棒を磁性懸濁物と直接接触させる。粒子がこの棒に捕獲されるが、液体は容器に残る。捕獲粒子のついた棒を他容器に移す。磁石を保護鞘から引き出すと、粒子がその先端から離脱して容器に入る。
【0006】
第二の方法は第一の方法に比べてより強力な磁場が粒子に直接かけられ、その結果粒子の殆ど全てが捕獲されるので有利である。他の利点は粒子を容易に第二の容器に移すことができ、供給源容器中の液体を除去する必要がなく、ワンステップが省かれることである。
【0007】
ツアンネン(Tuunanen)の欧州特許0787296では微粒子分離用の磁性棒器具が記載されている。本器具の先端は粒子を大容積から小容積に移すため円錐のような形をしている。しかし本器具は一回に一試料の分離にのみ有効である。
【0008】
ゴンビンスキー等(Gombinsky et al.)の米国特許6、409、925では磁性棒器具システムが記載され、このシステムの各器具が独立に制御される。従って磁性棒のどのような所望の組み合わせででも操作できる。このシステムの磁石は自動的に制御できる圧縮空気力により操作される。本システムにより特定組み合わせの磁性粒子が移動でき、従ってコンビネトリアル化学合成に使用できる。磁性板をマイクロタイタープレート下に備えて、磁性粒子の先端から穴の液体への移行を容易にする。
コルペラ(Korpela)の米国特許6、468、810では磁性微粒子の捕獲放出用の類似棒器具が記載されている。本器具での磁石はバネにより操作される。伸張可能な膜と同様に磁石を膜の第一側面と連結分離する手段を備え、操作時に解除できるように磁石を膜の第一側面に押しつけ、その結果膜を伸張し、磁力により微粒子を膜の第二側面に固定する。磁石を膜の第一側面から切り離すと、粒子が第二側面から放出される。
【0009】
上述文献の全てで磁性棒は電気、空圧、手動のいずれかにより静圧管内を移動する。磁石を覆う保護鞘か先端を静圧管端末に取り付け、外部機構、通常管外面に取り付けた手動腕により管からは引き離すか解放する。
【0010】
テリマー等(Telimaa et al.)の米国特許5、970、806は4.5mm間隔の16個のチャネルからなるマルチシリンダーピペットに関する。本ピペットは16x24、即ち384穴からなるプレートでの使用にのみ適する。
【0011】
アレン等(Allen et al.)の米国特許6、235、244は複数の先端接続具を持つ均等に拡張可能なマルチチャネルピペッターに関し、各隣接先端接続具間の間隔が実質的に等間隔なように間隔を調節できる。本器具はマトリックス社(Matrix)のイコライザー384TM(Equalizer 384TM)として知られており、異なる大きさのマイクロタイタープレート間で使用者が切り替えられる。先端接続具は互いにパンタグラフ型連動部のような連結部で取り付ける。その間隔は調節可能でスライド可能な止めにより制限する。一個の先端接続具へ取り付けた棒を引いたり押して等間隔に増減できる。しかしイコライザーは非常に複雑な器具で且つ非常に高価である。
【0012】
先行技術器具の欠点は異なる大きさのマイクロタイタープレートに使用できず、単一サイズのプレートでのみしか使用できないことである。8個のコネクター付きピペッター器具が96穴プレートで使用され、16個のコネクター付きピペッター器具が384穴プレートで使用される。欧州特許0787296では異なる大きさのマイクロタイタープレート間で粒子を移動できるが、単一磁性棒使用により行われ、組み合わせ用途では使用できない。
【0013】
上記のことを考えると異なる穴サイズのマイクロタイタプレートで使用でき、且つ使用者が分離移動すべき試料の正確な組み合わせを決定できる磁性粒子又は液体の分離移動用の組み合わせ器具の提供が望まれる。
【発明の開示】
【0014】
従って本発明の主目的は、異なる大きさのマイクロタイタープレート(又“マイクロウエルプレート”、“ナノプレート”或いは“ディープウエルプレート”としても知られる)、例えば96穴(8x12穴)や384穴(16x24穴)での使用に適する組み合わせピペッター器具を提供することである。勿論他の大きさのマイクロタイタープレートも可能である。本器具は磁性粒子の分離や液体の収集移動に使用できる。本器具は処理すべき試料の正確な数と位置決めを使用者が設定できる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、異なる大きさのマイクロタイタープレートでの使用に適する試料収集用組み合わせ器具を提供し、器具が
(a)、各半分が少なくとも上位と下位間で独立に移動可能な第一半分と第二半分からなる上プレートと、
(b)少なくとも一個の収集先端の取り付けを容易にするように連結した複数の先端コネクターを持つ下プレートと、
(c)それぞれが近位端と遠位端を有する複数の試料収集部材と
(d)上プレートの第一半分と第二半分の少なくとも一つが上位と下位間で移動する機構からなり、
試料収集部材の近位端が上プレートの第一半分と第二半分により保持され、試料収集部材の遠位端が下プレートと連動して、少なくとも上プレートの半分が上位から下位に移動すると、対応試料収集部材が下プレートに対して下方移動し、その結果少なくとも一つの試料をコネクターの一つに取り付けた収集先端で収集するのを容易にする。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によると、上プレートの第一半分と第二分がそれぞれ8個の試料収集部材、即ち全部で16個の試料収集部材に対応できるようにする。上プレートの第一半分(8個の試料収集部材)、上プレートの第二半分(8個の試料収集部材)又は両半分を一緒に(16個の試料収集部材)を動かして、使用者により磁性粒子か液体を96穴プレート(8穴を12列保有)から384穴プレート(16穴を24列保有)に移すことができる。
【0017】
或いは本発明の好ましい実施形態によると、上プレートの第一半分と第二半分をそれぞれ12個の試料収集部材、即ち24個の試料収集部材に対応するようにする。
【0018】
更に本発明の好ましい実施形態によると上プレートの第一半分と第二半分の各々は複数の突起を含み、第一半分の突起は両プレート半分が合致するように第二半分の突起を形状的に補完し、それぞれの突起は試料収集部材の近位端を受け入れる開口部を含む。
【0019】
更に本発明の実施形態によると、試料収集部材はピンを含み、下プレートは複数のポンプ設備、ポンプ設備低部を規定するコネクター、及び少なくとも上プレートの半分が液体をコネクターの一つに取り付けた収集先端に収集するように低位置に移動したときポンプ設備と連動して作動するピンを含む。
【0020】
更に本発明の好ましい実施形態によると、試料収集部材は棒型磁性要素を含む。
【0021】
更に本発明の好ましい実施形態によると、この低位置は磁性要素の遠位端が下プレートを通して延びて先端コネクターに入る位置に相当し、その結果収集先端が先端コネクターに接続すると、磁性要素の遠位端により収集先端の末端に磁力が働き磁性粒子を磁力により収集先端に収集できる。
【0022】
更に本発明の好ましい実施形態によると、その機構は上プレートの第一半分を移動させられる第一半分ボタンと上プレートの第二半分を移動させられる第二半分ボタンからなる作動装置ボタンを含む。
【0023】
更に本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも先端コネクターの一部が作動停止位と作動位間で切り替え可能であり、この作動位は先端コネクターが少なくとも一つの収集先端が接続すると試料の収集に利用できる位置に相当する。
【0024】
更に本発明の好ましい実施形態によると、下プレートは第一下プレート半分と第二下プレート半分からなり、第一下プレート半分はそれと連結した複数の先端コネクターを有し、下プレート半分の先端コネクターは作動位置に置かれる。
【0025】
更に本発明の好ましい実施形態によると、第二下プレート半分は作動停止位にある複数の先端コネクターを含み、本器具は更に先端コネクターを作動位に切り替える手段を有する。好ましくはその手段はロックボタンからなる。ロックボタンを解錠することにより第二下プレート半分が下方移動し、その結果対応先端コネクターーを作動停止位から作動位に切り替える。
【0026】
更に本発明の好ましい実施形態によると、本器具もまた使用先端を本器具から解除できる解除ボタンを含む。
【0027】
更に本発明の好ましい実施形態によると、解除ボタンを上プレート半分が低くなるように作動し、その結果磁性要素の遠位端を取り付け収集先端に押しつけ、収集先端を先端コネクターから解放させる。
【0028】
各先端コネクターを少なくとも一部を下プレートに内向けに押しつけて各先端コネクターの作動を停止するのは本発明の特徴である。一実施形態では各先端コネクターを下プレートから切断して各先端コネクターの作動を停止できるようになっている。他実施形態では先端コネクターと接続できるような複数のチューブ部材を備える。チューブ部材による追加長さによりこの取り付けチューブ部材を持つ先端コネクターのみが収集先端と連結できる効果をもたらす。更に他実施形態では先端コネクターの一部又全部が本器具本体内に押し込まれる。使用者は不必要なこれら先端コネクターを押すだけである。その結果先端ボックスから不必要な先端を手で除くステップを省くことができる。
【0029】
各磁性要素を先端コネクター内に下方移動して先端コネクターを作動位に切り替えさせる各先端コネクターの作動機構を備えるのは本発明の更なる特徴である。一実施形態ではスライド機構を備え、非作動状態ではコネクターは本器具本体内に位置する。磁性要素をコネクター内に下方移動すると、このコネクターを押して前もって決めた測定量だけ本器具本体から延びる。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によると、試料の収集移動用組み合わせ器具を提供することを含むマイクロタイタープレートからの試料の収集移動法を提供し、この器具を異なる大きさのマイクロタイタープレート使用に用いることに適し、且つ本器具が
(a)各半分が少なくとも上位と下位間で独立に移動可能な第一半分と第二半分からなる上プレートと、
(b)少なくとも一個の収集先端の取り付けを容易にするように連結した複数の先端コネクターを持つ下プレートと、
(c)近位端と遠位端をそれぞれが有する複数の試料収集部材と
(d)上プレートの第一半分と第二半分の少なくとも一つが上位と下位間で移動する機構からなり、
試料収集部材の近位端が上プレートの第一半分と第二半分により保持され、試料収集部材の遠位端が下プレートと連動できるようになっており、少なくとも上プレートの半分が上位から下位に移動して対応試料収集部材を下プレートに対して下方移動し、その結果少なくとも一つの試料をコネクターの一つに取り付けた収集先端で収集するのを容易にする方法からなる。
【0031】
本発明の更なる特徴と利点は以下に示す本発明の詳細説明からより容易に明らかになり理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
先ず本発明の好ましい実施形態による磁性粒子分離移動用の組み合わせピペッター12に関する種々の図を示す図1−8について述べる。
【0033】
器具12は二つのプレートからなる。即ち第一上プレート半分20aと第二上プレート半分20bからなりそれぞれが上位と下位間で移動可能な上プレートと、第一下プレート半分22aと第二下プレート半分22bからなる下プレートである。図14に上プレートが完成ユニットと見ることができるが、図1−4では上プレートの半分が他の半分に対して下方移動している。図14に示したように上プレートの両半分20aと20bは互いに形状的に補完し、更に以下に説明する。上プレートの両半分20aと20bは複数の磁性要素26の近位端26aを保持する複数開口部24を有し、一つ又は両半分20aと20bが下方移動すると、そこに保持された磁性要素26がそれに対応して下方移動する。磁性要素は独立には移動しないことが分かる。要素は上プレートとのみ移動する。
【0034】
器具12の作動用にこの半分90aと90bを有する作動ボタンを備える。作動ボタンの半分90aは上プレート半分20aと連結作動する。作動ボタンの半分90bは上プレート半分20bと連結作動する。作動すると上プレートの両半分20aと20bは二対の柱10に沿って下方にスライドする。
下プレートの両半分22aと22bは上プレートの両半分20aと20bと同様に互いに形状的に補完する。下プレートの両半分22aと22bの開口部は磁性要素26の遠位端26bを受け入れるためのものである。複数のコネクター34が下プレートの両半分22aと22b上に位置して少なくとも一つの収集先端を器具12に連結し易くする。
【0035】
図1では上プレートの第一半分に関連する8個の試料収集部材が下方移動している。上プレートの第二半分とそれに付随の8個の試料収集部材は上位に残る。
【0036】
好ましくは第一下プレート半分22aは非可動である。且つ下プレート半分22aの下境界上に位置するコネクター34が作動位置にある。(“作動位置”とはコネクターが取り付け収集先端と一緒に試料収集に使用できる位置にあることを意味する。)しかし第二下プレート半分22bは可動である。下プレート半分22bの下境界上に位置するコネクター34は最初作動停止位置にあり(作動停止又は非作動位置とはコネクターが試料収集に使用できない位置を意味する)、コネクター34は少なくともその一部を器具12の本体100内に位置する。下プレート半分22bが下方に移動すると、それに取り付けたコネクター34が下方移動し、作動位置をとる。
【0037】
ロックボタン92を備えることで下プレート半分22bに位置するコネクター34を使用者が作動停止位から作動位及びその逆に切り替えることができる。図5と6にロックボタン92を明瞭に示す。施錠位置aでは第一下プレート一半分22aのコネクター34のみが器具12本体100の外で作動位置にある(図5)。使用者が解錠位置bに切り替えると(図6)、第二下プレート半分22bのコネクター34が作動して、器具本体100の外にあることになる。ロックボタン92を位置aから位置bに切り替えることにより下プレート半分22bが下がり、その結果これと関連したコネクター34を器具本体から前もって決めた量だけ延ばす。
【0038】
ロックボタン92を解錠することにより半分の作動装置ボタン90bが使用できる。施錠位置aでは半分の作動装置ボタン90aだけを押して、上プレート半分20aだけを下方移動できる。解錠位置bでは半分の両ボタン90aと90bを両上プレート半分20aと20bを下げるように押すことができる。解錠位置bではチャネル94がロックボタン92と連動し、その結果半分の作動装置ボタン90bを下方移動できるが、施錠位置aではこの移動はロックボタン92により妨げられる。
【0039】
処理すべき試料数と位置決めにより使用者は器具12の一つだけか両半分を使用すべきかを決定する。図1−4ではロックボタン92が施錠位置aにあり従って上プレート半分20aと下プレート半分22aのみが使用される。図7と8ではロックボタン92が解錠位置bであり従って両上プレート半分20aと20bと両下プレート半分22aと22bが使用される。
【0040】
図示の器具では上プレート半分20aと20bはそれぞれ8個の磁性要素、全部で16個まで対応できる。1−8個の試料を処理する必要がある場合には、半分の作動装置ボタン90aのみの使用が必要である。8−16個の試料を処理する必要がある場合には、両半分の作動装置ボタン90aと90bを用いて上プレートの両半分を作動する。この器具は他の組み合わせの磁性要素も同様に、例えば上プレート半分のそれぞれが12個に対応するように設計できることが分かる。
【0041】
下プレート半分のそれぞれは上プレートが保持する磁性要素の遠位端を受け入れるように対応上プレート半分と整列する。これにより下プレート半分のそれぞれが対応上プレート半分と同数の開口部を有する。
【0042】
図2では上プレート半分20aが一部下方に移動している。下プレート半分22aと関連する8個のコネクター34が器具本体100の外側で作動しているのが分かる。上プレート半分20aを完全に下方移動すると、近位端26aで上プレート半分20aと連結した8個の磁性要素26が下プレート半分22a上のコネクター34を通して延びる(図3)。先端32(図3には示していない)はコネクター34に連結でき、先端の磁性要素26の遠位端26bの磁力により先端32上に磁性粒子を収集できる。(図4では実施例の目的のためだけに収集先端32を一個だけ図示する。)
【0043】
磁性粒子の収集には最先端部分に約30ミクロンかそれ以下の厚さの薄膜を持つ特別な収集先端を使用することが分かる。このような寸法の膜により試料への磁力を最大化でき、膜上のほぼ全ての磁性粒子に“押しボタン”を創生する。このことは以前本発明者による米国特許6、409、925に開示した。
【0044】
従って本器具操作において、8個又はそれ以下の試料を処理する場合、使用者は半分の作動装置ボタン90aを押して上プレート半分20aと関連磁性粒子26を下方移動させる。ボタン90aを押している間磁性粒子は、例えば取り付け収集先端を液体に懸濁した磁性粒子含有の穴に下げて収集できる。磁性粒子が収集先端32上の磁性要素26の遠位端26bの磁力によりその先端に引きつけられる。次いで本器具を目的容器に移動し半分の作動装置ボタン90aを解除し、磁性要素をその最初の位置に上方移動して先端から磁力を除く。かくして磁性粒子が先端から解放できる。
【0045】
使用先端を解除するには器具12に備わった解除ボタン96を内側に押すと、使用者は半分の作動装置ボタン90aを以前より更に下に押し下げることができる(図4)。従って上プレート半分20aは磁性粒子収集時より更に下に移動し、それに相当して磁性要素26は下方移動する。この働きにより磁性要素26の遠位端26bが先端32の末端に押しつけられコネクター34から解放できる。
【0046】
図7と8ではロックボタン92が解錠位置bにある。下プレート半分22aと22bのそれぞれで8個ずつ、全部で16個のコネクター34が作動する。両半分の作動装置ボタン90aと90bを押して両上プレート半分20aと20bを下げ、図示の実施例では16個の磁性要素26が16個の磁性粒子試料収集のためコネクター34(図8)を通して延びる。両半分の作動装置ボタン90aと90bを以前より更に押し込めることで使用先端は上述と同様に解除できる。
【0047】
使用者がマイクロタイタープレートの試料数と位置づけに従い使用すべきコネクターの数と組み合わせを選択できる。8個かそれ以下の試料の分離では本器具の第一の側だけの使用が必要である。9個と16個の間の試料を処理するときには本器具の第二半分が同様に使用する。
【0048】
使用者がいかなる数と組み合わせの試料を収集できるためには、本発明の器具は好ましくは少なくとも一部が使用者により作動停止できる先端コネクターを備えている。この場合収集先端を取り付ける前に、使用者は不必要な各コネクターを処理すべき試料数とプレート上の位置により決定して切断する。一例としてもし3個の試料だけの処理が必要な場合には、使用者は第一下プレート半分上に位置する8個のコネクターの内5個を作動停止する。(第二下プレート半分のコネクターは最初に非作動状態にし、作動停止する必要はない。)次いで残った組み合わせの3個のコネクターを用いて収集先端を本器具に取り付ける。
【0049】
本器具からコネクターの切り離しは、例えば各コネクターを下プレートにねじ込み且つねじりはずすねじ機構か他のいずれかの適切手段により達成できる。代わりに先端コネクターを一部又は完全に本器具の本体内部に押し込むこともできる。使用者が不必要なコネクターを押し込む。必要なときにコネクターを引き出すことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では磁性粒子を本器具の残部と別に備え、使用者が処理すべき試料数と組み合わせに従い磁性要素を本器具に挿入する。図1では例えば第二上プレート半分20b上には磁性要素26一個だけが存在する一方、第一上プレート半分20aは8個の磁性要素26を有する。図2―8では16個の磁性要素全てが存在する。
【0051】
本発明の組み合わせピペッター器具14用の第二の好ましい実施形態を図9a、9b、10a、10b及び11に関して説明する。この実施形態は以前の実施形態と同様な方法で作動し、異なる特徴のみを明らかにし以下に検討する。
【0052】
器具14は液体移動での使用に適し、複数のポンプ設備を含み、各ポンプ設備は上プレート20により保持した近位端70aと遠位端70bを持つピン70、下プレート22により維持した複数の吸引チューブ72、及び各吸引チューブ72内に移動可能に配置したピストン74を含む。記載ポンプ設備は技術的によく知られており容易に入手できることが分かる。この実施形態ではコネクター34は吸引チューブ72下部により規定される。
【0053】
本器具の“半分”だけが示されているが、この実施形態は以前のもののように好ましくは独立に操作できる二個の補完的半分からなる上プレートを含むことが分かる。従って8個のポンプ設備だけを示したが、本器具は好ましくは16個のポンプ設備を有し、そのうち8個が上プレートの各半分により作動する。同様に使用参照番号は20ではあるが、上プレートの半分だけが示されている。明快さを目的に簡単化形式だけを示す。しかし本実施形態及び他の記載形態も二個の代わりに一個の主可動部だけを有する上プレートを持つように容易に修正でき、その結果器具は図9aに類似する。この器具はより簡単化されるが組み合わせの目的には使用できない。
【0054】
上プレート20は前述の実施形態の作動装置ボタンと同様の方法で作動装置ボタン(図示してない)を操作して上位(図9a)と下位(図10a)間で切り替え可能である。上位ではピン70の遠位端70bは吸引チューブ72の頂上に位置する。(図9b参照。)上プレート70bを下げると、ピン70がピストン74を押しピストン74を吸引チューブ72内部に下方移動させる(図10aと10b)。作動装置ボタンを解除すると、上プレート20が上方移動し、ピン70が上移動しそれに対応してピストン74が後退する。これら事象のそれぞれが起こる度合いはコネクター34に取り付けた収集先端32に収集すべき液量により決まる。
【0055】
液体を収集先端32に収集するとき、ピストン74がチューブ72内に下がるように作動装置ボタンを押す。次いで先端を液体内に挿入し作動装置ボタンを解除し、その結果前もって決めた液量を吸引するように働く。液体を目標容器に放出するには、作動装置ボタンを再度押しピストン74を下方移動させ液体を収集先端に放出させる。
【0056】
使用先端の解除機構は前出実施形態の機構とは異なる。本実施形態では使用先端32を解放するには上プレート20をピン70の遠位端70bが吸引チューブ72を越えるように上方移動する(図11)。これは例えば作動装置ボタンを上げたり上プレート20に連結した外部スイッチにより達成できる。次いで下プレート22を例えばコネクター34が器具本体100内部に入るように外部スイッチにより上方移動する。コネクターが上方移動すると、先端32は器具本体100を押し、その結果先端が器具14から解放できる。
【0057】
本発明の組み合わせ器具用の第三の好ましい実施形態を図12、13及び14に示す。本実施形態は磁性粒子の分離移動用器具に関し、磁性粒子の収集機構が異なる以外は第一の実施形態と類似である。その違いを以下に更に説明する。
【0058】
上述の第一実施形態のある特徴は図12、13及び14を参考により良く理解評価できる。例えば上プレートと下プレート両者の両半分での相互補完性を知ることができる。各プレートの各半分は複数の突起60と84を含み、突起は磁性要素26の近位端aと遠位端26bを受け入れる開口部24と28を含む。図14に見られるように二個のプレート半分20aと20bは形状的に互いに補完し、各半分の突起は曲線接点端102に沿って他半分の突起に合致する。従って開口部24の全てが同じ長手方向軸に位置する。いずれかのプレート端に位置する開口部24を除けば、各開口部24は反対プレート半分の開口部と隣接対(それぞれの側で一つずつ)となる。
【0059】
図12と13に示した実施形態では、上プレート20の各半分は上の非作動位置から下の作動位置に切り替え可能である。好ましくは一個又は二個の外部スイッチを備えて上プレートの一つ又は両半分を作動位置に切り替える。作動位置では磁性要素26の遠位端26bは下プレート22の開口部28内部に位置する。上プレート20の各半分を二対の柱19に沿って移動させるようになっている。
下プレート22は三つの位置、即ち以下に更に説明するように収集前下位置、中間収集位置及び先端解除上位置間で切り替え可能である。三つの位置間で下プレート22の一つ又は両半分を切り替える機構16を備えている。
【0060】
機構16の操作前に、上プレート20の一つ又は両半分を対応磁性要素26が下方移動するように始動する。先ず下プレート22を収集前位置にする。次いで下プレート22の一つ又は両半分を中間収集位置にわずかに上げる。下プレートの一つ又は両半分22を上方移動するには、連動した作動装置ボタンの一つ又は両半分を押して一対の支持体18と連結した一対の歯車30を押し下げる連動機構16により達成される。
【0061】
歯車30が下方に動くと、支持体18は上方移動し、それと連結した下プレート半分22が上方に移動する。下プレート22が磁性要素26に対して上方移動するので、磁性要素26の遠位端26bは下プレート底部に位置するコネクター34に延び、取り付け収集先端32の末端に達し、その結果収集先端32の末端に磁力が働く。かくして磁性粒子が収集先端上に収集できる。
【0062】
図12では一個の磁性要素と収集先端のみが平易且つ明白な目的のために示す。図13では三個の磁性要素と収集先端32を示す。磁性粒子が目標容器に放出されるためには、作動装置ボタン又は半分のボタンを解除し下プレート22又は下プレート半分を収集前位置に戻し、その結果この下プレート22又は下プレート半分を下げ磁性要素26の遠位端26bをはずし、磁力を先端から除く。使用先端が解除されると、作動装置ボタンを以前より更に押して磁性要素26の遠位端26bを収集先端に押しつけ、解除させる。
【0063】
試料の収集と放出及び使用先端の解除が単一機構で行われることが分かる。これは本器具の設計の単純化と使いやすさに寄与し且つコストを低減するので非常に有益である。これは使用先端をピペッターから解除するのに別の機構の使用が必要な通常のピペッターとは大いに異なる。
【0064】
図13に収集先端が不必要な位置で本器具に取り付けられるのを防ぐ方法を示す。この場合チューブ部材50を分離すべき磁性粒子試料数と位置に従い使用者が収集先端の取り付けを望むコネクター34上に配置する。加えた長さにより使用者が本器具を先端ボックスに押し込むと、収集先端32が取り付けチューブ部材50を有するコネクター34だけに取り付けられる。余分の先端を使用しないことで分離工程が単純化され、先端が浪費されず且つ使用者は試料の経過をより容易に追跡できる。
【0065】
本器具操作中に磁性要素が上プレートに固定され上プレートが移動するときのみ移動することが分かる。この特徴により異なる数の穴を有するマイクロタイタープレートを持つ器具使用が容易になることが分かる。本発明に用いる磁性要素の種々の好ましい実施形態を図15a−15dについて説明する。
【0066】
本発明のある実施形態では、特に磁性要素をすでに器具に装填した場合には、磁性要素は好ましくは図15aに示したデザインを有する。この場合磁性要素26は磁性要素26の遠位端26bに位置する磁性部40を含む。磁性要素26の中間部はアルミニウムのような非磁性材で形成する。磁性要素26は又磁性要素26を器具の上プレート上に堅持するのを助ける近位端26aに位置したキャップ42を含む。磁性部40と非磁性部を連結するために好ましくはステンレススチール(又は他の適材)鞘(表示せず)を使用する。
【0067】
図15bに示した他の好ましい実施形態では、磁性要素26は遠位端26bに位置した磁性部40と同様にその近位端26aに位置した第二磁性部44を含む。この二つの磁性部は同じ大きさである。この場合上プレートは磁化可能材で形成した上プレートカバーを含む。従って磁性要素を本器具に挿入すると(例えば本器具の底部で先端コネクターを通して)、磁性要素の第二磁性部がカバーと接触して第二磁性部44による磁力がカバーに働いて上プレート上に保持される。
【0068】
図15cに示した好ましい実施形態は第二磁性部の代わりに磁性要素26が近位端26aに磁化可能部46を備える以外は図15bのものと同じである。この場合上プレートは磁性材で形成したカバーを備えるか上プレート自身を磁性材で形成し、磁化可能部と上プレート間で磁力を創生する。磁化可能部は例えば鉄で形成できる。
【0069】
更に他の好ましい実施形態では、磁性要素全体26が磁性材で形成する。この場合上プレートは磁化可能材で形成するか上プレートが磁化可能材で形成したカバーを有する。
【0070】
本発明の器具は磁性要素が器具の特定位置にあるかないかにより各コネクターを自動的に始動する手段を備えることができる。これを図16aと16bに示す。最初にコネクター34を器具本体100内部に配置する(図16a)。磁性要素26を下方移動するとコネクター34内部に入り直径が磁性要素26の幅よりやや小さいコネクター34の内部側壁と接触する。
【0071】
その結果磁性要素26がコネクター34を押し下げ器具本体100の外にでる。次いで磁性要素26の遠位端26bの上部104がコネクター34の上部106と連動して磁性要素26が更に下方移動するのを阻止する。磁性要素の移動許容距離とコネクターの下方移動範囲は磁性要素とコネクターが試料収集が可能なように器具本体から正確な量だけ延びるように前もって設定する。
【0072】
代わりに他の実施形態では、圧縮可能な輪をコネクター内に備える。この場合磁性要素を下方移動すると、コネクターの内壁に押しつけて輪を広げる。磁性要素を下方移動するとコネクターは一緒に下がる。磁性要素が参加したコネクターだけが作動する。
【0073】
前述の場合少なくとも一部の磁性要素は本器具とは別に備わり、使用者がマイクロタイタープレート上の試料数と位置に従い適切数の磁性要素を器具の必要位置に挿入する。他の好ましい実施形態では、磁性要素は前もって本器具内に内蔵されコネクターを前述の方法の一つにより作動又は作動停止できる。
【0074】
本発明の器具は限定はされないが96穴マイクロタイタープレート、384穴マイクロタイタープレート及び1536穴マイクロタイタープレートを含むいかなる大きさのマイクロタイタープレートでの使用に設計応用できる。5x5ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)プレートのような他のいかなる大きさのプレートにも適応できる。本発明は液体又は磁性粒子を異なる大きさのマイクロタイター間で移動するのに簡単で且つ使いやすい解決法を提供する。更に使用者が処理すべき試料の特定数と組み合わせを決定できる。
【0075】
本発明の器具を用いて磁性粒子か液体を標準96穴マイクロプレートの穴から標準384穴プレートのより小さい穴へ、且つその逆向きに移せることが分かる。この移動には二つの条件が必要である。即ち大きさと直径がより小さな穴に適合し且つ先端数と組み合わせが両マイクロタイタープレートの穴の大きさと配列に適合する必要がある。これが8個の先端或いは1乃至8個の範囲のいかなる組み合わせでも両マイクロタイタープレートに浸すことができる一方、16個の先端は384穴マイクロプレートにのみ適合できる理由である。このことは12個の先端にも適応され、1乃至12個範囲のいかなる組み合わせと数でも両マイクロタイタープレートに適合するが、上プレートの両半分を作動して12個先端の両組を用いると384穴マイクロプレートにのみ適合する24個の先端となる。
本発明の器具は上述のように手動又はステッピングモーターか電気作動装置による電動のいずれかで操作できる。一実施形態では一つの別モーターか複数のモーターを各プレートの各半分に備える。電動で作動する場合には適切な支えを持つ手動器具でも良いが、状況に応じてコンピューター制御の自動機械の一部でも良い。
【0076】
ある特定の実施形態について本発明を説明したが、その説明は制限を意味するのではなく、更なる修正はこの技術の熟知者には明白であることがわかり、且つ添付の特許請求の範囲内でこの修正が当てはまることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
実施形態に関して本発明をより良く理解するために付随図面が参照でき、図の同じような数字は全体を通して対応の要素と部分を指定する。
【図1】本発明の組み合わせ器具での第一の好ましい実施形態で、器具カバーを取り外したものの透視図を示す。
【図2】器具カバーを取り外し且つ器具の上プレート半分を一部下方移動した図1の器具の側面図を示す。
【図3】器具カバーを取り外し且つ器具の上プレート半分を磁性要素が先端コネクターから延びるように下方移動した図1の器具の側面図を示す。
【図4】器具カバーを取り外し且つ器具の上プレート半分を使用先端が器具から解放されるように更に下方移動した図1の器具の側面図を示す。
【図5】ロックボタンが施錠位置にある図1の器具の側面図を示す。
【図6】ロックボタンが開錠位置にある図1の器具の側面図を示す。
【図7】カバーを取り外し且つ先端コネクター全てが作動位にある図1の器具の側面図を示す。
【図8】カバーを取り外し且つ上プレートの両半分が低位置にある図1の器具の側面図。
【図9】aは本発明の組み合わせ器具での第二の好ましい実施形態の概略側面図を示し、bはaの器具での単一ポンプ設備の略図を示す。
【図10】aは器具の上プレート半分を下方移動した以外は図9bと同じであり、bはポンプ設備が異なる配置で示した以外は図9bと同じものである。
【図11】複数の使用先端が如何に器具から解除されるかを示す図9aの器具の更なる側面図を示す。
【図12】本発明の組み合わせ器具での第三の好ましい実施形態で、カバーを取り外したものの透視図を示す。
【図13】カバーを取り外した図12の器具の側面図を示す。
【図14】図12の器具の上プレートの平面図を示す。
【図15】本発明の組み合わせ器具でのある好ましい実施形態に用いた磁性要素に関する種々の好ましい実施形態の概略図を示す。
【図16】本発明のある好ましい実施形態での磁性要素による単一先端コネクター作動における逐次ステップの概略図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子及び/又は液体の分離及び/又は移動用器具に関する。より具体的には、本発明は異なる大きさのマイクロタイタープレートと一緒に用いることができる磁性粒子又は液体の分離及び/又は移動用のマルチコレクター型組み合わせピペッター器具に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性粒子は化学分子又は生体分子と組み合わせて種々の分離、精製及び単離技術に利用される。これらの技術では磁性粒子を単離、精製又は分離すべき生体試料中分子と特異的結合(“親和性結合”)を形成できる分子と連動する。この生体試料を次いで磁性粒子と接触させ、磁性粒子と結合したこれら生体分子を次いで磁場をかけて単離する。
【0003】
磁性微粒子やナノ粒子はDNA分子、タンパク質、細胞及びある場合には細胞内断片との結合に用いる。近年磁性微粒子が化学合成用固相として用いられた。微粒子はその大きさが0.5−10ミクロンであるが、ナノ粒子は0.05−0.3ミクロンである。
【0004】
種々の器具と方法が磁性粒子の分離と移動用に開発された。通常その利用法は二種に分けられる。第一の方法では専用の磁性浮遊容器を磁石と接触させ、粒子を磁石方向に移動させ、容器壁に付着させる。残留液をデカンテーションか吸引により容器から除く。
【0005】
第二の方法では保護プラスチック鞘か先端で覆った円筒状磁性棒を磁性懸濁物と直接接触させる。粒子がこの棒に捕獲されるが、液体は容器に残る。捕獲粒子のついた棒を他容器に移す。磁石を保護鞘から引き出すと、粒子がその先端から離脱して容器に入る。
【0006】
第二の方法は第一の方法に比べてより強力な磁場が粒子に直接かけられ、その結果粒子の殆ど全てが捕獲されるので有利である。他の利点は粒子を容易に第二の容器に移すことができ、供給源容器中の液体を除去する必要がなく、ワンステップが省かれることである。
【0007】
ツアンネン(Tuunanen)の欧州特許0787296では微粒子分離用の磁性棒器具が記載されている。本器具の先端は粒子を大容積から小容積に移すため円錐のような形をしている。しかし本器具は一回に一試料の分離にのみ有効である。
【0008】
ゴンビンスキー等(Gombinsky et al.)の米国特許6、409、925では磁性棒器具システムが記載され、このシステムの各器具が独立に制御される。従って磁性棒のどのような所望の組み合わせででも操作できる。このシステムの磁石は自動的に制御できる圧縮空気力により操作される。本システムにより特定組み合わせの磁性粒子が移動でき、従ってコンビネトリアル化学合成に使用できる。磁性板をマイクロタイタープレート下に備えて、磁性粒子の先端から穴の液体への移行を容易にする。
コルペラ(Korpela)の米国特許6、468、810では磁性微粒子の捕獲放出用の類似棒器具が記載されている。本器具での磁石はバネにより操作される。伸張可能な膜と同様に磁石を膜の第一側面と連結分離する手段を備え、操作時に解除できるように磁石を膜の第一側面に押しつけ、その結果膜を伸張し、磁力により微粒子を膜の第二側面に固定する。磁石を膜の第一側面から切り離すと、粒子が第二側面から放出される。
【0009】
上述文献の全てで磁性棒は電気、空圧、手動のいずれかにより静圧管内を移動する。磁石を覆う保護鞘か先端を静圧管端末に取り付け、外部機構、通常管外面に取り付けた手動腕により管からは引き離すか解放する。
【0010】
テリマー等(Telimaa et al.)の米国特許5、970、806は4.5mm間隔の16個のチャネルからなるマルチシリンダーピペットに関する。本ピペットは16x24、即ち384穴からなるプレートでの使用にのみ適する。
【0011】
アレン等(Allen et al.)の米国特許6、235、244は複数の先端接続具を持つ均等に拡張可能なマルチチャネルピペッターに関し、各隣接先端接続具間の間隔が実質的に等間隔なように間隔を調節できる。本器具はマトリックス社(Matrix)のイコライザー384TM(Equalizer 384TM)として知られており、異なる大きさのマイクロタイタープレート間で使用者が切り替えられる。先端接続具は互いにパンタグラフ型連動部のような連結部で取り付ける。その間隔は調節可能でスライド可能な止めにより制限する。一個の先端接続具へ取り付けた棒を引いたり押して等間隔に増減できる。しかしイコライザーは非常に複雑な器具で且つ非常に高価である。
【0012】
先行技術器具の欠点は異なる大きさのマイクロタイタープレートに使用できず、単一サイズのプレートでのみしか使用できないことである。8個のコネクター付きピペッター器具が96穴プレートで使用され、16個のコネクター付きピペッター器具が384穴プレートで使用される。欧州特許0787296では異なる大きさのマイクロタイタープレート間で粒子を移動できるが、単一磁性棒使用により行われ、組み合わせ用途では使用できない。
【0013】
上記のことを考えると異なる穴サイズのマイクロタイタプレートで使用でき、且つ使用者が分離移動すべき試料の正確な組み合わせを決定できる磁性粒子又は液体の分離移動用の組み合わせ器具の提供が望まれる。
【発明の開示】
【0014】
従って本発明の主目的は、異なる大きさのマイクロタイタープレート(又“マイクロウエルプレート”、“ナノプレート”或いは“ディープウエルプレート”としても知られる)、例えば96穴(8x12穴)や384穴(16x24穴)での使用に適する組み合わせピペッター器具を提供することである。勿論他の大きさのマイクロタイタープレートも可能である。本器具は磁性粒子の分離や液体の収集移動に使用できる。本器具は処理すべき試料の正確な数と位置決めを使用者が設定できる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、異なる大きさのマイクロタイタープレートでの使用に適する試料収集用組み合わせ器具を提供し、器具が
(a)、各半分が少なくとも上位と下位間で独立に移動可能な第一半分と第二半分からなる上プレートと、
(b)少なくとも一個の収集先端の取り付けを容易にするように連結した複数の先端コネクターを持つ下プレートと、
(c)それぞれが近位端と遠位端を有する複数の試料収集部材と
(d)上プレートの第一半分と第二半分の少なくとも一つが上位と下位間で移動する機構からなり、
試料収集部材の近位端が上プレートの第一半分と第二半分により保持され、試料収集部材の遠位端が下プレートと連動して、少なくとも上プレートの半分が上位から下位に移動すると、対応試料収集部材が下プレートに対して下方移動し、その結果少なくとも一つの試料をコネクターの一つに取り付けた収集先端で収集するのを容易にする。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によると、上プレートの第一半分と第二分がそれぞれ8個の試料収集部材、即ち全部で16個の試料収集部材に対応できるようにする。上プレートの第一半分(8個の試料収集部材)、上プレートの第二半分(8個の試料収集部材)又は両半分を一緒に(16個の試料収集部材)を動かして、使用者により磁性粒子か液体を96穴プレート(8穴を12列保有)から384穴プレート(16穴を24列保有)に移すことができる。
【0017】
或いは本発明の好ましい実施形態によると、上プレートの第一半分と第二半分をそれぞれ12個の試料収集部材、即ち24個の試料収集部材に対応するようにする。
【0018】
更に本発明の好ましい実施形態によると上プレートの第一半分と第二半分の各々は複数の突起を含み、第一半分の突起は両プレート半分が合致するように第二半分の突起を形状的に補完し、それぞれの突起は試料収集部材の近位端を受け入れる開口部を含む。
【0019】
更に本発明の実施形態によると、試料収集部材はピンを含み、下プレートは複数のポンプ設備、ポンプ設備低部を規定するコネクター、及び少なくとも上プレートの半分が液体をコネクターの一つに取り付けた収集先端に収集するように低位置に移動したときポンプ設備と連動して作動するピンを含む。
【0020】
更に本発明の好ましい実施形態によると、試料収集部材は棒型磁性要素を含む。
【0021】
更に本発明の好ましい実施形態によると、この低位置は磁性要素の遠位端が下プレートを通して延びて先端コネクターに入る位置に相当し、その結果収集先端が先端コネクターに接続すると、磁性要素の遠位端により収集先端の末端に磁力が働き磁性粒子を磁力により収集先端に収集できる。
【0022】
更に本発明の好ましい実施形態によると、その機構は上プレートの第一半分を移動させられる第一半分ボタンと上プレートの第二半分を移動させられる第二半分ボタンからなる作動装置ボタンを含む。
【0023】
更に本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも先端コネクターの一部が作動停止位と作動位間で切り替え可能であり、この作動位は先端コネクターが少なくとも一つの収集先端が接続すると試料の収集に利用できる位置に相当する。
【0024】
更に本発明の好ましい実施形態によると、下プレートは第一下プレート半分と第二下プレート半分からなり、第一下プレート半分はそれと連結した複数の先端コネクターを有し、下プレート半分の先端コネクターは作動位置に置かれる。
【0025】
更に本発明の好ましい実施形態によると、第二下プレート半分は作動停止位にある複数の先端コネクターを含み、本器具は更に先端コネクターを作動位に切り替える手段を有する。好ましくはその手段はロックボタンからなる。ロックボタンを解錠することにより第二下プレート半分が下方移動し、その結果対応先端コネクターーを作動停止位から作動位に切り替える。
【0026】
更に本発明の好ましい実施形態によると、本器具もまた使用先端を本器具から解除できる解除ボタンを含む。
【0027】
更に本発明の好ましい実施形態によると、解除ボタンを上プレート半分が低くなるように作動し、その結果磁性要素の遠位端を取り付け収集先端に押しつけ、収集先端を先端コネクターから解放させる。
【0028】
各先端コネクターを少なくとも一部を下プレートに内向けに押しつけて各先端コネクターの作動を停止するのは本発明の特徴である。一実施形態では各先端コネクターを下プレートから切断して各先端コネクターの作動を停止できるようになっている。他実施形態では先端コネクターと接続できるような複数のチューブ部材を備える。チューブ部材による追加長さによりこの取り付けチューブ部材を持つ先端コネクターのみが収集先端と連結できる効果をもたらす。更に他実施形態では先端コネクターの一部又全部が本器具本体内に押し込まれる。使用者は不必要なこれら先端コネクターを押すだけである。その結果先端ボックスから不必要な先端を手で除くステップを省くことができる。
【0029】
各磁性要素を先端コネクター内に下方移動して先端コネクターを作動位に切り替えさせる各先端コネクターの作動機構を備えるのは本発明の更なる特徴である。一実施形態ではスライド機構を備え、非作動状態ではコネクターは本器具本体内に位置する。磁性要素をコネクター内に下方移動すると、このコネクターを押して前もって決めた測定量だけ本器具本体から延びる。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によると、試料の収集移動用組み合わせ器具を提供することを含むマイクロタイタープレートからの試料の収集移動法を提供し、この器具を異なる大きさのマイクロタイタープレート使用に用いることに適し、且つ本器具が
(a)各半分が少なくとも上位と下位間で独立に移動可能な第一半分と第二半分からなる上プレートと、
(b)少なくとも一個の収集先端の取り付けを容易にするように連結した複数の先端コネクターを持つ下プレートと、
(c)近位端と遠位端をそれぞれが有する複数の試料収集部材と
(d)上プレートの第一半分と第二半分の少なくとも一つが上位と下位間で移動する機構からなり、
試料収集部材の近位端が上プレートの第一半分と第二半分により保持され、試料収集部材の遠位端が下プレートと連動できるようになっており、少なくとも上プレートの半分が上位から下位に移動して対応試料収集部材を下プレートに対して下方移動し、その結果少なくとも一つの試料をコネクターの一つに取り付けた収集先端で収集するのを容易にする方法からなる。
【0031】
本発明の更なる特徴と利点は以下に示す本発明の詳細説明からより容易に明らかになり理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
先ず本発明の好ましい実施形態による磁性粒子分離移動用の組み合わせピペッター12に関する種々の図を示す図1−8について述べる。
【0033】
器具12は二つのプレートからなる。即ち第一上プレート半分20aと第二上プレート半分20bからなりそれぞれが上位と下位間で移動可能な上プレートと、第一下プレート半分22aと第二下プレート半分22bからなる下プレートである。図14に上プレートが完成ユニットと見ることができるが、図1−4では上プレートの半分が他の半分に対して下方移動している。図14に示したように上プレートの両半分20aと20bは互いに形状的に補完し、更に以下に説明する。上プレートの両半分20aと20bは複数の磁性要素26の近位端26aを保持する複数開口部24を有し、一つ又は両半分20aと20bが下方移動すると、そこに保持された磁性要素26がそれに対応して下方移動する。磁性要素は独立には移動しないことが分かる。要素は上プレートとのみ移動する。
【0034】
器具12の作動用にこの半分90aと90bを有する作動ボタンを備える。作動ボタンの半分90aは上プレート半分20aと連結作動する。作動ボタンの半分90bは上プレート半分20bと連結作動する。作動すると上プレートの両半分20aと20bは二対の柱10に沿って下方にスライドする。
下プレートの両半分22aと22bは上プレートの両半分20aと20bと同様に互いに形状的に補完する。下プレートの両半分22aと22bの開口部は磁性要素26の遠位端26bを受け入れるためのものである。複数のコネクター34が下プレートの両半分22aと22b上に位置して少なくとも一つの収集先端を器具12に連結し易くする。
【0035】
図1では上プレートの第一半分に関連する8個の試料収集部材が下方移動している。上プレートの第二半分とそれに付随の8個の試料収集部材は上位に残る。
【0036】
好ましくは第一下プレート半分22aは非可動である。且つ下プレート半分22aの下境界上に位置するコネクター34が作動位置にある。(“作動位置”とはコネクターが取り付け収集先端と一緒に試料収集に使用できる位置にあることを意味する。)しかし第二下プレート半分22bは可動である。下プレート半分22bの下境界上に位置するコネクター34は最初作動停止位置にあり(作動停止又は非作動位置とはコネクターが試料収集に使用できない位置を意味する)、コネクター34は少なくともその一部を器具12の本体100内に位置する。下プレート半分22bが下方に移動すると、それに取り付けたコネクター34が下方移動し、作動位置をとる。
【0037】
ロックボタン92を備えることで下プレート半分22bに位置するコネクター34を使用者が作動停止位から作動位及びその逆に切り替えることができる。図5と6にロックボタン92を明瞭に示す。施錠位置aでは第一下プレート一半分22aのコネクター34のみが器具12本体100の外で作動位置にある(図5)。使用者が解錠位置bに切り替えると(図6)、第二下プレート半分22bのコネクター34が作動して、器具本体100の外にあることになる。ロックボタン92を位置aから位置bに切り替えることにより下プレート半分22bが下がり、その結果これと関連したコネクター34を器具本体から前もって決めた量だけ延ばす。
【0038】
ロックボタン92を解錠することにより半分の作動装置ボタン90bが使用できる。施錠位置aでは半分の作動装置ボタン90aだけを押して、上プレート半分20aだけを下方移動できる。解錠位置bでは半分の両ボタン90aと90bを両上プレート半分20aと20bを下げるように押すことができる。解錠位置bではチャネル94がロックボタン92と連動し、その結果半分の作動装置ボタン90bを下方移動できるが、施錠位置aではこの移動はロックボタン92により妨げられる。
【0039】
処理すべき試料数と位置決めにより使用者は器具12の一つだけか両半分を使用すべきかを決定する。図1−4ではロックボタン92が施錠位置aにあり従って上プレート半分20aと下プレート半分22aのみが使用される。図7と8ではロックボタン92が解錠位置bであり従って両上プレート半分20aと20bと両下プレート半分22aと22bが使用される。
【0040】
図示の器具では上プレート半分20aと20bはそれぞれ8個の磁性要素、全部で16個まで対応できる。1−8個の試料を処理する必要がある場合には、半分の作動装置ボタン90aのみの使用が必要である。8−16個の試料を処理する必要がある場合には、両半分の作動装置ボタン90aと90bを用いて上プレートの両半分を作動する。この器具は他の組み合わせの磁性要素も同様に、例えば上プレート半分のそれぞれが12個に対応するように設計できることが分かる。
【0041】
下プレート半分のそれぞれは上プレートが保持する磁性要素の遠位端を受け入れるように対応上プレート半分と整列する。これにより下プレート半分のそれぞれが対応上プレート半分と同数の開口部を有する。
【0042】
図2では上プレート半分20aが一部下方に移動している。下プレート半分22aと関連する8個のコネクター34が器具本体100の外側で作動しているのが分かる。上プレート半分20aを完全に下方移動すると、近位端26aで上プレート半分20aと連結した8個の磁性要素26が下プレート半分22a上のコネクター34を通して延びる(図3)。先端32(図3には示していない)はコネクター34に連結でき、先端の磁性要素26の遠位端26bの磁力により先端32上に磁性粒子を収集できる。(図4では実施例の目的のためだけに収集先端32を一個だけ図示する。)
【0043】
磁性粒子の収集には最先端部分に約30ミクロンかそれ以下の厚さの薄膜を持つ特別な収集先端を使用することが分かる。このような寸法の膜により試料への磁力を最大化でき、膜上のほぼ全ての磁性粒子に“押しボタン”を創生する。このことは以前本発明者による米国特許6、409、925に開示した。
【0044】
従って本器具操作において、8個又はそれ以下の試料を処理する場合、使用者は半分の作動装置ボタン90aを押して上プレート半分20aと関連磁性粒子26を下方移動させる。ボタン90aを押している間磁性粒子は、例えば取り付け収集先端を液体に懸濁した磁性粒子含有の穴に下げて収集できる。磁性粒子が収集先端32上の磁性要素26の遠位端26bの磁力によりその先端に引きつけられる。次いで本器具を目的容器に移動し半分の作動装置ボタン90aを解除し、磁性要素をその最初の位置に上方移動して先端から磁力を除く。かくして磁性粒子が先端から解放できる。
【0045】
使用先端を解除するには器具12に備わった解除ボタン96を内側に押すと、使用者は半分の作動装置ボタン90aを以前より更に下に押し下げることができる(図4)。従って上プレート半分20aは磁性粒子収集時より更に下に移動し、それに相当して磁性要素26は下方移動する。この働きにより磁性要素26の遠位端26bが先端32の末端に押しつけられコネクター34から解放できる。
【0046】
図7と8ではロックボタン92が解錠位置bにある。下プレート半分22aと22bのそれぞれで8個ずつ、全部で16個のコネクター34が作動する。両半分の作動装置ボタン90aと90bを押して両上プレート半分20aと20bを下げ、図示の実施例では16個の磁性要素26が16個の磁性粒子試料収集のためコネクター34(図8)を通して延びる。両半分の作動装置ボタン90aと90bを以前より更に押し込めることで使用先端は上述と同様に解除できる。
【0047】
使用者がマイクロタイタープレートの試料数と位置づけに従い使用すべきコネクターの数と組み合わせを選択できる。8個かそれ以下の試料の分離では本器具の第一の側だけの使用が必要である。9個と16個の間の試料を処理するときには本器具の第二半分が同様に使用する。
【0048】
使用者がいかなる数と組み合わせの試料を収集できるためには、本発明の器具は好ましくは少なくとも一部が使用者により作動停止できる先端コネクターを備えている。この場合収集先端を取り付ける前に、使用者は不必要な各コネクターを処理すべき試料数とプレート上の位置により決定して切断する。一例としてもし3個の試料だけの処理が必要な場合には、使用者は第一下プレート半分上に位置する8個のコネクターの内5個を作動停止する。(第二下プレート半分のコネクターは最初に非作動状態にし、作動停止する必要はない。)次いで残った組み合わせの3個のコネクターを用いて収集先端を本器具に取り付ける。
【0049】
本器具からコネクターの切り離しは、例えば各コネクターを下プレートにねじ込み且つねじりはずすねじ機構か他のいずれかの適切手段により達成できる。代わりに先端コネクターを一部又は完全に本器具の本体内部に押し込むこともできる。使用者が不必要なコネクターを押し込む。必要なときにコネクターを引き出すことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では磁性粒子を本器具の残部と別に備え、使用者が処理すべき試料数と組み合わせに従い磁性要素を本器具に挿入する。図1では例えば第二上プレート半分20b上には磁性要素26一個だけが存在する一方、第一上プレート半分20aは8個の磁性要素26を有する。図2―8では16個の磁性要素全てが存在する。
【0051】
本発明の組み合わせピペッター器具14用の第二の好ましい実施形態を図9a、9b、10a、10b及び11に関して説明する。この実施形態は以前の実施形態と同様な方法で作動し、異なる特徴のみを明らかにし以下に検討する。
【0052】
器具14は液体移動での使用に適し、複数のポンプ設備を含み、各ポンプ設備は上プレート20により保持した近位端70aと遠位端70bを持つピン70、下プレート22により維持した複数の吸引チューブ72、及び各吸引チューブ72内に移動可能に配置したピストン74を含む。記載ポンプ設備は技術的によく知られており容易に入手できることが分かる。この実施形態ではコネクター34は吸引チューブ72下部により規定される。
【0053】
本器具の“半分”だけが示されているが、この実施形態は以前のもののように好ましくは独立に操作できる二個の補完的半分からなる上プレートを含むことが分かる。従って8個のポンプ設備だけを示したが、本器具は好ましくは16個のポンプ設備を有し、そのうち8個が上プレートの各半分により作動する。同様に使用参照番号は20ではあるが、上プレートの半分だけが示されている。明快さを目的に簡単化形式だけを示す。しかし本実施形態及び他の記載形態も二個の代わりに一個の主可動部だけを有する上プレートを持つように容易に修正でき、その結果器具は図9aに類似する。この器具はより簡単化されるが組み合わせの目的には使用できない。
【0054】
上プレート20は前述の実施形態の作動装置ボタンと同様の方法で作動装置ボタン(図示してない)を操作して上位(図9a)と下位(図10a)間で切り替え可能である。上位ではピン70の遠位端70bは吸引チューブ72の頂上に位置する。(図9b参照。)上プレート70bを下げると、ピン70がピストン74を押しピストン74を吸引チューブ72内部に下方移動させる(図10aと10b)。作動装置ボタンを解除すると、上プレート20が上方移動し、ピン70が上移動しそれに対応してピストン74が後退する。これら事象のそれぞれが起こる度合いはコネクター34に取り付けた収集先端32に収集すべき液量により決まる。
【0055】
液体を収集先端32に収集するとき、ピストン74がチューブ72内に下がるように作動装置ボタンを押す。次いで先端を液体内に挿入し作動装置ボタンを解除し、その結果前もって決めた液量を吸引するように働く。液体を目標容器に放出するには、作動装置ボタンを再度押しピストン74を下方移動させ液体を収集先端に放出させる。
【0056】
使用先端の解除機構は前出実施形態の機構とは異なる。本実施形態では使用先端32を解放するには上プレート20をピン70の遠位端70bが吸引チューブ72を越えるように上方移動する(図11)。これは例えば作動装置ボタンを上げたり上プレート20に連結した外部スイッチにより達成できる。次いで下プレート22を例えばコネクター34が器具本体100内部に入るように外部スイッチにより上方移動する。コネクターが上方移動すると、先端32は器具本体100を押し、その結果先端が器具14から解放できる。
【0057】
本発明の組み合わせ器具用の第三の好ましい実施形態を図12、13及び14に示す。本実施形態は磁性粒子の分離移動用器具に関し、磁性粒子の収集機構が異なる以外は第一の実施形態と類似である。その違いを以下に更に説明する。
【0058】
上述の第一実施形態のある特徴は図12、13及び14を参考により良く理解評価できる。例えば上プレートと下プレート両者の両半分での相互補完性を知ることができる。各プレートの各半分は複数の突起60と84を含み、突起は磁性要素26の近位端aと遠位端26bを受け入れる開口部24と28を含む。図14に見られるように二個のプレート半分20aと20bは形状的に互いに補完し、各半分の突起は曲線接点端102に沿って他半分の突起に合致する。従って開口部24の全てが同じ長手方向軸に位置する。いずれかのプレート端に位置する開口部24を除けば、各開口部24は反対プレート半分の開口部と隣接対(それぞれの側で一つずつ)となる。
【0059】
図12と13に示した実施形態では、上プレート20の各半分は上の非作動位置から下の作動位置に切り替え可能である。好ましくは一個又は二個の外部スイッチを備えて上プレートの一つ又は両半分を作動位置に切り替える。作動位置では磁性要素26の遠位端26bは下プレート22の開口部28内部に位置する。上プレート20の各半分を二対の柱19に沿って移動させるようになっている。
下プレート22は三つの位置、即ち以下に更に説明するように収集前下位置、中間収集位置及び先端解除上位置間で切り替え可能である。三つの位置間で下プレート22の一つ又は両半分を切り替える機構16を備えている。
【0060】
機構16の操作前に、上プレート20の一つ又は両半分を対応磁性要素26が下方移動するように始動する。先ず下プレート22を収集前位置にする。次いで下プレート22の一つ又は両半分を中間収集位置にわずかに上げる。下プレートの一つ又は両半分22を上方移動するには、連動した作動装置ボタンの一つ又は両半分を押して一対の支持体18と連結した一対の歯車30を押し下げる連動機構16により達成される。
【0061】
歯車30が下方に動くと、支持体18は上方移動し、それと連結した下プレート半分22が上方に移動する。下プレート22が磁性要素26に対して上方移動するので、磁性要素26の遠位端26bは下プレート底部に位置するコネクター34に延び、取り付け収集先端32の末端に達し、その結果収集先端32の末端に磁力が働く。かくして磁性粒子が収集先端上に収集できる。
【0062】
図12では一個の磁性要素と収集先端のみが平易且つ明白な目的のために示す。図13では三個の磁性要素と収集先端32を示す。磁性粒子が目標容器に放出されるためには、作動装置ボタン又は半分のボタンを解除し下プレート22又は下プレート半分を収集前位置に戻し、その結果この下プレート22又は下プレート半分を下げ磁性要素26の遠位端26bをはずし、磁力を先端から除く。使用先端が解除されると、作動装置ボタンを以前より更に押して磁性要素26の遠位端26bを収集先端に押しつけ、解除させる。
【0063】
試料の収集と放出及び使用先端の解除が単一機構で行われることが分かる。これは本器具の設計の単純化と使いやすさに寄与し且つコストを低減するので非常に有益である。これは使用先端をピペッターから解除するのに別の機構の使用が必要な通常のピペッターとは大いに異なる。
【0064】
図13に収集先端が不必要な位置で本器具に取り付けられるのを防ぐ方法を示す。この場合チューブ部材50を分離すべき磁性粒子試料数と位置に従い使用者が収集先端の取り付けを望むコネクター34上に配置する。加えた長さにより使用者が本器具を先端ボックスに押し込むと、収集先端32が取り付けチューブ部材50を有するコネクター34だけに取り付けられる。余分の先端を使用しないことで分離工程が単純化され、先端が浪費されず且つ使用者は試料の経過をより容易に追跡できる。
【0065】
本器具操作中に磁性要素が上プレートに固定され上プレートが移動するときのみ移動することが分かる。この特徴により異なる数の穴を有するマイクロタイタープレートを持つ器具使用が容易になることが分かる。本発明に用いる磁性要素の種々の好ましい実施形態を図15a−15dについて説明する。
【0066】
本発明のある実施形態では、特に磁性要素をすでに器具に装填した場合には、磁性要素は好ましくは図15aに示したデザインを有する。この場合磁性要素26は磁性要素26の遠位端26bに位置する磁性部40を含む。磁性要素26の中間部はアルミニウムのような非磁性材で形成する。磁性要素26は又磁性要素26を器具の上プレート上に堅持するのを助ける近位端26aに位置したキャップ42を含む。磁性部40と非磁性部を連結するために好ましくはステンレススチール(又は他の適材)鞘(表示せず)を使用する。
【0067】
図15bに示した他の好ましい実施形態では、磁性要素26は遠位端26bに位置した磁性部40と同様にその近位端26aに位置した第二磁性部44を含む。この二つの磁性部は同じ大きさである。この場合上プレートは磁化可能材で形成した上プレートカバーを含む。従って磁性要素を本器具に挿入すると(例えば本器具の底部で先端コネクターを通して)、磁性要素の第二磁性部がカバーと接触して第二磁性部44による磁力がカバーに働いて上プレート上に保持される。
【0068】
図15cに示した好ましい実施形態は第二磁性部の代わりに磁性要素26が近位端26aに磁化可能部46を備える以外は図15bのものと同じである。この場合上プレートは磁性材で形成したカバーを備えるか上プレート自身を磁性材で形成し、磁化可能部と上プレート間で磁力を創生する。磁化可能部は例えば鉄で形成できる。
【0069】
更に他の好ましい実施形態では、磁性要素全体26が磁性材で形成する。この場合上プレートは磁化可能材で形成するか上プレートが磁化可能材で形成したカバーを有する。
【0070】
本発明の器具は磁性要素が器具の特定位置にあるかないかにより各コネクターを自動的に始動する手段を備えることができる。これを図16aと16bに示す。最初にコネクター34を器具本体100内部に配置する(図16a)。磁性要素26を下方移動するとコネクター34内部に入り直径が磁性要素26の幅よりやや小さいコネクター34の内部側壁と接触する。
【0071】
その結果磁性要素26がコネクター34を押し下げ器具本体100の外にでる。次いで磁性要素26の遠位端26bの上部104がコネクター34の上部106と連動して磁性要素26が更に下方移動するのを阻止する。磁性要素の移動許容距離とコネクターの下方移動範囲は磁性要素とコネクターが試料収集が可能なように器具本体から正確な量だけ延びるように前もって設定する。
【0072】
代わりに他の実施形態では、圧縮可能な輪をコネクター内に備える。この場合磁性要素を下方移動すると、コネクターの内壁に押しつけて輪を広げる。磁性要素を下方移動するとコネクターは一緒に下がる。磁性要素が参加したコネクターだけが作動する。
【0073】
前述の場合少なくとも一部の磁性要素は本器具とは別に備わり、使用者がマイクロタイタープレート上の試料数と位置に従い適切数の磁性要素を器具の必要位置に挿入する。他の好ましい実施形態では、磁性要素は前もって本器具内に内蔵されコネクターを前述の方法の一つにより作動又は作動停止できる。
【0074】
本発明の器具は限定はされないが96穴マイクロタイタープレート、384穴マイクロタイタープレート及び1536穴マイクロタイタープレートを含むいかなる大きさのマイクロタイタープレートでの使用に設計応用できる。5x5ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)プレートのような他のいかなる大きさのプレートにも適応できる。本発明は液体又は磁性粒子を異なる大きさのマイクロタイター間で移動するのに簡単で且つ使いやすい解決法を提供する。更に使用者が処理すべき試料の特定数と組み合わせを決定できる。
【0075】
本発明の器具を用いて磁性粒子か液体を標準96穴マイクロプレートの穴から標準384穴プレートのより小さい穴へ、且つその逆向きに移せることが分かる。この移動には二つの条件が必要である。即ち大きさと直径がより小さな穴に適合し且つ先端数と組み合わせが両マイクロタイタープレートの穴の大きさと配列に適合する必要がある。これが8個の先端或いは1乃至8個の範囲のいかなる組み合わせでも両マイクロタイタープレートに浸すことができる一方、16個の先端は384穴マイクロプレートにのみ適合できる理由である。このことは12個の先端にも適応され、1乃至12個範囲のいかなる組み合わせと数でも両マイクロタイタープレートに適合するが、上プレートの両半分を作動して12個先端の両組を用いると384穴マイクロプレートにのみ適合する24個の先端となる。
本発明の器具は上述のように手動又はステッピングモーターか電気作動装置による電動のいずれかで操作できる。一実施形態では一つの別モーターか複数のモーターを各プレートの各半分に備える。電動で作動する場合には適切な支えを持つ手動器具でも良いが、状況に応じてコンピューター制御の自動機械の一部でも良い。
【0076】
ある特定の実施形態について本発明を説明したが、その説明は制限を意味するのではなく、更なる修正はこの技術の熟知者には明白であることがわかり、且つ添付の特許請求の範囲内でこの修正が当てはまることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
実施形態に関して本発明をより良く理解するために付随図面が参照でき、図の同じような数字は全体を通して対応の要素と部分を指定する。
【図1】本発明の組み合わせ器具での第一の好ましい実施形態で、器具カバーを取り外したものの透視図を示す。
【図2】器具カバーを取り外し且つ器具の上プレート半分を一部下方移動した図1の器具の側面図を示す。
【図3】器具カバーを取り外し且つ器具の上プレート半分を磁性要素が先端コネクターから延びるように下方移動した図1の器具の側面図を示す。
【図4】器具カバーを取り外し且つ器具の上プレート半分を使用先端が器具から解放されるように更に下方移動した図1の器具の側面図を示す。
【図5】ロックボタンが施錠位置にある図1の器具の側面図を示す。
【図6】ロックボタンが開錠位置にある図1の器具の側面図を示す。
【図7】カバーを取り外し且つ先端コネクター全てが作動位にある図1の器具の側面図を示す。
【図8】カバーを取り外し且つ上プレートの両半分が低位置にある図1の器具の側面図。
【図9】aは本発明の組み合わせ器具での第二の好ましい実施形態の概略側面図を示し、bはaの器具での単一ポンプ設備の略図を示す。
【図10】aは器具の上プレート半分を下方移動した以外は図9bと同じであり、bはポンプ設備が異なる配置で示した以外は図9bと同じものである。
【図11】複数の使用先端が如何に器具から解除されるかを示す図9aの器具の更なる側面図を示す。
【図12】本発明の組み合わせ器具での第三の好ましい実施形態で、カバーを取り外したものの透視図を示す。
【図13】カバーを取り外した図12の器具の側面図を示す。
【図14】図12の器具の上プレートの平面図を示す。
【図15】本発明の組み合わせ器具でのある好ましい実施形態に用いた磁性要素に関する種々の好ましい実施形態の概略図を示す。
【図16】本発明のある好ましい実施形態での磁性要素による単一先端コネクター作動における逐次ステップの概略図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料収集用の組み合わせ器具で、この器具が異なる大きさのマイクロタイタープレートとの使用に適し、
(a)半分のそれぞれが少なくとも上位と下位間で独立に移動可能な第一半分と第二半分からなる上プレートと、
(b)少なくとも一個の収集先端の取り付けを容易にするように連結した複数の先端コネクターを持つ下プレートと、
(c)近位端と遠位端をそれぞれが有する複数の試料収集部材と
(d)上プレートの第一半分と第二半分の少なくとも一つが上位と下位間で移動する機構からなり、
この試料収集部材の近位端がこの上プレートの第一半分と第二半分により保持され、試料収集部材の遠位端がこの下プレートと連動して、少なくとも上プレートの半分が上位から下位に移動したとき、対応試料収集部材が下プレートに対して下方移動し、その結果少なくとも一つの試料をコネクターの一つに取り付けた収集先端に収集するのを容易にする器具。
【請求項2】
この上プレートの第一半分と第二半分のそれぞれが8個の試料収集部材、即ち全部で16個の試料収集部材に対応できる請求項1による器具。
【請求項3】
この上プレートの第一半分と第二半分のそれぞれが12個の試料収集部材、即ち全部で16個の試料収集部材に対応できる請求項1による器具。
【請求項4】
この上プレートの第一半分と第二半分のそれぞれが複数の突起を含み、第一半分の突起が両プレートの半分が整合するように第二半分の突起を補完し、この突起のそれぞれが試料収集部材の近位端を受け入れる開口部を含む請求項1による器具。
【請求項5】
試料収集部材がピンを含み且つ下プレートが複数のポンプ設備を含み、少なくともこの上プレートの半分が液体をコネクターの一つに取り付けた収集先端に収集できるよう下位に移動したとき、このピンがポンプ設備と連動し、かつ作動するのに適した請求項1による器具。
【請求項6】
試料収集部材が棒状磁性要素を含む請求項1による器具。
【請求項7】
この下位が磁性要素の遠位端が下プレートを通して延び先端コネクターに入る位置に対応し、その結果収集先端が先端コネクターに取り付けられると、磁性要素の磁性粒子が磁力により収集先端に収集できるように、磁力が遠位端により収集先端の末端に働く請求項6による器具。
【請求項8】
機構が作動装置ボタンを含み、この作動装置ボタンは上プレートの第一半分の移動を可能にする半分の第一ボタンと、上プレートの第二半分の移動を可能にする半分の第二ボタンからなる請求項6による器具。
【請求項9】
少なくとも先端コネクターの一部が非作動位と作動位間で切り替え可能で、この作動位が少なくと一個の収集先端を取り付けたときこの先端コネクターを試料収集に使用できる位置に対応する請求項6による器具。
【請求項10】
下プレートが第一下プレート半分と第二下プレート半分からなり、この第一下プレート半分がそれに連結した複数の先端コネクターを有すし、先端コネクターが作動位にある請求項9による器具。
【請求項11】
第二下プレート半分が非作動位にある複数の先端コネクターを含み、器具が更にこの先端コネクターを作動位に切り替える手段を含む請求項10による器具。
【請求項12】
この手段がロックボタンを含み、ロックボタンを解錠すると第二下プレート半分を下方移動させ、その結果対応先端コネクターを非作動位から作動位に切り替える請求項11による器具。
【請求項13】
更に使用先端を本器具から解除できる解除ボタンを含み、この解除ボタンが両上プレート半分を下げて磁性要素の遠位端が取り付け収集先端を押して収集先端を先端コネクターから解放できるようになることにより作動する請求項6による器具。
【請求項14】
磁性要素がその近位端と遠位端両者で磁性部を持つ棒からなり、棒中間部が非磁性材からなり、更に上プレートが磁性要素の近位端を保持するようにその上まで延びた磁化可能なカバーからなる請求項6による器具。
【請求項15】
磁性要素が遠位端に磁性部を近位端に磁化可能部を持つ棒からなり、棒中間部が非磁性材からなり、更に上プレートが磁性要素の近位端を保持するようにその上までのびた磁気カバーからなる請求項6による器具。
【請求項16】
磁性要素がその遠位端に磁性部、その近位端にキャップ及びこの磁性部と磁性要素の残部間を連結する鞘からなる請求項6による器具。
【請求項17】
各先端コネクターを少なくとも一部を下プレートに押して各先端コネクターを作動停止させる請求項6による器具。
【請求項18】
各先端コネクターを下プレートから切り離し各先端コネクターを作動停止させる請求項6による器具。
【請求項19】
各磁性要素を下げて先端コネクターに入れて先端コネクターを作動位に切り替える各先端コネクター作動用機構を更に含む請求項6による器具。
【請求項20】
試料をマイクロタイタープレートから収集移動する方法で、試料の収集移動用の組み合わせ器具を提供し、この器具が異なる大きさのマイクロタイタープレートでの使用に適応し、この器具が
(a)半分のそれぞれが少なくとも上位と下位間で独立に移動可能な第一半分と第二半分からなる上プレートと、
(b)少なくとも一個の収集先端の取り付けを容易にするように連結した複数の先端コネクターを持つ下プレートと、
(c)近位端と遠位端をそれぞれが有する複数の試料収集部材と
(d)上プレートの第一半分と第二半分の少なくとも一つが上位と下位間で移動する機構からなり、
この試料収集部材の近位端が上プレートの第一半分と第二半分により保持され、試料収集部材の遠位端が下プレートと連動し、且つ対応試料収集部材を下プレートに対して下方移動し、その結果少なくとも一試料をコネクターの一つに取り付けた収集先端に収集するのを容易にするように少なくとも上プレートの半分を上位から下位に移動することを含む機構。
【請求項1】
試料収集用の組み合わせ器具で、この器具が異なる大きさのマイクロタイタープレートとの使用に適し、
(a)半分のそれぞれが少なくとも上位と下位間で独立に移動可能な第一半分と第二半分からなる上プレートと、
(b)少なくとも一個の収集先端の取り付けを容易にするように連結した複数の先端コネクターを持つ下プレートと、
(c)近位端と遠位端をそれぞれが有する複数の試料収集部材と
(d)上プレートの第一半分と第二半分の少なくとも一つが上位と下位間で移動する機構からなり、
この試料収集部材の近位端がこの上プレートの第一半分と第二半分により保持され、試料収集部材の遠位端がこの下プレートと連動して、少なくとも上プレートの半分が上位から下位に移動したとき、対応試料収集部材が下プレートに対して下方移動し、その結果少なくとも一つの試料をコネクターの一つに取り付けた収集先端に収集するのを容易にする器具。
【請求項2】
この上プレートの第一半分と第二半分のそれぞれが8個の試料収集部材、即ち全部で16個の試料収集部材に対応できる請求項1による器具。
【請求項3】
この上プレートの第一半分と第二半分のそれぞれが12個の試料収集部材、即ち全部で16個の試料収集部材に対応できる請求項1による器具。
【請求項4】
この上プレートの第一半分と第二半分のそれぞれが複数の突起を含み、第一半分の突起が両プレートの半分が整合するように第二半分の突起を補完し、この突起のそれぞれが試料収集部材の近位端を受け入れる開口部を含む請求項1による器具。
【請求項5】
試料収集部材がピンを含み且つ下プレートが複数のポンプ設備を含み、少なくともこの上プレートの半分が液体をコネクターの一つに取り付けた収集先端に収集できるよう下位に移動したとき、このピンがポンプ設備と連動し、かつ作動するのに適した請求項1による器具。
【請求項6】
試料収集部材が棒状磁性要素を含む請求項1による器具。
【請求項7】
この下位が磁性要素の遠位端が下プレートを通して延び先端コネクターに入る位置に対応し、その結果収集先端が先端コネクターに取り付けられると、磁性要素の磁性粒子が磁力により収集先端に収集できるように、磁力が遠位端により収集先端の末端に働く請求項6による器具。
【請求項8】
機構が作動装置ボタンを含み、この作動装置ボタンは上プレートの第一半分の移動を可能にする半分の第一ボタンと、上プレートの第二半分の移動を可能にする半分の第二ボタンからなる請求項6による器具。
【請求項9】
少なくとも先端コネクターの一部が非作動位と作動位間で切り替え可能で、この作動位が少なくと一個の収集先端を取り付けたときこの先端コネクターを試料収集に使用できる位置に対応する請求項6による器具。
【請求項10】
下プレートが第一下プレート半分と第二下プレート半分からなり、この第一下プレート半分がそれに連結した複数の先端コネクターを有すし、先端コネクターが作動位にある請求項9による器具。
【請求項11】
第二下プレート半分が非作動位にある複数の先端コネクターを含み、器具が更にこの先端コネクターを作動位に切り替える手段を含む請求項10による器具。
【請求項12】
この手段がロックボタンを含み、ロックボタンを解錠すると第二下プレート半分を下方移動させ、その結果対応先端コネクターを非作動位から作動位に切り替える請求項11による器具。
【請求項13】
更に使用先端を本器具から解除できる解除ボタンを含み、この解除ボタンが両上プレート半分を下げて磁性要素の遠位端が取り付け収集先端を押して収集先端を先端コネクターから解放できるようになることにより作動する請求項6による器具。
【請求項14】
磁性要素がその近位端と遠位端両者で磁性部を持つ棒からなり、棒中間部が非磁性材からなり、更に上プレートが磁性要素の近位端を保持するようにその上まで延びた磁化可能なカバーからなる請求項6による器具。
【請求項15】
磁性要素が遠位端に磁性部を近位端に磁化可能部を持つ棒からなり、棒中間部が非磁性材からなり、更に上プレートが磁性要素の近位端を保持するようにその上までのびた磁気カバーからなる請求項6による器具。
【請求項16】
磁性要素がその遠位端に磁性部、その近位端にキャップ及びこの磁性部と磁性要素の残部間を連結する鞘からなる請求項6による器具。
【請求項17】
各先端コネクターを少なくとも一部を下プレートに押して各先端コネクターを作動停止させる請求項6による器具。
【請求項18】
各先端コネクターを下プレートから切り離し各先端コネクターを作動停止させる請求項6による器具。
【請求項19】
各磁性要素を下げて先端コネクターに入れて先端コネクターを作動位に切り替える各先端コネクター作動用機構を更に含む請求項6による器具。
【請求項20】
試料をマイクロタイタープレートから収集移動する方法で、試料の収集移動用の組み合わせ器具を提供し、この器具が異なる大きさのマイクロタイタープレートでの使用に適応し、この器具が
(a)半分のそれぞれが少なくとも上位と下位間で独立に移動可能な第一半分と第二半分からなる上プレートと、
(b)少なくとも一個の収集先端の取り付けを容易にするように連結した複数の先端コネクターを持つ下プレートと、
(c)近位端と遠位端をそれぞれが有する複数の試料収集部材と
(d)上プレートの第一半分と第二半分の少なくとも一つが上位と下位間で移動する機構からなり、
この試料収集部材の近位端が上プレートの第一半分と第二半分により保持され、試料収集部材の遠位端が下プレートと連動し、且つ対応試料収集部材を下プレートに対して下方移動し、その結果少なくとも一試料をコネクターの一つに取り付けた収集先端に収集するのを容易にするように少なくとも上プレートの半分を上位から下位に移動することを含む機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−279006(P2007−279006A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−109561(P2006−109561)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(506124435)バイオ−マグネティクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109561(P2006−109561)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(506124435)バイオ−マグネティクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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