説明

組み立て式マニフォールド

【課題】設計、施工、分解、組み立てが簡便で、高い精度を持つ組み立て式マニフォールド10を提供する。
【解決手段】母管部12は、連結用開口20と、連結用開口20の軸線22に垂直で滑らかな端面24と一定長の滑らかな内壁26と、内壁26を縮径する段差42を有する。枝管部14は、一端30を母管部12に連結して母管部12と連通する分岐開口32を有する。スリーブ16は、隣接する母管部12の連結用開口20に挿入される外径を有し、連結用開口20の端面24から段差42までの距離以上の長さを有する一対の袖部44と、母管部12の連結用開口20の内面と袖部44との間に配置するシール用リング38の装着溝40を有する。母管結束機構は、複数の母管部12を把持して、連結状態で固定する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の任意の分岐を持つ配管に使用される組み立て式マニフォールドに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造装置には冷却水による冷却工程が必ず設けられる。これらの配管は複数の分岐を持ち、構造が複雑である。装置の小型化のためには分岐を持つ配管の省スペース化が望まれる。例えば、住宅内の配管の省スペース化について、次のような技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−130679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
配管に複雑な分岐構造が求められていると、適切な場所にチーズ(T分岐)配管等を配置して相互に接続をする工事が必要になる。しかしながら、従来の配管技術には下記のような解決すべき課題があった。
【0005】
配管の挿入にはねじ込み配管が採用される。しかし、ねじ込み配管は、ねじ込みピッチと枝管の回転角とが整合しないので、分岐場所の正確な位置決めが難しい。即ち、分岐位置を優先するとねじ込み量が不足したり、ねじ込み過ぎたりする。シールテープを使うとねじ込み位置を調整できるが、シールテープが配管の継ぎ目から露出していると発塵し、半導体の製造に悪影響を及ぼす。
【0006】
また、シールテープの巻き方にも熟練を要する。即ち、シールテープを使用したものは半導体製造装置等には不向きである。ねじ込み配管はねじ込み部分に設けられたテーパにより気密あるいは水密性を確保する。しかし、ねじ込み量を選定して仕上がり寸法を予測しながら適切な施工をするのは熟練作業であって、技能の差によるばらつきが大きい。
【0007】
一方溶接により枝管を取り付ける場合は、自由に取り付け位置を設定できる。しかしながら、配管が長くなると機械加工の工数や費用がかかる。しかも、継ぎ手を溶接するために熟練溶接工が必要になる。また、出来あがりに溶接熱ひずみが大きくて修正が必要になることもある。また、酸化膜処理や酸洗い処理等が必要になる。さらに、溶接漏れが生じたた場合には前工程まで戻りやり直しが必要になる。また、継ぎ手間隔が適度に必要なために、全長が長くなるといった問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、設計、施工、分解、組み立てが簡便で、高い精度を持つ組み立て式マニフォールド等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の構成は上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉(実施例2の発明)
両端に連結用開口を有し、この連結用開口の軸線に垂直で滑らかな端面と一定長の滑らかな内壁と、この内壁上で内壁を縮径する段差を有する母管部と、一端を上記母管部に連結して上記母管部と連通する分岐開口を有する枝管部と、複数の母管部を上記連結用開口を介して連結するものであって、隣接する母管部の連結用開口に挿入される外径を有し、それぞれ連結用開口の端面から段差までの距離以上の長さを有する一対の袖部と、上記母管部の連結用開口の内面と上記袖部との間に配置するシール用リングの装着溝を有するスリーブと、上記スリーブを介して連結され、それぞれ上記枝管部の向きを決定された複数の母管部を把持して、連結状態で固定する機能を有する母管結束機構とを備えたことを特徴とする組み立て式マニフォールド。
【0009】
母管部を複数連結して配管を得る。複数の母管部は連結用開口を通じて相互に連結される。任意の数の母管部を連結して、全体として十分に小型な多分岐配管を得ることができる。母管部の連結用開口内壁上で、内壁を縮径する段差を設けて、スリーブの袖部が挿入される深さを規制している。
【0010】
〈構成2〉(実施例2の発明)
前記スリーブ両端の一対の袖部を、前記母管部の連結用開口の端面から段差までの距離と等しくしたことを特徴とする組み立て式マニフォールド。
【0011】
スリーブ両端の袖部を、連結用開口の端面から段差までの距離と等しくすると、母管部端面が相互に密着し、母管部相互の接続距離を最小にできる。
【0012】
〈構成3〉(実施例4の発明)
構成1または2のいずれかに記載の組み立て式マニフォールドにおいて、上記母管結束機構は、相互に連結された複数の母管部の両端に配置された一対の押さえ金具と、上記複数の母管部の連結方向に平行に配置され、母管部外面に近接するように複数本が所定間隔で並べられ、上記押さえ金具を介して上記複数の母管部を挟み込む連結棒とを有していることを特徴とする組み立て式マニフォールド。
【0013】
母管部の連結用端面を相互に密着させて母管部の連結方向に力を加えて固定すると、複数の母管部が一本の配管と同様の機械的強度を保持し、たわみ等のおそれがない。
【0014】
〈構成4〉(実施例5の発明)
構成1または2のいずれかに記載の組み立て式マニフォールドにおいて、相互に連結された母管部の連結用開口には、その端面周囲に連結用フランジが設けられ、相互に対向して連結されるフランジには、連通する連通孔が設けられ、この連通孔に打ち込まれた止めピンにより上記母管部が相互に連結されていることを特徴とする組み立て式マニフォールド。
【0015】
複数の母管部を現場で相互に順次連結するのに、作業性の良い構造である。
【発明の効果】
【0016】
〈構成1の効果〉
母管部を複数連結して配管を得る。複数の母管部は連結用開口を通じて相互に連結される。任意の数の母管部を連結して、全体として十分に小型な多分岐配管を得ることができる。母管部の連結用開口内壁上で、内壁を縮径する段差を設けて、スリーブの袖部が挿入される深さを規制している。
〈構成2の効果〉
スリーブ両端の袖部を、連結用開口の端面から段差までの距離と等しくすると、母管部端面が相互に密着し、母管部相互の接続距離を最小にできる。
〈構成3の効果〉
母管部の連結用端面を相互に密着させて母管部の連結方向に力を加えて固定すると、複数の母管部が一本の配管と同様の機械的強度を保持し、たわみ等のおそれがない。
〈構成4の効果〉
複数の母管部を現場で相互に順次連結するのに、作業性の良い構造である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の組み立て式マニフォールド10を示す図で、(a)は同マニフォールドの組立要部を示す縦断面図、(b)は同マニフォールドの一部品である母管部12と枝管部14を示す縦断面図、(c)は同マニフォールドの一部品であるスリーブ16を示す正面図、(d)は同側面図である。
【図2】組み立て式マニフォールド10を構成する母管部12と枝管部14とを示す図で、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は縦断面図である。
【図3】母管部に2つの枝管部を設けた例を示す斜視図である。
【図4】実施例2の組み立て式マニフォールド10を示す図で、(a)は同マニフォールドの組立要部を示す縦断面図、(b)は同マニフォールドの一部品である母管部12と枝管部14を示す縦断面図、(c)は同マニフォールドの一部品であるスリーブ16を示す正面図、(d)は同側面図である。図1に示した部分と共通する部分には同一符号を付している。
【図5】実施例3の組み立て式マニフォールド10を示す図で、(a)は同マニフォールドの組立要部を示す縦断面図、(b)は同マニフォールドの一部品である母管部12と枝管部14を示す縦断面図、(c)は同マニフォールドの一部品であるスリーブ16を示す正面図である。図1に示した部分と共通する部分には同一符号を付している。
【図6】実施例4の組み立て式マニフォールド10の全体構成を示す図で、(a)は正面図、(b)側面図である。
【図7】実施例5の組み立て式マニフォールド10の要部を示す説明図である。図1に示した部分と共通する部分には同一符号を付している。
【図8】本発明の組み立て式マニフォールドの組み立て各例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は実施例1の組み立て式マニフォールド10を示す図で、(a)は同マニフォールドの組立要部を示す縦断面図、(b)は同マニフォールドの一部品である母管部12と枝管部14を示す縦断面図、(c)は同マニフォールドの一部品であるスリーブ16を示す正面図、(d)は同側面図である。図2は組み立て式マニフォールド10を構成する母管部12と枝管部14とを示す図で、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は縦断面図である。図3は母管部に2つの枝管部を設けた例を示す斜視図である。
【0020】
実施例1の組み立て式マニフォールド10は、図1に示すように、母管部12と枝管部14とスリーブ16と母管結束機構18(図6)とを備えている。
母管部12は、図示したように、両端に連結用開口20を有し、この連結用開口20は、母管部12の軸線22に垂直で滑らかな端面24と一定長の滑らかな内壁26と、この内壁26の端面24から一定の距離を拡径した拡径部28を有するものである。枝管部14は、一端30を母管部12に連結して母管部12の内部と連通する分岐開口32を有するものである。
【0021】
スリーブ16は、複数の母管部12を連結用開口20を介して連結するものであって、隣接する母管部12の連結用開口20に挿入される一対の小径部34と、一対の小径部34の中間にあって、隣接する母管部12の拡径部28に収容される大径部36と、母管部12の連結用開口20の内面と小径部34との間に配置するシール用リング38の装着溝40を有するものである。
【0022】
母管結束機構は、後述するが、スリーブ16を介して連結され、それぞれ枝管部14の向きを決定された複数の母管部12を把持して、連結状態で固定する機能を有するものである。
【0023】
組み立て式マニフォールド10では、複数の母管部12を連結して、任意の数の分岐を有する配管を得る。複数の母管部12は連結用開口20を通じて相互に連結される。各母管部12の連結用開口20が、母管部12の軸線22に垂直で滑らかな端面24を有するので、相互に連結した母管部12を軸線22を中心に自由に回転できる。母管部12の連結用開口20が一定長の滑らかな内壁26を有するので、スリーブ16を用いて気密あるいは水密の接続ができる。枝管部14は、母管部12のどの部分にいくつ設けられていても構わない。母管部12を軸線22を中心に回転すると、枝管部14を任意の方向に向けることができる。
【0024】
母管部12の連結用開口20の内面と前記小径部34との間に配置するシール用リング38により、母管部12相互の接続を気密あるいは水密に保持できる。一対の小径部34の装着溝40にシール用リング38を配置して、隣接する母管部12の間にスリーブ16を配置し、各母管部12の連結用開口20に小径部34を挿入すると、簡単に接続作業が完了する。スリーブ16の大径部4636は、スリーブ16を母管部12の連結部中央に位置決めする機能を持つ。任意の数の母管部12を連結して、全体として十分に小型な多分岐配管を得ることができる。
【0025】
母管部12とスリーブ16とは挿入により着脱および回転可能に連結されている。そこで、これらを固定するために、母管結束機構を使用する。母管結束機構は、母管部12の位置決めをして固定する機能を有するものならその構造は任意である。また、汎用品として市販されている母管部12を切削加工するだけで適用できるので、この組み立て式マニフォールド10は低コストで実現するという特徴を持つ。
【0026】
母管部12は相互に突き合わせ接続されるので、ねじ込み接続法と比較して寸法精度が高く、設計通りの配管を現場で組み立てることができる。また、大部分を予め組み立てていくこともできる。しかも、シールテープを使用しないので発塵がなく、半導体製造装置の配管に最適である。
枝管部14は、図3に示すように母管部12に対して2個あるいは任意の数設けられてもよいものである。
【実施例2】
【0027】
図4は実施例2の組み立て式マニフォールド10を示す図で、(a)は同マニフォールドの組立要部を示す縦断面図、(b)は同マニフォールドの一部品である母管部12と枝管部14を示す縦断面図、(c)は同マニフォールドの一部品であるスリーブ16を示す正面図、(d)は同側面図である。図1に示した部分と共通する部分には同一符号を付している。
【0028】
実施例2の組み立て式マニフォールド10の母管部12は、両端に連結用開口20を有し、この連結用開口20は、母管部12の軸線22に垂直で滑らかな端面24と一定長の滑らかな内壁26と、この内壁26上で内壁26を縮径する段差42を有するものである。枝管部14は、一端30を母管部12に連結して母管部12と連通する分岐開口32を有するものである。
【0029】
スリーブ16は、複数の母管部12を連結用開口20を介して連結するものであって、隣接する母管部12の連結用開口20に挿入される外径を有し、それぞれ連結用開口20の端面24から段差42までの距離以上の長さを有する一対の袖部44と、母管部12の連結用開口20の内面と袖部44との間に配置するシール用リング38の装着溝40を有するものである。母管結束機構は、スリーブ16を介して連結され、それぞれ枝管部14の向きを決定された複数の母管部12を把持して、連結状態で固定する機能を有するものである。
【0030】
母管部12の両端には、連結用開口20内壁26上で、その内壁26を縮径する段差42を設けて、スリーブ16の袖部44が挿入される深さを規制している。スリーブ16両端の一対の袖部44は、いずれも連結用開口20の端面24から段差42までの距離以上の長さを有するので、スリーブ16の両端は確実に両側の母管部12の段差42に突き当たり、位置決めがされる。例えば、スリーブ16両端の袖部44を、連結用開口20の端面24から段差42までの距離と等しくすると、母管部12端面24が相互に密着し、母管部12相互の接続距離を最小にできる。
【実施例3】
【0031】
図5は実施例3の組み立て式マニフォールド10を示す図で、(a)は同マニフォールドの組立要部を示す縦断面図、(b)は同マニフォールドの一部品である母管部12と枝管部14を示す縦断面図、(c)は同マニフォールドの一部品であるスリーブ16を示す正面図である。図1に示した部分と共通する部分には同一符号を付している。
【0032】
実施例3の組み立て式マニフォールド10の母管部12は、両端に連結用開口20を有し、この連結用開口20は、母管部12の軸線22に垂直で滑らかな端面24と一定長の滑らかな内壁26を有するものである。枝管部14は、一端30を母管部12に連結して母管部12と連通する分岐開口32を有するものである。
【0033】
スリーブ16は、複数の母管部12を連結用開口20を介して連結するものであって、隣接する母管部12の連結用開口20に挿入される一対の小径部34と、一対の小径部34の中間にあって、隣接する母管部12の連結用開口20の端面24に挟み込まれる大径部36と、母管部12の連結用開口20の内面と小径部34との間に配置するシール用リング38の装着溝40を有するものである。母管結束機構は、スリーブ16を介して連結され、それぞれ枝管部14の向きを決定された複数の母管部12を把持して、連結状態で固定する機能を有するものである。
【0034】
スリーブ16の大径部36が母管部12の連結部に挟み込まれるので、母管部12の連結用開口20内壁26の構造は単純化される。スリーブ16の大径部4636の寸法を調整することにより、全体として十分に小型な多分岐配管を得ることができる。
【実施例4】
【0035】
図6は実施例4の組み立て式マニフォールド10の全体構成を示す図で、(a)は正面図、(b)側面図である。
母管結束機構18は、一対の押さえ金具48と複数本の連結棒50とを備えている。一対の押さえ金具48は、相互に連結された複数の母管部12の両端に配置されている。連結棒50は、複数の母管部12の連結方向に平行に配置されている。母管部12外面に近接するように複数本の連結棒50が所定間隔で並べられる。連結棒50のボルトを締め付けると、押さえ金具48を介して複数の母管部12を挟み込む。
【0036】
相互に連結された複数の母管部12の全長に合わせて、適切な長さの連結棒50を使用すれば、任意の構成の多分岐配管を手軽に組み立てることができる。母管部12の連結方向に平行に配置され、母管部12外面に近接するように複数本が所定間隔で並べられるので、連結棒50の位置決めが正確にでき、押さえ金具48を適切な姿勢で連結できる。押さえ金具48は相互に連結された複数の母管部12の両端に配置されるから、多分岐配管を壁面等に固定する支持具としても利用できる。母管部12の連結用端面24を相互に密着させて母管部12の連結方向に力を加えて固定すると、複数の母管部12が一本の配管と同様の機械的強度を保持し、たわみ等のおそれがない。
【実施例5】
【0037】
図7は実施例5の組み立て式マニフォールド10の要部を示す説明図である。図1に示した部分と共通する部分には同一符号を付している。
相互に連結された母管部12の端面24の周囲に連結用のフランジ55が設けられている。相互に対向して連結される両フランジ55には、軸方向に連通する連通孔56が設けられている。この連通孔56に打ち込まれた止めピン58と、この止めピン58の端部に係止されたテーパピン57とにより母管部12が相互に連結されている。図7(c)に示すように、止めピン58の一端には頭部58Aが設けられ、他端にはテーパピン57を挿入するための貫通孔58Bが設けられている。図7(d)に示すように、テーパピン57の下方には、緩み止めの止めねじ59をねじ込むための小孔57Aが設けられている。止めピン58の貫通孔58Bに打ち込まれたテーパピン57は、小孔57Aにねじ込まれてフランジ55の側面を押圧する止めねじ59により緩み止めされて固定される。
【0038】
母管部12の端面24の周囲に連結用のフランジ55が設けられ、相互に対向して連結される両フランジ55に連通して設けられた連通孔56に止めピン58を打ち込むことにより、現場で個別に母管部12を順次連結することができる。さらに止めピン58端部の貫通孔58Bにテーパピン57を打ち込むと両フランジ55をしっかりと固定できる。これは、複数の母管部12を現場で相互に順次連結するのに、作業性の良い構造である。
【0039】
図8は、本発明の組み立て式マニフォールドの組み立て例の説明図である。図1に示した部分と共通する部分には同一符号を付している。
図8(a)に示した例は、これまで説明した通り複数の枝管部14を一定の方向に向けて配列したものである。また、図8(b)に示すように任意の枝管部14Aを他の枝管部と別の方向に向けることもできる。図8(c)では、中間の2個の枝管部14Aと14Bがそれぞれ異なる方向に向いている。また、2つの枝管部14Cと14Dを備えた母管部12Aも利用されている。
【0040】
図8(d)では、各枝管部14にバルブ11が取り付けられている。このバルブ11はハンドル13操作によって枝管部14を開閉するものであるが、電磁式に開閉するものでもよい。この図に示すように枝管部14にバルブ11を取り付ける作業は、組み立て後は非常に難しい。そこで、予めバルブ11を取り付けたものを図のように配列し、既に説明した通りスリーブ16を用いて連結すれば、容易にこの図のような構造が組み立てられる。
【0041】
以上説明したように、鋳物整形された汎用品の継ぎ手に、滑らかな内壁26を形成するための加工処理をすれば、母管部12を製造できる。シール用リング38に、既存のO(オー)リングを使用すると、ガス漏れ、水漏れの心配が要らない。また、複雑な分岐ができるにもかかわらず、継ぎ手間の間隔を狭くすることが出きるので、組立のスペースが少なくて済む。組み立て分解が容易で、分岐方向も自由に調整できる。また、配管の連数も自由に選択できるので、設計や配管作業が短縮される。
【0042】
継ぎ手には、チーズ(T型分岐)、異型チーズ、クロス(十字型分岐)などがあるが、これらを自由に組み合わせることができる。押さえ金具48と4本の連結棒50を使用した母管結束機構を使用すると、例えば、既知のタイロットボルトを使用して4ヶ所の締め付け処理で作業が終了する。熟練が不要で、簡単に組み立て作業ができる効果がある。このとき、予め枝管部に、バルブや電磁弁やその他の配管部品を前もって取り付けておくと、現場での配管作業を簡略化することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 組み立て式マニフォールド
12 母管部
14 枝管部
16 スリーブ
18 母管結束機構
20 連結用開口
22 軸線
24 端面
26 内壁
28 拡径部
30 一端
32 分岐開口
34 小径部
36 大径部
38 シール用リング
40 装着溝
42 段差
44 袖部
48 押さえ金具
50 連結棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に連結用開口を有し、この連結用開口の軸線に垂直で滑らかな端面と一定長の滑らかな内壁と、この内壁上で内壁を縮径する段差を有する母管部と、
一端を前記母管部に連結して前記母管部と連通する分岐開口を有する枝管部と、
複数の母管部を前記連結用開口を介して連結するものであって、隣接する母管部の連結用開口に挿入される外径を有し、それぞれ連結用開口の端面から段差までの距離以上の長さを有する一対の袖部と、前記母管部の連結用開口の内面と前記袖部との間に配置するシール用リングの装着溝を有するスリーブと、
前記スリーブを介して連結され、それぞれ前記枝管部の向きを決定された複数の母管部を把持して、連結状態で固定する機能を有する母管結束機構とを備えたことを特徴とする組み立て式マニフォールド。
【請求項2】
前記スリーブ両端の一対の袖部を、前記母管部の連結用開口の端面から段差までの距離と等しくしたことを特徴とする組み立て式マニフォールド。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組み立て式マニフォールドにおいて、
前記母管結束機構は、相互に連結された複数の母管部の両端に配置された一対の押さえ金具と、前記複数の母管部の連結方向に平行に配置され、母管部外面に近接するように複数本が所定間隔で並べられ、前記押さえ金具を介して前記複数の母管部を挟み込む連結棒とを有していることを特徴とする組み立て式マニフォールド。
【請求項4】
請求項1または2に記載の組み立て式マニフォールドにおいて、
相互に連結された母管部の連結用開口には、その端面周囲に連結用フランジが設けられ、相互に対向して連結されるフランジには、連通する連通孔が設けられ、この連通孔に打ち込まれた止めピンにより前記母管部が相互に連結されていることを特徴とする組み立て式マニフォールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−137554(P2011−137554A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87846(P2011−87846)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【分割の表示】特願2006−149506(P2006−149506)の分割
【原出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(391045934)株式会社リガルジョイント (14)
【Fターム(参考)】