説明

組み立て玩具

【課題】構成部材を支持した支持枠部材を連結する簡単な操作で構成部材の連結ができ、年少者にも玩具体の組み立て分解を楽しむことができるとともに、保管にも優れた組み立て玩具を提供すること。
【解決手段】組み立て玩具を複数の構成部材2から構成される玩具体1と、該構成部材2をそれぞれ支持する支持枠部材3とで構成し、上記構成部材2と上記支持枠部材3とにはそれぞれ水平方向に係脱可能な係合部4、5を設け、上記支持枠部材3には支持枠部材同士を連結する嵌合部6を、上記構成部材2には構成部材同士を連結する嵌合部7を設け、上記構成部材2を上記支持枠部材3に支持させた状態で支持枠部材3同士を連結すると上記構成部材2は嵌合部7を介して連結されて玩具体1を形成し、連結した支持枠部材2に対し玩具体1を着脱できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て玩具、詳しくは玩具体を構成する構成部材を枠部材に取り付けた状態で枠部材を上下に重ね合わせると、構成部材同士が連結して玩具体を形成するとともに、その玩具体は枠部材から分離することができる組み立て玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、組み立て玩具として分割されたシャーシ部の組み合わせを変えて連結することにより走行性能の向上を図ることができ且つ連結形成したシャーシ部にボディ部を取りつけることができる走行玩具が本出願人から提案されている(例えば、特許文献1)。この走行玩具は、シャーシ部を前分割シャーシと後分割シャーシとに分割し、前分割シャーシの前部下面に嵌合突部を、前部上面にはボディ部を取りつける取付軸を形成するとともに後部には嵌合孔し、後分割シャーシに形成された嵌合突部に嵌合することによって前分割シャーシと後分割シャーシとを連結できるようにしたものである。
【特許文献1】登録実用新案第3037901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の走行玩具は分割されたシャーシ部を連結し、連結したシャーシ部にボディ部を取り付けてオリジナリティに溢れた走行玩具に改造することができることを目的としたものであるが、部材がバラバラになっていると連結する順番や仕方が判りくい点があり、分割されたシャーシー部、ボディ部はばらばらな状態で保管することになり部材の管理がしにくい点などの問題もあり年少者には取り扱いが難しくなる恐れがあった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、構成部材を支持枠部材に取り付けておけば、支持枠部材を連結する簡単な操作で構成部材の連結ができ、年少者にも玩具体の組み立て分解を楽しむことができるとともに、保管にも優れた組み立て玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係る組み立て玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記組み立て玩具は複数の構成部材から構成される玩具体と、該構成部材をそれぞれ支持する支持枠部材とからなること
(ロ)上記構成部材と上記支持枠部材とにはそれぞれ係合部を設け、該係合部は水平方向に係脱可能に形成されていること
(ハ)上記支持枠部材には嵌合部を設け、支持枠部材同士は該嵌合部を介して垂直方向に着脱可能に形成されていること
(ニ)上記構成部材には嵌合部を設け、構成部材同士は該嵌合部を介して垂直方向に着脱可能に形成されていること
(ホ)上記構成部材を上記支持枠部材に支持させた状態で支持枠部材同士の嵌合部を嵌合させて連結すると上記構成部材は嵌合部が嵌合して連結され玩具体を形成すること
(へ)上記玩具体と連結した支持枠部材とは水平方向に係脱できること
(ト)上記玩具体を支持した状態で支持枠部材の連結を解除すると、玩具体は構成部材に分離され、分離した状態でそれぞれの支持枠部材に支持されていること
なお、前記組み立て玩具は、以下の要件を備えるようにしてもよい。
(イ)前記玩具体は走行玩具で、前記構成部材は走行玩具の前輪車体部、後輪車体部及びボディ部であること
(ロ)上記前輪車体部と後輪車体部とには互いに連結する連結部を設け、上記ボディ部には上記前輪車体部と後輪車体部とにそれぞれ連結する連結部を設けたこと
また、前記支持枠部材にはそれぞれ支持する構成部材の情報を表示し、その情報から構成部材が判るようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、支持枠部材に構成部材を支持させ、構成部材を支持した状態の支持枠部材を連結することにより、構成部材同士が自動的に連結されて玩具体が形成され、玩具体は連結した支持枠部材から分離することができるし、玩具体を連結した支持枠部材に取り付け支持枠部材を分離することにより玩具体は支持枠部材に支持された構成部材に分離できるので、構成部材の連結分離が機械的にでき年少者にも玩具体の形成、分解が容易にできる画期的な組み立て玩具を提供することができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、構成部材を前輪車体部、後輪車体部、ボディ部で構成することにより、走行玩具を形成することができる。
【0008】
請求項3の発明によれば、玩具体を構成する構成部材の情報が構成部材を支持する支持枠部材に表示されているので、その情報を見ながら構成部材を組み合わせることができユーザーの好みの組合せでオリジナリティのある玩具体を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明に係る組み立て玩具の一例を示し、この組み立て玩具は複数の構成部材2を連結して形成される玩具体1と、上記構成部材2を支持する支持枠部材3とから構成されているもので、上記玩具体1は前輪車体部2a、後輪車体部2b及びボディ部2cの3つの構成部材で走行玩具を形成している。
【0010】
一方、支持枠部材3は上記前輪車体部2aを支持する下枠部材3a、上記後輪車体部2bを支持する中枠部材3bと上記ボディ部2cを支持する上枠部材3cの3つの支持枠部材で構成され、上記構成部材2と支持枠部材3とにはそれぞれ係脱可能な係合部4、5が形成され、この係合部4、5による係合は支持枠部材3に対して構成部材2を水平方向にスライドさせることにより係脱することができるようになっている。
【0011】
そして、支持枠部材3同士、構成部材2同士にはそれぞれ後述する嵌合部6、7が形成され、支持枠部材3に構成部材2を係合させた状態で、支持枠部材3を垂直方向に重ね合わせると支持枠部材3同士は嵌合部6を介して連結されるとともに、構成部材2も嵌合部7を介して連結され、連結された構成部材2は玩具体1を形成するようになっている。
【0012】
下枠部材3aは中央が開口した長方形状の枠板で構成され、上面の4隅には中枠部材3bと連結する嵌合部6(嵌合凹部6a)が形成され、両側部と前部とからは腕部10、11が張り出して前輪車体部2aを保持する保持板12を支持している。この保持板12の上面にはT字状に膨出して前輪車体部2aの係合部4aに係合する係合部5aが形成されている。
【0013】
そして、上記下枠部材の表面には、支持する前輪車体部の情報(構成や仕様)が表示されたシール13が貼付されている。このシール13に印刷されている情報は例えば、「フロントパーツ&タイヤ」、「長距離レース対応」、「カーブコース性能UP」などの情報である。
【0014】
中枠部材3bは中央が開口した長方形状の枠板で構成され、底面の4隅には上記下枠部材3aの嵌合凹部6aに嵌合する嵌合部6(嵌合凸部6b)が形成され、上面の4隅には上枠部材3cと連結する嵌合部6(嵌合凹部6c)が形成され、両側部と後部とからは腕部15、16が張り出して後輪車体部2bを保持する保持板17を支持している。この保持板17の上面にはT字状に膨出して後輪車体部2bの係合部4bに係合する係合部5bが形成されている。
【0015】
そして、上記中枠部材の表面には、支持する後輪車体部の情報(構成や仕様)が表示されたシール13が貼付されている。このシール13に印刷されている情報は例えば、「リアパーツ&エンジン」、「長距離レース対応」、「スピードタイプエンジン」などの情報である。
【0016】
上枠部材3cは中央が開口した長方形状の枠板で構成され、底面の4隅には上記中枠部材3bの嵌合凹部6cに嵌合する嵌合部6(嵌合凸部6d)が形成され、両側部と後部とからは内方に向かってボディ部2cの係合部4c、4dに係合する係合部5c、5dが突出して形成されている。
【0017】
そして、上記上枠部材の表面には、支持するボディ部の情報(構成や仕様)が表示されたシール13が貼付されている。このシール13に印刷されている情報は例えば、「カウル」、「中距離レース型」、「空気抵抗に優れる」などの情報である。
【0018】
前輪車体部2aは、図3(a)に示すように、前車台部20に前輪21の車軸を軸支する軸支部22が形成され、軸支部22の後方には、後述する後輪車体部2bの後車台部30の底面に形成された嵌合部(嵌合凸部)7eに嵌合する嵌合部(嵌合孔)7aが形成され、軸支部22の前方には、後述するボディ部2cに形成された嵌合部7hに嵌合する嵌合部(嵌合凸部)7bと、下枠部材3aの係合部5aに係合する係合部4aとが形成されている。この係合部4aは前方が狭く、後方が広い平面視T字状に形成された開口部で構成され、下枠部材3aに形成された係合部5aを開口部の広い部分から突出させた状態で後方にスライドさせて係合部5aの張り出しが開口部の狭い部分に対応すると、図3(b)に示すように、前輪車体部2aを下枠部材3aに保持させることができる。
【0019】
後輪車体部2bは、図4(a)に示すように、後車台部30にゼンマイユニット31とこのゼンマイユニット31で駆動される駆動輪32とが取り付けられ、ゼンマイユニット31の後方と底面中央とには中枠部材3bの係合部5bに係合する係合部4bが形成され、係合部4bを中枠部材3bの係合部5bに対応させた状態で後方にスライド移動させることにより、図4(b)に示すように、後輪車体部2bを中枠部材3bに保持させることができる。なお、上記ゼンマイユニットは、車輪を床等に接触したまま後退させて、駆動輪32を逆回転させる所謂プルバック操作をすると、内装したゼンマイが巻き上げられ、手を離すとゼンマイの巻き戻り力で上記駆動輪32が正回転して走行玩具が走行するように構成されている公知のゼンマイユニットである。
【0020】
そして、後車台部30にはゼンマイユニット31の両側に、後述するボディ部2cの嵌合部7f、7gに嵌合する嵌合部(嵌合凸部)7c、7dが形成されるとともに、底面前部には上記前輪車体部2aの前車台部20に形成された嵌合部(嵌合孔)7aに嵌合する嵌合部(嵌合凸部)7eが形成されている。
【0021】
ボディ部2cは、図5(a)に示すように、両側部には上枠部材3cの係合部5cに係合する係合部4cが形成され、後部には上記上枠部材3cの係合部5dに係合する係合部4dが形成され、係合部4cを係合部5cに、係合部4dを係合部5dに対応させた状態でボディ部2cを後方にスライド移動させることにより、図5(b)に示すように、ボディ部2cを上枠部材3cに保持させることができる。
【0022】
なお、ボディ部2cの両側部と後部とには上記係合部4c、4dと一体で後車台部30に形成された嵌合部(嵌合凸部)7c、7dに嵌合する筒状の嵌合部7f、7gが形成され、ボディ部2cの前部内側には前車台部20に形成された嵌合部(嵌合凸部)7bに嵌合する筒状の嵌合部7hが形成されている。
【0023】
次に、上述の構成部材2(2a〜2c)を連結して玩具体(以下、走行玩具という)1を組み上げる状態を説明する。先ず、前輪車体部2aを下枠部材3aに支持させ、後輪車体部2bを中枠部材3bに支持させた状態で、図6(a)に示すように、中枠部材3bの嵌合部6bを下枠部材3aの嵌合部6aに嵌め合わせるようにして重ね合わせると、前車台部20の嵌合孔7aに後車台部30の嵌合凸部7eが嵌合し、前輪車体部2aと後輪車体部2bとは前後に連結された状態になる(図6(b)参照)。
【0024】
下枠部材3aと中枠部材3bとを重ねて上下に連結したならば、図7(a)に示すように、ボディ部2cを支持した状態の上枠部材3cの嵌合凸部6dを中枠部材3bの嵌合凹部6cに嵌め合わせるようにして重ね合わせると、前車台部20の嵌合凸部7bがボディ部2cの嵌合部7hに嵌合し、後車台部30の嵌合凸部7cがボディ部2cの嵌合部7fに、嵌合凸部7dがボディ部2cの嵌合部7gにそれぞれ嵌合し、前輪車体部2aと後輪車体部2bとの上にボディ部2cが連結されて走行玩具1が形成された状態になる(図7(b)参照)。
【0025】
全ての支持枠部材3を重ねて連結することにより、全ての構成部材2が連結されて走行玩具1が形成されたら、図8(a)に示すように、走行玩具1を前方に押し出すと、走行玩具1は全ての構成部材2が連結された状態で連結された支持枠部材3との係合が外れ、図8(b)に示すように、走行玩具1を支持枠部材3から分離することができる。
【0026】
分離した走行玩具1は、図9(a)に示すように、車輪を床等の走行面に押し付けたまま後退させて、駆動輪4を後転させてゼンマイユニットのゼンマイを巻き上げ、図9(b)に示すように、手を離すとゼンマイの巻き戻り力で上記駆動輪32が前転して走行玩具1を前進走行させることができる。
【0027】
なお、走行玩具1を連結した状態の支持枠部材3の前側に、図8(a)に示すように載置した状態にし、走行玩具1を後方にスライドさせて、図7(b)に示すように支持枠部材3に走行玩具1を支持させた状態に戻し、支持枠部材3同士の嵌合を解除すると、走行玩具1を構成する構成部材2同士の嵌合も解除され、それぞれ前輪車体部2aが下枠部材3aに支持され(図2b参照)、後輪車体部2bが中枠部材3bに支持され(図3b参照)、ボディ部2cが上枠部材3cに支持された状態(図4b参照)にすることができ、支持枠部材2同士の嵌合を解除することにより走行玩具1を構成部材2に分離することができる。
【0028】
構成部材2が支持枠部材3に支持された状態で保管すれば、構成部材2がごちゃごちゃになって探し出すことが難しくなることもないし、支持枠部材3には構成部材2の情報が表示されたシール13が貼着されているので、その情報を確認しながら組み合わせて支持枠部材3を連結すれば走行特性の異なるゼンマイユニットを組み合わせて走行性能を変えることができるし、自分の好みのボディを組み合わせてオリジナリティのある走行玩具を組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】は本発明に係る組み立て玩具を構成する玩具体と支持枠部材の斜視図
【図2】上記支持枠部材の構造を説明する斜視図
【図3】(a)(b)は前輪車体部と下枠部材及び下枠部材が前輪車体部を支持した状態を説明する斜視図
【図4】(a)(b)は後輪車体部と中枠部材及び中枠部材が後輪車体部を支持した状態を説明する斜視図
【図5】(a)(b)はボディ部と上枠部材及び上枠部材がボディ部を支持した状態を説明する斜視図
【図6】(a)(b)は前輪車体部と後輪車体部とを連結する状態を説明する斜視図
【図7】(a)(b)は連結した前輪車体部と後輪車体部とにボディ部を連結する状態を説明する斜視図
【図8】(a)(b)は支持枠部材から玩具体を分離する状態を説明する斜視図
【図9】(a)(b)は上記玩具体の使用状態を説明する斜視図
【符号の説明】
【0030】
1 玩具体(走行玩具)
2 構成部材
3 支持枠部材
4 係合部
5 係合部
6 嵌合部
7 嵌合部
13 シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とする組み立て玩具。
(イ)上記組み立て玩具は複数の構成部材から構成される玩具体と、該構成部材をそれぞれ支持する支持枠部材とからなること
(ロ)上記構成部材と上記支持枠部材とにはそれぞれ係合部を設け、該係合部は水平方向に係脱可能に形成されていること
(ハ)上記支持枠部材には嵌合部を設け、支持枠部材同士は該嵌合部を介して垂直方向に連結、分離可能に形成されていること
(ニ)上記構成部材には嵌合部を設け、構成部材同士は該嵌合部を介して垂直方向に連結、分離可能に形成されていること
(ホ)上記構成部材を上記支持枠部材に支持させた状態で支持枠部材同士の嵌合部を介して連結すると上記構成部材は嵌合部を介して連結され玩具体を形成すること
(へ)上記玩具体と連結した支持枠部材とは水平方向に係脱できること
(ト)上記玩具体を支持した状態で支持枠部材の連結を解除すると、玩具体は構成部材に分離され、分離した状態でそれぞれの支持枠部材に支持されていること
【請求項2】
以下の要件を備えることを特徴とする請求項1記載の組み立て玩具。
(イ)前記玩具体は走行玩具で、前記構成部材は走行玩具の前輪車体部、後輪車体部及びボディ部であること
(ロ)上記前輪車体部と後輪車体部とには互いに連結する連結部を設け、上記ボディ部には上記前輪車体部と後輪車体部とにそれぞれ連結する連結部を設けたこと
【請求項3】
前記支持枠部材にはそれぞれ支持する構成部材の情報を表示したシールを貼着した、請求項1記載の組み立て玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−173243(P2008−173243A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8390(P2007−8390)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【出願人】(591056846)株式会社東京ユニーク (15)
【Fターム(参考)】