説明

組付装置および組付方法

【課題】フラットケーブルに対してストレスをかけることなく、該フラットケーブルをキャリッジアームに組み合わせながらヘッドユニットをキャリッジアームに対して自動に対向配置させることができると共に、ヘッドユニットをキャリッジアームに対して自動に精度良く重ね合わせること。
【解決手段】メインチャック31の下方移動と同期して、フラットケーブル17の自由端部分18を下方移動させるケーブルスライド部46を具備するスライド体45を備え、組付治具ユニット60は、接近移動に伴ってヘッドユニット12の本体部23をキャリッジアーム11a,11b,11c側に押圧して、嵌合孔14cにボス孔22を内嵌させつつ、メインチャック31を上方移動させる押圧部材61を備え、ケーブルチャック35は、フラットケーブル17が隙間に収容された後、吸着保持を解除することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に記録媒体に情報を記録再生させるヘッドユニットを、記録媒体上を回動可能なキャリッジアームに組み付けるための組付装置および組付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータやビデオデッキなどに組み込まれるハードディスクには、情報の書き込みと読み取りとのうち少なくとも一方を行う記録ヘッドが備えられている。この記録ヘッドは、ヘッドジンバルアッセンブリ(ヘッドユニット)の構成要素としてキャリッジアームに組み付けられ、キャリッジごとハードディスクに取り付けられている。
【0003】
キャリッジは、所定間隔に平行配置された複数の上記キャリッジアームを備え、このキャリッジアームの先端部にヘッドユニットが組み付けられるようになっている。具体的には、キャリッジアームに形成された嵌合孔に、ヘッドユニットに形成されたボス孔を挿入して内嵌し、カシメ等によって嵌合孔とボス孔とを結合させることによりキャリッジアームに組み付けられる。
【0004】
ところで上記組付作業としては、キャリッジアームに対してヘッドユニットを向かい合わせに配置して、嵌合孔とボス孔とを対向配置させる配置工程と、キャリッジアームに対してヘッドユニットを積層させ、嵌合孔内にボス孔を挿入させて内嵌させる挿入工程と、カシメ等を行って嵌合孔とボス孔とを結合させる結合工程と、を行うことでなされる作業である。これらの作業は、キャリッジアーム及びヘッドユニットが共に微細な部品であること等から手作業で行われる場合があったが、生産性が悪く製造コストの上昇に繋がり易い。
【0005】
特に、屈曲性のある配線基板としてFPC等のフラットケーブルを備えているフラットケーブル付きのヘッドユニットを扱う場合には、フラットケーブルが非常に柔軟な部材であり取り扱い性が悪い。そのため、上記問題が顕著であった。加えて、フラットケーブルをキャリッジアームの保持部内に押し込んで保持させる作業工程がさらに必要となってしまうので、手作業では作業性が悪かった。
【0006】
そこで、フラットケーブル付きのヘッドユニットの場合であっても、フラットケーブルの上記保持作業を行いながら、上記配置工程までを自動で行うロボットハンドが知られている(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1のロボットハンドは、第1吸着手段、第2吸着手段および4個の押込手段を備えている。そして、ロボットハンドは、各吸着手段により吸着したフラットケーブル付きヘッドユニットを所定位置に移動させた後に、各押込手段によりヘッドユニットの本体部およびフラットケーブルを押し込むことで、本体部をキャリッジアームに対して対向配置させると共に、フラットケーブルを保持部内に押し込んで保持させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−34205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載のロボットハンドでは、押込手段によりヘッドユニットの本体部およびフラットケーブルを押し込む必要があるので、非常に柔軟な部材であるフラットケーブルにストレスを与え易い。
また、近年の小型化等の要求により、ヘッドユニットの形状に設計変更等が発生した場合、ヘッドユニットにおける押込可能な領域が減少することが考えられるので、ヘッドユニットの本体部およびフラットケーブルの自動作業による組み付けが困難となることが予想され、改善の余地があった。
【0010】
そこで本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、フラットケーブルに対してストレスをかけることなく、該フラットケーブルをキャリッジアームに組み合わせながらヘッドユニットをキャリッジアームに対して自動に対向配置させることができると共に、ヘッドユニットをキャリッジアームに対して自動に精度良く重ね合わせることができる組付装置および組付方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の組付装置は、先端に記録ヘッドが取り付けられた支持片を保持し、且つ前記記録ヘッドに接続された長尺なフラットケーブルが固定された本体部を具備するヘッドユニットを、記録媒体上を回動可能なキャリッジアームに対向配置させるアームユニットと、前記キャリッジアームに対して前記ヘッドユニットを重ね合わせて、該キャリッジアームの嵌合孔に前記本体部のボス孔を内嵌させる組付治具ユニットと、を備えた組付装置であって、前記アームユニットは、両面が吸着面とされた板状に形成され、前記本体部の主面を吸着保持可能とされるとともに、下方移動によって吸着保持した前記ヘッドユニットを前記キャリッジアームに対して対向配置させるメインチャックと、両面が吸着面とされた板状に形成され、前記フラットケーブルのうち前記本体部の外方に延在した自由端部分を吸着保持可能なケーブルチャックと、前記ケーブルチャックに対して接近離間自在に配置され、前記ケーブルチャックに対して接近したときに前記ケーブルチャックとの間に画成された隙間に前記フラットケーブルを収容するケーブルサポートと、前記メインチャックの下方移動と同期して、前記隙間に収容された前記フラットケーブルの前記自由端部分を前記ケーブルチャックに沿って下方移動させるケーブルスライド部を具備するスライド体と、を備え、前記組付治具ユニットは、前記メインチャックの移動方向に沿って前記メインチャックに対して接近離間可能に配置され、接近移動に伴って前記キャリッジアームに対して対向配置された前記ヘッドユニットの前記本体部を前記キャリッジアーム側に押圧して、前記嵌合孔に前記ボス孔を内嵌させつつ、前記メインチャックを上方移動させて前記キャリッジアームから離間させる押圧部材を備え、前記ケーブルチャックは、前記フラットケーブルが前記隙間に収容された後、前記吸着保持を解除することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の組付方法は、先端に記録ヘッドが取り付けられた支持片を保持し、且つ前記記録ヘッドに接続された長尺なフラットケーブルが固定された本体部を具備するヘッドユニットを、記録媒体上を回動可能なキャリッジアームに対向配置させた後、前記キャリッジアームの嵌合孔に本体部のボス孔を内嵌させる組付方法であって、両面が吸着面とされた板状に形成されたメインチャックで前記本体部の主面を吸着保持するとともに、両面が吸着面とされた板状に形成されたケーブルチャックで前記フラットケーブルのうち前記本体部の外方に延在した自由端部分を吸着保持するヘッドユニット保持工程と、前記ケーブルチャックに対してケーブルサポートを接近させ、両者の間に画成された隙間に前記フラットケーブルを収容すると共に、該フラットケーブルの前記吸着保持を解除するケーブル収容工程と、前記メインチャックを下方移動させるとともに、これと同期して下方移動するケーブルスライド部により前記隙間に収容された前記フラットケーブルの前記自由端部分を前記ケーブルチャックに沿って下方移動させ、前記ヘッドユニットを前記キャリッジアームに対向配置させると同時に、前記フラットケーブルを前記キャリッジアームに組み付けるヘッドユニット配置工程と、前記メインチャックに対して押圧部材を接近移動させ、該移動に伴って前記本体部を前記キャリッジアーム側に押圧して、前記嵌合孔に前記ボス孔を内嵌させつつ、前記メインチャックを上方移動させて前記キャリッジアームから離間させるヘッドユニット組付工程と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、メインチャックによりヘッドユニットの本体部の主面を吸着保持するとともに、ケーブルチャックによりフラットケーブルの自由端部分を吸着保持するので、本体部とフラットケーブルとをそれぞれ独立した状態で保持することができる。そのため、両者を最適な吸着力で安定して保持することができるうえ、本体部に影響されることなくフラットケーブルをその曲がり具合等に応じて自然な状態で保持することができ、フラットケーブルにストレスをかけ難い。また、吸着保持後、ケーブルチャックとケーブルサポートとの間に画成された隙間にフラットケーブルを収容するので、吸着保持を解除したとしても上記自然な状態をそのまま維持することができると共に、フラットケーブルに癖や不正変形等が生じ難い。
【0014】
そして、メインチャックを下方移動させることで、本体部を介してヘッドユニットの全体を移動させ、キャリッジアームに対して対向配置させることができる。この際、スライド体のケーブルスライド部がメインチャックと同期して下方移動し、上記隙間に収容されたフラットケーブルを補助的に下方移動させてヘッドユニットの本体部の動きに追従させるので、本体部とフラットケーブルとの間に捩じれ等のストレスを生じさせ難い。
さらに、ケーブルチャックは、フラットケーブルが隙間に収容された後に吸着保持を解除しているので、ケーブルスライド部でフラットケーブルを補助的に下方移動させたときに、フラットケーブル自体にもストレスを生じさせ難い。
そして、このメインチャックの下方移動によって、フラットケーブルをキャリッジアームに組み合わせることができると共に、ヘッドユニットをキャリッジアームに対向配置させることができる。
【0015】
ヘッドユニットがキャリッジアームに対向配置されると、組付治具ユニットの押圧部材が上方移動して、メインチャックに接近移動する。すると、この移動に伴って、押圧部材がヘッドユニットの本体部をキャリッジアーム側に押圧して、キャリッジアームの嵌合孔に本体部のボス孔を内嵌させると同時に、メインチャックを上方に押し上げてキャリッジアームから離間させる。
これらの結果、自動的に、ヘッドユニットをキャリッジアームに対して自動に精度良く重ね合わせることができると共に、フラットケーブルにストレスをかけることなくキャリッジアームに組み合わせることができる。
【0016】
また、本発明の組付装置は、前記組付治具ユニットは、前記キャリッジアームに対して前記本体部が対向配置された後、前記嵌合孔および前記ボス孔に連続して挿通される位置決めピン部材を備え、前記押圧部材には、前記位置決めピン部材との干渉を回避するスリットが形成されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の組付方法は、前記ヘッドユニット組付工程の前に、前記嵌合孔および前記ボス孔に位置決めピン部材を連続して挿通する位置決めピン部材挿通工程を備え、前記ヘッドユニット組付工程の際、前記位置決めピン部材を挿通したまま行うことを特徴としている。
【0018】
本発明によれば、ボス孔および嵌合孔に位置決めピン部材を連続して挿通することで、ボス孔および嵌合孔を同軸に配置できる。さらに、押圧部材にはスリットが形成されており、押圧部材と位置決めピン部材との干渉を回避しているので、位置決めピン部材を挿通したままヘッドユニット組付工程を行うことができる。したがって、キャリッジアームにヘッドユニットを精度よく組み付けることができる。
【0019】
また、本発明の組付装置は、前記スライド体が、前記ケーブルスライド部と同期して前記支持片を下方移動させる支持片スライド部を備えたことを特徴としている。
【0020】
また、本発明の組付方法は、前記ヘッドユニット配置工程の際、前記ケーブルスライド部と同期して下方移動する支持片スライド部により、前記支持片を下方移動させることを特徴としている。
【0021】
本発明によれば、メインチャックおよびケーブルスライド部と同期して支持片を下方移動させる支持片スライド部を備えることで、本体部およびフラットケーブルの下方移動と同期して支持片をサポートしながら補助的に下方移動させることができる。したがって、支持片にストレスをかけることなく、ヘッドユニットを下方移動させてキャリッジアームに組み付けることができる。
【0022】
また、本発明の組付装置は、前記アームユニットが、前記本体部を前記メインチャックの前記吸着面側に押し付けるサポート部材を備えたことを特徴としている。
【0023】
本発明によれば、本体部をメインチャックの吸着面側に押し付けるサポート部材を備えているので、サポート部材が本体部を押さえてメインチャックから本体部が離間するのを抑制できる。これにより、メインチャックに本体部を確実に吸着させて、ヘッドユニットを保持できる。
【0024】
また、本発明の組付装置は、前記アームユニットが、前記支持片を前記記録ヘッドが取り付けられた側から逆方向に付勢する支持片サポート部を備えたことを特徴としている。
【0025】
本発明によれば、記録ヘッドが取り付けられた側から支持片を逆方向に付勢する支持片サポート部を備えているので、支持片の先端側に隣接して配置された記録ヘッド同士の干渉を回避できる。したがって、メインチャックに本体部を確実に吸着させてヘッドユニットを保持できるとともに、精度よくキャリッジアームにヘッドユニットを組み付けできる。
【0026】
また、本発明の組付装置は、前記アームユニットを複数備えたことを特徴としている。
【0027】
本発明によれば、複数のアームユニットを備えているので、例えば複数のキャリッジアームのそれぞれについて、一度に複数のヘッドユニットを各別に対向配置させることができる。したがって、組付装置の作業効率を向上できる。
【0028】
また、本発明の組付装置は、互いに隣接する前記アームユニットは、前記ケーブルチャックの前記吸着面に対して平行な仮想面に対して面対称に配設され、一方の前記アームユニットの前記ケーブルチャックと、他方の前記アームユニットの前記ケーブルチャックとは、互いに相手側ユニットの前記ケーブルサポートとして機能することを特徴としている。
【0029】
本発明によれば、一方のアームユニットのケーブルチャックと、対向配置された他方のアームユニットのケーブルチャックとの間にフラットケーブルを収容し、各ケーブルチャックをケーブルサポートとして機能させている。これにより、ケーブルチャックからフラットケーブルの自由端部分が離間するのを抑制できるので、フラットケーブルの自由端部分を安定して保持できる。したがって、精度よくキャリッジアームにフラットケーブルを組み付けできる。特に、互いのケーブルチャックを、相手側のケーブルサポートとしても機能させることができるので、構成の簡略化を図り易い。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、フラットケーブルに対してストレスをかけることなく、該フラットケーブルをキャリッジアームに組み合わせながらヘッドユニットをキャリッジアームに対して自動に対向配置させることができると共に、ヘッドユニットをキャリッジアームに対して自動に精度良く重ね合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】情報記録装置の斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿った断面図である。
【図3】ヘッドユニットの斜視図である。
【図4】ヘッドユニット組付装置の構成概要図である。
【図5】アームユニットを下方から見たときの斜視図である。
【図6】アームユニットを上方から見たときの斜視図である。
【図7】組付治具ユニットの側面図である。
【図8】組付治具ユニットの正面図である。
【図9】ヘッドユニット組付方法の工程フローチャートである。
【図10】ヘッドユニット組付方法の工程フローチャートの詳細である。
【図11】ヘッドユニット保持工程の説明図である。
【図12】ケーブル収容工程の説明図である。
【図13】ヘッドユニット配置工程開始時の斜視図である。
【図14】ヘッドユニット配置工程開始時の側面図である。
【図15】ヘッドユニット配置工程終了時の斜視図である。
【図16】ヘッドユニット配置工程終了時の側面図である。
【図17】位置決めピン部材挿通工程の斜視図である。
【図18】位置決めピン部材挿通工程の正面図である。
【図19】ヘッドユニット組付工程の側面図である。
【図20】ヘッドユニット組付工程の正面図である。
【図21】ヘッドユニット保持工程およびケーブル収容工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。
本実施形態では、組付装置及び組付方法を説明するにあたり、最初にヘッドユニット及びキャリッジアームを具備する装置の一例として情報記録装置を例に挙げながら説明を行った後、本発明にかかるヘッドユニット組付装置およびヘッドユニット組付方法について説明する。
【0033】
(情報記録装置)
図1は、情報記録装置1の斜視図である。
図1に示すように、情報記録装置1は、複数(本実施形態では2枚)の記録媒体Dと、記録媒体Dを回動可能な複数(本実施形態では3本)のキャリッジアーム11a,11b,11cを備えたキャリッジ11と、キャリッジアーム11a,11b,11cの先端側に支持された複数(本実施形態では4個)のヘッドユニット12(12a,12b,12c,12d)と、これら各構成品を収容するハウジング9と、を備えている。
即ち、本実施形態では、2枚の記録媒体Dのそれぞれの両面に対して記録再生を行う場合を例に挙げて説明する。
【0034】
なお、以下の説明では記録媒体Dの中心軸Oに沿う方向をX方向と定義し、情報記録装置の上側を+X側、下側を−X側と定義する。また、キャリッジアーム11a,11b,11cの長手方向をY方向と定義し、先端側を+Y側、基端側を−Y側と定義する。また、キャリッジアーム11a,11b,11cの幅方向をZ方向と定義し、後述するフラットケーブル17が保持される方向を+Z側、その反対方向を−Z側と定義する。以下の説明では、必要に応じてXYZ座標系を用いて説明する。
【0035】
ハウジング9は、アルミニウム等の金属材料からなる開口部を有する箱型形状のものであり、平面視略四角形状の底部9aと、底部9aの周縁において底部9aに対して鉛直方向に立設する周壁(不図示)とで構成されている。そして、周壁に囲まれた内側に各構成品を収容している。
【0036】
記録媒体Dは、略円盤状に形成されたいわゆるハードディスクであり、中心軸Oに沿う方向に、所定距離離間した状態で平行に2枚配置されている。各記録媒体Dの中心には挿通孔が形成されており、記録媒体を中心軸O回りに回転させるスピンドルモータ7の回転軸が内嵌されている。スピンドルモータ7は、ハウジング9の底部9aに取り付けられている。
【0037】
(キャリッジ)
記録媒体Dの外側であって、底部9aの一つの隅角部には、不図示のアクチュエータが取り付けられている。このアクチュエータには、ピボット軸10の中心軸M周りに回動可能なキャリッジ11が取り付けられている。
【0038】
キャリッジ11は、基端部から先端部に向けて(記録媒体Dの方向に向けて)延設された3本のキャリッジアーム11a,11b,11cと、キャリッジアーム11a,11b,11cを片持ち状に支持する基部15と、が形成されている。
基部15は、略直方体形状に形成されたものであり、ピボット軸10回りに回動可能に支持されている。つまり、基部15はピボット軸10を介してアクチュエータに連結されており、このピボット軸10の中心軸Mがキャリッジ11の回動中心となっている。
【0039】
図2は、図1の側面図である。
図2に示すように、本実施形態のキャリッジ11は、3本のキャリッジアーム11a,11b,11cを備えている。各キャリッジアーム11a,11b,11cは、平板状に形成されており、中心軸Oに沿う方向に所定距離離間した状態で略平行に配置されている。具体的には、2枚の記録媒体Dの間にセンターアーム11aが配置され、各記録媒体Dを挟み込むように+X側アーム11bおよび−X側アーム11cが配置される。すなわち、3本のキャリッジアーム11a,11b,11cと2枚の記録媒体Dとが、X方向に沿って交互に配置されている。
【0040】
また、各キャリッジアーム11a,11b,11cは、2枚のアーム片14a,14bを重ねることにより形成されている。
各キャリッジアーム11a,11b,11cの+Y側には、各キャリッジアーム11a,11b,11cの厚さ方向に貫通する嵌合孔14cが形成されている。嵌合孔14cには、後述するヘッドユニット12に形成されたボス孔22のボス部22a(図3参照)が内嵌されることで、各キャリッジアーム11a,11b,11cの+Y側にヘッドユニット12が固定される。
また、各キャリッジアーム11a,11b,11cにおける2枚のアーム片14a,14bの間には、Y方向に沿うように溝部14dが形成されている。後述のフラットケーブル17の自由端部分18は、溝部14dに挿入されて保持される。
【0041】
図3は、ヘッドユニット12の斜視図である。なお、図2に示す+X側アーム11bの−X側面に取り付けられるヘッドユニット12aは、センターアーム11aの−X側面に取り付けられるヘッドユニット12cと同一の形状および構成となっている。また、センターアーム11aの+X側面に取り付けられるヘッドユニット12b、及び−X側アーム11bの+X側面に取り付けられるヘッドユニット12dは、図3に示すヘッドユニット12aと対称形状に形成される以外は、同一の構成となっている。したがって、以下ではヘッドユニット12aについて説明をし、ヘッドユニット12b,12c,12dについては説明を省略する。
【0042】
(ヘッドユニット)
図3に示すように、ヘッドユニット12aは、いわゆるFPC(Flexible Printed Circuits)付きのヘッドジンバルアセンブリと呼ばれるもので、+Y側に記録ヘッド2が取り付けられた支持片24と、支持片24と接続された本体部23とを備えている。
【0043】
支持片24は、平面視略三角形状の板状部材であり、例えばステンレス等の金属材料により形成される。略三角形状に形成された支持片24の頂部における−X側面には、記録ヘッド2が取り付けられる。
記録ヘッド2は、図2に示すように記録媒体Dのディスク面D1から所定距離だけ浮上した状態で記録媒体Dに対向配置されることで、記録媒体Dに対して各種情報を記録再生可能となっている。
【0044】
図3に示すように、略三角形状に形成された支持片24の底辺部における−X側面には、ヘッドユニット12aの本体部23が接続されている。
本体部23は、平面視略長方形状の板状部材であり、支持片24と同様に例えばステンレス等の金属材料により形成される。本体部23の+Y側は延出部23aとなっており、支持片24の−Y側に形成された底辺部に例えばカシメ等により固定される。
延出部23aは可撓性を有しており、支持片24の+Y側に取り付けられた記録ヘッド2が記録媒体Dに対して接近離間可能となっている。
【0045】
また、本体部23の−Y側には、ボス孔22が形成されている。ボス孔22は、本体部23の−Y側において、本体部23のZ方向の略中央に形成されている。またボス孔22の縁部は、+X側に向かってフランジ状に立設されたボス部22aとなっている。ボス部22aの外径は、キャリッジアーム11a,11b,11cに形成された嵌合孔14c(図2参照)の直径と略同一に形成されている。そして、ボス部22aをキャリッジアーム11a,11b,11cの嵌合孔14c内に配置することで、ボス孔22が嵌合孔14cに内嵌される。
【0046】
本体部23の−X側面は平坦面25(主面)となっている。平坦面25は、後述するヘッドユニット組付装置3におけるアームユニット30のメインチャック31に吸着保持される。
また、本体部23には、フラットケーブル17が配索されている。フラットケーブル17は、例えば膜状の絶縁体により被覆されたフィルム状のFPCである。フラットケーブル17は長尺板状に形成されており、X方向に可撓性を有している。これにより、延出部23aのX方向の撓みに追従可能となっている。
【0047】
フラットケーブル17の一端側は、支持片24の+Y側に固定された記録ヘッド2に接続されている。そして、フラットケーブル17は、支持片24を跨いで引き回され、平坦面25上で+Z側に引き回されてボス孔22を回避した後、本体部23の+Z側縁部に沿うように引き回されている。
【0048】
フラットケーブル17の他端側は、本体部23の外側で−Y側に延在しており、自由端部分18となっている。自由端部分18の−Y側端部には、ケーブル基板20(図1参照)が設けられており、キャリッジ11の基部15に設けられたターミナル基板16(図1参照)等を介して、不図示の制御装置と接続されている。このように、フラットケーブル17は、制御装置に接続されるケーブル基板20と記録ヘッド2とを電気的に接続している。
【0049】
フラットケーブル17の両主面のうち、本体部23の平坦面25と同一側面(図3における−X側面)は、後述するアームユニット30のケーブルチャック35により吸着保持される被吸着面17aとなっている。本体部23の平坦面25とフラットケーブル17の被吸着面17aとが同一方向から同時に吸着保持されることで、アームユニット30にヘッドユニット12が吸着保持されるようになっている。
【0050】
(ヘッドユニット組付装置)
続いて、図面を参照しながら、上述したキャリッジアーム11a,11b,11cにヘッドユニット12を取り付けるヘッドユニット組付装置3について説明する。
図4は、ヘッドユニット組付装置3の構成概要図である。以下の説明では、すでに定義したXYZ座標系を用いて説明する。なお、装置の上下方向はZ方向となり、上側が+Z側となり、下側が−Z側となっている。
【0051】
図4に示すように、ヘッドユニット組付装置3は、+Z側に設けられた一対のアームユニット30(30a,30b)と、−Z側に設けられた組付治具ユニット60と、により構成されている。なお、一対のアームユニット30a,30bは、YZ平面に対して面対称形状に形成されている以外は、同一の構成となっている。したがって、以下の説明では、+X側に配置されたアームユニット30aについて説明をし、−X側に配置されたアームユニット30bについては、説明を省略する。
【0052】
(アームユニット)
図5は、アームユニット30aを下方から見たときの斜視図である。
図6は、アームユニット30aを上方から見たときの斜視図である。
図5および図6に示すように、アームユニット30aは、ヘッドユニット12の本体部23を吸着保持するメインチャック31と、フラットケーブル17を吸引保持するケーブルチャック35(サイド積層用ケーブルチャック35aおよびセンター積層用ケーブルチャック35b)と、ケーブルチャック35とともにフラットケーブル17を収容するケーブルサポート40と、−Z側にスライドするスライド体45と、ヘッドユニット12の本体部23を押し付けるサポート部材50と、ヘッドユニット12の支持片24を付勢する支持片サポート部55と、を備えている。
【0053】
アームユニット30aを構成するメインチャック31、ケーブルチャック35、ケーブルサポート40、スライド体45、および支持片サポート部55の各構成部材は、長尺に形成されており、Z方向に長手方向を有している。また、各構成部材の+Z側端部には、不図示のロボットアーム駆動機構が接続されており、各構成部材がXYZの各方向に移動可能となっている。さらに、各構成部材の+Z側端部と−Z側端部との間の中間部は、各構成部材がXYZ方向に移動した際に干渉しないように、例えば屈曲形成されている。以下に、アームユニット30aを構成する各構成部材について詳述する。
【0054】
(メインチャック)
メインチャック31は、Y方向に幅方向を有する平板状に形成されており、−Z側端部が吸着部32となっている。吸着部32は、+X側面および−X側面の両面が、それぞれ吸着面32a,32bとなっている。
吸着面32a,32bには、不図示の吸着孔が複数形成されている。各吸着孔は、メインチャック31の内部を介して不図示の真空ポンプと連通されている。真空ポンプにより空気を吸引することで、吸着面32a,32bがヘッドユニット12の本体部23の平坦面25と当接して、本体部23を吸引保持可能となっている。
【0055】
また、吸着部32のY方向略中央には、−Z側に開口を有し、Z方向に沿うようにスリット状の逃げ溝部33が形成されている。逃げ溝部33は、ヘッドユニット12の本体部23を吸引保持したときに、本体部23に形成されたボス孔22に対応した位置に形成されている。逃げ溝部33の幅は、ボス孔22の直径と略同一の幅となるように形成されている。逃げ溝部33を設けることで、後述する位置決めピン部材挿通工程S17(図10参照)において、位置決めピン部材70(図4参照)がボス孔22に挿通されたときに、位置決めピン部材70とメインチャック31との干渉を回避している。
【0056】
このように形成されたメインチャック31は、ヘッドユニット12の本体部23を吸着保持した状態で、Z方向に移動可能となっている。そして、メインチャック31の−Z側に配置されたキャリッジアーム11a,11b,11cに対して、ヘッドユニット12を対向配置させている。
【0057】
(ケーブルチャック)
本実施形態のアームユニット30aは、2種類のケーブルチャック35を備えている。具体的には、後述するサイド積層工程S100で使用されるサイド積層用ケーブルチャック35aと、センター積層工程S200で使用されるセンター積層用ケーブルチャック35bとを有している。
サイド積層用ケーブルチャック35aとセンター積層用ケーブルチャック35bとは、X方向において、隣接して配置されている。このため、配置される位置がX方向で異なっており、サイド積層用ケーブルチャック35a+X側に配置され、センター積層用ケーブルチャック35bは−X側に配置される。
【0058】
サイド積層用ケーブルチャック35aおよびセンター積層用ケーブルチャック35bは、配置される位置以外は同一の構成となっている。したがって、以下では、サイド積層用ケーブルチャック35aについてのみ説明をし、センター積層用ケーブルチャック35bの詳細な説明については省略する。
【0059】
サイド積層用ケーブルチャック35aは、上述のメインチャック31と同様に、Y方向に幅方向を有する平板状に形成されており、−Z側端部がケーブル吸着部36となっている。ケーブル吸着部36は、+X側面および−X側面の両面が、それぞれケーブル吸着面36a,36bとなっている。ケーブル吸着面36a,36bがフラットケーブル17の自由端部分18における被吸着面17aと当接して、フラットケーブル17の自由端部分18を吸引保持可能となっている。
【0060】
ケーブル吸着部36のY方向略中央には、−Z側に開口を有し、Z方向に沿うようにスリット状のスライド溝部37が形成されている。スライド溝部37内には、後述するスライド体45のケーブルスライド部46が配置されている。スライド溝部37の幅は、ケーブルスライド部46の幅よりも広く形成されている。また、スライド溝部37の長さは、ケーブルスライド部46のZ方向の移動量よりも十分長く形成されている。スライド溝部37を設けることで、後述するヘッドユニット配置工程S15(図10参照)において、ケーブルスライド部46が−Z側に移動したときに、ケーブルスライド部46とサイド積層用ケーブルチャック35aとの干渉を回避している。
【0061】
このように形成されたサイド積層用ケーブルチャック35aは、メインチャック31がヘッドユニット12を吸着保持するのと同時に、フラットケーブル17の自由端部分18における被吸着面17aを吸着保持している。これにより、ヘッドユニット12の本体部23とフラットケーブル17とをそれぞれ独立した状態で保持している。したがって、両者を最適な吸着力で安定して保持することができるうえ、本体部23に影響されることなくフラットケーブル17をその曲がり具合等に応じて自然な状態で保持することができ、フラットケーブル17にストレスをかけ難い構造となっている。
【0062】
なお、サイド積層工程S100でサイド積層用ケーブルチャック35aを使用しているときには、センター積層用ケーブルチャック35bは+Z側に配置され、サイド積層用ケーブルチャック35aとの干渉を回避している。また、同様に、センター積層工程S200でセンター積層用ケーブルチャック35bを使用しているときには、サイド積層用ケーブルチャック35aは+Z側に配置され、センター積層用ケーブルチャック35bとの干渉を回避している。
【0063】
(ケーブルサポート)
ケーブルサポート40は、外形がサイド積層用ケーブルチャック35aのケーブル吸着部36と同一形状に形成された、平板状の部材である。ケーブルサポート40は、サイド積層用ケーブルチャック35aに対して接近離間自在に配置されている。
ケーブルサポート40が、サイド積層用ケーブルチャック35aに接近したとき、ケーブルサポート40とケーブル吸着部36との間に隙間が形成される。この隙間の幅は、フラットケーブル17の厚みと略同一となるように設定されている。これにより、フラットケーブル17にストレスをかけることなく、ケーブルサポート40とケーブル吸着部36との間の隙間にフラットケーブル17を収容できる。
【0064】
なお、フラットケーブル17がケーブルサポート40とケーブル吸着部36との隙間に収容された後は、サイド積層用ケーブルチャック35aによる吸着保持を解除している。これにより、後述するケーブルスライド部46(図5参照)によりフラットケーブル17を補助的に−Z側に下方移動させたときに、フラットケーブル17にストレスが生じるのを抑制している。
【0065】
ところで、後述するように、センター積層工程S200の際には、センター積層用ケーブルチャック35bのケーブル吸着面36b(図6参照)が対向して配置され、対向した各ケーブル吸着面36bに、一対のフラットケーブル17がそれぞれ吸着保持される。この場合には、対向したケーブル吸着面36bが互いに接近して隙間を形成し、この隙間にフラットケーブル17を収容することで、各センター積層用ケーブルチャック35bが互いに相手ユニットのケーブルサポートとして機能している。
【0066】
(スライド体)
スライド体45は、メインチャック31の−Z側への下方移動と同期して移動可能に構成されており、フラットケーブル17の自由端部分18を下方移動させるケーブルスライド部46と、支持片24を下方移動させる支持片スライド部47とを備えている。
【0067】
ケーブルスライド部46は、X方向に沿って延在しており、各ケーブルチャック35のケーブル吸着部36,38に形成されたスライド溝部37,39の間に配置される。ケーブルスライド部46のフラットケーブル17における自由端部分18に対応した位置は、−Z側に突出した当接部46aとなっている。当接部46aは、ケーブルスライド部46が下方移動した際にフラットケーブル17の+Z側端面と当接する。そして、ケーブルスライド部46は、フラットケーブル17の自由端部分18を各ケーブルチャック35に沿って下方移動させている。
【0068】
支持片スライド部47は、X方向に沿ってケーブルスライド部46と略平行に延在しており、メインチャック31よりも+Y側に配置されている。支持片スライド部47の支持片24に対応した位置は、ケーブルスライド部46と同様に−Z側に突出した当接部47aとなっている。当接部47aは、支持片スライド部47が下方移動した際に支持片24の+Z側端面と当接する。そして、支持片スライド部47は、ケーブルスライド部46と同期して支持片24を下方移動させている。
【0069】
(サポート部材)
サポート部材50は、Z方向に沿って延設された略四角柱状の部材である。サポート部材50は、メインチャック31の吸着部32よりも+Y側において、本体部23の延出部23a近傍に配置されている。サポート部材50の周面は本体部23と当接し、メインチャック31の吸着面32a側へ本体部23を押付けている。これにより、本体部23が吸着面32aから離間するのを抑制している。
【0070】
(支持片サポート部)
支持片サポート部55は、Z方向に沿って延設された略円柱状の部材である。支持片サポート部55は、サポート部材50の+Y側において、支持片24に取り付けられた記録ヘッド2近傍に配置されている。支持片サポート部55は、記録ヘッド2が取り付けられた側から逆方向に向かって支持片24を付勢している。これにより、組付工程時における隣接する記録ヘッド2同士の干渉を回避している。
【0071】
(組付治具ユニット)
図7は、組付治具ユニット60を+X側から見たときの側面図である。
図8は、組付治具ユニット60を+Y側から見たときの正面図である。
図7に示すように、組付治具ユニット60は、キャリッジアーム11a,11b,11cの−Z側に配置された押圧部材61と、図8に示すように、キャリッジアーム11a,11b,11cの側方に配置される位置決めピン部材70と、により構成されている。
【0072】
(押圧部材)
押圧部材61は、X方向に厚みを有し、Y方向に幅を有し、Z方向に沿うように形成された長尺の板状部材である。押圧部材61の+Z側の先端部61aは、X方向における厚みが漸次薄くなるテーパ面62(62a,62b)となっている。また、押圧部材61の先端部61aにおけるY方向の略中央には、+Z側に開口を有しZ方向に沿うように延設されたスリット63が形成されている。スリット63を形成することで、後述する位置決めピン部材70と押圧部材61との干渉を回避している。
【0073】
図8に示すように、押圧部材61は、X方向に隣接して一対設けられている。具体的には、各押圧部材61は、センターアーム11aと+X側アーム11bとの間、およびセンターアーム11aと−X側アーム11cとの間であって、+Z側に配置された一対のメインチャック31と対向するように設けられている。また、押圧部材61は、メインチャック31に対して、Z方向に沿って接近離間可能となっている。そして、後述するヘッドユニット組付工程S19(図10参照)では、メインチャック31に先端部61aが当接した状態で押圧部材61を+Z側に上方移動させることで、メインチャック31を+Z側に上方移動させてキャリッジアーム11a,11b,11cから離間させている。
【0074】
(位置決めピン)
組付治具ユニット60は、X方向に沿って延在する位置決めピン部材70を備えている。位置決めピン部材70は、先端部70aが尖塔形状に形成された棒状部材である。位置決めピン部材70は、X方向に沿って移動可能となっており、後述する位置決めピン部材挿通工程S17(図10参照)では、ボス孔22および嵌合孔14cに連続して挿通させている。
【0075】
(ヘッドユニット組付方法)
続いて、図面を参照しながら、上述したヘッドユニット組付装置3を用いたヘッドユニット組付方法について説明する。
図9は、ヘッドユニット組付方法の工程フローチャートである。
図9に示すように、本実施形態のヘッドユニット組付方法は、+X側アーム11bにヘッドユニット12aを組み付け、−X側アーム11cにヘッドユニット12dを組み付ける(図2参照)両サイド積層工程S100と、センターアーム11aにヘッドユニット12bおよびヘッドユニット12cを組み付ける(図2参照)センター積層工程S200とを備えている。
【0076】
(両サイド積層工程S100)
図10は、両サイド積層工程S100およびセンター積層工程S200の各工程のフローチャートである。なお、両サイド積層工程S100およびセンター積層工程S200の各工程は、基本的に同一である。したがって、図10では、センター積層工程S200の各工程の符号については、カッコ内に表記している。
【0077】
図10に示すように、両サイド積層工程S100は、ヘッドユニット保持工程S10と、ケーブル収容工程S13と、ヘッドユニット配置工程S15と、位置決めピン部材挿通工程S17と、ヘッドユニット組付工程S19と、を備えている。以下に、各工程の詳細について説明する。なお、以下の各工程の説明では、すでに定義したXYZ座標系を用いて説明する。
【0078】
また、前述のとおり、一対のアームユニット30a,30bは、YZ平面に対して面対称形状に形成されて配置されており、+X側に配置されたアームユニット30aで+X側アーム11bにヘッドユニット12aを組み付け、−X側に配置されたアームユニット30bで−X側アーム11cにヘッドユニット12dを組み付けている。しかし、アームユニット30aおよびアームユニット30bの各工程における組付動作は同一である。したがって、以下の各工程の説明では、+X側に配置されたアームユニット30aの動作について説明をし、−X側に配置されたアームユニット30bの動作については、必要に応じて行うものとする。
【0079】
(ヘッドユニット保持工程S10)
図11は、ヘッドユニット保持工程S10の説明図であり、アームユニット30a,30bを+Z側から見たときの平面図である。
両サイド積層工程S100では、始めに、ヘッドユニット保持工程S10を行う。
図11に示すように、ヘッドユニット保持工程S10では、ヘッドユニット12aの本体部23の平坦面25を、メインチャック31の外方の吸着面32aで吸着保持している。また、これとともに、サイド積層用ケーブルチャック35aの外方のケーブル吸着面36aで、フラットケーブル17の自由端部分18における被吸着面17aを吸着保持している。
【0080】
また、アームユニット30aは、ヘッドユニット12aの本体部23およびフラットケーブル17の自由端部分18を吸着保持したまま、キャリッジアーム11a,11b,11cの上方に移動する(図4参照)。
ここで、図11に示すように、サポート部材50が本体部23と当接し、メインチャック31の吸着面32a側へ本体部23を押付けている。これにより、アームユニット30aの移動時の振動等により、本体部23が吸着面32aから離間するのを抑制している。また、支持片サポート部55は、記録ヘッド2近傍で支持片24を吸着面32aとは逆方向に付勢している。これにより、アームユニット30aの移動時において、隣接する記録ヘッド2同士の干渉を回避している。
以上で、ヘッドユニット保持工程S10が終了する。
【0081】
(ケーブル収容工程S13)
図12は、ケーブル収容工程S13の説明図であり、アームユニット30a,30bを+Z側から見たときの平面図である。
続いて、サイド積層用ケーブルチャック35aとケーブルサポート40とにより、フラットケーブル17を収容するケーブル収容工程S13を行っている。
図12に示すように、ケーブル収容工程S13では、サイド積層用ケーブルチャック35aに対してケーブルサポート40を接近移動させている。そして、サイド積層用ケーブルチャック35aのケーブル吸着面36aとケーブルサポート40との間には隙間が画成され、この隙間にフラットケーブル17の自由端部分18を収容している。
【0082】
また、ケーブル収容工程S13では、前述の隙間にフラットケーブル17の自由端部分18を収容した後、サイド積層用ケーブルチャック35aによる吸引を停止して、フラットケーブル17の自由端部分18の吸着保持を解除している。これにより、次の工程であるヘッドユニット配置工程S15で、フラットケーブル17の自由端部分18を下方に移動させたときに、フラットケーブル17にストレスが生じるのを抑制している。
ケーブル吸着面36aとケーブルサポート40と隙間にフラットケーブル17の自由端部分18を収容し、ケーブル吸着面36aによる吸着保持を解除した時点で、ケーブル収容工程S13が終了する。
【0083】
(ヘッドユニット配置工程S15)
図13は、ヘッドユニット配置工程S15開始時の斜視図である。
図14は、ヘッドユニット配置工程S15開始時の側面図である。
続いて、ヘッドユニット配置工程S15では、ヘッドユニット12aを+X側アーム11bに対向配置させると同時に、フラットケーブル17を+X側アーム11bに組み付けている。
【0084】
まず、ヘッドユニット配置工程S15では、図13および図14に示すように、メインチャック31でヘッドユニット12aの本体部23を吸着保持し、且つサイド積層用ケーブルチャック35aとケーブルサポート40とでフラットケーブル17の自由端部分18を収容した状態で、アームユニット30aを+X側アーム11bの上方に移動させる。
【0085】
このとき、X方向におけるメインチャック31の位置は、センターアーム11aと、+X側アーム11bとの間に配置されるように、アームユニット30aを移動させる(図13参照)。また、Y方向におけるヘッドユニット12aのボス孔22の位置は、+X側アーム11bの嵌合孔14cの位置と略同一になるようにアームユニット30aを移動させる(図14参照)。また、Z方向におけるアームユニット30aの位置は、ヘッドユニット12aを吸着保持した状態でアームユニット30aを下方移動させたときに、ヘッドユニット12aと−X側アーム11cとが対向配置可能となるように、アームユニット30aを移動させる。
【0086】
図15は、ヘッドユニット配置工程S15終了時の斜視図である。
図16は、ヘッドユニット配置工程S15終了時の側面図である。
続いて、ヘッドユニット配置工程S15では、図15および図16に示すように、メインチャック31を−Z側に下方移動させるとともに、これと同期してスライド体45を−Z側に下方移動させる。
具体的には、メインチャック31は、ヘッドユニット12aの本体部23を吸着保持した状態で下方移動している。これにより、ヘッドユニット12aの本体部23は下方移動する。
【0087】
また、これと同期して、スライド体45は、スライド体45に一体形成されたケーブルスライド部46および支持片スライド部47ごと−Z側に下方移動している。
このとき、ケーブルスライド部46の当接部46aは、フラットケーブル17の自由端部分18の+Z側端と当接した状態で下方移動するので、フラットケーブル17の自由端部分18は下方移動する。
【0088】
ここで、ケーブルスライド部46は、ケーブル吸着面36aとケーブルサポート40との間に収容されたフラットケーブル17の自由端部分18を、メインチャック31の下方移動と同期して補助的に下方移動させている。このように、ケーブルスライド部46は、メインチャック31と同期して下方移動し、フラットケーブル17をヘッドユニット12aの本体部23の動きに追従させるので、本体部23とフラットケーブル17との間に捩じれ等のストレスを生じさせ難い。
【0089】
さらに、支持片スライド部47の当接部47aは、支持片24の+Z側端と当接した状態で下方移動するので、支持片24は下方移動する。このように、支持片スライド部47は、メインチャック31およびケーブルスライド部46と同期して下方移動し、支持片24をフラットケーブル17およびヘッドユニット12aの本体部23の動きに追従させるので、支持片24にストレスをかけることなく、ヘッドユニット12aを下方移動させることができる。
【0090】
そして、ヘッドユニット配置工程S15では、図15および図16に示すように、ヘッドユニット12aを+X側アーム11bに対向配置させている。また、これと同時に、フラットケーブル17の自由端部分18を、+X側アーム11bに組み付けている。フラットケーブル17の+X側アーム11bへの組み付けは、+X側アーム11bを形成するアーム片14aおよびアーム片14bの間に形成された溝部14dに、フラットケーブル17の自由端部分18が挿入されて保持されることで達成される(図2参照)。
ヘッドユニット12aが+X側アーム11bに対向配置され、+X側アーム11bの溝部14d(図2参照)にフラットケーブル17の自由端部分18が挿入された時点で、ヘッドユニット配置工程S15が終了する。
【0091】
(位置決めピン部材挿通工程S17)
図17は、位置決めピン部材挿通工程S17の斜視図である。
図18は、位置決めピン部材挿通工程S17の+Y側から見たときの正面図である。
図17および図18に示すように、位置決めピン部材挿通工程S17では、X方向に沿って延在する位置決めピン部材70を、+X側から−X側に向かって移動させる。そして、各キャリッジアーム11a,11b,11cの嵌合孔14cおよびヘッドユニット12a,12dのボス孔22に、位置決めピン部材70を連続して挿通している。これにより、ボス孔22および嵌合孔14cを同軸に配置できる。
【0092】
このとき、各キャリッジアーム11a,11b,11c間には、ヘッドユニット12とともにメインチャック31が配置されている。ここで、前述のとおりメインチャック31には、逃げ溝部33が形成されている。このため、位置決めピン部材70が嵌合孔14cおよびボス孔22に挿通されたときに、メインチャック31の逃げ溝部33にも位置決めピン部材70が挿通され、位置決めピン部材70とメインチャック31との干渉を回避できる。
【0093】
位置決めピン部材70の挿通後、メインチャック31によるヘッドユニット12aの本体部23の吸着保持を解除する。このとき、ヘッドユニット12aは、位置決めピン部材70が挿通されて保持されるので、メインチャック31の吸着保持が解除されても脱落することがない。
嵌合孔14cおよびボス孔22に、位置決めピン部材70を連続して挿通し、メインチャック31の吸着保持を解除した時点で、位置決めピン部材挿通工程S17が終了する。
【0094】
(ヘッドユニット組付工程S19)
図19は、ヘッドユニット組付工程S19のX方向から見たときの側面図である。なお、図19では、図面を分かり易くするために、各キャリッジアーム11a,11b,11cを一点鎖線で表現している。
図20は、ヘッドユニット組付工程S19の+Y側から見たときの正面図である。
図19および図20に示すように、ヘッドユニット組付工程S19では、押圧部材61をメインチャック31に接近移動させて、メインチャック31を上昇移動させるとともに、ヘッドユニット12aを+X側アーム11bに組み付けている。ヘッドユニット組付工程S19は、具体的に以下のように行われる。
【0095】
ヘッドユニット組付工程S19では、位置決め金属ピン部材70を嵌合孔14cおよびボス孔22に挿通した状態のまま、各キャリッジアーム11a,11b,11cの下方に配置された押圧部材61を上方に移動させ、メインチャック31の下端面に押圧部材61の先端部61aを当接させた状態で押圧部材61を上方移動させる。これにより、メインチャック31は、押圧部材61により押し上げられて上方移動する。
【0096】
ここで、押圧部材61の先端部61aには、+Z側に開口を有するスリット63が形成されている。したがって、押圧部材61を上方移動させたときに、スリット63内に位置決めピン部材70が配置されるので、位置決めピン部材70とメインチャック31との干渉を回避できる。
【0097】
また、前述のとおりメインチャック31による本体部23の吸引保持は解除されている。したがって、メインチャック31を押圧部材61により押し上げることで、ヘッドユニット12aをセンターアーム11aと+X側アーム11bとの間に残存させつつ、メインチャック31を各キャリッジアーム11a,11b,11cから離間させることができる。
【0098】
また、この押圧部材61の上方移動に伴って、ヘッドユニット12aが+X側に移動し、+X側アーム11b側に押圧される。具体的には、押圧部材61の先端部61aに形成されたテーパ面62aに沿うようにヘッドユニット12aの本体部23が+X側に移動することで、ヘッドユニット12aが+X側アーム11b側に押圧される。
このとき、嵌合孔14cおよびボス孔22は、位置決めピン部材70によって同軸に配置されている。したがって、ヘッドユニット12aの+X側アーム11b側への押圧により、ボス孔22が嵌合孔14cに導かれて嵌合孔14cに内嵌される。
【0099】
そして、メインチャック31が各キャリッジアーム11a,11b,11cから離間するのに合わせて、ケーブルスライド部46、支持片スライド部47、サポート部材50および支持片サポート部55を各キャリッジアーム11a,11b,11cから離間させる。
また、押圧部材61を下方移動させて、各キャリッジアーム11a,11b,11cから離間させる。
以上で、ヘッドユニット組付工程S19が終了する。
また、ヘッドユニット組付工程S19が終了した時点で、+X側アーム11bにヘッドユニット12aを組み付け、−X側アーム11cにヘッドユニット12dを組み付ける両サイド積層工程S100が終了する。
【0100】
(センター積層工程S200)
両サイド積層工程S100の後、センター積層工程S200を行う。
図10に示すとおり、センター積層工程S200の各工程フローは、両サイド積層工程S100の各工程フローと同一である。また、各工程の内容も基本的に同様であるが、センター積層工程S200のヘッドユニット保持工程S20およびケーブル収容工程S23は、両サイド積層工程S100のヘッドユニット保持工程S10およびケーブル収容工程S13と若干異なっている。
したがって、以下のセンター積層工程S200の説明では、ヘッドユニット保持工程S20およびケーブル収容工程S23について、両サイド積層工程S100と異なる内容のみ説明をし、同一の内容については説明を省略する。
【0101】
(ヘッドユニット保持工程S20)
図21は、ヘッドユニット保持工程S20およびケーブル収容工程S23の説明図であり、アームユニット30a,30bを+Z側から見たときの平面図である。
両サイド積層工程S100のヘッドユニット保持工程S10では、フラットケーブル17の吸着保持に、サイド積層用ケーブルチャック35aを使用していた(例えば、図11参照)。これに対して、センター積層工程S200のヘッドユニット保持工程S20では、図21に示すように、フラットケーブル17の吸着保持に、センター積層用ケーブルチャック35bを使用している点で、両サイド積層工程S100のヘッドユニット保持工程S10と異なっている。
【0102】
図21に示すように、ヘッドユニット保持工程S20では、ヘッドユニット12bの本体部23の平坦面25を、メインチャック31の内方の吸着面32bで吸着保持している。また、これとともに、センター積層用ケーブルチャック35bの内方のケーブル吸着面38bで、フラットケーブル17の自由端部分18における被吸着面17aを吸着保持している。
【0103】
(ケーブル収容工程S23)
両サイド積層工程S100のケーブル収容工程S13では、フラットケーブル17の自由端部分18は、サイド積層用ケーブルチャック35aとケーブルサポート40との間に収容されていた(例えば図12参照)。しかし、これに対して、センター積層工程S200のケーブル収容工程S23では、図21に示すように、フラットケーブル17の自由端部分18は、対向配置されたセンター積層用ケーブルチャック35bの間に収容されている点で、両サイド積層工程S100のヘッドユニット保持工程S10と異なっている。
【0104】
図21に示すように、ケーブル収容工程S13では、センター積層用ケーブルチャック35bを互いに接近移動させ、対向配置させている。そして、対向配置された一対のセンター積層用ケーブルチャック35bのケーブル吸着部38における各ケーブル吸着面38bの間には隙間が画成され、この隙間にフラットケーブル17の自由端部分18を収容している。すなわち、+X側のアームユニット30aのセンター積層用ケーブルチャック35bと、−X側のアームユニット30bのセンター積層用ケーブルチャック35bとは、互いに相手側ユニットのケーブルサポートとして機能し、フラットケーブル17の自由端部分18を収容している。
【0105】
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、メインチャック31によりヘッドユニット12の本体部23の平坦面25を吸着保持するとともに、ケーブルチャック35によりフラットケーブル17の自由端部分18を吸着保持するので、本体部23とフラットケーブル17とをそれぞれ独立した状態で保持することができる。そのため、両者を最適な吸着力で安定して保持することができるうえ、本体部23に影響されることなくフラットケーブル17をその曲がり具合等に応じて自然な状態で保持することができ、フラットケーブル17にストレスをかけ難い。また、吸着保持後、ケーブルチャック35とケーブルサポート40との間に画成された隙間にフラットケーブル17の自由端部分18を収容するので、吸着保持を解除したとしても上記自然な状態をそのまま維持することができると共に、フラットケーブル17に癖や不正変形等が生じ難い。
【0106】
そして、メインチャック31を−Z側に下方移動させることで、本体部23を介してヘッドユニット12の全体を移動させ、各キャリッジアーム11a,11b,11cに対して対向配置させることができる。この際、スライド体45のケーブルスライド部46がメインチャック31と同期して下方移動し、上記隙間に収容されたフラットケーブル17を補助的に下方移動させてヘッドユニット12の本体部23の動きに追従させるので、本体部23とフラットケーブル17との間に捩じれ等のストレスを生じさせ難い。
さらに、ケーブルチャック35は、フラットケーブル17が隙間に収容された後に吸着保持を解除しているので、ケーブルスライド部46でフラットケーブル17を補助的に下方移動させたときに、フラットケーブル17自体にもストレスを生じさせ難い。
そして、このメインチャック31の下方移動によって、フラットケーブル17をキャリッジアーム11a,11b,11cに組み合わせることができると共に、ヘッドユニット12をキャリッジアーム11a,11b,11cに対向配置させることができる。
【0107】
ヘッドユニット12がキャリッジアーム11a,11b,11cに対向配置されると、組付治具ユニット60の押圧部材61がZ側に上方移動して、メインチャック31に接近移動する。すると、この移動に伴って、押圧部材61がヘッドユニット12の本体部23をキャリッジアーム11a,11b,11c側に押圧して、キャリッジアーム11a,11b,11cの嵌合孔14cに本体部23のボス孔22を内嵌させると同時に、メインチャック31を上方に押し上げてキャリッジアーム11a,11b,11cから離間させる。これらの結果、自動的に、ヘッドユニット12をキャリッジアーム11a,11b,11cに対して自動に精度良く重ね合わせることができると共に、フラットケーブル17にストレスをかけることなくキャリッジアーム11a,11b,11cに組み合わせることができる。
【0108】
また、本実施形態によれば、対向配置されたヘッドユニット12の本体部23に形成されたボス孔22およびキャリッジアーム11a,11b,11cに形成された嵌合孔14cに位置決めピン部材70を連続して挿通することで、ボス孔22および嵌合孔14cを同軸に配置できる。さらに、押圧部材61にはスリット63が形成されているので、位置決めピン部材70を挿通したままヘッドユニット組付工程S19,S29を行うことができる。したがって、キャリッジアーム11a,11b,11cにヘッドユニット12を精度よく組み付けることができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、メインチャック31およびケーブルスライド部46と同期して支持片24を下方移動させる支持片スライド部47を備えることで、メインチャック31に吸着保持された本体部23およびフラットケーブル17の下方移動と同期して支持片24をサポートしながら補助的に下方移動させることができる。したがって、支持片24にストレスをかけることなく、ヘッドユニット12を下方移動させてキャリッジアーム11a,11b,11cに組み付けることができる。
【0110】
また、本実施形態によれば、本体部23をメインチャック31の吸着面32a,32b側に押し付けるサポート部材50を備えているので、サポート部材50が本体部23を押さえてメインチャック31から本体部23が離間するのを抑制できる。これにより、メインチャック31に本体部23を確実に吸着させて、ヘッドユニット12を保持できる。
【0111】
また、本実施形態によれば、記録ヘッド2が取り付けられた側から支持片24を逆方向に付勢する支持片サポート部55を備えているので、支持片24の先端側に隣接して配置された記録ヘッド2同士の干渉を回避できる。したがって、メインチャック31に本体部23を確実に吸着させてヘッドユニット12を保持できるとともに、精度よくキャリッジアーム11a,11b,11cにヘッドユニット12を組み付けできる。
【0112】
また、本実施形態によれば、複数のアームユニット30を備えているので、例えば複数のキャリッジアーム11a,11b,11cのそれぞれについて、一度に複数のヘッドユニット12を各別に対向配置できる。したがって、ヘッドユニット組付装置3の作業効率を向上できる。
【0113】
また、本実施形態によれば、各アームユニット30が吸着面32a,32bに対して平行な仮想面に対して面対称形状に形成されているので、面対称形状に形成された一対のヘッドユニット12を、一度にキャリッジアーム11a,11b,11cに配置できる。したがって、ヘッドユニット組付装置3の作業効率を向上できる。また、一方のアームユニット30aのセンター積層用ケーブルチャック35bと、対向配置された他方のアームユニット30bのセンター積層用ケーブルチャック35bとの間にフラットケーブル17を収容し、各センター積層用ケーブルチャック35bをケーブルサポートとして機能させている。これにより、センター積層用ケーブルチャック35bからフラットケーブル17の自由端部分18が離間するのを抑制できるので、フラットケーブル17の自由端部分18を安定して保持できる。したがって、精度よくキャリッジアーム11a,11b,11cにフラットケーブル17を組み付けできる。特に、互いのケーブルチャックを、相手側のケーブルサポートとしても機能させることができるので、構成の簡略化を図り易い。
【0114】
なお、この発明の技術範囲は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0115】
本実施形態では、YZ平面に対して面対称形状に形成された一対のアームユニット30a,30bによりヘッドユニット組付装置3が構成されていた。しかし、アームユニット30a,30bの個数は本実施形態に限られない。例えば、1個のアームユニット30によりヘッドユニット組付装置3を構成してもよいし、3個のアームユニット30によりヘッドユニット組付装置3を構成してもよい。
【0116】
本実施形態では、両サイド積層工程S100を行った後に、センター積層工程S200を行っているが、工程の順番はこれに限定されることはなく、センター積層工程S200を行った後に、両サイド積層工程S100を行ってもよい。
【符号の説明】
【0117】
2・・・記録ヘッド 3・・・ヘッドユニット組付装置(組付装置) 11a,11b,11c・・・キャリッジアーム 12(12a,12b,12c,12d)・・・ヘッドユニット 14c・・嵌合孔 17・・・フラットケーブル 18・・・自由端部分 22・・・ボス孔 23・・・本体部 24・・・支持片 25・・・平坦面(主面) 30(30a,30b)・・・アームユニット 32a,32b・・・吸着面 36a,36b・・・ケーブル吸着面 40・・・ケーブルサポート 45・・・スライド体 46・・・ケーブルスライド部 47・・・支持片スライド部 50・・・サポート部材 55・・・支持片サポート部 60・・・組付治具ユニット 61・・・押圧部材 63・・・スリット 70・・・位置決めピン部材 D・・・記録媒体 S10,S20・・・ヘッドユニット保持工程 S13,S23・・・ケーブル収容工程 S15,S25・・・ヘッドユニット配置工程 S17,S27・・・位置決めピン部材挿通工程 S19,S29・・・ヘッドユニット組付工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に記録ヘッドが取り付けられた支持片を保持し、且つ前記記録ヘッドに接続された長尺なフラットケーブルが固定された本体部を具備するヘッドユニットを、記録媒体上を回動可能なキャリッジアームに対向配置させるアームユニットと、
前記キャリッジアームに対して前記ヘッドユニットを重ね合わせて、該キャリッジアームの嵌合孔に前記本体部のボス孔を内嵌させる組付治具ユニットと、
を備えた組付装置であって、
前記アームユニットは、
両面が吸着面とされた板状に形成され、前記本体部の主面を吸着保持可能とされるとともに、下方移動によって吸着保持した前記ヘッドユニットを前記キャリッジアームに対して対向配置させるメインチャックと、
両面が吸着面とされた板状に形成され、前記フラットケーブルのうち前記本体部の外方に延在した自由端部分を吸着保持可能なケーブルチャックと、
前記ケーブルチャックに対して接近離間自在に配置され、前記ケーブルチャックに対して接近したときに前記ケーブルチャックとの間に画成された隙間に前記フラットケーブルを収容するケーブルサポートと、
前記メインチャックの下方移動と同期して、前記隙間に収容された前記フラットケーブルの前記自由端部分を前記ケーブルチャックに沿って下方移動させるケーブルスライド部を具備するスライド体と、を備え、
前記組付治具ユニットは、
前記メインチャックの移動方向に沿って前記メインチャックに対して接近離間可能に配置され、接近移動に伴って前記キャリッジアームに対して対向配置された前記ヘッドユニットの前記本体部を前記キャリッジアーム側に押圧して、前記嵌合孔に前記ボス孔を内嵌させつつ、前記メインチャックを上方移動させて前記キャリッジアームから離間させる押圧部材を備え、
前記ケーブルチャックは、前記フラットケーブルが前記隙間に収容された後、前記吸着保持を解除することを特徴とする組付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の組付装置であって、
前記組付治具ユニットは、
前記キャリッジアームに対して前記本体部が対向配置された後、前記嵌合孔および前記ボス孔に連続して挿通される位置決めピン部材を備え、
前記押圧部材には、前記位置決めピン部材との干渉を回避するスリットが形成されていることを特徴とする組付装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組付装置であって、
前記スライド体は、
前記ケーブルスライド部と同期して前記支持片を下方移動させる支持片スライド部を備えたことを特徴とする組付装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の組付装置であって、
前記アームユニットは、
前記本体部を前記メインチャックの前記吸着面側に押し付けるサポート部材を備えたことを特徴とする組付装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の組付装置であって、
前記アームユニットは、
前記支持片を前記記録ヘッドが取り付けられた側から逆方向に付勢する支持片サポート部を備えたことを特徴とする組付装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の組付装置であって、
前記アームユニットを複数備えたことを特徴とする組付装置。
【請求項7】
請求項6に記載の組付装置であって、
互いに隣接する前記アームユニットは、前記ケーブルチャックの前記吸着面に対して平行な仮想面に対して面対称に配設され、
一方の前記アームユニットの前記ケーブルチャックと、他方の前記アームユニットの前記ケーブルチャックとは、互いに相手側ユニットの前記ケーブルサポートとして機能することを特徴とする組付装置。
【請求項8】
先端に記録ヘッドが取り付けられた支持片を保持し、且つ前記記録ヘッドに接続された長尺なフラットケーブルが固定された本体部を具備するヘッドユニットを、記録媒体上を回動可能なキャリッジアームに対向配置させた後、前記キャリッジアームの嵌合孔に本体部のボス孔を内嵌させる組付方法であって、
両面が吸着面とされた板状に形成されたメインチャックで前記本体部の主面を吸着保持するとともに、両面が吸着面とされた板状に形成されたケーブルチャックで前記フラットケーブルのうち前記本体部の外方に延在した自由端部分を吸着保持するヘッドユニット保持工程と、
前記ケーブルチャックに対してケーブルサポートを接近させ、両者の間に画成された隙間に前記フラットケーブルを収容すると共に、該フラットケーブルの前記吸着保持を解除するケーブル収容工程と、
前記メインチャックを下方移動させるとともに、これと同期して下方移動するケーブルスライド部により前記隙間に収容された前記フラットケーブルの前記自由端部分を前記ケーブルチャックに沿って下方移動させ、前記ヘッドユニットを前記キャリッジアームに対向配置させると同時に、前記フラットケーブルを前記キャリッジアームに組み付けるヘッドユニット配置工程と、
前記メインチャックに対して押圧部材を接近移動させ、該移動に伴って前記本体部を前記キャリッジアーム側に押圧して、前記嵌合孔に前記ボス孔を内嵌させつつ、前記メインチャックを上方移動させて前記キャリッジアームから離間させるヘッドユニット組付工程と、
を備えたことを特徴とする組付方法。
【請求項9】
請求項8に記載の組付方法であって、
前記ヘッドユニット組付工程の前に、前記嵌合孔および前記ボス孔に位置決めピン部材を連続して挿通する位置決めピン部材挿通工程を備え、
前記ヘッドユニット組付工程の際、前記位置決めピン部材を挿通したまま行うことを特徴とする組付方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の組付方法であって、
前記ヘッドユニット配置工程の際、前記ケーブルスライド部と同期して下方移動する支持片スライド部により、前記支持片を下方移動させることを特徴とする組付方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−203975(P2012−203975A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70542(P2011−70542)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】