説明

組合せ秤の物品搬送装置

【課題】フィーダパンと前記フィーダパンを加振する加振器とを備えて前記フィーダパン上で物品を搬送する組合せ秤の物品搬送装置において、前記フィーダパンの上での物品の搬送状態を調整するための技術を提供する。
【解決手段】フィーダパン5に、物品の搬送方向に延びる略平面状の搬送面51と、搬送面51の両脇に沿って起立する2つの壁面52,53とから成る搬送表面を備え、搬送表面に単数又は複数の摩擦係数の異なる部位(異摩擦部位55)を設けた。異摩擦部位55は、搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の高い部位であって、2つの壁面52,53のうち一方に設けた。また、異摩擦部位55は、搬送面51の搬送方向上流側端部、搬送方向中途部、及び搬送方向下流側端部の少なくともいずれか一つに設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ秤に備えられる物品搬送装置に関し、特に物品搬送装置が備えるフィーダパンの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤は、一般に、複数の計量容器を備えており、複数の計量容器内の被計量物の計量値を種々に組合せ、これらの組合せの中から、合計重量が目標重量に最も近い値の組合せを選択し、選択された組合せの計量容器から被計量物を排出するものである。組合せ秤には、被計量物を複数の計量容器に分散させて供給するために物品搬送装置が備えられている。
【0003】
上記のような物品搬送装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、分散フィーダと、この分散フィーダを包囲するように放射状に配置された複数の直進フィーダとを備えたものが知られている。分散フィーダは、円錐状のトップコーンと、このトップコーンに振動を付与する加振器を備えており、トップコーンの略中央部に供給された物品(組合せ秤における被計量物)はトップコーン上をその傾斜と振動とにより分散しながら転落し、トップコーンの周縁から直進フィーダへ落下する。また、直進フィーダは、フィーダパン(トラフとも言う)と、このフィーダパンに振動を付与する加振器とを備えている。そして、分散フィーダから直進フィーダのフィーダパンに送られてきた物品は、フィーダパンの振動により下流側へ搬送され、各直進フィーダに対応して設けられた供給ホッパへ落下する。供給ホッパへ落下した物品は、供給ホッパの下方に配置された計量ホッパ(計量容器)に投入される。
【0004】
上述のような直進フィーダのフィーダパンには、一般に、分散フィーダのトップコーンの周縁下部から供給ホッパの上方まで物品を搬送する搬送面が形成された底板と、この底板の両側に沿ってそれぞれ起立した側壁とが一体的に構成されている。そして、組合せ秤に備えられた複数の直進フィーダのフィーダパンは、隣接するフィーダパンの側壁同士を上下に重ね合わせるようにして、分散フィーダのトップコーンの周縁を環状に包囲するように配置されている。
【0005】
上記のような組合せ秤において、物品搬送装置で物品を規則的に後段の工程へ搬送することが必要な場合がある。例えば、物品搬送装置で物品を一定方向に整列させて供給ホッパに投入したり、物品搬送装置で所定間隔をおいて物品を供給ホッパへ投入したりするような場合である。
【0006】
従来、パーツフィーダに関して、同一形状の多数の物品を一定方向に搬送するための技術が知られている。例えば、特許文献2には、受面(搬送面)の摩擦係数の差と振動とを利用して、搬送する物品を整列する物品整列装置が記載されている。この物品整列装置は、V溝状受面を有し、受面上部の摩擦係数が高く、受面下部の摩擦係数が受面上部に対して低い搬送体と、この搬送体に対しV溝状受面の長さ方向に水平往復運動を与える往復駆動手段とを備えており、V溝状受面に任意に投入される物品が受面下部と受面上部との摩擦係数の差により一定方向に整列するようになっている。
【0007】
また、例えば、特許文献3には、部品同士又は部品とボウルとの衝突によるボウルの金属面の摩耗を防止するとともに、部品の送り速度を上げたり下げたりすることを目的して内張材を具備する、電磁振動等の振動を利用する振動型パーツフィーダが記載されている。このパーツフィーダは、漏斗状のボウル内面に部品を整列させて搬送する螺旋状の軌道を備え、ボウルに回動円振動を付与することによって、ボウル内に収容した被搬送部品をボウル内からボウルの外周上部へ誘導し、さらに、そこからシュートによって、部品を加工機械等へ自動的に供給するものである。そして、このパーツフィーダにおいて、漏斗状のボウルの内側底面及び螺旋状の軌道の、底面及び側面の、部品が接触する部分の全部又は一部を除いた部分へ、ループ集合体から成る内張材が張設されている。
【特許文献1】実開平6−25223号公報
【特許文献2】特開平7−2340号公報
【特許文献3】実開平2−26024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような組合せ秤の物品搬送装置において、物品は分散フィーダから直進フィーダのフィーダパン上へ不規則に供給される。このため、物品搬送装置で搬送される物品が、例えば、短尺方向と長尺方向とを有する長尺物品であって、その長尺方向の長さが直進フィーダのフィーダパンの搬送面の幅(搬送方向と略直交する方向の長さ)よりも大きい場合に、長尺部品がフィーダパンの側壁間で突っ張ってブリッジを発生させてしまうことがある。
【0009】
また、組合せ秤の物品搬送装置において、分散フィーダから直進フィーダのフィーダパンへ供給された物品が、供給された地点で滞ってブリッジを起こすことがある。さらに、組合せ秤の物品搬送装置において、直進フィーダのフィーダパンで勢いが付きすぎた物品が塊となって一気に搬送されて、後段の工程へ物品が過剰に供給されてしまうことがある。このような不具合を解決するために、直進フィーダのフィーダパン上で搬送される物品の状態を、物品に応じて適宜調整することが好ましい。
【0010】
そこで、本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、フィーダパンと前記フィーダパンを加振する加振器とを備えて前記フィーダパン上で物品を搬送する組合せ秤の物品搬送装置において、前記フィーダパンの上での物品の搬送状態を調整するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の組合せ秤の物品搬送装置は、フィーダパンと前記フィーダパンを加振する加振器とを備えて前記フィーダパン上で物品を搬送する組合せ秤の物品搬送装置において、前記フィーダパンは、前記物品の搬送方向に延びる略平面状の搬送面と、前記搬送面の両脇に沿って起立する2つの壁面とから成る搬送表面を有し、前記搬送表面は、単数又は複数の摩擦係数の異なる部位を有しているものである。
【0012】
上記構成の組合せ秤の物品搬送装置によれば、フィーダパンの上での物品の搬送状態を、フィーダパンの搬送表面に設けられた摩擦係数の異なる部位を利用して、物品に応じて適した状態に調整することができる。
【0013】
前記組合せ秤の物品搬送装置において、前記単数又は複数の摩擦係数の異なる部位は、前記搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の高い部位であって、前記2つの壁面のうち一方の壁面に設けることができる。これにより、フィーダパンで搬送される長尺物品は、部品の端部が摩擦係数の異なる部位に接触したときに、フィーダパンの振動により接触している端部を中心として搬送方向下流側へ回転し、長尺方向が搬送方向と略平行となる姿勢に矯正される。このようにして、フィーダパンで搬送される長尺物品を規則的に整列させることができる。さらに、長尺物品が、その長尺方向が搬送方向と略平行となる姿勢で搬送されることによって、物品のブリッジの発生を防止することができる。
【0014】
或いは、前記組合せ秤の物品搬送装置において、前記単数又は複数の摩擦係数の異なる部位は、前記搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の高い部位であって、前記2つの壁面のうち一方の壁面において物品の搬送方向中途部に設けることができる。これにより、フィーダパンで搬送される長尺物品は、部品の端部が摩擦係数の異なる部位に接触したときに、フィーダパンの振動により接触している端部を中心として搬送方向下流側へ回転し、長尺方向が搬送方向と略平行となる姿勢に矯正される。このようにして、フィーダパンで搬送される長尺物品を規則的に整列させることができる。さらに、長尺物品が、その長尺方向が搬送方向と略平行となる姿勢で搬送されることによって、物品のブリッジの発生を防止することができる。
【0015】
前記組合せ秤の物品搬送装置において、前記搬送面に、該搬送面から突出する突起部が設けられていることが好ましい。これにより、フィーダパンで搬送される長尺物品は、突起部に当接して該突起部を中心として回転し、長尺方向が搬送方向と略平行となる姿勢に矯正される。よって、搬送表面の摩擦係数の異なる部位の作用に加えて、フィーダパンで搬送される長尺物品を、より効率的に規則的に整列させることができる。
【0016】
また、前記組合せ秤の物品搬送装置において、前記単数又は複数の摩擦係数の異なる部位は、前記搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の高い部位であって、前記搬送面の搬送方向中途部及び搬送方向下流側端部の少なくともいずれか一方に設けることができる。これにより、フィーダパンで搬送される物品は、摩擦係数の異なる部位と接触することにより制動力が作用し、塊となって搬送されてきた複数の物品をばらつかせたり、或いは、フィーダパンから一気に物品が搬出されることを防止したりすることができる。これにより、物品搬送装置による物品の搬送量の安定化に寄与することができる。
【0017】
或いは、前記組合せ秤の物品搬送装置において、前記単数又は複数の摩擦係数の異なる部位は、前記搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の低い部位であって、前記搬送面の搬送方向上流側端部において前記物品の供給地点に設けることができる。これにより、フィーダパンで搬送される物品は、供給地点で滞ることなく、速やかに搬送方向下流側へ移動することができる。
【0018】
そして、前記組合せ秤の物品搬送装置において、前記加振器は、前記フィーダパンを前記搬送方向及び上方向への加速度成分を有するように加振するように構成されていることがよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
本発明によれば、フィーダパンと前記フィーダパンを加振する加振器とを備えて前記フィーダパン上で物品を搬送する組合せ秤の物品搬送装置において、フィーダパンの上での物品の搬送状態を、フィーダパンの搬送表面に設けられた摩擦係数の異なる部位を利用して、物品に応じて適した状態に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。
【0022】
(実施の形態1)
〔組合せ秤99の概略構成〕
まず、本発明の実施の形態1に係る組合せ秤99の概略構成について説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る組合せ秤の概略構成を説明する図である。
【0023】
図1に示すように、組合せ秤99は、外部から受け取った物品(以下、被計量物ともいう)をその量を調整しながら供給する供給装置1と、物品の組合せ秤量を行う複数の計量ホッパ8と、供給装置1より供給された物品を各計量ホッパ8へ搬送する分散フィーダ30、複数の直進フィーダ50及び複数の供給ホッパ7と、組合せ秤量された物品を包装などの次工程へ送り出す集合シュート11及び集合ファンネル12と、組合せ秤99の制御及び組合せ演算を行う演算制御器16とを備えている。
【0024】
供給装置1は、加振器1aが取り付けられたトラフ(大型の細長い容器)を備え、このトラフには図示されていない他の装置から物品が供給される。この供給装置1では、トラフの振動によって、トラフ上の物品が分散フィーダ30へ供給される。但し、供給装置1は、無端状ベルトとこの無端状ベルトに列状に配置された複数の容器とで構成されたベルトコンベアであってもよい。
【0025】
分散フィーダ30は、組合せ秤99の本体の上部(集合シュート11の上方)に設けられている。分散フィーダ30は、円錐形状のトップコーン3と、このトップコーン3を加振する加振器4とを備えている。供給装置1より分散フィーダ30のトップコーン3上に供給された物品は、振動によってトップコーン3上を滑り落ちるうちに放射状に分散する。なお、分散フィーダ30の上方には、分散フィーダ30にある物品の量(具体的には、分散フィーダ30のトップコーン3上にある物品の層厚)を検出するためのレベルセンサ2が設けられている。レベルセンサ2は、例えば、超音波センサで構成することができる。
【0026】
分散フィーダ30の周囲には、複数の直進フィーダ50が放射状に配設されている。各直進フィーダ50は、フィーダパン5と、このフィーダパン5を加振する加振器6とを備えている。分散フィーダ30より直進フィーダ50のフィーダパン5の上に送られた物品は、振動によって供給ホッパ7に送り出される。
【0027】
各直進フィーダ50の物品の送出側に供給ホッパ7が1つずつ設けられ、複数の供給ホッパ7は環状に配置されている。さらに、各供給ホッパ7の下方には計量容器としての計量ホッパ8が1つずつ設けられ、複数の計量ホッパ8は環状に配置されている。各供給ホッパ7はゲート7aを備えており、このゲート7aが開かれると、供給ホッパ7に保持されている物品は、その下方に位置する計量ホッパ8に投入される。
【0028】
各計量ホッパ8は、計量ホッパ8内の物品の重量を計量するために、ロードセル等の重量センサ9を備えている。各重量センサ9の計量値(検出信号)は、演算制御器16へ伝達される。
【0029】
複数の計量ホッパ8の下方には、集合シュート11が設けられ、集合シュート11の下端部には集合ファンネル12が設けられている。各計量ホッパ8はゲート8aを備えており、このゲート8aが開かれると、計量ホッパ8に保持されている物品は集合シュート11上を滑り落ちて集合ファンネル12から排出され、図示しない包装機へ投入される。
【0030】
〔組合せ秤99の制御系統の構成〕
続いて、組合せ秤99の制御系統の構成について説明する。図2は組合せ秤の演算制御器の機能ブロック図である。
【0031】
図2に示すように、演算制御器16は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUを内蔵した演算制御部22と、記憶部23と、I/O回路18と、A/D変換回路13と、ゲート駆動回路14と、振動制御回路15とを、備えている。記憶部23には、運転プログラムを含む処理プログラム等を記憶し作業領域として利用されるROMや、データを一時的に記憶するRAMなどが含まれている。そして、演算制御器16では、演算制御部22が記憶部23に格納されたデータやプログラムを読み出して実行することにより、演算機能や制御機能を発揮することとなる。
【0032】
I/O回路18はレベルセンサ2と接続されており、レベルセンサ2からの検出信号は、I/O回路18を介して演算制御部22に入力される。また、A/D変換回路13は重量センサ9と接続されており、重量センサ9からの検出信号は、A/D変換回路13を介して検出値に変換されて、演算制御部22へ入力される。
【0033】
ゲート駆動回路14は、供給ホッパ7及び計量ホッパ8に信号を送信可能に接続されている。そして、ゲート駆動回路14は、演算制御部22から信号を受けて、供給ホッパ7及び計量ホッパ8に信号を送信するように構成されている。また、振動制御回路15は、供給装置1、分散フィーダ30、及び直進フィーダ50の各加振器1a,4,6に信号を送信可能に接続されている。そして、振動制御回路15は、演算制御部22からの信号を受けて、供給装置1、分散フィーダ30、及び直進フィーダ50の各加振器1a,4,6に信号を送信するように構成されている。
【0034】
さらに、演算制御器16の演算制御部22には、組合せ秤99のユーザーインターフェースである操作設定表示器17が、相互に情報を送受信可能に接続されている。この操作設定表示器17は、組合せ秤99の運転に係る操作や設定条件を演算制御部22へ入力するタッチパネル式の入力部と、演算制御部22からの出力を受けて組合せ秤99の操作画面や運転状態などの組合せ秤99に関する情報を表示する表示部(スクリーン)とを、備えている。
【0035】
なお、本実施の形態において、演算制御器16とは、単独の演算制御器のみならず複数の演算制御器からなる演算制御器群をも意味する。従って、演算制御器16は、単独の演算制御器で構成されていてもよく、分散配置され共働して制御する複数の演算制御器で構成されていてもよい。
【0036】
〔組合せ秤99の動作〕
以上のように構成された組合せ秤99の動作について説明する。組合せ秤99の演算制御器16の演算制御部22は、記憶部23に格納された運転用プログラムを実行して、組合せ秤99の動作制御を行うとともに組合せ演算を行う。演算制御器16の演算制御部22に対して操作設定表示器17から組合せ目標重量値や運転速度の条件を示すパラメータ等が予め入力されて記憶部23に格納されており、これらのパラメータ等は、必要に応じて記憶部23より読み出される。
【0037】
演算制御器16の演算制御部22は、秤量動作を開始するに際して、まず、供給装置1の加振器1a、分散フィーダ30の加振器4、及び直進フィーダ50の加振器6を動作させるように、振動制御回路15を介してそれぞれ制御する。これにより、供給装置1から分散フィーダ30上に供給された物品は、分散フィーダ30から円周方向に分散されて、放射状に配置された直進フィーダ50を通じて、各供給ホッパ7へ送給される。このとき、演算制御器16は、I/O回路18を介してレベルセンサ2により分散フィーダ30上の物品の層厚を検出し、その物品の量が所定量より少なくなると、供給装置1を動作させることにより、分散フィーダ30上に、所定量以上の物品が常時供給されるようにしている。
【0038】
続いて、演算制御器16は、計量ホッパ8が空であることを検知し、ゲート駆動回路14を介して、供給ホッパ7のゲート7aを開放するように制御する。これにより、供給ホッパ7から計量ホッパ8に物品が投入される。計量ホッパ8に物品が投入されると、演算制御器16は、重量センサ9による計測値(各計量ホッパ8に保持されている物品の重量)をA/D変換回路13を介して検出する。
【0039】
演算制御器16は、複数の計量ホッパ8に保持されている物品の重量に基づいて組合せ演算を行う。この組合せ演算では、複数の計量ホッパ8の中から、物品の重量値の合計が予め定められた所定重量範囲(目標重量に対する許容重量範囲)内にある組合せが1つ求められ、物品を放出すべき計量ホッパ8の組合せが選択される。
【0040】
そして、演算制御器16は、包装機から排出許可信号が入力されると、ゲート駆動回路14を介して組合せ演算で求めた組合せに選択されている計量ホッパ8のゲート8aを開放させ、物品を集合シュート11上へ放出させるとともに、図示しない包装機へ排出完了信号を出力する。物品は、集合シュート11上を滑り集合ファンネル12で集められて、組合せ秤99から排出されて、図示しない包装機へ投入される。以上の流れにより、組合せ秤99で組合せ秤量された所定重量範囲の物品が図示しない包装機へ投入され、包装機では、組合せ秤99からの排出完了信号の入力タイミングに基づいてシール動作等の動作が行われる。
【0041】
〔直進フィーダの構造〕
ここで、直進フィーダ50の構造について詳細に説明する。
【0042】
図1に示すように、直進フィーダ50は、フィーダパン5と、このフィーダパン5を加振する加振器6とを備えて、フィーダパン5上で物品を搬送する物品搬送装置である。フィーダパン5は、加振器6の上部に取付片によって支持されている。加振器6は電磁振動式であって、固定子と回転子から成る電磁石を備えており、この電磁石への通電のON/OFFが切り替わることにより発生する電磁力波による電磁石の振動がフィーダパン5に伝動し、フィーダパン5を振動させる。加振器6は、フィーダパン5を搬送方向及び上方向の加速度成分を有するように加振するように構成されており、このフィーダパン5の振動により物品は搬送方向に搬送される。
【0043】
〔フィーダパンの構造〕
続いて、本実施の形態に係るフィーダパンの構造について詳細に説明する。図3は実施の形態1に係るフィーダパンを示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるIIIB−IIIB矢視断面図、(C)は(A)におけるIIIC矢視図である。図3において墨塗りで示されている部分は、表面の摩擦係数が他と異なる部分である。
【0044】
図3に示すように、フィーダパン5は、搬送面51と、この搬送面51の両脇に沿って起立する壁面52,53とを有し、全体として平面視略扇形に形成されている。
【0045】
フィーダパン5の搬送面51は、円錐状のトップコーン3の円錐軸を略中心として放射方向に延びる底板の上面であって、略平面状に形成されている。搬送面51の基端51aは、分散フィーダ30のトップコーン3の周縁部下方に位置し、終端51bは、供給ホッパ7の上部開口上に位置している。以下、この搬送面51が基端51aから終端51bへ延びる方向を物品の「搬送方向」という。
【0046】
搬送面51の基端51aには、物品が搬送方向と逆方向に流れないように、搬送面51から起立した基端部壁54が形成されている。また、搬送面51の搬送方向中途部から終端51bにかけて、搬送面51の幅方向略中央部が側部と比較して連続的に低くなっており、搬送面51上を搬送される物品が終端51bに向かうに連れて搬送面51の幅方向略中央部に集められるようにしている。
【0047】
上記形状の搬送面51は、フィーダパン5の最下段を形成している。この搬送面51には、搬送方向下流側へ下る傾斜が設けられており、この傾斜と加振器6により付与される振動とによって、搬送面51の基端51a側へ落下した物品は、終端51b側へ向けて搬送面51上を移動する。
【0048】
また、フィーダパン5の壁面52,53は、底板の両脇に沿って起立する側壁の内側面であって、搬送面51の搬送方向と略直交する方向の端辺をそれぞれ下端52a,53aとして起立する面である。この壁面52,53と搬送面51とにより、搬送方向と略直交する方向の横断面が略箱形状(凹状)の「搬送表面」が形成されており、物品はこの搬送表面に接触しながら搬送される。
【0049】
フィーダパン5の2つの壁面52,53のうち、一方の壁面52は、搬送方向上流側の上端52bが、搬送面51とは反対側の側方へ延長されたうえ、搬送方向と略直交する方向の横断面が山形となるように曲がっている。ここを、便宜上「重複部」と呼ぶこととする。重複部は、組合せ秤99に配設されたフィーダパン5,5において、隣接するフィーダパン5の他方の壁面53の上端53bの上に、平面視で重なる部分である。なお、隣接して配置されたフィーダパン5,5において、一方の壁面52の上端52bに設けられた重複部と、他方の壁面53の上端53bとの間は、各フィーダパン5,5が振動しても干渉しない程度に離間されている。
【0050】
上記形状を有するフィーダパン5において、フィーダパン5の2つの壁面52,53のうち、一方の壁面53の搬送表面は、単数又は複数の摩擦係数の異なる部位を有している。この摩擦係数の異なる部位を、便宜上「異摩擦部位55」と呼ぶこととする。図3に示すフィーダパン5では、異摩擦部位55は、フィーダパン5の一方の壁面53のうち、搬送方向中途部において、壁面53の下端53aから上端53bに亘って設けられている。
【0051】
異摩擦部位55は、フィーダパン5の搬送面51及び壁面52,53から成る搬送表面のうち、他と比較して摩擦係数の高い、つまり、摩擦が大きい部位である。このように、異摩擦部位55の摩擦係数を他と比較して高くするために、例えば、異摩擦部位55の表面をエンボス加工などにより形成した凹凸面(荒い面)としたり、異摩擦部位55の表面に樹脂製シートを貼設したりすることができる。或いは、フィーダパン5の搬送面51及び壁面52,53の表面の異摩擦部位55以外にフッ素樹脂加工を施して、異摩擦部位55の摩擦係数を他と比較して高くすることもできる。なお、異摩擦部位55を樹脂製シートを貼設することにより形成すれば、フィーダパン5で搬送される物品に応じて異摩擦部位55の位置や大きさを適宜変更することができるので、望ましい。
【0052】
続いて、フィーダパン5に供給された物品の流れについて説明する。分散フィーダ30からフィーダパン5の搬送面51の基端51a側に落下した物品は、フィーダパン5の傾斜と振動とにより、搬送面51の上を搬送方向へ移動する。以下では、図3(A)に示すように、フィーダパン5で搬送される物品が長尺方向と短尺方向とを有する長尺物品(例えば、棒状体など)であって、その長尺方向の寸法が搬送面51の幅より大きい場合の、フィーダパン5での物品の流れについて述べる。以下において、長尺物品の短尺方向が搬送方向と略平行であるときを「横向き姿勢」にあるといい、長尺物品の長尺方向が搬送方向と略平行であるときを「縦向き姿勢」にあるということとする。
【0053】
長尺物品が横向き姿勢でフィーダパン5に供給されると、長尺物品は搬送面51の幅よりも長いので、長尺物品は壁面52と壁面53との間に架け渡された状態となる。フィーダパン5の振動により、長尺物品が横向き姿勢のまま搬送方向へ移動すると、長尺物品の一端はやがて異摩擦部位55に当接して、搬送方向への移動が抑制される。長尺物品は振動により更に搬送方向へ移動しようとするので、長尺物品の摩擦を受けていない他端が異摩擦部位55に当接している一端を中心として搬送方向へ回転する結果、長尺物品は縦向き姿勢となる。そして、縦向き姿勢となった長尺物品は、この姿勢を維持したまま搬送方向下流側へ移動し、搬送面51の終端51bから落下する。なお、横向き姿勢の長尺物品は壁面52と壁面53との間に架け渡されているので十分な振動が得られないためブリッジを起こしやすいが、縦向き姿勢となった長尺物品は、搬送面51に接触して十分な振動を得ることができるのでブリッジが解消され、さらには、ブリッジの発生を抑制できる。
【0054】
一方、長尺物品が縦向き姿勢でフィーダパン5に供給されると、その姿勢を維持したまま搬送方向へ移動し、搬送面51の終端51bから落下する。仮に、長尺物品が移動中に回転しようとしたとしても、壁面52,53に当接することにより再び縦向き姿勢に矯正されて搬送方向へ移動する。
【0055】
また、長尺物品が、一方の端部が他方の端部よりも搬送方向の下流側に位置している姿勢でフィーダパン5に供給されると、振動により搬送方向下流側へ移動するうちに下流側に位置している一方の端部を先頭とする縦向き姿勢に矯正され、搬送面51の終端51bから落下して供給ホッパ7へ投入される。なお、このように供給されたときには、長尺物品の一端が異摩擦部位55に当接することがあるが、このときも、前述の横向き姿勢でフィーダパン5に供給されたときと同様に、回転して縦向き姿勢となって搬送方向へ移動し、搬送面51の終端51bから落下する。
【0056】
上述の通り、フィーダパン5で搬送される長尺物品は、全て縦向き姿勢となって、搬送面51の終端51bから落下して供給ホッパ7へ投入される。つまり、長尺物品はフィーダパン5で縦向き姿勢に規則的に整列されて、供給ホッパ7へ投入される。
【0057】
なお、フィーダパン5の搬送表面に設けられる異摩擦部位55の位置は、上記に限定されない。
【0058】
図4は実施の形態1に係るフィーダパンの変形例1を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるIVB−IVB矢視断面図、(C)は(A)におけるIVC矢視図である。例えば、図4に示すように、フィーダパン5の搬送表面に設けられる異摩擦部位55は、フィーダパン5の一方の壁面53のうち、搬送方向中途部から下流側において、壁面53の上下中途部から上端53bに亘って設けられていてもよい。
【0059】
図5は実施の形態1に係るフィーダパンの変形例2を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるVB−VB矢視断面図、(C)は(A)におけるVC矢視図である。例えば、図5に示すように、フィーダパン5の搬送表面に設けられる異摩擦部位55は、フィーダパン5の一方の壁面53の搬送方向上流端から下流端までに亘って全面に設けられていてもよい。或いは、フィーダパン5の搬送表面に設けられる異摩擦部位55は、フィーダパン5の一方の壁面53の搬送方向上流端から下流端までに亘って、下端53a半分又は上端53b側半分に設けられていてもよい。
【0060】
図4及び図5に示すフィーダパン5のように、フィーダパン5の2つの壁面52,53のうち、一方の壁面53の少なくとも一部分の表面の摩擦係数が、フィーダパン5の余の部分と異なって高くなっていれば、図3に示すフィーダパン5の場合と同様に、フィーダパン5で搬送される長尺物品は、全て縦向き姿勢となって、搬送面51の終端51bから落下して供給ホッパ7へ投入される。
【0061】
なお、フィーダパン5に、異摩擦部位55に加え、長尺物品を強制的に回転させるための形状を設けることが、更に望ましい。図6は実施の形態1に係るフィーダパンの変形例3を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるVIB−VIB矢視断面図、(C)は(A)におけるVIC矢視図である。図6に示すフィーダパン5には、異摩擦部位55と搬送方向に同じ位置又は搬送方向下流側の搬送面51の幅方向略中央部に、搬送面51から突出する突起部56が設けられている。
【0062】
物品が、横向き姿勢又は一方の端部が他方の端部よりも搬送方向の下流側に位置している姿勢でフィーダパン5に落下すると、物品は搬送方向へ移動するうちに突起部56に当接し、物品は突起部56を中心として回転して下向き姿勢となり、この姿勢を維持したまま搬送方向へ移動して、搬送面51の終端51bから落下する。このように、図6に示すフィーダパン5では、異摩擦部位55に加え突起部56も、物品を縦向き姿勢へ矯正させるように作用するので、フィーダパン5で搬送される長尺物品は、より確実に縦向き姿勢へ矯正されることとなる。
【0063】
上述の通り、本実施の形態に係る直進フィーダ50では、フィーダパン5の搬送表面に単数又は複数の摩擦係数の異なる部位を設け、この摩擦係数の異なる部位を利用して、物品の搬送状態を物品に応じて適した状態に調整している。特に、フィーダパン5で搬送される物品が長尺物品の場合には、フィーダパン5の2つの壁面のうち一方の壁面53に、搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の高い異摩擦部位55を設けるようにしている。これにより、フィーダパン5で搬送される長尺物品は、その端部が異摩擦部位55に接触したときに、接触している端部を中心としてフィーダパンの振動により搬送方向下流側へ回転し、長尺方向が搬送方向と略平行となる姿勢に矯正される。このようにして、フィーダパン5で搬送される長尺物品を規則的に整列させるとともに、フィーダパン5上での物品のブリッジの発生の防止が図られている。
【0064】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る組合せ秤について説明する。実施の形態2に係る組合せ秤は、直進フィーダ50のフィーダパン5の構造を除いて、前述の実施の形態1に係る組合せ秤と同一の構造を有している。そこで、以下では、フィーダパンの構造のみを説明し、重複する余の部分の説明を省略する。
【0065】
〔フィーダパンの構造〕
ここで、実施の形態2に係るフィーダパンの構造について詳細に説明する。図7は実施の形態2に係るフィーダパンを示す平面図である。図7に示すように、フィーダパン5は、搬送面51と、搬送面51の両側に沿って起立した壁面52,53とが一体的に形成されて、全体として平面視略扇形形状を有している。
【0066】
フィーダパン5の搬送面51は、円錐状のトップコーン3の円錐軸を略中心として放射方向に延びる平面に形成されており、フィーダパン5の最下段を形成している。搬送面51の基端51aは、分散フィーダ30のトップコーン3の周縁部下方に位置し、その終端51bは、供給ホッパ7の上部開口上に位置している。この搬送面51には、搬送方向下流側へ下る傾斜が設けられており、この傾斜と加振器6により付与される振動とによって、搬送面51の基端51a側へ落下した物品は、終端51b側へ向けて搬送面51上を移動する。
【0067】
フィーダパン5の壁面52,53は、搬送面51の搬送方向と略直交する方向の端辺をそれぞれ下端52a,53aとして起立する面であって、搬送面51の両脇に沿ってそれぞれ設けられている。この壁面52,53と搬送面51とにより、搬送方向と略直交する方向の横断面が略箱形状の搬送表面が形成されている。搬送表面は、フィーダパン5で搬送される物品が接触しながら移動する表面である。
【0068】
上記形状を有するフィーダパン5において、搬送面51の基端51a側において、分散フィーダ30から物品が落下する供給地点とその近傍の表面は、フィーダパン5の他の搬送表面と摩擦係数が異なる「異摩擦部位55」となっている。この異摩擦部位55は、フィーダパン5の搬送面51及び壁面52,53から成る搬送表面のうち、他と比較して摩擦係数の低い、つまり、摩擦が小さい部分である。このように、異摩擦部位55の摩擦係数を他の搬送表面と比較して低くするために、例えば、異摩擦部位55の表面にフッ素樹脂加工を施したり、異摩擦部位55の表面を研磨したりすることができる。或いは、フィーダパン5の異摩擦部位55以外の搬送表面を、エンボス加工等により荒い面としたり、樹脂製シートを貼設したりすることによって、異摩擦部位55の摩擦係数を他の搬送表面と比較して低くすることもできる。
【0069】
続いて、フィーダパン5に供給された物品の流れについて説明する。分散フィーダ30からフィーダパン5の搬送面51の基端51a側に設けられた異摩擦部位55に落下した物品は、フィーダパン5の傾斜と振動とにより、搬送面51の上を搬送方向へ移動する。このとき、異摩擦部位55の摩擦係数は他と比較して低いので、物品は落下により多少の衝撃を受けるものの異摩擦部位55の上を滑って速やかに搬送方向下流側に移動することとなる。
【0070】
上述の通り、本実施の形態に係る直進フィーダ50のフィーダパン5では、搬送表面において摩擦係数の低い異摩擦部位55を搬送面51の搬送方向上流側端部であって物品の供給地点に設けることによって、フィーダパン5に供給された物品が搬送面51の基端51a側で停滞することを防止して、速やかに搬送方向下流側へ移動できるようにしている。
【0071】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る組合せ秤について説明する。実施の形態2に係る組合せ秤は、直進フィーダ50のフィーダパン5の構造を除いて、前述の実施の形態1に係る組合せ秤と同一の構造を有している。そこで、以下では、フィーダパンの構造のみを説明し、重複する余の部分の説明を省略する。
【0072】
〔フィーダパンの構造〕
ここで、実施の形態3に係るフィーダパンの構造について詳細に説明する。図8は実施の形態3に係るフィーダパンを示す平面図である。図8に示すように、フィーダパン5は、搬送面51と、搬送面51の両側に沿って起立した壁面52,53とが一体的に形成されて、全体として平面視略扇形形状を有している。
【0073】
フィーダパン5の搬送面51は、円錐状のトップコーン3の円錐軸を略中心として放射方向に延びる平面に形成されており、フィーダパン5の最下段を形成している。搬送面51の基端51aは、分散フィーダ30のトップコーン3の周縁部下方に位置し、その終端51bは、供給ホッパ7の上部開口上に位置している。この搬送面51には、搬送方向下流側へ下る傾斜が設けられており、この傾斜と加振器6により付与される振動とによって、搬送面51の基端51a側へ落下した物品は、終端51b側へ向けて搬送面51上を移動する。
【0074】
フィーダパン5の壁面52,53は、搬送面51の搬送方向と略直交する方向の端辺をそれぞれ下端52a,53aとして起立する面であって、搬送面51の両脇に沿ってそれぞれ設けられている。この壁面52,53と搬送面51とにより、搬送方向と略直交する方向の横断面が略箱形状の搬送表面が形成されている。搬送表面は、フィーダパン5で搬送される物品が接触しながら移動する表面である。
【0075】
上記形状を有するフィーダパン5の搬送表面において、搬送面51の搬送方向中途部に表面の摩擦係数が他と異なる「異摩擦部位55」が設けられている。この異摩擦部位55は、フィーダパン5の搬送面51及び壁面52,53から成る搬送表面のうち、他と比較して摩擦係数の高い、つまり、摩擦が大きい部分である。このように、異摩擦部位55の摩擦係数を搬送表面の他の部位と比較して高くするために、例えば、異摩擦部位55の表面をエンボス加工などにより形成した凹凸面(荒い面)としたり、異摩擦部位55の表面に樹脂製シートを貼設したりすることができる。或いは、フィーダパン5の異摩擦部位55以外の搬送表面にフッ素樹脂加工を施して、異摩擦部位55の摩擦係数を搬送表面の他の部位と比較して高くすることもできる。
【0076】
続いて、フィーダパン5に供給された物品の流れについて説明する。分散フィーダ30からフィーダパン5の搬送面51の基端51a側に落下した物品は、フィーダパン5の傾斜と振動とにより、搬送面51を搬送方向へ移動する。やがて、物品が異摩擦部位55にさしかかると、異摩擦部位55に接触している物品は摩擦を受けて、制動力を受ける。しかし、異摩擦部位55の上にあっても、異摩擦部位55に接触している物品の上に重なっているなどして異摩擦部位55と接触していない物品は、移動速度を維持したまま搬送方向へ移動する。これにより、フィーダパン5に供給された物品が上下に重なりあっているときに、異摩擦部位55を通過する際に上方に重なっている物品が先に搬送方向へ移動し、物品の上下の重なりが崩れることとなる。
【0077】
上述の通り、本実施の形態に係る直進フィーダ50のフィーダパン5では、搬送表面において摩擦係数の高い異摩擦部位55を、搬送面51の搬送方向中途部に設けることによって、この異摩擦部位55と接触することにより搬送される物品に制動力が作用し、塊となって搬送されてきた複数の物品をばらつかせて、物品をより均一に搬送することができる。これにより、直進フィーダ50による物品の搬送量の安定化に寄与することができる。
【0078】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る組合せ秤について説明する。実施の形態2に係る組合せ秤は、直進フィーダ50のフィーダパン5の構造を除いて、前述の実施の形態1に係る組合せ秤と同一の構造を有している。そこで、以下では、フィーダパンの構造のみを説明し、重複する余の部分の説明を省略する。
【0079】
〔フィーダパンの構造〕
ここで、実施の形態4に係るフィーダパンの構造について詳細に説明する。図9は実施の形態4に係るフィーダパンを示す平面図である。図9に示すように、フィーダパン5は、搬送面51と、搬送面51の両側に沿って起立した壁面52,53とが一体的に形成されて、全体として平面視略扇形形状を有している。
【0080】
フィーダパン5の搬送面51は、円錐状のトップコーン3の円錐軸を略中心として放射方向に延びる平面に形成されており、フィーダパン5の最下段を形成している。搬送面51の基端51aは、分散フィーダ30のトップコーン3の周縁部下方に位置し、その終端51bは、供給ホッパ7の上部開口上に位置している。この搬送面51には、搬送方向下流側へ下る傾斜が設けられており、この傾斜と加振器6により付与される振動とによって、搬送面51の基端51a側へ落下した物品は、終端51b側へ向けて搬送面51上を移動する。
【0081】
フィーダパン5の壁面52,53は、搬送面51の搬送方向と略直交する方向の端辺をそれぞれ下端52a,53aとして起立する面であって、搬送面51の両脇に沿ってそれぞれ設けられている。この壁面52,53と搬送面51とにより、搬送方向と略直交する方向の横断面が略箱形状の搬送表面が形成されている。搬送表面は、フィーダパン5で搬送される物品が接触しながら移動する表面である。
【0082】
上記形状を有するフィーダパン5の搬送表面において、搬送面51の終端51bを含む終端51b側に、摩擦係数が他の部位と異なる「異摩擦部位55」が設けられている。この異摩擦部位55は、フィーダパン5の搬送面51及び壁面52,53から成る搬送表面のうち、他と比較して摩擦係数の高い、つまり、摩擦が大きい部分である。このように、異摩擦部位55の摩擦係数を他と比較して高くするために、例えば、異摩擦部位55の表面をエンボス加工などにより形成した凹凸面(荒い面)としたり、異摩擦部位55の表面に樹脂製シートを貼設したりすることができる。或いは、フィーダパン5の異摩擦部位55を除く搬送表面にフッ素樹脂加工を施して、異摩擦部位55の摩擦係数を搬送表面の他の部位と比較して高くすることもできる。
【0083】
続いて、フィーダパン5に供給された物品の流れについて説明する。分散フィーダ30からフィーダパン5の搬送面51の基端51a側に落下した物品は、フィーダパン5の傾斜と振動とにより、搬送面51を搬送方向へ移動する。やがて、物品が異摩擦部位55にさしかかると、異摩擦部位55に接触している物品は摩擦により、制動力を受ける。つまり、フィーダパン5で搬送される物品は終端51b付近で移動の勢いにブレーキがかかることとなる。これにより、フィーダパン5の搬送面51の終端51bから物品が塊となって一気に落下することを防止でき、供給ホッパ7への物品の供給量の安定化を図ることができる。
【0084】
上述の通り、本実施の形態に係る直進フィーダ50のフィーダパン5では、搬送表面において摩擦係数の高い異摩擦部位55を、搬送面51の搬送方向下流側端部に設けることにより、異摩擦部位55と接触することにより物品に制動力が作用し、フィーダパンから一気に物品が搬出されることを防止して、直進フィーダ50による物品の搬送量の安定化に寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明に係る組合せ秤の物品搬送装置は、フィーダパンにおいて物品と接触する面の一部の摩擦係数を変えることによって、物品を所望の状態で搬送できるようにされたものであり、搬送面や壁面などの細部形状に拘らず広くフィーダパンに適用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1に係る組合せ秤の概略構成を説明する図である。
【図2】組合せ秤の演算制御器の機能ブロック図である。
【図3】実施の形態1に係るフィーダパンを示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるIIIB−IIIB矢視断面図、(C)は(A)におけるIIIC矢視図である。
【図4】実施の形態1に係るフィーダパンの変形例1を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるIVB−IVB矢視断面図、(C)は(A)におけるIVC矢視図である。
【図5】実施の形態1に係るフィーダパンの変形例2を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるVB−VB矢視断面図、(C)は(A)におけるVC矢視図である。
【図6】実施の形態1に係るフィーダパンの変形例3を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるVIB−VIB矢視断面図、(C)は(A)におけるVIC矢視図である。
【図7】実施の形態2に係るフィーダパンを示す平面図である。
【図8】実施の形態3に係るフィーダパンを示す平面図である。
【図9】実施の形態4に係るフィーダパンを示す平面図である。
【符号の説明】
【0087】
1 供給装置
2 レベルセンサ
3 トップコーン
4 加振器
5 フィーダパン
6 加振器
7 供給ホッパ
8 計量ホッパ
9 重量センサ
10 集合ホッパ
11 集合シュート
12 集合ファンネル
16 演算制御器
17 操作設定表示器
30 分散フィーダ
50 直進フィーダ
51 搬送面
52,53 壁面
54 基端部壁
55 異摩擦部位
56 突起部
99 組合せ秤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダパンと前記フィーダパンを加振する加振器とを備えて前記フィーダパン上で物品を搬送する組合せ秤の物品搬送装置において、
前記フィーダパンは、前記物品の搬送方向に延びる略平面状の搬送面と、前記搬送面の両脇に沿って起立する2つの壁面とから成る搬送表面を有し、
前記搬送表面は、単数又は複数の摩擦係数の異なる部位を有している、
組合せ秤の物品搬送装置。
【請求項2】
前記単数又は複数の摩擦係数の異なる部位は、前記搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の高い部位であって、前記2つの壁面のうち一方の壁面に設けられている、
請求項1に記載の組合せ秤の物品搬送装置。
【請求項3】
前記単数又は複数の摩擦係数の異なる部位は、前記搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の高い部位であって、前記2つの壁面のうち一方の壁面において物品の搬送方向中途部に設けられている、
請求項1に記載の組合せ秤の物品搬送装置。
【請求項4】
前記搬送面に、該搬送面から突出する突起部が設けられている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の組合せ秤の物品搬送装置。
【請求項5】
前記単数又は複数の摩擦係数の異なる部位は、前記搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の高い部位であって、前記搬送面の搬送方向中途部及び搬送方向下流側端部の少なくともいずれか一方に設けられている、
請求項1に記載の組合せ秤の物品搬送装置。
【請求項6】
前記単数又は複数の摩擦係数の異なる部位は、前記搬送表面の他の部位と比較して摩擦係数の低い部位であって、前記搬送面の搬送方向上流側端部において前記物品の供給地点に設けられている、
請求項1に記載の組合せ秤の物品搬送装置。
【請求項7】
前記加振器は、前記フィーダパンを前記搬送方向及び上方向への加速度成分を有するように加振するように構成されている、
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の組合せ秤の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−83648(P2010−83648A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256528(P2008−256528)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】