説明

組版装置、組版方法、及び組版処理プログラム

【課題】自動組版後に手作業が発生しないようにレイアウト作業を自動的に行い、レイアウト作業の省力化が可能な組版装置、組版方法、及び組版処理プログラムを提供する。
【解決手段】少なくとも画像及び当該画像のレイアウトを規定するデータに基づいて組版処理を実行する組版装置であって、前記組版処理により前記画像をレイアウトすべき位置に基準となる基準線を作成する基準線作成手段と、前記組版処理の実行時に前記基準線の長さと位置に基づいて、前記画像のサイズとレイアウト位置を調整する調整手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データベース上のデータに基づき、DTP(Desk Top Publishing)データの作成及び編集を行うシステム等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動組版においてDTPデータ上に画像を自動でレイアウトする際、必ずしも画像サイズとレイアウト領域(画像フレーム)のサイズが一致するとは限らず、画像サイズを調整したり、画像フレーム内のどの位置に画像をレイアウトするか指定することが多い。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された技術では、画像サイズを画像フレームに合わせて調整し、かつ画像データの中心点と画像フレームの中心点を一致させるようにレイアウト位置を決定している。
【特許文献1】特許2687755号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の場合、縦横比を保持してサイズを調整するため、レイアウトする画像の縦横比と画像フレームの縦横比を事前に計算し等しくなるように設定しておかないと、背景と画像の間に余白が発生してしまうという欠点があった。このような場合、結局は画像サイズをさらに調整する、あるいは画像フレームのサイズを調整する、などの手作業によって余白を埋めなければならないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題等に鑑みて為されたもので、自動組版後に手作業が発生しないようにレイアウト作業を自動的に行い、レイアウト作業の省力化が可能な組版装置、組版方法、及び組版処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも画像及び当該画像のレイアウトを規定するデータに基づいて組版処理を実行する組版装置であって、前記組版処理により前記画像をレイアウトすべき位置に基準となる基準線を作成する基準線作成手段と、前記組版処理の実行時に前記基準線の長さと位置に基づいて、前記画像のサイズとレイアウト位置を調整する調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の組版装置において、前記調整手段は、前記画像の縦横比を保持しつつ当該画像の寸法と前記基準線の長さが一致するように当該画像のサイズを調整することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の組版装置において、前記基準線作成手段は、前記基準となる縦基準線と横基準線とを十字型に作成し、前記画像は縦長であるか、または横長であるかを判別する判別手段を更に備え、前記調整手段は、前記画像が縦長である場合、当該画像の縦寸法と前記縦基準線の長さが一致するように当該画像のサイズを調整する一方、前記画像が横長である場合には、当該画像の横寸法と前記横基準線の長さが一致するように当該画像のサイズを調整することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の組版装置において、 前記調整手段は、前記画像の中心点が前記基準線の中点に一致するように前記画像のレイアウト位置を調整することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、少なくとも画像及び当該画像のレイアウトを規定するデータに基づいて組版処理を実行するコンピュータにおける組版方法であって、前記組版処理により前記画像をレイアウトすべき位置に基準となる基準線を作成する工程と、前記組版処理の実行時に前記基準線の長さと位置に基づいて、前記画像のサイズとレイアウト位置を調整する工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の組版処理プログラムの発明は、少なくとも画像及び当該画像のレイアウトを規定するデータに基づいて組版処理を実行するコンピュータを、前記組版処理により前記画像をレイアウトすべき位置に基準となる基準線を作成する基準線作成手段、及び、前記組版処理の実行時に前記基準線の長さと位置に基づいて、前記画像のサイズとレイアウト位置を調整する調整手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、組版処理により画像をレイアウトすべき位置に基準となる基準線を作成し、組版処理の実行時に上記基準線の長さと位置に基づいて、前記画像のサイズとレイアウト位置を調整するように構成したので、自動組版後に手作業が発生しないようにレイアウト作業を自動的に行い、レイアウト作業の省力化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、DTP編集システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、DTP編集システムに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0015】
先ず、本実施形態に係るDTP編集システムの構成及び機能について、図1及び図2を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るDTP編集システムの概要構成の一例を示す図であり、図2は、組版端末の概要構成の一例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、DTP編集システムSは、データベースサーバ1と、組版装置の一例としての組版端末2とを備えて構成されており、データベースサーバ1と組版端末2とはLAN(Local Area Network)等のネットワーク3を介して接続されている。
【0018】
データベースサーバ1は、例えばサーバコンピュータからなり、記憶部(例えばハードディスクドライブ等からなる)には、カタログ、チラシ、又は雑誌等のDTPデータの基になる商品(カタログ等の紙面上に掲載される商品)に関する情報を登録するためのデータベースが構築されている。当該データベースとしては、テキストデータベース11、画像データベース12、及び組み込み体裁データベース13がある。
【0019】
テキストデータベース11には、商品毎に固有に付与された商品番号に対応付けられて、各商品の商品名、商品の価格、及び画像ファイル名等の情報が登録されている。
【0020】
画像データベース12には、商品番号に対応付けられて各商品の画像データ(組版処理をするのに必要な画像のデータ)が登録されている。
【0021】
組み込み体裁データベース13には、例えばカタログ等の紙面に掲載すべき各商品のテキスト及び画像の組み込み体裁(言い換えれば、レイアウト)を規定するテンプレートとなる小組データ(小組ファイル)が、例えば紙面毎に複数登録されている。
【0022】
なお、後述する組版処理により、一つの紙面を構成するDTPデータ(組版データ)には、1以上の小組データが割り付けられるようになっている。
【0023】
そして、データベースサーバ1は、組版端末2からの要求に応じてテキストデータベース11、画像データベース12、及び組み込み体裁データベース13に登録されたデータを取得し、ネットワーク3を介して組版端末2に送信するようになっている。
【0024】
組版端末2は、図2に示すように、CPU,RAM,データ及びプログラムを記憶するROM等を備える処理部21、ハードディスクドライブ等を備える記憶部22、液晶ディスプレイ等を備える表示部23、マウス及びキーボードを備える操作部24、及びネットワーク3を介してデータベースサーバ1と通信を行うための通信部25を備えて構成されている。
【0025】
処理部21は、CPUが例えば記憶部22に記憶されているDTP編集アプリケーションプログラム(本発明の組版処理プログラムを含む)を読み出し実行することにより、オペレータからの指示(操作部24の操作による)に従って、DTPデータの基になる商品に関する情報をデータベースサーバ1及びネットワーク3を介して、テキストデータベース11、画像データベース12、及び組み込み体裁データベース13から取得し、取得した商品に関する情報(テキストデータ、画像データ、及び小組データ(小組ファイル))をRAMにおいて予め設定されたDTPデータの表示領域に格納し、テキストデータ、画像データ、及び小組データに基づいて自動組版(小組データへの画像及びテキストの流し込み)処理を実行するようになっており、更に、本発明の基準線作成手段、調整手段、及び判別手段等として機能し、後述する処理を行うようになっている。
【0026】
具体的には、基準線作成手段としての処理部21は、準備として、組版処理により画像をレイアウトすべき位置(すなわち、自動組版のためのテンプレートとなる小組データ上の位置)に基準となる基準線(例えば、直線状の基準線)を作成するようになっている。かかる基準線としては、縦基準線(例えば、ディスプレイにおいて垂直方向に伸びた基準線)と、横基準線(例えば、ディスプレイにおいて水平方向に伸びた基準線)とが挙げられる。また、かかる基準線の位置は、ユーザから操作部24を通じて指定されるようにしても良いし、予め設定されるようにしても良い。
【0027】
そして、調整手段としての処理部21は、組版処理の実行時に上記作成された基準線の長さと位置に基づいて、上記画像のサイズとレイアウト位置を調整するようになっている。例えば、当該処理部21は、上記画像の縦横比を保持しつつ当該画像の寸法と上記基準線の長さが一致するように当該画像のサイズを調整する。すなわち、レイアウトすべき画像のサイズについては、画像の縦寸法(高さに相当)又は横寸法(画像の幅に相当)が、縦基準線又は横基準線のいずれか一方の長さに一致するように調整される。このとき、判別手段としての処理部21が、レイアウトすべき画像が縦長であるか、または横長であるかを自動で判別し、縦長画像の場合は縦基準線が使用され、横長画像の場合は横基準線が使用されるように構成すると良い。つまり、画像が縦長である場合、当該画像の縦寸法と縦基準線の長さが一致するように当該画像のサイズが調整される一方、画像が横長である場合には、当該画像の横寸法と横基準線の長さが一致するように当該画像のサイズが調整される。なお、縦基準線または横基準線のいずれか一方を全ての画像に対する基準線としたい場合は、いずれか一方のみ基準線を作成しておけば良い。
【0028】
画像の位置については、調整手段としての処理部21により、画像の中心点がサイズ調整に使用された基準線の中点に一致するように当該画像のレイアウト位置が調整される。
【0029】
なお、上記サイズ調整と上記位置調整ともに、画像の持つ矩形の範囲を基準にするだけでなく、クリッピングパス(切り抜き画像)の外側に接する矩形を基準にしても良い。
【0030】
次に、本実施形態に係る組版端末2の処理部21の処理について、図3及び図4を用いて説明する。なお、かかる処理の前提として、DTPデータの基になる商品に関する情報がネットワーク3を介してデータベースサーバ1から取得されているものとする。
【0031】
図3は、組版処理の実行により流し込まれた画像のサイズとレイアウト位置が調整される様子を示す図である。図4は、処理部21における画像調整処理を示す図である。
【0032】
先ず、処理部21は、準備として自動組版のためのテンプレートとなる小組データ上で縦基準線と横基準線を十字型に作成しておく(図3(a))。例えば、図示の如く、縦基準線の中点と横基準線の中点とが一致するように十字型に作成される。これにより、画像が縦長である場合も横長である場合も直ちに対応することが可能となる。
【0033】
続いて、処理部21は、画像の流し込みを実行し、図4に示すように、画像レイアウトを開始すると、レイアウトすべき画像が縦長であるか否かを判別し(図3(b)、図4のステップS1)、縦基準線と横基準線のどちらを使用するかを決定する。
【0034】
そして、当該画像が縦長であった場合には(図4のステップS1:Yes)、処理部21は、縦基準線を使用し、当該画像の縦横比を保持しつつ当該画像の縦寸法(高さ)が縦基準線の長さに一致するように当該画像のサイズを調整する((図3(c’)、図4のステップS2)。一方、当該画像が横長であった場合には(図4のステップS1:No)、処理部21は、横基準線を使用し、当該画像の縦横比を保持しつつ当該画像の横寸法(幅)が横基準線の長さに一致するように当該画像のサイズを調整する((図3(c”)、図4のステップS3)。これにより、画像フレームのサイズが決定されることになる。
【0035】
次いで、処理部21は、上記画像の中心点が基準線(縦基準線又は横基準線)の中点に一致するように当該画像のレイアウト位置を調整する(図3(d’)又は図3(d”)、図4のステップS4)。
【0036】
こうして当該組版処理においてサイズ調整等された画像を表示するDTPデータが表示部23におけるディスプレイ(表示画面)上に表示される。
【0037】
なお、小組データ上の基準線は、画像の流し込み実行時に削除される。
【0038】
以上説明したように、上記実施形態によれば、組版処理により画像をレイアウトすべき位置に基準となる基準線を作成し、組版処理の実行時に上記基準線の長さと位置に基づいて、前記画像のサイズとレイアウト位置を調整するように構成したので、自動組版後に手作業が発生しないようにレイアウト作業を自動的に行い、レイアウト作業の省力化を図ることが可能となる。つまり、画像をレイアウトするときに初めて画像フレームのサイズが決定されるため、必ず、画像のサイズと画像フレームのサイズが一致することになる。すなわち、背景と画像の間に余白が発生することはなく、レイアウト後に画像のサイズをさらに調整する、あるいは画像フレームのサイズを調整するなどの手作業が不要となり、作業効率化につながる。また、基準となる方向(縦か横)を柔軟に指定できるため、よりデザイン性の高い組版が実現できる。
【0039】
また、縦基準線と横基準線を十字型に事前に作成しておくことで、画像が縦長である場合も横長である場合も直ちに対応することが可能となる。
【0040】
なお、上記実施形態においては、自動組版時に本発明に係る機能を適用した場合について説明したが、本発明に係る機能は手作業で組版する際に使用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態に係るDTP編集システムの概要構成の一例を示す図である。
【図2】組版端末の概要構成の一例を示す図である。
【図3】組版処理の実行により流し込まれた画像のサイズとレイアウト位置が調整される様子を示す図である。
【図4】処理部21における画像調整処理を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 データベースサーバ
2 組版端末
3 ネットワーク
11 テキストデータベース
12 画像データベース
13 組み込み体裁データベース
21 処理部
22 記憶部
23 表示部
24 操作部
25 通信部
S DTP編集システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも画像及び当該画像のレイアウトを規定するデータに基づいて組版処理を実行する組版装置であって、
前記組版処理により前記画像をレイアウトすべき位置に基準となる基準線を作成する基準線作成手段と、
前記組版処理の実行時に前記基準線の長さと位置に基づいて、前記画像のサイズとレイアウト位置を調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする組版装置。
【請求項2】
請求項1に記載の組版装置において、
前記調整手段は、前記画像の縦横比を保持しつつ当該画像の寸法と前記基準線の長さが一致するように当該画像のサイズを調整することを特徴とする組版装置。
【請求項3】
請求項2に記載の組版装置において、
前記基準線作成手段は、前記基準となる縦基準線と横基準線とを十字型に作成し、
前記画像は縦長であるか、または横長であるかを判別する判別手段を更に備え、
前記調整手段は、前記画像が縦長である場合、当該画像の縦寸法と前記縦基準線の長さが一致するように当該画像のサイズを調整する一方、前記画像が横長である場合には、当該画像の横寸法と前記横基準線の長さが一致するように当該画像のサイズを調整することを特徴とする組版装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の組版装置において、
前記調整手段は、前記画像の中心点が前記基準線の中点に一致するように前記画像のレイアウト位置を調整することを特徴とする組版装置。
【請求項5】
少なくとも画像及び当該画像のレイアウトを規定するデータに基づいて組版処理を実行するコンピュータにおける組版方法であって、
前記組版処理により前記画像をレイアウトすべき位置に基準となる基準線を作成する工程と、
前記組版処理の実行時に前記基準線の長さと位置に基づいて、前記画像のサイズとレイアウト位置を調整する工程と、
を備えることを特徴とする組版方法。
【請求項6】
少なくとも画像及び当該画像のレイアウトを規定するデータに基づいて組版処理を実行するコンピュータを、
前記組版処理により前記画像をレイアウトすべき位置に基準となる基準線を作成する基準線作成手段、及び、
前記組版処理の実行時に前記基準線の長さと位置に基づいて、前記画像のサイズとレイアウト位置を調整する調整手段として機能させることを特徴とする組版処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−238019(P2009−238019A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84692(P2008−84692)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】